結標「私は結標淡希。記憶喪失です」 (841レス)
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784: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:01 ID:PU+Tw3fzo(1/11) AAS
しかし、その槍は到達する前に吹き飛ばされた。黒夜の小さな体もろとも。
黒夜「ごぱァッ――!?」
黒夜の横腹へ鈍器で殴られたような重い一撃が叩き込まれた。取り付けられたビニール質な義手の半数が粉砕される。
薙ぎ払うように打撃を受けた黒夜の小さな体は宙に浮き、二〇メートルほどの長さのある通路上空を飛び、その先にある壁へと叩きつけられた。
??「ったく、誉望も心理定規(メジャーハート)も二人してよお、こんなクソガキに遊ばれてんじゃねえっつうの」
省19
785: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:02 ID:PU+Tw3fzo(2/11) AAS
海原光貴は少年院を出て、街の中の歩道を歩いていた。
息を荒げながら、ふらふらとした足取りで、今にでも倒れそうな状態だ。
右腕にはノコギリで削り取ったような切り傷があり、着用している白い制服を赤く濡らしていた。
そんな彼の背中には一人の少女がいた。
くせ毛がかった黒髪、浅黒い肌色の皮膚、堀の深い顔立ち。
どこかの学校の制服である、赤いセーラー服を着ている。
ショチトル。暗部組織『メンバー』の構成員の一人であり、海原が以前いた組織で一緒に居た、同僚であり師弟関係にあった少女だった。
海原とショチトルはさきほどまで少年院に居て、そこで交戦していた。
結果は見ての通り、海原が勝利した。
省36
786: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:03 ID:PU+Tw3fzo(3/11) AAS
第一〇学区の少年院の近くにある路地裏。
番外個体は一人の男の首を掴んで体ごと持ち上げていた。
その男は砂皿緻密。暗部組織『スクール』に所属している雇われのスナイパーだ。
だらりと力なく腕を下げていることから、もう体を動かすような力を出すことが出来ないことを表していた。
番外個体「……はぁ、つまんないの」
ため息をついてから、番外個体は手に持った砂皿を投げ飛ばした。
ビルの壁に叩きつけられた砂皿は口から血が混じった息を吐いて、そのまま地面に落ちる。
番外個体「まあスナイパーだし、接近戦は本業じゃないからしょうがないとは思うけど、もうちょっと楽しめると思ったんだけどなー」
省29
787: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:04 ID:PU+Tw3fzo(4/11) AAS
番外個体「――冗談っ、でしょッ!?」
番外個体は前方に高出力の電撃を放つ。これは謎の機関銃女への攻撃のためじゃない。
ドッ!! と高圧電流を浴びた空気が爆発し、番外個体の体が後方へ向かって吹き飛んだ。
その先にあった反対側の曲がり角の壁へ、左肩からぶつかる。
ゴキリ、と骨が外れる音が鳴る。変な体勢で激突したから脱臼したのだ。
だが、今はそんなことを気にしている暇はない。
番外個体は壁を蹴り、機関銃女から影になる曲がり角へと飛ぶ。
ダガガガガガガガガッ!!
省23
788: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:05 ID:PU+Tw3fzo(5/11) AAS
「あっ、不用意に仕事のことを言っちゃいけないんでしたよね」とステファニーはおとぼけた感じで誤魔化す。
砂皿へ目を向けて頭を掻きながら誤魔化し笑いをしているところからして、さっきのセリフは番外個体へ言ったものではなかったのだろう。
なにはともあれ、番外個体がやることは決まっていた。
番外個体「あなたが何者かはよくわかんないけど、邪魔するって言うならあなたも黒焦げになってもらう、ってことだけどそれでオッケーかなー?」
ステファニー「それで構いませんよ。別にお友達になろうと思ってあなたとお話しているわけじゃありませんし」
番外個体「へー、言葉の節々に余裕を感じるね。ちょっとイラっとするよ。そーいうのはミサカの専売特許なんだけさー」
省15
789: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:08 ID:PU+Tw3fzo(6/11) AAS
しばらくしてから、黒煙が晴れた。
路地裏の通路は壁と地面の三方が焼け焦げていた。建物で囲まれているような閉鎖された空間のため焼けた臭いが充満している。
そんな中、一人の少女が現れた。
番外個体「――ったく、信じらんない! こんな密閉空間でグレネードぶっ放すなんて頭イカれてんじゃないの!? 自爆したいなら勝手にしてろっての!」
プンスカと番外個体が怒っていた。
彼女は先ほどの銃撃を回避したときのように、空気を高圧電流で爆破して水平方向へ飛翔し、爆発から離れていた。
しかし、多少は巻き込まれたようで、体の至るところに焦げ跡のようなものが残っている。
番外個体「とりあえず、あの二人の死体は回収しとかなきゃだよね……ありゃ?」
省17
790: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:08 ID:PU+Tw3fzo(7/11) AAS
『メンバー』との戦いを終えた木原数多たちは後始末をしていた。
壁や天井がボロボロに崩れて廃墟とかした倉庫の中には、コンテナだったと思われる鉄屑やスクラップと化した高所作業車が棄てられたように転がっていた。
数多の周りには大勢の人影が集まっている。軍用のヘルメットに暗視ゴーグル、防弾チョッキといった装備を身に着けた風貌をしている者たちだ。
数多「さーてお前ら、面倒臭せぇお片付けの時間だ。三〇分以内に終わらせろ。じゃねーと殺す」
数多の無茶苦茶な指示に「はい」と一言だけ返事をして、装備を身に着けた者たちは間髪入れずに行動を開始した。
彼らは木原数多の経営するなんでも屋『従犬部隊』の従業員だ。
ほとんどが元々『猟犬部隊(ハウンドドッグ)』という暗部組織に所属していた者たちなため、こういった裏の後始末といった仕事は下手な事務作業より慣れ親しんでいた。
作業を始めた従業員たちを背にし、数多は倉庫から出ていくように歩き始める。それに 付いていくように円周も数多の横へ付く。
円周「ねえねえ、数多おじちゃん?」
省19
791: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:09 ID:PU+Tw3fzo(8/11) AAS
??「ちょっとアンタたちッ!!」
足音の主は、荒々しく二人を呼び掛ける。
呼ばれたから数多と円周はそちらへ向く。
円周がその人物の顔を見て少しだけ目を見開いて、
円周「あっ、美琴ちゃんだ! おーい!」
そこにいたのは、木原数多が背負っている打ち止めと似た顔付きをした中学生の少女。
御坂美琴だった。
手を大きく振って円周は存在アピールをする。それを見た美琴はキョトンとした感じで、
省21
792: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:10 ID:PU+Tw3fzo(9/11) AAS
数多「正解だ。さすがは超能力者(レベル5)のガキなだけある。こんな子ども騙しくらいじゃ秒で解いちまうか」
美琴「メールに書かれていたのは座標だったわ。ここ第一〇学区のある場所を指したね。そこに行ったら打ち止めをさらったロボットを制御していた男がいた」
美琴は数多たちの後方にある、廃墟と化した倉庫を見た。
あちこちから煙が上がっている。ついさっき壊されたのが明らかにわかる光景だった。
そして、視線を木原数多の背中にいる打ち止めへと移す。
美琴は目の端を吊り上げた。
美琴「まんまと私を利用しやがったってことね?」
省21
793: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:11 ID:PU+Tw3fzo(10/11) AAS
美琴「なっ、なによやる気ッ!?」
数多「たしかにこのガキの利用価値は高けェよ。多種多様の方面へと影響力がある。コイツを利用した実験の企画書を集めただけで、マンションの一フロアが埋まっちまうほどにな」
美琴の前へとたどり着く。二人の視線が交差する。
数多はまるで虫でも眺めているような目で少女を見下ろしながら、
数多「けど、利用価値がある存在だからって、それが俺にとってメリットがあるものとは限らねえわけだ。そんなモンにわざわざ割いてやる時間なんてないってことよ。わかるかなーん?」
省16
794: ◆ZS3MUpa49nlt [saga] 2022/01/16(日)00:12 ID:PU+Tw3fzo(11/11) AAS
いよいよ次回で蛇足編最終回
蛇足のくせにいつまでグダグダやってんねんって話やで
次回『S11.未知の世界へ』
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