[過去ログ] 代数的整数論 009 (1001レス)
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117(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/16(日) 16:01:04 AAS
定義
K を可換とは限らない位相体(過去スレ006の190)とする。
E を K 上の左位相線形空間(過去スレ006の583)とし
E は部分線形空間 M と N の位相直和(>>115)であるとする。
このとき N を M の位相補空間と言う。
118(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/16(日) 16:10:40 AAS
命題
K を可換とは限らない位相体(過去スレ006の190)とする。
E を K 上の左位相線形空間(過去スレ006の583)とし
M を E の部分線形空間とする。
f : E → M を連続な線形写像で任意の x ∈ M に対して
f(x) = x とする。
このとき M は位相補空間(>>117)を持つ。
証明
N = f^(-1)(0) とおく。
E は M と N の直和である。
1 - f はこの直和分解に関して E から N への射影であり連続である。
>>116 より E は M と N の位相直和(>>115)である。
証明終
119: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/16(日) 18:21:04 AAS
命題(>>104 の系4)
K を実数体または複素数体とする。
E を K 上の分離的な局所凸線形空間とする。
M を E の有限次元の線形部分空間とする。
M は位相補空間を持つ。
証明
e_1, . . . , e_n を M の任意の基底とする。
過去スレ006の651より
写像 f : Σ(ξ_i)(e_i) → (ξ_i) は M から K^n への位相同型である。
f_i : M → K を f(Σ(ξ_i)(e_i)) = ξ_i により定義する。
>>112より f_i は E 上の連続な線形形式 g_i に拡張される。
g(x) = (g_1(x), ... , g_n(x)) により g : E → K^n を定義する。
h = f^(-1)g とおく。h : E → M は連続な線形写像であり、
x ∈ M のとき h(x) = x である。
>>118 より M は位相補空間を持つ。
証明終
120: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/22(土) 11:35:28 AAS
後で必要になるのでアフィン空間について寄り道をする。
アフィン空間とは標語的に言うと、原点+べクトル空間のことである。
正確に定義すると次のようになる。
121(21): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/22(土) 11:36:26 AAS
定義
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とする。
V に付随するアフィン空間 E とは V を加法群とみたとき
推移的な V-集合(過去スレ004の388,389) E であり、
E のある1点の安定化部分群(過去スレ004の392)が 0 と
なるようなものである。
122(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/22(土) 11:46:47 AAS
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とし、
E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
V は E に推移的に作用するから、E の任意の点の安定化部分群は
0 である。
E の点 p と V の元 x に対して x の p に対する作用を p + x または
x + p と書く。
V は E に推移的に作用するから、
E の2元 p, q に対して q = p + x となる x ∈ V が有る。
y ∈ V に対して p + x = p + y なら p + (x - y) = p である。
p の安定化部分群は 0 だから x - y = 0 である。
即ち q = p + x となる x ∈ V は一意に定まる。
このとき x = q - p と書く。
123: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/22(土) 12:05:43 AAS
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とする。
x ∈ V と y ∈ V に対して x の y に対する作用を x + y と定義することにより
V は V に付随するアフィン空間(>>121)になる。
E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
p ∈ E をとる。
>>122 より x ∈ V に対して p + x ∈ E を対応させる写像 f は
V から E への全単射である。
x ∈ V, y ∈ V のとき
f(x + y) = p + (x + y) = (p + x) + y = f(x) + y
よって f は V-集合としての同型(過去スレ004の399)である。
124(7): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/23(日) 06:54:25 AAS
定義
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とし、
E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
E の部分集合 F が E のアフィン部分空間であるとは、F が空集合であるか
V の線形部分空間 W と E の点 p があり、F = p + W と書けることを言う。
ここで、 p + W = { p + x | x ∈ W } である。
125: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/23(日) 07:33:17 AAS
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とし、
E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
a, x_1, ... , x_n を E の(必ずしも相異ならない)点とする。
1 ≦ i ≦ n のとき x_i - a は V に属す。
従って、λ_1, ... , λ_n を K の元としたとき
x = a + Σλ_i(x_i - a) は E に属す。
p を E の任意の点とする。
x - p = a - p + Σλ_i(x_i - p - (a - p))
= (1 - Σλ_i)(a - p) + Σλ_i(x_i - a)
これから次の命題が出る。
126(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/23(日) 07:39:23 AAS
命題
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とし、
E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
x_1, ... , x_n を E の(必ずしも相異ならない)点とする。
λ_1, ... , λ_n を K の元の列で Σλ_i = 1 とする。
p を E の任意の点とする。
x = p + Σλ_i(x_i - p) は p の取り方によらない。
証明
q を E の点とする。
x - q = p - q + Σλ_i(x_i - q - (p - q))
= (1 - Σλ_i)(p - q) + Σλ_i(x_i - q) = Σλ_i(x_i - q)
即ち
x = q + Σλ_i(x_i - q)
証明終
127(3): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/23(日) 08:04:17 AAS
定義
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とし、
E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
x_1, ... , x_n を E の(必ずしも相異ならない)点とする。
λ_1, ... , λ_n を K の元の列で Σλ_i = 1 とする。
p を E の任意の点とする。
>>126 より
x = p + Σλ_i(x_i - p) は p の取り方によらない。
x を x_i の質量 λ_i の重心と言う。
128: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/23(日) 08:36:05 AAS
命題
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とし、E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
E の部分集合 F が E のアフィン部分空間(>>124)であるためには、
次の条件が成り立つことが必要十分である。
F の任意の有限点列 x_1, ... , x_n と K の元の有限列
λ_1, ... , λ_n で Σλ_i = 1 となるものに対して、
x_i の質量 λ_i の重心(>>127)が常に F に属す。
証明
必要性:
F = p + W とする。ここで、 p ∈ E で W は V の線形部分空間である。
x_1, ... , x_n を F の元の有限列、
λ_1, ... , λ_n を K の元の有限列で Σλ_i = 1 とする。
x_i - p ∈ W であるから、
x_i の質量 λ_i の重心 p + Σλ_i(x_i - p) は F に属す。
十分性:
F は空でないと仮定してよい。
a ∈ F をとる。
W = { x - a | x ∈ F } は 0 = a - a を含むから空ではない。
x, y を W の元とし、λ ∈ K, μ ∈ K とする。
a + λ(x - a) + μ(y - a)
= (1 - λ - μ)(a - a) + λ(x - a) + μ(y - a)
これは a, x, y の質量がそれぞれ 1 - λ - μ, λ, μ の重心である。
よって、仮定から a + λ(x - a) + μ(y - a) ∈ F である。
よって、 λ(x - a) + μ(y - a) ∈ W である。
即ち W は V の線形部分空間である。
証明終
129: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/23(日) 09:26:53 AAS
命題
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とし、
E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
(x_i), i ∈ I を E の元の族とする。
(x_i) の質量 (λ_i) の重心(>>127)全体は E のアフィン部分空間である。
ここで、(λ_i), i ∈ I は K の元の族で有限個の i ∈ I を除いて
λ_i = 0 で Σλ_i = 1 である。
証明
I が空集合のときは明らかだから I は空集合でないとする。
i ∈ I を固定する。
(λ_i), i ∈ I を K の元の族で有限個の i ∈ I を除いて
λ_i = 0 で Σλ_i = 1 とする。
(x_i) の質量 (λ_i) の重心は、x_i + Σλ_j(x_j - x_i), i ≠ j と
書ける。
これから命題の主張は明らかである。
証明終
130(12): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/29(土) 21:21:49 AAS
定義
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とし、
E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
F を E のアフィン部分空間(>>124)で空でないとする。
定義から V の線形部分空間 W と E の点 p があり、F = p + W と書ける。
W を F の方向ベクトル空間と言う。
W の次元を F の次元と言い、dim F と書く。
W の余次元、つまり dim V/W を F の余次元と言う。
次元 0 のアフィン部分空間は E の点である。
次元 1 のアフィン部分空間を E の直線と言う。
次元 2 のアフィン部分空間を E の平面と言う。
余次元 1 のアフィン部分空間を E の超平面と言う。
131: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/29(土) 22:07:30 AAS
命題
K を可換とは限らない体とする。
V を K 上の左線形空間とし、
E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
F を E の部分集合とする。
K の標数が 2 でないとき、
F が E のアフィン部分空間(>>124)であるためには
F の任意の2点 x ≠ y を通る直線(>>130)が F に含まれることが
必要十分である。
証明
十分性のみ証明すればよい。
F は空でないと仮定してよい。
p ∈ F を任意にとり p を原点にすることにより、E = V と仮定してよい。
F の元 x ≠ 0 と任意の λ ∈ K に対して λx は 0 と x を
通る直線上にあるから λx ∈ F である。
x = 0 のときは λx = 0 であるからこのときも λx ∈ F である。
F の2点 x ≠ y を通る直線を L とする。
K の標数は 2 でないから
(1/2)(x + y) = x + (1/2)(y - x) は L の点である。
よって、上に述べたことから x + y ∈ F である。
以上から F は V の部分線形空間である。
よって、E のアフィン部分空間である。
証明終
132(8): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/30(日) 12:51:57 AAS
定義
K を可換とは限らない体とする。
V と W を K 上の左線形空間とし、E と F をそれぞれ V と W に付随する
アフィン空間(>>121)とする。
φ : V → W を線形写像とする。
F は W-集合(過去スレ004の388)であるから φ により V-集合ともなる。
このとき、V-集合としての射(過去スレ004の399) f : E → F を
φ に付随するアフィン写像、または単にアフィン写像と言う。
言い換えると、次の条件を満たす写像 f : E → F を
φ に付随するアフィン写像という。
任意の x ∈ E と v ∈ V に対して
f(x + v) = f(x) + φ(v)
133: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2007/12/30(日) 13:07:36 AAS
K を可換とは限らない体とする。
V と W を K 上の左線形空間とし、E と F をそれぞれ V と W に付随する
アフィン空間(>>121)とする。
φ : V → W を線形写像とし、
f : E → F を φ に付随するアフィン写像(>>132)とする。
a を E の点とする。
任意の v ∈ V に対して f(a + v) = f(a) + φ(v) である。
よって、φ(v) = f(a + v) - f(a) である。
即ち φ は f により一意に決まる。
逆に、任意の x ∈ E に対して f(x) = f(a + x - a) = f(a) + φ(x - a)
よって、f は φ と f(a) により一意に決まる。
任意の b ∈ F に対して g(x) = b + φ(x - a) は
φ に付随するアフィン写像である。
134(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/06(日) 08:09:15 AAS
命題
K を可換とは限らない体とする。
V と W を K 上の左線形空間とし、E と F をそれぞれ V と W に付随する
アフィン空間(>>121)とする。
f : E → F を写像とする。
f がアフィン写像であるためには次の条件 (A) が成り立つことが
必要十分である。
(A) x_1, ... , x_n を E の任意の有限点列とし、
λ_1, ... , λ_n を K の元の列で Σλ_i = 1 とする。
f は常に x_i の質量 λ_i の重心(>>127) を f(x_i) の質量 λ_i の
重心に写す。
即ち、a を E の任意の点としたとき、
f(a + Σλ_i(x_i - a)) = f(a) + Σλ_i(f(x_i) - f(a))
となる。
証明
必要性:
φ : V → W を線形写像とし、
f : E → F を φ に付随するアフィン写像(>>132)とする。
φ(x_i - a) = f(x_i) - f(a) であるから
f(a + Σλ_i(x_i - a)) = f(a) + Σλ_iφ(x_i - a)
= f(a) + Σλ_i(f(x_i) - f(a))
(続く)
135: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/06(日) 08:09:49 AAS
>>134 の続き。
十分性:
条件 (A) が成り立つとする。
a, x , y を E の点とし、λ, μ を K の元としたとき、
a + λ(x - a) + μ(y - a)
= a + λ(x - a) + μ(y - a) + (1 - λ - μ)(a - a)
よって
f(a + λ(x - a) + μ(y - a)) = f(a) + λ(f(x) - f(a)) + μ(f(x) - f(a))
よって、写像 φ : V → W を
φ(x - a) = f(x) - f(a) で定義すれば、φ は線形写像である。
よって、 f は φ に付随するアフィン写像である。
証明終
136(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/13(日) 14:17:24 AAS
Hahn-Banachの定理の幾何版を証明するため次の命題を用意する。
命題
E を実数体 R 上の線形空間とする。
A を E の開凸集合で 0 を含むものとする。
任意の x ∈ E に対して
p(x) = inf { α > 0 | x ∈ αA } とおく。
p は劣線形関数(>>94)であり
A = { x ∈ E | p(x) < 1 } である。
証明
A は 0 の近傍であるから過去スレ006の629より吸収的である。
よって、過去スレ008の473より p は劣線形関数である。
W = { x ∈ E | p(x) < 1 } とおく。
p(x) < 1 なら 0 < α < 1 で、x ∈ αA となる α がある。
A は凸で 0 を含むから αA ⊂ A である。
よって、W ⊂ A である。
A は開集合だから x ∈ A なら β > 1 で βx ∈ A となるものが
存在する。
x ∈ (1/β)A だから p(x) ≦ 1/β < 1 である。
よって A ⊂ W である。
証明終
137(5): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/13(日) 15:25:32 AAS
定理(Hahn-Banachの定理の幾何版)
E を実数体 R 上の位相線形空間とする。
A を E の空でない開凸集合とする。
M を E の空でないアフィン部分空間(>>124)で A と交わらないとする。
このとき M ⊂ H となる閉超平面(>>130)で A と交わらないものが
存在する。
証明
A は空でないから a ∈ A が存在する。
0 ∈ A でないなら A を A - a, M を M - a で置き換えることにより
0 ∈ A と仮定してよい。
任意の x ∈ E に対して
p(x) = inf { α > 0 | x ∈ αA } とおく。
>>136 より p は劣線形関数であり
A = { x ∈ E | p(x) < 1 } である。
M は空でなく 0 を含まないから M = a + W と書ける。ここで W は E の
線形部分空間であり、 a は E の元で W に含まれない。
V = Ra + W とおく。
V は E の線形部分空間であり、M はその超平面である。
V は Ra と W の直和であるから V の任意の元 x は x = λa + w と
一意に書ける。ここで λ ∈ R, w ∈ W である。
f(x) = λ により線形形式 f : V → R を定義する。
M = a + W = { x ∈ V | f(x) = 1 } である。
A ∩ M = φ であるから x ∈ M のとき p(x) ≧ 1 である。
(続く)
138(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/13(日) 15:31:02 AAS
>>137の続き。
任意の y ∈ V に対して λ = f(y) とおく。
f(y) > 0 なら f((1/λ)y) = 1 であるから (1/λ)y ∈ M である。
よって p((1/λ)y) ≧ 1
p は正の半同次形式(>>92)だから p(y) = (1/λ)p(y)
よって、p(y) ≧ λ 即ち p(y) ≧ f(y)
任意の x ∈ E に対して p(x) ≧ 0 である。
よって、f(y) = 0 なら p(y) ≧ f(y) である。
Hahn-Banachの定理の解析版(>>95) より E 上の線形形式 h で
f の拡張であり任意の x ∈ E に対して
h(x) ≦ p(x) となるものがある。
H = { x ∈ E | h(x) = 1 } とおく。
H ∩ A = φ, M ⊂ H は明らかである。
F = { x ∈ E | h(x) = 0 } とおく。
E/F は1次元の線形空間である。
F の閉包を F~ とする。F~ は E の閉線形部分空間である。
よって E = F~ または F~ = F である。
よって、E = H~ または H~ = H である。
一方、H の補集合は A を含むから E = H~ ではあり得ない。
よって、H~ = H である。
即ち、H は閉である。
証明終
139: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/13(日) 15:37:17 AAS
訂正
>>138
>p は正の半同次形式(>>92)だから p(y) = (1/λ)p(y)
>p は正の半同次形式(>>92)だから p((1/λ)y) = (1/λ)p(y)
140(1): 2008/01/19(土) 03:24:17 AAS
0を自然数にするのとしないのとは
なぜ統一されてないのですか?
141: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 08:02:14 AAS
>>140
質問の答えになってないかもしれませんが、
本シリーズでの自然数の扱いについて述べます。
本シリーズでは自然数に 0 を含めていません。
集合 { 0, 1, 2, . . . } は N ではなくて Z+ と書いてると思います。
数列 (a_n) は 0 から始まる場合もあれば 1 から始まる場合もあります。
142(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 08:38:20 AAS
次の定義は過去スレ008の423のアフィン空間への拡張である。
定義
E を実数体 R 上のアフィン空間(>>121)とする。
x, y, p を E の2点とする。
>>126 より
集合 { p + λ(x - p) + μ(y - p) | λ ≧ 0, μ ≧ 0, λ + μ = 1 }
は p の取り方によらない。
この集合を x, y を端点とする閉線分と言い、 [x, y] と書く。
x = y のときは [x, y] = {x} である。
{ p + λ(x - p) + μ(y - p) | λ > 0, μ > 0, λ + μ = 1 } を
x, y を端点とする開線分と言い、(x, y) または ]x, y[ と書く。
x = y のときは (x, y) = φ である。
143(3): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 08:39:57 AAS
定義
E を実数体 R 上のアフィン空間(>>121)とする。
A を E の部分集合とする。
A の任意の2点 x, y に対して [x, y] (>>142) が A に含まれるとき
A を凸という。
144(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 08:51:40 AAS
命題
E と F を実数体 R 上のアフィン空間(>>121)とし、
f : E → F をアフィン写像(>>132)とする。
E の任意の2点 x, y に対して [x, y] (>>142) の f による像 f([x, y])
は [f(x), f(y)] である。
証明
>>134 より明らかである。
145(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 09:04:12 AAS
命題
E と F を実数体 R 上のアフィン空間(>>121)とする。
f : E → F をアフィン写像(>>132)とする。
A を E の凸部分集合(>>143)とすると、f(A) も凸である。
証明
>>144 より明らかである。
146: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 09:06:17 AAS
命題
E と F を実数体 R 上のアフィン空間(>>121)とする。
f : E → F をアフィン写像(>>132)とする。
A を F の凸部分集合(>>143)とすると、f^(-1)(A) も凸である。
証明
過去スレ008の429と同様である。
147(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 11:13:09 AAS
命題
E を実数体 R 上のアフィン空間(>>121)とする。
f : E → R を定数でないアフィン写像(>>132)とする。
H = { x ∈ E | f(x) = 0 } を f で定まる超平面(>>130)とする。
A を E の凸集合(>>143)で A ∩ H = φ とする。
このとき f(A) は H で定まる半空間 { x ∈ E | f(x) > 0 } または
{ x ∈ E | f(x) < 0 } に含まれる。
証明
>>145 より f(A) は R の凸集合だから区間である。
仮定より f(A) は 0 を含まないから f(A) の各点の符号は一定である。
証明終
148(3): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 13:16:24 AAS
命題
K を可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E を K 上の位相線形空間とする。
H を E の超平面(>>130)で方程式 f(x) = α で定義されるものとする。
ここで f : E → K は恒等的に 0 でない線形形式である。
H が閉なら f は連続である。
証明
p を H の任意の点とする。
超平面 H - p は 方程式 f(x) = 0 で定義される。
H - p は閉であるから初めから α = 0 と仮定してよい。
このとき H は E の閉な線形部分空間である。
f = gφ とかける。
ここで φ : E → E/H は標準写像であり、g : E/H → K は
線形写像である。
H は閉だから E/H は分離的である。
よって過去スレ006の648より g は連続である。
よって f も連続である。
証明終
149(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 13:21:37 AAS
命題
E を実数体 R 上の位相線形空間とする。
A を E の空でない開凸集合とする。
M を E の部分線形空間で A と交わらないとする。
このとき連続な線形形式 f : E → R で M において f(x) = 0 となり
A において f(x) > 0 となるものがある。
証明
>>137 より M ⊂ H となる閉超平面(>>130)で A と交わらないものが
存在する。
H を定義する線形形式を f とする。
H は閉だから >>148 より f は連続である。
>>147 より A において常に f(x) > 0 または常に f(x) < 0 である。
f(x) < 0 のときは -f を f の代わりにとればよい。
証明終
150(3): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 13:49:08 AAS
定義
E を実数体 R 上の位相線形空間とする。
H を E の閉超平面(>>130)とする。
>>148 より連続な線形形式 f : E → R が存在し、
H は方程式 f(x) = α で定義される。
{ x ∈ E | f(x) ≧ α } 及び { x ∈ E | f(x) ≦ α } を
H で定義される閉半空間と言う。
{ x ∈ E | f(x) > α } 及び { x ∈ E | f(x) < α } を
H で定義される開半空間と言う。
151(4): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 14:02:22 AAS
定義
E を実数体 R 上の位相線形空間とする。
H を E の閉超平面(>>130)とする。
A, B をそれぞれ E の空でない部分集合とする。
A が H で定義される閉半空間(>>150)の一つに含まれ、
B が H で定義される他方の閉半空間に含まれとき、
A と B は H により分離されると言う。
A が H で定義される開半空間(>>150)の一つに含まれ、
B が H で定義される他方の開半空間に含まれとき、
A と B は H により強分離されると言う。
152(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 17:37:21 AAS
命題
E を実数体 R 上のアフィン空間(>>121)とする。
f : E → R を定数でないアフィン写像(>>132)とする。
H = { x ∈ E | f(x) = 0 } を f で定まる超平面(>>130)とする。
A を E の部分集合とする。
A が H で定まる半空間 { x ∈ E | f(x) ≧ 0 } または
{ x ∈ E | f(x) ≦ 0 } に含まれるとき A は H で定まる半空間
に含まれるという。
A が H で定まる半空間 { x ∈ E | f(x) > 0 } または
{ x ∈ E | f(x) < 0 } に含まれるとき A は H で定まる半空間
に真に含まれるという。
153: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 17:39:59 AAS
>>152 は命題でなく定義である。
後の参照のために書き直す。
154(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 17:40:36 AAS
定義
E を実数体 R 上のアフィン空間(>>121)とする。
f : E → R を定数でないアフィン写像(>>132)とする。
H = { x ∈ E | f(x) = 0 } を f で定まる超平面(>>130)とする。
A を E の部分集合とする。
A が H で定まる半空間 { x ∈ E | f(x) ≧ 0 } または
{ x ∈ E | f(x) ≦ 0 } に含まれるとき A は H で定まる半空間
に含まれるという。
A が H で定まる半空間 { x ∈ E | f(x) > 0 } または
{ x ∈ E | f(x) < 0 } に含まれるとき A は H で定まる半空間
に真に含まれるという。
155(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 18:04:34 AAS
命題
K を可換とは限らない位相体とする。
E を K 上の位相線形空間とする。
H を E の超平面(>>130)でとする。
H が E において稠密でなければ H は閉である。
証明
H は 0 を含むとしてよい。
H の閉包 H~ は E の線形部分空間である。
H ⊂ H~ ⊂ E であり E/H の次元は1だから H = H~ または
E = H~ である。
H は稠密でないから H = H~ である。
証明終
156(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/19(土) 18:12:59 AAS
命題
E を実数体 R 上の位相線形空間とする。
A を E の部分集合でその内部 int(A) は空でないとする。
A は超平面 H で定まる半空間に含まれる(>>154)とする。
このとき H は閉であり int(A) は H で定まる半空間に真に含まれる
(>>154)。
証明
H は 0 を含むとしてよい。
H は方程式 f(x) = 0 で定まるとする。
ここで f は恒等的に 0 でない線形形式である。
A の各点 x で f(x) ≧ 0 と仮定する。
B = { x ∈ E | f(x) > -1 } とおくと A ⊂ B であるから
int(B) は空でない。
従って B + 1 = { x ∈ E | f(x) > 0 } の内部は空でない。
よって H は E において稠密でない。
>>155 より H は閉である。
f = gφ とかける。
ここで φ : E → E/H は標準写像であり、g : E/H → K は
線形写像である。
H は閉だから E/H は分離的である。
よって過去スレ006の648より g は位相同型である。
φ は開写像だから f も開写像である。
よって f(int(A)) は R の開集合である。
A の各点 x で f(x) ≧ 0 であるから f(int(A)) ⊂ (0, +∞) である。
よって int(A) は H で定まる半空間に真に含まれる。
証明終
157(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 13:37:05 AAS
命題
(E_i), i ∈ I を実数体 R 上の線形空間の族とする。
各 i ∈ I に対して A_i を E_i の空でない凸集合とする。
A = ΠA_i は E = ΠE_i の凸集合である。
証明
pr_i : E → E_i を射影とする。
A = ∩(pr_i)^(-1)(A_i) であり、
過去スレ008の429より各 (pr_i)^(-1)(A_i) は凸であるから
A も凸である。
証明終
158(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 13:45:07 AAS
命題
E を実数体 R 上の線形空間とする。
A と B をそれぞれ E の空でない凸集合とする。
任意の実数 α, β に対して
αA + βB = { αx + βy | x ∈ A, y ∈ B } は凸である。
証明
>>157 より A × B は E × E の凸集合である。
αA + βB は線形写像 (x, y) → αx + βy による
A × B の像であるから過去スレ008の428より凸である。
証明終
159(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 13:54:48 AAS
命題
E を実数体 R 上の位相線形空間とする。
A を E の空でない開凸集合とする。
B を E の空でない凸集合で A ∩ B = φ とする。
このとき A と B を分離する閉超平面(>>151) H が存在する。
証明
C = A - B は空でない開集合である。
>>158 より C は凸である。
A ∩ B = φ だから C は 0 を含まない。
よって >>149 より E 上の連続な線形形式 f ≠ 0 で
C において f(x) > 0 となるものがある。
よって x ∈ A, y ∈ B のとき f(x) > f(y) となる。
α = inf { f(x) | x ∈ A} とおく。
各 x ∈ A において f(x) ≧ α
各 y ∈ B において f(x) ≦ α
よって超平面 H = { x ∈ E | f(x) = α } は A と B を分離する。
証明終
160: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 13:56:05 AAS
>>159
>よって超平面 H = { x ∈ E | f(x) = α } は A と B を分離する。
f は連続だから H は閉である。
161(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 14:00:54 AAS
命題
E を実数体 R 上の位相線形空間とする。
A を E の空でない開凸集合とする。
B を E の空でない開凸集合で A ∩ B = φ とする。
このとき A と B を強分離する閉超平面(>>151) H が存在する。
証明
>>159 より A と B を分離する閉超平面 H が存在する。
>>156 より H は A と B を強分離する。
証明終
162(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 14:47:01 AAS
命題
X を一様空間(過去スレ006の194)とする。
A を X の準コンパクト集合(過去スレ006の104)、
B を X の閉集合とし、 A ∩ B = φ とする。
このとき X の近縁(過去スレ006の194) V で V(A) ∩ V(B) = φ となる
ものが存在する。
ここで、記号 V(A) については過去スレ006の192を参照。
証明
X の任意の近縁 V に対して V(A) ∩ V(B) ≠ φ とする。
V が X の対称近縁(過去スレ006の202)のとき、
A ∩ V^2(B) ≠ φ となる。
よって V が X の対称近縁全体を動くとき A ∩ V^2(B) 全体は
A のフィルター基底(過去スレ006の77)となる。
過去スレ006の309よりこのフィルター基底は接触点 p ∈ A を持つ。
任意の対称近縁 V に対して V(p) ∩ V^2(B) ≠ φ であるから
B ∩ V^3(p) ≠ φ である。
B は閉だから p ∈ B となって矛盾である。
証明終
163(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 14:57:08 AAS
命題
E を実数体 R 上の局所凸位相線形空間とする。
A を E の空でない閉凸集合とする。
K を E の空でない準コンパクトな凸集合で A ∩ K = φ とする。
このとき A と K を強分離する閉超平面(>>151) H が存在する。
証明
>>162 より 0 の開凸近傍 V で (A + V) ∩ (K + V) = φ となる
ものが存在する。
A + V と K + V は開集合であり、>>158 より凸である。
よって >>161 より A + V と K + V を強分離する閉超平面 H が存在する。
H は A と K を強分離する。
証明終
164(3): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 16:14:41 AAS
命題
E を実数体 R 上の局所凸位相線形空間とする。
E の任意の空でない閉凸集合 A はそれを含む閉半空間(>>150)全体の
共通集合である。
証明
x ∈ E - A とする。x は準コンパクトだから >>163 より
A と x を強分離する閉超平面 H が存在する。
証明終
165(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 16:37:05 AAS
命題
E を実数体 R 上の局所凸位相線形空間とする。
E の任意の空でない閉アフィン部分空間(>>124) M はそれを含む
閉超平面全体の共通集合である。
証明
x ∈ E - M とする。
M は閉だから x を含む凸な開集合 V で V ∩ M = φ となるものが
存在する。
>>137 より M ⊂ H となる閉超平面 H で V と交わらないものが
存在する。このとき H は x を含まない。
証明終
166(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 19:39:51 AAS
命題
E を複素数体 C 上の線形空間とする。
H_0 を E の 0 を通る実超平面とする。
即ち H_0 は E を実線形空間とみたとき E の実線形部分空間であり、
E/H_0 の実線形空間としての次元が1となるものである。
H_0 の定義方程式を g(x) = 0 とする。
ここで g は E 上の実線形形式である。
>>102 より Re(f) = g となる複素線形形式 f が一意に存在する。
H = H_0 ∩ iH_0 は E の 0 を通る複素超平面であり、
その定義方程式は f(x) = 0 である。
証明
>>102 より、f(x) = g(x) - ig(ix) とおくと f は複素線形形式であり、
Re(f) = g である。
f(x) = 0 ⇔ g(x) = 0 かつ g(ix) = 0
である。
g(ix) = 0 は ix ∈ H_0 と同値であり、
これは x ∈ iH_0 と同値である。
よって H = H_0 ∩ iH_0 の定義方程式は f(x) = 0 である。
証明終
167: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 20:33:57 AAS
次の定理は >>137 の複素位相線形空間への拡張である。
後の参照のために実位相線形空間の場合も含める。
168(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/20(日) 20:49:35 AAS
定理(Hahn-Banachの定理の幾何版)
K を実数体または複素数体とする。
E を K 上の位相線形空間とする。
A を E の空でない開凸集合とする。
M を E の空でないアフィン部分空間(>>124)で A と交わらないとする。
このとき M ⊂ H となる閉超平面(>>130)で A と交わらないものが
存在する。
証明
K が実数体の場合は >>137 で証明されている。
よって K は複素数体と仮定する。
0 ∈ M と仮定してよい。
>>137 より M ⊂ H_0 かつ A ∩ H_0 = φ となる実超平面で閉なものが
存在する。
>>166 より H = H_0 ∩ iH_0 は E の 0 を通る複素超平面である。
H_0 が閉だから iH_0 も閉である。
従って H も閉である。
M = iM だから M ⊂ H である。
A ∩ H_0 = φ だから A ∩ H = φ である。
証明終
169: 2008/01/25(金) 21:01:54 AAS
やるね
170: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 06:42:33 AAS
命題
K を実数体または複素数体とする。
E を K 上の局所凸位相線形空間とする。
E の任意の空でない閉アフィン部分空間(>>124) M はそれを含む
閉超平面全体の共通集合である。
証明
K が実数体の場合は >>165 で証明されている。
よって K は複素数体と仮定してよい。
x ∈ E - M とする。
M は閉だから x を含む凸な開集合 V で V ∩ M = φ となるものが
存在する。
>>168 より M ⊂ H となる閉超平面 H で V と交わらないものが
存在する。このとき H は x を含まない。
証明終
171: 2008/01/26(土) 09:55:45 AAS
p-adic Kollar
172: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 11:08:14 AAS
解析学では Baire のカテゴリー定理が重要な役目をする。
これから Banach 空間に関する基本的な定理である開写像定理、
閉グラフ定理、Banach-Steinhaus の定理などが得られる。
173(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 11:19:17 AAS
定義
位相空間 X の部分集合 A はその閉包 A~ が内点を持たないとき
疎(nowhere dense)であると言う。
174(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 11:23:57 AAS
定義
位相空間の部分集合は高々可算個の疎集合(>>173)の合併となるとき
第1類(the first category)の集合またはやせた(meager)集合と言う。
175(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 11:27:37 AAS
定義
位相空間の部分集合は第1類(the first category)の集合(>>174)で
ないとき第2類(the second category)の集合と言う。
176(4): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 11:32:31 AAS
定義
位相空間 X において第1類(>>174)の集合 A の補集合 X - A が常に
X で稠密であるとき X を Baire 空間と言う。
177(4): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 13:32:39 AAS
命題
位相空間 X に関する以下の条件は同値である。
(1) X は Baire 空間(>>176)である。
(2) X の空でない開集合は第2類(>>175)の集合である。
(3) X において内点をもたない閉集合の可算個の合併は内点をもたない。
(4) X において稠密な開集合の可算個の共通部分は稠密である。
証明
(1) ⇒ (2)
U を X の空でない開集合とする。
X - U は U と交わらないから X において稠密ではない。
よって仮定から U は第1類ではない、即ち第2類である。
(2) ⇒ (1)
A を X の第1類の集合とする。
X - A が X において稠密ではないとする。
A は X の空でない開集合 U を含む。
U は第1類の集合の部分集合としてやはり第1類であるから仮定に反する。
(2) ⇒ (3)
内点をもたない閉集合の可算個の合併 A が空でない開集合 U を
含むとする。A は第1類だから U も第1類である。これは仮定に反する。
(3) ⇒ (2)
X の空でない開集合 U で第1類のものがあるとする。
U は内点をもたない閉集合の可算個の合併に含まれる。
これは仮定に反する。
(3) ⇔ (4)
これは明らかである。
証明終
178(5): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 16:19:34 AAS
定理(Baire)
完備な距離空間 X はその位相に関して Baire 空間(>>176)である。
証明
X において >>177 の (4) が成り立つことを示せばよい。
即ち、X の稠密な開集合の列 (U_n), n ≧ 1 に対して
その共通部分 U = ∩U_n も稠密なことを示せば良い。
G を X の任意の空でない開集合とする。G ∩ U ≠ φ を示す。
空ない開集合の列 (G_n), n ≧ 1 を帰納法により、
G_1 = G
(G_(n+1))~ ⊂ G_n ∩ U_n
δ((G_(n+1))~) ≦ (1/2)δ((G_n)~) となるように定義する。
ここで、(G_n)~ は G_n の閉包であり、
δ((G_n)~) は (G_n)~ の直径である。
即ち、δ((G_n)~) = sup { d(x, y) | (x, y) ∈ (G_n)~×(G_n)~ }
X は一様空間であるから過去スレ006の212より正則である。
G_n が空でない開集合なら G_n ∩ U_n ≠ φ であるから
G_(n+1)~ ⊂ G_n ∩ U_n となるような空でない開集合 G_(n+1) が
存在する。このとき δ((G_(n+1))~) ≦ (1/2)δ((G_n)~) と出来る。
よって、上記のような列 (G_n) が存在する。
∩G_n ⊂ G ∩ U であり、∩G_n = ∩(G_n)~ であるから
∩(G_n)~ ≠ φ を示せばよい。
lim δ((G_n)~) = 0 だから ((G_n)~) は Cauchy フィルターの基底である。
X は完備だからこれは収束し、その極限点は ∩(G_n)~ に属す。
証明終
179: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 16:38:35 AAS
次の定理も >>178 と同様にして証明される。
180(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 16:39:12 AAS
定理
局所コンパクト空間 X は Baire 空間(>>176)である。
証明
X において >>177 の (4) が成り立つことを示せばよい。
即ち、X の稠密な開集合の列 (U_n), n ≧ 1 に対して
その共通部分 U = ∩U_n も稠密なことを示せば良い。
G を X の任意の空でない開集合とする。G ∩ U ≠ φ を示す。
空ない開集合の列 (G_n), n ≧ 1 を帰納法により、
G_1 = G
(G_(n+1))~ ⊂ G_n ∩ U_n となるように定義する。
ここで、(G_n)~ は G_n の閉包である。
X は局所コンパクトであるから過去スレ006の406より正則である。
G_n が空でない開集合なら G_n ∩ U_n ≠ φ であるから
G_(n+1)~ ⊂ G_n ∩ U_n となるような空でない開集合 G_(n+1) が
存在する。
よって、上記のような列 (G_n) が存在する。
このとき (G_2)~ はコンパクトと仮定してよい。
すると、(G_n)~, n ≧ 2 はコンパクト空間 (G_2)~ における
空でない閉集合の単調減少列であるから ∩(G_n)~ ≠ φ である。
∩G_n ⊂ G ∩ U であり、∩G_n = ∩(G_n)~ であるから
G ∩ U ≠ φ である。
証明終
181: 2008/01/26(土) 17:08:13 AAS
これさ最初から読みたいんだけどなにかないかな
182(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 18:45:58 AAS
>>178
>δ((G_(n+1))~) ≦ (1/2)δ((G_n)~) となるように定義する。
δ((G_1)~) = ∞ かもしれないので、以下のように訂正する。
δ((G_2)~) < ∞ とし、
n ≧ 2 のとき δ((G_(n+1))~) ≦ (1/2)δ((G_n)~) とする。
183: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 19:03:50 AAS
>>178
>>182
初めから δ((G_1)~) < ∞ を仮定してもよい。
184: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 19:05:57 AAS
>>180
>このとき (G_2)~ はコンパクトと仮定してよい。
X は局所コンパクトだから初めから (G_1)~ はコンパクトと
仮定してもよい。
185(9): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 22:06:44 AAS
定義
K を必ずしも可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E を K 上の位相線形空間とする。
E の位相が距離付け可能(過去スレ007の96)のとき E を距離付け可能と言う。
186: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 22:09:50 AAS
>>185
この定義は過去スレ008の537と同じであった。
187(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 23:47:32 AAS
命題
K を必ずしも可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E を K 上の位相線形空間で距離付け可能(>>185)とする。
このとき E から R+ = { x ∈ R | x ≧ 0 } への連続写像 | | で
次の条件を満たすものが存在する。
(1) |x| = 0 と x = 0 は同値である。
(2) 任意の x ∈ E に対して、|-x| = |x|
(3) 任意の x, y ∈ E に対して、|x + y| ≦ |x| + |y|
(4) |λ| ≦ 1 なら |λx| ≦ |x|
d(x, y) = |x - y| は E 上の不変距離(過去スレ007の113)であり、
それが定める E の一様構造は E の位相線形空間としての一様構造と
一致する。
証明
E は 0 の可算基本近傍系 (V_n) を持つ。
各 n に対して 3(V_n) ⊂ V_n と仮定してよい。
さらに過去スレ006の635より各 V_n は平衡的と仮定してよい。
U_n = { (x, y) ∈ E×E ; y - x ∈ V_n } とおく。
(U_n) は一様構造の基本近縁系であり、各 n に対して
U_n は対称で、(U_n)^3 ⊂ U_n である。
過去スレ006の71 のようにして (U_n) から E の一様構造と両立する
距離 f を定義する。
過去スレ006の114より f は不変距離である。
(続く)
188: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/26(土) 23:48:51 AAS
>>187 の続き。
過去スレ006の116より |x| = f(0, x) は (1), (2), (3) を満たす。
(x, y) ∈ U_n のとき y - x ∈ V_n であり、V_n は平衡的であるから
|λ| ≦ 1 なら λ(y - x) ∈ V_n、即ち (λx, λy) ∈ U_n である。
従って、過去スレ006の69 で定義した関数 g は、
g(λx, λy) ≦ g(x, y) を満たす。
よって、f も、f(λx, λy) ≦ f(x, y) を満たす。
よって、|λx| ≦ |x| となり (4) が成り立つ。
| | が連続なことは f(x, y) = |x - y| が E の一様構造を定義する
ことから明らかである。
証明終
189(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 10:13:42 AAS
補題
K を必ずしも可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E を K 上の位相線形空間とする。
W を E における 0 の平衡的(過去スレ006の630)近傍とする。
λ を K の元で |λ| > 1 とする。
このとき E = ∪{ (λ^n)W | n ≧ 0 } である。
証明
過去スレ006の629より W は吸収的(過去スレ006の628)である。
即ち、任意の x ∈ E に対して x ∈ μW となる μ ∈ K が存在する。
|μ| < |λ|^n となる整数 n ≧ 0 がある。
W は平衡的であるから μW ⊂ (λ^n)W である。
よって、 x ∈ (λ^n)W である。
証明終
190(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 10:42:29 AAS
補題
K を必ずしも可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E と F をそれぞれ K 上の位相線形空間で距離付け可能(>>185)とする。
f : E → F を連続な線形写像で f(E) は第2類(>>175)の集合とする。
E における 0 の任意の近傍 V に対して f(V)~ は F における 0 の近傍
である。ここで f(V)~ は f(V) の閉包を表す。
証明
過去スレ006の635より E における 0 の平衡的近傍 W で、
W + W ⊂ V となるものが存在する。
| | は自明でない絶対値だから K の元 λ で |λ| > 1 となるものが
存在する。
>>189 より E = ∪(λ^n)W である。
x ∈ E, x → (λ^n)x は E の位相同型であるから (λ^n)W の閉包は
(λ^n)W~ である。
同様に、
y ∈ F, y → (λ^n)y は F の位相同型であるから (λ^n)f(W) の閉包は
(λ^n)f(W)~ である。
よって、f(E) ⊂ ∪f((λ^n)W~) ⊂ ∪(λ^n)f(W)~
f(E) は第2類だから、ある n ≧ 0 に対して (λ^n)f(W)~ は内点をもつ。
y ∈ F, y → (λ^n)y は F の位相同型であるから f(W)~ は内点 b をもつ。
U を F における 0 の開近傍で b + U ⊂ f(W)~ とする。
W は平衡的だから -W = W である。よって、-f(W) = f(W)
よって、-f(W)~ = f(W)~
よって -b - U ∈ f(W)~
0 = b + (-b) ∈ U - U ⊂ f(W)~ + f(W)~ ⊂ (f(W) + f(W))~ ⊂ f(V)~
U - U は 0 の近傍であるから f(V)~ は 0 の近傍である。
証明終
191(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 13:13:34 AAS
命題
E と F をそれぞれ位相アーベル群とする。
f : E → F を(必ずしも連続とは限らない)準同型写像とする。
f が開写像であるためには E における 0 の任意の近傍 V に対して
f(V) が F における 0 の近傍であることが必要十分である。
証明
必要性は明らかであるから十分なことを証明する。
U を E の開集合とする。
x ∈ U に対して x + V ⊂ U となる E における 0 の近傍 V がある。
仮定より f(V) は F における 0 の近傍である。
f(x) + f(V) = f(x + V) ⊂ f(U)
これは f(x) が f(U) の内点であることを意味する。
x は U の任意の点だから f(U) は開集合である。
証明終
192(4): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 13:47:46 AAS
定理(Banach の開写像定理)
K を必ずしも可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E と F をそれぞれ K 上の完備な位相線形空間で距離付け可能(>>185)とする。
f : E → F を連続な線形写像で全射とする。
このとき f は開写像である。
証明(Functional Analysis by K. Yosida)
d と d' をそれぞれ E と F の距離でそれぞれの一様構造を与えるものとする。
>>187 より d, d' は不変距離で
|x| = d(x, 0) と |y|' = d'(y, 0) は >>187 の (1) 〜 (4) を
満たすとしてよい。
任意の実数 r > 0 と、 a ∈ E, b ∈ F に対して
B(a, r) = { x ∈ E | |x - a| ≦ r }
B'(b, r) = { y ∈ F | |y - b|' ≦ r }
とおく。
>>191 より、任意の実数 ε > 0 に対して実数 η > 0 があり
B'(0, η) ⊂ f(B(0, ε)) となることを示せばよい。
ε_i = ε/2^i (i = 1, 2, ...) とおく。
f(E) = F であり Baire の定理(>>178) より F は Baire 空間である。
従って >>177 の (2) より f(E) は第2類である。
(続く)
193(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 13:49:13 AAS
>>192 の続き。
>>190 より、
各 i に対して B'(0, η_i) ⊂ f(B(0, ε_i))~ となる η_i > 0 がある。
明らかに i → ∞ のとき lim η_i = 0 となるように η_i を選べる。
y ∈ B'(0, η_1) とする。
y ∈ f(B(0, ε_1))~ だから
|y - f(x_1)|' < η_2 となる x_1 ∈ B(0, ε_1) がある。
y - f(x_1) ∈ B'(0, η_2) だから
y - f(x_1) ∈ f(B(0, ε_2))~ である。
よって
|y - f(x_1) - f(x_2)|' < η_3 となる x_2 ∈ B(0, ε_2) がある。
この操作を続けて、
x_i ∈ B(0, ε_i) (i = 1, 2, ..., n) があり、
|y - f(x_1 + ... + x_n)|' < η_(n+1) となる。
|x_(m+1) + ... + x_n| ≦ |x_(m+1)| + ... + |x_n|
≦ ε_(m+1) + ... + ε_n ≦ (1/2^(m+1) + ... + 1/2^n)ε
≦ (1/2 + 1/2^2 + ...)ε = ε
よって s_n = x_1 + ... + x_n とおくとき (s_n) は E における
Cauchy 列である。
E は完備だから (s_n) は収束する。x = lim s_n とおく。
|x| = lim (|x_1 + ... + x_n|) ≦ lim (|x_1| + ... + |x_n|)
≦ lim (ε_1 + ... ε_n) = (1/2 + 1/2^2 + ...)ε = ε
よって x ∈ B(0, ε)
(続く)
194: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 13:49:59 AAS
>>193 の続き。
一方、
|y - f(x_1 + ... + x_n)|' < η_(n+1) であり、
i → ∞ のとき lim η_i = 0 であるから
y = lim f(x_1 + ... + x_n) である。
f は連続だから lim f(x_1 + ... + x_n) = f(lim s_n) = f(x)
よって y = f(x) である。
即ち、B'(0, η_1) ⊂ B(0, ε)
証明終
195(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 13:51:34 AAS
訂正
>>193
>≦ lim (ε_1 + ... ε_n) = (1/2 + 1/2^2 + ...)ε = ε
≦ lim (ε_1 + ... ε_n) ≦ (1/2 + 1/2^2 + ...)ε = ε
196: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 13:54:51 AAS
>>195
訂正の訂正
>>195 は間違いであり不要
197: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 19:32:33 AAS
命題
G を距離付け可能(過去スレ007の112)な位相アーベル群とする。
H を G の閉部分群とする。
G/H は位相アーベル群として距離付け可能である。
証明
p: G → G/H を標準射とする。
G は位相空間として距離付け可能だから単位元 0 の可算基本近傍系 (V_n)
を持つ。
(p(V_n)) は G/H の単位元の基本近傍系である。
過去スレ007の110より G/H は距離付け可能である。
証明終
198(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 20:26:06 AAS
命題
G を距離付け可能(過去スレ007の112)な位相アーベル群とする。
H を G の閉部分群とする。
G が完備なら G/H も完備である。
証明
p: G → G/H を標準射とする。
G は位相空間として距離付け可能だから単位元 0 の可算基本近傍系
(V_n), n ≧ 1 を持つ。
V_(n+1) + V_(n+1) ⊂ V_n となっていると仮定してよい。
(p(V_n)) は G/H の単位元の基本近傍系である。
過去スレ006の325より、G/H の任意の Cauchy 点列(過去スレ006の237)
(ξ_n) が収束することを示せばよい。
これには過去スレ006の248より(ξ_n) のある部分列が収束することを
示せば十分である。
従って、任意の n ≧ 1 に対して p ≧ n, q ≧ n のとき常に
ξ_q - ξ_p ∈ p(V_n) となると仮定してよい
(もしそうでない場合は (ξ_n) の適当な部分点列を考えればよい)。
ξ_(n+1) - ξ_n ∈ p(V_n) だから
ξ_(n+1) = p(y)
ξ_n = p(x)
のとき
y - x ∈ V_n + H
y - x = v + h と書ける。ここで v ∈ V_n, h ∈ H
y - h = x + v ∈ x + V_n
p(y - h) = ξ_(n+1) である。
よって y - h を y で置き換えて y ∈ x + V_n と仮定してよい。
よって帰納法により ξ_n = p(x_n), x_(n+1) ∈ x_n + V_n となるように
G の元の列 (x_n) を選べる。
(続く)
199: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 20:27:06 AAS
>>198 の続き。
n ≧ 1, p ≧ 1 に対して、
x_(n+1) ∈ x_n + V_n
x_(n+2) ∈ x_(n+1) + V_(n+1) ⊂ x_n + V_n + V_(n+1)
.
.
.
x_(n+p) ∈ x_(n+p-1) + V_(n+p-1) ⊂ x_n + V_n + ... + V_(n+p-1)
ここで、V_(n+1) + V_(n+1) ⊂ V_n と仮定しているから、
x_n + V_n ⊂ x_n + V_(n-1)
x_n + V_n + V_(n+1) ⊂ x_n + V_(n-1)
x_n + V_n + V_(n+1) + V_(n+2) ⊂ x_n + V_n + V_n ⊂ x_n + V_(n-1)
同様にして(帰納法により)
x_n + V_n + ... + V_(n+p-1) ⊂ x_n + V_(n-1)
よって
x_(n+p) ∈ x_n + V_(n-1)
よって (x_n) は G における Cauchy 列である。
G は完備だから G の点 a に収束する。
標準射 p: G → G/H は連続だから (p(x_n)) は p(a) に収束する。
証明終
200(1): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 20:46:35 AAS
定義
位相群 G から位相群 G' への連続準同型 f が次の条件を満たすとき
f を G から G' への強射(strict morphism)と言う。
G の開集合の f による像は f(G) の開集合である。
201: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 20:58:53 AAS
命題
K を必ずしも可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E と F をそれぞれ K 上の完備な位相線形空間で距離付け可能(>>185)とする。
f : E → F を連続な線形写像とする。
f が強射(>>200)であるためには f(E) が F の閉集合であることが
必要十分である。
証明
f が強射であるとする。
f は E/f^(-1)(0) と f(E) の位相同型を引き起こす。
>>198 より E/f^(-1)(0) は完備である。
よって f(E) も完備であり、f(E) は F の閉集合である。
逆に、f(E) が F の閉集合であるとする。
f(E) は完備である。
Banach の開写像定理(>>192)より f は強射である。
証明終
202(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 21:05:55 AAS
命題
K を必ずしも可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E と F をそれぞれ K 上の完備な位相線形空間で距離付け可能(>>185)とする。
f : E → F を連続な線形写像で全単射とする。
このとき、f は位相同型である。
証明
Banach の開写像定理(>>192)より明らかである。
203: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 21:17:36 AAS
命題
K を必ずしも可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E を K 上の完備な位相線形空間で距離付け可能(>>185)とする。
M と N を E の線形部分空間で E において閉とする。
E が M と N の代数的直和であれば位相直和(過去スレ006の642)でもある。
証明
M と N は完備な位相線形空間で距離付け可能である。
M × N は距離付け可能な位相線形空間である。
過去スレ006の255より M × N は完備である。
M × N から E への写像 (x, y) → x + y は連続な線形写像で
全単射である。
>>202 より これは位相同型である。
証明終
204(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 21:33:40 AAS
命題
f と g を位相空間 X から Hausdorff 位相空間 Y への連続写像とする。
T = { x ∈ X | f(x) = g(x) } は X の閉集合である。
証明
X から Y×Y への写像 h を h(x) = (f(x), g(x)) により定義する。
h は連続である。
Δ = { (y, y) | y ∈ Y } とおく。
T = h^(-1)(Δ) である。
Y は Hausdorff だから過去スレ006の84より Δ は Y×Y の閉集合である。
よって T も閉集合である。
証明終
205(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 21:37:51 AAS
命題
f を位相空間 X から Hausdorff 位相空間 Y への連続写像とする。
f のグラフ G = { (x, f(x)) ∈ X × Y | x ∈ X } は
X × Y の閉集合である。
証明
X × Y から Y への写像 (x, y) → x と (x, y) → f(x) は
どちらも連続である。
>>204 より G は X × Y の閉集合である。
証明終
206(3): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 21:52:41 AAS
定理(Banach の閉グラフ定理)
K を必ずしも可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E と F をそれぞれ K 上の完備な位相線形空間で距離付け可能(>>185)とする。
f : E → F を線形写像とする。
f が連続であるためには f のグラフ G = { (x, f(x)) ∈ E × F | x ∈ E }
が E × F の閉集合であることが必要十分である。
証明
f が連続なら >>205 より G は E × F の閉集合である。
逆に、G は E × F の閉集合であるとする。
過去スレ006の255より E × F は完備である。
よって G も完備である。
g : G → E を g(x, f(x)) = x により定義する。
g は連続な全単射である。
>>202 より g は位相同型である。
h : E → G を h(x) = (x, f(x)) により定義する。
h は g の逆写像であるから連続である。
p : E × F → F を射影とすれば、f = ph である。
よって f も連続である。
証明終
207: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/01/27(日) 22:05:18 AAS
定理(Banach の閉グラフ定理の言い換え)
K を必ずしも可換とは限らない体とする。
| | を K の自明でない絶対値(過去スレ006の414)とする。
E と F をそれぞれ K 上の完備な位相線形空間で距離付け可能(>>185)とする。
f : E → F を線形写像とする。
(x_n) を E の点列で lim x_n = 0 で lim f(x_n) = y が存在するような
ものとする。
このとき y = 0 が常に成り立てば f は連続である。
証明
>>206 より f のグラフ G = { (x, f(x)) ∈ E × F | x ∈ E }
が E × F の閉集合であることを示せばよい。
G の点列 ((x_n, f(x_n))) が (a, b) ∈ E × F に収束するとする。
lim x_n = a, lim f(x_n) = b である。
よって lim (x_n - a) = 0 であり、
lim f(x_n - a) = lim (f(x_n) - f(a)) = b - f(a) である。
よって命題の仮定より b = f(a) である。
よって (a, b) ∈ G である。
よって G はE × F の閉集合である。
証明終
208(2): Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/02/02(土) 08:45:46 AAS
局所凸位相線形空間において Banach の開写像定理(>>192)と
閉グラフ定理(>>206)が適用できるためには、その空間が完備で
距離付け可能であること、即ち Frechet 空間(>>2)であることが必要である。
これが位相線形空間論において Frechet 空間が重要であることの理由である。
Bourbaki の位相線形空間の巻の歴史覚え書には Banach の閉グラフ定理は
Banach-Steinhaus の定理(後述)と並んで関数解析における第一級の道具で
あると書かれている。
209(4): 2008/02/02(土) 13:50:59 AAS
>>208
Kummer さん、お久しぶりです。
(って言っても、匿名掲示板では、誰だかわからないか(>_<))
岩波の数学辞典によると、開写像定理と閉グラフ定理は、
かなりの一般化が進んでいるようですね。
閉グラフ定理の方は、L.Schwarts による一般化に、
「ボレルグラフの定理」
というものがあったと思います。
statement は、
f:E → F が線型写像で、E は、バナッハ空間のある族の帰納的極限、
F はススリン空間、( E、F は両方とも局所凸 Hausdorff 位相線型空間とする )
とするとき、f のグラフが E × F のボレル集合であれば、
f は連続である
・・というものでした。
(文献:トレーブ著「位相ベクトル空間・超関数・核 下」)
以上、僭越ながら、コメントさせてもらいました m(_ _)m
210: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/02/02(土) 15:08:50 AAS
>>209
有難うございます。
その定理は Bourbaki にもありますね。
それが Schwarts によるものとは知りませんでした。
211: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/02/02(土) 15:15:48 AAS
訂正
>>205
>X × Y から Y への写像 (x, y) → x と (x, y) → f(x) は
>どちらも連続である。
X × Y から Y への写像 (x, y) → y と (x, y) → f(x) は
どちらも連続である。
212: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/02/02(土) 15:22:15 AAS
訂正。
>>208
>閉グラフ定理(>>206)が適用できるためには、その空間が完備で
>距離付け可能であること、即ち Frechet 空間(>>2)であることが必要である。
>閉グラフ定理(>>206)が適用できるためには、その空間が完備で
>距離付け可能であること、即ち Frechet 空間(>>2)であることが十分である。
213(1): 2008/02/02(土) 17:00:51 AAS
クンマーさんへ
このスレはあなた以外に書かないし、誰も興味がないので
「sage」で書いてもらえませんか?
時々上がって来て、目障りなんです。
sageで書いても、あなたには実害はないはずですので
よろしくお願いいたします。
214: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/02/02(土) 17:02:44 AAS
目障りってなんで?
215(2): 2008/02/02(土) 17:05:00 AAS
だって、上がって来たのを普通読むじゃないですか?
読むつもりが全くないスレが上がって来るのは
邪魔なんです。これって普通のことですよ。
216: 209 2008/02/02(土) 17:10:59 AAS
>>213 >>215
ここに、読むつもりがある人もいるのだが・・。
少し我慢してもらえまいか?
217: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/02/02(土) 17:22:16 AAS
>>215
>読むつもりが全くないスレが上がって来るのは
>邪魔なんです。
なんで邪魔なのかよく分からないんだが。
無視すりゃいいだけなんじゃないの?
218(2): 2008/02/02(土) 17:23:56 AAS
サゲではなぜ駄目なんですか?
2ちゃんの数学板で一回に閲覧出来るスレッドは限られています。
自分の覚書に使うなら、何も2ちゃんでやる必要なんてないでしょう。
サゲでお願いします。
219: 2008/02/02(土) 17:30:39 AAS
荒らしの書き込みを別にすれば、このスレの98%は
スレ主さんの書き込みです。このようなスレは
sageで行うのがネチケットというものです。
220: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/02/02(土) 17:31:12 AAS
>>218
>2ちゃんの数学板で一回に閲覧出来るスレッドは限られています。
一回に閲覧出来るってどういう意味?
それとアゲサゲがどう関係するかも分からない。
もっと分かりやすく説明してください。
221: 209 2008/02/02(土) 17:31:50 AAS
>>218
>2ちゃんの数学板で一回に閲覧出来るスレッドは限られています。
age か sage かは置いておいて、
落ちてないスレは全て表示できるはずなんだが、やり方わかっているか?
700個くらいのスレが表示されるはずだぞ。
222(1): 209 2008/02/02(土) 17:36:19 AAS
↓この表示だと、確かに、スレは100くらいしか表示されない
外部リンク[html]:science6.2ch.net
↓この表示だと、700くらい表示される
外部リンク[html]:science6.2ch.net
223: 222 2008/02/02(土) 17:40:12 AAS
すまん。前者の方は、200くらい表示されていた。
下のほうの、「スレッド一覧」をクリックすると、全部表示されるはず。
224(1): 2008/02/02(土) 20:41:17 AAS
外部リンク[html]:science6.2ch.net
これで10レスくらいが見られるスレは
そんなに多くないでしょ
ともかく迷惑ですよ 98%もスレ主しか書いていないスレは
サゲ進行でも問題ないでしょ? kingのスレとか
無意味なスレが上がって来るばかりで、迷惑するのと
少し意味は違いますが、個人の都合でやっているスレは
サゲでお願いします。
225: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/02/02(土) 20:45:40 AAS
だから何が迷惑なのか理由を分かりやすく書いてもらわないと。
単にあんたの個人的感情から出てる意見なら説得力ゼロ。
226: 2008/02/02(土) 20:48:30 AAS
てめえがいつまでも上げるなら、徹底的に荒らすぜ
227: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
228: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
229: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
230: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
231: 2008/02/02(土) 20:53:34 AAS
数1の途中式なので、高校レベルではないかもしれませんが、回答宜しくお願いします;
2πK^2r^2+2πK^2rh
この式をK^2をくくりだして
=K^2(2πr^2+2πrh)
にすることはできますか?
232: 2008/02/02(土) 20:54:07 AAS
俺の知識
線形代数 全国トップレベル
微分積分 国内上位のほう
位相 一番得意
常微分方程式 知識皆無
ルベーグ積分 知識皆無
リーマン幾何 まだ知識はそれほど多くはないが、実力は十分
複素関数論 人並み程度。
代数学 上位
位相幾何 基本的なことしかわからない。
俺何やればいいんですかね?
233: 2008/02/02(土) 20:54:42 AAS
京都大学数学の入試問題
「三次の積分公式に関する問題を作り、解け」
「定積分で表された関数に関する問題を作り、解け」
「ルジャンドルの多項式に関する問題を作り、解け」
「最小二乗法に関する問題を作り、解け」
「絶対値の入った定積分に関する問題を作り、解け」
「存在領域の面積に関する問題を作り、解け」
「n倍角の公式に関する問題を作り、解け」
234: 2008/02/02(土) 20:55:24 AAS
>コンピュータ・ソフトウェアの発展における
>理論面での貢献は大きかったのではなかろうか
まともな論文すらない奴が、貢献できるわけないやろ。
コネか何かの温情で教授になれただけ。
>コンピュータ・ソフトウェアの発展における
>理論面での貢献は大きかったのではなかろうか
まともな論文すらない奴が、貢献できるわけないやろ。
コネか何かの温情で教授になれただけ。
>コンピュータ・ソフトウェアの発展における
>理論面での貢献は大きかったのではなかろうか
まともな論文すらない奴が、貢献できるわけないやろ。
コネか何かの温情で教授になれただけ。
235: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
236: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
237: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
238: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
239: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
240: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
241: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
242: 2008/02/02(土) 21:12:42 AAS
おい Kummer ◆g2BU0D6YN2
おまえ、sageで書けよ
243: Kummer ◆g2BU0D6YN2 2008/02/02(土) 21:16:18 AAS
理由は?
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