[過去ログ] 【まどか☆マギカ】杏子×さやかスレ32【杏さや杏】 (1002レス)
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803: 2015/04/20(月) 19:32:34.85 ID:omV9obX30(1)調 AAS
佐倉さやか
804: 2015/04/20(月) 21:55:39.20 ID:FNXRDx2F0(1)調 AAS
佐倉家はもう杏子しか残ってないからさやかを嫁にもらって家族増やそう
805: 2015/04/21(火) 07:55:57.48 ID:a0sqHUZl0(1)調 AAS
さや杏がみたいんだ
杏さやばっかじゃないか
なぜさや杏がないんだ

おすすめおしえてくれ
806: 2015/04/23(木) 23:53:11.79 ID:PNymKxcX0(1)調 AAS
さやか「杏子、今また私のこと見てたでしょ?」
杏子「え? み、見てねえし……」
さやか「隠しても無駄だぞ〜。さやかちゃんはあんたが私のことどう思ってるか知ってるんだからね! 白状しなさいっ」
杏子「……。あんたはさ……ちょっと似てんだよ、あの人に」
さやか「あの人?」
杏子「真っ直ぐで、ピュアで、ちょっと融通がきかないところがあって……」
さやか「ああ、あんたのお父さんのことか。前の世界で話してくれたっけ」
杏子「前の世界?」
さやか「あ。いやいや、なんでもない。でも……杏子ちゃん、ファザコン・キャラですか〜。く〜、たまらんですなァ」
杏子「ファッ…?! ち、ちげーし!!」
さやか「恥ずかしがらなくてもいいぞ〜。私があんたのお父さんになってあげる♪」
杏子「おいおい、いくらなんでも……」
さやか「可愛い杏子、私がパパだよ……チュッ」
杏子「ちょっ! 親父は私の唇にキスしたりしねえよ!!」
さやか「そっか。じゃあ、私はやっぱりあんたのお父さんになるのは無理だわ」
杏子「あたりめーだろ!」
さやか「だから、あんたの恋人になってあげる」
杏子「さ、最初からそう言えよ」
さやか「ごめんごめん、ちょっと遊んでみたかっただけ」
杏子「もういいから……も、もう一回キスしろよ」
さやか「素直になったねー♪」
807: 2015/04/24(金) 01:07:49.48 ID:6ARIvu8X0(1)調 AAS
ごめん最初のくだりでホモ達が浮かんでしまった
808: 2015/04/26(日) 10:53:13.13 ID:UFt1AXAa0(1)調 AAS
あげ
809
(1): 2015/04/26(日) 21:37:19.82 ID:9NDzkCCf0(1)調 AAS
浴衣乱れてるさやかわエロい新刊楽しみ
外部リンク[html]:www.toranoana.jp
810: 2015/04/26(日) 23:38:06.92 ID:kY7QSY1l0(1)調 AAS
やべえ
811: 2015/04/27(月) 01:07:09.97 ID:+/3NjKVP0(1/2)調 AAS
>>708
>>797
今更だけどまさか今回委託してない?
812: 2015/04/27(月) 01:12:42.56 ID:+/3NjKVP0(2/2)調 AAS
と思ったけど委託されてたな
4月頭に近所のとらとメロン見に行ってどっちにもなかったんだが瞬殺されたのか・・・
いつもは10日ぐらいで完売してしまうんだがこれは再入荷待ちだな
813: 2015/05/03(日) 23:40:27.05 ID:ZhyEucHo0(1)調 AAS
また新刊出てるからね
814: 2015/05/04(月) 03:03:59.44 ID:0LVKpbTX0(1)調 AAS
さやかスレから転
芸術の魔女にこの二人が組んで挑むってゲームとかでありそうで意外となかったな
画像リンク

815: 2015/05/04(月) 23:34:08.49 ID:m0JTds570(1)調 AAS
もう怖行ってきた。
やわらぎさんではグッズセット購入。
買い始めると止まらなくなりそうだが、
ちっちゃい杏さやいいな…
816: 2015/05/05(火) 22:24:38.84 ID:hp5fVUB20(1)調 AAS
コミ1でももうこわでも良い本あって良かった
817: 2015/05/09(土) 12:36:21.23 ID:jz1J2cvk0(1)調 AAS
>>809
このふたなり本届いたが短いのにすげえエロさ詰まっててよかった
さやかはえっちな子だなぁ
818: 新しい幸せ1 2015/05/10(日) 13:25:59.27 ID:TdVYE4oG0(1/8)調 AAS
 節制を旨としてきた少女にとって、これは散財などではない。
幼い頃からの教えは贅沢を戒め、正道を奨励するものであったから、
いまの彼女は生きるために一度は捨てたそれを、ようやく取り戻したといえる。
去年は小箱だったから今年はその中に容れるものを……と彼女は考えたが生憎、
化粧品には疎いし貴金属や宝石類となると手が出せない。
「今年も花か…………」
観賞にも儀典にも用いられる生花は、感謝や哀悼の意を示すのには打ってつけだ。
特別な日に特別な花を贈れば、それだけで言葉によらず思いを伝えることができる。
「でも、それだけじゃダメだよな……」
難しい問題だ。
彼女――佐倉杏子はこの日をどうすべきか考えた。
生き方も戦い方も器用であるという自負はあったが、それ以外のたいていのことには不器用だった。
だから気持ちを表すには全うな手段で手に入れた既製品しか考えられなかった。
といって前日に出かけるようなことをすれば白地(あからさま)になるからと、
杏子は当日まで”その日”が来ることを忘れているかのように振る舞っていた。
おかげで思い悩む時間は充分にあったが、それで結論が出るわけではない。
一生懸命に貯めたお小遣いで買える程度のもので、感謝を伝えた気になりたくはなかったのだ。
その程度の、安っぽい手段では。
大恩に報いることなどできない。
自分という厄介者を養うのにどれだけの負担をかけさせているか、に気付かない杏子ではない。
それは単なる金銭的な問題ばかりではない。
身寄りがいないとはいえ、他人の子を預かっているという事実が歴然としてある以上、
本来ならば抱える必要のない道義的な責任を負わせているのだ。
彼らは知らない。
自分や彼らの娘が魔法少女で日夜、呪いを振りまく存在と戦っているのを。
かつては厭世的だった自分が、彼らの娘に刃を向け、幾度となく戦い、傷つけてきたことを。
罪は赦すものであっても、赦されるものではない。
彼らが知ったらどう思うだろうか。
懇願する娘に根負けし、居候させている少女が、実は愛娘に大怪我を負わせていたと知ったら。
魔法という不可思議の力を使って、多くの罪を犯していたと知ったら。
彼らはきっと自分を追い出すに違いない。
不誠実だと罵るに違いない。
時の前後はあれど、善意に付け込んだ悪魔となじり、忘恩の徒だと悪口雑言を叩きつけるだろう。
それに対し、杏子は一切の申し開きを許されない。
それら全ては事実であり真実だからだ。
彼女は分かっている。
もしこの家を追い出されたら、自分は再びあの時の自分に戻ってしまうのだ。
”生きるため”を言い訳にした、今も敬愛してやまない父が最も忌み嫌う存在に成り下がるのだ。
もはや杏子はそれを何よりも恐れる。
一度堕ちた場所に再び堕ちることは――。
819: 新しい幸せ2 2015/05/10(日) 13:28:07.93 ID:TdVYE4oG0(2/8)調 AAS
 美樹さやかには分かっていることがある。
これは気付かないふりをしながら、考えないようにしていたことだ。
疑問として口にするのは可能だが、それを知られた途端に良好だったもののいくつかは失われる。
そのために彼女はこの問題と向き合う時間を先延ばしにしてきた。
しかしいつまでもそうするワケにはいかない。
目を瞑っていれば溝はますます広がり、やがて修復できない段階にまで発展してしまう。
彼女はそれも分かっていた。
為すべきはひとつ。
言葉をかけること。
ただそれだけでよいハズなのだ。
「………………」
さやかはちらりと杏子を見やった。
朝早くから出かけ、陽が天の頂に達するころに帰ってきた彼女は丁重に包装された何かを手にしていたが、
その表情にはここ数日でよく見せていた翳りが漂う。
(やっぱり…………)
顔つきから彼女はためにならないほど多くを悟った。
母の日に贈り物をしようとするならば、贈り手は嬉しそうにするものだ。
感謝を伝え、受け取った者が喜ぶ様子を思い浮かべれば、贈り物をされた者以上の幸福を抱くハズなのだ。
しかし杏子にはそれがない。
陰鬱な顔は単に、”喜んでもらえるだろうか?”という不安からくるものではない。
もっと別の。
もっと深いところで、この少女は答えの出ない問いにぶつかっているのだ。
「――杏子」
見かねたさやかは思わず声をかけた。
そうするつもりはなかったが彼女が気付いた時には無意識に発していた声が、陰鬱な表情のままの杏子を呼んでいた。
今の彼女を母親に会わせるわけにも、手にしたそれをそのまま渡させるわけにもいかない。
「な、なんだよ?」
顔を上げた杏子はさやかが思いのほか複雑な表情で自分を見ているのに気づき、怪訝そうに問うた。
「ちょっと来て」
「え? なん――」
「いいから!」
慌てて包みを机上に置いた杏子は、なかば引きずられるようにして部屋を出た。
さやかはそのまま家を出て、近くの公園まで彼女を伴った。
幸いにも人通りはなく、多少声を荒らげても誰かに聞かれる心配はないようだ。
「………………」
杏子は嫌な予感がした。
こういう時のさやかは、決まって返答に困る質問をぶつけてくる。
なんとか躱そうとしても、それが彼女の意に沿うものでなければ質問責めは続く。
「こんなところに連れてきて一体、何なのさ?」
自分は考えごとで頭がいっぱいなのだ、要件は手短かに済ませてくれと彼女は遠回しに言った。
「ちょっと気になることがあるから、ハッキリさせておこうと思ってね」
「………………?」
「あんたさ、何か隠してない? 隠してるっつーか、言えないようなことがあるっていうか……」
「別になにも――」
「ここ最近、そわそわしてるの、自分で分かってる? ああ、今日のことだ、ってすぐに分かったんだけどさ。
見てるとそれだけじゃない気がするんだよね」
820: 新しい幸せ3 2015/05/10(日) 13:31:20.21 ID:TdVYE4oG0(3/8)調 AAS
この少女は時折、妙な慧眼を発揮することがある。
これは信じやすく、疑いやすい彼女の持って生まれた才能だ。
「もしかしてあんまり高いの買えないから、気後れしてるとかじゃないよね?」
同居し、悪事から足を洗った杏子がどれほど倹しい生活をしているかをさやかは知っている。
今の彼女にはお小遣いを貯める以外に資金を作る方法はないハズだ。
となればその予算もだいたい見当がつく。
「気後れっていうか――」
やはり杏子は返答に窮した。
していない、と答えれば居候の身で図々しいと思われるかもしれない、という保守の思考が働いた杏子は、
言葉を濁してこの場をやり過ごそうとした。
「あのねぇ、お母さんがそんなこと気にすると思う?」
歯に衣着せない物言いをする杏子だが、肝心なことについては歯切れが悪くなる。
これは図星を突かれているサインだ。
「だいたいさ、そういうのって金額の大小じゃないでしょ」
「分かってるよ、それくらい。でもあたしには……」
その程度のことしかできない、と杏子は言った。
気持ちを表すには金額で示す以外にはない、とも。
「なんていうか、ちょっと残念だなあ……」
さやかは大仰にため息を吐いた。
「ああ、でも、ごめん。確かめたいの、ってそれじゃないんだ」
そう言い、彼女は魔獣と対峙した時のような真剣な眼差しで、
「無理してるんじゃない? 頑張り過ぎっていうか、しがみ付いてるみたいに見える」
下手を打てば2人の関係性を壊しかねないことを訊いた。
「言うべきかどうか迷ってたけど、この際だからハッキリさせとくよ。杏子――」
「何を…………?」
「あんた――家を追い出されないように、ってそればっかり考えてない?」
「………………ッッ!!」
杏子は思わず逃げ出したくなった。
驚くほどさらりと齎された問いは、彼女が無意識に考えないようにしていたことだった。
「――やっぱりね」
居候という聞こえの悪い生活は、正道を踏み外した少女が縋ることのできる最後の拠(よりどころ)だった。
これを失えば彼女はもう一度、罪に身を穢さなければならなくなる。
しかしそれは元の生活に戻る、という意味ではない。
美樹家に真っ当な生き方をさせてもらった杏子には、もはやかつての爪や牙はない。
外の冷たい世界に放り出されれば、自ら生きる力を失った彼女は芽生えた罪悪感と飢えに苛まれ、
誰にも干渉できず誰にも干渉されないまま、ひっそりと命を終えるに違いなかった。
換言すれば佐倉杏子の生殺与奪を握っているのは美樹家なのだ。
仮にそうなった場合、マミ宅に転がり込むという選択もなくはないが、今の彼女はそこまで無恥にはなれない。
「ごめん」
さやかは心底からすまなそうに言った。
「な、なんでさやかが謝るんだよ!?」
「あんたにそんな想いさせてるの、多分あたしの所為だと思うから」
「何を…………」
「あんたが悪い事してるのを止めさせたくてウチに住まわせたけど、そのせいで窮屈な想いさせてるんだったら、
そこはあたしに責任があるよ」
彼女は杏子から爪や牙を奪いたかったのではない。
純粋に、単純に正義感から悪を懲らしめようとしただけだった。
正義はそれだけで終わってはならない。
改心した悪は償いを終え、二度と悪に走らないことを約束して報われなければならない。
この点は巴マミが突き進む魔法少女像と共通している。
821: 新しい幸せ4 2015/05/10(日) 13:35:06.51 ID:TdVYE4oG0(4/8)調 AAS
「あんたが転がり込んできたんじゃない。あたしがあんたを誘ったんだ。お母さんとお父さんに頭下げてさ。
1ヵ月説得して、やっと家に連れてきてもいいって言ってもらえたんだ」
「………………!!」
杏子は初めてそれを知った。
何の得もしないのに、悪事に手を染めた赤の他人を抱え込むのに、それだけの時間と労力をかけるなんてバカげている!
以前の彼女ならそう言って笑っただろう。
「でも誤解しないでほしいから言うけど、お母さんもお父さんも一度だって反対してないんだよ。
1ヵ月かかったのは準備っていうか、あんたを迎え入れるのにいろいろ必要だったから」
「あ、ああ…………!!」
杏子は頽(くずお)れた。
彼女は何も知らなかったのだ。
自分が目に見えない場所で、聞きもできないところで。
さやかや彼女の両親が何度も言を重ね、その末に自分が迎え入れられたことを杏子は知らなかったのだ。
いつの間にか話が進み、成り行きで厄介になった……程度の認識しかしていなかった彼女は、
今になって素性も分からぬ、品性にも欠けた”他人”を住まわせることの重大さを思い知った。
生半可な覚悟ではできない。
後になって想定していなかった事態が起こったとしても、予想していなかったという理由で追い出すことはできない。
血の繋がりはなくとも、それこそ実子と同じように最期まで責任を持たなければならない。
彼女たちはその道を選んだのだ。
軽い気持ちではなく、真剣にそうしたいと考えての結果だったのだ。
「学校はどうするのかとか、届出……とか、いろいろさ。ほんとは全然時間が足りなかったらしいんだよね。
だけど取り敢えず連れて来いって。本人の希望もあるだろうし、早く顔も合わせたいからって」
言われて杏子はここまでが驚くほどスムーズであったことに気付いた。
学校への編入手続きも、通学に必要な制服やカバン、教材等もまるで予定されていたように揃った。
彼女の同居は彼女が初めて美樹家で寝食をともにするより、ずっと前から始まっていたのだ。
「恩着せがましく聞こえたら、ごめん。でもね、お母さんもお父さんも、もちろんあたしも――。
あんたのこと、真剣に考えてる。いい加減な気持ちで今こうしてるワケじゃないんだよ」
「………………」
杏子は目に涙を溜めた。
その涙は懇願だった。
もうこれ以上、そんな言葉をかけないで欲しいと。
ずっと優しくされていたこと、大切に想ってくれていたことを知りたくはないと。
自分はそうしてもらえるだけの人間ではないと。
「去年の母の日のこと、憶えてる?」
不意にさやかは背を向け、天を仰いだ。
「小箱とカーネーションを贈ってくれたよね」
「あ、ああ……」
「お母さん、喜んでたよ。や、ほら! あたしが毎年ロクなもん贈ってなかったからさ!
”杏子ちゃんからもらったのよ!”って年甲斐もなく自慢してきてさ――」
さやかは笑ったが、その声は少し上ずっていた。
「………………」
しばらくの間。
どちらも何も言わない。
2人の中での、母親のイメージが重なるのを待つように。
遠くでカラスの鳴き声が聞こえ、それが彼女たちを思考の海から引き上げた。
「だけどお母さんがもっと喜んだことがあったんだ」
それが何か分かるか、と問うようにさやかは肩越しに振り返った。
目と目が合い、杏子は小さくかぶりを振った。
「プレゼント渡すとき、あんた……”お母さん”って呼んだんだってね?」
さやかは悔しそうに言った。
あちこちの店を探し回ってようやく見つけた小箱を、杏子はさやかがいない時を見計らってプレゼントした。
おそらく気恥ずかしさがあってのことだろう、と後になってそれを知ったさやかは思った。
その瞬間に立ち会えなかった彼女は残念でならなかった。
822: 新しい幸せ5 2015/05/10(日) 13:37:58.72 ID:TdVYE4oG0(5/8)調 AAS
「それまでずっと”おばさん”って呼ばれてたからさ、お母さん、ちょっと泣いてたよ?
これは内緒にしといて、って言われたんだけどね」
約束を破ることも時には必要だ、と自分に言い聞かせ、
「やっと母親として認められた気がする、って。距離が縮まった気がして嬉しかったんだろうね」
さやかは穏やかな口調で言った。
「おばさんが…………?」
呟いてから杏子は慌てて口を手で覆った。
「だからあんたは負い目も引け目も感じなくていい。遠慮されるのってさ、こっちも落ち着かないんだよね。
言いたいことも言えなくなっちゃうじゃん?」
杏子は慈しみを感じた。
かつて父が大勢の信者に語っていた言葉の意味を、ようやく理解できた。
それまで与えてばかりの、しかもその悉くが報われなかった、誰もが持っていて当たり前だったハズの想いが。
姿を変え、形を変え、舞い戻ってきた。
父親以外にも、こんなに慈悲深い人がいたのか――杏子は思う。
教会と結界以外では行動らしい行動をしなかった少女にとって、世界はあまりに狭すぎた。
狭すぎたから、その中で起こったことをそのまま世界に当てはめてしまっていた。
目の前で誰かが悪事を働けば、世界中の誰もが悪人だと決めつけた。
説法に耳を貸さない信者を見るや、正道を行く尊い人間は父親ただひとりなのだと思い込んだ。
それは間違いだったのだ。
「あたしは……何も分かっちゃいなかったんだな……」
軟らかい土が優しい涙を拭いとった。
「自分で壁を作って――そんなふうに想われてるのにも気付かなかったなんてね……」
誰よりも他者の心を理解しなければならないハズの彼女は、皮肉にも自分に最も愛情を注いでくれる者の心を読み取れなかった。
滂沱として溢れる涙は自分では止められない。
犯した罪がとてつもなく重いと考えているうちは、贖いの涙が涸れるハズがない。
「ま、これはあたしのちょっとしたお節介なんだけどさ」
杏子が悲痛な表情を浮かべている分、さやかは殊更に笑顔で言った。
「お母さんなら、杏子から貰えるなら何だって嬉しいと思うよ」
それは”モノ”だけとは限らない。
ただの一言でさえ、千金に勝る贈り物に成り得る。
「でさ、お節介ついでにちょっとあたしに付き合ってよ」
それまでの雰囲気を一変させるように、さやかは快活な声で言う。
その声に顔を上げた杏子はようやく気付いた。
彼女は小さな袋を持っていた。





823: 新しい幸せ6 2015/05/10(日) 13:43:12.31 ID:TdVYE4oG0(6/8)調 AAS
 想い出は時として残酷だが、これは受け手の心情による。
いつか彼女が真に満たされれば、古傷は良き想い出に変わるかもしれない。
林道を抜けた先の、手製の粗末な墓標の前に跪き、さやかは両手を組んだ。
少し前まではこうした作法に疎かったが、同居人の影響もあってずいぶんと様になってきた。
「………………」
もうこうして5分ほどが経つ。
彼女が何を伝えているのかは杏子には分からない。
テレパシーは魔法少女同士を繋ぐ言霊でしかないから、死者への追悼を盗み聞くことはできない。
彼女の傍らには持ってきたリンゴとイチゴがある。
「…………さや、か?」
背後からの呟きを彼女は無視した。
そうしてさらに数分。
さやかは組んでいた手を解き、袋から取り出した果実を墓前に供えた。
「1年分だからね、報告することがいっぱいあんのよ」
「報告……?」
「杏子の両親はあたしにとっても両親だからね」
立ち上がったさやかは呆けたような顔をしている杏子の手を引っ張った。
「ほら、次はあんたの番だよ」
よろけながら墓前に蹲う。
言葉を用意していた杏子は、しかし自分が思うタイミング、シチュエーションでなかったことに戸惑い、
想っていることを思うように伝えられない。
だが少なくとも亡き家族への変わらぬ恋慕と、今は美樹家で新たな人生を歩んでいることだけは内心で言葉にできた。
いくらかの罪悪感を滲ませながら。
父を欺き、家族を死に追いやった自分が、今もこうして生きていることに後ろめたさを感じながら。
この十字架は彼女が生きている限り、生涯背負っていかなければならない枷だ。
”開きなおる”ことのできない杏子に永遠につきまとう業だ。
それはひとりで背負うにはあまりにも重すぎた。
たったひとりでは――。
「………………」
1年分の報告をするには10分程度では足りない。
自分と同じように跪いたまま動かない杏子を見て、彼女が家族に深い愛情を持ち続けていることをさやかは感じた。
たとえ罵られても、彼女にとって父親は今も変わらず尊敬すべき肉親だったのだ。
母親も妹も、止まった時の中で永遠に生き続けているのだ。
「待たせたね」
そう言われ、思考に埋没していたさやかは杏子が祈りを終えているのに気付いた。
「あ、ああ、うん。もういいの? あたしは別に――」
「いいんだ。ここにはいつでも来られるしね。それに……」
杏子はふいっと余所を向き、
「あんまり遅くなったら……母さん、心配しちまうだろ……」
拗ねるように言った。
その分かりやすい仕草にさやかは思わず吹き出す。
824: 新しい幸せ7 2015/05/10(日) 13:46:41.10 ID:TdVYE4oG0(7/8)調 AAS
「可愛いヤツめ〜! ほらほら、もっと素直になっちゃえよ〜!!」
「わっ! や、やめろって!!」
小動物を愛でるように髪をめちゃくちゃにされ、杏子は顔を赤くして反駁した。
陰鬱な雰囲気は、ときに空気を読まないさやかの快活さに吹き飛ばされた。
そのまま何もしなければ自然と溢れる涙を止められなかったかもしれない杏子は、
悲しむ暇も与えられずに半ば躍起になってさやかの手を払いのけた。
「ったく、やめろよな」
口調は怒っているが、表情はむしろ困惑から気恥ずかしさに変わっていた。
「いや〜、あんたがガラにもなく可愛かったからさ」
「悪かったな、普段は可愛くなくて!」
「あれ? やっぱ気にしちゃうんだ?」
「〜〜…………!!」
何か言い返そうとした杏子だったが言葉が出て来ず、あからさまに顔を背けることで抵抗した。
「………………」
反応を楽しむのもここまで。
揶揄(からか)うのをやめたさやかは、不意に優しげな表情で杏子を見つめた。
「な、なんだよ……いきなり……?」
「さあ、ね」
暖かい風が2人の頬を撫でる。
そこに何者かの意思を感じ取ったさやかは、墓標を振り返った。
(見てのとおり、杏子は元気にやってます)
この声は彼らに届くだろうか、とは彼女は考えなかった。
(これからも見守ってあげてください。あいつ、口には出さないけど時々、すごく寂しそうな顔するんです。
夢ででも逢えたら……きっと喜びます)
届かなくてもよい。
誰かが、彼女のことをよく知っている誰かが、心の中で強く真摯に願うこと。
それ自体に意味があるのだ。

「おーい、さやか! 置いてくぞ〜!」

つらさが増すからか、それとも新しい両親の元に早く帰りたがっているのか。

杏子はすでに林道を下り始めていた。

(まったく……ちょっとはしんみりするかと思ったら……)

さやかは苦笑し、天を仰いだ。

「それじゃさっき頼んだこと、お願いしますね!」

彼女がそう言うと、雲の隙間から差し込んだ陽光が優しく瞬いた。

   終
825: JEDI_tkms1984 2015/05/10(日) 13:51:40.87 ID:TdVYE4oG0(8/8)調 AAS
 今年も母親にはささやかな宴を催し、謝意を伝えました。
杏子も幸せになれるといいですね。
お目汚し、失礼しました。
826: 2015/05/10(日) 20:35:23.89 ID:2FPpv91f0(1)調 AAS

ええ話や
827: 2015/05/10(日) 20:56:35.81 ID:JFJo6x9v0(1)調 AAS

しんみりするいい話
828: 2015/05/12(火) 23:39:28.15 ID:AfZvb+Kf0(1)調 AAS
要約すると、さやかの母親を杏子がお母さんと呼んだ話だね(意味深)
良い話だった
829: 2015/05/13(水) 18:57:08.08 ID:3d/tLF6y0(1)調 AAS
ふたなり魔法が共鳴発動する時期がいつもさやかの排卵日周辺だと気付いたときの杏子
830: 2015/05/14(木) 02:30:54.02 ID:PSv09mIj0(1)調 AAS
久々に長編が来てるが今日はもう無理だ・・・
明日読ませてもらいます
831: 2015/05/15(金) 17:58:26.68 ID:AfnZU9dD0(1)調 AAS
えねるぎあのふたなり新作すげー良かった

エロ方面ではぶっちぎりで過去最高
832: 2015/05/15(金) 22:04:50.69 ID:3NrfSC7t0(1)調 AAS
あの話さやかちゃんがノーパンだったのかどうかが気になる
833: 2015/05/19(火) 21:30:59.94 ID:2duDWI0X0(1)調 AAS
CITORN先生が杏さやのアクリルキーホルダーを販売。
物凄い破壊力なんですが…
834: 2015/05/20(水) 00:19:33.03 ID:2ny+BBIo0(1/2)調 AAS
見てきた。くっそ可愛いw
サイズはどれぐらいなんだろ
835: 2015/05/20(水) 23:35:14.75 ID:2ny+BBIo0(2/2)調 AAS
遂に家にある杏さや同人誌が30冊超えた
地方組だからオンリーだけで販売される本とかが羨ましい
836
(1): 2015/05/21(木) 00:28:35.37 ID:abaEQs8D0(1)調 AAS
同人誌といえば、アンソロ3巻の水あさとさんの杏さやの漫画で感動して、
この人他にどんないい話書いてんだろうと思って買ったのが初めての同人誌だったなあ・・・(白目)
837: 2015/05/21(木) 23:28:09.84 ID:Q70z87H70(1)調 AAS
今は同人誌といえば杏さやしか考えられない
838: 2015/05/23(土) 14:18:05.41 ID:f06JhmQK0(1)調 AAS
いいもんゲット♪
画像リンク

839: 2015/05/23(土) 23:42:08.41 ID:zptTuY0x0(1)調 AAS
>>836
>アンソロ3巻の水あさとさんの杏さやの漫画で感動して

あっ・・・(察し)
アンソロの水あさとさんの漫画は借りてきて猫って感じで綺麗なあさとさんだったから・・・
840
(1): 2015/05/24(日) 13:16:21.21 ID:zQNwvX8q0(1)調 AAS
こっちはお死体だぞオラアアアアアアア!!!!
841
(1): 2015/05/24(日) 16:25:25.59 ID:lFoBRJjU0(1)調 AAS
杏さや本かなと思って読んでみたらマミさんがまん毛で戦う漫画だったでござる
842
(1): 2015/05/24(日) 20:05:05.57 ID:qbcf2SQU0(1)調 AAS
杏子→さやかで永遠の片思い妄想してたらつらくなってきたでござる
843
(1): 2015/05/25(月) 00:48:28.64 ID:dZYRAj5W0(1)調 AAS
杏子「アフリカじゃねーか!!」
844: 2015/05/26(火) 06:14:56.28 ID:UkT/JnH50(1)調 AAS
あげ
845: 2015/05/26(火) 23:22:57.51 ID:tdOWTO4M0(1)調 AAS
>>840-843
皆結構あさとさんの漫画読んでるんだなw
個人的にもう怖とかでしか出ない杏さや本を読んでみたい。特にメスシリンダーさんの本
846
(1): 2015/05/29(金) 00:52:07.35 ID:XVHns6eM0(1)調 AAS
どうせあたしは死体だよ! 

>845
個人的には美樹家の人が好き。
杏子女子会笑った。
847: 2015/06/03(水) 00:10:34.65 ID:z/WBWwNn0(1)調 AAS
>>846
カタラズさんだね
昔オフィオクをよく描いてた頃から好きだ
848: 2015/06/10(水) 13:49:19.09 ID:SzNF/n4/0(1)調 AAS
きらマギ魔獸編読んだけど
杏さやが最初から出会いをやり直す・・・
っていう感じになってたね
次回では杏子が過去を話しそうだし
杏さやがメインの話かな?
ともかく次回が楽しみだ!
849: 2015/06/10(水) 22:34:49.30 ID:LE/Edj040(1)調 AAS
また新たな杏さやの伝説が紡がれるのか
次が待ち遠しいな
850: 2015/06/15(月) 01:48:21.62 ID:KxKom7dC0(1)調 AAS
2人がエルザマリアの結界で影絵で遊んでるイラストを見たんだけど知ってる人がいたら頼む
何か公式絵っぽかったというか二次イラストには見えなかったんだがそんなのあるの?
851: 2015/06/15(月) 04:28:23.46 ID:IREXQ8KN0(1)調 AAS
叛逆のNG集 で検索
その動画の6:52から
852
(1): 2015/06/15(月) 21:11:04.44 ID:LTh7DCbW0(1)調 AAS
魔獣編でもやっぱり杏子の家族は心中してるのかな?
853: 2015/06/16(火) 08:41:12.31 ID:Un3njjFm0(1)調 AAS
>>852
杏子が本編と同じく荒れていた為
心中している可能性が高い・・・

そういえば思い出したけど魔獣編→叛逆編の流れで
さやかの家族って何処にいったんだろうか・・・
ほむらが杏子をさやかと一緒に住ませるつもりなら
彼女達と同じく結界に入れてもおかしくないはずだが・・・
ほむが悪魔になる直前でそれらしい人は降りてこなかったし・・・
854: 2015/06/16(火) 10:05:27.14 ID:1EpSkCOt0(1)調 AAS
ただ描写がなかっただけなのか…
それとも結界の主が必要としなかったのか…
クラスメートや町の人が作り物なのに、結界の主ですら違和感を感じる程度だったしね
855: 2015/06/17(水) 17:49:02.26 ID:hPWLFa4X0(1)調 AAS
ほむら再改変後の見滝原もまた、いつわりの見滝原だ
本物の見滝原は、ワルプルギスによって破壊されたままの荒野だ
ちなみに魔獣編の見滝原は、復興途上の見滝原だ(ソース:小説)
856: 2015/06/18(木) 01:00:26.16 ID:OmEMMgWF0(1)調 AAS
魔獣編てことはワルプルいないのに見滝原が復興途中?
857: 2015/06/19(金) 22:56:00.13 ID:n8DYcblz0(1)調 AAS
まだこの二人の物語は終わらんよ
858: 2015/06/20(土) 17:33:33.24 ID:gKqSceVK0(1)調 AAS
魔獣編読んだ
この後、二人がどう愛し合う展開になるのか楽しみ
859: 伸ばした手の先に……1 2015/06/21(日) 02:03:16.39 ID:JJVICIuG0(1/6)調 AAS
 嫌いなものは嫌いではなくなった。
欲しいものを求めても、けっして手に入らないと分かった時から、少女は欲しがるのをやめた。
大切なのは心の在り様だと教えてもらったからだ。
目に見えるものだけが全てではないと学んだからだ。
彼女の歳にしてはそれを学ぶにはあまりにも早すぎたが、過酷な半生はたどたどしくもそれを受け入れさせるだけの
心の器をたしかに育んでいた。
だから今日。
一年にたったの一度だけ来るこの日を、佐倉杏子は穏やかな気持ちで迎えることができた。

父の日――。

これには視点の違いによって、ふたつの意味がある。
自分を育ててくれた父に感謝する、という意味と。
無事に生まれ育ってくれた子に、父親でいられることを感謝するという意味だ。
彼女の父親は次第に自分の言葉で信者に語りかけるようになったが、本来の教義も彼独自の教義も、
”感謝する心こそ至上のもの”という点だけは共通していた。
自然に、親に、子に、兄弟姉妹に、地球に、空に、太陽に……。
生きている限り関わる、あらゆるものに感謝し、またその心を忘れてはならないというのが崇高な教えだった。
この教えはもちろん佐倉杏子の根底にも植え付けられていたハズだったが、彼女は一時的にそれを忘失していた。
希望を祈った代償が絶望であり、善意の裏には悪意が潜み、施しの見返りが飢餓であることを知ったとき。
神は死んだのだと少女は思った。
しかし、そうではなかった。
神を殺したのは彼女自身だったのだ。
愛する父の信奉する神を、彼女は軽率にも身勝手な願いによって滅してしまったのだ。
神が死んだとき、父もまた死んだ。
残されたのは邪に魂を売った魔女だけだ。
彼女はずっとそう思っていた。
なかば自棄になり、そうであるハズだと思い込んでいた。
その愚かな融通の利かなさも、今では氷解しつつある。
自身の行いを悔い改めるうち、これまで許すことのできなかった――許されるべきではないと思っていた――事柄を、
ひとつずつひとつずつ受け容れはじめていた。
この歩みには美樹さやかの存在が不可欠だった。
彼女がいなければ杏子はソウルジェムを自らの心と同じく、黒く深く闇の色に染め上げていただろう。
けっして癒えることのない痛みと同じように――。

「父さん…………」
呼びかける杏子の表情は優しかった。
あの出来事さえなければ、もっと早くから見せていたであろう聖女のような微笑みで。
少女は愛する人を呼んだ。
この顔を見せることも、その声を届けることももはやできなくなったが、拠所までは失われていない。
「ちょっと、杏子! なにサボってんだよ!?」
手作りの墓標を見つめていた杏子は、抗議の声に慌てて振り返った。
「まだこんなにあるんだから。手を抜くんじゃなくて雑草を抜きなよ」
後ろではさやかが周囲の雑草を引き抜きにかかっている。
しばらく手入れをしていなかったため、教会から裏庭の墓標に続く道までがすっかり高草で覆われていた。
「ああ、悪い悪い! いま行く!」
さやかに用事を押し付けた格好になり、杏子はばつ悪そうに作業に戻った。
2人は決まって母の日と父の日にはここを訪れるようになっていた。
その際に持参する手土産――杏子は”お供え”という表現を嫌っていた――はいろいろだ。
たいていはリンゴやイチゴなどの果物だが、ときには手間暇を惜しまずに編み上げた花輪などもあった。
想いは金額の多寡では測ることはできない、というのが2人に共通した価値観だったから、不相応な高価な品物は避けていた。
今日は和菓子を用意してきたのだが、まず一番にしなければならないのは草抜きだった。
遠目からでは墓標が隠れてしまうほどに雑草が生い茂っている。
母の日に来た時に手入れをしなかったことを後悔しながら、2人は周辺の雑草を抜いた。
860: 伸ばした手の先に……2 2015/06/21(日) 02:04:58.49 ID:JJVICIuG0(2/6)調 AAS
「悪いな、いつも手伝わせちまって」
「そういうのは言いっこなし。あたしは別に”手伝ってる”ワケじゃないからね」
さやかは少しだけ怒ったように言った。
口調には、気を遣うな、という意味が込められている。
それに頼まれるまでもなく、そうしなければならない理由がある。
主を失った教会はこの裏庭のように、目に映るあらゆるものが朽ち果てている。
まるで一帯が祈りで作られていたように、訪れる者がいなくなった途端に崩れ始めた。
こうなると不心得者には都合がよい。
表を歩けないような輩が屯(たむろ)し、ほどなく巣作りを始めてしまうだろう。
それを防ぐために手入れは欠かせない。
人の気配がすれば、そういった不埒な者たちは寄り付かなくなる。
およそ誰の目にも無価値に見える廃教会だが、杏子にとっては自分と家族をつなぐ唯一の拠(よりどころ)だった。
それを理解しているさやかが自発的に手入れをするのは、当然の成り行きだった。
たったふたりの少女の祈りが、寂れた教会に生命の息吹を齎す。
神聖で尊い行為だった。
「………………」
さやかはちらりと杏子を見やった。
何かと斜に構えたがる彼女は、何を考えてか難しそうな顔つきで手の届く雑草を抜いている。
この光景はそうそう拝めない。
真剣な眼差しで奉仕する様は普段とはまるで別人だ。
(魔法を使えばあっという間なのにさ)
杏子の槍は薙ぎ払うのに適している。
穂先にほんの少し魔力を乗せれば、抗力を持たない草木は塵埃のごとく吹き飛ぶだろう。
それをしないのが佐倉杏子という人間だ、とさやかは思った。
彼女は多くを弁えている。
いつ、どのような状況で、何をすればよいか。
臨機応変の即応は天才肌といってもよい。
実際、あれほど粗暴な杏子が美樹家にお世話になる際には、(言葉の端々は怪しかったが)実に模範的な挨拶を述べていた。
あまりの豹変ぶりにさやかは惑ったが、取り繕いの急ごしらえの演技ではないと分かると、それこそが本来あるべき
彼女の姿なのだと気付く。
つまり誠実で勤勉で心優しい両親に育てられた”佐倉杏子”は、まだ失われてはいなかったのだ。
自分を守るために粗野な鎧を纏ったところで、その内面に秘められたのは敬虔な信者のひとりである少女のままだ。
(それが本当のあんたなんだろうね…………)
教えは生きている。
この少女が存命の限り、愚直な父親の博愛は絶えはしない。

「よし、これくらいでいいか!」
一仕事を終え、額にうっすら滲んだ汗を拭って杏子が言う。
教会裏から墓標に続く道は、無秩序に生えた雑草に覆われた樹海から一転、参拝者を誘う参道へと変わった。
丁寧な仕事ぶりからは彼女がいかに家族を大切に想っているかが伝わってくる。
「………………」
さやかは生まれ変わった裏庭を眺め、息を吐いた。
見通しがよくなると誰も知らないこの空間がさらに神秘性を増す。
「綺麗になったじゃん。きっとみんな喜んでるよ」
心がほのか温かくなり、さやかは彼女の家族がすぐ傍にいるような気がした。
背格好も声も知らないが、慈愛に満ちた視線で微笑みかけてくれているだろう、とさやかは思った。
死後の世界があり、もし現世を覗き見ることができるのなら、彼は娘が何を願い、何を祈ったかを知っているハズだ。
それを知ってなお、彼女を蔑ろにできるハズがない、とさやかは信じている。
杏子の語る父親は清廉で愚かなほど誠実だったから。
罵られ迫害されても、想い出の中の父をただの一度さえ否定しなかった娘を、彼女が語るとおりの父親であるならば、
この期に及んで赦さないハズがないのだ。
「父さん、今年はお菓子を置いていくよ。さやかん家の近くに有名な店があったんだ」
包みを丁重に解き、桜と杏を模した繊細な作りの和菓子を墓前に添える。
彼女の甘いもの好きは父親譲りだった。
胸の前で両手を組み、杏子は静かに瞑目して祈りを捧げた。
静寂の中にさまざまな想いが巡る。
消えることのない罪悪感、終わりのない贖罪、不意に押し寄せる寂寥感。
そして――。
861: 伸ばした手の先に……3 2015/06/21(日) 02:07:03.81 ID:JJVICIuG0(3/6)調 AAS
(………………?)
祈りの姿勢のまま、小刻みに肩を震わせる杏子を見て、さやかはそっと近づいて横顔を覗き込んだ。
「…………ッッ!?」
頬が濡れていた。
痛みと悲しみの混じった涙が音も立てずに土に吸い込まれて消える。
だが少女を縛り付ける感情は幾度の落涙を重ねても、流れ落ちることはなかった。
「きょう、こ…………?」
気遣うようなさやかの呼びかけが、かろうじて押し留めていた感情の波を溢れさせたのか、
「うっ……あ、あ……ああああぁぁぁぁッッ!!」
杏子はその場に蹲(つくば)い、慟哭した。
「ごめん……父さん、ごめんなさい!! あたしが……あたしが…………!!」
「ちょっ!? 杏子、急にどうしたんだよ!?」
「こんなことなら、もっと父さんを話してればよかった!  もっとしてあげればよかった……!!
あたしのせいだ! あたしのせいでみんなは――!!」
それは心からの悲鳴だった。
自らを納得させるために自業自得と言い聞かせ、家族の死にさえ冷淡に取り乱すことのなかった少女は、
ひとたび偽りの仮面が外されれば、それまで封じ込めていた想いを吐き出す。
現実を受け入れるには杏子には重すぎたのだ。
これが全て夢であってほしいと。
目が覚めれば何もかも元通りであってほしいと。
彼女はこれまで何度も願ってきた。
だが浅い悪夢から目覚めると、彼女がまず自覚するのは孤独。
続いて己の犯した罪、取り返しのつかない結末。
それを毎日繰り返した少女の心は襤褸布(ぼろきれ)も同然で、いつこのようになってもおかしくはなかった。
「杏子ッッ!!」
そうしようと思いもしないうちに、さやかは彼女の小さな体を抱きしめていた。
「ごめんなさい! 赦して……! 父さん、ごめんなさいっっ!!」
杏子は囈言(うわごと)のように謝罪の言葉を叫んだ。
「あたしが……あ、ぅ……ああああぁぁぁぁ!!」
「杏子!! 大丈夫だよ! あたしがいる――あたしがいるから!!」
さやかは抱く腕に力を込めた。
これ以上、彼女に涙を流させてはいけない。
頬を伝うのは血だ。
杏子が耐えに耐えてきた痛みに対する血だ。
泣けば泣くほど、それは自傷となって少女を内と外から苦しめる。
自分自身が、自分自身を。
「お父さんは怒ってなんかない! あんたなら分かるでしょッ!?」
ウソでもよい、不確かでもよい。
説得力のまるで伴わない陳腐な慰めでもよかった。
自分を傷つけることをやめさせなければならなかった。
そうしなければ、この少女はいつまでもいつまでも自分を責め続ける。
「………………ッッ!!」
息もできないほど強く抱きしめると、忘我していた杏子の心が少しずつ戻ってきた。
「辛かっただろ? 苦しかったんだろ? でも、もう大丈夫だから。
誰もあんたを恨んだりしてないよ。杏子は杏子なんだから、さ……」
そう耳元で囁きながら、さやかは不思議な感覚を味わった。
他人の命を何とも思わない悪辣な侵略者だった頃は、正義を標榜する自分にとっては絶対の悪であり、
その正義を貫徹するためには殺すことも厭わない相手だった。
だが真実と過去が彼女の口から語られると、振り切れた敵愾心は憐憫へと変わっていた。
あれほど憎しと思っていた杏子を、何としてでも助けてあげたくなる。
その自身の心の移り変わりが、自分のことであるのにさやかには不思議だった。
「お父さんはきっと分かってくれてる。あんたのお父さんはそういう人でしょ?」
理解者になること。
彼女に比べてはるかに恵まれているさやかにできるのは、所詮はこの程度だった。
痛みを共有することはできないが、共有しようとすることはできる。
実際、言葉の持つ力が人を殺す武器にも、人を救う慈愛にもなることを少女たちは知っている。
不器用な優しさはたしかに杏子の心を打った。
呼吸が次第にゆっくりになっていくのを感じ、さやかは彼女の肩が上下するリズムに合わせて、
その小さな背中を何度も何度も撫でた。
862: 伸ばした手の先に……4 2015/06/21(日) 02:08:28.44 ID:JJVICIuG0(4/6)調 AAS






木の葉の舞う音が聞こえる。
小鳥の囀り、遠くの空を飛ぶ飛行機の音も。
「落ち着いた?」
訊かれた杏子は耳まで真っ赤にして俯いた。
少し前まで取り乱して、それこそ恥も何もかも捨てて泣き叫んでいた自分を思い出すと、
彼女は大声をあげてこの場から逃げ出したくなった。
「今日はお父さんに感謝する日でしょ? なのにあんたがそんな顔してどーすんのよ」
揶揄うような、気遣うような口調だった。
「ああ、ああ……そうだな…………」
「逢いたいよね――」
「え…………?」
杏子は訝るようにさやかを見た。
彼女は墓標越しにずっと向こうの中空を眺め、
「家族、に」
そう呟く。
「………………」
杏子は何も言えなかった。
邂逅を願う気持ちを口にしてしまえば、また感情の波に支配されてしまうかもしれない。
しかしだからといって否定すれば、それは虚しいウソと成り果てるばかりか、家族への愛を捨てることになる。
「いずれ逢えるよ。今は無理でも、いつかは――」
杏子は惑った。
彼女の知る美樹さやかは、こうした婉曲な言い回しとは無縁だ。
飾らず、ストレートに。
それは言葉だけでなく、口調や表情も同じだ。
喜怒哀楽がハッキリしており、そしておそらく彼女自身はそれらをコントロールするのが苦手なハズだ。
「あたしたち、魔法少女じゃん。いずれは戦って負けるかもしれないでしょ」
賢しい杏子はそれだけで理解する。
魔法少女にとって敗北は死だ。
たった一度の敗戦が、数えきれないほどの勝利を台無しにする。
「みんなの幸せを願ってたあんたのお父さんと、町の平和のために戦って死んだあんた……逝く先は同じだと思わない?」
夢を見ていいのか、希望を抱いていいのか。
杏子は考えた。
さやかの言う通りなら、今を生きていくことには大きすぎる意味がある。
死んだ者が生き返らないことは誰もが知っていることだから、再会を冀うなら自分が死ぬしかない。
これは彼女にとっては幸せのゴールだ。
「だから杏子は…………」
さやかは挑発するような視線を彼女に向けて言った。
「いつかあっちに逝ってお父さんと逢った時に、恥ずかしくないように魔法少女として一生懸命生きなさいよね」
「………………」
「中途半端な生き方じゃ、お父さんと同じ場所に逝けないかもよ?」
この彼女らしい軽口がどれほど重い意味を含んでいるかに、杏子はこの時は気付かなかった。
死が再会を果たす鍵であるなら、最たる近道は自ら命を絶つことだ。
だが、さやかは言う。
父の娘として恥じぬように懸命に生きろと。
つまり彼女に生きる希望と意味と目的を与えたのだ。
命の限り生き、戦い、楽しみ、苦しみ、泣いて笑って――。
精一杯に生を全うした後、導かれるのだと。
863: 伸ばした手の先に……5 2015/06/21(日) 02:10:52.86 ID:JJVICIuG0(5/6)調 AAS
「言ってくれるじゃねーか!」
振り返った杏子の目に、もはや涙はなかった。
「そこまで言われちゃ、逃げるわけにはいかないよな! 生きてやるよ、さやか。最期まで生き抜いてやる!
だからあんたも……その時までくたばるなよ?」
天秤は傾いた。
杏子には生きる目的ができた。
彼女の瞳のように燃え盛る魂が、尽き果てる一瞬まで。
敬愛する父親に堂々とした姿で見(まみ)えるため。
少女は死ぬために生きることを決めた。
「当然! あんたより先に倒れてたまるかよ!」
さやかは笑った。
これは宣戦布告だ。
ふたりの新たな戦いが始まったのだ。

「さやか……」

林道を引き返す最中、杏子は自分より少しだけ前を歩く背中に呟いた。

「ん、なに?」

彼女は歩みを止めることも、歩調を落とすことも、肩越しに振り返ることもせずに訊き返した。

「ああ、えっと……」

聞こえなければよかったのに、と杏子は思った。

「な、やっぱなんでもない!」

杏子は言いかけた言葉をとうとう口にすることはなかった。

   終
864
(3): JEDI_tkms1984 2015/06/21(日) 02:15:22.08 ID:JJVICIuG0(6/6)調 AAS
 父の日だそうです。
僕は母の日にも、父の日にも母親に感謝しています。
もしかしたら今日、大阪でお会いできるかもしれませんね。
それでは、また。
865: 2015/06/21(日) 12:06:58.62 ID:e10dgz0E0(1)調 AAS
>>864
乙!
自分も父親いないから母親に感謝してる
866: 2015/06/21(日) 12:36:13.18 ID:I2TZazHs0(1)調 AAS
>>864乙です
いいお話でしたね・・・
果たして悪ほむ改変後の続編が出たら杏子の家族は
生きている扱いになるのか死んでいる扱いになるのか・・・
867
(1): 2015/06/21(日) 23:03:27.97 ID:TqNPFV2u0(1)調 AAS
>>864
乙ー
生きる目的を見付けるところの話が素敵だね

画像リンク

868: 2015/06/22(月) 00:27:16.02 ID:OecZb2w/0(1)調 AAS
>>867
杏さや結婚おめでとう!!
869: 2015/06/22(月) 21:52:41.32 ID:wH60JilY0(1)調 AAS
杏子ちゃんは他の魔法少女に対しても情が厚くて面倒見が良いから、
さやかちゃんすごい嫉妬しそう
870: 2015/06/27(土) 01:07:22.89 ID:xmTfCtkH0(1)調 AAS
あこさんの杏さや本買ってきたけど、素晴らしすぎてキュンキュンする
871: 七月の夕べ――星になった少女1 2015/07/07(火) 00:10:04.79 ID:dZ7itNKF0(1/8)調 AAS
 人々の願いが交わる日。
天を仰ぎ、愛するふたりの邂逅を希う夕べ。
ささやかな祈りから壮大な願望まで、あらゆる想いが微風に揺れる。
天空に瞬く3つの星は4つになった。
他よりもひときわ大きく、赤く赤く燃え盛るように明滅を繰り返す星が。
しかし後から生まれた星は、元々あった3つの星から少し離れて輝いている。
こちらは遠慮がちに。
笑っているように。
泣いているように。
七月の空を光らせる。
「………………」
毎年の行事に商店街は沸いていたが、彼女にとってだけはその騒がしさは今や煩わしさでしかない。
ここには希望と苦痛がある。
願いはそれが叶ったときは幸せだが、いつまでも実現しない夢を待ち続けるのは苦痛でしかない。
まして決して叶わないと分かった瞬間が訪れれば、淡い期待すら儚く消え失せ、後には失望と絶望しか残さない。
それを美樹さやかは知った。
これまでの彼女はどちらかといえば恵まれていた。
生きるのには困らなかったし、幼馴染みの不治のケガも奇跡によって平癒した。
特別な力を得たことで魔を祓うことができ、その行為が標榜する正義を実現できているという充足感もあった。
それだけに喪ったものの大きさは計り知れなかった。
しかもそれは彼女自身の力ではもう、どうにもできないことだった。
「杏子――」
悲劇的な皮肉だった。
あらゆる者が自分にないものを欲しがるように、佐倉杏子にもまた欲しいものがあった。
世界中の富を集めても手に入らない、しかしとてつもなく高価なものでもない。
むしろ値段など付けようのない尊貴な存在だ。
家族。
このごく当たり前――多くの人にとっては――の存在こそ、杏子が内心では常に強く求めていたものだ。
一家心中から取り残された彼女が他人との関わりを避けて生きてきたのも、家族に囲まれた幸せな誰かを見ることで、
自身の痛みや惨めさを感じずにいられたからだ。
外界との繋がりをでき得る限り断ってしまえば、自分が孤独であることを自覚することすらなくなる。
それが臆病で豪胆な佐倉杏子がとった選択だった。
したがって美樹さやかと接触し、幾度とない衝突の末に和解してしまったことは彼女の矜持からすれば不本意だった。
本来ならば好ましい変化である。
啀み合っていた頃のさやかは決して心を許さず、ともすれば視界に入るだけで斬りかかってきそうなほどの敵愾心を見せていたが、
蟠りが解けた後はその隙間を埋めるように何かと世話を焼こうとする。
幼馴染みに対してする献身とはまた違う、新しい友に対して見せる優しさだ。
それは杏子には長く忘れていた人との触れ合いであったために温かくはあったが、同時に生きるためと理屈をつけて積み重ねてきた罪が、
ひたすらに正義を貫こうとするさやかの清廉さに照らされ、後ろめたさを芽生えさせることにもなった。
恵まれている人間は眩しすぎるのだ。
家族に囲まれ、衣食住に困らないから悪事を働く必要もない。
家族はなく、その所為で生きるために悪事を働いてきた自分とは雲泥万里があるのだと。
佐倉杏子はいつも葛藤していたのだった。
「やあ、さやか」
特定の者にしか認知できない、白い生き物がさやかの前に現れた。
「今年もここにいるんだね」
質感のない尾を揺らしてキュゥべえは言う。
さやかはそれを無視した。
無神経な言葉ばかりを吐く愛らしい姿に怒鳴りつけたい衝動に駆られたさやかだったが、人通りの多い商店街でそれをすればたんなる奇行だ。
「彼女のことは残念だったよ。優秀な魔法少女だったからね。大きな損失だ」
無視を決め込もうとしたさやかは、”損失”と切り捨てたことに危うく声を荒らげそうになった。
この生命体には感情がない。
生も死も、ただの循環の中の一区切りでしかない。
「何しに来たんだよ?」
他者のことに対しては堪え性があるとはいえない彼女は、精一杯に感情を押し殺して突き放すように問うた。
周囲はこの日のイベントを楽しむ町民の声が木霊しているが、さやかにもキュゥべえにも互いの声はしっかりと届いている。
「様子を見に来ただけだよ。杏子に続いてきみまでもが脱落するようなことになれば、この一帯を任せる魔法少女を斡旋しなければならないからね」
872: 七月の夕べ――星になった少女2 2015/07/07(火) 00:11:37.16 ID:dZ7itNKF0(2/8)調 AAS
『大きなお世話よ!!』
さやかは会話の方法をテレパシーに切り替えた。
この無表情なパートナーは見たくないときに限って現れる。
しかも黙っていればいいのに神経を逆撫ですることばかり口にする。
「これも僕の役目だからね。どうだい、さやか? きみはまだ戦えそうかい?」
『大きなお世話だって言ってるだろ!』
「それだけの気概があれば問題なさそうだね。じゃあ風見野もきみの管轄ということでいいかな?」
さやかは無言で肯定の意を返した。
キュゥべえとの会話は心をかき乱される。
動かぬ口が”分かっていること”を語るからだ。
「七夕……きみたちはこうした催事にかこつけて安くはない願いを叶えてもらおうとするね」
織姫も彦星もいないことを知っているキュゥべえは無意味に天を仰いだ。
「きみは気に病んでいるようだけれど、杏子はある意味では願いを叶えたんじゃないかな」
「………………!!」
「家族に逢いたい、それが彼女の望みだった。だが両者は物理的にも精神的にも、あまりにも遠くかけ離れた場所にいる。
願いを叶えるならどちらかが歩み寄るしかない――」
『言うなッッ!!』
「結果、そうしたのは杏子の方だった。彼女は”逢いに行った”と解釈すれば望ましい結末だと思わないかい?」
「黙れッッ!!」
思わずさやかは声を張り上げた。
行き交う人々が何事かと彼女を見やる。
だが多くは遠巻きに、奇異の目を向けるだけで介入しようとはしなかった。
「………………」
冷静になれ、と彼女は自分に言い聞かせる。
だがそうすればするほど、いつも隣にいた彼女がいないことを自覚してしまい居た堪れなくなってしまう。
「杏子……なんでよ……なんで、あんた――」
呟きは微風に紛れて空に溶ける。
喧噪の隙間に入り込んだ静寂が、さやかに思い出したくもない過去を呼び起こさせる。






 
 佐倉杏子が死んだ。
その報せを齎したキュゥべえに、さやかは性質の悪い冗談だと取り合わなかった。
だが魔女討伐のために合流するハズだった杏子が約束の時間になっても現れなかったため、
さやかは見滝原と風見野を捜し回る羽目になった。
そうして知った事実は彼女に絶望に近い現実を叩きつける。
「きょう、こ…………?」
キュゥべえは虚偽を述べてはいなかった。
風見野の、廃教会の近くで。
佐倉杏子は短すぎる生を終えた。
戦った痕跡はなかった。
いつもの、あの活発そうな服装のまま彼女は伏していた。
人の目を憚るように、自分は表に出ることを許された人間ではないと言うように、杏子は教会裏の菜園にいた。
枯れ細り、砂のようになった野イチゴを大事そうに握りしめた彼女を見つけた時、さやかはその場に葛折れた。
厭世的で斜に構え、諦念からまるで全てを悟ったような杏子が、それでも生に一条の光明を見出そうとしていたのを彼女は知っている。
つまらない行事だとあしらっていた七夕の短冊に、心からの願望を綴っていたことを彼女は知っている。
だから杏子はまだ全てを諦めてしまったわけではない。
残酷すぎる過去の痛みを癒し、少しでも彼女に安らぎを、とさやかは行動してきた。
ひとりの少女にできることなど高が知れている。
しかしさやかが心から杏子を想いやったことに、彼女は間違いなく救われていた。
救われたからこそ、彼女はより強く家族を求めるようになった。
873: 七月の夕べ――星になった少女3 2015/07/07(火) 00:14:01.10 ID:dZ7itNKF0(3/8)調 AAS
「ウソ……だろ…………?」
傍らには砕かれたソウルジェムがあった。
燃えるような赤を放っていた命の破片は、夜を思わせるほど黒く濁っていた。
さやかは知りたくもないことを知ってしまった。
見たままに――。
ソウルジェムを濁らせた杏子は自ら命を絶ったのだと、さやかは悟った。
誰にも告げずに、誰にも看取られずに。
死に臨み、生者に言葉のひとつも遺すことなく、少女は辛辣な現実から解放されたのだ。

『自ら命を絶とうとした杏子はとても辛そうな顔をしていたよ。
しかしどういうことだろう、ソウルジェムを砕く寸前はとても幸せそうな表情だった。
あの数分……いや、数秒の間に何を考えていたのか、もはや彼女にしか分からないね』

のちにキュゥべえは抑揚のない声でそう言った。
どれほどの痛みだっただろうか。
どれほどの苦しみだっただろうか。
死の間際、彼女は何を想ったのだろうか。
「杏子、あんたは――!!」
己の不甲斐なさにさやかは泣いた。
佐倉杏子は強いから、という油断があったのだ。
実際は気丈に振る舞っていただけで、内心では罪悪感と孤独感に苛まれ、今にも押し潰されそうになっていたというのに。
美樹さやかは自分の行いが少なからず彼女の進む道を照らしたことに安心してしまっていたのだ。
(あたしのせいだ! あたしが中途半端に杏子を気にかけたから……!!)
ようやく思い至るのは自身の浅慮。
もし現実が何も変わらず無機質で冷たいままであったなら、佐倉杏子はそれが世の中だと割り切って生きていただろう。
しかしさやかが小さすぎる、届かない、幻想の希望を抱かせてしまったばかりに、彼女が必死に作り上げてきた鎧を捨てさせ、
本来の――年齢相応の不安定で危うい少女に戻してしまったのだった。
そうなってしまってはもう、絶望には抗えない。
家族との邂逅を願う気持ちばかりを募らせ、しかも傍で気にかけてくれる少女には家も家族も友だちもいる。
美樹さやかの彼女への想いやりはとても尊かった。
見返りを求めない善心だった。
だが佐倉杏子にとってその優しさはとても残酷だった。
ようやく癒えた――と思い込んでいた――傷にさらなる痛みを齎すものだった。
そのことに、さやかは気付けなかったのだ。







商店街の特設会場には、今年も大きな笹が植えられている。
そこに託される願いは様々だ。
多くは子どもたちの拙い文字だが、中には既に無常を悟ったらしい世代の、極めて現実的な願いごともあった。
「すみません、2枚もらえますか?」
”いつものように”短冊を受け取る。
受付員は簡易のテーブル越しにいるのが少女ひとりだと分かると、少し怪訝な顔をして短冊を手渡した。
1人につき1枚という決まりはないが、商店会が開く規模の小さな催事では短冊にも限りがある。
申し訳なさそうに手にしたそれを見て、さやかは思わず息を呑んだ。
彼女の手許には導かれたように水色と桜色の短冊があった。
杏子は嫌うだろうが、彼女はこれに運命を感じざるを得なかった。
ふたりを繋ぐのは今や、この裁断された紙片だけだ。
さやかはじっと掌の短冊を見つめた。
「………………」
桜色のそれに願いを綴る少女はもういない。
いくら待ち続けても乱雑で繊細な文字が並ぶことはない。
”願いを叶えた”少女には、短冊は必要ないのだ。
874: 七月の夕べ――星になった少女4 2015/07/07(火) 00:16:19.97 ID:dZ7itNKF0(4/8)調 AAS
「杏子――」
キュゥべえはいつの間にかいなくなっていた。
(バカだよ、あんた……大バカだ…………)
さやかは懸命に落涙を堪えた。
(これからだったじゃんか。これから少しずつ幸せを見つけていこうって約束したのに……!!)
一年前のこの日、不吉な想いに駆られたさやかは一夜を彼女と共にした。
些細な変化も見逃さないように、独りきりの時間を作って悪い考えを起こさせないように。

”一緒に幸せを見つけていこう 今までの分を取り戻そう”

その際にさやかはこう言って杏子を慰撫した。
独りでいては思考も凝り固まるし、誰も手を差し伸べてくれなければ永遠に暗闇から這い上がることはできない。
(なんであたしに黙って……あんたひとりで逝っちゃうんだよ……!)
杏子を救えるとすれば、それはさやかだけだったハズなのだ。
だから彼女はそうしようとした。
できる限り時間を共有し、孤独を忘れさせてやれば、きっと一歩を踏み出してくれるだろうと。
完全な代わりにはならなくとも、空いた隙間を埋めるくらいはできるだろうと。
しかしそれは思わぬ反作用を齎してしまった。
不器用な優しさは、喪ったものの大きさを自覚させ、それを求めようとする心を強くした。
そして、その結末が――。
「杏子…………」
さやかは桜色の短冊を数回撫でたあと、何も書かずに笹に結び付けた。
風で飛んでしまわないようにしっかりと。
「最初に会ったときはこんな風になるなんて思ってなかったよね。あんたとあたし、正反対でさ。
顔を合わせればケンカばっかしてた。絶対に相容れないって思ってたよ」
正反対といっても、この点だけは互いに共通の認識だった。
「でもね……本気でぶつかった相手は多分、あんたが初めてだったよ。こいつなら全力でぶつかってもいい、ってどこかで思ってたんだろうね」
彼女にとって親しい間柄といえる者は何人かいる。
しかしだからこそ引くべき一線もあったし、遠慮もあった。
杏子はそうではなかった。
常に本気で本心をぶつけられる相手だったし、言葉を飾る必要も真意を覆い隠す必要もなかった。
親友はおろか、親にさえ打ち明けられないことでも杏子になら吐露できた。
少なくともさやかにとっての彼女は、自分の良い部分も悪い部分も全てを曝け出せる相手だったのだ。
(そう思ってたのは――あたしだけだったの…………?)
杏子はそうではなかった。
彼女は心根の全てまではさやかにすら明かさず、胸中深くに押し込めたまま、表面では強がりながら生き続けた。
佐倉杏子が何を想い、最期を迎えたのかは誰にも分からない。
虚勢を張り続けたせいで、もはや何が本心かも、本来の表情がどんなであったかも彼女は分からなくなっていた。
自身さえをも欺く彼女の真意を、他者が見抜けるハズがない。
結局、さやかは彼女を救うことはできなかったのだ。
(そっか……きっと家族に先立たれたとき、あんたもこんな気持ちだったんだね…………)
烏滸がましい考えであることはさやかにも分かっている。
家族を喪った悲しみと、友を救えなかった悲しみとを同列に語ることはできない。
その深さも業も、痛みも苦しさも全く違う。
無力さに打ち拉がれながら、しかしさやかは物憂げな表情で水色の短冊に願いを込めていく。
しっかりと、ていねいに。

『 杏子がいつまでも幸せでありますように 』

家族との邂逅を果たしたいま、彼女は幸せであるハズだ。
それが永遠であるように。
けっして壊れることのないように。
「ごめん、杏子。あたしがこんな顔してちゃ駄目だよな……」
涙を拭い、願いを託した短冊を笹に結び付ける。
875: 七月の夕べ――星になった少女5 2015/07/07(火) 00:18:39.91 ID:dZ7itNKF0(5/8)調 AAS
この祈りはきっと届くだろう。

織姫にでも彦星にでもない。

願いは杏子へのものだから。

それを聞き届け、叶えるのは――。

「いつまでも、いつまでも幸せでいなよ、杏子。大好きな家族と一緒に、さ…………」

七月の夕べ。

天を仰ぎ、さやかは星になった少女を見つめていた。

 一年にたった一度しか訪れない邂逅のときは終わった。
織姫と彦星は再び引き離され、次の夕べを待ち続ける。
地上では既に七夕は過去のものとなり、片付けられずに短冊を揺らす笹にほとんどの人は関心を示さない。
その大半は何を願ったかさえ覚えていないだろうし、奇跡的な巡り合わせで夢が叶ったとしても、それによって七月の夕べを想い起こす者はいないだろう。
結局、笹も短冊も、織姫も彦星も、幻想的な天の川でさえも、多くに満たされている人々にとっては敷石でしかない。
淡々と、延々と続き繰り返される営みの中の、あまりに小さすぎる出来事なのだ。
世間がそうであることを、さやかは知った。
一日が経ち、商店街に舞い戻ってきた彼女はぼんやりと笹を眺めていた。
その視野に時折りに入っては出ていく人の波。
もう誰も、昨日が何の日であったかを気にも留めない。
そのような人間には真に叶えたい願いなどない。
粗末な紙切れに書きなぐる程度の、つまらない”欲求”でしかない。
しかし現実はそうした瑣末な願いだけを聞き届け、願ったことさえ忘れてしまった有象無象に思わぬ幸運を齎す。
心から願う者には幸運の一撮(ひとつま)みさえ訪れず、むしろさらに過酷な状況へとその者を追いやる。
これが現実であり真実である。
形而上のあらゆる存在を信じ、縋った者への仕打ちは果てしない熟考の末に生を諦めたくなるほど残酷なのだ。
「あんたは織姫でも彦星でもないから、一年に一回きり、ってことはないよね」
薄紫色の空を眺めてさやかが言った。
星になった少女の輝きは、少なくとも地上でたかだか数十年生きる程度の人間にとっては永遠だ。
美樹さやかからすれば、佐倉杏子はもうけっして離れることなく家族と同じ時を過ごすのだ。
彼女にとって悲痛なのは、その様が想像でしかないこと。
死が悲しみの象徴でしかない思春期の少女には、杏子の決断も結果も、とうてい受け容れられるものではなかった。
生きていれば。
生きてこそ。
死はどのような事情であれ忌むべきものであり、生はどのような事情であれ尊重され礼賛されるものである。
多くの人々がアプリオリ的に得ている死生観によれば、このようになる。
もちろん、さやかも同様だ。
彼女はまだ、”死が安楽と思えるほどの”経験をしていない。
親しい者を喪ったことも、敬愛していた親に罵られた挙句に先立たれたこともない。
これが彼女たちを隔てる決定的な差であり、こればかりはどのような手段を用いても埋めることはできない。
ふたりはあまりに違いすぎたから。
幸と不幸の定義も、その感じ方も、そして求めるものさえも異なる。
彼女の考える幸せが、”彼女”にとっての幸せであるとは限らない。
「あんたの人生って何だったのよ……」
さやかは拳を握りしめた。
「置き去りにされる気持ち――あんたが一番分かってるハズだろ…………!!」
876: 七月の夕べ――星になった少女6 2015/07/07(火) 00:20:38.91 ID:dZ7itNKF0(6/8)調 AAS
佐倉杏子はもう帰っては来ない。
気まぐれな猫のようなあの少女は、目を離せばいつの間にか姿を消し、そうかと思えば突然ふらりと現れたりする。
こちらの都合を全く無視した行動だったが、さやかにはそれが程良い距離感だった。
どこで夜を明かしているのか、今朝は何を食べたのか。
そうしたことをいちいち心配させる杏子は、手のかかる妹のようだった。
その一方で戦いとなれば経験に裏打ちされた実力を遺憾なく発揮し、さやかが追い越したいと思う後ろ姿は頼りがいのある姉のようでもあった。
「………………」
しかし佐倉杏子はもうこの世界にはいない。
彼女の存在を覚えているのは、彼女と接したことのある、ごく数名だけだ。
その記憶を除いてはあの少女の生きた証は、どこにも残っていなかった。
「杏子…………」
どうせ届かないと思いながらも、彼女がその名を呼んだときだった。
どこからか吹きつけた、熱を帯びた風がさやかの背中を強く撫でた。
「……………?」
さやかは思わず振り向く。
先ほどの風に飛ばされたか、色褪せた薄桃色の短冊がすぐ傍に落ちていた。
神秘的な何かを感じたさやかはそっと手に取り、裏を見返した。
「これ……ッ!?」
この短冊はずいぶん長いこと、雨風に晒されたのだと彼女は悟った。
夏の日差しに当てられ、冬の寒さを耐え、春を越えていま、それはここにあったのだと。
表面はボロボロで、書いてある文字も滲んではいたが、さやかにはそれがハッキリと読み取れた。

” みんなが幸せな世界になりますように ”

杏子の文字であることは、さやかにはすぐに分かった。
忘れようハズもない。
さやかは彼女の一切について、ただのひとつさえ忘れたことはなかった。
一年前、杏子が最初に書いた――さやかに見せなかった――短冊が、時を経て舞い戻って来たのだ。
「杏子…………ッッ!!」
さやかは落涙を止められなかった。
思い出以外には自分と杏子を繋ぐものは何もないと思っていたのに、その事実を受け止める準備すらできないまま、
さやかの手に彼女からの最期のメッセージが届いた。
もう踏ん切りをつけなければならない時節にあって、受け取ったこのあまりに短い言葉がそれを躊躇わせる。
ぽたり、落ちた涙が褪色した短冊を濡らす。
「あんたは……自分のためにだけ力を使うとか言ってたくせに……最後の最期まで他人の幸せを願うのかよ…………!!」
ここに彼女がいたら。
いつもの勝気な笑顔で現れたら。
ウソつき、とさやかは罵ってやろうと思った。
877: 七月の夕べ――星になった少女7 2015/07/07(火) 00:22:41.73 ID:dZ7itNKF0(7/8)調 AAS
時にして数分。
しかしさやかには途轍もなく永い時間のあとで。
(違う、そうじゃない…………)
微風に揺れる短冊を見つめていたさやかは、気がついた。
ぽっと、温かみを帯びたそれが気付かせてくれる。
「杏子……あんたはここに……ここにもいるんだね…………」
呟き、さやかは目を閉じた。
すると瞼の裏に浮かぶのは、勝気で粗野で、しかしふとした拍子に聖女を思わせる淑やかさを見せる、彼女の姿。
あの無邪気な表情。
悪ぶって凄みを利かせようとするがどこか微笑ましい幼い声。
靡く赤い髪。
「そっか……そういうことなんだ――」
想いは現実になる。
五感の全てが研ぎ澄まされる。
手にした短冊から、懐かしい彼女の相変わらずの声――いつまでもシケた顔してんじゃねえよ――が聞こえ、
さやかは落涙を止めることができなかった。
声だけではない。
姿も、だ。

佐倉杏子はここにいる。

――目を閉じれば

――想いを馳せれば

――杏子とはいつでも逢えるのだ

永遠に…………

いつまでも…………

   終
878: JEDI_tkms1984 2015/07/07(火) 00:24:29.99 ID:dZ7itNKF0(8/8)調 AAS
 4年かけた七夕SSはこれでお終いです。
今年も商店街では笹と短冊が用意されていました。
僕は杏子やさやかのようにはなれないので、短冊には極めて個人的な願いを書きました。
それでは、また。
879: 2015/07/07(火) 21:41:44.52 ID:Alt5bZMb0(1)調 AAS

この世界の杏子ちゃんは…
ウウ、泣けてきた
880: 2015/07/09(木) 00:30:28.72 ID:YKofbvyl0(1)調 AAS
読んだ後目に涙が・・・って思ったら3年前からの続きもの?
過去ログ見てくる。でもこのSSも凄くよかった
七夕は毎年杏さやの良SSがでてきていいね
881: 2015/07/12(日) 23:43:38.52 ID:b3OB6E990(1)調 AAS
文章力の高い良SSだけど悲しすぎるよ…
こういう結末にはならないようにしっかり見守ってあげなくては
882: 2015/07/20(月) 20:10:23.56 ID:dClouEvx0(1)調 AAS
乙でした・・・
しかしこのSSを見ていると本編で円環に導かれる
予定だった(悪ほむによってなかった事に)杏子は本当に安らいで
導かれていたのか?と疑問が生まれた
「自分だけ救われるなんて・・・あたしは・・・」
と思っていたのかと思うと凄く悲痛な気持ちになる・・・
デビほむはこれを見越して杏子の家族の記憶を
忘れさせているのだとしたら
次回作でさやかはどうやってほむらと対峙するのだろうか・・・
883: 2015/07/20(月) 20:46:17.04 ID:BKbmMIeY0(1)調 AAS
むしろ話としてデビほむに報いを与えないとオチがつかないんで
ピカレスクロマンなら悪徳は栄えても良いかもしれないけどさ
884: 2015/07/26(日) 00:28:32.84 ID:99O1H5jr0(1/2)調 AAS
杏子×男のエロ同人ではQBが男になったものが3割近くもあるのは何故なのか
885: 2015/07/26(日) 00:28:59.99 ID:99O1H5jr0(2/2)調 AAS
間違えたスマン
886: 2015/07/26(日) 12:25:41.92 ID:aeZHG3tQ0(1)調 AAS
百合アンチは出て行って、どうぞ
887: 2015/07/27(月) 00:02:31.56 ID:cZQObSP/0(1/2)調 AAS
夏コミで杏さや初夜合同ってのがあるらしいな
888: 2015/07/27(月) 22:06:34.77 ID:zIaz+OAq0(1)調 AAS
もちろん手に入れるぜ
889
(1): 2015/07/27(月) 23:55:21.27 ID:cZQObSP/0(2/2)調 AAS
通販出てた!これは楽しみ
外部リンク[html]:www.toranoana.jp
890: 2015/07/28(火) 01:45:05.16 ID:/g15i5aO0(1)調 AAS
>>889
好きな人ばっかりだわ
のちたしんさん今も色んな合同誌に顔出してるねw
891: 【大凶】 2015/08/01(土) 14:29:51.64 ID:V2cNf8Wr0(1)調 AAS
真夏の杏さや!
892: 2015/08/07(金) 00:25:28.28 ID:7xoYag9Y0(1)調 AAS
杏さや不足
はよ夏コミこい
893: 2015/08/08(土) 09:14:26.10 ID:q1S9z5Fe0(1)調 AAS
しかし2日目まどか同人多いな
894: 2015/08/09(日) 02:58:16.72 ID:zjw9ZIaA0(1)調 AAS
ゆきしろさんの杏さや大好きだから色々と読めるのがうれしい
総集編とか出さないかなボソッ
895: 2015/08/09(日) 22:24:40.90 ID:vN+ZepQ70(1)調 AAS
あきまるさん好きなんだけど通販ないのが悲しい
896: sage 2015/08/16(日) 22:09:00.67 ID:C+FAxDaA0(1)調 AAS
そこはもう怖に期待するしかない。
ゲッチュさん最高でした。
897: 2015/08/16(日) 23:08:51.81 ID:JT46bMaD0(1)調 AAS
龍乃亮さんの新刊気になる
898: 2015/08/17(月) 00:49:51.47 ID:o2jD0vN50(1)調 AAS
きょうさや勢は戦利品のうp無し?
899: 2015/08/17(月) 12:28:44.35 ID:g5IvyOLG0(1)調 AAS
ベルブラの抱き枕も買ったから2日目の出費がえらいことに・・・
杏さや多くて満たされたわ
900: 2015/08/22(土) 22:11:15.08 ID:5gZQs/1P0(1)調 AAS
夏休みの終わりが近付いてきたよ
宿題が大変なことになっていなければ良いのだけど
901: 2015/08/22(土) 23:02:21.21 ID:2sY+wSEt0(1)調 AAS
まどかとほむらのノート借りて徹夜で写す杏さや
902: 2015/08/22(土) 23:10:26.42 ID:lktcAvWM0(1)調 AAS
さやかが一生懸命宿題してるのにちょっかい出してくる杏子
903: 2015/08/23(日) 02:39:11.17 ID:/NQnCnu90(1/4)調 AAS
制作中の新作映画が正規に発表されたら、このスレも活気づきますかねえ・・・

ところで、久々に本編見返して再確認しましたけど、
杏さやって「人魚姫」の王子様と人魚がモチーフではないんですよね

さやかが一人人魚姫状態で、王子様と人魚姫の成分を内包しています
さやかは、男前だけど繊細で、少年ぽさと共に誰よりも女性らしい
オクタヴィアのデザインも人魚+王子様になってますし
(そもそも、さやかにとっての王子様は恭介でしたしね)

杏子は聖女であり、騎士なんですよね
その悲劇性も合わさってジャンヌダルクを彷彿とさせる位置づけ
本来の人魚姫には出てこないタイプのキャラです

こう考えると、杏さやって、人魚姫+ジャンヌダルクという異質な組み合わせともいえます

本編で杏子がさやかを救いきれなかったのも、二人の異質性ゆえであり、
最終戦でも二人は近付きつつも、一つに溶け合えない様が描写されています
904
(1): 2015/08/23(日) 02:52:22.98 ID:tT7esYek0(1/3)調 AAS
新作が製作中ってソースをください
905: 2015/08/23(日) 03:00:54.90 ID:/NQnCnu90(2/4)調 AAS
ただし、叛逆の物語まで含めると、杏子の想いはさやかにちゃんと届いている訳です
二人は恋人つなぎをして、一方通行ではないカップルとして成立しています

それは直接的には、さやかが円環の理の一部として杏子の想いも知ったからであり、
二次的には、叛逆世界が夢の世界だったからともいえます

杏さやの物語は、王子への報われない愛に苦しみ、身を滅ぼしてしまう人魚に同情し、
命を懸けて救いの手を差し伸べる騎士の物語だと思う訳です

その異質性ゆえに、本編ではさやかは杏子の手を取ることが出来なかったけれど、
夢の世界では、さやかは杏子の想いに気付き、それを受け入れることができた
言ってみれば、人魚物語のアナザーストーリーな訳です

新作映画では、杏さやの物語がどう進展していくのか気になる所ですね
906: 2015/08/23(日) 03:10:12.38 ID:/NQnCnu90(3/4)調 AAS
>>904
AnimeExpo2014で、続編について虚淵氏が言及してます
虚淵氏一人が作りたいということではなく、シャフトと共に構想を進めてるとのこと
まだ具体的な企画が立ち上がってるか迄は分かりませんが

ちなみに、「新作映画」と書いたのは私の思い込みが含まれてますw
続編と言うだけですから、OVAとかもあるのかも
907
(1): 2015/08/23(日) 03:16:21.86 ID:tT7esYek0(2/3)調 AAS
じゃあ「製作中」も思い込みですか…
いや、私も作ってると思いたいけど
908: 2015/08/23(日) 03:22:15.02 ID:/NQnCnu90(4/4)調 AAS
>>907
シャフトで構想を進めてるということなので「制作中」ですね

最近、「まんがタイムきらら マギカ」で、魔獣編の連載も開始されてますし、
そのうち続報もあると思いますよ
909: 2015/08/23(日) 08:30:35.08 ID:PbYpt6BH0(1)調 AAS
今度はほむらが手酷く報いを受けるといいなぁ
その場合はさやかがキーパーソンになると思うけど
910: 2015/08/23(日) 12:33:26.46 ID:in5d3fLb0(1)調 AAS
ほむらが報いを受けたらまた杏さやは離れ離れ
911: 2015/08/23(日) 12:44:00.49 ID:tT7esYek0(3/3)調 AAS
公式絵のまどかの積極性を見ると、新作はまどほむに悪いようにはならないと思う
912
(1): 2015/08/23(日) 17:51:01.06 ID:3i67uVqw0(1)調 AAS
ほむらに関してはあれだけの悪事をして報いがないのはありえないだろ
監督もその辺は色々言ってるし
913: 2015/08/23(日) 17:57:36.26 ID:gwjq8KlC0(1)調 AAS
>>912
君久しぶりだね
まだほむほむに粘着してたんだ
914
(1): sage 2015/08/23(日) 20:44:41.69 ID:hMC3wTM50(1)調 AAS
だれかあやねさんの新刊は見てないのか。
超濃厚な杏さやだぞ。
ごちそうさま!
915: 2015/08/24(月) 21:39:38.13 ID:ZjyYvHyC0(1)調 AAS
>>914
今日メロンで買ってきたよ
楽しみ
916: 2015/08/27(木) 20:12:52.04 ID:J9ec0WPQ0(1/2)調 AAS
今更かもしれんが↓これ買ってみたらめちゃくちゃ良かった
外部リンク[html]:www.toranoana.jp
前作も買っとけばよかったなぁ
917: 2015/08/27(木) 20:32:07.36 ID:J9ec0WPQ0(2/2)調 AAS
杏子はキスが超絶巧いんだろね
918: 2015/08/27(木) 22:17:25.34 ID:XRGnD8ud0(1)調 AAS
わさわさ
919
(1): 2015/08/28(金) 21:53:32.74 ID:1gIuYtjP0(1)調 AAS
 ちまちま作っていたものがやっと終わりました。
ちょっとずつさや杏要素が入っています。
お暇つぶしにでもどうぞ。

sm27034316
920: 2015/09/07(月) 18:19:00.48 ID:D1n5Xf0V0(1)調 AAS
まどマギは集団的自衛権、安保法制の必要性を問うている
さやかアンチスレを見ればそのようなことが書いてある
さやかファンはさやかアンチスレに行って事実を確認し、
国防意識を高めて安保法制に賛成するとともに、
アンチの抑え込みに向けて動かねばならない
921: 2015/09/07(月) 18:21:00.28 ID:xn+X/lp10(1)調 AAS
そんなことより夏コミの新刊でどれが良かったか教えてくれよ
922: 2015/09/07(月) 21:56:22.40 ID:FHG3iS2i0(1)調 AAS
ハロウの初夜合同本とはちみつバター3グラムに委託されてたキッポウという人が描いた
lovelovesummernight
923: 2015/09/07(月) 22:02:20.34 ID:KZnIEp+z0(1)調 AAS
キッポウさんのは通販でてないよな
気にはなってるんだが
924: 2015/09/10(木) 22:39:13.37 ID:LSublzjw0(1)調 AAS
杏子の太デカ硬いアレに夢中なさやかさん
925
(1): 2015/09/15(火) 00:51:55.49 ID:67wqHd7d0(1)調 AAS
>>919
やっと見られたよ…
実に清々しい勝利だった
926: 2015/09/16(水) 21:07:31.96 ID:BGUu5AdN0(1)調 AAS
>>925

ありがとうございます。
僕に絵心があればもつと滾るイラストを挿れられたのですが……。
927
(2): 2015/09/23(水) 19:03:57.89 ID:gfDEZy800(1)調 AAS
焼き芋の季節やね
画像リンク

928: 2015/09/23(水) 20:54:31.59 ID:lq3oTWeV0(1)調 AAS
>>927
これ良いよな可愛い
デート中焼き芋買って杏子に食べさせようとしてたらマミさんかまどか声かけられた感じか
929
(2): 2015/09/24(木) 12:35:30.82 ID:Pt27nsRZ0(1/2)調 AAS
他の焼き芋でなくさやかの食べかけをチョーダイとか考えると大変よろしいよね
「さやかぁ〜ひとくち〜」
「あんたねー…他にもあるんだからそっち食べなさいよ」
「皮剥くのメンドイ」
「もう…しょうがないなー」
「さやかちゃ〜ん、きょうこちゃー…」
とか言ってる図ですよね?
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