[過去ログ] ガロア第一論文と乗数イデアル他関連資料スレ5 (1002レス)
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695: 2023/07/15(土)13:53 ID:vskapC7b(1/15) AAS
定理2の$F/\Gamma$は、Griffithsが1977年に京都で提起した問題\\

$\mathbb{C}^n$の開集合の相対閉な解析的部分集合が($\mathbb{C}^n$内で)局所的にSteinならSteinか\\

\hspace{-3.5mm}の反例になっている。定理1の$\mathbb{D}^*\times_\rho F$が
そうであることはCol\c{t}oiu-Diederich[C-D]により2007年に指摘されたが、
2次元の反例は知られていなかった。$\mathbb{C}^2$上の局所擬凸かつ
非Steinな分岐Riemann領域はFornaess[F]により構成されていたが、
この有名な例がGriffithsの問題の反例にもなっているかどうかは未解決であったし、
省1
696: 2023/07/15(土)13:58 ID:vskapC7b(2/15) AAS
\section*{Coeur\'e-Loeb領域}$\Omega$を$\mathbb{C}^n$内の有界領域とする。$\Omega$の正則自己同型群を$Aut\Omega$で表す。固定点を持たない$Aut\Omega$の元で生成される無限巡回群$\Gamma$による商空間$\Omega/\Gamma$は、一般にはStein多様体にはならない。以下ではこの点に潜む問題について論じる。

$Aut\Omega$が$\Omega$に推移的に作用するとき、すなわち$\Omega$が等質有界領域であるときには、$\Omega/\Gamma$はStein多様体であることが知られている(cf. [M])。このことより特に、穴あき円板$\mathbb{D}^*$上の解析的ファイバー束でファイバーが等質有界領域であるものは、すべてStein多様体になることがわかる。
697: 2023/07/15(土)13:59 ID:vskapC7b(3/15) AAS
$\Omega$が等質的であれば、Bergman核$K_\Omega(z,w)$によって定まる
Bergman計量$\partial\dbar\log{K_\Omega(z,z)}$は$Aut\Omega$の作用で
不変であり、したがって$\Omega$上の完備なK\"ahler計量である。
さらにこのときそのポテンシャル関数である$\log{K_\Omega}(z,z)$は
$$\lim_{z\to\partial\Omega}\log{K_\Omega(z,z)}=\infty$$かつ
$$\sup{|\partial\log{K_\Omega(z,z)}|_{\partial\dbar\log{K_\Omega(z,z)}}}<\infty$$を満たす
(cf. [K-Oh])。その結果、$\Omega$はStehl\'e[St]の意味で超凸、つまり有界な強多重劣調和皆既関数を持ち、
省1
698: 2023/07/15(土)14:00 ID:vskapC7b(4/15) AAS
その一方、$\mathbb{C}^2$内の有界な擬凸Reinhardt領域$F$で次の性質を持つものが存在する。\\

$\Omega=\{z\in\mathbb{C}; |\zeta|<1\}\times F$のとき、
$AutF$の元$\sigma$に対して$\hat{\sigma}\in Aut\Omega$を
$$\hat{\sigma}(\zeta,z):=\left(\frac{(2i-1)\zeta+1}{-\zeta+1+2i},
\sigma(z)\right)$$で定めるとき、$\hat{\Omega}:=
\Omega/\{\hat{\sigma}^k;k\in\mathbb{Z}\}$がSteinでないような
$\sigma$が存在する。\\
699: 2023/07/15(土)14:02 ID:vskapC7b(5/15) AAS
したがって、特に$F$をファイバーとする$\mathbb{D}^*$上のファイバー束でSteinでないものが存在する。
実際、$\mathbb{D}^*$の基本群$\pi_1(\mathbb{D}^*)$からの準同型
$\rho:\pi_1(\mathbb{D}^*)\to AutF$が$\rho(\pi_1(\mathbb{D}^*))=
\{\hat{\sigma_A}^k;k\in\mathbb{Z}\}$を満たせば
$\hat{\Omega}\cong\mathbb{D}^*\times_\rho F$となる。
このファイバー束は$\mathbb{C}^*$上のファイバー束へと自然に拡張される。
Stehl\'eの定理により$F$は超凸ではない。実際$F$のBergman計量は完備ではない。
省3
700: 2023/07/15(土)14:04 ID:vskapC7b(6/15) AAS
\textbf{\textit{F}の構成:} $\mathbb{H}=\{z\in\mathbb{C}; {\rm Im}{z}>0\},$
$T=\displaystyle\left(\begin{array}{cc}\frac{1+\sqrt{5}}{2}&\frac{1-\sqrt{5}}{2}\\
1 & 1\end{array}\right),$ $V=T(\mathbb{H}^2),$
$F=V/\mathbb{Z}^2$.
ただし$\mathbb{Z}^2$の作用は$\displaystyle\left( \begin{array}{cc}z_1\\z_2\end{array}\right)$
$\mapsto$ $\displaystyle\left( \begin{array}{cc}z_1+1\\z_2\end{array}\right)$と
$\displaystyle\left( \begin{array}{cc}z_1\\z_2\end{array}\right)$ $\mapsto$
省8
701: 2023/07/15(土)14:06 ID:vskapC7b(7/15) AAS
言い換えれば、$\displaystyle\left(\begin{array}{cc} 2&1\\
1&1\end{array}\right)$の固有値$\displaystyle\lambda_1=\frac{3+\sqrt{5}}{2}$および
$\displaystyle\lambda_2=\frac{3-\sqrt{5}}{2}$に属する固有ベクトル
$X_1=\displaystyle\left( \begin{array}{cc}\lambda_1-1\\1\end{array}\right)$および
$X_2=\displaystyle\left( \begin{array}{cc}\lambda_2-1\\1\end{array}\right)$に対して

$$\displaystyle V=\Big\{u_1X_1+u_2X_2; u_1, u_2\in\mathbb{C},
{\rm Im}u_1>0 {\rm Im}u_2>0\Big\}$$
省1
702: 2023/07/15(土)14:09 ID:vskapC7b(8/15) AAS
$\displaystyle\left( \begin{array}{cc}(\lambda_1-1)u_1+(\lambda_2-1)u_2\\
u_1+u_2\end{array}\right)=\left( \begin{array}{cc}z_1\\z_2\end{array}\right)$\\

\hspace{-3.5mm}なので、$\alpha\left( \begin{array}{cc}z_1\\z_2\end{array}\right)
= \left(\begin{array}{cc}e^{2i\pi(\lambda_1u_1+\lambda_2u_2)}\\
e^{2i\pi(u_1+u_2)}\end{array}\right)$となることから
\begin{equation}\alpha(V)=\Big\{\displaystyle\left(\begin{array}{cc} v_1\\
v_2\end{array}\right)\in(\mathbb{D}^*)^2; |v_2|^{\lambda_1}<|v_1|<|v_2|^{\lambda_2}\Big\}
省4
703: 2023/07/15(土)17:42 ID:vskapC7b(9/15) AAS
>>694
x軸に平行な直線で領域を切ったときの
連結成分の個数の問題
704: 2023/07/15(土)17:43 ID:vskapC7b(10/15) AAS
上で定義された作用により$F=V/\mathbb{Z}^2$であり$A\in SL(2,\mathbb{Z})$であるから、$A$は$V$に作用するだけでなく、$F$の自己同型$\sigma_A$を誘導する。$\sigma$としてこの$\sigma_A$をとれば上の$\hat{\Omega}$はSteinでない。$F$をファイバーにもつ$\mathbb{C}^*$上の非Stein束の構成も同様である。この議論は面白いが、定理1の主要な主張である完備K\"ahler性とは関係がないから、詳細は[C-L]に譲る。

ちなみに、座標$(v_1,v_2)$を用いれば、$A$により$(v_1,v_2)=(e^{2i\pi(z_1+z_2)},e^{2i\pi z_2})$が$(e^{2i\pi(2z_1+z_2+z_1+z_2)},e^{2i\pi(z_1+z_2)})=(v_1^3v_2^{-1},v_1)$に対応付けられるので、$\sigma_A$は$\mathbb{C}^*\times\mathbb{C}^*$の自己同型へと拡張される。よってこれに付随した$\mathbb{C}^*$上の$\mathbb{C}^*\times\mathbb{C}^*$束が定まるが,
$\hat{\Omega}$がSteinではないのでこの束もSteinではない\footnote{Stein多様体内の任意の局所擬凸擬凸領域はSteinである。}。
705: 2023/07/15(土)19:22 ID:vskapC7b(11/15) AAS
容易にわかるように $\{\sigma_A^k(v_1,v_2); k\in\mathbb{Z}\} $ は$F$内に集積点を持たないから
$\hat{F}:=F/\{\sigma_A^k; k\in\mathbb{Z}\}$ は複素多様体であり、
$\hat{\Omega}$ が非Steinなのでこれも非Steinである。

$F$上に$\sigma_A$-不変な完備K\"ahler計量が存在することから
$\hat{F}$も完備K\"ahler計量を持つので、
このことと$du_1\wedge du_2$の$\sigma_A$-不変性を合わせると
$F$のBergman核関数も$\sigma_A$-不変であることが従う。
省3
706: 2023/07/15(土)19:24 ID:vskapC7b(12/15) AAS
ちなみに、 無限積$$\cdots(1-v_1^{-3}v_2^8)(1-v_1^{-1}v_2^3)(1-v_2)(1-v_1)(1-v_1^3v_2^{-1})(1-v_1^8v_2^{-3})\cdots\;\;(2)$$
も$\hat{F}$上の非定数正則関数の一例であるので、この観察を拡げて$\hat{F}$の正則分離性が示せれば
面白いかもしれない。 また、$A$に限らず
$SL(2,\mathbb{Z})\setminus \Big\{\left(\begin{array}{cc}1&0\\
0 & 1\end{array}\right)\Big\}$に属する任意の対称行列についても同様の現象が観察できるであろう。.
707: 2023/07/15(土)19:25 ID:vskapC7b(13/15) AAS
\section*{定理1の証明}$F$が$\sigma_A$の作用により不変な完備K\"ahler計量を持つことを示そう。$F$が有界領域であり$\mathbb{C}^*$が完備なK\"ahler計量を持つので、上に述べたことより定理1の証明にはこれで十分である。

$F(=\alpha(V))$上正則で2乗可積分な関数全体のなすHilbert空間を$A^2(F)$で
表す。$A^2(F)$の再生核を$K_F(v,w)$ $(v,w\in F)$とし、$K_F(v)=K_F(v,v)$とおく。$AutF$の作用でBergman計量$\partial\dbar\log{K_F(v)}$は不変である。(1)とBergman計量の局所化原理より、この計量に関する測地球内の任意の点列は$o$以外の$\partial F$の点に集積しない。%また、$\det{A}=1$なので$K_F(v)$は$\sigma_A$不変である。

\begin{proposition}$F$上の{\rm K\"ahler}計量
$\displaystyle\frac{du_1d\overline{u_1}}{({\rm Im }u_1)^2}+
\frac{du_2d\overline{u_2}}{({\rm Im} u_2)^2}+\partial\dbar\log{K_F}$は
$\sigma_A$不変で完備である。\end{proposition}
708: 2023/07/15(土)19:26 ID:vskapC7b(14/15) AAS
証明. $\sigma_A$不変性は明白。完備性は上で述べたようなBergman計量の
$\partial F\setminus\{o\}$に沿う完備性と$\mathbb{D}^*\times\mathbb{D}^*$上の
$\displaystyle\frac{du_1d\overline{u_1}}{({\rm Im }u_1)^2}+
\frac{du_2d\overline{u_2}}{({\rm Im} u_2)^2}$の完備性から従う。\qed\\
709: 2023/07/15(土)19:27 ID:vskapC7b(15/15) AAS
\textbf{注意.} [C-D]で注意されたように、$\hat{\Omega}$は$\mathbb{C}^3$上の局所擬凸な分岐リーマン領域であり、そのファイバーは正則関数で分離されるので、$\mathbb{C}^N$内の局所閉部分多様体でもある。これは局所的にSteinなのでP. A. Griffithsが1977年に提出した問題である「$\mathbb{C}^n$内の局所閉複素部分多様体が局所擬凸なら正則凸か」に対する反例になっている。ただしこれは3次元であるので、Fornaess[F]により構成された、局所的にSteinな$\mathbb{C}^2$上の分岐リーマン領域で正則凸でないものの例が、高次元の数空間内の局所閉部分多様体であるかどうかは不明である。
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