[過去ログ] 【半導体】競争ルールを知りながら負けた、日本の半導体産業の深層[8/18] (504レス)
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370: 2014/08/30(土) 01:43:22.45 ID:TzwL2R3N(1/3)調 AAS
車周囲に複数カメラ→ワンモニターに ルネサスの新半導体
外部リンク[htm]:sankei.jp.msn.com
半導体メーカー、自動運転車向け開発相次ぐ スマホ後の牽引役育成
外部リンク[htm]:www.sankeibiz.jp
ルネサス、自動車の周辺環境を画像で認識できるADAS向けSoC製品を発表
外部リンク:news.mynavi.jp
車載半導体:
ルネサスが次世代サラウンドビュー向けSoCを開発、全方位をリアルタイムで認識
外部リンク[html]:monoist.atmarkit.co.jp
ルネサス エレクトロニクスは、次世代サラウンドビュー向けSoC(System on Chip)「R-Car V2H」を開発した。
同社の車載情報機器向けSoC「R-Carファミリ」の技術を応用し、先進運転支援システム(ADAS)向けに
展開する製品群の第1弾となる。
371: 2014/08/30(土) 01:44:28.54 ID:TzwL2R3N(2/3)調 AAS
2014/8/29
「ものづくり礼賛」が阻んだ半導体産業復活の道
電子立国は、なぜ凋落したか(5)
外部リンク:www.nikkei.com
前回(第4回)で指摘した半導体産業における設備投資の間の悪さ、つまり「売り上げと同相の投資、売り上げと逆相の償却負担」という構図の背景には、別の事情もある(図1、図2)。
画像リンク
図1 日本の集積回路の設備投資金額と売上高の年次推移(資料: 『ICガイドブック(第8版)』、日本電子機械工業会、2000年、p.194)
画像リンク
図2 日本の集積回路の売上高と減価償却費の年次推移(資料: 『ICガイドブック(第8版)』、日本電子機械工業会、2000年、p.194)
実は日本には、わずかの例外を除くと、本当の意味での半導体メーカーは近年まで存在しなかった。
半導体事業で上げた収益に基づいて設備投資し、それを半導体事業の次の収益に結びつける。こういう形で、
自己責任で半導体事業を展開してきた企業は、日本にはまれだった。
日本で一般的だったのは、総合電機メーカーが事業の一つとして半導体製品を製造販売する形だ。
その半導体製品は、社内でも使われるし、外販もする。
総合電機メーカー内の半導体事業、その最大の問題は、設備投資の時期と規模を、半導体ビジネスの観点
からだけでは決められないことである。総合電機メーカーにとって、投資に使える資金は半導体のためだけの
ものではない。その結果、半導体のための投資を、半導体事業にとっての最適タイミングで実施するわけには
いかないことが、どうしても多くなる。ただし、この問題は韓国サムスン電子などにも共通する。そのサムスン電子
の半導体事業への設備投資は積極的である。
問題の本質は、企業の内部統治の問題に帰する。それぞれの企業が半導体をどれだけ重視しているか、
そして半導体事業部門が投資時期決定において、どれだけの自由を持っているか――である。
■ファウンドリになろうとはしなかった
上記の半導体事業の切り離しにおいて、設計と製造を分けることは、ほとんど行われていない。別の言い方を
すると、ファウンドリとして名乗りを上げるところはなかった。日本の半導体メーカーは自他共に、設計は苦手でも
製造には強いと言っていた。それなのにファウンドリになろうとするところがない。これが私には不思議である。
日本では「ものづくり」の礼賛が神話的、信仰的だ。「日本経済を発展させるためには『ものづくり』の力を強化
しなければならない」。相変わらず産学官挙げて、こう合唱している。それほど「ものづくり」が好きで得意なら、
なぜ日本企業はファウンドリを選ばず、ファブレスへ走るのか。日本企業の言動には整合性がない。
日本の半導体メーカーが半導体事業の切り離しを模索し始めたのは、1990年代後半である。
ファブレスとファウンドリによる設計と製造の分業は、業界内ではビジネスモデルとして既に確立している。
各社の製造部門を切り出して統合、大きなファウンドリを立ち上げる。設計部門は社内に残す。こういう選択肢が
あったはずである(前記のパナソニックの例は、これに近い)。
■日本企業は設計と製造の統合に固執
「日立製作所と三菱電機が事業統合に合意した2002年の時点で、関係者の間ではファブ(工場)は切り離す
という合意があった」。統合交渉に深く関わった政府関係者の証言だという(2014年1月12日付けの日本経済新聞
朝刊)。日立と三菱の統合企業はファブレスになり、切り離したファブはファウンドリになる。そして他社からも
半導体製造を受託する。そういう構想だった。
ところが、会社設立の時期になると、新会社の経営陣は方針を転換する。「生産現場を持っていないと
『ものづくり』の強さを維持できない」。経営陣はファブの切り離しを見送る。
経済産業省と業界の一部には、「日の丸ファウンドリ」を立ち上げようとする構想があった。「分業には合理性
がある」と早くから主張してきたてまえ、私自身もこの構想に少し関与した。しかし、企業はファウンドリ構想を
拒否する。
372: 371 2014/08/30(土) 01:45:11.80 ID:TzwL2R3N(3/3)調 AAS
製造業経営者にとって工場は「城」だという。城がなくては「一国一城のあるじ」にはなれない。しかしそれなら、
工場という「城」を持ち続けながらファウンドリになれば、「一国一城のあるじ」になれたではないか。
手近なところに使いやすいファウンドリがあれば、安心して半導体ファブレス・ベンチャーを起業できる。
ファウンドリは半導体ベンチャーにとって、大切なインフラストラクチャなのだ。日本には、このインフラストラクチャ
もできなかった。
日本企業は、設計と製造を統合したまま、半導体事業全体を切り離す。そしてひたすら衰退した。
■最初は遅れていたファウンドリの技術
かつてファウンドリの製造技術は、統合メーカーの製造技術に比べて一段低いとされていた。ファウンドリは
研究開発に投資せず、製造装置を買って製造に専念する。したがって、最先端デバイスの製造はできず、
少し遅れた製品を他社ブランドで安く製造する存在――日本の半導体メーカーはファウンドリを、そう見下していた。
日本企業がファウンドリを嫌った理由に、これがある。
ファウンドリ・ビジネスが始まった当初、その傾向がなかったとは言えない。統合メーカーが開発した製造技術が
製造装置に移転される。ファウンドリはその装置を買って製造する。その間に、かなりの時間差がある。
その時間差が、ファウンドリの作る製品の技術的「遅れ」につながっていた。
■製造装置会社との連携で状況が一変
しかし、ファウンドリは装置の償却が速い。多数の設計会社から製造を受注し、装置の稼働率を高めるからである。
償却が速い分、新装置を先に買える。まず、この効果でファウンドリは統合メーカーより、製造技術で前に出る。
さらにその後、ファウンドリは製造装置メーカーとの連携を強化する。ある時期から、製造装置開発には、
半導体生産ラインが必要になった。複数の製造装置メーカーが、同じ半導体生産ラインを使い、装置相互を
摺り合わせる。この役割を果たす半導体生産ラインとして、ファウンドリのラインが重きをなしていく。
ファウンドリは自社ブランドの半導体製品を持っていない。半導体メーカーは顧客ではあっても、競争相手
ではない。したがって自社の生産ラインで得た情報を、装置メーカーが公表することを妨げない。半導体の
統合メーカーの場合、自社ラインを装置メーカーに貸して装置開発に協力したとしても、そこで得られた情報を
他の統合メーカーに知られることには、抵抗がある。結果として、統合メーカーの生産ラインではなく、ファウンドリ
の生産ラインが、製造装置開発に使われることが多くなる。
この現象は、半導体製造技術開発の場が、統合メーカーから、ファウンドリと装置メーカーに移ることを意味する。
こうしてファウンドリは、製造技術でも先頭に立つに至る。
日本の半導体メーカーはファウンドリを見下す姿勢を続けているうちに、ファウンドリに製造技術で追い越され、
自らファウンドリになることも、ままならなくなってしまった。
■ファウンドリに独占の可能性
設計と製造の間で仕事を受け渡すためのインタフェースは、同一企業内の分業なら企業独自のものでいい。
インタフェースを他社に公開する必要もない。しかしファウンドリは、そうはいかない。なるべく多数の設計会社
から製造を受注したい。
これはファウンドリのビジネスモデルの根幹だ。だからファウンドリは設計会社に対して、インタフェースを
公開する。それが魅力的なインタフェースであれば、たくさんの設計会社がそのファウンドリに集まってくる。
たくさんの設計会社が特定ファウンドリのインタフェースにしたがって設計するようになると、そのインタフェース
は事実上の標準となる。そして顧客が集中し、装置の稼働率が上がり、装置を速やかに償却できる。
そうなれば新しい装置が買える。そのファウンドリの製造技術は他社に先がけて進歩する。そうすると顧客の
設計会社は、ますますそのファウンドリに集中する。勝ち組が勝ちやすくなる構造、勝ち組が独占してしまう構造が、
ここにも見られる。(終わり)
(抜粋)
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