[過去ログ]
【まどか☆マギカ】杏子×さやかスレ32【杏さや杏】 (1002レス)
上
下
前
次
1-
新
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索
歴削→次スレ
栞削→次スレ
過去ログメニュー
875
:
七月の夕べ――星になった少女5
2015/07/07(火) 00:18:39.91
ID:dZ7itNKF0(5/8)
調
AA×
[240|
320
|
480
|
600
|
100%
|
JPG
|
べ
|
レス栞
|
レス消
]
875: 七月の夕べ――星になった少女5 [sage] 2015/07/07(火) 00:18:39.91 ID:dZ7itNKF0 この祈りはきっと届くだろう。 織姫にでも彦星にでもない。 願いは杏子へのものだから。 それを聞き届け、叶えるのは――。 「いつまでも、いつまでも幸せでいなよ、杏子。大好きな家族と一緒に、さ…………」 七月の夕べ。 天を仰ぎ、さやかは星になった少女を見つめていた。 一年にたった一度しか訪れない邂逅のときは終わった。 織姫と彦星は再び引き離され、次の夕べを待ち続ける。 地上では既に七夕は過去のものとなり、片付けられずに短冊を揺らす笹にほとんどの人は関心を示さない。 その大半は何を願ったかさえ覚えていないだろうし、奇跡的な巡り合わせで夢が叶ったとしても、それによって七月の夕べを想い起こす者はいないだろう。 結局、笹も短冊も、織姫も彦星も、幻想的な天の川でさえも、多くに満たされている人々にとっては敷石でしかない。 淡々と、延々と続き繰り返される営みの中の、あまりに小さすぎる出来事なのだ。 世間がそうであることを、さやかは知った。 一日が経ち、商店街に舞い戻ってきた彼女はぼんやりと笹を眺めていた。 その視野に時折りに入っては出ていく人の波。 もう誰も、昨日が何の日であったかを気にも留めない。 そのような人間には真に叶えたい願いなどない。 粗末な紙切れに書きなぐる程度の、つまらない”欲求”でしかない。 しかし現実はそうした瑣末な願いだけを聞き届け、願ったことさえ忘れてしまった有象無象に思わぬ幸運を齎す。 心から願う者には幸運の一撮(ひとつま)みさえ訪れず、むしろさらに過酷な状況へとその者を追いやる。 これが現実であり真実である。 形而上のあらゆる存在を信じ、縋った者への仕打ちは果てしない熟考の末に生を諦めたくなるほど残酷なのだ。 「あんたは織姫でも彦星でもないから、一年に一回きり、ってことはないよね」 薄紫色の空を眺めてさやかが言った。 星になった少女の輝きは、少なくとも地上でたかだか数十年生きる程度の人間にとっては永遠だ。 美樹さやかからすれば、佐倉杏子はもうけっして離れることなく家族と同じ時を過ごすのだ。 彼女にとって悲痛なのは、その様が想像でしかないこと。 死が悲しみの象徴でしかない思春期の少女には、杏子の決断も結果も、とうてい受け容れられるものではなかった。 生きていれば。 生きてこそ。 死はどのような事情であれ忌むべきものであり、生はどのような事情であれ尊重され礼賛されるものである。 多くの人々がアプリオリ的に得ている死生観によれば、このようになる。 もちろん、さやかも同様だ。 彼女はまだ、”死が安楽と思えるほどの”経験をしていない。 親しい者を喪ったことも、敬愛していた親に罵られた挙句に先立たれたこともない。 これが彼女たちを隔てる決定的な差であり、こればかりはどのような手段を用いても埋めることはできない。 ふたりはあまりに違いすぎたから。 幸と不幸の定義も、その感じ方も、そして求めるものさえも異なる。 彼女の考える幸せが、”彼女”にとっての幸せであるとは限らない。 「あんたの人生って何だったのよ……」 さやかは拳を握りしめた。 「置き去りにされる気持ち――あんたが一番分かってるハズだろ…………!!」 http://hello.5ch.net/test/read.cgi/anichara2/1404219144/875
この祈りはきっと届くだろう 織姫にでも彦星にでもない 願いは杏子へのものだから それを聞き届け叶えるのは いつまでもいつまでも幸せでいなよ杏子大好きな家族と一緒にさ 七月の夕べ 天を仰ぎさやかは星になった少女を見つめていた 一年にたった一度しか訪れないのときは終わった 織姫と彦星は再び引き離され次の夕べを待ち続ける 地上では既に七夕は過去のものとなり片付けられずに短冊を揺らす笹にほとんどの人は関心を示さない その大半は何を願ったかさえ覚えていないだろうし奇跡的な巡り合わせで夢が叶ったとしてもそれによって七月の夕べを想い起こす者はいないだろう 結局笹も短冊も織姫も彦星も幻想的な天の川でさえも多くに満たされている人にとっては敷石でしかない 淡と延と続き繰り返される営みの中のあまりに小さすぎる出来事なのだ 世間がそうであることをさやかは知った 一日が経ち商店街に舞い戻ってきた彼女はぼんやりと笹を眺めていた その視野に時折りに入っては出ていく人の波 もう誰も昨日が何の日であったかを気にも留めない そのような人間には真に叶えたい願いなどない 粗末な紙切れに書きなぐる程度のつまらない欲求でしかない しかし現実はそうした末な願いだけを聞き届け願ったことさえ忘れてしまった有象無象に思わぬ幸運をす 心から願う者には幸運の一撮ひとつまみさえ訪れずむしろさらに過酷な状況へとその者を追いやる これが現実であり真実である 形而上のあらゆる存在を信じった者への仕打ちは果てしない熟考の末に生を諦めたくなるほど残酷なのだ あんたは織姫でも彦星でもないから一年に一回きりってことはないよね 薄紫色の空を眺めてさやかが言った 星になった少女の輝きは少なくとも地上でたかだか数十年生きる程度の人間にとっては永遠だ 美樹さやかからすれば佐倉杏子はもうけっして離れることなく家族と同じ時を過ごすのだ 彼女にとって悲痛なのはその様が想像でしかないこと 死が悲しみの象徴でしかない思春期の少女には杏子の決断も結果もとうてい受け容れられるものではなかった 生きていれば 生きてこそ 死はどのような事情であれ忌むべきものであり生はどのような事情であれ尊重され礼賛されるものである 多くの人がアプリオリ的に得ている死生観によればこのようになる もちろんさやかも同様だ 彼女はまだ死が安楽と思えるほどの経験をしていない 親しい者を喪ったことも敬愛していた親に罵られた挙句に先立たれたこともない これが彼女たちを隔てる決定的な差でありこればかりはどのような手段を用いても埋めることはできない ふたりはあまりに違いすぎたから 幸と不幸の定義もその感じ方もそして求めるものさえも異なる 彼女の考える幸せが彼女にとっての幸せであるとは限らない あんたの人生って何だったのよ さやかは拳を握りしめた 置き去りにされる気持ちあんたが一番分かってるハズだろ!!
上
下
前
次
1-
新
書
関
写
板
覧
索
設
栞
歴
あと 127 レスあります
スレ情報
赤レス抽出
画像レス抽出
歴の未読スレ
ぬこの手
ぬこTOP
0.127s