ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (716レス)
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619: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/10/09(日)02:17 ID:QO/oYXvJ0(1) AAS
尋問官「現場の連中が手荒な真似をして済まなかった、彼らはこういった「ゲーム」の運び方が分かっていないからな」
エージェント「……ああいう現場の連中はカッとなりやすいから仕方ないさ」
尋問官「申し訳ない。 こういった場合も隠し事なしで率直に話し合えば、お互いに面倒がなくっていいんだが……」
…口ごもるようにして途中で言葉を濁すと、暖炉の通して下の階からうめき声と、尋問官とおぼしき男の冷徹な声がかすかに聞こえてきた…
エージェント「……」眉をひそめて尋問官を見る……
尋問官「あの若者はずいぶん頑固だね、感心なほどだ……しかしどうにも、あまり気味のいいものじゃないね」暖炉には火が入っていないので、焚き口を閉じて音が聞こえないようにした……
尋問官「……と、話がそれた。 メールドロップに入っている文章はどんな用紙で、どんな暗号を使っていたか教えてくれ……「並べ替え式」の暗号だったっけね?」エージェントの言ったことがでまかせかどうか、さりげなくかまをかけてくる……
エージェント「いいや。あんたも若いのに物覚えが悪いね。 暗号は一回限り暗号帳を使った暗号で、コードブックになるのはシェイクスピアの「マクベス」だよ。あの本なら貴族の家の本棚に入っていてもおかしくないからね」
尋問官「なるほど……「バーナムの森が動かぬ限り……」というやつか」
エージェント「そう、それさ……用紙はたいてい何かの裏紙だったりするんだが、一度だけ「ペリウィンクル」のよこしたメッセージにリバティで売ってる便せんが使われていたことがあったっけ」
尋問官「リバティ? リバティ百貨店のことか? ウェストエンドのマルボロー・ストリートにある?」
(※リバティ…ロンドンにある「ハロッズ」と並ぶ名門百貨店)
エージェント「リバティ百貨店が他にあるかい?」
尋問官「いや……しかしリバティで売ってる便せんとなると、連絡役はある程度の身分がある立場ということか?」
エージェント「どうだか。もしかしたら使用人が主人の書斎から便せんを数枚ちょろまかしただけかもしれないし、スリ取ったのかもしれない……私に分かるもんかね」
尋問官「そりゃあそうだ。 それで、メッセージがドロップに入っているのはそれぞれ何曜日だった?」
エージェント「そいつは一定じゃなくて、ドロップにメッセージがある時はそれを知らせる印が特定の場所に付けられていたんだ」
尋問官「ほう」
エージェント「……例えば「メトセラ」からのメッセージがあるときは、コヴェントガーデン(青果市場)の西のすみっこにある「ジェリー・ホーキンス青果店」で、ジャガイモの空き箱にチョークで丸印が描いてある」
尋問官「ということは、その店は関係があるのか?」
エージェント「そんなのあたしが知っているわけがないだろう。 まさかいきなり入っていって「ここは共和国スパイの協賛店ですか」なんて聞くのかい?」
尋問官「たしかにそうだ。それじゃあ次に、連絡を受けた場合の事について聞こう……」
………
…
…相当な時間ののち…
尋問官「……さて、君もくたびれただろうし、とりあえずはこのくらいにしておこう。後で朝食も持ってこさせるよ」
エージェント「朝食? いったい今は何時なんだい?」
尋問官「えーと……ちょうど朝の九時だ」チョッキから懐中時計を取り出すと時間を見て、エージェントに教えた……
エージェント「それじゃあ八時間近くあんたとおしゃべりしてたってことかね」
尋問官「そうなるね。朝食が済んだらまた来るよ」疲れの色も見せず、まるで茶飲み話の約束でもするかのようにさらりと言ってのけると部屋を出た……
…尋問官の執務室…
部下「どうでした?」
尋問官「ああ。 おおかたは「歌った」が、まだ分からないところがあってな……上からは何と?」
部下「内務卿の方から「出来うる限り迅速に」吐かせろと言ってきました」
尋問官「そう来ると思ったよ。漏れた情報の事も少し聞き出したが、かなりの大事になりそうだからな……そうそう、彼女に朝食を持って行ってやってくれ。私にはチョコレートと紅茶を……紅茶はいつもみたいにミルクと砂糖を入れてな」
部下「そうおっしゃると思って用意してあります」
尋問官「ありがとう、気が利くな……ふぅ、あのご婦人はかなりのベテランだよ。お互いの「呼吸」って物が分かってる」凝り固まった肩を回しながら、甘い紅茶とチョコレートで一息ついた……
部下「……ところで、あの若造の方ですが」
尋問官「ああ、どうだった?」
部下「肝心なことは何も知らされていないようです……それにとにかく強情で、ジョージも「吐かせるのに苦労した」と言っていました」
尋問官「ああ、こっちにも聞こえたよ。とにかくご苦労だったな。 尋問の調書は写しを取って、内務卿宛てにしてすぐ出してくれ。それが済んだら少し休憩していいぞ」
部下「分かりました、ありがとうございます」
尋問官「いいんだ……とにかく彼女には早くしゃべってもらわないと」
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