[過去ログ] スクールランブルIF16【脳内補完】 (756レス)
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661: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
662: DOUBLES 04/11/30 09:43 ID:ByA9HF/E(1/9)調 AAS
 先程まで4階で花井と一進一退の攻防を繰り広げていた播磨は、戦況の異変を察知し演劇軍本陣に戻ってきていた。
 1−A教室前に辿り着いた播磨が最初にそこで見たのは、何者かに撃ち倒された沢近愛理の姿。
 周囲の床を確認するが、転がっていたのはBB弾が一発分だけ。銃撃戦を行った形跡がないことから、おそらく反撃
する間もなく突然撃たれたものだと推測できた。

「ちっ! まさかあのお嬢があっさり殺られるなんてな」
 舌打ちをして廊下をよく見渡すが、やはり床に倒れているのは沢近一人だけ。しかし本陣を守っていたのは二人だったはず。
「塚本は!?」
 愛する天満ちゃんの姿がない! 教室の中か!?
 中を確認するべく教室のドアに手をかけ、乱暴に引き開ける播磨の前に衝撃的な光景が広がった。

 そこで見た光景に、播磨は後頭部を殴られたような衝撃に襲われた。
 窓から降り注ぐ月光の中、手を重ね合わせて床に倒れている二人――塚本天満と烏丸大路。
 なぜ烏丸がここにいるのかは分からない……。
 二人の空いた手にはそれぞれ拳銃が握り締められ、天満の顔に浮かんだ穏やかな表情を播磨は見た。
「!!……」
 それは、播磨にとってあまりに残酷な光景。教室内の景色が色を失う。全ての音が遠くに離れて……
663: DOUBLES 04/11/30 09:43 ID:ByA9HF/E(2/9)調 AAS
「っく!」
 これ以上ココには居たくない。そこから逃げ出すように播磨はドアを閉める。
 廊下に出てしばらく播磨はただ呆然としていた。光景がまだ目蓋に焼き付いて消えない。
 演劇で天満をヒロインに主役を張る――動機の全てを閉めるその夢が曖昧に霞んでいく。
 烏丸と手を繋いだ天満の、その穏やかな表情に、播磨の中でナニかが崩れそうになる。
 ――もうあきらめようか。
 そんな声すら心の奥から聞こえて―――
 思考はそこで中断される。何者かが接近する気配を感じ、銃を構え臨戦態勢をとる播磨の耳に届く…靴音。

 …コツ…コツ…コツ…

 中庭の外灯の明かりが差し込んでいる廊下の、さらに奥。
 暗闇のカーテンに遮られ、視界の及ばないその位置から響く音に、否が応にも播磨の緊張感が高まる。
 いつでも反応できるよう姿勢を低くとり気配を殺すのは、喧嘩屋としての本能か。
 しかし、迫りくる影から殺気や敵意のようなものは感じられなかった。

 ――喫茶軍じゃねえのか?
 ここに来るまで、味方のほとんどが殺られているのを見て来ている。あと残っているとすれば……
 至った考えを肯定するように、ヴェールの奥から現れた靴音の主。
「苦戦しているようね」
 高野晶の声が2階廊下に響いた。
664
(1): DOUBLES 04/11/30 09:45 ID:ByA9HF/E(3/9)調 AAS
「……いまさら何の用だ?」
「あら せっかくチームメイトが駆け付けてきたのに、つれないわね」
 無造作に近づくその姿に、あくまで姿勢を崩さずに問いかける播磨。しかし、晶は普段と変わらない冷静さで答える。
 そもそもこの女は、クラス中をけしかけていながら、自分は撮影係だと言ってとっとと姿を眩ましたのだ。
 いまさら現れて仲間面されようが、信用できる訳がない。

「てめえはたしか、戦闘には参加しないんじゃなかったのか」
「…そのつもりだったけど、状況が変わったわ」
 状況が変わった? 戦闘開始直後から一人4階にいた播磨には、どういう意味か理解できない。
「不参加だったはずのバンド組が参戦したの。演劇軍は彼らの奇襲を受けてほぼ全滅」
 烏丸君もその一人ね、と付け加える。播磨もそれで合点がいった。
 つまり上階で見た無数の死体。それはバンド軍に陣地を強襲された両軍の成れの果てだったのだ。
 そして単身で演劇軍のフラッグを奪取しに来た烏丸が沢近を瞬殺し、天満と相打ち――。

「喫茶店軍もほぼ同じような状況よ。このままだとバンド軍の一人勝ちになりそうなんだけど……」
 そこでいったん言葉を切る晶の顔には、実に――愉快そうな微笑が浮かんでいた。
「それじゃ面白くないでしょ?」
665: DOUBLES 04/11/30 09:47 ID:ByA9HF/E(4/9)調 AAS
 その頃四階廊下では、喫茶店軍のフラッグを巡って行われていた壮絶な攻防戦に動きがあった。
 陣地前に机で即席のバリケードを築き、互いの背中を合わせるような格好で守る花井・周防組に対して、
廊下の両サイドから挟み込む形で攻めるバンド軍。

『ちくしょう! あの二人、なかなかしぶといぞ』
『このままじゃ弾を消費するいっぽうよ!』
 喫茶店軍の巧みな迎撃に、思うように攻撃を展開できないバンド軍の間で、やや焦りを滲ませた会話が交わされる。
 先程から何度も突撃のチャンスを伺っているが、花井・周防の息の合った銃撃の前にそのことごとくを阻まれていたのだった。
 演劇軍本陣に向かった烏丸から未だにフラッグ奪取の連絡はない。おそらく援軍は期待できないだろう。
 いかに切り札一条かれんを有しているとはいえ、このままではジリ貧、最悪演劇軍の生き残りに背後を狙われる可能性もある。

 やむを得ず、冬木武一は一旦撤退の決断を嵯峨野恵に伝える。
『仕方ない、一旦引いて態勢を立て直そう』
『そうね。演劇軍の状況も気になるしね』
 そうと決まれば行動は迅速だった。敵陣に銃口を向けながらバンド軍は静かに後退を始める。
666: DOUBLES 04/11/30 09:49 ID:ByA9HF/E(5/9)調 AAS
「逃げるか!?」
 退いて行くバンド軍に向かって花井が叫ぶが、すでに3人の影は階段に差し掛かっていた。
 敵がふた手に分かれている以上、追撃は難しい。どちらかを追えば、その隙に陣地を奪われる可能性もある。
 口惜しいが、ここを動く訳には行かない。そしてフロアから敵の気配が消える。

「行ったのか?」「ああ」
 激戦を耐え抜いた二人を静寂が包み込んだ。力を抜き背中を合わせて座り込む、冷たい床が気持ちいい。
「演劇軍の連中はもうやられたのか?」
「……わからないが、奴らが退いたってことは、まだ残っている可能性が高いな」
「ああ…なるほど、後ろから撃たれる可能性もあるからな」
「しかし、こうなっては僕たちもうかつに動けないな……」
 演劇軍が生き残っている以上、動けばどちらかと戦闘になるだろうし、その隙に残りの軍に本陣を落とされかねない。

「逆に言えばさ、ここにいれば下で勝手に潰し合ってくれるんじゃないか? あたし達はここを抑えてりゃいいんだし」
「たしかに…。消極的な戦法だが、それしかないか……」
 そういいながら互いの背中に体重を預け、二人はつかの間の休息に身を委ねた。
667: DOUBLES 04/11/30 09:53 ID:ByA9HF/E(6/9)調 AAS
「そう、このままじゃつまらないもの。後から乱入した第三勢力が勝ちました、じゃ三流ドラマもいいところよ。
それじゃ私が満足できないの」
 実に楽しそうに微笑みを浮かべ、あくまで淡々と言葉を紡ぐ晶。
「だからわたしも参戦して、面白くしてやろうと思って…ね」
 もちろん協力してくれるわよね? 言外にそう語る晶の眼は…本気のようだ。
 ―――面白いか否か―――
 この女は本気でそう考えているのだ。

「…ふん! やりたきゃテメエひとりでやりやがれ。俺はもう降りる」
 投げやり気味にそう言うと、播磨は構えを解きさっさと晶の脇を抜けて去ろうとする。
 あの光景――教室の中を見せられては、これ以上ゲームを続ける気分にはなれなかったからだ。
 廊下を数歩進み、1−B教室に差し掛かったとき、その言葉が耳に飛び込んできた。
「……逃げるの?」

 振り向かずに言い放った晶の言葉に背中をつかまれ、播磨の足が止まる。
 逃げる、という音に反応する心を押さえつけ、無理矢理に言葉を捻り出す。。
「……へ、テメエがどう思おうが構わねえよ」
 振り向かずにそう言い、再び歩を進めようとする播磨の背後から、突如として殺気が襲いかかる。
668: DOUBLES 04/11/30 10:04 ID:ByA9HF/E(7/9)調 AAS
「……そう、残念ね」
 ガチャ!
 そう呟き、振り向いた晶の右手に出現した拳銃が、その照準が播磨の後頭部を捉えていた。
 黙して、動かない播磨にかまわず晶は言葉を続ける。
「あいにく、この舞台に途中降板はないわ。降りるには最後まで生き残るか……」
 ゆっくりと背後に歩み寄る晶。動くに動けない、かといって動かずにいればやはり撃たれるだろう。

 かつて経験したことの無い圧力を播磨は感じていた。
 吹き付ける殺気に逆らい振り返ると、その眉間には銃口が正確に突きつけられている。
 向かい合う二人。サングラスに隠されているはずの播磨の眼を、晶の鋭い視線が射抜いた。
「死ぬか――」
 沈黙が二人を支配する。長く…重く…時間がただ過ぎていく。

 どれだけ時間が過ぎただろうか。
 沈黙を挟んで向かい、微動だにしない二人。そのこう着を破ったのは晶だった。
「……冗談よ」
 一言そう言って銃身を下ろす。二人の間に漲っていた殺気が、霧散していく。
「驚いた? あまり情けない顔してたから、からかってみたくなったの」
 そういいながら、わずかに視線を背後…教室に向ける。最初から全て理解していたのだろうか。
 播磨は不愉快そうに顔を歪め怒りの意志を示すが、
「そんな怖い顔しないで」
 と悪びれた様子もなく、肩をすくめただけだった。さすがに播磨も激昂するかと思われたが…
669: DOUBLES 04/11/30 10:05 ID:ByA9HF/E(8/9)調 AAS
「――――ッ!」
 播磨がなにか口を開こうとした刹那―――振り向く、二人同時に。
 そのまま廊下の奥、階段あたりから漏れた気配に向かって銃口を向ける。
 一見して変化は無いが……居る。確かに何者かの息遣いがそこから感じられる。
「……西階段にひとり」
「東階段にふたり……だな」
 呟く二人の背中が、どちらかとも無く近づく。敵の先程までの荒立った感情もすでにどこかへ消えていた。

 敵。
「どっちだ?」
「たぶん、バンド軍ね」
 背中越しに問いに答える晶。
 いつも通り冷静な彼女の口調だが、その声音に混じる微かな喜悦を播磨は聞き逃さなかった。
 ―――なんて女だ。
 そんな少女の神経に呆れる播磨。だが、彼もまたこれから起こる戦闘への興奮か、その顔には獰猛な笑みが浮かんでいた。

「帰るんじゃなかったの?」 
「ふん 舐められっぱなしってのは、性に合わねえんだよ」
 背中から意地悪く問いかける晶に、播磨は不敵な態度で返す。
670: DOUBLES 04/11/30 10:07 ID:ByA9HF/E(9/9)調 AAS
 …フ、クスクス……

 その答えに、晶が笑った。声を出して。
 それはとても珍しい姿。この鉄仮面がここまで感情を発露する場面に、播磨は初めて遭遇した。
 播磨はなぜ彼女が笑ったのか理解できず、戸惑いながら後ろの少女を伺う。
「そうね…貴方は逃げない。絶対に逃げなかった」
 何を言いたいのか全く解らないが、やはり晶は楽しそう…いや嬉しそうに笑い続けている。
「? 何なんだよ?」

「好きよ、播磨くんのそういうところ」

 ……は? 突如、耳を不意打ちしたその言葉の意味を、播磨ははじめ理解できなかった。
 この少女から発せられたという事、その意味、その前の台詞、どうやって考えても繋がらない。
「ど ど、どういう意味だ、そりゃ」
「どういう意味、かしらね」
 真意を測りかね、思わず播磨の注意が階段の敵からそれる。その瞬間、膨らむ敵の殺気!
「来るわよ」
 そう言った晶の声は、すでに元の冷静な少女のものだった。
 その言葉に呼応して播磨の意識もまた、眼前に迫りつつある敵の気配に向けられる。

 相変わらず読めない晶の言動に戸惑いはあるが、まずは当面の敵。
 敵は3人。仲間は背後にいる小柄な少女が1人だけ。しかも先程から何を考えているのか全く理解できない。
 そんな少女が守る背中に、なぜか播磨は一抹も不安を感じることは無かった。
 状況は圧倒的に――不利。しかし、不思議と負ける気はしない。コイツとなら何とかなるという漠然とした確信。
 そして播磨と晶、二人の戦いが始まった―――。

(to be continue...?)
671
(1): DOUBLES 04/11/30 10:27 ID:Z9nWF.FI(1)調 AAS
 ♯109からの派生SSという形で、播磨×晶です。あと微妙に縦笛。
 3作目で初めて三人称に挑戦してみましたが、なかなか思い通りに表現できないもどかしさを感じつつ、なんとか
書き上げてみました。まだまだ未熟ゆえ、ストーリー、文章での稚拙さが目立つと思いますが、なにか感想や意見など
頂けたら幸いです。

 ちなみに、continue...?となっていますが、後編を書こうとするとどうしてもガンアクションを書かざるを得なく
なるので、いまのところ未定です。情けない…
672: 04/11/30 12:45 ID:bkV1n2hY(1)調 AAS
格好良いなおい。クールな晶が特に。
この二人が主役ならバトル漫画になっていたでしょうね。
GJでした。
673: 04/11/30 18:00 ID:Dodhuz86(1)調 AAS
晶と播磨か…珍しい組み合わせだよねえ
なにはともあれGJ。続きもまあ気長に待っときます
674
(1): 04/11/30 18:21 ID:fEZW7MUM(1)調 AAS
>>671
GJ!
二人のやり取りがイイ!
ガンアクションかどうかは別としても続きは是非読みたいです。
675: 04/12/01 02:56 ID:6UrxkN0k(1/10)調 AAS
誰も居ない内に投下。
面白く無くてもご勘弁を。一応誕生日の話です
676: 播磨最高の日 04/12/01 02:57 ID:6UrxkN0k(2/10)調 AAS
 11月30日――天満ちゃんの誕生日。
その日に天満ちゃんの家に招待された俺は心の中で小躍りしたものだ。あとの台詞
「播磨君が来てくれれば八雲も喜ぶよ」
という言葉と目の前が目障りな金髪お嬢でなければもっと喜べただろうに……
「あんた、何ひとのことジロジロ見てるのよ」
別におめ〜を見てるんじゃねぇよ!
と口に出しそうになったが後ろで修治とオセロやってる天満ちゃんを見ているとどうでも良くなった。
苦戦してるようだな。修治おめぇ少しは手を抜くってこと知らねぇのか! 馬鹿野郎!
 何故か修治は俺が来る前にちゃっかり来ていやがった。
なんでも誕生日が同じだから一緒に祝うことになってたらしい。スッカリ忘れてたぜ。すまん弟。
しかしそれとこれとは話は別だ。来た早々
「……兄貴の馬鹿……」
とかぬかしやがって。なんだってんだ……
 ちなみに他に来ているのは周防と一緒について来たメガネ、いつの間にか座っていた高野、
妹さんの手伝いに来たパンダの娘さん、とまぁ見知った連中だ。
メガネは妹さんの料理にやたら感動している。確かに美味いんだが泣くほどか?
677: 播磨最高の日 04/12/01 03:00 ID:6UrxkN0k(3/10)調 AAS
「あう〜勝てない〜」
どうやら勝負は終ったようだ。やっぱり天満ちゃんの負けらしい。修治め、花を持たせねぇか。
こっちに来た。一言言ってやるか。
っと思ったら隣に居る妹さんに纏わり付きだした。んでチラチラこっち見やがる。ホントなんなんだ?
俺の視線に気付いた妹さんと目が合う。
「あ、播磨さん私の料理お口に合いましたか?」
「おう、うまいぜ。前に食わせてもらったスパゲッチィもうまかったけど、この料理も最高だぜ」
お世辞抜きに答えると妹さんはホッとしたような笑みを浮べる。
 私の料理と言うのはメインの料理は妹さんが色々と作ることになってたのだが
皆の分を準備するのは大変だろうと言う天満ちゃんの意見で各自料理を持ち寄ることになっていた。
さすが天満ちゃん、優しいぜ。
 俺はデカイケーキを持ってきたんだが友達さんのケーキの方が美味くて残念ながら余り手を付けられてない。
周防達は2人で鍋持ってきた。これが結構イケた。真っ先に無くなった位だ。高野は……忘れた。酒だったか?
修治は菓子類。そしてお嬢は……俺への嫌がらせとしか思えねぇもん持ってきやがった。
678: 播磨最高の日 04/12/01 03:02 ID:6UrxkN0k(4/10)調 AAS
「ちょっとアンタ! 私が持ってきた牡蠣は食べないワケ!?」
癇癪起こしたお嬢が喚き出した。さっきからこと何とか誤魔化してきたこの話題にとうとう突っ込んできやがった。
そう、俺は上記の物は大概食ったのだがお嬢と俺の前にある牡蠣には全く手を付けていない。
「これはね。空輸で届いたアンタが一生食べることなんて無いくらい高い牡蠣なのよ。この機会に食べときなさい」
不気味な微笑みを浮べて、ハイっと牡蠣を顔の前に差し出してきやがる。牡蠣の臭いが鼻を突く。
「い、いやぁ。残念ながらもう腹いっぱいなんだよ」
「……今食べてたのは何かしら? それとも何? 八雲ちゃんの料理しか食べれないのかしら?
そんなことないわよね。アンタが一番色々食べてるんだからね」
そう言ってさらに押し付けてきやがった。腹の底がムズムズしやがる。ヤバイヤバイヤバイ。ダレカタスケテ……
 思わず視線を巡らせる。
「播磨。食べてやれよイジワルせずに」
と周防はバツ
「好き嫌いはイカンぞ播磨」
馬鹿メガネが!
「愛理が可哀想……」
「高野先輩なんか楽しんでません?」
気のせいか友達さんも笑ってるような……
「は、播磨さん食べてあげた方が……」
お嬢のドス黒いオーラに押されて汗掻いてる。俺の所為か? すまん妹さんってそれどころじゃない。
「…………」
修治、お前は知ってるだろ。止めてくれよ……何だその目は……
最後の頼みとばかりに天満ちゃんを見る
「播磨君これおいしいよ! ハイ播磨君」
食っとるし! さらにもう一個出して来たよ……
679: 播磨最高の日 04/12/01 03:03 ID:6UrxkN0k(5/10)調 AAS
 うぅ。お嬢ならともかく天満ちゃんにまで差し出されては断る訳にも……
皆に注目されダラダラ汗掻いてると
「……もういい……アンタは私の物はいらないってのね。もういいわよ」
なんか知らんが涙目になって手を引っ込めた。皆の俺を見る目がとっても痛い。
泣きたいのはこっちだってのに!
「わ、わかったよ! 食えばいいんだろ! 食えば!」
そう言って俺はお嬢の手から牡蠣をひったくる。このままじゃ俺は悪者だ。いやワルなんだけどさ。
でもよ。あんな顔されたんじゃやるしかねぇ。
 目の前の牡蠣を眺めていると胃からスッパイ物が込み上げてきた。
イヤきっと大丈夫だ。高級品だって言ってたし。
意を決して口に放り込み次から次へ残った牡蠣を平らげる。鳥肌が立つ。味なぞしねぇ。
湧き出す吐き気は牡蠣と共に飲み込む。
 あれ? なんか目の前が暗くなってきたぞ。俺を囲み見る連中が何やら騒ぎ出してる。
遠くで伊織かな? 猫の鳴き声が聞こえてきたところで俺の意識は無くなった。
680: 播磨最高の日 04/12/01 03:05 ID:6UrxkN0k(6/10)調 AAS
 12月1日――俺の誕生日。
白い天井を見ながら、今日と云う日を迎えた俺の心はブレイクハート。
 泡吹いて倒れた俺は何度か世話になった病院のベットの中だ。
 昔爺さんのとこに行った時、海が直ぐ側でよく遊んでた。色々捕って食った。貝で見事に中った。
それ以来貝類は駄目だと解かっていたのになぁ……
遠い目で外を見る。17年目の誕生日がこんなんかよ……
 病院で誕生日迎えること事態は別になんとも思わねぇが、好きな子の家で倒れてカッコ悪いとこ見せて、
迷惑までかけちまった……最悪だ……
「うお〜〜〜〜〜ん!」
「わ、ビックリした。ずっと呆けていたかと思えばいきなり泣き出すな」
と絃子がパソコンから目を離してこっちを見る。
「絃子! 絃子さん! 俺は……俺はどうしたら!?」
「さんを……ちゃんと付けてるな。まぁ自分の馬鹿な失態を思い返せば判ると思うが、
もうどうしようも無いんじゃないか?」
なんか嬉しそうに言いやがって! しかしこいつしか今は頼る奴が居ねぇ……
「そ、そんなこと言うなよ! 頼む! 何か良い知恵をお授けください!」
必死こいて頭を擦りつける。
681: 播磨最高の日 04/12/01 03:07 ID:6UrxkN0k(7/10)調 AAS
「フッフッフ、恩知らずな拳児君だがそこまで頼むなら仕方ないな。心して聴くがいい。こうゆう時はだな――」
固唾を呑んで次の言葉を待っているとガチャっとドアが開いた。
「ハリオー! 大丈夫―?」
お姉さんがイキナリ抱きついて来た。
「病院に担ぎ込まれたって話聞いて直ぐ来たの! どうしたの?」
「え? あぁ、ちょっと食い物に中っただけです。もう大丈夫です」
「そう、よかった。でも、どうして中ったの? 例のハリオの同居人に腐った物でも食べさせられたの?
また家で暮せばそんなこと絶対に起こらないわよ」
「いや、別にそうゆう訳じゃ……」
絃子が肩を震わせているのが目に入る。話を途中で切られてイラついてるんだろうか
「姉ヶ崎先生……またあらぬ噂を広めるつもりですか?」
「あ、そうよね。私ったら……ごめんなさい。で、なんで刑部先生が?」
「い、いや、それはあの……」
「まぁ姉ヶ崎先生と同じ目的で来たってとこですか……」
「へぇ……」
 おいおい、なんか知らんが睨み合いが始まったぞ。しかも人の腕を引っ張りだしやがった。痛い……
でもこんな俺を心配してくれる人が居るのか。そう思うと少しは気が楽に――
682: 播磨最高の日 04/12/01 03:08 ID:6UrxkN0k(8/10)調 AAS
「おーい、播磨。見舞いに来たぞ」
突然その声と共に昨日天満ちゃんの家にいたメンバーが入ってきた。
「播磨君、大丈夫?」
「いきなり泡吹くんだもんな」
「播磨さん具合どうですか?」
「八雲心配してたんですよ」
「はじめは喉に詰まったのかと思って人工呼吸しようかと思ったぞ」
「……八雲に感謝しなさいよ。直ぐ救急車呼んだのは八雲なんだから」
「兄貴……すまねぇ」
「…………」
 突然の事に俺の頭は真っ白になる。
「ホラ愛理、言うことあるんでしょ」
「……ごめん、ね。アンタに無理に食べさせたバッカリにこんなことに……」
「い、いや、あれは俺がちゃんと説明してなかったからよ。そんな顔すんなよ。俺こそ皆に迷惑を……」
混乱しつつ必死に言葉を出す。
「何言ってるの播磨君。そんなこと気にしないで早く良くなってね」
天満ちゃんの言葉に全てが救われた気がした。
なんてこった……最悪の誕生日だと思ったら……
いつの間にかこんなに俺のことを心配してくれてる奴ができてるなんて……
もう一人じゃないのか……クッ、涙が……
683: 播磨最高の日 04/12/01 03:10 ID:6UrxkN0k(9/10)調 AAS
「っと、まぁここまでは良いね」
「あぁ、イイ話だった」
「さて本題だ」
「……へっ?」
思わず聞き返す。
「本当にごめんね、ヒゲ。ところでどうして姉ヶ崎先生と刑部先生がここに居るのかしら?」
「……播磨さん……姉ヶ崎先生まで?」
そういや絃子とお姉さんがずっと俺の腕にしがみ付いて固まってるぞ。うん、俺も固まった。
「兄貴……最低だぜ」
「事と次第によっちゃ神さまだって許しませんよ」
「さぁ播磨君、どうゆうことか答えてね。お・こ・ら・な・い・か・ら」

――17歳になった最初の日はとっても寒い日だった――

おしまい
684
(2): 播磨最高の日を書いた香具師 04/12/01 03:15 ID:6UrxkN0k(10/10)調 AAS
播磨が貝が嫌いなのを何か役に立たないかと考えていたらこうなってしまいました
内容もさることながら、また誤字脱字が多いかもしれません
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。お目汚し失礼しました
685: 04/12/01 03:48 ID:OyAxBxR6(1)調 AAS
GJ!
そんなご自分で言うほどヒドイ出来じゃないですよ。
十分面白かったです。

内容について敢えて言うなら、登場人物が多い割には短かったので、
焦点がぼやけてしまっているように感じられたことくらいです。
でも面白かったですYO!
686: 04/12/01 19:34 ID:ToY9thnU(1)調 AAS
>>684
GJ!
まあ最後はハーレムに見えないこともない…

ああもうドタバタLOVE
687
(2): 04/12/01 22:07 ID:UJG1O.bs(1)調 AAS
播磨の貝嫌いって公式設定でしたっけ?
688: 04/12/01 22:41 ID:DZWRQRZI(1)調 AAS
>>684
GJ!
原作だと有りそうで無いドタバタラブコメ最高でござる。
文章のテンポが良く読みやすかったです。
こういうのが読めるのがSSの良いところだよなー、と再認識しました。
689: 春先まみれの山殺し裏切り御免の松葉咲き夢見草に物申す 04/12/01 22:56 ID:.1VuCyfA(1)調 AAS
>>687
別に
690: 04/12/01 23:13 ID:OdCdZZ9g(1)調 AAS
>>687

1巻。
691: ちょっと遅い天満の誕生日小説。 04/12/02 00:22 ID:kX5qkpz.(1/8)調 AAS
11月30日 塚本天満の誕生日である。
日ごろどんなに間が抜けていても自分の誕生日は忘れたことがない。
そして今年も・・・

11月30日 朝7時30分 塚本家
「おはよう、八雲〜」
「おはよう、姉さん」
いつもと変わらない朝である。テーブルの上にお弁当が二つ。
台所には八雲の後姿がある。
「姉さん、朝ごはんもう出来てるよ」
居間のちゃぶ台の上にはまだ湯気が出ているご飯と味噌汁そして湯気のたったお茶がある。
これもいつもの朝の風景の一部である。
「あっ、茶柱が立ってる〜」
「姉さん先に行ってるからね」
そう言うと八雲は姉の顔も見ずに外に出かけて行った。
「あっ、も〜八雲ったら。自分勝手なんだから」
手にお味噌汁を持ちながら天満はテレビを付けた。
画面には北海道での初雪の映像が流れる
「もうこんな季節か。だってもう私の誕生日だもんね」
彼女が朝から楽しみにしているもの、それはもちろんプレゼント。
692: ちょっと遅い天満の誕生日小説。 04/12/02 00:23 ID:kX5qkpz.(2/8)調 AAS
「(たしか去年は八雲から新しい髪留めもらったな〜)」
髪留めとはもちろん彼女のトレードマークであるピコピコ毛の留め部分のことだ。
彼女はいつもこの季節になると誕生日のプレゼントをさかのぼって行く
「(5歳はたしか・・・??)」
といっても思い出せない部分が大半である。
「あっ、こんな時間だ。早く学校行かなきゃ」
時計は8時05分を指していた
彼女はゆっくり立ち上がると毎日見ている鏡の前に行った。もちろん髪を留めるために。
戸棚を開けて髪留めを探し始める
「あれ?おっかしいな〜。ないや」
ごそごそと髪留めを探していると二つのプラスチックで出来た小さなリングが出てきた。
「これってたしか・・・」
彼女は記憶を遡り始める・・・
693: ちょっと遅い天満の誕生日小説。 04/12/02 00:27 ID:kX5qkpz.(3/8)調 AAS
「八雲と天満」
10年前の11月30日 天満7歳、八雲6歳の時。
「八雲〜学校行くよ〜」
今とは変わらない柔らかな笑顔。今と違うのは髪型と身長だけである
そんな八雲もほとんど今と変わっていなかった。
少し鋭い目。このころから彼女は近所でも有名のかわいい子だった。
「待ってよ。お姉ちゃん」
彼女の昔から変化した点、それは彼女の中での天満の存在の大きさと呼び方である
「早く八雲。ほら手袋はめて」
このころは完全に姉となっていた天満。
「自分で出来るよ」
八雲はそう言うと天満から手袋を受け取り手にはめた。
外は11月なのに気温は5度を下回っていた。
「お姉ちゃん今日誕生日だったよね」
白くなった息を見ながら八雲は問いかけた
すると天満は今と変わらない生き生きとした笑顔で笑いながら頷いた。
この日は天満そして八雲にとっても忘れられない誕生日になるのだった。
学校に着くと二人はそれぞれの教室に向かう
「(お姉ちゃんの誕生日なにか買ってあげようかな。おこづかいも少しあるし)」
八雲も小学生ということで毎月両親からわずかながらおこづかいを貰っている
「(帰りに何か買って帰ろう)」
このころから八雲は姉思いであった。
やさしいお姉ちゃんが大好きなよく居る妹である。
694: ちょっと遅い天満の誕生日小説。 04/12/02 00:27 ID:kX5qkpz.(4/8)調 AAS
授業終了後
「八雲〜!」
声の主は天満であった。学校帰りは姉として一緒に帰るが彼女のモットーであった。
しかし八雲はそこにはいない。
「あら、天満ちゃん。八雲ちゃんならもう帰ったわよ」
八雲の担任の先生にそう言われると天満は走って家に帰る
「(八雲ったら、交通事故にでもあったらどうするつもりなんだろ)」
そのころ八雲は家に帰るとお金を握り締めて街に出かけるところだった。
いつもの靴をはきいつもは姉が渡す手袋をはめ出かけていった
「(お姉ちゃんには分からないようにしなくちゃ)」
ふだんの八雲から見れば変わった行動である。
一人で出かけるのは彼女にとって初めてのことだった。
「ただいまー。八雲は?」
「今さっき出かけたわよ」
母親は居間で裁縫をしている。天満は母親に近づきその光景を眺めていた
「あんたのプレゼントでも買いにいってるんでしょ」
母親はそっけなくそう言うと裁縫の手を止めた。
そして天満の頭をいとおしそうになでる
「あんたも7つか。私もなんかプレゼント買わなきゃ」
天満の顔に笑顔が広がる
母親はその顔を見ると着替えて出かけていった。
「天満―。留守番お願いね」
塚本家はごくごく一般的だったが幸せな家庭であった。そしてその象徴が天満の笑顔である。
695: ちょっと遅い天満の誕生日小説。 04/12/02 00:29 ID:kX5qkpz.(5/8)調 AAS
「ちょっと見てこよっと」
そう言うと天満は家を飛び出して街に向かっていった。
朝よりも気温は低く吐く息は白さを増していた。
手の感覚は少し痺れ、まちを行く人々は肩を上げてあるいている。
冬なので日もなくなり街頭が天満を照らしていた
「やーくーもー!」
呼び声に答えるものはない。ただ吐く息が空しく白さを残していった
「やーくーもー!」
再び呼びかけるがやはり返事はない。
しかし道路の向こうから一つの小さな影が歩いてきた
「八雲!」
天満は一目で八雲だと分かった。走り近づいて行く天満。
それに気づいたのか八雲の顔がこちらを向いた
頬は涙と寒さのせいで赤くなり羽織っているコートは泥だらけだった。
寒さに震え涙を流すその体は捨て猫のようにも思える。
696: ちょっと遅い天満の誕生日小説。 04/12/02 00:30 ID:kX5qkpz.(6/8)調 AAS
「どうしたの八雲!」
「ご、ごめんなしゃい」
寒さが言葉をにごらせる。
泣きじゃくりながら八雲は続けた
「プ、プレじぇんと買おうとヒク、思っででがげたらヒグッ、お金おとじて・・・」
ふいに八雲の言葉が途切れる。そして八雲の視界になにかがかぶさった。
天満が抱きついていた
「だめだよ! 勝手にいなくなっちゃ。お姉ちゃんひぐっ、うわーん」
天満までも泣き出してしまった
そのとき八雲は気づいた、私を誰よりも思っているのは姉だと。姉は私のために泣いているんだと。
「帰ろう、お家に」
天満の精一杯の言葉だった
「待って、お姉ちゃん」
ふいに八雲は天満を引き止めた
天満が振り返るとそこには八雲の手があった。手の平には小さなリングが二つ握られていた。
「お誕生日おめでとう。こんなのしか買えなかった。ごめんなさい」
八雲は再び泣き出しそうになる。
その手の中のリングは指にはめるには小さかった。
697: ちょっと遅い天満の誕生日小説。 04/12/02 00:31 ID:kX5qkpz.(7/8)調 AAS
「ありがとう八雲。こんなかわいい髪飾り」
八雲は驚き顔を上げる。
そこには髪の両端をくくった現在の髪型の天満がいた。
「ありがとう。かわいいよこれ」
八雲の目には天満がどのように映ったのかは誰も知らない。
しかし八雲は柔らかなきれいな笑顔をしていた・・・

「あのときの」
天満は思い出し終わるとその髪留めを付けた
「うん。学校いくか〜」
外は冬らしい快晴が広がっていた。
698
(1): ちょっと遅い天満の誕生日小説。 04/12/02 00:33 ID:kX5qkpz.(8/8)調 AAS
どうも。天満の誕生日小説書かせていただきました伯白と申します。
いままでもクリスマスのやつとか入れてたひとです。
みなさんからの注意をくみこんで作ってみました。
感想いただけると幸いです。
ではでは
699: 04/12/02 02:21 ID:PkSIUFWc(1)調 AAS
題材としては申し分ない。
だども、微妙に「間」が悪いっちゃ。

「プ、プレじぇんと買おうとヒク、思っででがげたらヒグッ、お金おとじて・・・」
ふいに八雲の言葉が途切れる。そして八雲の視界になにかがかぶさった。
天満が抱きついていた
「だめだよ! 勝手にいなくなっちゃ。お姉ちゃんひぐっ、うわーん」

例えばこことか。もうちょっと溜めを使った方がずっと良かったんじゃねかと。
「……」ってのは多用するとアレだけど、使うと何となく文章で
ゆっくり表現したいところとしたくないところが分かるので、
とりあえず使ってみれ。

精進せぇよ。
700: 04/12/02 02:28 ID:Rwc.CQCw(1)調 AAS
ま、たいしたことないな。良かったのは題材のみ。
701: 04/12/02 09:13 ID:DtwPDGEI(1)調 AAS
>>698
まあなんだ。雑音なんか気にすんな。これからもガンガレ!
702: 04/12/02 11:59 ID:MSKHJRUs(1)調 AAS
個人的にはこういう恋愛絡まない話ももっと読みたいので、これからも頑張ってください
703: 04/12/02 13:04 ID:Qi.PA./I(1)調 AAS
ほのぼのって感じで良かったですよ。
704: 04/12/04 10:23 ID:CpFR3H4o(1)調 AAS
残り50KB
705: 04/12/04 12:30 ID:G3xriyXQ(1)調 AAS
そろそろ埋めSSキボンヌ
706: 04/12/05 11:06 ID:nna2r.AM(1)調 AAS
予想通り800ぐらいで終わりか
707: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
708: 04/12/05 18:25 ID:4FPONf1g(1/3)調 AAS
IF17が埋まったねAAで。
709: 04/12/05 18:38 ID:4FPONf1g(2/3)調 AAS
週刊少年マガジンとマガジンSPECIALで連載中の「スクールランブル」は
毎週10ページの週刊少年漫画です。
物足りない、もっとキャラのサイドストーリー・ショートストーリーが見たい人もいる事でしょう。
また、こんな隠されたストーリーがあっても良いのでは?
有り得そうな展開を考察して、こんな話思いついたんだけど…といった方もいるはずです。
このスレッドは、そんな“スクランSSを書きたい”と、思っている人のためのスレッドです。
【要はスクールランブルSSスレッドです】

SS書き限定の心構えとして「叩かれても泣かない」位の気概で。
的確な感想・アドバイスレスをしてくれた人の意見を取り入れ、更なる作品を目指しましょう。

≪執拗な荒らし行為厳禁です≫≪荒らしはスルーしてください。削除依頼を通しやすくするためです≫
≪他の漫画のキャラを出すSSは認められていません≫

【前スレ】
スクールランブルIF17【脳内補完】
2chスレ:entrance2

SS保管庫(仮)
外部リンク:mikochin.hp.infoseek.co.jp

SS投稿避難所 
外部リンク[php]:web2.poporo.net
一度投下した作品を修正したものなどはここに投下してください。
SSの書き方について話合ったり質問したりもできるので一度目を通すことをお勧めします
710: 04/12/05 18:38 ID:4FPONf1g(3/3)調 AAS
次スレへテンプレしてみました。
711: 04/12/05 20:08 ID:dMaxaXic(1)調 AAS
紅茶花伝氏の掲示板の他に新しいスクランの一般掲示板を見っけ♪
下っ端健太郎というのには笑ってしまったが。

スクールランブルちゃんねる
したらば板:comic_1972
712: ねこ曜日 04/12/13 23:52 ID:kLB02iAs(1/10)調 AAS
「――ん」

 ――目が、覚めた。
 なんだかひどくトンデモナイ夢を見ていたような、そんな気がして、少女――沢近愛理はとりあえずは
現在の状況を確認するべく、周囲の情報を寝起きの頭に取り込み始める。

 かっきり九十度だけ傾いた世界。穏やかな陽射しの中で枯葉が舞っている。
 ――まあ、寝てたんだから当然よね。……でもなんで外なのかしら。

 頭の下にあるなんともいえない感触。固くもなし、柔らかくもなし。
 ――枕……じゃないわよね、いくらなんでも。だったら……

『――え?』

 そこでようやく思考が一本の線に繋がる。導き出された解答は、電光石火の早さで身体中を駆けめぐり、
眠気など十万光年の彼方に吹き飛ばす。
 視界に映るのは確かにあの公園だ。
 ならばつまりは。

 ――つまりはすべては夢なんかじゃなくて――

 そして自分が枕代わりにしているものの正体に、思わず彼女は大きな悲鳴を――

ねこ曜日 -the case of Eri Sawachika-

 ――さて、時間を遡ってその日の朝。
 美琴、晶とともに天満の家に泊まりに来ていた愛理が『二度目に』目を覚ましたところから話は始まる。

「今日の愛理ちゃんってなんだか大人しいよね」
713: ねこ曜日 04/12/13 23:53 ID:kLB02iAs(2/10)調 AAS
 胡乱げな頭で彼女が最初に耳にしたのは、天満のそんな言葉だった。それじゃまるでいつもは、当然な
がらそんな抗議の声をあげようとした愛理だったが、その口からもれたのは、なおう、という気の抜けた
妙な声だけだった。

 ――なおう?

 いったい自分はなにを言っているのか。
 そんな思いと同時、これは確実に晶から的確かつ容赦ないツッコミが入るだろう、と身構える。
 が。

「ほんとだよな、珍しいにもほどがあるって」
「明日は雨だね」

 美琴に晶、彼女たちの会話は続いていく。まるで何事もなかったかのように。
 いくらなんでもそれはひどい、どういうことなのか――そう立ち上がろうとするが、今度はバランスを
崩し、こてんと床に転がる。目に映ったのはやけに高い天井。

 ――もう、なにがどうなって……え?

 そこでようやく、このおかしな状況に気がつく愛理。

 だいたい、自分は今起きたところではないのか。それならば、先の天満の発言はどこか妙な――いや、
そもそもからして見渡せる範囲には天満どころか美琴や晶の姿さえなく――待て待て、よく考えれば
さっき目を覚ました記憶が――なんだって二回も――確かやけに朝早くに――廊下に出たらこっちを
見上げる黒猫の姿が――黒猫? なおう? 鳴き声?――そう、それが突然飛びついてきて――それから、
それから――

 まとまらない思考、比例するように増していくイヤな予感。とにかく、なにが起きているのかを確かめ
ないと、そう考えた彼女は、皆の声の聞こえてきた部屋――居間に飛び込んで、そして。

 ――は?
714: ねこ曜日 04/12/13 23:53 ID:kLB02iAs(3/10)調 AAS
 見た。
 妙に神妙な顔をして、正座なんてしている『沢近愛理』の姿を。
 そして次の瞬間、彼女の意識は再び闇に沈んだ。

                         ◆

「――おり、伊織ってば」

 次に目を覚ましたの彼女が聞いたは、天満のそんな声。すべてタチの悪い夢で、今度こそちゃんと目が
覚めたんだ――そんな虚しい願いもあっさりと打ち砕かれ、恐る恐る開いた瞳がとらえたのは、相変わらず
つんとした顔で座っている彼女自身の姿。

 ――分かってたわよ。

 そも、『伊織』などと呼ばれている時点で勝負はついているのだ。天満に首根っこをつかまれたまま、力なく
うなだれた愛理の視界に入ったのは、だらしなく四肢を垂らす黒猫の身体。
 つまり。

 ――入れ替わった、のよね。……なにそれ、バカみたい。

 バカみたいでもなんでも、結局のところそれが真実であり、それ以外の何物でもない。盛大に溜息の一つも
つきたくなるものの、猫の身ではそんなことさえままならないず、それでもとりあえずはと自由にならない身体
をよじって天満の手から逃れる。

「伊織、大丈夫? 急にひっくり返っちゃうからびっくりしたんだよ」

 そりゃあね、と言ったところで通じるわけもなし、胸の内で呟くだけに留めておく愛理。そして突き刺すような
視線をすまし顔の『愛理』に向ける。無反応。というか相手にさえされていない。
715: ねこ曜日 04/12/13 23:54 ID:kLB02iAs(4/10)調 AAS
「でも今日は伊織も変だよね。いつもだったら絶対触らせてもくれないのに」

 ――誰だっていきなり首をつまみ上げられそうになったら、そりゃ逃げるわよ。

 やるせない憤りをひとまずそちらに向け、うう、と低く唸る。当の天満はそんなことには慣れているのか、ただ
首を傾げて考えるのみ。そんな姿に、おかしなのが一人と一匹か、と笑ってから、冗談のように続ける美琴。

「もしかしてさ、コイツら入れ替わったりしてたりな」

 思わず、ばっ、と身体ごと美琴の方に向き直る愛理。これにはさすがに『愛理』の方も、一瞬びくりと全身を震わ
せる。しかし、当然と言えば当然ながら、んなわけないよな、そんな言葉で美琴が締めくくろうとする。
 ――そこに。

「待って」

 割って入ったのは晶の声。そしてそのまま、そんなことあるわけないよ、という天満――かつてその『入れ替わり』
を体験している人間の台詞ではないのだが、本人が眠ったままでなにも覚えていないのだから仕方がない――にも構
わずに、黒猫――愛理の瞳をじっと見つめる。

 ――お願い、晶。

 そんな、彼女の生まれて初めての心からの願いが天に届こうとしたとき。

「――!!」

 だん、という音を立てて突然立ち上がり、そのまま部屋を飛び出していく『愛理』。脱兎の如く、そんな言葉が
そのままあてはまりそうな勢いに、呆然とそれを見送る三人。

「……逃げた」
「ってことはまさかホントに」
「伊織が愛理ちゃん……?」
716: ねこ曜日 04/12/13 23:54 ID:kLB02iAs(5/10)調 AAS
 その言葉には答えず、後を追って愛理も部屋を飛び出して玄関へ、さらにそこから外へと向かう……が、既に
走り去った少女の後ろ姿は見えない。

 ――ああもうっ!

 よくよく考えれば律儀に玄関など通らずとも、猫なのだから庭を突っ切るなり塀を飛び越すなり、ショートカット
の方法はごまんとあったはず。どうしてそれを思いつかなかったのか、と地団駄を踏んで悔しがるが始まらない。
 一瞬諦めそうになるものの、そこは猫になっても沢近愛理、転んだところで泣き寝入りするような性格ではない。
すぐさま矢のような勢いで走り始める。
 瞳の奥には燃える炎を宿らせて、考えることはただ一つ。
 即ち。

 待ってなさいよ――!

                          ◇

 ――さて一方、こちらは逃走に転じた伊織。
 前回の教訓から、人間として突飛な行動をとれば追い回される、ということは学習済み。故に天満たちの前では
大人しくしておいて、あとでこっそり、と考えていたのだが、なんといってもやはりやんちゃ盛り。じっと座って
いるなど長時間持つはずもなく、おまけに雲行きまで怪しくなってきたところで、とそんな次第。
 とはいえ、別段なにか目的ややりたいことがあるわけでもない。いつもよりほんの少し高い視点。そこから普段
は見上げるほかない景色を見下ろす、そんなことにちょっとした喜びを覚えもしたのだが、それとて些末ごと。
 ではどうするか。
 そう考えたとき、伊織の頭に一つの案が浮かぶ。

 ――あのばしょにいこう。

 そこにまた『アレ』がいるかどうかは分からないが、試しに行ってみるのも悪くはない。
 思いついたならあとは実行。軽やかなステップを以て、伊織は『その場所』に向けて走り出す。
717: ねこ曜日 04/12/13 23:56 ID:kLB02iAs(6/10)調 AAS
 そして果たしてそこには――

                          ◇

 ――もう、どこ行ったのよ。

 ぼやいた声も、やはり『にゃおう』という情けない鳴き声。
 商店街から学校神社、ついでに自宅まで走り回ったものの、一向に見つからない『愛理』の姿にがっくりとうなだ
れる愛理。端から見れば、道端にしょぼくれた黒猫が座り込んでいる、そんな光景。

 ――いいわ、少し休憩。

 どのみち、最悪でも明日になれば学校には出てくるんじゃないか――などと甘い希望にすがりつつ、近くに見えた
公園に足を向ける。ゆるゆるとした秋の陽射しが穏やかな日溜まりを作る、そんなベンチがあることを何故か知って
いた――伊織の身体が覚えていたのかもしれない――彼女はそこに向かい、そして――

 なっ……

 それを、見た。

                          ◇

 そして果たしてそこ――とある公園のベンチには、伊織の考え通りに『アレ』がいた。なにやら人生の不幸を一身
に背負って空を見上げている、そんな様子をしているのだが、それは伊織にとってはどうでもいいことだ。

「ん――っな、なななななっ!?」
718: ねこ曜日 04/12/13 23:57 ID:kLB02iAs(7/10)調 AAS
 声にならない悲鳴をあげている『ソレ』には構わず、その膝元に潜り込むようにして丸くなる。常から人間嫌いを
自称してなかなか誰にも懐かない伊織であったが、『ソレ』だけは部分的に例外だった。
 固くもなし、柔らかくもなし。枕にするには絶妙のその場所で、伊織はゆっくりと目蓋を下ろした。

                          ◇

 そして愛理はそれを見たのだった。
 つまり。
 あろうことか。
 よりにもよって。

 沢近愛理が播磨拳児に膝枕をしてもらっている――その姿を。

 その瞬間、彼女の中ですべての回路が焼き切れた。
 人生の不幸どころか、この世の終わりが百万回も一度に訪れたかのような拳児の様子など目に入らない。
 もはや彼女の瞳に映るのは、呑気な顔をして眠っている自分の顔、ただそれだけ。

「シャーーーーーーーーーッ!!」

 あえて漢字をあてるなら、まさしく『殺』だろう。
 そんな鬼気迫る剣呑極まりない叫びとともに、愛理は自分さえ一度も見たことがないような、満ち足りた様子の
『沢近愛理』に向かって弾丸のように突撃して――

                          ◆

「――ん」

 ――そして、目が、覚めた。
719: ねこ曜日 04/12/13 23:58 ID:kLB02iAs(8/10)調 AAS
 なんだかひどくトンデモナイ夢を見ていたような、そんな気がして、少女――沢近愛理はとりあえずは現在の状況
を確認するべく、周囲の情報を寝起きの頭に取り込み始める。

 かっきり九十度だけ傾いた世界。穏やかな陽射しの中で枯葉が舞っている。
 ――まあ、寝てたんだから当然よね。……でもなんで外なのかしら。

 頭の下にあるなんともいえない感触。固くもなし、柔らかくもなし。
 ――枕……じゃないわよね、いくらなんでも。だったら……

『――え?』

 そこでようやく思考が一本の線に繋がる。導き出された解答は、電光石火の早さで身体中を駆けめぐり、眠気など
十万光年の彼方に吹き飛ばす。
 視界に映るのは確かにあの公園だ。
 ならばつまりは。

 ――つまりはすべては夢なんかじゃなくて――

 そして自分が枕代わりにしているものの正体に、思わず彼女は大きな悲鳴を――

「……」

 ――あげかけて、やめた。
720: ねこ曜日 04/12/13 23:58 ID:kLB02iAs(9/10)調 AAS
 原因は、視界の隅でふらつきながらも恨めしそうな顔をしてこちらを見ている一匹の黒猫だ。
 確かに、本当ならここで悲鳴の一つもあげて、魂が抜け出たかのように固まっているヒゲのバカに膝の一つも叩き
込んで、ついでに先程激突でもしたのか――証拠に自分の頭も少しずきずきする――本調子ではなさそうな黒猫を
捕まえて、お仕置きでもするべきなのだろう。
 けれど、それではあの視線から感じる微妙な『優越感』が味わえなくなってしまうではないか、そう考える愛理。
 それに。

 ――疲れてるのよ。少しくらいいいでしょう?

 誰に対してなのか、他意はないとでも言いたげな、そんな言い訳をして。
 愛理はゆっくりと、瞼を下ろした――
721
(2): ねこ曜日 04/12/13 23:58 ID:kLB02iAs(10/10)調 AAS
その後、沢近を探しに来た面々が『幸せそうな』寝顔の彼女を見て、それなりの騒動を
巻き起こしたりするんですが、それはまた別の話。

はい、というわけで。
なんだか荒らしと削除のいたちごっこめいてきましたが、とにもかくにもまずは16から
埋めてしまいたいな、と思いつつ。
722: 04/12/14 07:56 ID:Qh0DhcI6(1)調 AAS
播磨が大人しく膝を預けるか?と思いつつGJでした。
最後を戦慄の膝で締めて欲しかったのは個人的な願望。
語られる事の無い後日談に期待しつつ、もう一度GJです。
723: 04/12/14 10:22 ID:Mg7F9qEk(1)調 AAS
播磨は起きてるのか?
それとも気絶?熟睡?
それはともかくGJでした
724: 04/12/14 10:38 ID:eXjzyJ5.(1)調 AAS
>>721
激しくGJ!
ネコ沢近良いなぁ
725: 04/12/14 12:48 ID:tb/8MJ4M(1/13)調 AA×

726: 04/12/14 14:08 ID:tb/8MJ4M(2/13)調 AA×

727: 04/12/14 14:26 ID:tb/8MJ4M(3/13)調 AA×

728: 04/12/14 14:44 ID:tb/8MJ4M(4/13)調 AA×

729: 04/12/14 15:21 ID:tb/8MJ4M(5/13)調 AA×
>>-

730: 04/12/14 15:42 ID:tb/8MJ4M(6/13)調 AA×

731: 04/12/14 16:10 ID:tb/8MJ4M(7/13)調 AA×

732: 04/12/14 16:23 ID:XwAbF0yo(1)調 AAS
>>721
荒しにも負けずGJ!でした。
面白かったですよ。
続きがあるならぜひ書いてください。
733: 04/12/14 17:37 ID:tb/8MJ4M(8/13)調 AA×

734: 04/12/14 17:48 ID:tb/8MJ4M(9/13)調 AA×

外部リンク:::::::
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735: 04/12/14 17:56 ID:tb/8MJ4M(10/13)調 AA×
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外部リンク:i
736: 04/12/14 19:10 ID:tb/8MJ4M(11/13)調 AA×

737: 04/12/14 19:56 ID:tb/8MJ4M(12/13)調 AAS
<<本日のアニメ萌え画像幕の内セット>>

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738: 04/12/14 20:43 ID:tb/8MJ4M(13/13)調 AA×

739: 04/12/14 22:59 ID:6/r39r.I(1)調 AA×

740: 04/12/15 07:42 ID:xt1g65KI(1)調 AA×

741: 04/12/15 09:09 ID:4Ma58wrk(1/14)調 AA×

742: 04/12/15 10:08 ID:4Ma58wrk(2/14)調 AA×

743: 04/12/15 10:34 ID:4Ma58wrk(3/14)調 AA×

744: 04/12/15 11:35 ID:4Ma58wrk(4/14)調 AA×

745: 04/12/15 12:37 ID:4Ma58wrk(5/14)調 AA×
>>-

746: 04/12/15 12:47 ID:4Ma58wrk(6/14)調 AA×

747: 04/12/15 13:24 ID:4Ma58wrk(7/14)調 AA×

748: 04/12/15 14:32 ID:4Ma58wrk(8/14)調 AA×


749: 04/12/15 14:46 ID:4Ma58wrk(9/14)調 AA×

750: 04/12/15 15:03 ID:4Ma58wrk(10/14)調 AA×

751: 04/12/15 15:20 ID:4Ma58wrk(11/14)調 AA×

752: 04/12/15 15:23 ID:5i6J5LeU(1)調 AAS
荒らす人って暇なのかね。
それとも暇だから荒らしてるのか。

なんにしても作品や批評がし辛いのは考え物だな。
753: 04/12/15 15:32 ID:4Ma58wrk(12/14)調 AA×

754: 04/12/15 15:43 ID:ItN9mn2E(1)調 AAS
NG入れたら20レスdだ。
755: 04/12/15 15:48 ID:4Ma58wrk(13/14)調 AA×

756: 04/12/15 16:03 ID:4Ma58wrk(14/14)調 AA×

1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ

ぬこの手 ぬこTOP 0.292s