[過去ログ] さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 (1002レス)
1-

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
963: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/01/21(月)02:51 ID:CVB6/PeJo(3/4) AAS
 四人組の一人には見覚えがあった。
 白いコートを纏い、髑髏の指輪をはめ、赤い鞘の剣を携えた男。
 忘れもしない、その男こそがホラーの天敵。そして個人的にも宿敵であり、怨敵である。
 
 正攻法で勝ち目は薄い。かつて戦ったことがあるだけに身に染みていた。
できるなら関わりたくないところだが、そうもいかない理由があった。
 近付いてくる前からひしひしと感じていた――言うなれば匂い。
匂いは四人の中で一番か弱そうな少女から漂っていた。

 芳しく香る極上の餌をぶら下げられて、みすみす逃す理由があるものか。
 だが、餌を守っているのは、知る限り最強の護衛。簡単には手に入れられない。
 さて、どうすれば突破できるだろう。
 
 女は、はたと自分の首筋に気付く。首筋には、魔女のくちづけと呼ばれる印が刻まれていた。
 憑依されるまでの不安定な情緒、凶行にも少なからず影響していたと思われる。
 いずれは彼女も魔女の餌として、ここに赴いただろうが、中身がホラーとなっては何の意味も為さない印。

 ホラー、魔女、使い魔、件の少女。
 今、ただの廃墟が雑多な魔の気配で混沌としている。
 それらひとつでも欠けるか、離れたならともかく、こう密集していては、ひとつひとつを判別するのは困難。
特に、気配の察知能力が鋭ければ鋭いほど。

 ならば一か八か。
 この刻印を利用して宿敵の手から逃れると同時に、少女三人を手に入れる。

 勝算はあった。何故なら、先頭を歩く少女には、以前から目を付けていたから。
 夜や夕方に人気のない場所をうろつく、魔法少女と呼ばれる存在。
お世辞にも幸せそうには見えなかったが、彼女は"破壊欲"でなくホラーの"食欲"を刺激した。
 きっと、彼女は率先して動く。動いてくれる。

 女はフェンスを乗り越え、外縁に両足を揃える。
 恋人だった男には叶わなかった、自らの手で人生の幕を下ろす行為。
 その権利すら奪った女の抜け殻を被った魔獣は、男を嘲笑うように両手を広げ――空に身を投げた。
1-
あと 39 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.012s