[過去ログ] ギャルゲー板SSスレッド Chapter-3 (988レス)
上下前次1-新
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
530(3): 無題・未完結 02/02/18 15:35 AAS
「卒業してからもう5年か……」
郵便受けに入っていた同窓会の案内状を見て俺は誰にでもなく呟いた。
みんなは……光は元気だろうか?
光……「陽ノ下光」は俺の幼なじみでもあり、高校時代、俺に想いを寄せてくれた女性だ。
もし、あの時俺が彼女の気持ちに気がついていたら今頃二人はどうなっていたのだろう…。
今更考えてもしょうがない事だがつい考えてしまう。
なぜなら高校卒業後、彼女が辿った道はあまりにも酷だったからだ……。
‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐
最初の再会は大学の先輩に「筆下ろしに」と無理やりつれていかされた風俗店だった。
想わぬ場所での再会なだけあって俺と光はお互い暫く言葉がでなかった。
「…そ、それでは始めましょうか、お客さん」
最初に言葉を発したのは光。
俺は彼女の口から出た「お客さん」という言葉に動揺と苛立ちを覚えずにはいられなかった。
「お客さんってナンだよ! だいたいなんで光がこんな店で―――!?」
「…キミこそどうしてこんなお店に来たの!? 私が知っているキミはこんな場所に来るような人じゃなかったよっ」
「う……」
思わず言葉に詰まる。
再び沈黙が場を支配した。刻々とすぎる時間。壁に掛けられた時計の秒針の音が妙に大きく聞こえる。
「か、帰るよ…」
カラカラになった喉からやっと出た言葉は逃避を表す言葉だった。
踵を返しドアのノブに手をかける。その時―――。
「まって!」
「!?」
振り返ると光が何かを懇願するような顔で俺を見ていた。その表情は幼なじみの俺でないと何を意味する表情かは分からなかっただろう。
531(3): 無題・未完結 02/02/18 15:35 AAS
「私ね、このお店に入って今日が初日なんだ」
「?」
「経験者って嘘をついて雇ってもらったけど本当はまだしたことなくて……」
「………」
「怖かったんだ…知らない人に抱かれるの。だからさっきまでドキドキして心臓が張り裂けそうだったんだよ。まだ心の準備もできてなくって……。それなのに店長さんが最初のお客さんが来たよーってさ…」
そこまで言うと光は照れ隠しをするように「エヘヘ」と笑った。その目尻にはいつの間にか涙が溜まっていた。
「だから驚いちゃったんだ。最初のお客さんとしてキミが入ってきたときは」
「そ、そうなんだ……」
喉はまだカラカラだ。
「ねえ、抱いてくれないかな? 最初に抱いてくれたのがキミだったら、この先もこのお仕事やっていけそうな気がするんだ」
「………」
暫く(と言ってもものの十秒ほどだが)考える。そして俺が出した結論は、
「………わかった。でもその前に聞かせてくれよ、なんでこんな店で働き出したのかを」
「それが条件?」
「あぁ」
俺がそう答えると光は視線を床に落とし、言葉を紡ぐように話し始めた。
光がこの店で働く事になった経緯を要約するとこうだ。
なんでも大学の先輩の、借金の保証人になったら先輩が雲隠れしてしまい代わりに借金の返済をするはめになり、流されるままここで働く事になったという事らしい。
俺はすすり泣きながらこの話をする光をみて、光の先輩に憤りを感じすにはいられなかった。
「そうだったのか、光。わかった、俺抱くよ。光が元気出るように一生懸命抱くよ」
言い終わってから我ながら可笑しな台詞だと思った。だけど光は、
「ありがとう、キミが抱いてくれるのなら勇気百倍だよっ」
と、できる限りの笑顔で笑ってくれた。その笑顔はかつての面影があり、これから行うSEXという行為に対する緊張を解いてくれた。
そして俺は光を抱いた――――。
532(3): 無題・未完結 02/02/18 15:36 AAS
事件が起きたのはその翌日、俺は新聞を見てその事件を知った。
『風俗店全焼 新人風俗嬢に放火の疑い』
その見出しをみて俺は凍りつきそうになった。
『○月×日午後3時頃、○○町内の風俗店××で火災が発生。死傷者十数名をだす惨事に。火災の原因はまだはっきりしていないが警察は火災後 姿をくらませた新人風俗嬢(18)が事件になんらかの関係があるとみて、その風俗嬢の行方を追っている』
午後3時…俺が事を済ませて店を出た直後だ…。もし姿をくらませた新人風俗嬢が光だとしたら……。
俺はいてもたってもいられず現場へと向かった。
‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐ ‐‐‐
雨のせいだろうか? 現場は鎮火後だいぶ経っているというのにまだ何かが焦げているような匂いがした。
「あ、あの…」
近場にいる刑事らしき人物にロープ越しに声をかける。
するとその刑事は明らかに面倒くさそうな顔をし、ゆっくりと俺の方に近づいてきた。
「あー、何か用かね?」
「あの、新聞に載っていた消えた風俗嬢って――」
「あぁん? だめだめ、事件に関係ある事は教えられないよ」
「だったらせめて被害者だけでも」
「君、被害者の身内の人? 全くしょうがないなァ…えっと被害者は――」
刑事は面倒くさそうにメモ帖を開き被害者の名前を読みはじめた。
「えっと…稲垣まさし…田代吾郎…三田裕也…高橋佳子…穂刈純一郎…」
「!? ――穂刈!? 刑事さん今、穂刈純一郎って言いましたよね!?」
「んあ、あぁ言ったが…? なんだね君、その被害者と知り合いかい?」
「え、あ、その…」
(死んだ…あの穂刈純一郎が死んだ。それも光の働きだした風俗店で……いったい何が…)
事件のあった場所で知っている名前が二つも出てくるとどうしても無関係とは思えない。
俺は刑事さんに礼を言い、人ごみから離れるとポケットから携帯を取りだしある男に電話をかけた。
「もしもーし匠くんでーす」
「あ、匠か!? おまえ新聞読んだか!?」
「なんだ、誰かと思ったらオマエかよ。新聞? もちろん読んだよ。光ちゃんの働き出した風俗で火事があったって話だろ?」
「光がって……おまえなんで光があそこで働きだしたことを…!?」
「なんでって、光ちゃんにあそこを紹介したの俺だもん。いやーなんだか光ちゃんお金に困ってたみたいでさー」
「………ッ!!」
ふざけた匠の口調に頭の中が怒りで茹りそうになる。
(おまえ…光は泣いてたんだぞ……!)
言いたい言葉をグッと我慢する。携帯を持つ手のみが怒りでぶるぶると震えた。
「なんだよ、別にいーだろ? 光ちゃんとオマエは恋人でもなんでもないんだし」
「………」
「あーわかった、わかった。そう怒るなって。それより光ちゃんの居場所だろ? それなら俺も知ってるよ」
「なに!?」
一瞬頭が真っ白になる。
「光ちゃんならひびきの高校の体育館倉庫にいるよ。嘘だと思ったら言ってみ―――プツ」
俺は匠の言葉を最後まで聞くことなく携帯を切ると、そのまま走り出した。
もちろん目指すはひびきの高校の体育館倉庫。ちらっと腕時計を見ると午前十時を少し過ぎたところだった。
533(3): 無題・未完結 02/02/18 15:43 AAS
校門を抜け校内へと入っていく。
まさかこんな風に再びひびきの高校へやってくるなんて卒業した時は思ってもいなかった。
できるだけ人目を避け、体育館に侵入。閑散とした体育館を走り抜けいざ倉庫へ。
ガチャッ……。
冷たい鉄製のノブを回し倉庫の扉を開く。
真っ暗の倉庫に光が差しこみ倉庫の中が徐々に明るくなっていく。
「――ッ!?」
赤―――。
最初に目に飛びこんできたのは鮮血の赤だった。
その赤は運動マットやバスケットボールにこれでもかというほど自己主張していた。
(な、なんだよ…これ)
「――うっ!」
胃の中の物が逆流し思わず吐き出しそうになる。
(ど、どこか……吐き出してもいい場所は……)
そう思い床に目を移すと……。
「!?」
――――人間。人間が血の水溜りの中を仰向けに倒れている。
その人物は俺のよく知っている奴だった。
「し、死んでいるのか? でもなんでオマエが……!?」
物言わぬ死体……それは少し前に携帯電話で話したばかりの坂城匠だった。
(け、警察に……いや、それよりも光は!?)
匠の最後の言葉を思い出し倉庫の中を見渡す。しかしそこに光の姿は無かった。
ただ床に匠の血で「ごめんなさい」と書かれた紙が一枚落ちていた。
「いったい何処に行ってしまったんだよ、光…」
この後、光は一年間俺の前から姿を消すのだった。
534(5): 02/02/18 15:50 AAS
>>530-534
無題・未完結
ふと時間ができたので書いてみた。
続きは気がむいた時に。あくまで気がむいたらだけど。
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
あと 454 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ
ぬこの手 ぬこTOP 2.143s*