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さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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>>963 > > 四人組の一人には見覚えがあった。 > 白いコートを纏い、髑髏の指輪をはめ、赤い鞘の剣を携えた男。 > 忘れもしない、その男こそがホラーの天敵。そして個人的にも宿敵であり、怨敵である。 > > 正攻法で勝ち目は薄い。かつて戦ったことがあるだけに身に染みていた。 > できるなら関わりたくないところだが、そうもいかない理由があった。 > 近付いてくる前からひしひしと感じていた――言うなれば匂い。 > 匂いは四人の中で一番か弱そうな少女から漂っていた。 > > 芳しく香る極上の餌をぶら下げられて、みすみす逃す理由があるものか。 > だが、餌を守っているのは、知る限り最強の護衛。簡単には手に入れられない。 > さて、どうすれば突破できるだろう。 > > 女は、はたと自分の首筋に気付く。首筋には、魔女のくちづけと呼ばれる印が刻まれていた。 > 憑依されるまでの不安定な情緒、凶行にも少なからず影響していたと思われる。 > いずれは彼女も魔女の餌として、ここに赴いただろうが、中身がホラーとなっては何の意味も為さない印。 > > ホラー、魔女、使い魔、件の少女。 > 今、ただの廃墟が雑多な魔の気配で混沌としている。 > それらひとつでも欠けるか、離れたならともかく、こう密集していては、ひとつひとつを判別するのは困難。 > 特に、気配の察知能力が鋭ければ鋭いほど。 > > ならば一か八か。 > この刻印を利用して宿敵の手から逃れると同時に、少女三人を手に入れる。 > > 勝算はあった。何故なら、先頭を歩く少女には、以前から目を付けていたから。 > 夜や夕方に人気のない場所をうろつく、魔法少女と呼ばれる存在。 > お世辞にも幸せそうには見えなかったが、彼女は"破壊欲"でなくホラーの"食欲"を刺激した。 > きっと、彼女は率先して動く。動いてくれる。 > > 女はフェンスを乗り越え、外縁に両足を揃える。 > 恋人だった男には叶わなかった、自らの手で人生の幕を下ろす行為。 > その権利すら奪った女の抜け殻を被った魔獣は、男を嘲笑うように両手を広げ――空に身を投げた。 >
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