エンド・オブ・ジャパンのようです (266レス)
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112: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2022/11/25(金)22:43 ID:6zQ8/6i00(3/5) AAS
実際のところ、人類が保有する航空戦力の重要度は対深海棲艦戦闘においても低くはない。青ヶ島、ベルリン、ムルマンスクといった直近の大規模戦闘において上がった数々の戦果から、寧ろ増している面さえある。

だが、別段“替えが効かない”という程ではない。条件が揃った際に「極めて大きく一方的な戦果を得られる」という点は稀有ではあるが、あくまで“殲滅”に拘った場合の話。防衛・撃退に主眼を置いた場合基地航空隊や艦娘の艦載機で十分以上に対応は可能だ。

今回のケースでは、ベーリング海防衛に際し“潤沢”な戦力と言えるかはまだ解らないにしても、千島列島・北方四島には空自・海自に配備された膨大な基地航空隊が存在する。艦娘も練度が十分な分だけでも述べ20個艦隊前後を動員できる。
カムチャッカ半島からもロシア軍保有の基地航空隊に加えて“海軍”鎮守府が投入可能であり、完璧に防ぎきれるかは敵の規模次第にしろ少なくとも瞬時に制海権が奪取され上陸まで漕ぎ着けられることはほぼ有り得ない。

先に述べた【防共協定】の要項においてアラスカ州空軍の運用に対する“距離”の制約は存在しない。そして【学園艦棲姫】は、日露のみならずアメリカにも直接的な脅威となる。

また州知事が主張する“不測の事態”だが、まさしくそれに対応するため【カーヴィル・ドクトリン】────協定締結に際して立案された、新たな米本土防衛政策がある。
省10
113: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2022/11/25(金)22:48 ID:6zQ8/6i00(4/5) AAS
作戦に重大な支障を来しかねない事態に対する反応としてはあまりにも軽い、いっそ不真面目にさえ聞こえてしまう相槌。

しかしポンセは、ポージーの声が北極海に浮かぶ氷のように冷え切っていることを肌で感じとった。

(*^○^*)「これ」

「は?これは一体………」

(*^○^*)「コールマン州知事のスキャンダルデータ集」
省13
114: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2022/11/25(金)22:52 ID:6zQ8/6i00(5/5) AAS
ポージーも決して若い身ではないが、ウィーランドは更にその歳を10近く上回り還暦を目前に控えている。だが、肩を並べて長年対深海棲艦の最前線に経ち続けてきた二人の間には、年齢や階級を超えた確かな友情が存在した。
故にポージーは親しみと敬意、そして彼の年齢を加味しても些か異様な落ち着きぶりへのささやかな誂いを込めて、彼を“親父”と呼ぶ。

そしてウィーランドは、ポージーがオフではなく公務の場で自分を“親父”と呼ぶ時は、彼が周囲に対して取り繕う余裕を失いつつあるのだと長年の経験で知っている。

(*^○^*)「コールマンは合衆国民並びにアラスカ州民にとっては史上最低クラスのクソッタレ野郎だけど、僕にとっちゃあこの上なく“やりやすかった”。

泳がされてるとも知らず寄ってくる利権を暢気に片っ端からつまみ食いし、結果奴は【誘蛾灯】になっていた。調査する度に新しい“スポンサー”がくっついてるもんだから、正直こっちが罠にかかってるんじゃないかと疑ったぐらいだけどね」

「まぁ、C.I.AやF.B.Iならいざ知らずまさか在日米軍がわざわざアラスカの州知事に身辺調査を仕掛けているとは思わなかったのもあるでしょうな」
省9
115: [sage saga] 2022/11/26(土)08:35 ID:t1Hly90C0(1) AAS
更新おつです
116: 2022/11/28(月)09:27 ID:BSeTTiQ60(1) AAS
おつです
ポジハメ司令官のR.レーガンが健在ならレールガンも稼働できそうなのは希望ですね
次回は八頭身提督の回ですかね絶望的状況に心中いかばかりか
117: ◆vVnRDWXUNzh3 [saga] 2022/12/29(木)23:06 ID:doNy4j2F0(1/5) AAS
「…………まだ休んでおられないのですか、我々の“Admiral”は」

(*^○^*)「Japaneseの勤勉ぶりには頭が下がるんだ、本当に」

状況を察したウィーランドの言葉に、ポージーが肩を竦めながら答える。

口元に張り付く、わざとらしく片頬が上げられた歪んだ笑み。それはポージーの機嫌が、取り分け悪いときに決まって浮かぶものだ。

尤も、彼が来日以来贔屓にしているNPBのヨコハマを本拠地とした某プロ野球チームの試合があった翌日は多くの場合この表情になるため、ウィーランドを中心に在日米軍の上層部連中は実のところ割と見慣れているのだが。
省18
118: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2022/12/29(木)23:10 ID:doNy4j2F0(2/5) AAS
K.I.Aリストの5枚目、最後のページに書かれる名前。オーストラリア海軍の潜水艦【Farncomb】の“元”乗組員達の箇所から数行の空白を経て記されるそれらは全て、横に所属鎮守府と“艦級”が添えられている。

グレートバリアリーフの“海軍”鎮守府から派遣され、護衛についていた【Key West】と共に消息を絶った伊-400以下潜水艦隊5名。

タウイタウイ泊地から棲姫の進路上に投入され、敵の猛烈な艦砲射撃により全滅した加古、川内以下2個水雷戦隊12名。

………そして、今なお続々と東南アジア各地の“海軍”や海上自衛隊所属鎮守府から動員・派遣されてくる、艦娘の“増援”艦隊。

敷波、綾波、Z1、春雨、摩耶……日本の【特派府】や泊地であれ“海軍”鎮守府であれ、艦種も所属も練度も関係ない。吹雪と大淀などはもう2隻ずつ沈んでいる。
省7
119: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2022/12/29(木)23:14 ID:doNy4j2F0(3/5) AAS
ウィーランドの内心を目敏く察してポージーが口にしたセリフは、全面的に同意せざるを得ないものだった。

対深海棲艦戦闘においても十二分に有力な存在である、最新鋭の巡洋艦や潜水艦。投入機どころか、アジア全域で人類が保有・配備していた総数に対して2割に届こうかという空軍機。それらに搭乗・乗艦していた、歴戦の操縦士達、乗組員達。

そして、小規模な鎮守府が2つ3つまとめて機能不全に陥るほど多数の艦娘達。

何れも、到底軽微な被害とは言い難い。特に連合空軍のパイロット達と艦娘達の喪失は、対【学園艦棲姫】のみならず今後の東南アジア全体での防衛計画に大きく暗い影を落とすだろう。

(いや……より厳密に言えば、防衛計画には既に影響が出始めている)
省12
120: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2022/12/29(木)23:21 ID:doNy4j2F0(4/5) AAS
横須賀、青ヶ島、そして地………あの長ったらしくふざけた名前の“海軍”所属鎮守府。

この3鎮守府からなる“連合艦隊”が、現時点における「世界最強の艦隊」であったことは疑いようもない。個々の戦闘力、各鎮守府ごとの“一個艦隊”としての練度、“あの鎮守府”の那珂に至っては、現場での艦隊指揮においてさえ卓越した手腕を見せつけた。
それらによって挙がった戦果の羅列は、実際に彼女達の戦いぶりを目にしていたウィーランドをして一瞬現実性を疑ってしまうほどの凄まじさだ。【巨砲】と【亡霊】など、この二人だけで優に30個艦隊前後の敵艦を葬っている。

前後の第一次防衛線や今の防衛線と比較すれば、その突出ぶりはより顕著だ。前者は航空支援の量、後者は【浮遊要塞】の存在という大きな差異は確かにある。
だがそれを言うなら、“連合艦隊”の24隻に対して前者は2.5倍、後者は現時点で実に25倍もの艦娘が投入されている。随伴艦隊に関しても、後者が向こうの数こそ増したものの戦力比としては1:5に留まり、前者に至ってはその時点では随伴艦隊自体存在していない。

その上で、【学園艦棲姫】の完全な“足止め”を成し得たのは“連合艦隊”のみだ。それも、随伴艦隊も【浮遊要塞】という“奥の手”も引き出し、小破とはいえMOABの直撃による損害まで与えて。
第一次防衛線は碌な打撃すら与えられず容易く粉砕され、現在の第三次防衛線は遅滞こそなんとか行えているものの決して小さくない犠牲と引き換えとなっている。数的にはより過小な戦力でありながら最も巨大な戦果を挙げていた“連合艦隊”が殲滅されていれば、その悪影響は計り知れないものになっていただろう。

故に、“正しい”。ほぼ全員が大破状態にあり、そのまま放置していれば後数分と保たず殲滅されていたであろう彼女達を救ったことは、彼女達の生存と引き換えに、多くの犠牲、多くの屍を積み重ねたことは、どこまでも残酷で冷静で“正しい”判断と言える。
省5
121: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2022/12/29(木)23:27 ID:doNy4j2F0(5/5) AAS
ハットウとウィーランドの間に、この作戦が行われる前の時点での面識はない。だが、米軍関係者の間でもしばしば「Japanのアオガシマに凄腕の提督が一人いる」という噂は話題になっていた為、ウィーランドも彼の存在は元より認知している。

その上で、戦闘詳報を読んだ彼は思う。“噂以上”だと。

(オペレーション・イツクシマ一つ取って見ても、彼が尋常ならざる指揮官であることは容易く伺える。しかしそれは、あくまでも戦術レベルでの評価だ。………今となっては“だった”が正しいが)

第二次防衛線において敢行された、オペレーション・アイアンボトム。太平洋全域を作戦場とした挟撃や、【回転木馬】の大胆な応用を立案できる戦略眼。初見であるはずのミサイル型MOABや【ダゴン】を即座に作戦に組み込み、“特殊仕様プレデター”の大元の考案者であり、彼からすれば初対面で得体のしれない場所から突如として派遣されてきた艦娘への現場指揮権移譲すら躊躇なく行える高度な柔軟性。
戦略家としても、戦術家としても、間違いなく一級品の実力。仮に100年後の教科書で彼の名がハンニバル、ナポレオン、マンシュタイン、イソロク=ヤマモトと並んでいたとしても、ウィーランドは驚かないだろう。

今この瞬間も、そうだ。統一性のない艦種、ムラが大き過ぎる練度、広く分散した輸送機の到着箇所、何よりも“同一艦種の同一戦場における運用の禁”………汎ゆる制約により、600隻という戦力自体額面通りのものではない。にも関わらず、ススム=ハットウはその卓越した指揮能力を存分に発揮し寸手のところで戦線の瓦解を防いでいた。
それに対して払われた犠牲は、幾らかの航空戦力と“たった”4個艦隊分の艦娘に過ぎない。
省5
122: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2022/12/30(金)01:03 ID:1qvzDtlb0(1) AAS
“本職”の軍人であったとしても、明確なオーバーワーク。これを、数年前まで一般人に過ぎなかった男が背負っているという状況で、体力的にも精神的にも軽微な消耗の筈がない。

況してや、彼はあの性格だ。艦娘よりずっと脆い、指揮官である自身を平然と囮に使えるような、艦娘を“使って”戦うのではなく艦娘と“共に”戦うことを躊躇なく選べるような、過ぎた優しさと過ぎた勇気を違和感なく同居させる性格。そんな男が艦娘同士の命を天秤にかけ、片方を捨て駒にするような戦術を本来忌避するだろうことは想像に難くない。

それでも、彼は4時間に渡って逃げること無く采配を振るい続けている。恐らく早晩限界を迎えてもおかしくない、或いは限界を超えて尚指揮を続けている可能性もある。

………だからこそ、ウィーランド達第7艦隊の上層部は【こんごう】のCICに向かって再三再四要請を飛ばしていた。貴艦ニ搭乗中ノ提督ヲ速ヤカニ休養サセルベシ、戦線指揮ハ当方ニテ代理ノ準備アリ、と。なんとしても負担を軽減してやりたいという情もあるし、それ以上にこれほどの指揮官が完全な稼働不能に陥れば“連合艦隊”の喪失に勝るとも劣らない致命傷になりかねなかったからだ。

(幸い、父島艦隊を中核にかなり纏まった艦隊戦力がつい先程前線に投入された。敵随伴艦隊の拡大・流入もやや小康傾向が見られ、ハットウが直接戦線の指揮を取らなければならない意味は僅かに薄れた。しかし、これほど頑なな彼がこの程度の事で納得するだろうか………)
省14
123: [sage saga] 2023/01/04(水)10:24 ID:rX8YTfz/0(1) AAS
更新乙です
今年もよろしくお願いします

って、この状況でレーガンからこんごうに移動とかできるんですか?
124: ◆vVnRDWXUNzh3 [saga] 2023/01/06(金)23:00 ID:hW0KQOZL0(1/3) AAS
.

僕に、力が足りなかったから。

MOABで仕留めきれる、大損害を与えられるという見立てが甘かったから。
【回転木馬】の【黒鳥】に対する有効性を過信しすぎていたから。
日向さんと那珂さんに現場指揮を委ね過ぎ、彼女達の負担を十分に軽減できていなかったから。
深海棲艦にとってアレがどれ程重要な存在であるかを、認識しきれていなかったから。
棲姫が“奥の手”を隠していたことを、読めていなかったから。
このまま【列車砲】を等間隔で放ち続けると思い込んでいたから。
僕の軍人としての才が至らなかったから。

だから、第二次防衛線は崩壊した。
省6
125: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/06(金)23:01 ID:hW0KQOZL0(2/3) AAS
視界が歪み、色を失うほど辛く重い現実。

だけどそれらは、既に“起きてしまった”ことだ。

どれほど強く悔い、嘆こうとも、状況は変わらない。僕の力量が突然爆発的に跳ね上がるわけでも、【学園艦棲姫】が消えてなくなるわけでも、死んでいった人達が生き返るわけでもない。

龍驤さん達の回復が早まることも、沈めてしまった艦娘達も戻ってくることもない。

ならば、どうすればいいか。僕に何ができるのか。
幸いなことに、その答えだけははっきり理解できている。
省9
126: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/06(金)23:02 ID:hW0KQOZL0(3/3) AAS
現実は変わらない、過去は戻らない、罪は消えない。
ならば結局、前を向くしかない。今できることに全力を尽くすしかない。

今僕にできることは、戦うことだけ。

ここは戦場なのだから。僕は提督で、この戦場の指揮官としてここにいるのだから。

「ネグロス島統合艦隊旗艦・陸奥より入電!右方35km地点より【学園艦棲姫】並びに随伴艦隊の低速状態維持を視認計測するも敵艦隊からの猛攻により損害大!陸奥、リベッチオ、ヴェールヌイ、深雪が大破!」

(;´Д`)「棲姫とすれ違う形で南方に全速力で離脱を!さっき70km地点から追尾を開始させた空母機動艦隊に通達、撤退支援の爆雷撃開始!」
省13
127: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/07(土)07:58 ID:zAM4YSi90(1/3) AAS
undefined
128: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/07(土)08:02 ID:zAM4YSi90(2/3) AAS
(;´Д`)「浮遊要塞への攻撃は一時射程外からのミサイル攻撃のみに変更、牽制だけ継続!

その分戦力投入を減らして【回転木馬】を増強!【黒鳥】の進出を防いでください!!」

「CICより基地航空隊カタパルト、第2航空群が間もなく帰還する!第1航空群、全妖精速やかに発艦用意に移れ!」

「【カーティス・ウィルバー】基地航空隊より入電、前方50km地点にて当艦隊へ接近中の敵水上打撃艦隊を認む!旗艦に重巡棲姫、また戦艦ル級2隻が何れもFlagshipです!!」

(;´Д`)「予備の99式艦爆隊を出現座標に投入!護衛は対空警戒に出している航空隊から燃料に余裕のある機を捻出するよう各艦CICに要請を!!」
省22
129: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/07(土)08:47 ID:zAM4YSi90(3/3) AAS
おかしい。

僕は別に眼を瞑ってるわけでもないのに、眠りこけられるはずもないのに、何故か周囲の景色が見えない。
3歳児がパレットの上でぶち撒けられた絵の具を掻き回した後のように、混ざりあった様々な色だけがぐるぐると回り続けている。

まぁでも、大きな問題はない。周辺の海図は頭に叩き込んであるし、耳は正常に機能してる。大丈夫、僕はまだ戦える。

「左方の【回転木馬】にて【黒鳥】による強襲が発生!Shamrock第3編隊、全機が通信途絶!!」
省13
130: [sage saga] 2023/01/10(火)11:45 ID:di2eJj2+0(1) AAS
更新おつです
八頭身提督もう半分寝てるじゃないですか
ポジハメ司令はやく来てくれー
131: ◆vVnRDWXUNzh3 [saga] 2023/01/26(木)23:55 ID:+lVnpH3p0(1/2) AAS
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─────同時刻・青ヶ島沖、鎮守府より東南120km地点

「用意、用意、用意……降下、降下、降下!!」

代わり映えしない景色が続く海原において、腕時計は時間を計る装置としてだけではなく道標としての役割も担う。長針がカチンと小さく揺れて目標地点への到着を示すと同時に、私は機内に向かって叫び夜の海へと身を躍らせる。

「お世話になりました!」
省8
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