ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (716レス)
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515: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/02/26(金)02:07 ID:JQTaCDNs0(1) AAS
…裏通り…

王国陸軍歩兵「よし、止まれ!…合い言葉を言え!」

…紅い上着に白いベルト、そして肩に掛けたスリング(背負い革)でエンフィールド・ライフルを吊って行進してきた半個分隊規模の歩兵……というのは真っ赤な嘘で、実際はオニールたち独立派の襲撃グループ……それに向かって、裏通りに立っている歩哨が誰何した…

構成員B「…」(くそっ、合い言葉だと…そんなの聞いてないぞ!?)

オニール「名誉と忠誠!」
省32
516: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/03/02(火)01:40 ID:ek4xApun0(1/2) AAS
…数十分後…

構成員A「おい、来たぞ…!」

ドロシー「見えてる……護衛車は前後に一台づつ、それと左右に騎馬の近衛擲弾兵か……」

…歩道には女王やロイヤルファミリー(王族)を一目見ようとする市民たちで黒山の人だかりが出来ていて、車道にはみ出さないように制する警官や兵士たちも四苦八苦している…そしてカーテンを引いた室内からライフルを構えその様子をスコープ越しに眺めているドロシーと、伸縮式の望遠鏡で状況を観察している構成員…

構成員A「おい、そろそろぶっ放してもいいんじゃないのか…!?」
省28
517: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/03/02(火)02:55 ID:ek4xApun0(2/2) AAS
近衛擲弾兵小隊長「……第一小隊!左翼の敵を迎え撃て!」

擲弾兵A「くそっ、どいつが敵だ…!?」逃げ惑う群衆と、そのあおりを受けていななき跳ねまわる軍馬、そして防衛体勢を取ろうとあちこちに駆け出す赤服の近衛擲弾兵と黒い制服の警官たち…

擲弾兵B「隊長!右翼からも銃撃です!」

小隊長「何、挟み撃ちか!?」

…前衛の護衛車…
省37
518: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/03/06(土)01:29 ID:p8hLcXu/0(1) AAS
…数時間後・集合地点…

オニール「……無事だったのはお前たちだけか」

構成員B「どうやらそうみたいだ」

構成員H「…ってことは、オハラたちは全滅か……くそっ」

構成員I「畜生…」
省37
519: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2021/03/12(金)01:26 ID:W0ymIRCO0(1) AAS
ドロシー「よし、それじゃあ詳細を話そう…」

ドロシー「……まずロンドンからは今日のうちに出る。スペシャル・ブランチも防諜部も、あんたらがアジトで一日や二日様子を見て、それから脱出を図ると考えている……となるとロンドン中が徹底的に捜索されるだろうし、そうなれば隠れようもない。そこでこっちはこれから一時間もしないうちに出発して、その裏をかいてやろうって寸法だ」

オニール「それはいいが、こっちの大まかな人相や風体はもう手配されているはずだ…汽車じゃ逃げ場所もないが、どうやって切り抜ける?」

ドロシー「なに、そこはフランソワーズと「愉快なお友達」が頭をひねってくれたよ……それがこれだ」そう言うと片隅に置いてあった大きな麻袋を開けて、ごちゃごちゃと入っていた雑多な中身を取り出した……

オニール「こいつは?」小さい香水瓶か薬瓶のようなものを指差した…
省37
520: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/03/20(土)02:56 ID:Zb/gq4i+0(1) AAS
…さらに数分後…

身なりのいい紳士「君、ちょっといいかね?」

検札係「はい。何でしょうか」

紳士「……我々はこういう者なのだが」背広の内ポケットから二つ折りの身分証を取り出し、そっと見せた…

検札係「公安部…!」
省33
521: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2021/03/22(月)03:18 ID:7GBLMcGl0(1) AAS
オニール「……ちなみにこの貨物列車は何時ごろ終点につくんだ?」

アンジェ「予定では午後の三時頃にリヴァプールに着きます。ですが終点まで乗っていくのは危険ですから、蒸気機関車が途中の給水所で停車したところで降ります…どのみち駅では警戒されているでしょうから、改札を通るわけにはいきません」

ドロシー「それに「怪我をしたが故郷に戻るだけの旅費がない」出稼ぎの連中とか「より割のいい口を探して回る」炭鉱夫なんかはよく無賃乗車するからな…鉄道職員や警官でもなければ駅以外の場所…しかも貨物列車から人が降りてきても、そこまで注意をむけることはないはずだ」

オニール「そうだな」

…数十分後…
省35
522: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/03/29(月)03:44 ID:56RviVss0(1/2) AAS
アンジェ「…戻ったわ」

ドロシー「さすがだな。ほら…」貨車に戻ろうとするアンジェに手を差し伸べて迎え入れる…

アンジェ「ありがとう」

ドロシー「気にするなよ……オニール、容態はどうだ?」振り向いて貨車の中を眺め、それから倒れている構成員たちの手当をしているオニールに声をかけた…

オニール「…いや、だめだ」貨車の床には血だまりができていて、その中に二人の構成員が倒れている…もう一人は木箱にもたれて座っているが顔面蒼白で、撃ち尽くしたピストルがだらりと垂れた手から足元に転がり落ちていた…
省32
523: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/03/29(月)04:38 ID:56RviVss0(2/2) AAS
オニール「……おおかたそんなことだろうと思っていた」

…ドロシーがピストルを向けて引金を引こうとすると、オニールが薄目を開けてつぶやくように言った…

ドロシー「オニール…起きてたのか」

オニール「まあな」

ドロシー「そうか……いつから私たちがエージェントだと気がついていた?」
省34
524: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2021/03/30(火)11:28 ID:QAO32eKs0(1) AAS
…数日後・夜…

アンジェ「…」

プリンセス「どうかしたの?」

…お互いに裸身のまま、後ろからアンジェを抱きしめているプリンセス…

アンジェ「いいえ」
省38
525: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/03/31(水)02:09 ID:yyOwKYWF0(1) AAS
…何だかんだで長くなってしまいましたが、このエピソードはこれで完了です……アイルランドを絡めた物を書きたかったのでその点では満足(とはいえ読み返してみると結構ありきたりな言い回しや表現が多くて反省…)ですが、結構シリアスな感じになったので、次はベアトリスとちせを中心にして、できるだけ軽い感じのを書くつもりです…
526: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2021/04/06(火)02:02 ID:Io7FB9gI0(1) AAS
caseちせ×ベアトリス「The sleep giver」(眠りをもたらすもの)

…とある日・メイフェア校の庭園…

ドロシー「さてと、今度はちょいと特殊な任務だ……風変わりと言ってもいい」

ベアトリス「風変わり?」

ドロシー「ああ……」
省28
527: 以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします 2021/04/13(火)14:58 ID:dC9gmJE70(1) AAS
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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省24
528: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/04/17(土)01:34 ID:jJ3C4nHZ0(1) AAS
…数日後・イーストエンド…

ドロシー「さて、ここだ」

ベアトリス「イーストエンド、ですか…あまり治安のいい場所じゃありませんよね」

アンジェ「そうね。切り裂きジャックの事件が起きたのもこの辺りだし、お世辞にも上品な地域とは言えない」

ドロシー「しかしそういう場所の裏通りにこそ思わぬ「お宝」が転がっているもんさ」
省27
529: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/04/19(月)02:26 ID:6Gob2bOI0(1) AAS
おばさん「さてと……あたしゃここを取り仕切っている「ルーシー・チョウ」ってもんだ。あんたたち、名前は?」

ベアトリス「私は「エミリー」と言います」

おばさん「それでそっちは?」豪奢な椅子に腰かけて脚を組み、扇でちせを指差した…

ベアトリス「彼女は……」

おばさん「あんたに聞いているんじゃないよ。別に口が利けないわけじゃないんだろう?」
省34
530: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2021/04/29(木)02:35 ID:ZlCI+SY90(1) AAS
…隠し部屋…

チョウおばさん「さて…あれがあんたたちの過ごす『サロン』さ」

…おばさんは丸い中華風の飾り棚と日本風の浮世絵が描かれた屏風でうまく隠されている裏側から、扇子から持ち替えた長い煙管で室内を指し示した……まだ夕食が過ぎたばかりといった早い時間帯にも関わらず、すで数人ほどの客が入り、それぞれ可愛らしいホンコン、マカオ、あるいはサイゴン娘をそばに座らせて長い煙管をふかしている……煙管から伸びる煙は妙に甘ったるい、まるでカラメルでも焦がしたような匂いがしていて、店の娘たちにかしずかれているドレス姿のご婦人や令嬢たちは紫煙をくゆらせながらぼんやりしている…

ちせ「…」

ベアトリス「…」
省38
531: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/05/04(火)03:16 ID:sMUhM2HI0(1) AAS
…数日後・昼間…

ベアトリス「後は青果店で玉ねぎを買えばおしまいですね……」

…野菜やパンがはみ出している柳のカゴを手に、いかにも「お買い物」といった様子のベアトリス……が、ちらりと左右に視線を配ると細い横道に入って、一軒の木賃宿の二階に続く階段を上がっていく……宿の扉を独特なリズムで叩くと、そのまま中に入った…

ドロシー「よ…調子はどうだ?」

ベアトリス「はい、どうにか上手くこなしています」
省32
532: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/05/07(金)02:22 ID:2GjYI2x80(1) AAS
レディ「ふぅ……」ワインをすすり、煙管をふかしているレディ……カールさせた髪の先端がドレスの胸元にかかっている姿と、気だるげな表情があいまってとても色っぽい…

ちせ「…失礼致します」

レディ「ええ……」

ちせ「…」お世辞やおべんちゃらを言ったり、色気を振りまいたりするわけでもないが、そっと隣に座って肩を寄せる……

レディ「ん…ところで貴女……」
省38
533: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/05/11(火)02:58 ID:WmVfD+/b0(1) AAS
…夜中…

ちせ「……そろそろ皆も寝静まった頃合いか…」

ベアトリス「…すぅ…すぅ……」

ちせ「…慣れぬ場所で疲れたのじゃな、無理もない……ゆっくり休んでおるがよい……」

…廊下…
省35
534: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/05/15(土)03:52 ID:Pd/BHAn80(1) AAS
…翌日…

ドロシー「…それでちせは相手の名前を「ミスタ・ゴードン」その上役と思われる人物を「サー・ウィッタリング」だって言ったんだな?」

ベアトリス「はい、少なくともそう聞こえたという事でした」

ドロシー「そうかい…しかし、もしかしたらこれで糸口が見つかるかもしれない。戻ったらちせに「お手柄だ」って伝えてくれ」

ベアトリス「分かりました」
省35
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