[過去ログ] 『読みました』報告・海外編Part.3 (873レス)
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757: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2008/05/31(土)21:16 ID:uuHQKY91(1/2) AAS
「バラントレーの若殿」ロバート・ルイス・スティーヴンスン(岩波書店)

スコットランドの名門貴族デューリー家の次期当主ジェームスは
来るべき戦乱に身を投じ生死不明となる。やがて弟のヘンリーが
当主となり、兄の婚約者であった親戚のアリスンと結婚するのだが、
その一年後驚きの報が届く。ジェームスは生きていたのだ!
そして運命は兄弟を対決へと導く――。

これ粗筋をみて序盤を読み始めた時に詰まんなそうと感じた。
だって兄貴が悪で弟が善なんだもの。何か座り心地悪そうな展開に
なりそうじゃない?

ところが! 読み進める内に徐々に
省6
758: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2008/05/31(土)21:28 ID:uuHQKY91(2/2) AAS
「ミステリ・リーグ傑作選 上」エラリー・クイーン他(論創社)

たった4号で廃刊しちゃったという幻の探偵雑誌のダイジェスト復刻版。
クラシック新刊スレでは前評判悪かったみたいだけど、
どうしてどうして。クイーンのエッセイあり奇術の種明かしあり
投稿欄ありの中々バラエティに富んだ内容で結構楽しい。

中でも「パズル・デパートメント」の第3問、「フーディーニの秘密」、
クイーン好み、読者コーナー等が良かった。

ただ収録短編に関しては正直どれも今一つ。強いて挙げれば
「偉大なるバーリンゲーム」(ジョン・マーヴェル)くらいか。

しかし、ロスをベタ褒めしてるのはどうなんだw。推理クイズ大百科には
省1
759: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2008/06/01(日)00:19 ID:To8SA5DC(1/2) AAS
アゴタ・クリストフ「悪童日記」を読んだ。
双子の少年が主人公ということもあって、ジュブナイルまがいの健全な物語ではという先入観から
手付かずにしていたのが後悔される、正に一気に読ませる面白さ、
第一級のピカレスク小説と言うても差し支えない。
訳者あとがき(にかえて)にもあるとおり、
「子供を主人公としているけれどもハードな(「子供には読ませられない」)冒険小説とも見なすこと」
が出来得る作である。
第2次大戦末期、ハンガリーの小村を舞台に、夫殺しの噂がある魔女と呼ばれる老婆に
預けられた双子の兄弟が戦下の中を力強く生き抜いてゆく、と書くから「誤解」生じてしまうのだが、
この「力強く」がクセモノ、力強過ぎるというか(w
省6
760: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2008/06/01(日)00:20 ID:To8SA5DC(2/2) AAS
カズオ・イシグロ「日の名残り」を読んだ。
おなじみジーヴス・シリーズを執事ものに関するポジとすれば、ネガのような印象の作。
気がのらず長年手に取りかねていた1冊なのだが、血生臭いだけのミステリでは絶対に
味わえないしみじみした余韻が残る作、やはりブッカー賞受賞は伊達ではない。
ただし、刊行当時ではなく、良質なワインの熟成を待って寝かせておくが如く、
今読む方が感慨が深かったのではという感がある。
2回の大戦時に国際政治の舞台裏で活躍したダーリントン卿に仕えた執事スティーブンス、
その卿も亡くなり、今では邸宅はアメリカ人ファラディの手に渡った。
好人物ではあるが、あまりにアメリカ的な新しい主人に言い知れぬ違和感を抱くスティーブンス、
昔の同僚であるミス・ケントン(旧姓)から来た手紙を契機に、休暇を取り、
省10
761: 2008/06/02(月)10:31 ID:vKuSHdaO(1) AAS
>>753
自分で勝手に『裁判3部作』等とくくっていたわけだから
他人がどうこう言う筋合いではないかもしれんが
「検死審問―インクエスト―」はそもそも法廷での検察側と弁護側の
丁々発止のやりとりを繰り広げる場面とかを最初から狙ってないし
裁判小説でさえないかもしれない
検死審問は日本では馴染みの薄い制度だから分り難いが一般の裁判とは違う

それと挙げてるその三作『ベラミ裁判』『法廷外裁判』『検屍裁判』だけど
セシルは書かれた時代がずっと後で有利だから比較するのが不公平
デビューが1961年でもう法廷ものが書きつくされてそれを承知で書かれてるわけだし
省2
762: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2008/06/02(月)21:44 ID:GbrNDvbY(1) AAS
「ミステリ・リーグ傑作選 下」エラリー・クイーン(論創社)

本書の目玉は「角のあるライオン」(ブライアン・フリン)
でありましょう。
毒殺された上全身に切傷や骨折のある死体が2体次々に発見される。
被害者同士の繋がりは見えて来ず、捜査が難航している間に
第3の被害者が密室で殺される。一連の事件の陰に潜む
角のあるライオンとは一体――。
密室トリックは捻ってるとは言えショボいし、ミッシングリンクも
捜査ですぐ判りそうなものだと思いましたが、プロットは中々複雑で
読ませます。フーダニットもまあまあ。解説で触れられている
省7
763: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2008/06/06(金)18:09 ID:RP2k0+eo(1/2) AAS
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス(光文社)

皇帝からの依頼にうんざりしていたファルコは久々に民間の依頼を
受けることに。その内容はある女性に纏わるもので、彼女がかつて
3人の夫を亡くしているという件につき調査をするというものであった。
折しも思わぬ臨時収入を得て上機嫌のファルコは恋人ヘレナとの
未来を夢見つつ、調査を進めていく。

シリーズ3作目。毒殺事件が絡んでちょこっと本格風味も。
セクシー熟女はハァハァしそう和気藹々の家族パーティーは楽しそう
料理も美味そうヘレナとのシーン……はもうちょっとツンだくでお願いします。
後いくらとか巻末に残額が表示されたりすると面白いかも。
省2
764: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2008/06/06(金)18:16 ID:RP2k0+eo(2/2) AAS
「残酷な童話」チャールズ・ボウモント(論創社)

奇妙な味の短編集だが、ジミー佐古田な印象。似通ったテーマに
基づく話が多くてバラエティ不足に感じた。1話目2話目読んだ時点では
期待したんだけどそこから先に繋がるものが無かった。
ベストを挙げるなら……表題作かなあ。
765: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug [sage船長室で旅行鞄] 2008/06/09(月)16:37 ID:7iuWyuBU(1) AAS
「リヴァイアサン号殺人事件」ボリス・アクーニン(岩波書店)

パリのイギリス人富豪宅である夜在宅していた当主含む10人が
殺されるという事件が発生した。被害者が握り締めていたバッジから、
犯人はこの度処女航海に出る豪華客船リヴァイアサン号に乗るとみた
パリ警視庁のゴーシュ警部は自ら船に乗り込み犯人を捕まえよう
とするが――。

シリーズ3作目。飛ばしたのは作者の意向らしいがそういうお節介は
御無用に願いたいところ。
こないだとあるノベライズ作家が勘違いして書いたしょうもない
船上ミステリを読んじゃったもんで少々不安だったが、本作はちゃんと
省12
766: 2008/06/11(水)04:51 ID:/tQbr+KO(1) AAS
「杉の柩」アガサ・クリスティー
ポアロ18作目。
叔母ローラ・ウエルマンから莫大な遺産を受け継いだエリノアは、
ウエルマン家の門番の娘メアリイ・ジェラード殺害容疑によって起訴され、裁判にかけられることになった。
全ての状況が彼女が犯人であると示すなか、ある男がポアロにエリノアの無実を証明してくれるよう依頼する。

メアリイが死ぬまでの経緯を語った第一部、ポアロの調査を描く第二部、真相解明の第三部の三部構成となっている。
プロローグ以降第一部が終わるまでの150ページ近くは、ポアロが出てこないので人によっては退屈かも。
だが、第一部の登場人物の恋愛や遺産相続をめぐる人間模様はなかなか面白く、それがどのような形で
プロローグで読者に突きつけられたメアリイの死に結び付くのか?と、ワクワクさせられる。
地味かもしれないが、面白さがジワジワと来る佳作。ただ、恋愛小説とか苦手な人にはむかないかもしれない。
767: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2008/06/14(土)23:07 ID:QEzsIFIz(1) AAS
ジェイムズ・エルロイ「ブラック・ダリア」を久々に再読した。
(ハードカバー刊行以来ではなかろうか)
50年代LAにおける現実のお宮入り事件を題材に、
ミステリとして終盤で二転三転、後のサイコ・ミステリのムードもあって面白くないわけではないが、
暴力的で暗く陰惨で重い展開は胸焼け寸前といった感がある。
主人公はボクサー上がりの警官ブライチャート(出っ歯という設定が異色)、
同じくボクサー上がりでブライチャートをKOしたこともある相棒のブランチャード、
彼の恋人で犯罪者とのつきあいもあったケイが大きくストーリーに絡んで来る。
こう書くと、タフなハードボイルドタッチの警察小説を想起してしまいがちであるが、
(そのテーストは無きにしもあらずだが)、そこはエルロイ、
省9
768: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2008/06/15(日)19:11 ID:bibozzDY(1/2) AAS
「絞首人の手伝い」ヘイク・タルボット(早川書房)

嵐の夜に孤島の館で起きた怪死事件。晩餐の席上で弟と口論をしていた
主人が呪いの言葉を投げ掛けられた途端、倒れたのである。
しかもその遺体は数時間の内に腐敗してしまう。それは呪いの力なのか?

中々楽しめた。上記の謎の他にも秋山みたいなヌルヌルの怪物が
跋扈してたりそれが密室で消えたり細かな伏線もあったり盛りだくさんで
久しぶりにメモしながら読んだ。仮に最後に萎むとしてもこの過程の
ワクワク感はプライスレスだと思うなぁ。この人は「魔の淵」も
こんな感じなのが
良かった記憶。フーダニットもフェアでは無いかも知れないが
省5
769: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2008/06/15(日)20:59 ID:bibozzDY(2/2) AAS
「十二人の評決」レイモンド・ポストゲート(早川書房)

莫大な遺産の相続人である少年とその後見人である義理の叔母との間に
起こった殺人事件。その裁判の為に集められた十二人の陪審員。
様々な人生を歩んできた彼らが議論の末に辿り着く結論とは?

かつて自分で勝手に『裁判4部作』等と(ry
そう言えば内3作は乱歩のベストテンに入ってますね。
最初にこのタイトルを知った時はてっきりあの映画の原作かと
思いましたが違いました。

まず、12人の爲人を丁寧に語っていき、それなりに各人の
バックボーンを描いてから事件の概要が語られます。この流れは
省7
770: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2008/06/16(月)00:13 ID:4uyW66sG(1) AAS
アゴタ・クリストフ「ふたりの証拠」「第三の嘘」を一気読み、
いずれも前記した傑作「悪童日記」の続編で3部作を形成するものである。
第1作の「?」を感じさせるラスト(国境での別れ)の謎解き、
第2作でストレートな叙述トリック(ミステリ読みには何となく予想がつく展開ではあった)
と思わせて、第3作でもう一捻りしエンディングとなる。
両作品共に世評は高く、確かに面白く人間も描けているとは言える。
ただし、結論から言えば、寓話的ピカレスクを貫徹した点に魅力があった第1作
「悪童日記」の世界観を壊す形になっているのが、何とも残念、
作者はあるインタビューでは、当初からは続編の構想は無かった旨を語っており、
第2作、第3作が存在しない「形」も文学的に十分に有り得たのではないか。
省3
771: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2008/06/17(火)12:58 ID:QIg5mr3o(1) AAS
「ヘラクレスの冒険」アガサ・クリスティ(早川書房)

ヘラクレスの難業に見立てた連作短編集。最初は割と単純な筋だが
中盤から捻りが効いてくる。鳥、馬、牛辺り。鹿は先輩作家の某短編を
意識しながら書いたのかも。良い。
772: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2008/06/19(木)23:31 ID:KwBk8ofe(1) AAS
「棄ててきた女」アンソロジー/イギリス篇(早川書房)

アメリカ篇に引き続き詰まらない。SFにウェイトを置いたりだの
敢えて選んだりだのアンソロジーの私物化も甚だしい。
確かにオリジナル版の方にもSFはたくさん入ってますよ。しかしね、
あくまで娯楽として面白いのが大前提だし、それに本を開いて
最初にカプセル怪獣が目に飛び込んで来たら軽く失望するよ
(もっともその話自体は比較的マシだった)。無理に鶴を探すとすれば、
「何と冷たい小さな君の手を」(ロバート・エイクマン)かな。
773
(1): 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2008/06/21(土)13:42 ID:UlievxCU(1) AAS
ジョン・ル・カレ「パナマの仕立屋」を読んだ。
英国秘密諜報員が名物男ともいえるパナマの仕立屋へアプローチ、
彼氏の触れられたくない過去と金銭的な窮状につけこみ間諜に「仕立て」あげるのだが・・・
刊行当時はタイムリーだったパナマ運河返還ネタ、ベルリンの壁崩壊、ソ連解体等
東西冷戦の完全終結により、今後のスタンスが注目されたスパイ小説の大家の手になる作、
このミス等でも高評価(大家への御祝儀の意もあったか)であったが、
結論から言えば、長過ぎ、地味過ぎ、ネタに馴染み薄過ぎ等で日本人には面白くない。
運河返還に絡んで日本人暗躍エピが登場するものの、メーンキャラで日本人が登場するわけ
でもなく添え物に過ぎない感があるし、そもそもパナマはキューバあたりよりも更に日本人に
とって遠い存在であり、帽子・運河・ノリエガ程度しか思い浮かばないのが通常であろう。
省4
774: 2008/06/21(土)17:39 ID:4kI1UKM7(1) AAS
書斎と読後感では雲泥の差があるな。もちろん書斎の勝ち。
775: 2008/06/21(土)17:40 ID:BnPpK326(1) AAS
どう見ても書斎のほうが屑でしょ。
776: 2008/06/21(土)20:02 ID:3qo0iFVr(1) AAS
>>773
僕の読後感とだいたい同じなんだけど、ただひとつ、「読み辛い翻訳も難」だけはちょっと訳者に気の毒だという気がしました。
ル・カレの英語は、ネイティヴにとっても読みにくい代物で、読者層がホワイトカラーに偏っている作家です。
まあ、誰が訳しても超訳でもないかぎりあんなところじゃないでしょうかね。
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