遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」 (296レス)
遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/
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1: ◆CItYBDS.l2 [sage] 2018/05/10(木) 17:47:38.80 ID:w82Vnulm0 チェリーボーイ諸君 巷に溢れる未経験の男達よ、知っているか 人の頭ってのは扱いが難しい 比喩表現ではない、そのまま字面通りに受け取ってくれ 当然のことながら、頭には大事なものがいっぱい詰まっている 脳みそとか、神経とか、そういう諸々の物だ そうだな、いわば宝石箱だ うん、わかっている。やっぱり俺は比喩表現を使うべきではないようだ だが、そのまま聞いてくれ 宝石箱は大事に扱わないといけない 雑に扱って、大事な中身を零れ落とすわけにはいかないだろう? かといって、力を籠めなければ箱は開かないんだ その力加減が、実に難しい SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1525942058 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/1
2: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/05/10(木) 17:48:12.27 ID:w82Vnulm0 勇者である俺が、何でこんな話をしているかわかるか? それは、胡坐をかく俺の太ももの上に、遊び人♀の頭が据わっているからだ 正直に言おう、初めての体験だ いま俺の鋼の精神は、恐慌状態へと陥っている 泣き叫び、助けを乞いたいがそういうわけにもいかない なに「初めて」は誰もが経験することだ、その名に恥じぬ勇気をもって事にあたろうではないか ふむ、力を籠めたら、砕けてしまいそうだ 実際、俺の膂力ならそうすることができるだろう そうならないように細心の注意を払い、遊び人の頭をなでてみる 綺麗な髪が、指の間をするりと通る 驚いた、女の髪の毛ってのはみんなこうなのだろうか こんなに柔らかく、艶めいているのか 俺の髪の毛は、たわしみたいに硬いぞ いや恥じているわけじゃないさ、だって男の髪ってのは、みんなそうだろ? たまに、女みたいな髪を持ったオッサンがいるが あれは特殊な例だ、まあその話は関係ないし置いておこうか ところで後姿女オッサンって、なんか極めて特殊な性癖持ってそうだよな http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/2
3: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/05/10(木) 17:48:40.45 ID:w82Vnulm0 さて諸君、俺が勇者であるが故、かどうかはわからんが 俺の髪の毛は、男の中でもひと際硬い気がするんだ 太く、硬く、そして多い 俺の頭でなら、銀の皿を鏡みたいにピカピカに磨き上げることができるだろう とは言ったものの、現実的に俺の頭で皿を磨くなんて無理だ 何でかって? だって俺の頭には、強くたくましい胴体が繋がっているんだもの 俺の頭で皿を洗うなら、胴体を持ち手にしてゴシゴシやるしかない そんなことできるのは、巨大なゴレムぐらいだろうさ もしくは屈強な男たちが数人がかりでもできるだろうが、そんなことするぐらいなら 素直にたわしを使えよって思うよ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/3
4: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/05/10(木) 17:49:08.07 ID:w82Vnulm0 では彼女の頭なら、どうだろうか? その髪に、劣ることのなかった美しい胴体と切り離されて 俺の膝に据わっている、遊び人の頭なら 立派にたわしとしての仕事を果たせるのではないだろうか 少なくとも、俺の頭よりは使いやすいはずだ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/4
5: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/05/10(木) 17:49:36.64 ID:w82Vnulm0 ふむ、何を馬鹿なことを考えているんだ、俺は 我ながら正気では無かったようだ なにせ胴から切り離された頭を膝に乗せるなんて初体験なのでな、許してほしい http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/5
6: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/05/10(木) 17:50:08.83 ID:w82Vnulm0 さて、そろそろ、物語の本筋に移ろうか そうだな……タイトルは『酒と魔王と男と女』 勇者である俺が、何故こんな状況に置かれているのか諸君に説明して差し上げようではないか とは言うものの、何から説明したものか いつからか酒に酔うことができなくなったはずなのに まるで泥酔しているかのように頭痛が響き、思考が定まらないんだ 頭を降ってみよう、目が覚めるかもしれない うん、灰色の脳みそが壊れたラジオのようにカラカラとなったな 聞こえただろう?何か大事な部品が取れてしまったのかもしれないな よし次は、思考のチューニングをしてみよう、砂嵐のような記憶から明瞭なものに焦点をあわせていくんだ お、見えてきた見えてきた なんだ母さん、まだ買い替える必要なんてないじゃないか http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/6
7: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/05/10(木) 17:50:36.27 ID:w82Vnulm0 さあ、諸君 物語のはじまりはじまり どうして、俺が頭だけになった彼女を膝に抱いているのか 是非、最後まで聞いていってくれ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/7
8: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/05/10(木) 17:51:04.12 ID:w82Vnulm0 「彼女と初めて会ったのは、出会いと別れの季節。春だった」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/8
9: 今日はここまでです ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/05/10(木) 17:51:31.02 ID:w82Vnulm0 勇者が重い口を開くと同時に ぬるく、粘った液体が彼女の頭から滴った http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/9
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2018/05/13(日) 02:26:26.71 ID:t7RGioADO 乙 全く訳わからんけどまあ>>1の書くモノだから期待してる http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/10
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2018/05/13(日) 11:18:37.03 ID:yK6i+SPwO 乙 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/11
12: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/05/25(金) 20:03:27.57 ID:WlRcDlsl0 ―――――― 1杯目 カクタル思いで、君にエールを送る ―――――― http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/12
13: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/05/25(金) 20:03:53.22 ID:WlRcDlsl0 ―――――― 枕が固い、宿屋の外では冬眠から覚めたカエルがゲコゲコ鳴いている 過ごしやすい季節になってきたと人々は言うが、俺にはそうは思えない ブランケットを羽織れば汗がにじみ、無ければ何と無しに心もとない 春は、そういう中途半端な季節だ それならいっそ寒いほうがましだ 日は沈み、すっかり夜更け 俺は、早々に宿屋のベッドに横になるがどうにも眠りにつくことができないでいた だがそれは、今日に限ったことではない どういうわけだろうか、眠ろうと床についた途端に俺の思考はぐるぐると回り出す 得体のしれない恐怖感が、俺に思考を止めることを許さないのだ 魔王を倒しきれなかった、あの日からそれはずっと続いていた だが不眠との戦いも半年を過ぎれば、慣れたものだ 俺が見つけた最善手、「眠れないのであれば、眠らなければいい」 無理に寝ようとするからいけないのだ、そんな時は自然に眠くなるまで時間を使うのが一番 そんなわけで、俺は日課に取り掛かる ブーツの紐を結び、剣を腰にぶら下げる そしてそれを隠すようにクロークを纏う、さあ準備は万端だ 仕事に取り掛かろうじゃないか 向かうは酒場 アウトロー達が集う、イリーガルなフィールドだ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/13
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2018/05/25(金) 22:34:16.70 ID:GEiU6N8DO 乙 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/14
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2018/06/06(水) 14:23:46.67 ID:NpaNZsCYO みてるぞ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/15
16: ありがとうございます ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/06/06(水) 17:14:18.20 ID:IZO3JF8l0 ―――――― 酒の匂いと荒くれ達の喧騒が立ち込める、街外れの酒場 顔を赤めたオッサン共が、周囲に気を配ることなく子供の用に声高らかと笑っている いい大人が歯をむき出して笑い転げている様は、はっきり言って異常だ 俺は、どうもこの酒場の独特な雰囲気が苦手だ 周囲を見渡し、話が通じそうな人間を探す これは決して、俺が寂しさ余って話し相手を探しているというわけではない そもそも、俺は酒を飲みに来たのではないのだ そう、俺の日課とは酒場で情報を集めること 土とコケにまみれた非常に古典的な手法ではあるが、こと魔王の情報に関して言えば その効果は絶大であると俺は踏んでいる それに、日課に精を出せば精を出すほど肉体は疲労し 俺は気を失うように床に就くことができる まさに一石二鳥というわけだ 「おい、兄ちゃん!そんなところに突っ立ていたら邪魔だろうが」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/16
17: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/06/06(水) 17:14:45.58 ID:IZO3JF8l0 酒場に似合う荒い言葉とは裏腹に、可愛らしい声が脳天に響いた と同時に、尻にも鈍い衝撃が響く どうやら、俺は尻を蹴り上げられたらしい 振り向くと可愛らしい声に見合った可愛らしい一人の少女が、腰に手を当て俺を睨みつけている 美少女に尻を蹴り上げらたという事実が、何故かはわからないが俺の頬を赤くそめる 「聞いてる?それとも、酔っぱらって耳が遠くなってんの?」 白と黒のチェック柄の派手なワンピース ブロンドの美しい髪は、肩に届かない程度で切りそろえてある 首には真っ赤なストールが巻かれている その鮮やかな赤は、まるで首から血を流しているようだ そう、これから起こる何かを暗示するかのように 「す、すまない」 俺は慌てて、彼女に道を譲る だが、彼女は俺の顔を訝し気に眺め続けている http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/17
18: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/06/06(水) 17:15:13.12 ID:IZO3JF8l0 「あんた、勇者様でしょ?」 「そ、そうだけど……」 「すごい!こんなところで会えるなんて!ちょっとアンタ、面貸しなさいよ!」 「え、なんで……?」 「アンタの冒険譚は最高の酒の肴になるって言ってんの!ほら、付き合ってよ!」 なるほど、これは逆ナンというやつだ 魔王を窮地にまで追い詰めた俺の活躍は、どうやらこの田舎町にまで広まっているらしい 正直、悪い気はしない それに、彼女から魔王に関する情報を引き出せる可能性もゼロではない ならば、気晴らしもかねて彼女と会話を楽しむことやぶさかではないではないか 「あたしは、遊び人!袖触れ合うもなんとやら、一晩よろしくね!」 「ひひひ、一晩!?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/18
19: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/06/06(水) 17:15:41.14 ID:IZO3JF8l0 脳天に稲妻が落ちる ひひひひひ一晩よろしくだって!? 男と女が、一晩よろしくするだって!? つまり、ああ、これこそ俗に言うアバンチュール!! 春なのに一夏の過ち、危険な恋! これまで、魔王討伐に励むばかりに女性経験の一切なかった俺の 初めて手にしたチャンスが、こんな大冒険になろうとは! 『恐れることはない勇者よ!勇気をもって臨むのだ!』 王都を旅立ったあの日の、祖父の言葉が脳裏をよぎる http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/19
20: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/06/06(水) 22:21:46.54 ID:IZO3JF8l0 ―――――― 「ほら、アンタも何か頼みなよ!あ、お姉さーん、私はビールね!」 「俺は、酒は飲まない。それに、この国では飲酒及び酒類の販売は禁じられているのを君は知らないのか」 5年前、俺は魔王を半殺しにこそしたがトドメを刺す前に逃亡を許してしまった 勇者に課せられた使命を達するため、俺は必死に後を追った しかし、魔王の動きは迅速かつ巧みで俺の追撃の手を悉くかわし 遂には生き残った幹部、魔物達をまとめ上げ地下に潜ってしまったのだ そうして、表向きには世界はつかの間の平和を手に入れた それまで国防に費やされていた資金は、魔物によって蹂躙された各地の再建・発展へと使われ その軍事的利用の為、国が包括的に管理していた魔法使いや錬金術師たちの知識が市民へと解放されたことで 世界は大きく変わった 魔法と科学がもたらす奇跡は、産業を巨大化させ人々の生活水準は飛躍的に高めた 「王国建国以来1000年の発展を全て足しても、このたった5年の変革には及ばないであろう」 とある歴史家にそう言わしめたほどの急激な変革は、特に商人たちに大きな力をもたらす結果となり 絶対王政という権力構造にまで変革の手が及ぶことを恐れた執政府は、商人たちを新たな法で縛ることで保身を図った 禁酒法も、そうした混乱の中で作られた一つの法であった http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525942058/20
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