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293: Dui 2006/12/26(火)13:08 ID:UNq4dc3s(1/10) AAS
瞬間、全てが理解された。
全て、分かっていたのだ。この男も。
最初から、これは自分に恥をかかせるためにでっち上げられた場なんだ。トイレに行き
たくなっているのも、おねしょなんて本当はしていないのも、すべて、皆、この男も、分
かっているんだ。
小夜は絶望した。そして、それに重ねるように、十四発目が、来る。
ピシィーッ!
「うっ……!」
一瞬、膀胱が開いた。だが、一瞬だった。小夜の意志は、本能は、反射的に一瞬開いた
膀胱を閉じていた。
省17
294: Dui 2006/12/26(火)13:09 ID:UNq4dc3s(2/10) AAS
「あふ……ふぅぅっ……!」
震える唇から、空気の抜けるような声が洩れる。目から涙がこぼれる。じゃあぁぁ、と
いう大きな音を立てて、大量のおしっこが下着の中に弾け、あっという間にびしょびしょ
に濡らし、勢いよく小夜の足の間を流れ落ちていく。
「おやおや」
平然と、男が呟いた。狭い台の上。たちまち水溜りが広がっていく。水溜りは男の靴を
も濡らしていた。だが、男は気にする様子はない。
「あっ……うぅ――ううっ……」
制御する事は全く出来なかった。長い時間狭い暗い寒い部屋で冷え切った小夜の脚を、
おしっこの生温かさが暖めているかのようでもあった。
省10
295: Dui 2006/12/26(火)13:09 ID:UNq4dc3s(3/10) AAS
「小夜さん」
小夜を現実に戻したのは、男の言葉だった。
「顔を上げなさい」
現実に戻ってからも、状況を理解してからも、自分がやってしまった事を理解してから
も、小夜はしばらくの間立ち上がる事が出来なかった。
立ち上がる前に、小夜は立たされた。もちろん、男によって。
「何をしているんですか。おねしょをしたばかりでなく、大衆の前でこんな醜態をさらす
など。恥ずかしいとは思わないんですか」
ニヤニヤした表情で、男は小夜に顔を近づけた。
涙がこぼれた。
省17
296: Dui 2006/12/26(火)13:10 ID:UNq4dc3s(4/10) AAS
「大丈夫。あなたもこれを経験すれば、ここでうまくやっていけますよ。ほら、見て御覧
なさい、例えば、あの子も、このおしおきでいい子になったんですよ」
男の指した先に、一人の女子がいた。指をさされると、明らかに身体を硬直させた。
「胡桃、何かたまってんのさ。ほら、いこ」
美智が、その少女の手を引いた。胡桃と呼ばれた少女はまるで人形のように引かれてい
った。
「あの子もここに来たばかりの時は、ずいぶんつんつんしていましたけどね。偶然あの子
も来たばかりの時におねしょをしたことがあって、その時におしおきをしてあげたら、随
分おとなしい子になりましたよ」
恐怖に震える小夜の前で、重い音を立ててホールの戸が閉まった。今度は暗闇ではなか
省11
297: Dui 2006/12/26(火)13:11 ID:UNq4dc3s(5/10) AAS
突然、さるぐつわが外された。
小夜は驚いて男を見上げた。男は相変わらずのニヤニヤした笑みを浮かべていた。
「これは、もう要らないでしょう。あまりこのようなものをつけっ放しにしては、息をするのも辛いでしょうし、気分が悪いでしょうからね」
男は一旦切って、続けた。これが、本音だった。
「それに、そんなものをつけていては、悲鳴がちゃんと響きませんからね」
反射的に、小夜は逃げ出そうとした。脚にぐしょぐしょに濡れた寝間着と下着を絡ませ
ながら、逃げようとして、転んだ。
「さあ、小夜さん。これからしばらくの間、あなたは悲鳴以外の声を上げる事が出来ませ
ん。だから、今のうちに、言いたいことがあれば、聞いておきましょうか」
男の言葉に青ざめながら、小夜は何とか言葉を搾り出した。先ほどから、ずっと理解出
省9
298: Dui 2006/12/26(火)13:20 ID:UNq4dc3s(6/10) AAS
「ここに入った以上、まともな人間に戻ってはいけないんですよ。ここは、世間からは認
識されていない人間のゴミ捨て場……そう、私も含めてね。ここに入った人は、みんなそ
れと同じにならなければならないんですよ。一人だけ、幸せになろうなんて、ずうずうし
い人間は、私達と同じになって、もらわなければならないのです。そう、この、教育を通
して、この世の中に希望なんてない事を知って貰わなければならないんですよ。わかりま
したか? では、続きを」
狂っている。小夜は恐怖に歯をカチカチと鳴らした。
「助けて……お母さん……」
「親孝行な、いい子ですね。全くもって、ここにはふさわしくない」
言うと同時、男は小夜を掴み、床に転がした。先ほどの一撃でまだ熱を持っている小さ
省11
299: Dui 2006/12/26(火)13:20 ID:UNq4dc3s(7/10) AAS
ばっちぃぃん!
「いいぃっ……ひいいいぃぃーーーぃっ!」
痛みのあまり、尻を抱えて身体を丸める。かばうように、横向きになって転がる。
「あんまり、暴れるようだと困りますね」
男は困ったような顔をして、小夜を捕まえ、そして、小夜の失禁で濡れている台の上に
腰掛け、自分の膝の上に乗せる。
もう、抵抗は不可能だった。小夜の身体は、あまりにあっけなく、男に捕まえられてい
た。
びしゃぁぁん!
「うああああああーーーーーっ!!」
300: Dui 2006/12/26(火)13:21 ID:UNq4dc3s(8/10) AAS
「じゅーう」
悲鳴の数を微笑を浮かべた表情で、美智はカウントした。
あの純真な、無垢な少女は、今、大切な階段を上っている。ちょっと、いやかなりの駆
け足で。
「あんな無防備に、生意気なこと言うから」
馬鹿な子。そう思った時、再び遠くから大きな悲鳴が聞こえた。
「じゅーういち」
泣き顔を想像して、思わずにやける。きっと今、少女の小さなお尻は生まれてから一番
赤く、いや、赤黒く、かな? なっている事だろう。鼻水もたらしているかも、いや、よ
だれもたらしているかも。なんにしろ、あのこぎれいな顔をぐしゃぐしゃにして、泣き喚
省13
301: Dui 2006/12/26(火)13:22 ID:UNq4dc3s(9/10) AAS
「何、胡桃?」
「あの、」
一旦切って、少し期待するように声のトーンを上げる。
「これからは、あの小夜っていう子が一番下っ端になるんですよね? もう、へまをした
りしても、おしおきは……」
なるほど、胡桃は小夜が自分の代わりにおしおきのいけにえになってくれると思ってい
るのか。仲間を仲間とも思わず、自分さえよければいい。その考え方はここに適応してき
たと言えるが、胡桃を手放すのはまだちょっと惜しい。
「そうだね……。ま、あんた次第だね。とりあえず、人に下っ端を押し付けるなんて発想
はあんまり良くないね。ちょっと教育の必要があるかな」
省8
302: Dui 2006/12/26(火)13:23 ID:UNq4dc3s(10/10) AAS
もう、ほとんど意識すらなかった。
お尻どころか、下半身全体が痺れてほとんど感覚がなかった。鋭い痛みは、今や身体全
体に響く鈍い痛みに変わっていた。このまま、死んでしまうんだろうか。そんな気すらし
た。いつになったら終わるんだろう。早く終わって欲しい。たとえ、それが死によっての
中断だとしてもいいから。
わずかに床を写すだけのうつろな目で、力の入らない手で、悲鳴のあげすぎでからから
の咽喉で、
びっしぃぃっ!
「うぁ……あああぁぁぁ……」
しかし、まだ悲鳴をあげてしまう。まだ、終わらない。
省12
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