SSスレ (980レス)
1-

575: 名無し三等兵@F世界 2004/10/07(木) 03:09 ID:m83KYLXs(3/3)調 AAS
アルヴァールって王家が残っていれば国民なんていくら死んでもかまわないって考えを根底に持ってるでしょ?
576: 2004/10/07(木) 03:36 ID:Ksk.yJ.Y(5/8)調 AAS
みんな、そうアルヴァールを叩くなよ
絶対王政の末期では確かに国王と国民の対立構造が出てくるけど、
アジェントのような封建体制化では王家と諸侯の対立構造の文脈で見なけりゃならんのだ。
(さらに宗教的権威もあるし。国民不在の政争であることは否めんが)
アルヴァールの優先順位は王家、国民、諸侯の順だと思うぞ。
奴隷召喚という非道に手を貸すのも、バルト以下の外圧に対するだけじゃなく、
有力諸侯に対する優位性を確保するためのものだと思うし、
でなけりゃラーヴァナ侯のような商人上がりの新興貴族に奴隷の管理を一任したりしないぞ。

それよりセフェティナがアルヴァールとの直接交信手段を持っているのが気になる。
セフェちんから連絡をつけるのは面倒そうだが、アルヴァールから交信してきたら多分一発だし、
何よりアルヴァールはセフェちんの直接の上司だ。

こうしてみると綱渡りしてんなぁアルクアイ。ファンナたんの為にもがんばってほしいもんだが。
577: 2004/10/07(木) 08:05 ID:NXgGnmrg(2/2)調 AAS
某スレで見つけた台詞

1「だまれ 生命をまっとうできるのを喜べとは何事か! 自分は死など恐れない!
最後の一兵まで戦い歴史の栄光に満ちた帝国貴族の滅びの美学を完成させるのみだ!!」

2「滅びの美学ですと? そういう寝言を言うようだから戦いに負けるのです
要するに自分の無能を美化して自己陶酔に浸っているだけではありませんか」
元ネタ(銀河英雄伝説)

アルヴァールが1のような暴言吐かなけりゃいいのですが。
578: 名無し三等兵@F世界 2004/10/07(木) 08:31 ID:8hGQZL2g(1)調 AAS
飛行船が出るならツェッペリンクラスをさらに巨大化したものを頼みたい
579: 2004/10/07(木) 19:13 ID:N6Hlvkpc(1)調 AAS
空母はだす必要あるのかな?
無理にださなくていいような
580: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/07(木) 20:24 ID:kHqoVL5Q(9/111)調 AAS
軽空母・・・どうしましょう?←オイ。
と、まあ色々考えてあったり無かったりなので・・・、その時が来たら頑張ります。

さあ、ほぼ日刊?F猿投下いきまーす!
581: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/07(木) 20:26 ID:kHqoVL5Q(10/111)調 AAS
アルヴァールはアルクアイと同意見だった。
元々アジェントにはバルトとニホンを同時に相手取る力は無い。
ならばどちらかと同盟するしかない。
ちなみにオズインと組むと言う手は問題外である。
滅び行く国と組んでは国力を浪費するだけで終わることになるのだから。
だがバルトと組むのには障害が多かった。
理由は二つ。教会と、エルフであった。
教会にことごとく反する国、バルト。これは言うまでも無い。
そしてダークエルフが首脳に居る以上エルフ達の反発も避けられないだろう。
ならばニホンと組む、これはバルト以上に障害が多かった。
召還した島々、そこに住む人々は奴隷として呼び出したものである。
そう言う見方がアジェントでは主流であった。
奴隷達と組むということがどれだけ国家や国民のプライドを傷つけるかは想像に難くない。
さらにニホンも機械を使うと言う。これにも教会は反発するだろう。
そしてよしんば同盟したとしても自分達をアジェントが召還したと知れば、恐らく東の国は敵に回るだろう。

つまり同盟する相手はバルトしかないのだ。
しかしここで自分がその意見を言っては、王家と教会との仲が険悪になる恐れがあった。
だからこそ彼はアルクアイを利用したのだ。
しかしアルクアイがこのことを言うからには、この同盟にアルクアイにとってなんらかの利益があるということである。
そしてアルヴァールはそれを黙って見過ごすわけにも行かなかった。
582: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/07(木) 20:26 ID:kHqoVL5Q(11/111)調 AAS
アルクアイの一言は場が凍らせた。
その硬直は何秒か続いた後、破裂した。
「何を考えているのだ貴様ぁ!」
その口火を切ったのは神官の一人であった。
「今の、お前の、一言は、この偉大なるアシェナ教会、いや、数百年にわたる王国の栄光を否定する言葉だ!」
「バルトと組むだと!恥を知れ、売国奴!」
「あのような神に反する者と組めるか!」
様々な罵詈雑言がアルクアイを襲った。
それだけアジェント国内でのバルトへの反発は強かった。
その中でイルマヤ候が叫んだ。
「バルトなど恐れぬに足りぬ、そのような者などオズインと手を組み叩き潰してやろうではないか!」
「そのとおりだ!」
その勇猛な言葉にハルバ候を初めとして何人かの中小諸侯が賛意の声を上げた。
「ならば!」
その言葉にアルクアイは猛然と叫んだ。
583: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/07(木) 20:27 ID:kHqoVL5Q(12/111)調 AAS
「ならば攻め入るバルトに対し、貴候らが敗れた時はどうなさるのか!」
アルクアイの叫びに対し、イルマヤ候はそれを上回る声で叫び返した。
「何を言うか、我を侮辱するのか!我々に死を恐れる兵など一人も居ない!
美しい滅びと言う物を見せつけてやろうではないか!」
「そうではない!」
アルクアイは叫んだ。
「極論すれば貴候らが滅ぶことなどどうでもよい!
貴候らが敗れると言うことはバルトの軍勢がこの王都にまで及ぶということ、
そのことに対して貴候らは責任を負えるのか!」
その剣幕にイルマヤ候はたじろいだ。
「だ、だが。東の奴隷島の彼奴らの軍勢を防ぐのは東岸の貴様らの役目であろう!
貴様は彼奴らの軍勢を防げるのか!?」
「策が無くては提案しない!」

「ほう、ならば言ってもらおうか。」
アルヴァールはあくまでも傍観者の立場で先を促した。
アルクアイも当然アルヴァールの意図には気が付いていた。
584: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/07(木) 20:29 ID:kHqoVL5Q(13/111)調 AAS
「そもそもどうやってバルトと手を組むのか。そこに全ては終始します。」
アルクアイはまた世界地図の幻を参加者達の目の前に出し、話を始めた。
「彼らと我々は遠く離れていますが、思想が大きく違い、対立してきました。
しかし多彩な思想と違い彼らの目的は一つ、肥沃な土地の確保です。
これを与えてやると言えばすぐに彼らはこの同盟に飛びつくでしょう。」
「与える土地、というのは?まさか我が領を与えるわけには行くまい。」
アルヴァールは無表情で聞いた。
すでに答えは分かりきっているだろうに、アルクアイはその余りな態度に苦笑した。
「それでは地図を見ていただきたい。
ハルバ候領の南、大森林を越えたところに肥沃、かつ広大な土地が存在します。
ここは南東の小国のために我が領土にすることが出来ない土地。ならば外交に利用するのが一番かと。」
「バカな!」
ハルバ候は叫んだ、すぐ近くにバルトが存在することになる、それだけでも怖くてたまらないのに、
今度は長年の悲願だった空白地を敵にくれてやれ、というのだ。
臆病なハルバ候でもここでは叫んだ。
「そんなもの敵を強くするのと同じことではないか!」
585: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/07(木) 20:30 ID:kHqoVL5Q(14/111)調 AAS
「話しは最後まで聞いていただきたい。」
アルクアイはそれを静かに制した。
「バルトと同盟する、その理由は別に攻められないためではありません。
敵同士を戦わせる。つまりバルトとニホンを戦わせるためです。」
「何をバカな。」
それをすぐに否定する人間がいた。
神官達に、イルマヤ候であった。
「空白地をバルトにくれてやったとしても、奴隷島は島だ。
空白地が東岸に接しない以上この二つを戦わせることは出来ないだろう。」
アルクアイはそれを黙って聞き、一言呪文を唱えた。
すると地図の一部が光りだした。
空白地の東、東岸にも接する小国群であった。
「彼らは最近我々に対する反発を増しています。もはや属国としておくメリットはありません。
ならば、この小国群の地域をバルト、もしくはニホンがとれば、この二国は国境を接します。」
ほお・・・。貴族達の間でため息がつかれた。
その雰囲気を感じ取って神官の一人が発言した。
「ニホンが小国群ではなくその北の我々の領土に攻め込んだ場合はどうするつもりだ?」
「外交によって誘導します。それに向こうも馬鹿ではない。
守りを固めた我々と、自分の国を防衛することも出来ず、我々に頼る小国群、攻め込むならどちらなら選ぶでしょう。
それに我が領とて多少の防備の備えはある、その間にバルトと共同戦線を結べばよい。」
アルクアイは答え、続けた。
「そしてバルトとニホンがぶつかった時に、我々はバルトと共にニホンを撃破し、
その後連戦に次ぐ連戦で疲弊したバルトをたいらげれば良いでしょう。
そうすればこの地域は全てがアジェントのものになります。
目障りな小国群が消え、バルト、オズイン地域が全て手に入る。どうでしょうか!」
参加者の一部が立ち上がり、拍手をした。その拍手は広がり、参加者の半分以上が拍手をし、
広間は拍手に包まれた。
その中でアルクアイはアルヴァールをはっきり見据えた。
彼を、議論の場に引きずり出そうとしたのだった。
参加者達はそれに気付き拍手を止め、皆アルクアイを見つめた。
立場を曖昧にしておきたい彼も、自身がアルクアイに意見を求めた以上、
その意見に対し答えざるを得なかった。
586: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/07(木) 20:30 ID:kHqoVL5Q(15/111)調 AAS
「・・・私は・・・。」
皆が固唾を呑んで見守る。
彼の言葉は王家の言葉。王家の言葉はアジェントの方針なのだ。
特に教会の人間の目線は刺すようだった。
「私はアルクアイ殿の方針・・・やむを得ないと思っている。」
会議場に激震が走った、そして事前に話を聞いていたアルジェン13世はギリ、と奥歯を噛みしめた。
教会の神官、教皇は目を剥き、上唇はめくれ上がり、怒りをあらわにしていた。
「このアジェントは強い!東西の二国を相手にしてもアシェナの加護を受けている我々なら勝てる!
そうではないのか、諸君!」
教皇は叫び、参加者達を見回した。
しかし参加者、特に中小諸侯達は彼と目が合うと慌てて目をそらした。
いくら国教にアシェナ聖教がされているとしても彼らは狂信者ではない。
自らの領土に戦乱が及ばないことが最優先なのである。
教皇は怒りに肩を震わせた。
しかし会議はそのまま終わりを迎えようとしていた。
587: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/07(木) 20:35 ID:kHqoVL5Q(16/111)調 AAS
投下終了です。
青島「うお、長いなこりゃ。」
佐藤「隊長、なんかもうすでに座談会限定キャラになってません?」
(PAN!)
天野「佐藤!?佐藤ーーー!?」
青島「しかしそれにしてもむさい・・・。ああ、可愛い女の子達が溢れる息抜き編はまだかー!」
セフェティナ「なんか青島さんキャラ変わってるし・・・。」
天野「そもそも息抜き編と言っても女性が出てくるとは限らんしな。」
佐藤「そうそう、見た目女のエルフ男に囲まれたホモ天国とか!」
(PAN!)
天野「佐藤ーーー!?」
588: 2004/10/07(木) 20:41 ID:0U77BVi2(9/17)調 AAS
更新乙
これかも日刊でよろ!!
589: 2004/10/07(木) 21:18 ID:IQ6e.MSs(1)調 AAS
おつかれー。こういう策謀場面はわくわくします♪
590: 2004/10/07(木) 21:18 ID:Ksk.yJ.Y(6/8)調 AAS
アルクアイ1ポイントゲット!
しかもアルヴァールにも貸しを作ってます。
なによりこれで日本との交渉を自分の下に一元化できるのが大きい。
アルヴァールに気取られずに陰謀を進められるようになってます。
帝国に日本をけしかけるフリをして、こっそり両者の仲介とかやらかしそう。
最終的には日本の手を借りて、教会の腐敗と君側の奸を討つという名目で王権を狙うんでしょうか?
王女殿下の女婿を狙えば玉座も夢じゃない!でもそうなるとファンナたんが……

これから気になるのが第三の権力、宗教勢力の動きですね。
教会の権威、魔法を握るエルフ、いずれも日本とは対立しそうな要素ですがさて……

ところでアルヴァール、読者諸兄には絶大な不人気振りですね。
もしかして、オイラと皆さんではまったく別の小説を読んでるのか?
ヴァール卿はまだ人物の裏が見えてこないからいまいち分析するには不安だなぁ
(こう略称をつければアルクアイをアル君と愛称で呼べるな、うん)
591: 2004/10/07(木) 21:33 ID:6SyshVH.(1)調 AAS
連日の投下GJ!

しかしとことん「自衛隊がファンタジー世界に召還されますた」
で良かったなぁ
米だとこの設定でも勝つのが見えてる
592: 名無し三等兵@F世界 2004/10/07(木) 22:40 ID:dUQoWPWk(1/2)調 AAS
ご苦労様、
ここで作者様がいずれ出すと約束してくれたもの一覧

ビキニ鎧といったセックスアピールの高い女性衣装
バルト帝国の硬式飛行船、通称ツェッペリン型飛行船
空母は・・・現在考えてます

(私的に国産空母を我は希望)
593: 名無し三等兵@F世界 2004/10/07(木) 23:00 ID:dUQoWPWk(2/2)調 AAS
日本に不利な要素が多すぎる。
仮に大陸に上陸したとしても現地の協力者がいなしF世界に関する知識もあまりに不足してる。
よって最悪の場合旧軍が中国に敗れたように敗退する恐れが高い。
他に疑問としてバルトの最西端の国境はウラル山脈までかとふと思った。
594: S・F (7jLusqrY) 2004/10/07(木) 23:32 ID:MSZ8PKC.(18/23)調 AAS
早くて面白いなあ。ちっくしょう。こうなってくるとオズインが哀れですね・・・
しかし逆に言えば、他の連中と違って弱いながらもフリーとも考えられます。

バルトは潰す気満々、しかし王国には無視される状況で予測される行動としては
1南方国家群と手を組み、さらに日本を軍事主力として同盟に誘う。
2食料や鉱物資源と引き替えに日本勢力を国内に呼び込む。

オズインは前門の狼・後門の虎状態ですから、壁横の勝手口から「暴れ者」を
誘って、猛獣どもの気を引くくらいは絶対にやるでしょう。ただタイム
リミットの問題がありますから、国主が無能ならダメでしょうけどね。

日本がどう取るかは兎も角、オズインがこの状況に絡むのは確実でしょうね。
更に混戦が加速していきますねえ・・・
595: 名無し三等兵@F世界 2004/10/08(金) 00:09 ID:K1U79z9M(3/8)調 AAS
バルトの目的は別に世界征服じゃないから妥協のする割合はアジェントより高いかと。
他にはそろそろ萌え話も読みたいなと思う今日この頃。
596: 名無し三等兵@F世界 2004/10/08(金) 00:54 ID:xmrrYnYY(1/3)調 AAS
妥協って・・・・・・・・日本と同盟を組んだときの事を指してるのか?
597: 名無し三等兵@F世界 2004/10/08(金) 02:23 ID:xmrrYnYY(2/3)調 AAS
現状だと日本の置かれてる立場はあまりにも過酷過ぎる。
もし人魚族(陸に上がるときは下半身を人間にするタイプ)などが近海にいて味方
してくれるならまだましかもしれないが・・・・登場する気配はなし。
日本はやっぱりバルト帝国と同盟してほしい。
アジェント王国との同盟は交渉決裂で。
F猿様、どうかお願いいたします。
598: 2004/10/08(金) 02:29 ID:Io.4x1c6(1)調 AAS
孤立したら孤立した戦いかたがあるだろ
たしかに状況は厳しいが
こういうのはピンチになればなるほど燃えていい
だから今の状況はおいしい
んで最後挽回して爽快感をだすと
まぁF猿氏に任せようではないか
599: 名無し三等兵@F世界 2004/10/08(金) 02:57 ID:xmrrYnYY(3/3)調 AAS
孤立した戦いにも限度があると思いますが・・・。
教皇がバルトとの同盟の際に妨害工作を仕掛けそうな感じ。
それに典型的な妥協を許さない狂信者みたいである意味アルヴァールよりたちが悪そうですね。
前途多難ですな・・・。
600
(1): 名無し三等兵@F世界 2004/10/08(金) 07:28 ID:EbT4fLtg(1/2)調 AAS
オズインを助けるというのも本家の政府広報課とかこれまでの話で似たようなのばかり読んだ。
だからワンパターンっぽくって読み飽きてしまった。
一味違う展開を求む。
601: 名無し三等兵@F世界 2004/10/08(金) 08:04 ID:EbT4fLtg(2/2)調 AAS
敵国の侵略を受けてる国を日本が助けるという奴ね
それじゃ日本がバルトとオズインの和平の仲介国になるというのはどうかな
602: 名無し三等兵@F世界 2004/10/08(金) 15:38 ID:5cR4Mi3U(1)調 AAS
嘉手納基地にB-52が20機ぐらいほしい・・・長距離攻撃手段として
だんだんと事態が収集できない方向に進んでいるような気がする
もう少し絞って書かないと作者自身書ききれなくなるんじゃないか?
603: 2004/10/08(金) 15:59 ID:Ksk.yJ.Y(7/8)調 AAS
あっさりバルトと日本講和したりして。でもって対アシェナ大同盟できたりして。でもってそのお膳立てをしたのがアル君だったりして。
日本のほうも赤羽がクーデター起こすとか、軍−政間癒着構造を作るとかしたりして。

アル君は日本に王国が勝ってると思ってないし、王国の政情が安定してもらっても困るわけだから、
どうしても謀反(革命という概念があるのかは謎)が起きて当然みたいに国内情勢を持っていきたいはずで、
それくらいのことはやりかねない。

ここは読者の大勢の期待を裏切って、ヴァール先生が本当に救国の英雄として
民衆に支持されるようになるとか言うパターン期待。
604: 2004/10/08(金) 16:36 ID:0U77BVi2(10/17)調 AAS
ていうか、この時点でアルクアイは日本の国力を完全に見極めていないから、
少し、戦略を修正するかもよ。
605: 2004/10/08(金) 20:04 ID:jDoErIYI(1)調 AAS
アジェントに召還されて、奴隷にされてる島の人々を開放するという名目で戦争するのは?
まぁ、解放というか鞍替えさせて税として食料や資源を徴収するとか。
島を制圧したら守りに入ってアジェントの国力を削る。
相手は木造の帆船だし、索敵能力も自衛隊の方が優れてるだろうから制海権取るのは分けないだろう。
後は沿岸に偽装させた兵を配置させて上陸を防ぐというのはどうだろう。
606: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/08(金) 22:10 ID:kHqoVL5Q(17/111)調 AAS
すんません今日の投下は無理でした・・・orz
待っててくれる人が居ると悪いので言っておきます。
607: 2004/10/08(金) 22:17 ID:0U77BVi2(11/17)調 AAS
GANBATTE
608: 2004/10/08(金) 22:32 ID:MSZ8PKC.(19/23)調 AAS
締め切りは自分で決めれば良いのですから、無理せずに創作してください。
自分も心待ちにしておりますよ。

>>600ならばオズインがバルト−アジェンド同盟を切る伏兵になるとか。
バルトとしても思想対立があるし、ダークエルフ勢力等が秘密裡に妨害工作を
行う可能性は高いでしょうから。

オズインの攻撃と言うことにして、何らかの妨害をアジェンドに仕掛けさせる。
そしてアジェンドがオズインに手を出したら、名目を付けてバルトが保護に回る
などすれば、同盟もおシャカになるかも知れません。
609: 2004/10/09(土) 01:15 ID:Ksk.yJ.Y(8/8)調 AAS
> F猿さま
それこそ戦争じゃないのだから、拙速よりも巧遅、です。
のんびり待ちます。
書かにゃならない局面も多いことですし、無理に急がず。

ここんところオズインが大人気なのは、まだ見ぬ国王陛下に期待してのことかな?
ここで一発、マッチョな体育会系の暑苦しいアニキが国王となったら読者みんな大落胆?
610: 名無し三等兵@F世界 2004/10/09(土) 01:22 ID:IjMEIWlQ(1)調 AAS
オズインの王は亜人を希望。
国ごとになんらかの特色を出したほうが印象に残るから。
611: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/09(土) 23:25 ID:kHqoVL5Q(18/111)調 AAS
大まかなプロットは最後まで作ってある分、
一番苦労してるのは投下前のコメントだったりして・・・。
しかもそれもあながち嘘じゃなかったり・・・。

それでは投下
612: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/09(土) 23:25 ID:kHqoVL5Q(19/111)調 AAS
「私達の言いたいことが分かっていただけましたか?」
「はい、ですが唯一つ聞きたい、何故あなた達は奴隷島群を私達にあけ渡そうとするのです?
それは利敵行為に値するのではありませんか?そこまでするのにはなにか理由が?」
「・・・我々は貴国に最大限協力します。
ですからアジェントと貴国が戦争になった場合、我が領への攻撃は止めていただきたい。
それが我が主の言葉です。それでは。」

アルマンたちが帰った後
日本では喧々諤々の論争が起こっていた。
アルマンたちが言った、奴隷島の解放をやるべきか否か。
やるとしたらそれは侵攻か否か。と言う問題であった。
そして政府は赤羽の強い薦めもあり奴隷島の解放論に傾いていたのだが、
ここで一つ問題が起こった。
世論と野党である。
今までこの状況を乗り切るために、挙国一致、
として袴率いる自由民権党に比較的賛意を示してきた最大野党民社党が、
この問題についてどこで聞いたのか、反対姿勢を鮮明にしたのである。
そして侵攻、という話が出れば当然出てくる人間達がいる。
自称、平和主義団体である。
閣議から一週間もたたないうちに一部マスコミもこれをあたかも侵攻のように書き始め、
世論を二分する問題となってしまったのであった。
613: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/09(土) 23:25 ID:kHqoVL5Q(20/111)調 AAS
そして、国会での審議中にある事件が起こった。
袴が機密事項を失言してしまったのである。
いきさつはこうであった。
奴隷島の解放について、袴以下自民党がその正当性を演説するのに対し、
民社党達野党はけんもほろろの態度を示し、それを拒絶した。
「いくら生き残るためとはいえ、罪も無い人々を踏みにじることが正義なのか!」
こう言う野党議員に対し、袴は言ってしまったのである。
「我々と同じように召還され他人々が、奴隷として扱われるのを黙ってみているのが何故正義なのか!」
袴が言いたいことは後半部であった、しかし前半部、つまり日本が召還された、
この事実は未だ内閣と一部官僚以外のトップシークレットだったのである。
世論は揺れた。
極端から極端に走りやすいのがマスコミである、とよく言われる。
マスコミはこの時も例に漏れなかった。
政府からでた僅かな資料でアジェントの暴虐を想像した記事を書き立てる者。
日本が召還されていたという事実を隠していた政府を徹底攻撃する者。
様々であったが、これによって議会は混乱状態となり、
まともな議論をすることが難しくなってしまったことは確かであった。
614: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/09(土) 23:26 ID:kHqoVL5Q(21/111)調 AAS
「事は急を要する。なんとかして周辺諸島を開放するための法律を通さねばならない。
 なによりもこれが出来れば大陸への足がかりとなると同時に、
万が一アジェントとの戦闘となった場合の防波堤となるのだからな。」
何度目か分からぬ閣議において袴達は当面の計画を立て始めていた。
少なくともせねばならないことは周辺の奴隷島の征圧。
ラーヴィナとの貿易ラインの確立。
そして自衛隊の組織の再編であった。
その為、この閣議には赤羽を含む自衛隊幕僚長なども参加していたのである。
「はい、それに相手外交官の言葉・・・セフェティナ嬢によって裏付けもとりましたが、
 で、周辺諸島には鉄、銅などの鉱物資源が認められています。
 確保しなければならない資源の種類には程遠いですが、
工業業界にとっては救いの手となりますし、資源の乏しい今、日本の生命線ともなりえます。」

そして、今議論されようとしていることは更に先の話。
周辺諸島の征圧、及び貿易ラインの確保が終わった後の話であった。
615: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/09(土) 23:27 ID:kHqoVL5Q(22/111)調 AAS
閣議参加者の面々の前にはそれぞれこの世界の地図が配られていた。
それぞれがそれをしげしげと眺める、全員もはやこの地図は丸暗記してしまうほど眼にしていたが。
「相手外交官によると、アジェントが攻めてくる可能性は非常に高い。
 早急な防備、情報収集及び味方作りが肝要かと思われます。」
外務省長官が発言した。
「そして、それについて今二つの案がある。」
袴は議長として言った。
「一つは・・・赤羽君。」
赤羽が声を受けて立ち上がる。
「はい。皆様、先程配った紙をご覧下さい。」
全員が紙を見る、そこには大量の文字と共に、船の設計図が記載されていた。
「これは・・・?」
軍事には疎い参加者の一人が赤羽を見た。
「はい。海上自衛隊が上陸戦力の不足を補うため設計中だった次期ヘリ搭載護衛艦、通称16DDH、
  これを軽空母として設計しなおした物です。」
616: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/09(土) 23:28 ID:kHqoVL5Q(23/111)調 AAS
会議が終わりを告げた夜。
アルヴァールは他の参加者より一足先に自室に戻っていた。
本来ならばアシェリーナ姫の元へいくところだが、そうはできなかった。
いくら養育係とはいえ、年頃の姫の部屋に夜、男が入ることはさすがに許されなかったのである。
しかし、警備上の心配は全く無かった。
彼の強力な魔力探知能力は城内程度の広さならば僅かなマナ干渉波すら感知することが出来た。
そして、夜には自室でこの彼流の警備をするのが彼の日課であった。
そして今、彼はある場所から普段はない干渉波を感知した。
「これは・・・?」
私にはその場所にもこの干渉波にも覚えがあった。
場所はアルクアイとファンナ嬢に与えられた部屋、
そして感知された干渉波は紛れも無い・・・教会の兵の象徴的武器・・・光の槍。
それが三つ・・・部屋に入っていき、弱い魔法を使った。
「この魔法は・・・睡眠魔法?」
それにより、弱々しい魔力を発する人間・・・一人、ファンナ嬢だろう、が眠らされたようだ。
そして進入した三人の内一人が、この眠った人間を連れて他の二人と別行動をとり始めた。
「そうか・・・そうきたか・・・。」
私は苦笑した。
おそらく教会はアルクアイを始末しようとしているのだろう。
そしてアルクアイが王家を揺るがす何かを企んでいる以上、
それは私にも都合が良かった。
617: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/09(土) 23:29 ID:kHqoVL5Q(24/111)調 AAS
アルクアイは、アルヴァールより遅れること約十分、自室に戻ってきた。
さすがの彼でもあれだけの大立ち回りをすれば疲労する。
ファンナには悪いがすぐに寝てしまうつもりだった。
しかし、彼は部屋の扉を開いた途端、その部屋のマナの濃さに顔をゆがめた。
マナが不自然に濃い、これは直前に魔法が使われたことを意味する。
「ファンナ?ファンナ!」
アルクアイは叫び、少女を探した。しかし、いない。
そして彼がふと机に目をやるとそこには一枚の紙切れが落ちていた。
「!」
アルクアイはそれを目にし、絶句した。

「娘は預かった。一時間以内に城の裏庭に来るように。」

なんの捻りも無い文句であったが、それだけに言いたいことは嫌と言うほどに伝わる。
大体犯人も想像がつく。
彼は又、一度脱ぎかけたマントを羽織りなおした。

廊下はひどく冷たかった、不思議とアルクアイは疲労を感じなかった。
618: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/09(土) 23:35 ID:kHqoVL5Q(25/111)調 AAS
投下終了しました。
青島「作者都合のため座談会なしだって。」
加藤「どっちにしろ新しく呼ぶような新キャラはいないからいいんじゃないかしら。」
青島「それにしてもって・・・え?」
ファンナ「えっと、はっ、はじめまして、ファンナですっ!」
青島「ああ、はじめまして。えっと、ファンナちゃんだったかな?」
加藤「(そもそも今誘拐されてなかったかしら。)」
ファンナ「はい!・・・それで、アルクアイはどこですか・・・?」
加藤「ああ、それならまだあっちでアルヴァールと睨みあってるわよ。」
ファンナ「あ、ありがとうございます!」
青島「あ、待って、ファンナちゃん、行かないほうがいい・・・って、あー。」
・・・
ファンナ「えぐえぐ・・・うー・・・怖いよー。」
青島「だから言ったのに・・・。」

ご意見、ご感想お待ちしております。
619: 2004/10/09(土) 23:38 ID:0U77BVi2(12/17)調 AAS
よっ、待ってました。日本もとうとう空母を持つんですね。
これでますます想像が膨らみますな
620: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 00:27 ID:em.07ftg(1/8)調 AAS
乙カレー。
艦載機はF-35?
>>550>>574の後半のコメントのようにすれば登場可能なはずだよ。
海上自衛隊に新型SVTOLが配備される事を願う
621: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 00:50 ID:em.07ftg(2/8)調 AAS
VTOLとS/VTOLの違いについて調べてみました。
まずはVTOLです。

用語:VTOL(Vertical Take Off and Landing plane)
和訳:ブイトール、垂直離着陸機
--------------------------------------------------------------------------------
【説明】
滑走路を滑走せず垂直に離着陸可能な能力を備えた固定翼航空機。飛行場破壊等の際にこの能力
は威力を発揮する。また、それ以外でも通常の固定翼機の場合、海上での運用は大型空母の配備
が前提となるがVTOLであれば固定翼機用の発着装置を持たない小型空母やヘリ空母及び大型駆逐
艦でも運用できるメリットがある。現在、実用機として活用されている(いた?)のは英国のハ
リアー、米国のAV-8B、ロシアのフォージャー及びフリースタイルの4機種のみである。ただし
フォージャーはすでに退役しつつあり、フリースタイルに切り替わってきている。もっともフリ
ースタイルでさえ実際には運用されるかどうか怪しいものである。
VTOL機は垂直に離着陸出来る航空機である。当然、機体重量とペイロードを足した重さを揚力に
頼ることなく離陸させるために、同じ能力の他の航空機よりはペイロードが少なくなる。また、
それ以外にもデメリットは多々あろう。では、なんのために、このような機体が生まれたのであ
ろうか?
1950年代半ばにNATO軍ではワルシャワ条約機構軍に対しての防衛上、飛行場を必要としない航空
機が必要という検討がなされた。当時のワルシャワ条約機構軍は強大であり、いざ戦争ともなれ
ば、雲霞のごとく爆撃機は飛来するであろうし、蟻のごとく戦車は攻めてくる。当然、NATO軍の
前線基地はひとたまりもないであろう。無論、全ての軍事基地や空港その他に長SAMランチャーを
多数配置し、MBT数100両を置き、並の国家の全軍事力に匹敵する戦力を配すれば問題は無い。し
かしながら、それは現実には不可能な絵空事である。結局、考えられた戦術構想としては「前線
には大規模固定基地を設けない」というものであった。だが、無防備というわけにはいかない。
多数の隠蔽された小基地にMBTや航空機を配備すれば、特に防衛処置を施す必要はないし、そこへ
敵が攻めてきたならば撤退し、他の方面へ攻撃がなされた場合はその基地から出撃するというも
のであった。
そして、1969年に世界初の実用VTOLである「ハリアー」が生まれ、上記の構想通りに運用されるよ
うになった。また、その後、西側にある兵器と同じ種類を全て揃えたがるソ連もフォージャーなる
紛い物を作ったが、成功はしていないようである。
ちなみにVTOL機といえど運用上はS/VTOLである。それはVTOLよりも運用上のメリットが大きいから
である。そして、フォージャーも真似てS/VTOLにしようとしたが、リフトエンジン方式のためにか
なり苦労していた。結局S/VTOLが出来たらしいが出来た頃にはすでに退役まじかであった。
622: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 00:53 ID:em.07ftg(3/8)調 AAS
次はS/VTOLです。

用語:S/VTOL(Short and/or Vertical Take Off and Landing plane)
和訳:短距離離陸垂直着陸機
--------------------------------------------------------------------------------
【説明】
短距離滑走で離陸でき着陸時には軽くなったために垂直で降りられる能力を備えた固定翼航空機。
V/STOLとも呼ぶ。飛行場破壊等の際にこの能力は威力を発揮する。また、それ以外でも通常の固
定翼機の場合、海上での運用は大型空母の配備が前提となるがS/VTOLであれば固定翼機用の発着
装置を持たない小型空母やヘリ空母及び大型駆逐艦でも運用できるメリットがある。現在、実用
機として活用されているのは英国のハリアー2、米国のAV-8Bのみである。かつてはロシアのフォ
ージャーやフリースタイルもこの能力があった(欲しかった?)らしいが真の実用化には至ってな
かった。

VTOL機は垂直に離着陸出来る航空機である。当然、機体重量とペイロードを足した重さを揚力に
頼ることなく離陸させるために、同じ能力の他の航空機よりはペイロードが少なくなる。また、
それ以外にもデメリットは多々ある。詳細はVTOLの項を参照。

で、デメリットであるペイロードの少なさを少しでも解消しようとして生まれたのがS/VTOLで
ある。少しの滑走距離でもある程度の揚力は期待できるため理論上はかなりペイロードは伸び
る。また、実戦では必ずしも垂直離陸性能が欲しいわけではない。無論、あったほうが便利で
はあるがそれよりも1トンでも多くの爆弾を積めるほうが重要である。

ということで開発段階ではVTOLの概念はあったもののハリアーが実戦配備された時点ではすで
に世の中の趨勢はS/VTOLであった。
623: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 01:00 ID:em.07ftg(4/8)調 AAS
そして今実用化され、量産配備されようとしているのがF-35なのです。
詳しい事は下のを見てください。
外部リンク[html]:www.f5.dion.ne.jp
624: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 01:21 ID:em.07ftg(5/8)調 AAS
今更だがバルト騎鉄団ってアメリカ騎兵隊にそっくり
625: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 01:40 ID:em.07ftg(6/8)調 AAS
キターーーーーー!!!(・∀・)
いよいよ開戦まで大詰めですな!
本格的な戦争が始まる前に許可もらった青島がセフェティナに街を案内する・・・は無理だわな。
話のまとめ方がうまい!とにかく続きを期待。
626: 2004/10/10(日) 01:55 ID:tGktNScU(1)調 AAS
16DDHの艦名が気になるところですな
進水式が楽しみです
627: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 02:27 ID:em.07ftg(7/8)調 AAS
>>622
622ですが今更になって間違いがあったのに気付きました。
改訂しておいたのを投下しておきます。すいませんでした。

次はS/VTOLです。

用語:S/VTOL(Short and/or Vertical Take Off and Landing plane)
和訳:短距離離陸垂直着陸機
--------------------------------------------------------------------------------
【説明】
短距離滑走で離陸でき着陸時には軽くなったために垂直で降りられる能力を備えた固定翼航空機。
V/STOLとも呼ぶ。飛行場破壊等の際にこの能力は威力を発揮する。また、それ以外でも通常の固
定翼機の場合、海上での運用は大型空母の配備が前提となるがS/VTOLであれば固定翼機用の発着
装置を持たない小型空母やヘリ空母及び大型駆逐艦でも運用できるメリットがある。現在、実用
機として活用されているのは英国のハリアー2、米国のAV-8Bのみである。かつてはロシアのフォ
ージャーやフリースタイルもこの能力があった(欲しかった?)らしいが真の実用化には至ってな
かった。
VTOL機は垂直に離着陸出来る航空機である。当然、機体重量とペイロードを足した重さを揚力に
頼ることなく離陸させるために、同じ能力の他の航空機よりはペイロードが少なくなる。また、
それ以外にもデメリットは多々ある。詳細はVTOLの項を参照。
で、デメリットであるペイロードの少なさを少しでも解消しようとして生まれたのがS/VTOLで
ある。少しの滑走距離でもある程度の揚力は期待できるため理論上はかなりペイロードは伸び
る。また、実戦では必ずしも垂直離陸性能が欲しいわけではない。無論、あったほうが便利で
はあるがそれよりも1トンでも多くの爆弾を積めるほうが重要である。
ということで開発段階ではVTOLの概念はあったもののハリアーが実戦配備された時点ではすで
に世の中の趨勢はS/VTOLであった。
628: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 03:40 ID:em.07ftg(8/8)調 AAS
オスプレイも出すのなら軽空母の早期警戒機に最適。
翼の両端に付けたエンジン部自体を90度上向きにして垂直上昇し、上空でエンジ
ン部を徐々に前向きに戻して水平飛行で前進する、というもの。
プロペラを前に向ければ通常の航空機だから、ヘリよりも速度・航続距離・載貨重
量・防御、運動性、その他性能が上。
折り畳み格納も可能で最高速度は約510kmほど。
航続距離は1000キロメートルで空中給油による延長すら可能。
ヘリの三倍の積載量乗員以外に24名の完全武装兵員を搭乗させた陸上強襲任務もできる。
沖縄の嘉手納基地あたりに既に配備されているらしい。
このスペックを見てもドラゴンに襲われた時を考慮しても充分に逃げ切れる。
何故ならドラゴンに乗って旋回する場合などは200Km/h4G旋回すなわちジェットコ
ースター程度が限界だと本家12章で解説されてた。
そもそもあんな姿勢で乗っていたら体がもたないという意見。
629: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 05:57 ID:JkVTwjH.(1/2)調 AAS
世界の妄想艦船のモデルになってる絵からだと露天駐機も含め艦上戦闘機26機を搭載可能となってますな。
しかしよく書き込まれていますね。発艦や着艦だけでなく塩害対策までちゃんと考えて書いてる。
艦命は『しょうかく』というのはどうでしょうかね。
630: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 06:02 ID:JkVTwjH.(2/2)調 AAS
ヘリ空母なら設計し直す必要は・・・ないよな
631: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 14:47 ID:GTic17cA(1/2)調 AAS
本家は現在荒れてるからここが唯一の希望ですわ。
今日と明日は休みだから執筆も進みますかね?
これまでの話をもう一度読み直しながら待たせていただきます。
632: 2004/10/10(日) 15:41 ID:Jil70bVg(1)調 AAS
進水から就航までどれくらいかかるかな
突貫工事すれば半年くらいでいけるかな?
633: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/10(日) 15:48 ID:kHqoVL5Q(26/111)調 AAS
うあ、ちょっと悪いことしちゃったかもな・・・。
とにかく投下。
634: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/10(日) 15:49 ID:kHqoVL5Q(27/111)調 AAS
王都の冬はひどく冷える。
雪を踏みながらアルクアイは裏庭へと急いだ。
奇襲を警戒し辺りを見回す、が誰も居ない。何の気配もしない。
そして裏庭へとついた時、そこに居たのは二人の仮面をつけた男であった。
その手に持つ槍は「光の槍」、魔法の道具の一種で巨大な槍でありながら棒切れを振り回すような
攻撃が可能であり、任意に一瞬で気絶するほどの雷を帯びるというシロモノであった。
そしてこれを持つという事は教会の特別兵、合法的に殺人をする権利を教会から下された人間達であった。
「来たか・・・。」
仮面の一人、こちらが上司なのだが、が言う。
「こちらの要求は唯一つ、貴様の死だ。」
「ファンナ様はどこだ。」
「貴様はこれから我々の攻撃を避ける権利は無い、我々に敵意を向ける権利も無い、
これらをした場合はその瞬間に仲間に娘を殺させる。
そして一時間以内に我々が戻らない場合も殺すように言ってある。」
アルクアイの言葉を無視し仮面は淡々と続けた。
もう一人の仮面が槍を構え、嘲笑うような調子で言った。
「忠実なアルクアイ殿なら死んでくれるだろう?」
アルクアイはニヤリ、と笑った。
635: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/10(日) 15:49 ID:kHqoVL5Q(28/111)調 AAS
「神の為なら人質をとって邪魔者を暗殺せよ、そんなことが経典に書いてあった覚えは無いが。」
「なにっ!?」
槍を構えた仮面が怒った様な声を出した。
それをもう一人が黙って手で制す。
「悪いが魔術院を主席で出たような人間を暗殺する自身は無いのでな、
念には念をと言う奴だ。さて、もうおしゃべりは終わりだな、やれ。」
「はっ!」
槍を構えた仮面が嬉しそうに返事をし、槍を振りかざした。
「!?」
その瞬間、殺意を感じ冷静なほうの仮面はいきなり後ろを振り返った。
ギョポッ。ゴトッ。
何か液体が溢れるような音と重い物が落ちるような音がした。
血が雪の上に舞い散り、その白い絨毯を赤く染めた。
「は・・・。」
後ろを振り返った仮面は共振通信を繋ごうとした、
しかし彼の首はもうすでに大きな口を開け血を吐き出し続けていた。
636: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/10(日) 15:50 ID:kHqoVL5Q(29/111)調 AAS
仮面は確実に殺したと思っていた、
相手は避けることが出来ない。
この美しい銀色の槍が相手の心臓を一突きにし、自分は暖かい鮮血に濡れる、
そして自分は教会で神の栄誉と大量の富を受ける。
そのはずだった。
しかし何かがおかしい。
自分はただ、アルクアイに軽く体当たりするだけに終わっていたのだ。
それどころか、槍を持っている感触が無い。
慌てて手を見て、仮面は叫んだ。
「ああああああああああっ!?腕がっ、腕がないいいいいっ!?」
共振通信を繋ごうとする、が、それをする篭手はもうすでに自分の腕と同じく地に横たわっていた。

「痛みは無いだろう、そのようにやらせたのだから。
それともなんだ、まさか暗殺者が待つ場所に一人で来るとでも思ったのか?」

アルクアイは薄い笑みを浮べ、地面でもがき苦しむ仮面を見、そして視線を上げた。
「ご苦労だったな、ゼナ、ロア。」
アルクアイの視線の先には美しい女性、そして白髪の痩せた男が立っていた。
637: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/10(日) 15:51 ID:kHqoVL5Q(30/111)調 AAS
「お怪我はありませんか?」
「いや、服が汚れただけだ、だが殺すなと言ったはずだが、ゼナ。」
「一人はこちらに寸前で気が付いたようだったので・・・申し訳ありません。」
「まあ、良い。だが死体の処分をしておけ。・・・ロア。」
「はっ。」
白髪の男がアルクアイを見る。
この男、元々はアルクアイの命を狙った狂犬であった。
しかしこの男の腕に目をつけたアルクアイはこの男を殺さず、薬抜きをして自らの部下としたのである。
その為、ロアのアルクアイへの感謝は大きく、同じ命を顧みない者でも、
表向きの部下も勤めるゼナとは違い完全な闇の仕事を行う男であった。
「この男からファンナの居場所を聞きだせ。」
「手段は?」
「選ぶな。」
「了解しました。」
ロアが地面でのた打ち回る仮面を軽く持ち上げた。仮面が小さくうめき声を上げる。
ちなみにこの仮面、この「手段」によって、次の日の朝には人かどうかも判別できぬ
肉の塊になり王都の教会の前に転がることとなる。
「アルクアイ様はどうなさるので?」
ゼナがアルクアイに聞いた。
「先にファンナを探す。・・・三十分以内にこちらにファンナの居場所を連絡しろ。」
「・・・。」
ゼナは黙り込んだ。普段の返事が無いのをアルクアイは不審に思った。
「どうした?」
「・・・この際、ラーヴィナ候の血筋は全て絶っておいたほうが良いのでは?」
ゼナからはアルクアイの表情は暗くて見ることは出来なかった。
638: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/10(日) 15:53 ID:kHqoVL5Q(31/111)調 AAS
赤羽の説はこうであった。
軽空母を用意し上陸戦力、迎撃戦力を整える。
アジェントに近い奴隷島に基地を作り、そこに戦力を結集。
敵の先行部隊を発見し次第殲滅し、同時に軽空母を中心とした上陸戦力をもって、
ラーヴィナの北、前の世界で言う満州地域に侵攻。
そこを足がかりとして、敵が日本の近代兵器に対する対策を編み出さない、
そして防衛準備を固めない内に王都まで一気に攻め込み、制圧。
これが彼の考えた計画であった。

「ちょっと待ってくれたまえ。」
赤羽のを説を聞き終わり、酒井外務大臣が発言した。
「こんなこと、世論が許すはずは無いだろう。
それにこの資源の乏しい状況下で空母を運用する力がどこにある?」
この発言は面々の中でも特に穏健派たちの心を捉えた。
どれだけ良い戦略であっても長い平和の中に居た戦争を知らない人間にとっては
戦争に日本が突入する、それだけでも恐怖なのだ。
この発言を皮切りに次々と穏健派たちから反対意見が上がった。
「ちょっと待ってください。」
それを袴は制し、外務大臣の方へ目を向けた。
「それでは二つ目の案を。」
「はい。」
酒井外務大臣が立ち上がった。
639: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/10(日) 15:53 ID:kHqoVL5Q(32/111)調 AAS
「皆様、地図をご覧下さい。」
酒井は皆の見える位置にある巨大な世界地図の前に立ち、小国群地域を指差した。
「ここが小国群地域となっていることはご存知でしょうか。」
面々はうなずく。
酒井は指をつつと地図上で西に動かし、空白地へと持ってきた。
「では、ここが誰も支配していない空白地域になっている、ということもご存知でしょうか。」
面々は再びうなずいた。
「セフェティナ嬢、相手外交官によるとここは肥沃な土地だそうです。
ならば何故ここがだれにも支配されなかったか。その原因が、この小国群とアジェントにあります。
皆様、お手元の資料をご覧下さい。」
面々がその資料に目を通したことを確認すると、酒井は続けた。
「この資料に記載したとおり、アジェント王国とこの小国群、これらは盟主と属国の関係にあります。
しかし、この二つの間の関係は宗教問題、この空白地の問題などにより険悪となっており、
我々はここを切り崩すことが可能と見ています。」
アジェントと小国間は今、アシェナ聖教を国教化するのを強制したり、
空白地の問題で小競り合いが起こるほど険悪になってきている。
だからこそ、日本が狙うのはこの小国群の日本の属国化、
つまりはアジェントから日本へと盟主を鞍替えさせることを狙うべきである。
こうすることによって戦争を起こさずに大陸に足がかりが出来、
そして小国群に何らかの見返りを与えることでその西にある空白地を手に入れることが出来る、
そして更にその後のアジェントとの戦闘では大陸での戦闘となり、本土への被害もほとんど無くて済む。
というのがこの説であった。
640: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/10(日) 15:55 ID:kHqoVL5Q(33/111)調 AAS
この説には自衛隊を除く閣議のほぼ全員が賛意を示した。
「少々待っていただきたい。」
その劣勢の雰囲気に赤羽は言った。
「もし、空白地や小国群で戦闘が起こった場合、
先程の案では海上支援が受けられない状態で戦うことになる。
あなた方は我々に部下を殺せとおっしゃっているのですか?」
赤羽の言葉に酒井は少々ムッとして言った。
「何をおっしゃる、そちらの説のほうがより好戦的ではないのか。」
「いや、我々の説は最終的な戦闘量は少なくて済む。
それに空白地の位置からして、森の為北からの攻撃は無いとしてももし西からの攻撃を受ければ、
北東からのアジェントと挟み撃ちにあう可能性があるではないか。」
「それはありえないだろう。」
酒井は笑った。
「もし、空白地の西から攻撃してくるようなことがあったらそれはバルト帝国だ。
バルトとアジェントが同盟するなどありえないということはセフェティナ嬢の態度を見てもよくわかるだろう?」
赤羽は言葉に詰まった。
もはや二つの説のうちどちらが選ばれるかは明白な状況であった。

「な、ならばせめて空母の運営が可能になるまで待って欲しい。
海上からの威圧が無い状態で、内陸に孤立した拠点を作るのは危険すぎる。」
赤羽の孤軍奮闘を助けようと海上幕僚長は言った。
「空母が運用可能となるまでどんなに早くてもおよそ半年、そんなに待っていては機を逃しかねない。」
しかしその言葉もいとも容易く撥ね付けられ、赤羽は奥歯をギリと噛みしめた。
そして軽空母案は宙ぶらりんとなったままその会議は終わりを迎えた。
641: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/10(日) 15:58 ID:kHqoVL5Q(34/111)調 AAS
投下終了です。
青島「あんだけ期待させるような書き方しくさって・・・。」
加藤「ほんとに・・・。軽空母に乗れると思ってすこし期待してたのに・・・。」
青島「あんた陸自じゃなかったっけ・・・。」
加藤「良いのよそんな細かいことは。」
青島「細かくも無いと思う。」
投下終了しました。
 (;´Д`)  スミマセンスミマセン
 (  八)
   〉 〉

 (´Д`;)、  コノトオリデス
   ノノZ乙
642: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 18:30 ID:tT.JKFdY(1)調 AAS
今まで一番早い投下ですが。
しかし・・・け、軽空母出さないんですかーーーー!!!!
ショックです。帰って寝るぽ・・・・・・・_| ̄|○
643: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 19:15 ID:GTic17cA(2/2)調 AAS
なんじゃこりゃー!(太陽に吠えろ風に)
赤羽が以外にも敗北したのは新鮮な感じで良かったがここまで期待させておいてそりゃないでしょー!
せめて裏で密かに強硬派議員や在日米軍と結託して建造しててくれ・・頼む
644: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/10(日) 19:33 ID:kHqoVL5Q(35/111)調 AAS
IDが表示されるんじゃ書きにくくなるな・・・。

アルヴァール「いや、空母は出すつもりだが、時は「今」じゃないということだな。」
赤羽「お前に何が分かるっ!」
645: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 20:13 ID:Ha0ckGKo(1)調 AAS
アルクアイパートは意外にあっさりと終わりましたな。
もっと長くなるのかと思ってましたが。
なお空母は時間がかかりますから早く造ってしまうべきです。
許可をもらってからと時間をかけてるとズルズルズルと登場の先延ばしになってしまいますよ。
あらかじめ完成させといて登場時期を見極めさせるべきじゃないですかね。

F猿さん、他に小説ですが別の場所に移す事も考えてはどうでしょうか。
あるいは管理人さんにID非表示に戻してもらうようにメールを送ってみましょう。
私もこれからメールを送ってみる予定なので。
646: 2004/10/10(日) 20:23 ID:1oM80kCU(1/2)調 AAS
F猿さん乙です。
日本は空白地狙いできましたか。
しかし、西の方にあるというし補給が追いつかなくなり陸の孤島になりそうな気も。
647: 名無し三等兵@F世界 2004/10/10(日) 22:12 ID:FLSsRkXQ(1)調 AAS
その海路を守るために軽空母が必要になったりして
648: 2004/10/10(日) 22:33 ID:Gqg9QasQ(1)調 AAS
設定しだいじゃキTか23ッツなら問題なく出せる。
ちなみにこれは中身つきの揚陸艦や原潜にも言えることだったりする。
何か問題は?
649: S・F (7jLusqrY) 2004/10/11(月) 00:10 ID:MSZ8PKC.(20/23)調 AAS
幻の軽空母計画乙です(笑 まー出られないもんは仕方がないですね。あとあと
出すキーワードになるのは、「突貫工事」「真田さん」でしょうか?

そういえば>>565氏が「20で少女は無理では・・・」と書いていましたが、
精神面の事だと自分は解釈しました。14で結婚すら珍しくない中世風世界で
(F猿氏の世界観だと分かりませんが)20なのにアルクアイへのあの態度。

恐らく乳母日傘、蝶よ花よで生きてきて男性経験もないのでしょう。だから
20歳の少女という表現は、そういう意味では通るかと。

さて、アルクアイの思う壺に日本は動いている訳ですが、どこかで転換点は
有るのでしょうか?
650: 名無し三等兵@F世界 2004/10/11(月) 02:06 ID:.IJJ0kGY(1)調 AAS
世間知らず箱入り娘ということか・・・彼女はわかってんのカナ?
自分のためにアルヴァールが策謀を行いまた異世界の人間を奴隷にして苦しめているという事を。
651: 2004/10/11(月) 05:52 ID:1oM80kCU(2/2)調 AAS
奴隷がF世界で一般的なら特に気にもしないと思うが。
アジェントじゃ異世界人なんて物同然でしょ。
言い方が悪いが、一年毎に新しい奴隷を供給できるんだから。

アルヴァールが居なけりゃ王家は成り立たないし、日本を召還するまでは王家にとっちゃ正に神だよなぁ。
652: 名無し三等兵@F世界 2004/10/11(月) 07:06 ID:u.TsPqcs(1)調 AAS
アシェナ聖教の中枢があるアジェント王国だが他の国と比べても一番悪役っぽい印象だね。
エルフ達はこれに疑惑を抱く事はないのだろうかね?
それとも心の中では侮蔑している人間達の事なんて関係ないと思ってるのか?
でも話の最初で市場でエルフが普通に人と交流してるんだよね。
なお大森林ってエルフ達の領土・・・別の言い方をすれば自治区みたいになってるのと疑問。
653: 名無し三等兵@F世界 2004/10/11(月) 10:46 ID:K1U79z9M(4/8)調 AAS
奴隷制度が行われている頃の、南北戦争前のアメリカみたいなものだな・・・
違う点といえば王国にはリンカーンのような人間がいないということだ
654: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/11(月) 14:49 ID:kHqoVL5Q(36/111)調 AAS
さてさて、投下開始いたします。
655: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/11(月) 14:49 ID:kHqoVL5Q(37/111)調 AAS
「ゼナ。」
しばらく黙りこくった後、アルクアイはゼナの方を見ることもせず言った。
「はっ。」
「あれはな、私がまともな人間である唯一の証拠なんだ。」
「え・・・?」
それ以上言葉を口にせず、アルクアイは歩き出した。
ゼナはアルクアイの言った言葉の意味が分からず、ただ立ち尽くすだけであった。

ざくっ、ザクッ。
俺は当ても無く歩いていた、まだファンナの居場所については報告が無い。
あの仮面の男もなかなか根性のある男だったようだ、
どちらにせよ、まずは城内に戻ることが先決だった。
まさか人一人を抱えた人間が番兵の見張っている門から出るわけがあるまい。
ザクッ。
自分の前方から同じように足音がするのを感じ、アルクアイは足を止めた。
それと同時にアルクアイは強烈なマナの干渉波を感じ横に飛びのいた。
と、同時に火球が今まで彼の居た場所を貫くようにして、飛んでいった。
火球は壁に当たることも無く、どこまでも飛んでいった。
「よく、かわしたな。」
アルクアイは声のするほうを見据えた。
そこに居たのは、ファンナを抱えたアルヴァールであった。
656: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/11(月) 14:50 ID:kHqoVL5Q(38/111)調 AAS
「何故だ?」
ファンナを受け取り、木の根元に寝かせながらアルクアイは言った。
「それはこの娘を助けたことか、今の攻撃か、どちらの行動に対してだ?」
「両方だ。」
ファンナの身体に積もり始めた雪を払い、そしてアルヴァールを見る。
「この城の中ではあらゆる罪を見逃すわけにいかん。そして今、王家のためにお前を殺す。」
アルヴァールの足元の雪が弾け、舞い上がる。
「!」
アルクアイは慌てて数歩下がった。
が、もうすでに彼の頭には勝算が存在しなかった。
腕に自身はある。だがゼナとロアがこの場に居たとしても
一人で十万の兵に値すると言われる目の前、男が本気で自分を殺そうとしている以上、
生き延びられる望みは薄かった。
「ファンナの件、とりあえず・・・礼を言っておこうか。」
「死に行くものに礼をされる筋合いは無い。が、この娘の命は保障しよう。」
フ・・・。
お互いの口許が微笑で歪んだ。
「止めだ。」
アルヴァールは構えを解き、言った。
「な・・・何?」
アルクアイは拍子抜けし、アルヴァールを見た。この男は一体何を考えているのか。
アルヴァールは自分のマントを翻した、そこには竜と剣をかたどった王家の紋章が鮮やかに染め抜かれていた。
「私は王家のためならば姑息な手も使おう、だが、王家の名にかけて外道に落ちる気はない。
それに、今お前を殺せばこの娘は自分がさらわれたせいだと思うだろうからな・・・。」
「随分と甘いことを言う。」
アルクアイが憎まれ口を叩くとアルヴァールは笑った。
「とりあえず、今日の会議の件、礼を言っておく。が、いつまでも自分の思い通りになると思うな、小僧。」
踵を返し、歩いていくアルヴァールの背中を見て、アルクアイはただ立ち竦んだままであった。
キン・・・キン
共振通信が繋がる。今更になって仮面は情報を吐いたようだった。
657: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/11(月) 14:51 ID:kHqoVL5Q(39/111)調 AAS
それから約三ヶ月。
日本は周辺の奴隷島の解放をほぼ終えていた。
アジェントはこれらの島々にほとんど兵を置いておらず、
はっきりいってしまって、この作業はあっけなかった。
支援物資と武器を携え、緊張してやってきた自衛隊員を、島民達は呆然とした眼で見つめていた。
もはや新たな外敵に抵抗する気力すら無かったのである。
「これは・・・ひどい・・・。」
そこで隊員たちが見たものは、略奪されつくし、破壊されつくした村々であった。
「アメリカ大陸発見後のネイティブアメリカンの村の様な物だ、
話には聞いていたが、実際に見るとひどい物だな。」
しかし、最初は警戒していた島民たちも、自衛隊員たちの持ってきた支援物資の山を見ると、
すぐさま警戒を解いた。
それどころか、すぐに歓待の宴を開き、日本の自分達への処遇を聞くと
嬉し涙を流しながら恭順を示したのである。
余程アジェントの略奪はひどい物だったのだろう、これらの反応は何処の島でもそう変わりは無かった。
そして自衛隊は早速これらの島々のいくつかに基地の建設を開始したのである。
更にこれにはもう一つメリットがあった。
これらの島々の凄惨な状況やその写真が、世論を積極派に大きく動かしたことである。
そしてこれらの状況を救った政府に対する支持率も上がりつつあった。
658: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/11(月) 14:52 ID:kHqoVL5Q(40/111)調 AAS
もう一方、ラーヴィナとの貿易も順調に始まっていた。
日本側の主な輸出物は鉄、セメント、そして酒であった。
向こうの品物に比べてはるかに質の高い鉄は軍事利用が危惧されたが
輸出物の不足のためにやむなく輸出され、
セメントは硬く、利用も応用が利く建築物質として好まれた。
しかし一番意外かつ、重宝なのは酒であった。
酒があらゆる儀式で使われ、国民も皆酒好きのこの国において、
蒸留酒で強い日本の酒は貴族垂涎の代物で、非常な高値で取引されたのであった。
それに対し、ラーヴィナからは様々な資源、食料が輸出され、
日本の産業もようやく息を吹き返し始めていた。
そしてこの貿易で最も利益を得ていたのはラーヴィナであった。
彼らは日本の品物を輸入し、アジェント全土に売り、
アジェント全土から輸入した品物を日本へと輸出する中継貿易を行っていたのである。
そしてこれによる差額でラーヴィナは莫大な利益を得ていた。
そしてこの貿易はある重大な状況を引き起こし始めていた。
この貿易で、アルクアイは市場よりも高い値段で輸出のための食糧を買い集めた、
そのために諸侯達は争って税を厳しくした上、食糧を買い集めたのである。
貨幣は食べることができない。これは農民達に深刻な食糧不足を引き起こし始めていた。
そうして貿易で得た利益によって税を軽くしていたラーヴィナ以外では、
アジェント国民達の不満が徐々に高まり始めていたのであった。
659: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/11(月) 14:52 ID:kHqoVL5Q(41/111)調 AAS
一方、バルトにはアジェントからの使者が何度も使わされていた。
まだ若いエグベルト8世は重要な判断をすることになったのだ。
「アークス、バグマン、どう思う?」
「はい、私達ダークエルフ、ドワーフの種族としては反対です。
ですが、バルト帝国大臣としては、これは願っても無い申し入れだと思います。」
バルト帝国とオズインとの戦争は膠着状態に陥っていた、
しかしそれは消耗戦になっているというわけではない、
これからの戦争においての兵力の不足を危惧したバルトが兵をひいたからであった。
そしてバルトは一種の妥協策を考えていた。
それはオズインとの講和であった。
別にバルトはオズインの土地が欲しいわけではない、
アジェント南の空白地とオズイン西のバルト領を結ぶ通り道と言うだけなのだ、
そして今考えられているのはオズインの西部割譲であった。
バルト帝国は占領地を直接統治することはしない、
割譲されたオズイン西部もオズインに今まで通り、統治を任せる予定であった。
「この同盟が結ばれればオズインは危機に陥ります、
となれば今論議中の講和にもすぐに乗ってくるでしょう。」
「ええ・・・なによりもう戦争をしなくて済むかもしれない。」
エグベルト8世は呟いた
アークスはその様子に彼女が僅か16の少女であることを思い出し、同情した。
そしてまた若くして逝ったエグベルト7世をつくづく惜しく思うのであった。
660: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/11(月) 14:53 ID:kHqoVL5Q(42/111)調 AAS
日本と小国との秘密裏の交渉も順調に進んでいた。
最初は所詮召還された奴隷島と日本を見ていた小国群も、
日本の持つ自衛隊の艦を見るとその考えを改め、この客を迎え入れた。
小国群にとってもアジェントが信用できなくなっている今、
このまま我慢して従うか、それとも団結してアジェントに立ち向かうかを決めかねている時であり、
この自らを盟主にしないかという強力な軍事力を持つ国の登場は棚から牡丹餅であった。
しかし得体の知れぬ国家をいきなり盟主と仰ぐわけにもいかない、
そのため今は小国群地域への自衛隊基地と飛行場の建設にとどまり、
(といってもこれも日本の観点からすると許可されたのが意外だったのだが)
今は友好を深めると同時に小国がアジェントからの保護を願う、と言う状況であった。
そして多くの自衛隊機地建設と同時に、自衛隊組織の再編も行われた。
そして海自では異界方面隊という方面隊が新設され、
赤羽が若さ故のタフさとその優れた手腕を買われ司令に任命され、軽空母の建設を開始した。
そして青島もまた、この異界方面隊に編入されたのであった。
「ここが・・・異世界・・・。」
青島はそして、初めて異世界の土を踏んだ。
風は故郷と変わらず優しく自分に吹きつけていた。

二章 糸冬
661: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/11(月) 14:54 ID:kHqoVL5Q(43/111)調 AAS
投下終了しました。
二章にお付き合いいただき有難うございました。

これからはやっと三章息抜き編なのでしばらく青島主人公の気の抜けた話が続くかと。
ではご意見、ご感想お待ちしております。
662: 名無し三等兵@F世界 2004/10/11(月) 17:13 ID:2aCdNJ8k(5/6)調 AAS
え!?駐留軍みたいなのはないのですか?
だって島にある鉱山の採掘場にはせめて警備隊ぐらいはないと安全に採掘できないんじゃ…
なんだか拍子抜けしてしまいましたよ。
外伝のほうで島への上陸の話を書くのでしょうか?
とにかく投下乙カレー様です ハイ。
663: 名無し三等兵@F世界 2004/10/11(月) 23:05 ID:ImCIXXt.(1)調 AAS
読みましたがバルトの政治的事情がうまくまとめられてますね。
貿易の影響で食糧不足ですか、王家の方がこれに何も言ってこないのはちょっとおかしな気が。
次の戦争が起こる時はアジェントから仕掛けてきそうです。
664: 名無し三等兵@F世界 2004/10/11(月) 23:23 ID:zMNA8ktE(1)調 AAS
種族の私情にこだわらず、国益のため政治的に冷静沈着な対応をとるダークエルフにドワーフ
これに比べてアシェナ信者やエルフは逆にモロに感情的な反応になりそう
665: 名無し三等兵@F世界 2004/10/12(火) 00:13 ID:oZDPQJUY(1)調 AAS
第二章も終わりご苦労様です。
戦闘ものじゃなく政治の話を主点にしてましたね。
三章が息抜き編だから四章で本格的に開戦となりますか
666: 2004/10/12(火) 15:36 ID:0U77BVi2(13/17)調 AAS
何か薩摩の密貿易みたいですね〜
王家に訴えられないように工夫してるんだろうな〜

三章も期待!!
667: 2004/10/12(火) 15:37 ID:0U77BVi2(14/17)調 AAS
セフィティナにも期待!!
668: 2004/10/12(火) 15:41 ID:0U77BVi2(15/17)調 AAS
セフィティナ萌え〜でおね
669: 2004/10/12(火) 15:41 ID:0U77BVi2(16/17)調 AAS
www
670: 名無し三等兵@F世界 2004/10/12(火) 17:28 ID:2aCdNJ8k(6/6)調 AAS
はいはいそれぐらいにしておいて漏れとしては戦闘の描写がわずかにさえないのが不満だった。
息抜き変が終わった後に期待しよう。
671: 2004/10/12(火) 17:53 ID:fXA4FeQ2(1)調 AAS
異界方面隊の詳しい編成がみたい
672: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き AAS
F世界逝き
673: 名無し三等兵@F世界 2004/10/12(火) 22:34 ID:q9eQ3R6k(1)調 AAS
上の672はバグですか?
674: 名無し三等兵@F世界 2004/10/13(水) 14:45 ID:m8ZMV2Dg(1)調 AA×

675: 名無し三等兵@F世界 2004/10/14(木) 08:20 ID:g4e/B2gE(1)調 AAS
書き込みが止まった・・・
676: 名無し三等兵@F世界 2004/10/14(木) 21:28 ID:neKkOqdo(1/2)調 AAS
しばらく気長に待とう
F猿殿にも休みが必要だし
677: 名無し三等兵@F世界 2004/10/14(木) 21:55 ID:K1U79z9M(5/8)調 AAS
早く続編が読みたい、ぼのぼの期なんてすっとばしていいから。
678: 名無し三等兵@F世界 2004/10/15(金) 01:26 ID:neKkOqdo(2/2)調 AAS
だからしばらく待てというに
679: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/16(土) 16:53 ID:kHqoVL5Q(44/111)調 AAS
F猿@多忙中

投下なくてスンマセン・・・。
次の投下は来週の金曜あたりに、2.5章、上陸編を書く予定です。
680: 名無し三等兵@F世界 2004/10/16(土) 19:37 ID:3jMWmVLI(1)調 AAS
心配せずに目の前の問題を片付けてからゆっくりと執筆してくだされ。
セフェティナが高露出度の衣装着てくれるといいですな。
681: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き AAS
F世界逝き
682: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き AAS
F世界逝き
683: 2004/10/22(金) 11:32 ID:0U77BVi2(17/17)調 AAS
いよいよ今日更新ですか?
684: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/22(金) 21:18 ID:kHqoVL5Q(45/111)調 AAS
お久しぶりです。
しばらく間が空いたせいか時間かかりまくり、違和感ありまくりになっちまいましたが、
とりあえず2.5章行きます!
685: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/22(金) 21:19 ID:kHqoVL5Q(46/111)調 AAS
「…アジェントにアシェナの神の栄光がありますように。」

セフェティナの一日は祈りから始まる。
魔術士官となってからは毎日のように礼拝堂でこの祈りを行ってきた。
アシェナの神は、いつでも自分達を見守っていてくれている、彼女はそう思っていた。
本当に…?
帰るべきか、帰らざるべきか。
セフェティナは迷っていた。
政府はもうすでに周辺奴隷島への侵攻を決めていた。
そしてそれはアジェントと日本の対立を意味する。つまり日本が母国と対立するのだ。
帰るかどうか決めねばならないリミットは刻一刻と迫っていた。
「私はどうすればいいのですか…?アシェナ様………青島さん…。」

「おはよ、セフェティナちゃん。」
ぼうっと廊下を歩いているセフェティナに声をかけたのは佐藤であった。
基地に来た当初はお客様扱いであったセフェティナも時が経つにつれて隊員の面々と打ち解け始めていた、
今はそれが逆に彼女を苦しめる結果となっているのだが。
「あ、佐藤さん…。どうしたんですか?」
「あ、いや、なんか元気なかったからさ。」
「そんなことないですよ、あっ、もう朝御飯の時間ですよね、楽しみだなーっ!」
そう言ってセフェティナはニッ、と笑顔を作り、佐藤に背を向け歩いていった。
「女の子の涙の痕を見て黙っていられる程、俺は無神経な男でもないんだよな…。」
佐藤はもう小さくなった彼女の後姿を見ながらボソリと呟いた。
686: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/22(金) 21:20 ID:kHqoVL5Q(47/111)調 AAS
「青い空。輝く海。」
青島は周りを見渡した、彼の言葉通り、澄み渡った空は転移前より美しく感じられ、
青い海も妙な化け物が出てくること以外はその汚染から解放されたようだった。
といっても日本が丸ごと召還されたのだから空気はそんなには変わらないはずなのだが、
とにかく青島はそう感じたのだ。
「これで仕事が無かったらな…。」
セフェティナに町でも案内してやろうと思っていたのに、と彼は心の中で続けた。
しかし、周辺諸島への侵攻が決まった以上、その準備で彼らは目のまわるような忙しさの中に居た。
特に青島の場合、特別幹部候補になっているため余計であった。
あの赤いバッジを加藤結衣三尉に渡されて、それがどういう意味であるかを知ってからというもの、
ほぼ毎日のように研修会が開かれていたのだった。
当然その面子の中に結衣も居たのだが青島は一度以外彼女とほとんど会話することが出来なかった。
しかもとどめにはこの侵攻における青島の配属先は、
「なんか俺の行くところ激戦区ばっかだなあ…。」
三介島―――日本が仮につけた名だが―――への侵攻軍であったのだ。
687: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/22(金) 21:20 ID:kHqoVL5Q(48/111)調 AAS
三介島、青島がその名を知ったのは研修中、加藤との一度きりの会話の中でであった。
「青島二尉、今度の任務について話があるの。」
「ん、なんだ?」
研修が終わり、他の特幹候補が宿舎に戻ろうと言う時、青島は加藤に呼び止められた。
彼女の向かいの椅子に座ると彼女は一枚の地図を出した。
世界地図。もちろんこの世界の物だ。
「それで、まず質問。」
加藤は机越しにズイッと青島に顔を近づけた。
「召還された島、全部名前言える?」
「ん、ああ。一燐島、二弦島、三介島、四黒島、五系島、六案島だろ?」
幾ら応急とはいえ随分と簡単な名前をつける、日本の間ではなかなか笑いの種となっていた。
「…。」
「どうした?」
「いや、正解。全部あっさりと答えるとは思ってなかったから。」
加藤は軽く笑うと三介島を指差した。
「それで今回の話はここについて。」
青島は加藤の顔を見た、一度目にあったときのあの棘々した態度はだいぶ和らいでいるようだった。
といっても何故か敵意、というよりライバル心はまだ青島に向けられているようだったが。
「ちょっと、聞いてる?」
「ああ、それで?」
慌てて青島が先を促すと加藤は続けた。
「この三介島はね…。」
688: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/22(金) 21:22 ID:kHqoVL5Q(49/111)調 AAS
「この三介島は他の島と違ってラーヴィナ候が代理管理していない。
そしてここを管理しているのは誰かと言うと、王家最大の忠臣で戦上手と言われる鉄騎士カリヴァン候。
その上ここにはかなり大規模な鉱山がある。」
「ラーヴィナ候の代理管理していた島なら兵をひいてくれるが、
三介島はそうはいかない、その上大規模な戦いになる可能性があるということか。」
「そ。けどもう一つこれには意味があるわ。」
そこで言葉を切って加藤は青島を見た。
明らかに目は「分かる?」と聞いている。
さすがにここで答えを聞くのもなんである、青島は地図を見て、その意味に気が付いた。
「カリヴァン候の領地は小国群とラーヴィナに挟まれているのか・・・。」
「そう、小国群を私達の支配下に入れたとして、アジェントとの戦争でこの領地は重大な意味を持つ。」
「だからここでこちらの力を見せ付けておく必要があるわけだ。
場合によっては戦わずして降伏させることも出来るかもしれない。いわゆる前哨戦だな。」
「そういうこと。なかなかやるじゃない。」
加藤は笑いながら頷いた、青島もそれに釣られて笑みを浮かべた。
「けどつまりこの話を俺にするということは…。」
「そう、私達二人はこの三介島への派遣部隊の一員になったわ。
特にあなたの隊は対魔法戦闘を経験した貴重な小隊なんだから、赤羽海将の期待を裏切らないように。」
「はは…了解。」
青島はどっと身に疲れと、それ以外の何かがのしかかるのを感じた。
689: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/22(金) 21:23 ID:kHqoVL5Q(50/111)調 AAS
その日の仕事が終わり、夕食を食べに青島は食堂に向かった。
「よう、隊長。」
「ああ、村田さん、怪我の具合はもう良いみたいですね。」
「ああ、天野と違ってかすり傷だからな、奴は現場復帰にはもう少し時間がかかるようだが。」

「隣良いか?」
「いいっすよ。」
青島が村田の向かい、沢村の隣に座ろうとした時、村田は思い出したように言った。
「ああ、そういえば佐藤がお前のことを探していたぞ、今食堂に居るだろうから、探しにってやったらどうだ?」

食事を済ませ、青島が辺りを見回すと佐藤は簡単に見つかった。
同期、つまり新米の面々と一緒に居る、つまり一番うるさいテーブルにいたのだから当たり前だが。
「佐藤。」
「あ、隊長!」
佐藤が言うと彼の同期の面々が一斉に青島を見た、
正確には彼の襟元の赤いバッジと彼の顔で半分づつ視線が集まった。
「あ、この人が例のティナちゃんの…ウラヤマシイ。」
「本当に赤いバッジ…。」
「ねえ、ティナちゃんとは何処まで行ったんですか?」
彼らの中ではセフェティナはティナと略されているようだった。
中学生のような最後の質問をした男に軽い蹴りを加え、青島は佐藤の方を向いた。
「俺を探してたようだが…、何か用か?」
「いや、用なのは俺じゃなくってティナちゃんなんですけど…。」
「セフェティナが?」
690: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/22(金) 21:23 ID:kHqoVL5Q(51/111)調 AAS
「涙の痕…?」
青島は佐藤に聞き返した。
「はい。心当たりありませんか?」
十分にある。青島は今のセフェティナの状況を思って目を瞑った。
「探してくる。」
そして青島は佐藤の言葉には返事をせずに身を翻し、食堂から出て行った。
「…。」
ある種取り残されたような感覚に陥り、佐藤たちの間に沈黙が流れた。
「全くお熱いこって…。」
状況を良く分かってない佐藤の同期の一人が言い、また馬鹿話は再開されたのであった。

一方青島はセフェティナを探し回っていた。
探し回るといっても彼女の行動範囲は狭い、自分の部屋に、他数箇所、しかし見つからない。
「どこに行ったんだ…?」
どこにもいないとなれば、最悪の事態も考えられる。
少なくとも自分はいきなり見知らぬ外国に暮らすことになった上、
その国と日本が戦争をすることになったら相当苦しむだろう。
しかし、涙を流すまで苦しんでいるのを気付いてやれなった。
そんな素振りを彼女は少しも見せなかったのだ。

探し疲れ、青島が自分の部屋に戻ると、そこには人の気配があった。
青島は扉を開けた。そこに居るのは今までさんざん捜し求めていた少女だった。
「やっと、見つけた…。」
この言葉を言ったのは青島ではなかった。
そして次の瞬間には青島はセフェティナに抱きしめられていた。
691: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/22(金) 21:25 ID:kHqoVL5Q(52/111)調 AAS
投下終了!
2.5章は結構一気に終わらせるつもりですのでお付き合い下さい。

(萌えとかコテハンとか色々内紛が起こってるけど、無関係顔で良いんだろうか…。)
692: 名無し三等兵@F世界 2004/10/22(金) 22:00 ID:U0k.YMxw(1)調 AAS
久し振りの話、お疲れ様〜
とりあえず話に出すと約束したものは登場させたほうが良いかと
693
(1): 名無し三等兵@F世界 2004/10/23(土) 00:13 ID:pFO2S2BI(1)調 AAS
やっと来ますた♪
前みたいに連日投下に戻るかな?
青島とセフェティナの関係も気になる、ジャンジャン投下してださいな♪
694
(1): 名無し三等兵@F世界 2004/10/23(土) 01:06 ID:lfXn85LI(1)調 AAS
再開おめでとー。
同時にいいニュースも見つけたよ。
外部リンク[htm]:www.yomiuri.co.jp
この記事が言うにはF-35も導入の選択肢の内に入ってるって。
695: 名無し三等兵@F世界 2004/10/23(土) 09:09 ID:IxopmTvg(1)調 AAS
キターーー!
これからの遅れを取り戻す感じで頑張ってください。
696: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:20 ID:kHqoVL5Q(53/111)調 AAS
さて、勘を取り戻すためにも頑張らなければ。
さあ行こう。いざ投下。
697: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:22 ID:kHqoVL5Q(54/111)調 AAS
柔らかい、そして暖かい。
俺が最初に感じたことはそれだった。飛びかける理性を懸命に引き戻し、彼女を引き離す。
彼女の肩を掴んで顔を見るとその顔は涙でグシャグシャになっていた。
「どうしたんだ、何かあったのか?」
それにしてもおかしい、彼女は確かに感情家だが、こんなことをいきなりするような女性ではない。
「セフェ―――。」
「青島…さん、私…ニホンとアジェントが戦うことになるなんて思ってもいなかった。」
「…。」
彼女にしてみれば、そうだったのかもしれない。
しかし、それは世間知らずの少女の余りにも浅い先見だったと言わざるを得なかった。
背中をポンポンと叩いてやって俺はしばらく落ち着くのを待った。
698: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:23 ID:kHqoVL5Q(55/111)調 AAS
「今…アルヴァール様から通信があったの…。」
「…?」
しばらくして落ち着いたセフェティナがポツリと言った。
アルヴァール、何度か聞いたことのある名。確か魔術大臣を勤める男だったか。
「私の魔力じゃ本国にまで通信なんてとても届かないから向こうが意志を伝えるだけの一方的なものだったんだけど、けど、彼が言ってた、『アジェント王家はニホンを敵とみなす』って。」
そう、そうなることはわかっていた、アジェント王家がこちらに敵意を示しているからこそ、
こちらニホンも彼らと戦うことになるのだから。
「それで…、バルト帝国、アジェントがバルト帝国と手を結ぶって言うの…。なんで…?」
「…?」
「なんで…、彼らこそアシェナの敵じゃないの…?私の信じていた神様の敵じゃ…?」
セフェティナのエメラルドグリーンの瞳にまた涙が溢れた。
俺には彼女を慰めることが出来なかった、
日本人が世界における宗教戦争を理解することが難しいように、
一つの宗教を信じる物にとって、それに反する物がどれだけ憎いかなど俺には分かりえないのだ。
699: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:24 ID:kHqoVL5Q(56/111)調 AAS
そして俺は背筋に冷たい物が走るのを感じた。バルト帝国、大陸西方に勢力基盤を持つ一大軍事国家、
これが大陸最大の国家であるアジェントと手を結び、自分達日本と戦おうと言うのだ。
「セフェティナ…それは本当なのか、何かの冗談じゃなくて?」
「…うん。青島さん、どうにかして戦うのを避ける事は出来ないの?
アルヴァール様なんかと戦ったら…、青島さん…だけじゃない、
佐藤さんも、村田さんも、沢村さんも、加藤さんも皆死んじゃう…。」
「…セフェ―――。」
何かに耐え切れなくなって俺は手をセフェティナの背中へと回した。
「あ…。」

セフェティナもまた、それを拒む様子は見せなかった。
700: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:27 ID:kHqoVL5Q(57/111)調 AAS
「たいちょー!」
ビクッ!
青島の腕がセフェティナを抱きしめようとしたその時、
突然入り口から佐藤の能天気な声が響き、二人は慌てて離れた。
そして佐藤が見たものはいわずもがな、
明らかに泣いていたばかりのセフェティナとそれから30cmも離れていない青島であった。
「ティナちゃん見つかりまし――――あ…し、失礼しましたー。」
「ま、待ってくれ、誤解だ佐藤ーっ!」
悲痛な青島の言葉も届かず、佐藤はそそくさと立ち去ってしまった。
「こ、こりゃ明日は大変だな…。」
「アハハ…。」
セフェティナの笑いを見るとそうぼやきながら青島はすっくと立ち上がった、そしてセフェティナを見る。
「大丈夫、セフェティナ。俺は死なない。佐藤たちも死なせるつもりは無い。」
「……はい!」
この結論が何の解決にもなっていないことは二人には分かっていたが、
今二人で笑っていられるだけでも青島にとっては十分であった。
701: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:27 ID:kHqoVL5Q(58/111)調 AAS
次の日、散々な冷やかしを受けた青島とは別に、大変なことになっている場所があった。
どこか、それは政府上層部であった。
当然である、敵国がアジェント一国だけではないことが分かったのだから。
「えー、皆さんようやく方針が決まったと思っていた所大変申し訳ないが…、
昨日、協力者のところにアジェントからの通信があり、ごらんの事実が明らかになりました。」
ほぼ昨日から眠っていないのだろう、目を真っ赤に腫らした袴が言った。
他の閣議参加者も大体同様である。
「……通信、とは?まさか通信をする程の技術が向こうにあるわけでもないだろうに。」
「あー…、それについては赤羽君。」
「はい。」
恐らく参加者の中でも最も疲労困憊なのがこの赤羽であった。
連日の侵攻準備の総指揮をとりつつ、協力者(セフェティナ)からの情報を閣議に報告するのも彼の役目だったのだから。
しかし彼はそんな疲労を全く表には出さなかった。
「皆様お手元の資料をご覧下さい。通信魔法の説明と相手からの通信の全文です。
これらからアジェント、そして西方のバルト、この大陸における二大強国が手を組んだ物と考えられます。
おそらくは…いや、間違いなく我が日本と対抗するために。」
「待て。待ってくれ、アジェントとバルトは絶対に手を結ばないのではないのか、
それにアジェントは我々を舐めきっているのではないのか?」
「それに対しては返答しかねます。」
元々危機的な状況が更に悪化したのだ。
重苦しい沈黙が会議室に流れた。
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