[過去ログ] 中二病でも恋がしたい!でエロパロ (566レス)
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308: 六花のお弁当 2012/11/30(金) 20:53:09.10 ID:e9KA+xtW(1/4)調 AAS
来週は弁当の話?
らしいので妄想をひとつ
309: 六花のお弁当 2012/11/30(金) 20:54:33.83 ID:e9KA+xtW(2/4)調 AAS
あの転落未遂事件以来、どこか変だった六花はすっかりいつもの調子に戻っていた。
変った事といえば、六花が俺にやたらくっついてくるようになった事と、なぜか俺と六花が校内公認カップル
になっていることだ。別に付き合ってるわけでもない……はずなんだが。
まぁ、あんなとこで抱き合ってしまったからな……まさか写真まで撮られて校内新聞に載せられるとは思わな
かった。
そんなこんなで一週間が経過したある日の昼。
俺が鞄から弁当を取り出したところで六花が声をかけてきた。
「ゆ、ゆーたっ」
「ん?」
弁当の包みから手を離し六花を見上げる。
「あ、あの……お、お弁当……」
「なんだ? どうした? 一緒に喰いたいのか……?」
「ち、違う。あ、いや違わないっ。あぅ、でも違う……お、お弁当……っ」
どうしたのだろうか? 六花は両手を後ろに回してもじもじと体を揺らしている。顔もトマトのように真っ赤
だ。俺は目をぱちぱちと瞬かせて首を傾げる。
「ゆ、ゆゆゆーた! お、おお弁当作ってきた。食べてほしいっ」
六花は後ろに隠し持っていた弁当箱をドンっ、と俺の机に置いて叫んだ。
おおぉぉっ、と周囲からどよめきがあがった。
俺は好奇の視線がちくちくと突き刺さる中、眼を丸くして六花と弁当箱を交互に見る。
長方形の弁当箱はかなり大きめで男性用のようだ。俺用にわざわざ買ってきてくれたのだろうか? そして六
花は、瞳をうるませてじっと俺を見つめている。真っ赤にした顔は今や湯気が噴きあがりそうな勢いだ。
「……お、おう。あ、あり難く頂くよ。しかし俺自分の弁当あるんだけど……」
素直に嬉しかったのだが。不意打ちというか、まさかあの六花がっていうか、とにかく必死に笑顔を作って答
えた。強張った微妙な笑顔だったかもしれない。
「ゆ、ゆーたの弁当はわたしがっ、わたしが食べるから平気っ」
「そ、そうか。まぁそのあれだ。早速食べようじゃないか」
「うんっ」
六花はにっこり笑って頷くと、前の席の椅子を後ろに向けて座った。
一緒に喰うのは決定済らしい。しかし同じ机で喰うとか狭いんですけど……。
「しかし六花が料理できるなんて知らなかったな」
「ん……? 料理は初めて」
「すると十花さんに教えてもらいながら作ったの?」
「ううん、プリーステスの力は借りていない。全部自分で作った」
拳をぎゅっと握りしめ自信満々に答える六花に、弁当の包みを解いていた俺の手がぴたりと止まる。
「……まじ?」
「うん」
気恥ずかしさと嬉しさに包まれていた俺の胸中が、不安という文字一色に塗り替えられていく。しかしここで
引く選択肢は存在しない。包みを解くと、弁当の蓋に手を伸ばす。六花の視線が俺の手をじーーーっと追尾して
くる。
そして、上蓋の左右の止め具を外す――ふしゅるるぅぅ、冥府の入口から瘴気が漏れたようなそんな気配がし
た。……RPGで罠のかかった宝箱を不器用な戦士が開けるときの心情ってこんな感じなのかな、などと思う俺
だった。
「よし、開けるぞ……っ!」
怯む自分を奮い立たせるように宣言して、弁当の蓋を剥ぎ取った。
遂に開いてしまったパンドラの箱。その中身やいかに!
ちらっ。何となく眼をつぶってしまった俺は片目を開いて弁当を見た。
「こ……これは」
「ゆーた、どうっ?」
期待に満ち溢れた六花の言葉が俺に投げかけられる。
「……おい六花……この髑髏(ドクロ)の絵は一体……」
俺は震える指先でご飯の上に大きく描かれている髑髏を指差した。どうやら黒いふりかけのようだが……。
赤いふりかけで、はーとまーく、なんて描かれていたらどうしよう、とか考えていた俺が可愛いぜ……。
「ダークフレイムマスターに見合う感じにしてみた。かっこいいっ!」
「そ、そう……だな。かっこいい……ね。うん」
机にかぶりつき、濃い緑の瞳を宝石のように輝かせて答える六花に、俺は口元を引き攣らせて同意するしかな
かった。
310: 六花のお弁当 2012/11/30(金) 20:56:09.44 ID:e9KA+xtW(3/4)調 AAS
「ゆーたっ、ゆーたっ、おかずのほうも食べてみてっ」
髑髏ご飯をひとくち口にした俺は言われるままにおかずへと箸を移す。
まず、ウインナーを箸でつまむ。いわゆるタコさんウインナーって奴だ。
勿論ただのタコさんではなかった。くるっと可愛く湾曲しているはずのタコの脚はぐねぐねと不規則に折れ曲
がり、たこの眼の部分には昆布を小さく刻んだものがまつ毛のように器用に突き刺されている。
俺は視線だけで六花に説明を求めた。説明したくてたまらなかったのだろう、机の上に顎を乗せ、うずうずし
ていた六花が嬉しそうに口を開いた。
「それは腐海の王、クラーケンっ! 魔力を高める効果がある」
「そ、そう……。実にグロテス、あ、いやカッコイイなっ」
俺は腐海の王の御身をあまり視界に入れないようにぱくっと口に入れた。もぐもぐ……うっ、ちゃんと焼けて
ない……。
「つぎ、ゆーた、つぎっ」
六花が上機嫌で足をぴょこぴょこ跳ねさせて催促してくる。
次に俺が箸をつけたのは、から揚げだ。なぜか真っ赤な色をしている。というか表面に赤いタレみたいなのが
ねちょおっとかかっている。
「それは大物っ! 火噴竜の心臓。STRの上限が増える。ゆーたは魔力は凄いけど筋力が不安。これで力をつ
けて欲しい」
赤いタレの正体も教えて欲しかったのだが……。きらきらと大きな瞳を輝かせて、俺が口にするのを今か今か
と食い入るように見つめる六花にそれを聞くことはできなかった。
俺は意を決してギトつく赤いから揚げを口に入れた。
辛っ!! そして生っ!! どうやら表面の赤いのはタバスコのようだ……。そしてから揚げは表面だけしか
焼けていない。はっきりいってクソ不味い……。
感想を催促するかのように輝く六花の瞳に、口を押えて眼だけで笑い、ぐいっと親指を立てて答えて見せた。
俺はそのまま噛まずに飲み込むと、覚悟を決めて次なる食材へと箸を延ばす。
卵焼き――が、ぼろぼろに焦げてそぼろのように細かく分裂したもの――をつまもうとした瞬間、六花が叫ん
だ。
「ゆーた、待って! それは危険! それはコカトリスの卵。そのまま食べると石化する。これを使って」
六花がなにやら箸が収納されていた部分から金色の細い針を取り出して俺に差し出した。
「これは、金の――」
「金の針か」
「さすがゆーた、魔法具にも詳しいっ」
六花の言葉を遮ってじと目でつぶやいた俺を尊敬の眼差しで見つめてくる。
俺は金の針を細かい卵焼きの欠片にぷすぷすと突き刺しては口に運び、突き刺しては口へと運ぶ作業を開始し
た。……め、めんどくさっ! いっそ箸でごそっと食べてしまいたかったが、六花に怒られそうだったので諦め
た。そしてお味は、うむ! 砂糖と塩の分量を間違えているね! すげえ塩辛かった。
「な、なかなか乙な味……かも?」
じーーと俺を見つめる六花に曖昧な感想を述べる。
六花は口を尖らせて少し不満そうな色を浮べたが、俺は素早く言葉を継いで誤魔化した。
「さあ、次だ。これ、このやつ気になってたんだよっ」
俺は箸でつんつんと、メロンを食べ終えて皮だけになったような赤い物体をつついた。
途端に六花が露骨に顔をしかめ、目をそらして言った。
「それは説明する程のものじゃない」
「トマト……だろ? これトマトのガワの部分だよな」
「うっ……正解。材料がもうそれしかなくて仕方なかった。危険な部位、魔獣の卵は魔力を低下させるので取り
除いておいた。感謝して」
「いや、その部分がトマトで一番美味いとこなんだよっ!」
思わず突っ込みを入れる俺に、心底嫌そうな六花の表情が返って来た。
311: 六花のお弁当 2012/11/30(金) 20:57:45.50 ID:e9KA+xtW(4/4)調 AAS
「ふー、ご馳走様でした」
辛い戦いだったが、なんとか全部平らげる事に成功した俺はふかーい溜息をついた。
「ゆーた、美味しかった? わたしのお弁当、変じゃなかった?」
ずいっと身を乗り出して迫ってくる六花に、俺はごくりと生唾を飲んで思考モードへと移行する。
さて、ここからが正念場って奴だ。精一杯のお世辞でもって美味いと言うのは簡単だが、そうすると「じゃあ
毎日作ってくる」といいかねない。それは困る。しかし女の子が自分の為に作ってきてくれた弁当を不味いと言
える男など存在しないだろう。考えろ俺! 弾けろ俺の脳内シナプス!
幾通りもの返答シミュレーションを繰り返し、ようやく最適な答えを導き出した俺は、声音をダークフレイム
マスターモードに切り替えて言い放った。
「闇弁当の作成、大儀であった邪王真眼。だがしかし! 貴様はまだシュテルベンクーチェ・スキルを会得してい
ないとみえる。プリーステスに教えを請うのだ」
「でも……プリーステスはわたしの、邪王真眼の敵。敵に教わるなど以ての外」
「青いな邪王真眼、時には敵を欺き技を盗むことも必要なのだ!」
「おぉ……それ、か、かっこいいっ!」
六花が目尻に薄く涙を浮べてふるふると小さな体を震わしている。感動にひたっているようだ。
よし、成功! 俺は心の中でガッツポーズを取っていた。
それにしても六花が弁当作ってきてくれるなんてなぁ……なんか嬉しいよな。俺は胸の奥深くに、なにか暖か
な正体不明の塊のようなものが生まれたような、そんな不思議な気配を感じていた。
おわり
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