[過去ログ] ガロア第一論文と乗数イデアル他関連資料スレ13 (1002レス)
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918(2): 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP 02/14(金)18:17 ID:PWoDQ15e(9/9) AAS
つづき
佐藤幹夫は17歳の時終戦を迎えた.戦中,戦後は物
資不足でインクを薄めて使い,紙を節約するため,字
もなるべく小さく書いていた.旧制高校から東大の数
学科に学ぶが大学院生の時は定時制高校の非常勤講師
をしていてきわめて多忙であった.生徒のために職場
に行ってかけあうこともしたそうである.既成の数学
の本をきちんと読むことは苦手だったようで,定評の
あった吉田耕作「位相解析』も全部は読まず,付録に
載せられていたシュワルツの超関数(distribution )
の理論を読んだ.無限回微分可能な関数を使う理論構
成に非常な不満を覚え,正則関数を基にした超関数論
(hyperfunction )の構想をえた.またあるとき「岩
波数学辞典が大変便利でしたね.定理さえ分かればい
いんです.必要な証明は自分で考えればいいから」と
言われた.彼もまた,解析,代数,ホモロジー代数,
数論と極めて多方面において,真に独創的な仕事をし
てきている,京都大学数理解析研究所を定年で辞める
とき「これからは教えることもなく数学に専念できる
ので真にうれしい」と言われたという.真から数学が
好きなので論文を書くことは苦手である.研究結果を
まとめようとすると,次から次へと理論が展開してし
まい書き上げることができないのだという.既成の学
問の修得が大切であることは疑いの無いところだが,
天才達は自身の体の中から数学があふれてくるのであ
ろうか.
グロタンディクと佐藤幹夫のもつ今ひとつの類似点
は,良き師に巡り会ったことである.デュドネは幅広
く数学を研究した骨太の数学者である.グロタンディ
クに出会った彼は位相線形空間で解析の問題を提起
し,のちにグロタンディクが代数的な代数幾何の建設
を行うと,方向を変えて代数を主体とする本(EGA )
を自ら書きスキームの理論の普及を図った.自らの数
学的業績を犠牲にしたのである.しかも,小平邦彦の
言によるとグロタンディクはデュドネの書き方に極め
て批判的であったそうで,小平自身はデュドネにはな
はだ同情的であった.
略
天才は突然生まれる.グロタンディクはインフェル
トの書いたガロアの伝記に強く影響を受けたという。
純粋に生きた数学者のロマンチックな生き方も天才を
育てる力がある.だから良質な数学啓蒙書の存在も無
視できない.そして見いだされた天才を育てるには,
懐の深い寛容な教育と静かな研究の環境が必要であ
る.今は天才がいない時代だと嘆くのではなく,おお
らかな旧時代の良さを少しでも取り戻す努力が必要な
のではないだろうか.
(引用終り)
以上
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