ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (711レス)
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700: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 07/03(水)01:35 ID:LUTOnYd50(1) AAS
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ドロシー「ほーん……それじゃあ会場には一見さんもいたってわけか」

アンジェ「そのようね」

ドロシー「なるほど。あとはそいつらのリストがあれば完璧なんだがな」

アンジェ「リストはないけれど写真ならあるわ」

ドロシー「そう来るだろうと思ったよ……どうやって手に入れた?」

アンジェ「当日の新聞に掲載されるはずだったものの、この「急死騒ぎ」でボツになった記念写真を拝借してきたの。あとは人物名鑑や紳士録と見比べて当てはまらない人間を除外していけば良いだけ」

ドロシー「で、誰か残ったか?」

アンジェ「ええ、何人か知らない人物がいたわ……もっとも、下手人が写真撮影の時に現われていない可能性もあるけれど」

ドロシー「ま、そうなったらそうなったでその時に考えていけばいいさ……どれどれ」アンジェが持ってきたセピア色の写真をしげしげと眺めた……

…ケネル・クラブ主催の品評会の後で催された昼食会の集合写真には身なりの良いシルクハットの紳士たちと、しゃれたデザインのドレスに身を包んだ貴婦人たちが日傘や飾り付きの婦人帽の下から微笑んでいる…

アンジェ「残念ながら知らなかったり覚えていない人間も何人かいたけれど……ドロシー、貴女は分かる?」

ドロシー「どうかな。例えばどいつだ?」

アンジェ「こっちから見て右から三人目、隣の婦人の日傘で顔がちょっと陰になっている男」

ドロシー「あー、こいつか。なんだっけな……ウェルズリーじゃなくって……」

アンジェ「ウェザビー?」

ドロシー「そうそう、そいつだ。準男爵のパーシー・ウェザビー」

アンジェ「なるほど。それじゃあウェザビーから二人離れた所にいる、淡色のチョッキとシルクハット、手にステッキの口ひげの男」

ドロシー「んん? こいつは知らないな……」

プリンセス「……あら、アンジェにドロシーさん。お二人で写真を眺めてどうなさったの?」

アンジェ「プリンセス」

ドロシー「これはちょうどいいところに……少し教えて欲しい事があるんだが」

プリンセス「わたくしに? なにかしら」

ドロシー「いや、ちょいとこの写真を眺めて写っている人物の名前を教えてもらいたくってね♪」

プリンセス「ええ、構いませんよ」そう言うとドロシーが差し出す写真をしげしげと眺めたプリンセス……

アンジェ「この男、誰かしら?」

プリンセス「この人ならケルシャム男爵のご子息、モーガン・ケルシャム男爵令息ね」

ドロシー「さすが♪」

アンジェ「それじゃあこの、のっぽで面長の男は?」

プリンセス「えーと、確かどこかの省庁を訪問したときに見たような顔なのだけれど……そうそう、農務省の農政課長だったはず」

アンジェ「それなら確か……スタントンとか言ったかしら」

プリンセス「そうそう、ミスタ・スタントンって言ってたわ♪ 甲高い鼻声だったから印象に残っていたの」

ドロシー「やるねぇ……それじゃあこいつは誰だ?」記念写真の列に交じっている婦人たちの中で、押し出しの強そうなご婦人の二人の間に交じって、傾けた婦人帽でほとんど顔の隠れている一人を指さした……

アンジェ「私も気になっていたの、ドロシーも見覚えがないのね?」

ドロシー「ああ、こんなレディは知らないな……身体を見るにそこそこ若そうだが、肝心の顔が影になっていやがる。プリンセスはどうだ?」

プリンセス「いいえ、わたくしもこの方に見覚えは……」

ドロシー「それじゃあ他の写真も当たってみるか」他にもアンジェが集めてきた「取引相手」が暗殺されたクリケット親善試合の写真や、ケネル・クラブでの和気あいあいとしたパーティの一コマを撮った写真を次々と確かめていく……

プリンセス「ここにも一枚あったわ……でも写っているのは背中だけね」

ドロシー「こっちは花瓶が邪魔してやがる……こうまで顔が写っていないところを見ると、偶然じゃなく写真に写らないようにしていたと見るべきだな」

アンジェ「どうやらこの女が下手人と考えても良さそうね」

プリンセス「でも、年頃の女性と言うだけでは対象になる人間が多すぎるわね……」

ドロシー「どうにかあぶり出す方法を考えなくちゃな」
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