[過去ログ] 花陽「死を視ることができる眼」 (1002レス)
上下前次1-新
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
117: [sage saga] 2016/12/28(水)23:52 ID:Hhhi1HzW0(113/119) AAS
シエル「確定はしていませんが……あれはロアの残滓です」
花陽「──ロア?」
シエル「はい。ミハイル・ロア・バルダムヨォン、別名『アカシャの蛇』。その残滓です」
聞き慣れない単語が出たせいで、脳内の処理が追い付かない。
花陽「そのロアって吸血鬼の残滓が、どうしてこの街に……」
省10
118: [sage saga] 2016/12/28(水)23:54 ID:Hhhi1HzW0(114/119) AAS
花陽「こ、この眼にそんな力が……」
私が視ているものはモノの死だってことは、薄々感づいていました。
でも、概念さえ殺すことができるだなんて──
俄かには信じられない話です。
シエル「本物の死を迎えたことで、ロアそのものはこの世界から消え去りました。
しかし、やつが転生体として地上で暴れている際に、その血液を回収し、保管することに成功した魔術師がいたんです」
省10
119: [sage saga] 2016/12/28(水)23:55 ID:Hhhi1HzW0(115/119) AAS
花陽「……先輩みたいな人に退治されるんですね」
シエル「それが一つ目。成り立ての吸血鬼は力も弱く、討伐に苦労しませんから、吸血衝動に負けた時点でいずれかの組織に排除されます。そしてもう一つは──自死です」
花陽「…………」
シエル「いわゆる自殺ですね。小泉さんは何故その手の吸血鬼が自殺するか、わかりますか?」
花陽「寿命が長いから、ですか」
省9
120: [sage saga] 2016/12/28(水)23:56 ID:Hhhi1HzW0(116/119) AAS
シエル「そうです。やつはロアの血を使って手に入れた力に酔いしれている……おまけに吸血衝動を抑えるどころか、その欲望を率先して解放しています。今はまだ力のコントールが上手くいってないようですが、いずれ第二のロアとして君臨するかもしれません」
第二のロア──
私はロアという吸血鬼の恐ろしさを知りません。
だから、それが私達人間にとってどれほど脅威な存在かも、正確な判断を下せない。
花陽「もし、仮に……あの吸血鬼が第二のロアとなってしまったら、この街はどうなりますか」
省9
121: [sage saga] 2016/12/28(水)23:57 ID:Hhhi1HzW0(117/119) AAS
花陽「はい。だからあの吸血鬼が街にいる間は、見て見ぬ振りなんてできません!」
μ'sのみんなには打ち明けられない、心からの本音でした。
あの吸血鬼が街の人を襲うのなら、それを止めるだけ。
いずれ誰がやらなきゃいけないことなら、いっそのこと──
シエル「小泉さんは、普段の生活が楽しくないんですか?」
省12
122: [sage saga] 2016/12/28(水)23:58 ID:Hhhi1HzW0(118/119) AAS
/27
朝練もないのに早起きした私は、急ぎ足で学校に向かいました。
当然、学校にはまだ誰もいません。
部活が休止となっている中、朝練のために早くから学校に通っている人を除いてしまえば、こんなものなのでしょう。
まだシエル先輩には聞きたいことが山ほどあります。
吸血鬼のこと。
省12
123: [sage saga] 2016/12/28(水)23:59 ID:Hhhi1HzW0(119/119) AAS
花陽「ところで凛ちゃん」
凛「ん、どうしたの?」
花陽「シエル先輩ってまだ来ないのかな?」
凛「シエル先輩……?誰、それ」
花陽「冗談はやめて。私、先輩に訊きたいことがあるの」
省11
124: [sage saga] 2016/12/29(木)00:01 ID:WwwgwYCn0(1/127) AAS
凛「ちょっとかよちん!そんなに慌ててどうしたの!」
駆け足で教室から出て、職員室を目指す。
到着して早々、担任の先生に凛ちゃんと同じような質問をしました。
担任「シエル……?そんな生徒聞いたことないわねえ」
頭を下げてお願いして、三年の名簿を確認させてもらう。
省6
125: [sage saga] 2016/12/29(木)00:01 ID:WwwgwYCn0(2/127) AAS
/28
放課後、昨日と同じように捜査を行いましたが、一向に有力な情報は手に入りません。
収穫といえば──夜は出歩かない方がいいという噂があちこちで出回っているのを、知ることができたぐらいでしょう。
解散して間もなく、私は真姫ちゃんの自宅にお呼ばれすることになりました。
昨日の夜、街で偶然会ってしまっていたにも関わらず、私は事情を説明することなく逃げ出しています。
多分、真姫ちゃんはそのことについて聞き出すつもりなんです。
省13
126: [sage saga] 2016/12/29(木)00:04 ID:WwwgwYCn0(3/127) AAS
真姫「そう……ねえ、花陽」
花陽「むう?」
真姫「そのレモンティーは私が淹れたものなの。どう、味の方は」
花陽「独特の酸味が丁度良い加減でブレンドされてる感じがする……ケーキの甘さを和らげてくれるから、よく合ってると思うよ」
差し障りのない感想が言えたはずなのに、真姫ちゃんはどこか浮かない表情をしています。
省10
127: [sage saga] 2016/12/29(木)00:05 ID:WwwgwYCn0(4/127) AAS
花陽「う、うぅ……」
真姫「花陽!」
肩を掴まれ、揺さぶられる。
真剣な眼差しは、真っ直ぐ私の瞳に向けられていました。
花陽「……本当に誰にも言わないって約束してくれる?」
省10
128: [sage saga] 2016/12/29(木)00:06 ID:WwwgwYCn0(5/127) AAS
真姫「────同調(トレース)・開始(オン)」
花陽「真姫ちゃん……一体なにしてるの!?」
真姫「静かにして、気が散る!」
なにやらただならぬ気配を感じ、思わず身構えてしまいます。
真姫「────仮定完了(オールカット)。是、即無也(クリア・ゼロ)」
省11
129: [sage saga] 2016/12/29(木)00:07 ID:WwwgwYCn0(6/127) AAS
次第に宙に離散していき、最後は跡形もなく雲散霧消しました。
真姫「魔力をほとんど込めていなかったガラクタだから、存在していられる時間も短い……本来この魔術は、とても効率の悪いものなの」
花陽「はえー、そうなんだ」
真姫「……なにがなんだかわからないって顔してるわね。まあいいわ……これでこちらの情報を簡単には提示できたでしょう。次は花陽、あなたの番」
花陽「わ、私──!?」
省9
130: [sage saga] 2016/12/29(木)00:08 ID:WwwgwYCn0(7/127) AAS
花陽「うん。あのときから──」
凛ちゃん、ごめんね。
私、また嘘ついちゃった。
でもまさか、初めに打ち明けるのが真姫ちゃんになるとは思ってなかったなあ。
花陽「──私、モノの死が視えるの」
131: [sage saga] 2016/12/29(木)00:09 ID:WwwgwYCn0(8/127) AAS
/29
一通り事情を説明したあと、真姫ちゃんは言いました。
真姫「死を視ることのできる眼、ねえ……トウコさんからもらった参考文献にも、そんなものは載ってなかった。でもそれに似たものは知ってるわ」
花陽「この眼に似たものがあるの?」
真姫「ええ、ケルトの神様があなたの眼と似た能力を持ってる」
花陽「か、神様っ──!?」
省7
132: [sage saga] 2016/12/29(木)00:10 ID:WwwgwYCn0(9/127) AAS
真姫「トウコさんなら、あなたの眼もどうにかしてくれるはずよ」
花陽「……うーん」
真姫「不安なの、花陽?」
花陽「そういうわけじゃなくて……そのトウコって名前をどこかで聞いたことがあるような気がするの」
真姫「あなたがかけてる眼鏡に関連してるのは間違いないと思う。ただ、一体なんの目的があって花陽に近づいたのかは気になるわね」
省11
133: [sage saga] 2016/12/29(木)00:11 ID:WwwgwYCn0(10/127) AAS
橙子「真姫、魔術師としての大原則を忘れたか?」
真姫「魔術は秘匿するものである……ですよね。忘れてなんかいません」
橙子「ならどうしてこの部屋に部外者を連れて来た」
トウコさんと呼ばれた女性はこちらに視線を向けることなく、淡々とタイピングを続けながら真姫ちゃんと会話していました。
私としては早くペーパーナイフのお礼をしたいのですが、真姫ちゃんとの会話に割り込むわけにもいきません。
省14
134: [sage saga] 2016/12/29(木)00:12 ID:WwwgwYCn0(11/127) AAS
花陽「難しいことはよくわかりません。けど、危害を加えるようなことはないとお約束します。だから……私に力を貸してくれませんか」
橙子「…………だそうだ」
真姫「花陽、あなたって人は……」
花陽「あ、あれ?」
なにか物凄い勘違いをしてしまったようです。
省11
135: 2016/12/29(木)00:15 ID:WwwgwYCn0(12/127) AAS
橙子「紹介が遅れてすまない。私はこの娘の師として魔術の指導にあたっている、蒼崎橙子というものだ」
花陽「お久しぶりです。真姫ちゃんと一緒に音ノ木坂でスクールアイドルをしている小泉花陽といいます」
橙子「君たちの評判はよく聞いてる。スクールアイドルだというのに、今やプロのアイドル顔負けの人気があるそうじゃないか」
花陽「きょ、恐縮です」
橙子「そう緊張しないでよろしい。立ち話もなんだから、そこのソファにでもかけてくれればいい」
省5
136: 2016/12/29(木)00:16 ID:WwwgwYCn0(13/127) AAS
橙子「大方、話を聞き出そうとするために魔術を見せびらかしでもしたんだろう。術の質が落ちても私は責任なんぞ取らんからな」
真姫「べ、別に構いませんよ、それぐらい!」
橙子「不出来な弟子を持つと苦労する……センスは飛び抜けているが、魔術師としてのモラルはからっきしだな、おまえは」
真姫「誰がからっきしよ!」
花陽「は、はははは……」
省7
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
あと 866 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル
ぬこの手 ぬこTOP 0.019s