なりきりリレー小説スレッド (152レス)
なりきりリレー小説スレッド http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/
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1: ◆r7Y88Tobf2 [] 【基本ルール】 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。 勝者のみ元の世界に帰ることができる。 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられ地図上にバラバラに配置される。 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。 【スタート時の持ち物】 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。 「地図」 → MAP-Cのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。 「名簿」→全ての参加キャラの名前がのっている。 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1~3個入っている。内容はランダム。 【バトルロワイアルの舞台】 http://gazo.shitao.info/r/i/20160815012100_000.png パー速VIPなりきりロワイアル 2nd wiki http://seesaawiki.jp/narirow_2nd/ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/1
127: 【最善への希求】 ◆r7Y88Tobf2 [sage] その言葉を聞いてようやく、イムカは心から安心する事ができた。 ぐじぐじと乱暴に涙を拭き走り去ってゆくニア。遠ざかる小さな足音を聞きながら、イムカは目の前の悪と対峙する。 勝ち目はない。彼女の戦いは勝利を目指すのではなく、如何に長引かせるかどうかなのだ。 ナナカマドは握れない、故にイムカは無手の状態で構えを取った。 「さぁ、どうし…たアルトリア、…死ぬ気、で…かかってこい……。 でなければ、……死ぬのは、君の方…だぞ?」 「不明。何故、自ら死に行くような真似をするのか私には理解できません」 「ああ、理解出来ない…だろう、な……君のような、感情を持たない…者には」 嘲笑を交えたイムカの言葉に、アルトリアはほんの僅かに人形のような表情を顰めた。 自分を否認されるという侮辱を受けて、統一意思の絶対なる指導者が黙っているわけもない。 「打消。個々の感情など不要、我々はただ神の示すままに生きれば良いのです」 言うが否や、アルトリアは全身全霊の刺突をイムカへと放った。 巨大すぎる剣から生み出されるそれは突き刺すという行為だけでも暴風を生み、触れた物を例外なく吹き飛ばす。 無論イムカとて同じだ。例え万全の状態であったとしてもその一撃を耐える事など出来ないだろう。 だがそれは、イムカがアルトリアの刺突を見切れないという決め付けの基での話だ。 超速の刺突をイムカは屈んで回避し、同時に突き出されたアルトリアの腕を力強く掴む。 アルトリアが自慢の怪力でイムカを引き剥がすよりも早く、イムカはアルトリアの懐へ潜り込んだ。 危機を抱いた頃にはもう遅い。競技や遊びのものではなく人を殺す為の背負投げが炸裂する。 固いアスファルトに頭から突き刺さるアルトリア。その衝撃に耐え切れず地面には亀裂が走った。 アルトリアは投げ技という存在を知らなかった。故に、自分が何をされたか理解出来ない。 唯一理解できる事は、無類の膂力を誇る自分が満身創痍の女一人に打ち負かされたという事だ。 アルトリアに湧き上がる熱い感情。自ら不要と称したそれに刺激されたように、再びイムカと相対する。 今度は無言のままに剣を翳し、肉片さえも残さぬ勢いで袈裟斬りを放った。 だがイムカは凶刃が到達する前にアルトリアの腕を掴み、再び自らの体を捻り込むように投げへと転ずる。 メキリと、嫌な音が鳴り響いた。 恐らく今の一撃でアルトリアの左肩が外れたのだろう。 だがその音の原因はアルトリアだけではない。――イムカもまた、左腕が曲がっていた。 しかしそれも当然の事といえよう。凍てついた右腕は使用できず、実質左腕だけでアルトリアの巨体を投げていたのだから。 そしてその左腕も限界が訪れた――両腕を失った今、イムカがアルトリアに抵抗する術はない。 (これが……私の選んだ、”最善”だ……) ゆらりと立ち上がる聖職者の影を見て、イムカは静かに瞼を閉じる。 次の瞬間振り下ろされたダインスレイヴは寸分違わずイムカの心臓へ到達し、彼女の儚い命に終止符を打った。 ■ 「…………」 物言わぬ遺体となったイムカを無感情な瞳で見下ろし、アルトリアは無言のまま踵を返す。 達人の投げを二度も食らったのだ。アルトリアの足取りは普段のそれよりもずっと遅く、また左腕も動かない。 それでも絶命に至らないのは彼女の生命力からなるものか、はたまた狂気じみた精神力からか。 法王アルトリアは歩む。穢れを浄化するために、清き世界の生誕の為に。 血濡れた道を歩む聖職者へ、神はどのような審判を下すのか―――― 【イムカ・グリムナー@ここだけ世界の境界線 死亡確認】 【残り51名】 ※イムカの支給品は遺体と共にE-3に放置されています http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/127
128: 【最善への希求】 ◆r7Y88Tobf2 [sage] 【E-3/一日目 午前】 【ニア・シューペリオリティ@ここだけ世界の境界線】 [状態]:健康 深い悲しみ [装備]:エクソダス@境界線 終願のロザリオ@新俺能 [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:生き残る。 1.イムカ……! 2.イムカの願いを聞き届け、生きる。 3.仲間たちと合流。 ※本編中からの参戦です。 ※終願のロザリオの効果を理解していません。武器としてすら認識していません。 【法王アルトリア@新俺能】 [状態]:背中に打ち身(中) 頭部負傷、出血(中) 左肩脱臼 [装備]:魔刃皇ダインスレイヴ@魔法少女 [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:穢れを浄化する。 1.穢れは。 2.全て浄化され。 3.清き世界が誕生するでしょう。 ※本編中からの参戦です。 ※盾となる物を持っていない為、執行形態となる事が出来ません。 ※【爆進氷刃】の言動によりマーダーと化しました。 【爆進氷刃@旧厨二】 [状態]:打撲(小) 鳩尾に痛み(小) 疲労(中) 絶望 悲壮感 [装備]:爆進氷刃@旧厨二 [道具]:基本支給品 不明支給品×1 [思考・状況] 基本行動方針:この世界を破壊する 1.世界の破壊者として、あらゆるものを破壊する。 2.……明日架さん達も参加しているのか。 ※不殺同盟を脱退した後からの参戦です ※名簿には【爆進氷刃】吹雪零と記されています ※能力には制限が掛けられており、長剣を抜刀しただけの状態では吹雪は出現しません。 長剣を振るうことで初めて吹雪が出現するようになっています。 ※【爆氷天刃】への覚醒は現時点では不可能です。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/128
129: 始まりはいつも突然に ◆r7Y88Tobf2 [sage] 「はぁ~……どうしてこうも人と会わねぇもんかね」 ラジオ局を後にして優に一時間、三橋は宛もなく会場を彷徨っていた。 正確には宛がないというよりも地図を読むのを放棄し歩き出した訳だが、それは然程問題ではない。 彼にとって問題なのはこうして自分が一時間歩いてやっているのに、人どころか雀一匹さえも出向かない事だ。 これではラジオ局での意気込みが無駄となってしまう。一度発散した怒りが有頂天に達するのも、そう遠くないだろう。 そんなこんなで三橋翼は今、バトルロワイヤルという場でありながら退屈していた。 「運営のクソ共は俺が一人で衰弱死するのが見たいのか?なぁ、聞いてんだろ主催者さんよ? 三橋寂しくて死んじゃうの~!ってか?笑えない冗談だなオイ」 ブツブツと悪態なのか挑発なのかよくわからない事を呟きながら、右の拳に嵌められた籠手に視線を注ぐ。 この籠手の破壊力は先程の激昂によりよく知っている。三橋自身の体質も相まって、並以上の実力を発揮できるだろう。 だからこそ三橋は自信を持っていた。言い方を変えれば、慢心しているとも言える。 この退屈な時間を凌いでくれるのならば仮に話が通じない相手であろうとも、サンドバッグにでもなってもらえればいい。 そんな単純明快な考えの基、三橋の足が自然と向かっていたのは博物館の方向だった。 手入れのされていないコンクリートには亀裂が入っており、その隙間から所々雑草が顔を覗かせる。 海岸付近からの植物が侵食しているのだろう。それでも、ネズミの一匹も草陰に潜んでいる様子はないが。 あの主催者の事だ、参加者以外の不要な動物は消してしまったのだろうと、三橋は結論づける。 現に三橋の目に映る景色は殺し合いという要素を除けば大変平穏なものであり、動物が住むにはうって付けだった。 そこまで思考したところで思わず三橋は舌打ちを鳴らす。 ありもしない仮定を想像してしまうのは悪い癖だが、どうにも胸糞が悪かった。 もしこの会場が用意されたものではなく、以前は人々が住み活気に溢れていた何の変哲もない街だったら? 答えは簡単だ。アジやアリスはその”活気”を全て奪い去り、平穏な時が流れていたこの場所を地獄の会場にしたのだろう。 三橋の額に青筋が浮かぶ。ふつふつと湧き上がる激情を無理やり抑え込み、デイパックから取り出した水を勢いよく飲み干した。 「いい飲みっぷりじゃのう」 . http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/129
130: 始まりはいつも突然に ◆r7Y88Tobf2 [sage] 瞬間、三橋は全力の籠手を背後へと叩きつける。 しかし当の声の主は紙一重でそれを躱し、口元を手で覆い隠しながら緩い微笑を浮かべていた。 「おーおー、物騒じゃのう……ちぃとばかし気になって声を掛けただけだというのに」 「……お前、いつからだ?いつから俺の後を付けてやがった?」 「んー、『はぁ~……どうしてこうも人と会わねぇもんかね』の部分からかのう?」 「ついさっきじゃねぇか!……尾行なんて随分いい趣味してるんだな」 ピリピリと殺気を垂れ流す三橋は反面、目の前の女性に対して危機感を抱いていた。 自惚れる訳ではないが、三橋は自分がそれなりに場数を踏んでいると自負している。 当然尾行されていたとしても気配を察知できるだろうし、そうでなくとも違和感ぐらいは抱いても可笑しくはない。 しかし今回は、この女は違う――もしあのまま襲いかかられていたら、間違いなく自分の首は飛んでいただろう。 「まぁまぁそうカッカするものでもないぞ、青年。 お主が望んだのじゃろう?人と出会いたい、と……その願いを聞き届けてやったのが儂なのじゃ」 「ふざけるなコスプレ女。お前みたいなイっちまってる女なんかチェンジだチェンジ」 軽口を叩きながらバックステップで距離を取り、コスプレ女こと凛音の小太刀の範囲から逃れる。 反して凛音の方は構えらしい構えも見せず、じっくりと見定めるような視線を三橋に浴びせていた。 緊張を巡らせる自身に反し飄々とした様子を見せる凛音に対し、三橋は恐怖よりも先に怒りが沸いた。 何故自分がこんなに警戒しているのに目の前の女は余裕なのか。――その事実が、なんとも気に食わなかったのだ。 「ふむ、まぁお主がその気でなくとも儂がそうなんじゃがのう。 つまるところ儂も人と出会いたかったのじゃ、……如何せん一人では退屈なのでな」 「……そうかよ、で……俺はその退屈しのぎの相手に選ばれてしまった憐れな子羊って事か」 「ご名答、賢い男は好きじゃぞ?」 クスクスと、またもからかうように笑ってみせる凛音。 彼女にとっては笑うなと言う方が無理な相談なのだろう、先程から一切笑顔を崩さない。 尤もその”遊び相手”である三橋にとっては、何一つ面白いことなどないのだが。 「お前が何処の病院から抜け出した患者なのかは知らないが、生憎俺は遊んでる時間はないんだよ。 それとも何か?ひとり遊びを教えて欲しいんなら喜んで教えてやるが?」 自身の持ちうる威圧と殺気を乗せ、凛音の済んだ瞳を睥睨する三橋。 一介の不良程度ならその威圧に怯え戦意喪失したであろうが、相手は歴戦の魔法少女だ。 凛音は三橋の返事に大層満足そうに頷いては、パチン!と両手を合わせ重苦しい雰囲気を打ち破った。 「よいぞ、その雲の如く捉えることの出来ぬ姿勢! ますます興味が湧いたぞ、さぁ、早く儂と”遊ぼう”ではないか!」 「ちっ……!」 言うがいなや、凛音は腰に携えた一本の小太刀を両手に構えキラキラと瞳を輝かせる。 途端に場を制する凛音の威圧にいつもの軽口を叩く暇もなく、三橋は右腕の籠手を正面に翳した。 「消えやがれっ!!」 ドンッ――! 響く銃声、放たれる銃弾。 それは真っ直ぐに凛音の元へと突き進み、その腹を食い破る。 噴出する血液、穿たれる銃痕。その瞬間三橋は確かに己の勝利を確信した。 「今度はこちらの番じゃな」 「――っ!?」 しかし、その確信はすぐさま裏切られた。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/130
131: 始まりはいつも突然に ◆r7Y88Tobf2 [sage] ゆらりと凛音の体が揺れたのは一瞬。神速の速さで肉薄し、三橋の首元を刈り取らんと小太刀が迫る。 常人ならば目で追うことすら難しいそれを本能のみで反応し、咄嗟に籠手で首元を覆った。 間一髪三橋は自らの籠手を盾とする事で死を逃れ、ギリギリと火花を散らしながら拮抗を保つ事に成功する。 「ぐ…っ!!」 「ほう?よもや受け止めるとはのう……これは楽しめそうじゃ」 しかし片手で防ぐ三橋と両手で攻める凛音では、どうしても力の差が生まれてしまう。 目に見えて分かる程に三橋の籠手は押し負けており、持久戦に持ち込めば結果は言うまでもない。 だがそれで三橋という男が諦めて三途の川を渡る準備をするかと問われれば、答えは絶対にNOだ。 「勝手に、楽しんでんじゃ……ねぇぞぉッ!!」 「ぬ……っ!」 気合一閃、サイボーグの怪力から放たれる膝蹴りが凛音の腹部に突き刺さる。 意図せぬ反撃に凛音は思わず苦悶の表情を浮かべ、柄に込めた力を僅かに緩めた。 当然三橋がそれを見逃す訳もなく、凛音の頬へと拳を振るい強制的に後退させる。 しかし三橋の表情は未だ晴れる事はない。 当然だ、自身の怪力を持ってしても”後退させる”程度の成果しか上げられなかったのだから。 「ふむ、重い拳じゃな……魔法少女に匹敵すると言っても過言ではないぞ」 「魔法少女だと?……ああ今理解した、お前ソッチ系の人間かよ。だったら――」 三橋が構える。何かが来るということは、凛音でなくとも察する事が出来ただろう。 しかしそれを理解して凛音はほう、と僅かに声を漏らし、両腕を組んだままさぞ楽し気にその様子を見つめていた。 「――こういうのはどうよッ!!」 「……むっ!?」 そしてそれは、すぐさま驚愕の表情へと変えられる。 凛音が見たのは巨大な槍だった。いや、それ自体は問題ではない。 問題なのはその根源――無手であった三橋の左腕が、突如ぐにゃりと捻じ曲がり槍の形を作り出したのだ。 その異様な光景を前に凛音は驚愕に時間を要する。故に、突き出される巨槍を完全には躱しきれず右肩に裂傷を刻んだ。 所詮肩と侮るなかれ。不意打ち気味の攻撃は肉を深く抉り、迸る激痛に凛音の表情は苦いものへと変わっている。 「どうしたメルヘン女、こういうのを見るのは初めてかい?」 「……驚いたぞ、よもやお主……クリーチャーの類だったとはのう」 「人に向かってクリーチャーなんて失礼な野郎だな……俺からしたらお前の方がよっぽど化けもんだぜ」 軽口を叩く三橋であったが、先程の一撃で仕留めきれなかったのは相当の痛手。 完全なる初見の攻撃なら通じると思ったが、それすらも精々ダメージを与える程度に終わってしまった。 こうなれば相手は既に三橋の能力に対して対処の術を持ち、二度同じことをしようものなら逆に一発もらう羽目になるだろう。 激昂を発散した事が今頃効いてきたのか、不思議な程冷静な思考は三橋の命を繋いでいた。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/131
132: 始まりはいつも突然に ◆r7Y88Tobf2 [sage] (真っ向から勝負なんざ論外、……だとしたら、逃げるっきゃないが……) 思考の最中、三橋はふと自分の右手に嵌められた籠手に視線を向ける。 一瞬の逡巡の末に、意を決したように三橋は体勢を立て直す凛音へと一歩踏み出した。 そして踏み出した足を軸に、生み出された凄まじい加速度に乗せられ凛音の元へと肉薄する。 接近戦を持ちかけるか。願ってもない展開に凛音は愉快そうに嗤い、『畦火』を振り上げ獲物を待った。 「……良いのか?」 「ああ、”良いぜ”ッ!」 しかし、凛音の予想に反し三橋は小太刀の範囲に入る直前に急停止しガン・ガントレットを水平に翳す。 銃弾か――!確信した凛音はすぐさま小太刀を下段に構え銃弾への対処へと精神を注いだ。 しかし、それも”フェイク”――翳された籠手から銃弾が発射される事はなく、金属の触手と化した左腕が唸りを上げ襲いかかる。 二重に渡る騙しに対して凛音は意外そうに声を漏らした。 そう、声を漏らした”だけ”だった。 三橋が知る由もないが凛音はかつて何百ものの魔法少女を相手にし、そして喰らってきた。 その中には当然自分よりも実力が上な者も居れば、頭の切れるような者も居た。 しかし凛音はそれを持ち前の判断力と魔法、そして己の剣術で叩き伏せ勝利を奪い取ってきたのだ。 単純に場数が違うのだ。いくら三橋が頭を働かせようとも、凛音は真っ向からその全てを無へと帰すだろう。 しかしそれが”三重”ともなれば話は別だ。 「なに……っ!?」 振るわれた金属の触手は凛音に衝突する事なく、そのすぐ横を猛スピードで通り過ぎてゆく。 思わず疑問の声を上げ触手の先へと視線を移す。しかし、彼女が気づいた頃にはもう遅い。 通過する触手は遥か後方の樹へと巻き付いて、凄まじい勢いで収縮されるそれは高速で三橋の肉体を運んでいった。 「あばよメンヘラ女っ!リベンジマッチは受け付けねぇぞっ!」 高らかな笑い声と共に、目にも止まらぬ速さで木々の奥へと消えてゆく三橋。 サイボーグにのみ許される動きが生じたスピードは、恐らく凛音の身体能力を持ってしても追う事は不可能だろう。 イチかバチかの逃走に成功する三橋を何処か呆けた表情で見つめ、やがて口角を三日月に釣り上げた。 「ふっ、ふふ……ップ、ハハハハハハッ!! 面白い!面白いぞッ!よもやこの儂がまんまとハメられるとはのう!気に入ったぞ!!」 パチ、パチ―― もう既に姿の見えなくなった三橋へ、怒りをぶつけるどころか賞賛の言葉を浴びせる。 彼女にとって三橋が逃走した事は責めるべき事ではない。むしろ自分相手によく逃げ延びたと称えたいところだ。 認めるべきはその行動力の高さと狡猾さだ、咄嗟に考えついたとて中々実行できるものではあるまい。 惜しいのは種族の違いだ。もしも三橋がクリーチャーではなく人間であったら心から認めることが出来ただろう。 尤も――凛音が勝手にクリーチャーだと思い込んでいるだけで、実際三橋も立派な”人間”なのだが。 事実を知る由もない狂犬は、これから起こるであろう激闘の予感に身を馳せた。 今度こそは仕留めたい。殺したい――如月凛音は今、そんな気分だったのだ。 「さて、次はどんなものを見せてくれるんじゃ?――バトルロワイヤルよ」 双刀の片割れを地に突き刺し、大空を仰ぐ。 陽光の加護を受けるその姿はとても様になっており、幻想の世界の如き美麗さを醸していた。 だが惑わされてはいけない。可憐な花ほど強力な毒を持ち、鋭利な刺を持つものだ。 その幻想に魅せられた者は例外なく――その身に刻むことになる。 ■ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/132
133: 始まりはいつも突然に ◆r7Y88Tobf2 [sage] 「はぁーっ……クソ、無駄に体力消費しちまった……」 無事に凛音から逃げおおせた三橋は、木々を抜け市街地に出ていた。 無茶な動きをしていたからだろうか、その顔色は決して良いものではなく息も乱れている。 元よりサイボーグ特有の動きに人間である三橋が長く耐えられるわけもなく、精々数分が限界だろう。 実際、木々を抜けた矢先体が疲労を訴えて今こうして一本の電柱に寄りかかっているのだから。 「……でもまぁ、命あるだけマシ……ってな」 自分を言い聞かせるように呟けば、よっこらせとおっさん臭い動作で電柱から身を離す。 すっかり失念していたがまだやるべき事はたくさんあるのだ。 先程の狂人のような者ではなく話が通じる人間の捜索。そして、会えるかわからないが知り合いも。 幸先いいとは言えないが、無傷で生還できたのは僥倖。 間違いなく運は傾いている――そうでも思わないとやってられないというのが本音だ。 気を落ち着かせる為のため息を一つ。とぼとぼと覚束無い足取りで歩き出し、その場を後にした。 【G-2/一日目 午前】 【如月凛音@魔法少女】 [状態]:腹部に銃痕(行動に支障なし) 右肩に裂傷(小) 自動回復中 戦闘欲求 [装備]:双刀『畦火』@新厨二 [道具]:基本支給品 手回し充電式ラジオ@境界線 [思考・状況] 基本行動方針:気分次第、死んでやるつもりはない 1.戦闘欲求に従い行動する 2.暇があればメリー・メルエットを探す 3.三橋とはいつか再び戦いたい 4.首輪が邪魔じゃのぅ…… ※魔法少女としての機能に制限が掛かっており、普段よりも自動回復能力が格段に落ち、飛行にも疲労を伴います。 ※結界魔法『ゲヘナ・ウィッチクラフト』は現状使用不可です。 ※三橋翼をクリーチャーだと思っています。 【三橋翼@能力者高校】 [状態]:健康 疲労(中) [装備]:『ガン・ガントレット改』@境界線 [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:この殺し合いを台無しにする。主催側も全員殺す。話しても襲ってくるなら他の参加者も殺すか逃げる 1.まずは話の通じそうな人間を探す。話はそれからだ 2.名簿を見る限り何人か知ってる連中もいる。期待はしないがそいつらに会えたらいいかな 3.出来れば戦闘は余裕で勝てるもの以外避けたい 4.凛音とはもう二度と出会いたくない。 ※魔法少女というワードを聞きましたがその存在は知りません。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/133
134: 【必ず最後に――――――】 [sage] 息を荒げて、汗を垂れ流し、小人の魔法少女―――――メリー・メルエットは"一人"で飛び、逃げていた。 幸運にも出会えた信用できる相手は隣に居ない。何故か、それは数刻ほど前の出来事。 メリーと月影虎次郎の前に現れたプラチナブロンドの女。運営打倒を目指し同士を集めようとしていた二人であるが、声をかけることは無かった。 その女が、"ゼアグライト・オールディ・ルヴィー・マルクウェン"がどうしようもなく"邪悪"な存在だと感じたからだ。 そしてそれを肯定するように、ルヴィーは巨大な火球を二人に放つ。威力の一切無い虚栄魔法だが、熱、光、相手を脅すには十分すぎる要素を持ち――――― ―――――今に至るように怯えさせ、視界を埋め、逃げるメリーとニンジャを分断する程度は容易であった。 「嗚呼、良い。良い。実に素晴らしい舞台だ。」 一歩、一歩、恐怖を煽るように。虚栄を撒き散らしながらルヴィーは歩く。 生れ落ちた時より膨大な魔力を持つ彼女の暇を潰せるのは強者との戦いと、目の前で繰り広げられる"悲劇"のみ。 いかにもか弱い小人と、男。暇を潰すならこの二人は格好の標的といえた。ふと先ほどまでともに居た小人が無残に死んだと、守れ無かったと知ったならば男はどんな顔をするだろうか。 きっとそれは素晴らしい悲劇。マップの端まで態々来たのもそれが理由。悲劇とは守るべき弱者が死んでこそ成り立ち、得てして弱者とは隅に逃げる。 「うぅ……う……」 一度は止まった涙が、またメリーの瞳から零れだした。安息を与えられ、奪われ、代わりに絶望を植えつけられたのだ。当然だろう。 飛行魔法により虚栄を避てはいるが、魔力はいずれ尽きる物。このまま逃げていても埒が明かないと、それはメリー自身でもわかっている。 纏うエプロンドレスに火球が掠っても、焦げない事にも気づかない程余裕が無いのだ。メリーに立ち向かう勇気など出せるはずもなく。 不安とか細さだけが脳を埋め尽くし、逃走以外の選択肢を消してしまっていた。 「あっ―――――――」 遂に、その時がやって来た。飛行する魔力は尽き制御を失った体は慣性に引かれて、木に正面から衝突しずり落ちる。 赤くなった顔を上げれば、眼前にはルヴィーと、その背後に浮かぶ火球。 「さぁ、幕引きに相応しく鳴くのだぞ?」 指先をメリーに向け、ルヴィーは笑った。 「―――――月影、さん。」 死を確信したメリーの、唇から零れ落ちたのは男の名。涙を受け止めて、拭ってくれた彼の名前。 この地獄の中で、彼は安心を与えてくれた。名前を呼べば、またそれをくれるかもしれないなんて。思ってしまったのかもしれない。 けれどそれが届く先は目の前のルヴィーにだけ。 そのメリーの反応に対して、ルヴィーは笑みを更に強めた。死に際の女が男の名を口にする。なんと良くできた悲劇だろうか。 この火球は虚栄ではない。≪希望≫に込められていた栄光の欠片である―――――欠片でも、小人を焼くには十分すぎるが。 さぁ、断頭台の刃が今にも落されんとしていて―――――― http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/134
135: 【必ず最後に――――――】 [sage] ルヴィーは驚きなどとは無縁の存在だった。記憶にある限り数えるほどしかないだろう。 それが、たった数時間で二回も起きた。一度目はあの青年。二度目は今、あの小人が"消えた"事。 あの火球には死体ごと消し去る程の威力は込めてい無い。逃げたのか、そんな力も気力も残っていなかったはずだ。 ならば、何故――――――ふと辺りを見回せば、燃える木の直ぐそばにて。少年が小人を抱えて立っていた。 「~~~~~~~~っ、やっちまった……」 こいつは、このどこをどう見ても普通な、どころかどう見ても情けないこの男は何だ。"突然現れた"のか。 体制を見るに、小人は逃げたわけではなくこの少年に助けられたようだが。 ルヴィーの魔法の中には当然探査魔法がある。なのに、こんな状況になるまでこの少年を認識できなかったのは――――― 「面白いではないか。これからどう足掻く、貴様。」 期待のまなざしを目の前の少年に向ける。が (こうするしかないに決まってんだろ!あぁクソっ!!) 少年が取った行動は背を向けての全力逃走。骨があるように見えたのは気のせいか。 興ざめだ。これ以上楽しめそうにもないなら、折角の悲劇を汚されただけである。 ≪希望≫により栄光の欠片を、巨大な火球を再展開。汚した分は、精々悲劇を歌って貰うとしよう。 狙う先は足元。直接は当てないが、代わりに着弾した地面が思い切り抉れる。こうして火球に当たれば死ぬと植えつけてやれたなら、あとは虚栄で気の向くまま遊んでやればいい。 (なんで、動いちまったんだ……) そして虚栄から必死に逃げ惑う少年、早瀬琢磨は激しく後悔していた。 自分の能力は【影-シャドウ-】、気配を消す能力であり、茂みでおとなしくしたままならばやり過ごせたはずだった。 なのに体が動いた。考えるよりも遥かに早く動いてしまった。 他人などどうでもいいはずだ。常に理性で己を支配する事こそが生きるコツだと理解していたはずだ。 今からでも遅くない。こんな得体の知れない小人なんて捨ててしまえばいい。なのに、なのに、なのに、なのに、なのに、なのに―――――― 余計な考えは動きを鈍らせる。今はただどうやって逃げるかだけを考えろと自分に言い聞かせて、早瀬は思考を切り捨てた。 弄ばれているのか、火球の速度は速くない。身体能力の高くない早瀬ですら何とか避けられている。 されどメリーがそうであったように、限界はいずれやってくるのだ。 「―――――ぐっ、あ・・・・・・」 火球が腕を掠める。爆発を起こすことは無かったが、それでも服は焦げ、皮は爛れて肉が露になっている。 そもそも早瀬は既に火球を避けていたわけではなく、触れても何も起きない虚栄であっただけである。 そこにふと本物の攻撃が混じれば、避ける事ができないのは明白だ。 「もう、もういいですっ……あなたまで死んじゃいますからっ!!」 腕の中でメリーが泣きじゃくり、腕の中でもがき始める。ここでメリーを手放した所で二人とも死ぬだけだ。 二人で逃げ切るか、死ぬか。その二択だけ――――― ―――――いや、ある。一つだけ。 思い立った体は直ぐに動き出した。メリーを手から離して、逃がして 「逃げろ!!」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/135
136: 【必ず最後に――――――】 [sage] 叫ぶ。自分がメリーを逃がしてやれば良い。可能性はこれしかない。 背負ったデイパックの中身から二振りの刃を、【森寵七武】を取り出し、構える。 早瀬が何故メリーを見捨てることが出来なかったのか、それは存外簡単な話。 彼が捨て猫を放っておけない人間だから。倒れた女性を放っておけない人間だから。 人を信じることは出来なくなっても、優しさを忘れなかった強い人間だから。 いつのまにか泣き声は止んでいた。後ろを向いて確認する余裕などは無い。 もういいと泣く彼女が素直に逃げてくれたとは思いにくいが、そうだと思う事にした。 「ほう、期待外れではなかったか。」 二刀の切先を、口角を上げるルヴィーに向けた。それを重ねれば、早瀬の手に握られるのは"七武刀"。 弾幕を張られてしまえば一瞬で消し炭、今剣を構えても射程の外。だが、手段はある 「覚悟の決まった良い目をしている。見違えたぞ。」 火球を背後に待機させ、両手を広げ、来いといわんばかりに両手を広げるルヴィー。ならば望み通りにしてやると、早瀬は剣を振るった。 空を裂く音が響き、剣から伸びた七本の枝が姿を変えて。七本の刃が鳥と化しルヴィーを襲う。 本来ならばこの刃鳥は精密な操作を売りにしたものだが、元は他人の持ち物だったそれを完全に扱うことは出来ていない。 ここにくるまでに持ち物の確認は済ませていたが、それでも七匹同時に一点を、首元を狙うので精一杯。 「どうした、これが切り札とは言うまい。次の手は」 そして火球に叩き落される七匹の鳥。だが―――――― (―――――――読み通りだクソ野郎ッ!!) そう。切り札は"これ"じゃ無い。突如として早瀬の足元で"爆発"がおきる。 【翔靴】 踏んだものを爆破に変換し、上昇気流を発生させる特殊な靴が彼に支給されていた。 爆破の力を全て前方へ、ルヴィーに待機中の魔法は無い―――――当たる!! 「~All-Veil~」 重圧。飛翔する早瀬の体に降りかかる圧力。前方へと発生していた推進力は叩き落され、何も切り裂けずに早瀬は地面に転がる。 水だ。水の幕に叩き落されたのだ。詠唱も、待機魔法も無かったはずだ。何故。 答えはただの勘違い。ルヴィーは敵対者の恐怖を煽る為、魔法を見せびらかすように事前に展開していただけでなのだ。本来ならば詠唱も準備も不要なのだ。 体はもう動かなくなっていた。敗北。馬鹿な事をしたものだと自嘲する。だが、彼女を逃がすことが出来たなら。 「悪くなかったぞ。この私に冷や汗をかかせたのだ、誇るが良い 褒美だ。"貴様を殺すのは後にしてやる"」 ルヴィーが歩き出した先には、逃げたはずの小人がまだそこ居た。 逃がせてなどいなかったのだ。 「……………なんで」 「わたしだけ、逃げるなんて……駄目ですっ!戦いますっ!!」 メリー・メルエットは強い少女だった。泣き虫で、臆病で、それでも他人のために奮い立てるのだ。 涙の剣もない。何も出来ないかもしれない。けれど自分を助けてくれた人を放って逃げる事だけは出来なかった。 「馬鹿ッ!!逃げてくれよぉおおおお!!!」 だが、早瀬を包んだのは絶望。全部無駄だったのか、もうどうしようもないのか。慟哭混じりの叫びが響く。 早瀬の心象を映すかのように、辺りが影に包まれ、太陽が雲に隠されて――――――否。 影はこの辺りだけだ。"空はまだ晴れている"。ならば、これは 「――――――"戦車"」 太陽を隠したのは"戦車"。戦車がルヴィーの頭上に。それだけじゃ無い。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/136
137: 【必ず最後に――――――】 [sage] 「ゴrrrrrルァァァァァ!!!!乙女のラブ☆タンクじゃああああああああああ!!!」 戦車の上には所謂農作業服を纏った金髪ツインテールの……はっきり言ってちょっときつい少女が、"戦車を掴みルヴィーに叩きつける様な体制"で。 ルヴィーも頭上のタンクに隆起させた地面をぶつけて対抗する。ならばと農作業服の少女(24)、北条豊穣通称自称ハベ子が選んだ追撃は――――――拳。 戦車ごと相手の魔法を砕き、叩き潰そうという凄まじく脳筋な方法を選んだのだ。 やがて中心の戦車は上下からの攻撃に耐え切れず爆発。 そして爆風が晴れて―――― 「ふざけた格好だが……面白いぞ。」 「このぐらいじゃ潰れねーか☆ だが安心しやがれ、まだ本気の乙女の愛の力(ラブパワー)は見せてやってねぇからよ☆」 ―――――ルヴィーは未だ何事も無かったようにたち、北条も同じく軽やかに地面に降り立った。 「おいそこの……影薄。格好良かったぜ☆マイプリンスほどじゃあねぇけどな☆ (人生の)後輩がこれだけ根性見せたんなら――――――ハベ子ちゃんが後押ししてやんねーとな☆」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/137
138: 【必ず最後に――――――】 [sage] 【A-1/一日目 朝】 【【絵空に彩る真偽の導き】ゼアグライト・オールディ・ルヴィー・マルクウェン@厨二能力】 [状態]:健康 欲望 ディザイア ディストピア [装備]:『≪希望≫』~Desire Dystopia~ [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:強い者と戦い、暇を潰す。殺し合いの末の悲劇を見る。 1.まずは目の前の強者との戦闘を楽しむ 2.そして小人を殺し、小僧を殺し、悲劇を愉しむ 3.あの者の最期が楽しみだな。kkkk ※ゼオルマ本人か仮の姿かは後の書き手さんにお任せします ※13の鐘の詠唱を経た場合のみ栄光魔法が使用可能です ※虚栄魔法は使用可能ですが、瞬間移動系のものは封じられています 【メリー・メルエット@魔法少女】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品 不明支給品×2 [思考・状況] 基本行動方針:誰も殺さず皆で生き残る 1.あの、あの服は・・・・・・ 2.ハベ子ちゃんさん!!! 3.あの人を倒せたら、虎次郎さんを探さなきゃ…… ※名簿はまだ確認していません その為他にどんな知り合いが参加しているのかまだ理解していません ※制限から普段より魔力の消費が激しくなっています 【早瀬 琢磨@ここだけ異能力者の集まる学園都市】 [状態]:健康 唖然 [装備]:【翔靴】【森寵七部】 [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:出来るだけ安全に脱出……と思っていたが馬鹿やっちゃったので無理ですね。はい。 1.なんだ、あの、ダサ・・・・・・なんだあの人。 2.とにかく救援はありがたい。 3.ここまでやったんだ。動けるようになったら俺も戦ってやる。 【北条 豊穣@ここだけ魔法少女の街】 [状態]:健康 [装備]:戦車(『伐號』)の残骸 [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いなんて乗るわけねーだろ☆マイプリンスに顔向けできなくなるわボケ☆ 1.この金髪をぶっ飛ばす☆ 2.月間農具がないならステゴロじゃああああああ!!! 3.なるべく早く終わらせて、影薄に治癒魔法をかけてやらねーとな☆ 【森寵七武@厨二能力スレ】 【森寵七武】が所持していた刀。 刃が湾曲しておらず真っ直ぐな直刀、細い刃に鳥が刻まれた鍔を持たない二対の刀。 この刀の表面にはには四枚と三枚、二本合わして合計七枚の隠し刃が仕込まれておりそれは二本を組み合わせる事により、古来の王が使用した七武刀と変化する。 この七武刀の属性は宿り木。振るう事により刃に宿る刃の斬れ味を持った神鳥を召還。 なお、この神の鳥は異能による効果を受け付けず触れた物を切断するチカラを持つ。 また、出せる神鳥は7羽まで、チカラは鉄に傷をつける程度。操作は障害物が把握出来る距離、位置まで。 本来ならば七羽の操作はそれなりに正確に出来るのだが、早瀬は不慣れなためかあまり複雑な操作は出来ない。 【翔靴@厨二能力スレ】 【鏡心一閃】が所持していたブーツ。通常時と戦闘時によって形が変わる。正確には日緋色の金属板が表面を薄く張られる。金属板は軽く、移動の際でも重さに違和感は無いほど軽い。 『爆破変換』という能力を有しており、踏んだものを爆破し、そのちからを上昇気流に変換することが出来る。爆破自体にダメージはなく、爆発によって衝撃も熱も生じることはない。所有者の意志によって発動される。 少しの間なら飛行も可能だが、その後はオーバーヒートを起こししばらくの間能力は使えなくなる。 能力発動中は、かかと部分に小さな炎の羽らしくものが出ていたりする。読み方はしょうか。 【伐號@能力者スレ】 カノッサ機関の傑機『三真甲』の一機。何らかの異能的方法でデイパック内に収納されていた。 〝傑機〟と書かれた漆黒の装甲が特徴でキャタピラは二股に分かれ、非常に小回りが利く設計となっている。 素材を雷属性を通しやすい物で統一しており、レールガンや電撃弾を発射することが出来る 電撃使いの能力者と合わせれば、さらに強力な兵器となる。 が、弾薬はなく移動の燃料しかなかったため、北条はこれをただの重い物として使用した。 しかも現在は残骸と化しているため、現状ただのデカくて重い鈍器でしかなく、北条も拳での戦闘を好むため使われるかどうかは不明。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/138
139: 小さな太陽 ◆r7Y88Tobf2 [sage] 「は……っ!…はぁ、っ……は、…っ……!」 大地を蹴り上げ、住宅街を駆け抜ける青年。 まるで何かに囚われたように疾駆する彼に、明確な目的などはない。 この殺し合いが始まった時点で彼は足を動かしていたのだ。その理由は簡単、”救う”為だ。 今この瞬間狙われている命があるかもしれない。そんな彼、大木陸の行動ははっきり言って軽率だろう。 意味のない体力の消耗は後に響くだろうし、何より開始早々に狙われている存在など極一部でありそれを見つけだすのは無謀の他ならない。 大木自身、その事に気がついていないわけではない。 だが、それでも駆ける。 自分が助けられる存在が一人でも、一匹でも居るのならば。 もしも生きたいと願う者が居るのならば。 やるべき事など、決まっている。 それが大木陸という人間だ。 ■ 俺はこの殺し合いの中で、どんな事が出来るのだろう。 我武者羅に走り続ける中で、ふとそんな事を思った。 この場に呼び出されたのは俺だけじゃない。あの強大な主催にも立ち向かったいずもは、きっと誰かを救おうとする筈だ。 そして、黒繩――彼奴は人を殺すことを厭わない、というよりも寧ろ快楽殺人者に近い。 黒繩の生き様を否定する権利なんて俺にはない。所詮俺の掲げる正義の意志はエゴなんだろう。 でも、俺は止める――偽善者と呼ばれても、泥沼のような結末が待っていたとしても。 黒繩だけじゃない。他にもこの殺し合いに乗る人間はいる筈だ。 だから俺は、そんな奴らを止める。例えどんな理由があろうとも、殺しなんてしちゃいけないんだ。 そこに風紀委員も、暗部も関係なんてない――。 「はぁっ……、…げほっ、…は、……はぁ…っ…!」 支給品の短剣――元は大剣だったが――を握り締めて、未来を描く。 殺し合いという場でも、俺の脳は正常に働いていた。描き出された未来は、誰もが笑顔を見せる世界だったから。 まだ、まだ俺は大丈夫。それが分かってとても安心している自分が居ることに気づく。 人間の精神はとても簡単に壊れてしまう。かつて自分がそうだったように、ひょんな事で崩壊してしまうんだ。 だから、自分が……少なくとも今この瞬間は”正義”で居られる事に、とても安心した。 『何たってオレは――この学園都市の番長だからな!!』 蘇る記憶に映し出された背中は、自分よりも小柄なものだった。 それでもあの時の背中は自分より遥かに大きく見えて、何処か遠くに感じられた。 彼奴は俺にとって眩しすぎて、そして手の届かない――俗に言う憧れの存在だったんだろう。 一切臆する事なく不良たちを薙ぎ倒していく番長の姿は、今でも脳の奥底に刻まれている。 今の俺の背中は、小さい。 人一人守れるかどうかすら分からない程に、小さい。 けれど――もし自分も、ああなれるのならば。 この体ぐらい、いつだってくれてやる。 ■ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/139
140: 小さな太陽 ◆r7Y88Tobf2 [sage] 「…は、ぁ……ぇ…?」 気付けば自分の体は仰向けに倒れ込み、大空を仰いでいた。 如何せん走りすぎたんだろう。蓄積された疲労は強制的に体を制止し、足も悲鳴をあげている。 瞬間、大雨のように降り注ぐ反動が体の重圧を何倍にも増幅させたような感覚を呼び起こした。 休憩を挟まなければ暫くは動けそうにないだろう。ふくらはぎが幾度も痙攣しているのが分かる。 ――――情けないな。 意気込んだ途端にこのザマとは、失笑すら浮かばない。 今の自分の姿はさぞかし無様なものだろう。意味のない疾走の末、こんな格好になっているんだから。 無理に体を起こそうとすれば苦痛が襲いかかる。現に今も、抑止からなる痛みが体を蝕んでいる。 けれど。 「……こんな、の…認めないぞ……」 自然と俺の体は動き出し、街灯を支えにして起き上がった。 足が震える。思い切り叩いて無理矢理にでも動かそうとするが、すぐにもつれてしまう。 仕方がないからこの短剣を大剣に変形させ、支え棒のようにして歩き出した。 俺に支給された武器はどんな仕組みか、ありとあらゆる剣や刀に形を変えることが出来るらしい。 尤も本来こんな使い方じゃあないんだろうが――そこは、許して欲しいな。 大剣を地面に突き刺し、一歩踏み出す。 何度も何度も、それを繰り返す。 今の自分の歩みは遥かに遅いけれど、止まってはいない。 それはつまりまだ折れていないということだ。案外、俺の意志も脆弱ではないようだ。 三度足をもつれさせたあたりで視界もぼやけてきた。けれどまだ、その歩みは止まっていない。 偽善でもいい、確かな意志を掲げた俺は――――強いぞ。 【G-7/一日目 朝】 【大木陸@学園都市】 [状態]:健康 疲労(大) 意識朦朧 [装備]:ソドラルク(大剣形態)@旧俺能 [道具]:昇華の宝玉@能力者 マジック道具@魔法少女 [思考・状況] 基本行動方針:殺しをする人間を止め、皆を救う。 1.この歩みを止めず、助けを求める人間を探す。 2.いずもやこ黒繩を探し出しす。黒繩の事は止める。 ※昇華の宝玉により肉体の回復が速まっています。 【ソドラルク】 旧俺能のオクタヴィアが所持する3m程の刀身を持つ大剣。 この大剣は現実世界に存在する剣や刀に変形させられる。 全長3m以上の大きさの武器に変形した場合、3mまで縮小される。 【昇華の宝玉】 能力者の学生服の少年の右腕に埋め込まれた宝玉。 『祝福』の属性を持ち、手にした者の肉体に絶対性を与え魔力を何倍にも高める効果がある。 単体では効果を持たないが、他の物と組み合わせることで真の効果を発揮する。 【マジック道具】 魔法少女の朝顔小雨が所持するマジック道具。 トランプやコイン、シルクのハンカチなど様々なものが揃っている。 特に異能の力などは存在せず、ただの市販品。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/140
141: レプリカ [sage] 剣槍一合、交わる。 エドワード・エクセルシア、清宮天蓋の特性は非常に似通ったものであった。起源をほぼ同じくする以上、当然の話ではある。 ただし、それらの関係は贋作と真作でもあった。贋作は清宮天蓋であり、真作はエドワードだった。 店外は本来では魔術師の域を出ない存在だったが、サーヴァント・ルーラーの外法、『英霊兵』の力を以てその身にアルトリア・ペンドラゴンのコピーを降ろしたに過ぎない。 技術、ステータス、スキル、全てが借り物。その宝具も、自身のものではない。 対して、エドワードこそ真作であった。真なるアーサー・ペンドラゴンより、聖剣の担い手として選ばれ、正統なる聖剣を振るう、真なる騎士の王であった。 天蓋の世界に当てはめるならば、エドワードは伝承保菌者、或いは擬似サーヴァントやデミ・サーヴァント……更に言うならば、現存する『英雄』と呼んで差し支えない。 「……くそっ!!」 「どうした《騎士王》! そんなものか!?」 だが。その力関係は、ほぼ逆転していた。 当然の話ではあった。このロワイヤルに向けた調整が施してあるとはいえ、天蓋はサーヴァントという超常の存在と比較して差し支えない存在なのだ。 対して、エドワードは、特別秀でた戦闘能力を持つわけではない。剣の腕では、ランスロットやガウェインと比較して……いや、そうせずとも平凡の域を出ない。 繰り出される槍撃に対して、選定の剣と化したそれで対応する。『魔力放出』を用いて打ち合うものの、その力の差は歴然であった。 打ち下ろされたロンゴミニアドを、選定の剣を以て受け止める。甲高い金属音が響き、その向こうの贋作の騎士王を睨む。 「俺はそんな大層な人間じゃない……ただ、偶々聖剣の資格を手に入れただけの、凡人だ」 「ならば都合は良いかもしれんな。最果ての槍に滾る叛逆者の殺意、先ずは収めなければ落ち着いて殺し合いも出来ん」 「その血を以てこの槍の熱を沈めてもらおうか、王よ。そして真なる王の座、私に譲って貰うとしよう」 「黙れ贋作、お前に騎士王を騙る資格はなく。その聖槍を振るうことも許されん」 ただ、その性能差へとエドワードは強靭極まりない意思を以て食らいついていった。それこそが騎士王の証であった。贋作には存在しない、王の証明だった。 だが、それすらも嗤うまでに、贋作の力は大きかった。サーヴァントとして最上級のそれの模倣は、着実に打ち合う選定の剣へと傷を入れていった。 数度の交錯。槍と剣という、単純な攻撃範囲の差を埋めながらも、エドワードは肉薄し、接近し、離れ、という銭湯を繰り返す。 確かな『技量』を持った人間同士の殺し合い。高次元の斬り合いは……然し、一旦の終わりを迎えた。 「……選定の剣が……!!」 突き出した聖槍の穂先と、選定の剣の剣先がぶつかり合い、そして選定の剣がそのまま粉砕される。 聖槍ロンゴミニアドの強固さは、エドワードもよく知るところである。故にありえないことではないし、かの贋作の強さを考えれば当然とも言える結末ではあった。 選定の剣は折れた日本刀に舞い戻る。それを握る様は……天蓋には、酷く滑稽に見えた。 「フフ……フフフ……フハハハハハ!!! どうする、剣が折れたぞ!! それで終わりか? それで終わるか?」 「いや、語らずとも。終らせてみせよう。この最果ての槍を前にして、騎士王たるお前は刺し貫かれるが必然だ」 「引導を渡そう、騎士王よ。その心臓を一突きにしてみせようか!!!」 そして、天蓋は高らかに歌い上げた。その口上は勝利の凱歌の代わりであった。そして、その槍をもう一度、エドワードへと向けて、突き出した。 それで終わる、つもりだった。この異常な殺し合いの中で、天蓋は一つ、大切な事を忘れていた。いや……それは、どんな魔術師でも、想定外に他ならないだろう。 その槍を払うものがあった。天蓋が本能的に後ろへ飛び、そして目にしてのは。光り輝く、一振りの剣であった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/141
142: レプリカ [sage] 「……まさか」 「ああ、そのまさかだ」 驚愕に見開いた赤い瞳に、エドワードは頷いた。 「……ありえん。ありえるか、そんなことが、そんなことが!!! 確かに貴様は騎士王だ、それは事実だ、私とて認めている!!」 「だが、だが、こんなことが有り得るか。今、お前の剣は砕き切った。だと言うのに!! その手に握るのは!!」 「――――――"約束された勝利の剣"」 「宝具を……創り上げたというのか……?」 ホムンクルスの白い肌を真っ赤に染めて、清宮天蓋は困惑した。 彼の世界からすればあり得ぬ事であった。騎士王の剣、約束された勝利の剣を、今、此処で、創り上げるなど、そんな事はあり得なかった。 それはもはや魔法の域に達するそれであった。神造兵器を作り上げる……それこそ。贋作には、絶対に不可能な事であった。 「驚く事もあるまい。王に聖剣は付き物だ。そして俺は聖剣に選ばれた者。俺こそが聖剣であり、聖剣こそが俺だ」 「聖剣を持たぬ俺は王ではない。そして、俺が聖剣を握る限り、俺は騎士王に他ならない」 「行くぞ、贋作。その槍、モードレッド卿に返還して貰うとしよう」 今度はエドワードから斬りかかる。然し、動揺しているとはいえ性能の時点で遥かにそれを上回る天蓋。それを見切れない筈は無く、一旦はその槍の柄で止める。 そして、しかし余裕を取り戻した。そう……その剣こそ変わったが。その実力は、変わっていないと。 「ハッハハ……ならば好都合。お前のその聖剣、奪い取ってみせようか!」 「騎士王たる英霊をこの身に宿す私の力、見誤ったな!! 聖剣を握った程度で、私に勝てると思ったか!!」 「いや、勝てる」 エドワードは断言する。そして、天蓋は疑問を浮かべる前に、Aクラスの直感がそれを理解した。その光景を、垣間見た。 そして、同時に聖剣が光を湛え始めた。聖槍にも匹敵する騎士王の剣の輝き……それが、天蓋の顔を照らしていった。 「ま、まさか、貴様……」 「そのまさかだ。喰らうがいい。真なる聖剣の輝き、その一端を以て焼き尽くそう」 全開の一撃は叩き込まない、叩き込めない。此処から、先がある。先を計算に入れるまでの余裕が、エドワードにはあった。 聖剣が光り輝く。聖槍は砕けないだろう。だが……その肉体は、果たしてその力の奔流に。耐える事はできるか? 「――――――チェックメイトだ」 教会を、光の刃が斬り裂いた。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/142
143: レプリカ [sage] ◆ 「……逃がしたか」 その場に死体も、またロンゴミニアドも残らなかった。 死体が残らないならまだしも、聖槍も搔き消えるという事はあるまい。という事は、という結論に至った。 だが、これだけやりあって再度立ち向かうだけの力も向こうには残されていないだろう、という判断を下し……取り敢えずは、戦闘を終了したと判断する。 「さて……これからどうしようか」 そういえばと、かの贋作は槍以外の物を持っていなかった事を思い出し、数分程度の時間を以てデイパックを回収する。 中身には水と食料以外の物は無かったが、それでも今は十分だろう。 後は、取り敢えずはここを離れた方が良いか。何せ聖剣の一撃は目立つ、教会の天井と壁の一文叩き斬ったのだ、誰かに見られていると考えた方がいい。 荷物を抱えて、教会を後にする。取り敢えず、考えるのはそれからだ、と。 【騎士王剣@新厨二】 【B-6/教会内/一日目 朝】 [状態]:疲労大 魔力消費中 [装備]:騎士の剣@新厨二 [道具]:基本支給品&清宮天蓋のデイパック [思考・状況] 基本行動方針:円卓の仲間と合流しつつ殺し合いを止める。仲間に出来る人間がいれば仲間にする 1.取り敢えずここから離れることが先決か 2.円卓の仲間達と合流したいところだ 3.あの男はまた現れるだろうか ※振動剣は騎士の剣に変化しました ◆ 「はぁ……はぁ、ククク、してやられたな」 騎士の剣によって焼き尽くされる直前。清宮天蓋は、全力の魔力放出を以て、その場から離脱した。 後先を考えずに我武者羅に逃走した結果、辿り着いたのは集団墓地。余りに不吉な結果に、思わず笑いすら飛び出てくる。 だが、兎に角逃げ出せたのは幸運だった。ロンゴミニアドも無事で、負傷は比較的軽く抑えられた。それならば、何とか殺す機会を、また物にできるだろう。 荒い呼吸を抑えて、何とか気配を殺そうとしていた。此処にも誰かいないとは限らない。そして……その想定は。自らの直感を以てして肯定される。 「なぁ、あんた」 「可能性って奴を、信じるかい?」 紅く染め上げられた聖剣と、世界に置き去りにされた"英雄"が。目の前に立っていた。 【清宮天蓋@聖杯】 【B-6/教会内/一日目 朝】 [状態]:疲労大 顔面半分ほどに火傷中 [装備]:聖槍ロンゴミニアド@新厨二 [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:精々殺し合いを楽しむ、勝ち残ったら運営も皆殺しにする 1.取り敢えず、今は傷を癒したい 2.騎士王の打倒はその後 3.なんだ……この男は…… ※本編終了後からです ※英霊兵としてアルトリアの能力を扱う事が出来ます ※『約束された勝利の剣』は所持していないため使用できません 【斬撃行軍@新厨二能力】 [状態]:健康 [装備]:哭雷刃@旧厨二能力 [道具]:デイパック ランダムアイテムいくつか [思考・状況]: 基本行動方針:とにかくこの殺し合いから脱出する。手段は選ばない 1."可能性"を信じるやつは殺す 2.殺して帰る 3.とにかく帰る ※まだ名簿を見ておらず、【殲滅指揮】の存在には気づいていません。 ※名簿には能力名が【軍刀闊歩】と記載されています。 ※デイパックの中身は後の書き手様にお任せします。 ※三条雪音のデイパックは集団墓地に放置されています。直接的な武装になりえないランダムアイテムがいくつか入っています。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/143
144: 悪魔の美酒 ◆r7Y88Tobf2 [sage] 「なぁ~エヴァちゃんよ、いい加減機嫌直してくれって……」 「知らんっ!……あ、あの屈辱は忘れないぞ……」 「屈辱って……たかが肩車だろ?」 街道を歩く二人、否二匹の悪魔。 エヴァとヴェルゾリッチがオンモを退けてから数時間程、彼らは意見の合致のもと協力者の捜索に出ていた。 協力者、と言ってもヴェルゾリッチにとっては同族以外の種族と行動を共にする気はないが、エヴァはそうではない。 運営の打倒を第一とし皆との結束を求める彼女にとっては、種族の違いなど微塵も気にするものではなかった。 ヴェルゾリッチにとってエヴァはこの場で初めて出会った悪魔。その意見を無視することなど、出来はしない。 よってヴェルゾリッチは不本意でありながらも、悪魔以外の種族との結束という選択を取った。 「……にしても、魔法少女ねぇ」 オンモとの激闘の最中では聞き出せなかったが、改めて聞き慣れぬ単語を口にする。 彼の世界、少なくとも海馬市では魔法少女などというワード聞いたことがなかった。 性質的に言えば人間が”契約”なる儀式を行い、常軌を逸した力を手に入れるという後天性の力だという。 尤も、エヴァージェリンは吸血鬼でありながら魔法少女という特殊な例ではあるが。 「私からすれば、魔法少女以外に君程の実力者が居ることに驚きを隠せないな……」 「おいおい……エヴァちゃんが思ってるよりずっとこの世界は広いんだぜ?」 「ふっ、そうらしいな。さっきの大男といい君といい……下手すれば魔法少女より厄介だ」 苦笑交じりに語るエヴァであったが、その心は沈んでいる。 協力者の捜索を行う前、ビルの屋上にてエヴァは参加者名簿に目を通していた。 他に魔法少女が参戦させられている事は予想はついていたが、問題はその数だ。 黒百合学院の生徒会長『藤宮明花』、魔法十二戦姫少女第一位『如月凛音』。 そして他にも『水無月水月』は藤宮明花と親しい魔法少女であると聞いている。 『北条豊穣』に至っては、魔法少女界では知らない者は居ないと称される程の変人だ。 今述べただけでも4名――そしてきっと、自分が知らないだけでもっと多くの魔法少女が参加させられている。 顔も知らぬフリューゲルスを除けば一切知り合いが居ないヴェルゾリッチとは、心の持ち方が違っていた。 「……私は、一体どうしたら……」 それ故に、エヴァの心には迷いが生まれる。 無論殺し合いなどするつもりはないが、凛音などの所謂マーダー気質の魔法少女も多数存在する。 果たして自分はそんな同族を前にして戦う事が出来るのか、一種の不安のようなものを感じていた。 エヴァは自身のメンタルがお世辞にも強いとは言えないことは自覚している。 特にこの殺し合いという状況では、そんなものふとした拍子に折れてしまうだろう。 「おい、エヴァちゃん」 「……なんだ、ヴェルゾリッチ」 そんなマイナスの思考を遮るように、隣並ぶ悪魔からの一声に身を強ばらせる。 視線を合わせるのがやっとという程の身長は、長身痩躯という言葉がよく似合うと心の中で感想づけた。 しかしそんな威圧感たっぷりの容姿とは裏腹に、エヴァの名を呼ぶその声は酷く穏やかなものだった。 「そんなしょぼくれた顔してんなよ、心配しなくとも……お前の事は俺が守ってやるからさ。 なんたって俺たち、仲間だろ?」 「…………仲間、か……」 仲間、当然の如く紡がれたその言葉が頭の中で何度も反響を残す。 エヴァの世界、即ち魔法少女の世界では各々が敵同士という状況が当たり前で、同盟はあっても仲間というものは早々ありはしなかった。 尤も、彼女の加入しているリブラス・サークルは例外だが……それでも、敵という存在の方が断然多かったのは否めない。 それに加えてこの状況だからか、エヴァはヴェルゾリッチという男を少なからず信頼していた。 勿論不満に思うところもあるが、自身のことを仲間と躊躇いなく断言する辺り傍に置いておいても問題はないだろう。 戦力においても自身と同等かそれ以上――傍目から見ても、この二人は相性のいいコンビと言って差し支えない。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/144
145: 悪魔の美酒 ◆r7Y88Tobf2 [sage] 「いいだろう、ヴェルゾリッチ……君の事を信頼してやる。 但し変なことをしようとしたら……その、怒るぞ……!」 「へへ、……了解」 変なこと、というのは当然先ほどの肩車のような事態である。 それを加味しての忠告だったのだが、ヴェルゾリッチの飄々とした様子から意図が伝わっているのかイマイチ分からなかった。 随分な曲者をパートナーにしてしまったなと、エヴァは無意識のうちに苦悶の表情を浮かべ額に手を当てていた。 「……ん、下がってろエヴァちゃん」 「なんだ、一体どうし――…!」 不意に立ち止まるヴェルゾリッチの視線の先。そこには、心臓に大穴を穿たれた女性の死体が無造作に転がっていた。 興味深そうに凝視するヴェルゾリッチは勿論、一瞬視界に入り直様視線を逸らしたエヴァでさえその遺体の惨さを理解する。 左腕は完全に折れ曲がり、右腕は不自然に凍てついている。加えて、一番酷いのは心臓部に刻まれた裂傷。 死体遊びを嗜好とする持ち主に殺められたのか、激闘の末に力尽きたのかは定かではない。 どちらにせよこのバトルロワイヤル開始から今刻までの数時間の間、つまりつい最近に死亡したのは間違いないだろう。 もし自分がもう少し早く来ていれば――そんな事を考えても仕方ないと分かっていても、エヴァは自責の念に囚われていた。 だからこそだろう。一度逸らしたはずなのに、再び遺体へと向けられた視線は囚われてしまったように固定されている。 「……一体、誰が……っ!」 やっとの思いで吐き出した疑問の言葉に、目の前の死体が口を開くことはない。 その代わりに口を開いたのは、今まさに隣で死体を鑑定している悪魔だった。 「……フリューゲルス、かもな……」 「フリューゲルス……って、お前の!?」 「ああ、同胞だ……奴は氷を使う悪魔だ。……まさかな…………」 重々しげに告げるヴェルゾリッチの視線は、一切溶ける様子の無い凍てついた右腕へ向けられている。 心臓部への裂傷、そして左腕の骨折だけならば到底犯人など特定する事など出来なかっただろう。 精々刃物を持っているという事ぐらいか――だが、この右腕を見ればぐんと候補が絞られる。 ここまで完璧に右腕だけを凍り付かせられるとすれば、自然とそれに準じた能力や魔法を持っているという事だ。 無論フリューゲルス以外にも氷の能力を持っているという可能性は、十分に有り得る。 しかしヴェルゾリッチは、フリューゲルスが「氷を使う女性の同胞」という事以外一切情報を知らないのだ。 故にその性格や人柄を知らない。この殺し合いに乗った可能性も、否定する事はできないだろう。 問題はそれを踏まえてのヴェルゾリッチの思考だ。……同胞を助けるという使命を捨てる気など、更々無い。 同胞であるエヴァは運営の打倒を、そして未確定ではあるがフリューゲルスは優勝を。 悪魔を救うという信念を貫くのならば、どちらの願望も叶えなければならない事になる。 予期せぬ壁に衝突し、ヴェルゾリッチは思わず顔を顰めた。 「ちぃっ……、……エヴァちゃん、行こうぜ」 悩んでいても仕方がない。 脳を苛む思考から逃げ出すようにそう切り捨て、死体から目を離さずにいるエヴァへ声を掛ける。 当の彼女は一瞬の間を置き「ああ」と短く答え立ち上がったかと思えば、ふと何かを思い出したように足を止めた。 疑問を抱いたヴェルゾリッチが問い掛けるよりも早く、エヴァは真剣な眼差しでヴェルゾリッチの双眸を射抜く。 「ここら辺一帯はアスファルトだ……埋葬はできない。 だからせめて、黙祷を捧げたいんだ……こんな巫山戯たゲームで失ってしまった命に」 「…………」 その言葉を聞いて、ヴェルゾリッチはまず初めに疑問を抱いた。 何故自身と同じ悪魔でない種族に対してそこまでの情を抱くのか?という、シンプル且つ単純なもの。 ヴェルゾリッチ自身人間や他種族へ敵意はないが、仲間意識や情を抱く事もない。 だからこそ彼にとって今エヴァが取ろうとしている行動は不可解でしかなかった。 「……、…………」 しかしエヴァはヴェルゾリッチの反応を待たずして、一人地に片膝を付き両手を重ね祈るような体勢を取る。 暫しの静寂が場を支配し、悪戯に時が流れる。やがてたっぷり一分ほど過ぎた頃、ようやく顔を上げ瞼を開いた。 エヴァを見つめるのはやはり無惨に殺害された女性、イムカ・グリムナーの生気を失った瞳。 未練を残した視線に耐えかねて、エヴァはイムカの瞼をゆっくりと丁寧に下ろさせた。 ■ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/145
146: 悪魔の美酒 ◆r7Y88Tobf2 [] 「終わったみたいだな」 「ああ……先を急ごう、ヴェルゾリッチ」 放置されていたイムカの支給品を一通り自身のデイパックへ詰め込み、座り込んでいた体を立ち上がらせる。 電柱に背を預けていたヴェルゾリッチが、エヴァが立ち上がるのを見計らい体を起こした。 この場で初めて遺体を目にした為か、エヴァは何処か疲労した様子に見える。 そんな彼女を気遣ってか、ヴェルゾリッチは態とらしくエヴァの隣へずい、と忍び寄り笑顔のまま覗き込んだ。 厳つい顔面が和やかな笑顔を浮かべる様子は中々に不気味だ。思わずエヴァは眉間に皺を寄せる。 しかしよくよく眺めている内に段々と可笑しくなってきたのか、堪えきれず吹き出してしまった。 「お、おいっ!人が折角元気づけてやろうとしたのに笑うこたぁねぇだろっ!?」 「ぷっ……ははっ!す、すまん……なんだか可笑しくて……!」 「む、俺の顔が可笑しいだとぉ……? そんな事言うエヴァちゃんにゃ、こうしてやるぜっ!」 「わ、わっ!?貴様、また…っ!」 いきなり腕を引っ掴まれたかと思えば、そのまま小柄な体をいとも容易く抱え上げられ肩車をさせられてしまう。 つい十分前に注意したばかりなのに懲りずに挑戦する様子は、怒りを通り越して呆れさえも湧いてくる。 しかしそれ以上に、ここが殺し合いの場だということを忘れさせてくれるヴェルゾリッチに対して感謝を抱いた。 尤もそれを口にすることなど絶対ないが、せめて心の中では礼を言っておいてやろう。 何処か偉そうな思考の基ありがとうと、届くはずのない言葉を心の中で反芻させれば小さな悪魔は普段よりずっと高い視線を楽しんだ。 人間と共に戦う事を選んだ悪魔、同族にだけ心を開く悪魔。 似ているようで全く異なる二人の悪魔はきっと、これからもその意思が変わる事はないのだろう。 もしも変わる時があるとすれば、それは――どちらかが、どちらかを喪う時だ。 その時が来るのか、或いは永久に訪れないのか、それを知る者はまだ――居ない。 【E-3/一日目 午前】 【エヴァージェリン=ナイトロード@魔法少女】 [状態]:右足に軽傷(行動に支障なし) 魔力消費(小程度) 精神疲労(小) [装備]:GGT-209 光線短銃『ナナカマド』@境界線 手斧@学園都市 [道具]:基本支給品×2 レザーアーマー@境界線 [思考・状況] 基本行動方針:運営打倒の方法を探す 1.ヴェルゾリッチととりあえず同行。 2.戦闘は可能な限り避けたい。 3.知り合いとの合流、救出。 4.如月凛音、フリューゲルスを警戒。 ※制限により、普段より魔力の消費が激しいようです。 【ヴェルゾリッチ@悪魔】 [状態]:健康 [装備]:サングラス@ここだけ悪魔が侵食する都市 [道具]:基本支給品 祓い煙草@ここだけ悪魔が侵食する都市 [思考・状況] 基本行動方針:強敵との戦いを楽しみつつ、悪魔を助ける 1.フリューゲルスを探し、危ない様子なら助ける? 2.強敵との戦いを楽しむ。できれば、真の姿になれる夜に戦いたい。 3.大男(オンモ)とは、いずれ決着をつけてぇな。 ※制限と悪魔の種族特性により、太陽の昇っている間は真の姿(悪魔時の姿)にはなれません。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/146
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