[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ1 (716レス)
上下前次1-新
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
443: 最凶で最低で最悪の災厄 ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:37:22 ID:EDH2XTXp(2/6)調 AAS
言峰綺礼、彼が気がついた場所は神社だった。
「クク。この神父が神社か。中々に皮肉が利いている。……さて、とりあえずギルガメッシュの奴を探す「おいあんた!シータを知らないか!」とする……」
言峰の独白は不意に一つの言葉に途切れる。
そこに居るのは一人の少年だった。
「……子供か。どうした?この私に何か用か。残念だが私は神父でね。仏なら宗教違い「そんなんじゃねえ。女の子を!シータを探しているんだ」
再び言峰の言葉を遮る。
男は酷く焦っている。それは言峰にも容易に見て取れた。
「……残念だが私はお前が始めてだ」
「……そうか。………じゃあな!」
「だが貴様が神に祈ると言うのなら、伝言を受け持つぐらいはしてやろう」
背を向けて走り出そうとする少年に、言峰は一言声をかけた。
444: 最凶で最低で最悪の災厄 ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:39:36 ID:EDH2XTXp(3/6)調 AAS
「えっ」
「これでも神職でな。神に祈る者の願いを無碍にするわけにもいかん」
言峰の言葉は、少年にとっては予想外の物だった。
「えっ。ありがとう。俺はパズーだけど……シータに会ったら『必ず助けてやる。だから心配するな』って言ってくれ」
「必ず助けてやる……そうか。分かった。もし私がシータに出会えば必ず伝えてやろう」
「サンキュ。じゃあ行くぜ」
「待てっ!」
シータを探しに走り出すパズーを再び止める。
それにはパズーも足を止める。そのパズーに言峰は話しかける。
「必ず助けるといったな。それはつまり、『シータ以外の全てを殺す』と言う事か」
「えっ?」
言峰の言葉に、パズーは一瞬凍りつく。
しかし、言峰は構わず続ける。
「そうだろ。私達は最後の一人になるまで殺し合う。そして、お前はシータを生かすという。それはつまり、私や、あの場にいたシンヤという男。
いやそれだけじゃない。あの場には年端も行かぬ少女も居たが、それを全て殺すということだ。
何の罪もない、ただこの最凶で最低で最悪の災厄に巻き込まれたただの被災者に過ぎぬ者に一切の情を省みず、
自らの手で、苦痛に歪み、命を請う少女の胸に、容赦なく刃をつきたてる。返り血を浴びたまま殺し続け、最後には自分自身すらをも殺す。
この場で誰かを『必ず助ける』と言うのはそういうことだ」
「ちっ、違うっ!俺はみんなを助けるんだ!絶対に、そしてあの殺し合いを仕掛けた奴を倒すんだ」
「……全てを救う。全く持って綺麗な言葉だ。……なら問おう。お前はその信念を捨てずに最期の時まで全てを救うを誓うか。一切の後悔無く、
自身の誇りを捨てず、プライドを捨てず、理想を捨てず、絶望に墜ちようが前を向くと誓うか」
「……当たり前だっ!シータを救う為に他の人は殺すなんてしない!俺は絶対にシータもだけど、みんなを助けるんだっ!それに絶望なんてしないッ!!」
「……言い切ったな………………ならこれを渡そう。……私には要らぬ物だ」
445: 2007/09/23(日) 21:40:19 ID:q4WVJYKU(1)調 AAS
446(1): 2007/09/23(日) 21:40:29 ID:bjq02J0L(1)調 AAS
447: 2007/09/23(日) 21:40:45 ID:uv95H+Gt(9/10)調 AAS
448: 最凶で最低で最悪の災厄 ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:43:04 ID:EDH2XTXp(4/6)調 AAS
言峰の言葉に負けず、強く反論をしたパズー。
そんなパズーに言峰はあっさり過ぎるほどあっさりと退き、一本の短剣を投げ渡した。
「餞別だ。貴様がそういっても、必ず悪というものは存在する。その悪を殺さぬにしても、跳ね除ける武器は必要だ」
「……ありがとう」
「礼など要らぬ。さっさと行け。シータと言う女が殺される前にな」
「って、あんたの話が長いからだろっ。じゃあなっ!」
その言葉を最後に、パズーは夜の闇に姿を消す。
「必ず救うか。その気持ちを忘れるな。感情を捨てるな……愛する人など、死してからでは気持ちなど永遠に分からぬのだから。
触れ合う事など永遠に出来ぬのだから」
自らもバックから一本の槍を取り出し構え、言峰も一人夜の闇へと姿を消す。
パズーが持つ剣は皮肉にも、魔女が持つ契約破りの短剣。
言峰が持つ槍は皮肉にも、正義を貫く少年の槍。
二人の持つ武器は、あまりにも本来の所持者とは別人過ぎた。
449: 2007/09/23(日) 21:44:08 ID:uv95H+Gt(10/10)調 AAS
450: 最凶で最低で最悪の災厄 ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:45:03 ID:EDH2XTXp(5/6)調 AAS
【H-4 市街地 一日目 深夜】
【パズー@天空の城ラピュタ】
[状態]:健康
[装備]:ルールブレイカー@Fate/stay night
[道具]:荷物一式 未確認支給品1〜3
[思考]
1:とにかくシータを一刻も早く探す
2:言峰の言葉が気になる。だけど人は殺さない
【H-4 森 一日目 深夜】
【言峰綺礼@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:荷物一式 支給品0〜1(本人確認済)
[思考]
1:殺し合いの動向を様子見しつつ、ギルガメッシュを探す。
2:シータに会えばパズーの伝言を伝える。
451: ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:46:28 ID:EDH2XTXp(6/6)調 AAS
投下終了です。
452: 2007/09/23(日) 23:26:22 ID:AdjfQjlo(1)調 AAS
どれもしらね。
なんなのこれ?
453: 2007/09/24(月) 01:06:40 ID:cszWwmT0(1/8)調 AAS
454(1): ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:06:42 ID:ouN6Cfds(1/12)調 AAS
殺し合いの為に用意された街、その南西部にある学校。
教師も生徒もいない校舎は暗闇と静寂に包まれていたが、つい数分前、一階の職員室に灯りが点いた。
それからずっと、その部屋の中だけが絶え間ない騒音に晒されている。
「糞っ、何なんだよこれは! ふざけやがって……!」
騒音の元は、バトルロワイアル開始と同時にここに転送された、間桐慎二だった。
彼は虚空に罵声を吐き続けながら、周囲にある様々な物に苛立ちをぶつけている。
腕を振って机の上に積まれたプリントを散らしたかと思うと、側にある棚を思い切り蹴り付けて凹みを作った。
ある程度整頓されていた職員室も、今では嵐が通ったかの様な有様だ。
癇癪を起こした子供の様に暴れる慎二の姿は、余りに醜く無様である。
これが、普段は色男の顔をして多くの女性に囲まれている彼の、本質の姿であった。
「なんで、なんで、僕がこんな目に!」
しかし行動はともかく、慎二がパニック起こすのも止むを得ない事ではあった。
ほんの短い間に起こった様々な出来事を受け止める程には、彼の精神は強くなかったのだ。
あの膨大な閃光は、今でも脳裏に焼き付いている。
高層ビルの屋上から天へ伸びた力の奔流は、慎二が従えていたサーヴァントを一瞬で滅ぼしたのだ。
その凄まじい光景は、慎二に恐慌を起こさせるに充分だった。 士郎に見つかり、必死で非常階段を駆け下りる。
有り得なかった。 悔しかった。 そして恐ろしかった。 少しでも足を止めれば、後ろからあの光に焼き尽くされると思った。
転がるようにして階段を降り切ると、今度は目の前に巨大な影が現れた。 その時点で意識が途絶え──
455: 2007/09/24(月) 01:06:53 ID:ikNCKp1U(1)調 AAS
456: 2007/09/24(月) 01:07:10 ID:2lFesc7n(1/5)調 AAS
457: 2007/09/24(月) 01:08:41 ID:cszWwmT0(2/8)調 AAS
458: friend ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:08:59 ID:ouN6Cfds(2/12)調 AAS
気が付けば、大勢の人間に囲まれていた。 ロージェノムが姿を現したのはすぐ後のことである。
聖杯戦争の最中であるというのに、全く別の殺し合いに放り込まれてしまった。
しかもその中には、今や慎二にとって最も恐ろしい存在となった衛宮士郎もいるのだ。
「畜生、どうしろって言うんだよ……!」
士郎と戦うということは、あの反則じみたサーヴァント、セイバーをも相手にするということだ。
人間がアレに勝つ方法など、何一つ思い浮かびはしない。
さらに士郎以外にも、それこそ宝具に匹敵する閃光を放った、あの鎧の男の様な存在がいるかも知れない。
これから始まる戦いは、もはや人間の力を超越したレベルで行われることだろう。
そんな中で、何の力も持たぬ"一般人"でしかない慎二が、どうやって生き延びろというのか。
他者と戦うことすら出来ず、一方的に踏み潰されるだけではないのか。
「なっ…… 違う、僕は……!」
もはや思考さえ纏まらなくなった。 何の力も持たぬという一瞬前の考えを、首を振って打ち消す。
間桐慎二は力を持っているのだ。 間桐ならば力を持っていて当然なのだ。 ところが当然あるべきその力が、慎二にはない。
力が必要なのだ。 間桐慎二が間桐慎二である為に。
「……そうだ、バッグを」
そこで初めて、自分の隣に置いてあったデイバッグを意識した。 中を改めれば、生き延びる為に有用な何かが見つかるかも知れない。
それは慎二が恐慌の果てにようやく取った、生存へ向けた前向きな行動だった。
サーヴァント相手でも通じる武器があれば……などと考えながら、ファスナーを開けて手を突っ込む。
地図、名簿、ペン、メモ帳、缶詰、水── 色々と出てくるが、どれもいま慎二が欲しいと思う物ではないので、個々の物品をいちいち確認はしない。
さらにバッグを漁ると、何か尖った物が手に当たった。
「痛っ! 何だ……!?」
もしかすると武器かも知れない。 今度は用心してその硬質な物体に触り、ゆっくりとバッグから取り出してみる。
しかし期待と異なり、それは慎二の力となる様な物ではなかった。
「なんだこりゃ。 水晶……?」
それはまさしく水晶だった。 加工された物であろう、やたらと棘棘しく、形状は綺麗に左右対称で、紅い光をその内に留めている。
観賞用だろうか? 何にせよ、大して役に立つ物とも思えなかった。
仮に魔力などが籠められたアイテムだったとしても、慎二は魔力を感じ取ることが出来ないので、判断は不可能だ。
459: 2007/09/24(月) 01:10:00 ID:cszWwmT0(3/8)調 AAS
460: 2007/09/24(月) 01:11:01 ID:88ckKL0g(1/5)調 AAS
461: friend ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:11:30 ID:ouN6Cfds(3/12)調 AAS
「ったく、もっと良い物入れとけよ……! 他には無いのかよ」
無用の長物として放り捨てられた水晶は、乾いた音をたてて床の上を滑ってゆく。 それを見もせず、慎二はさらにバッグの奥を探った。
その腕がまた何かに触れる。 今度は先程の水晶よりも遥かに大きな物体だ。
今度こそは当たりかと、期待を滲ませながらその何かを引き摺り出してみるが……
突然、"それ"が重くなった。
「うわっ!?」
"それ"はゴトンと音をたてて床に落ちた。
咄嗟に手を離せたのは奇跡的な事で、一瞬でも遅れていれば指を潰されていただろう。
慎二は鼓動を早めながら、バッグからはみ出した"それ"をまじまじと見詰めた。
まだ部分的にしか露出していないが、"それ"は明らかにバッグの容量を越える大きさを持っていた。
見える部分だけなら、太い直方体の様な感じだ。
表面は完全に白い布で覆われ、さらにその上から黒いベルトを巻き付けてある。
「何だこりゃ……?」
至極当然の疑問だった。 どうやってバッグに入っていたのかも気になるが、やはりそれよりもこの物体の正体が知りたい。
答えを得るべく、慎二はさらに"それ"を引き摺り出そうとするが、持ち上げようとしても結構な重さがある。
面倒なので、バッグの方を持って剥がすようにしていった。
程無く、"それ"は全容を現した。
"それ"は余りに特徴的かつ印象的な形状をしていて、慎二の目は強く引き付けられた。
この時、バッグの中から一枚の紙が床に落ちたが、それには気付かなかった。
「十字架……?」
慎二が呆然と呟いた、その通りだった。
それは白い布と黒いベルトで包み込まれた巨大な十字架だった。 全長は慎二の背丈を裕に越え、重量もそれ相応になる筈だ。
慎二はその威容を暫く眺めていたが、やがて、忌々しげに顔を歪める。
脳裏に浮かんだのは、自らが磔になる為の巨大な十字架を背負って歩く聖者の姿だった。
「なんだよ、懺悔でもしろってのかよ。 ふざけやがって……!」
懺悔する事など何もない。 神の救いを乞うている訳ではない。 慎二は横たわる十字架を思い切り蹴り付けたが、爪先が痛くなるだけだった。
他に役立つ物はないかとさらにバッグを覗き込むが、もう何も入っていなかった。 慎二の支給品は、紅い水晶と、巨大な十字架だけだった。
462: 2007/09/24(月) 01:12:32 ID:88ckKL0g(2/5)調 AAS
463: friend ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:12:59 ID:ouN6Cfds(4/12)調 AAS
「糞ッ! どうしろってんだ、武器も無しに生き残れってのか……!」
空のバッグを床に叩き付けて、慎二はまた喚いた。
何もかもが上手くいかない。 自分がこんな目に遭う理由が解からない。 理不尽だ。
激情のままに荒い息を吐いていた慎二だったが、やがてそれも治まる頃には、気の抜けた様な顔になっていた。
もう独りで怒る事にも疲れていた。
散らかされた床に座り込み、そのまま仰向けに寝転がる。 ぼんやりと天井の照明を眺めた。
もう考えるのも億劫だったが、それでも死ぬのは嫌だった。
聖杯戦争に勝って叶えるつもりだった幼い頃からの悲願、それを果たすまでは絶対に死にたくない。
では生き延びる為にはどうすればいいのか、それが判らない。
人外の域に達した者達の足元を潜り抜け、しぶとく生き抜いていくには何が必要なのか。
武器が欲しかった。 しかし無い。 あるのは紅い水晶と巨大な十字架だけ。
防具が欲しかった。 しかし無い。 食料の缶詰が盾になって致命傷を防ぐなど、映画でも有り得ない展開だ。
戦力が欲しかった。 しかし無い。 自分に武器はいらないから、せめてライダーの様に思い通りに動かせる誰かがいれば……
「────!!」
がばと跳ね起きる。
それは、まさに天啓の如き思い付きだった。
(そうだ…… 人を使えばいいんじゃないか!)
今の間桐慎二には戦う力は無い、それは悔しいが認めよう。 しかしそれは戦う術が無いという事とイコールではない。
では、誰を使うのか。 この殺し合いに参加する数十人の中で、慎二が最も操り易い人物とは。
それは、衛宮士郎に他ならない。
(あいつだ、あの馬鹿なら盾にできる!)
ライダーを倒された直後であるから殊更に恐れていたが、考えてみれば、この戦いは聖杯戦争とは全く別のものなのだ。
ならば、敢えて士郎と敵対関係を続ける意味など無い。
そして、士郎が馬鹿でドが付く程お人好しな性格であることは、今更言うまでも無いことだ。
大方、この殺し合いを止めようと今も無駄な努力をしているのだろう。
そこに取り入れば良い。 こちらに敵意が無いことを示せば、まさかあの士郎が問答無用で襲い掛かりはしないだろう。
セイバーの方が気がかりだが、幾らなんでもサーヴァントを失い完全無防備な相手を殺そうとする事は…… 多分、無い。
464: 2007/09/24(月) 01:14:27 ID:2lFesc7n(2/5)調 AAS
465: friend ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:14:39 ID:ouN6Cfds(5/12)調 AAS
そうして協力の姿勢を見せ、士郎の信頼を得て行動を共にする。 そうすればセイバーに守られているのと同じ事だ。
あの宝具があれば大抵の敵は返り討ちに出来よう。
やがて用が済めば、愚かにも油断している士郎を後ろから殺してしまえばいい。 マスターを失ったセイバーは、時間がたてば消滅する筈だ。
(ハハ、そうだ、それだよ衛宮! 僕がわざわざ苦労する必要は無い、むしろライダーを消しやがったお前には僕を守る義務があるんだ!)
『やあ衛宮、久しぶりだね。 突然だがお前とは一時休戦することにしたよ。 力を合わせてこの難局を乗り越えよう!』
『おお、さすが慎二だ! そういう風に言ってくれると信じてたぞ! 持つべきものは友達だな! 抱いて!』
『お待ち下さいシロウ! その者はライダーのマスターであって聖杯戦争における敵同士! 馴れ合うべきではありません!』
『そう言うなよセイバー! 慎二は信頼できる漢だぞ!』
『そうさセイバー、僕の目を見るんだ。 この目のどこに疚しい心が見える?』
『おお、なんという澄み切った瞳だ! 貴方のような方が嘘偽りを申す筈が無い! いや、むしろ貴方が私のマスターだ! 抱いて!』
脳内シミュレートは完璧だった。
「よし待ってろよ衛宮、すぐ行くからな──!」
長い煩悶の果てに、ようやく見つけた希望である。 目標が定まれば行動は迅速にすべきだ。
先程散らかした支給品をさっさとデイバッグに積める。
水晶をどうするかと迷ったが、持ち帰って女にプレゼントする程度の価値はあると思い、やはりバッグに入れた。
そして照明も消さぬまま職員室を飛び出し、校舎の入り口まで一直線に走る。
自転車でも置いてないかと考えながら、靴箱の列を抜けて──
目の前に、闇が広がった。
「…………」
別に、完全なる闇という訳ではない。
無人の街でありながら街頭などはそこら中で灯っているし、学校を出て移動する上では何の問題も無いだろう。
それでも慎二は、多くの殺人者がうろついている闇夜の中に、一人で歩み出す勇気を持たなかった。
「……やっぱり、あいつの方から僕を探すのが筋ってもんだよな」
わざわざ声を出して自分を納得させると、くるりと踵を返して職員室に戻った。
466: 2007/09/24(月) 01:14:43 ID:cszWwmT0(4/8)調 AAS
467: friend ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:15:49 ID:ouN6Cfds(6/12)調 AAS
【H-2 学校内 一日目 深夜】
【間桐慎二@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ/支給品一式(食料:缶詰)/テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[思考]
1:とりあえず学校に居座る
2:衛宮、早く来ないかな
3:死にたくない、絶対生き延びる
[備考]:
※参戦時期はアニメ12話直後、バーサーカーと遭遇した瞬間。
※名簿も地図も確認していません。
※士郎と一緒にセイバーがいると思っています。
※クリスタルをただの観賞用の水晶だと思っています。
※十字架が武器であることに気付いていません。
[パニッシャー@トライガン]
十字架の形をした「最強にして最高の個人兵装」。 ウルフウッドが使用していた。
縦棒の長い方が12ミリの重機関銃、反対側の短い方がロケットランチャーとなっている。
中央部にはドクロを思わせる形のグリップがあり、機銃とランチャーを切り替えて操作する。
普段は白い布に包まれ、さらにその上から取っ手を兼ねた黒いベルトを幾重にも巻き付けている。
※パニッシャーは職員室に放置。
※職員室の散らかされた床にパニッシャーの説明書が落ちています。
468: 2007/09/24(月) 01:15:55 ID:cszWwmT0(5/8)調 AAS
469: ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:17:08 ID:ouN6Cfds(7/12)調 AAS
以上です。
>>454で忘れてしまいましたが、タイトルは「friend」です。
470: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ) ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:10:51 ID:3QEtIdGJ(1/6)調 AAS
「ほぇ?」
藤乃静留は踏みしめる大地がないことに戸惑って思わず疑問の声をあげて落っこちた。
「うわぁあぁご、ごめんなさい!」
ジャグジー・スプロットはいきなり目の前であがった水柱にいつものよう泣いて怯えて謝った。
■
落ちた高さがそれほどではなかったためだろう。会場に飛ばされた直後に水面に叩きつけられるという手荒い歓迎を受けるはめになった静留は、不幸中の幸いというか全身ずぶ濡れになっただけで済んだ。
「いやほんまにありがとうございます。」
「い、いえその、ええと・・・・・・たいしたことはしてませんし。」
ジャグジーの言ったことは謙遜でもなんでもなく事実である。静留は自力で泳いで岸に渡ってきたし、ジャグジーがしたことはせいぜい海から上がる時に手を貸したぐらいだ。
それから軽い自己紹介をして今に至る。
「ところで、スプロットはんはこのゲームに乗るつもりで?」
「ぼ、僕ですか?」
ジャグジーは静留の質問で自分が殺し合いに強制的に参加させられていることを思い出した。
現実感がなかったし、バトルロワイヤル開始直後に水難事故未満に遭遇したこともあってすっかり忘れていたのだ。
ひょっとしたら、忘れようとしていたのかもしれないとジャグジーは思った。そこで思考が別の方向へ行きそうだったので、頭を振って改めて考えてみる。
自分は螺旋王だとか名乗った主催者の言われた通りに殺し合いをするか。
当然、答えはNOだ。ジャグジーはフライング・プッシーフット号に戻って『線路の影をなぞる者』と黒服の連中を撃退しなければならない。
あそこには大切な仲間たちが、友人と呼べるほど親しくなった人たちがいる。ジャグジーはその人たちを守るため戦うと誓ったのだ。
471: 2007/09/24(月) 02:11:38 ID:SFWWrHSB(1)調 AAS
472: 2007/09/24(月) 02:12:25 ID:2lFesc7n(3/5)調 AAS
473: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ) ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:12:34 ID:3QEtIdGJ(2/6)調 AAS
「僕は血を見るのが嫌いだし、骨が折れる音を聞くのも本当に怖いから、その、だから、殺し合いなんてしたくないです。あの、ごめんなさいすいません。」
そこでなぜか泣いて謝るのがジャグジーがジャグジーたる所なのだろう。
静留は頭を下げるジャグジーをじっと観察する。
なんというかあまりにも情けない。顔に刺青をしていることからギャングか何かかと思ったが、そういった裏社会で生きていける人間にはどうしても思えなかった。
だから、少し意地悪な質問をすることにした。
「もし、ゲームに乗った人が襲い掛かってきたらどうなさいはるん?」
「えと、その、説得します。」
「説得に応じなかったらどうしますえ?」
「そ、その、に逃げます。」
「逃げても追いかけて来たらどうしますえ?」
ジャグジーは考えた。説得しても逃げても追いかけてくる追跡者を。
その場合はきっと追跡者は凶暴か凶悪なやつだ。そいつはきっと僕や、僕以外の人たちも殺そうとするだろう。
ジャグジーは一回深呼吸をして、なけなしの勇気を振り絞る。次の自分の言葉が怖くて目からまた涙があふれてきた。
「どうしても駄目だっていうなら、殺します。藤乃さんや、他の戦えない人とか、そんな人たちのために。」
ジャグジーは人殺しをしたことがある。間接的ではあったが、自分は殺人者なのだ。
だから人殺しは自分がする。できるだけしたくないが、犯罪者でもなんでもない一般人を、特に静留のような普通の人を殺人者にはしたくなかった。
ジャグジーはそんな自分の偽善者っぷりに嫌悪しながら言葉を重ねる。
「こんなことを仕組んだ螺旋王って人にも、抗います。殺し合いなんて間違ってると思うから。」
ジャグジーは嫌われたと思った。自分は最悪の場合、人殺しをすると告白したのだ。
静留がいったい今どんな顔をしているのかが怖くて、ジャグジーは顔を上げることができなかった。
そして、そんなジャグジーの目の前に急に刃物が『出現』した。
ビビッて驚いて顔を上げると、その刃物を持っていたのは静留だった。
474: 2007/09/24(月) 02:14:11 ID:Dbwysa0G(1/6)調 AAS
475: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ) ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:14:24 ID:3QEtIdGJ(3/6)調 AAS
「ふ、ふふふふふっ、藤乃さん!?」
「う〜ん、なんでか清姫は呼び出せへんなぁ」
何時の間にか静留の手には薙刀に似た武器―――エレメントが握られていた。
静留は調子を確かめるように数回エレメントを振ると、『出現』させたのと同様にエレメントを『消失』させた。
「え、ええええええええ!?ななななななななななな、なんですかソレェェェェェェ!」
「ただの手品どすぇ♪」
「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
つい先ほどまでの決意は何だったのか。ジャグジーは腰を抜かしてまた泣いていた。
静留はオホホホホと口を手で隠しながら笑っている。予想した通りのリアクションにご満悦のようだ。
「まぁ詳しい話は道すがらでどうどすか?正直この格好のまんまだと風邪を引いてしまいそうなんどす。」
「え、ええその、そ、そうですね。」
返事をしてから、ジャグジーは静留が水浸しのままだったということを思い出した。
静留が近づいてジャグジーに手を差し出す。ジャグジーは戸惑ったものの手を取って立ち上がった。
綺麗な手だと、ジャグジーは思った。
「そんなに見つめられると照れますなぁ。」
「あ!いえそのごめんなさいすいません!」
空いているほうの手を頬に当て、静留はいかにも私は照れてますといったポーズを取る。
一方のジャグジーは顔を真っ赤にしながら顔を横に振っている。泣きながらすごい勢いで顔を右へ左へと振る姿は実に健全で微笑ましい。
476: 2007/09/24(月) 02:14:57 ID:88ckKL0g(3/5)調 AAS
477: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ) ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:15:46 ID:3QEtIdGJ(4/6)調 AAS
「さて、そろそろ出発しますえ。ホンマに風邪引いてしまいそうやわ。」
「出発って、どこに。」
「そこ。」
ジャグジーの疑問に対し、気軽に静留が指さした先はジャグジーにとって予想した通りのものだった。
気がついてはいたが、あえて無視していたものである。
「あの、すごい怪しいですよ」
「でも他にめぼしい所は見当たりまへんし、行くだけ行ってみましょっか。スプロットはん。」
それだけ言って静留は歩き始めた。
ジャグジーも遅れないように慌てて歩を進める。
「絶対怪しいだよなぁ、あれ。」
再度呟いたジャグジーの目には見事にライトアップされた豪華客船が写っていた。
平時ならば歓声を上げて喜んだだろうが、今の状況を考えると怪しくて近づきたくないのがジャグジーの本音である。
しかし静留の着替えのことを考えると、確かに豪華客船以外めぼしい所は見当たらない。
と、そこでジャグジーはある事に気づき静留に声をかけた。
「あの、藤乃さん。」
「はい、なんどすか?」
「僕のことはジャグジーで結構です。その、呼び捨てでいいですよ。」
ジャグジーの友人たちはジャグジーのことを呼び捨てにするし、ジャグジー自身そちらの方が気が楽だった。
静留に限らず、スプロットさんとか呼ばれるのはなんとなく小恥ずかしいのだ。
「分かりましたえ。でも呼び捨てやと恥ずかしいんで、ジャグジーはんで堪忍なぁ。」
「あ、はい。分かりました。」
ジャグジーは少し嬉しそうにうなずくと、静留の後について豪華客船へ向かった。
その刺青の入った顔にはまだ涙の痕が残っていたが、悲痛な決意を告白した時の危うさは消え去っていた。
478: 2007/09/24(月) 02:16:17 ID:2lFesc7n(4/5)調 AAS
479: 2007/09/24(月) 02:16:25 ID:88ckKL0g(4/5)調 AAS
480: 2007/09/24(月) 02:18:33 ID:2lFesc7n(5/5)調 AAS
481: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ) ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:18:51 ID:3QEtIdGJ(5/6)調 AAS
【E-3/豪華客船付近/1日目/深夜】
【ジャグジー・スプロット@BACCANO バッカーノ!】
[状態]:健康。
[装備]:支給品一式(ランダム支給品は後続の書き手さんにお任せ)
[道具]:なし
[思考]:
基本思考:主催者に抗う。
1:静留と一緒に行動する。
2:できるだけ殺したくない。
3:2が無理の場合、自分が戦う。
[備考]:
※ 参戦時期はフライング・プッシーフット号事件の最中、ラッド・ルッソと出会った直後あたりで
※ 参加者名簿、地図、支給品にはまだ目を通していません
482: 2007/09/24(月) 02:19:56 ID:88ckKL0g(5/5)調 AAS
483: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ) ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:20:08 ID:3QEtIdGJ(6/6)調 AAS
蝕の祭とはルールが違う。
主催者を倒し、首輪を外せばこのゲームから脱出することは可能なのだ。
だから、今はまだこのゲームには乗らない。
一刻も早くなつきと合流して、なつきを守る。なつきの姿は、螺旋王とやらが広間でルールを説明した時に見つけた。
余談だが、静留にはなつきが包帯でグルグル巻きのミイラ姿になっても見つけることができる。
そしてなつきを守れなかったら、その時こそこのゲームに乗る。
螺旋王は億万長者にでも不老不死にでもすると言った。ならば死者の蘇生も可能かもしれない。
しかし死者の蘇生については確信がない。可能かもしれないだけで、事実可能かどうかなど確かめようがないのだ。
だから、今はなつきを探す。
それが藤乃静留が修羅にならなかった理由である。
「くしゅん。」
「だ、大丈夫ですか!」
「おおきに、少し急ぎますえ。」
何はともあれ着替えは必要であった。
484: 2007/09/24(月) 02:23:30 ID:Dbwysa0G(2/6)調 AAS
485: 2007/09/24(月) 02:25:30 ID:UPngwTi4(1)調 AAS
486: 2007/09/24(月) 02:26:37 ID:To2MIRFY(1/16)調 AAS
487: 2007/09/24(月) 02:27:29 ID:cszWwmT0(6/8)調 AAS
488: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ) (◇1sC7CjNPu2氏転載) 2007/09/24(月) 02:32:32 ID:FUG03W2f(1)調 AAS
【E-3/豪華客船付近/1日目/深夜】
【藤乃静留@舞-HiME】
[状態]:健康。(ただしずぶ濡れ)
[装備]:支給品一式(ランダム支給品は後続の書き手さんにお任せ)
[道具]:なし
[思考]:
基本思考:なつきを守る。
1:なつきを探す
2:なつきを傷つけるのは許しまへんえ
3:着替える
[備考]:
※参戦時期は奈緒に合わせて蝕の祭の結果がナシになった所ぐらいを意識しましたが、他のタイミングにも対応できるようにした(つもり)なので後続の書き手さんにお任せします。
※参加者名簿、地図、支給品にはまだ目を通していません
489: 2007/09/24(月) 03:57:38 ID:p/n/rM74(1)調 AAS
490: 2007/09/24(月) 03:59:32 ID:BjQS0Nii(1/4)調 AAS
491: 光を求めて影は ◆ZJTBOvEGT. 2007/09/24(月) 04:00:47 ID:qf6HhZnA(1/6)調 AAS
「どうしろってのよ」
前方に広がる昏い川を見下ろしながら、鴇羽舞衣は嘆息した。
どんな望みも叶えてやる…あの男はそう言っていたが、だからなんだというのか。
そんなものは、すでに失ったというのに。
腕の中から巧海が消えてなくなった瞬間に、たったひとつ抱き続けた願いは消え失せたのだ。
母に託された分まで、弟に幸せを。
欲しいものはそれだけだった。
だからもう、なにもないのだ。
自分には、なにもない…
(お姉ちゃんの、本当に欲しいものは、なに?)
「なんにもない、なんにも、ないよ」
望むもの、欲しいもののために殺し合え。
今更、そんなことを言われたって。
戦う理由も、生き抜く理由も、今の舞衣にはなかった。
歩き出す。どこに行く気か、自分でもわかりはしない。
なにをしていいのか全然わからないし、考えることも億劫だった。
とにかく今は歩きたい。雨の中、ついさっきまでそうやっていたように。
その途中いきなり意識が途切れたと思ったら、こんな所に飛ばされて、
濡れた制服もそのままに舞衣は今ここに立っている。
そういえば、殺し合いの説明を受けたときにも、たくさんの人がいたっけか。
あの人達は一体どうするのだろうか…殺し合いに、乗る? 乗らない?
乗っている人間が近くにいたら、自分はきっと殺される。
わかっていても、それをどうこうする意志がこれっぽちも湧いてこない現実。
もしかしたら、死んでしまうのもそれはそれでいいかも知れないとすら思ってしまっているのだ。
巧海は死んだ。命も、殺した。
自分だけ生きているのは、おかしい。
この思考に脈絡はない。ただ、そう思ってしまうだけだ。
鴇羽舞衣は致命的な空っぽに侵されつつあった。
だから、出会い頭にナイフを突きつけられたとて、大して驚きもしなかった。
「う、うわぁぁぁっ」
路地裏の曲がり角で出くわした少年はひきつった悲鳴を上げ、
持っていたナイフを突き出してきたのだ。
上半身裸の上に薄汚いジャンパーを羽織った少年。
「う、う、動くなよ、本気だぞ」
年下か。背は舞衣よりわずかに低い。
がちがちと奥歯を鳴らしながら目玉をひんむき、上目づかいで見上げていた。
まったく、ひどい顔である。
従わない理由も思いつかないので、舞衣は素直に動きを止め、
少年の次の言葉を待つことにする。
「き、きみは、殺し合いに、乗っているのか?」
「…乗ってないわよ」
正直な答えである。
もう、乗る意味がないのだから。
というか、どうでもいい。
492: 光を求めて影は ◆ZJTBOvEGT. 2007/09/24(月) 04:02:32 ID:qf6HhZnA(2/6)調 AAS
「そ、それじゃあ、見せてよ」
「なにをよ」
「乗ってない証拠だよっ。
カバン遠くに捨てろよ、武器入ってんだろぉ」
言われてみれば、そんなものもあったか。
いつの間にか持たされていたデイバッグの存在を思い出し、
やたらめったら怒鳴り声を上げる少年の指示に従い、脇に放り捨てる。
「これでいい?」
「ああ」
少年はうなずいた、が、ナイフを下ろさない。
突きつけた姿勢のまま、一分ほど経過してしまう。
「用がないなら、あたしは」
「ま、待て」
威嚇するように、ナイフで刺すような仕草を見せる少年。
だがその腕もがたがたと震え、いまにも舞衣を制するそれを取り落としてしまいそうな有様。
見ているうちに頬から、鼻から汗が垂れ、呼吸の乱れも始まった。
「まだ武器を隠してたら…隠し…隠してるだろ。
出せよ、武器…出してくれよ」
冷めた頭で舞衣は思う。
ああ、こいつは同じだ。
Hime同士の戦いに追い込まれ始めた頃のあたし達と同じだと。
誰かが誰かを狙ってると思ったら安心できなくなる。
そう、こいつの場合、たとえるなら…菊川雪乃と同じ。
考えてみれば当然も当然。
今ここがまさに、最後の一人になるまで戦わされる殺し合いの舞台なのだから。
ここにいるということは、イコール、例外なく自分達と似たような境遇にあるということ。
「あんた、この殺し合いを、どうしたいの」
ふとした興味で聞いてみる。
いきなりこんなところに放り込まれて、
どういう答えを出して、何をしようとしているのか。
答えることなく、少年は激昂した。
「武器を出せって言ってるだろぉ!」
「もう、ないわよ」
カグツチとエレメントのことは、説明したところで仕方あるまい。
どうせ手渡すこともできないし、使って抵抗する気もとくにないのだ。
もう、いろんな意味でつかれきっているのである。
「どうして出さないんだよ。
武器、出せよ…おれ、本気だぞ。
出さなかったら、おれ、あんたを」
「殺せばいいじゃない」
そこでついつい言ってしまった舞衣のなにげない一言は、少年を滑稽なほどにうろたえさせた。
目玉などは、ほとんど飛び出していたと言っていい。
勢いがつきすぎたしゃっくりのあまり、一人で呼吸困難におちいって死んでしまうかと思われた。
それでもナイフは放さない。放せないのか。
493: 2007/09/24(月) 04:02:50 ID:BjQS0Nii(2/4)調 AAS
494: 2007/09/24(月) 04:03:44 ID:KZvZCa2W(1/3)調 AAS
495: 光を求めて影は ◆ZJTBOvEGT. 2007/09/24(月) 04:04:21 ID:qf6HhZnA(3/6)調 AAS
「うっ、ぐっ、ひぐっ…」
「あたしを殺せば、それっきりじゃない。
それで安心じゃない」
早く死ぬか、後で死ぬか。
今の舞衣にとっては、所詮その程度の差でしかないこと。
戦わないなら死ぬだけで、そして、今の自分に戦う意志はないのだ。
ただ、武器を出せだの、隠してないかだの…
聞きたいのは、そんな言葉じゃない。
だから、重ねて同じ問いを投げかけた。
「あんた、この殺し合いを、どうしたいの」
「…ぶっつぶすんだよ。
こんな、こんなくそったれた戦いなんか。
あ、あに…兄貴なら、絶対そうする」
やっと、答える気になってくれたらしい。
呼吸を少しずつ整えて、一言一言、確かめるように言葉をつむいでいく少年。
(あたしが聞きたいのは、あんたの答えよ)
そう思った舞衣ではあったが、
ひとつの単語に反応せざるをえなかった。
彼女の今日までの人生がそうさせたのだ。
「あにき?」
「そうだ、兄貴だ。
螺旋王に殺された、おれの兄貴だ」
「ラセンオウ…あいつに? じゃあ、最初に殺された、あの変な白い…」
「違う、あんなのと一緒にするな!」
「…ごめん」
少年が目の色を変えた。
舞衣も思わず謝ってしまう。
「兄貴は、おれに空を見せてくれたんだ。
ひとりじゃなんにもできないおれを、いつも笑ってはげましてくれたんだ。
だから、おれ、兄貴のぶんまで兄貴にならなきゃ」
怒りの余韻のままに吐き出されていく想いの羅列は、
舞衣の脳裏に否応なく一人の少年の姿を描き出させていく。
(いつだってあたしは、あの子のために笑顔でいた)
「兄貴は絶対、願い事なんかにつられて誰かを殺したりしない。
願い事は自分でつかむ、兄貴なら。
みんな助けて、みんな仲間にして、みんな大グレン団に引き入れて、
螺旋王をぶん殴りに行くに決まってるんだ…なのに」
想いはそのまま、少年にとっては涙となった。
くやしい涙か。かなしい涙か。
「おれ、こわいんだよ。
戦わなきゃ、戦いを止めなきゃ、仲間を作らなきゃ…
あんたを信じなきゃいけないのに、おれ、こわいんだ」
いまだナイフは突きつけたまま、うつむいてぽろぽろとアスファルトを濡らす、
弟と同じくらいの年頃の少年の姿は、舞衣に。
496: 2007/09/24(月) 04:05:20 ID:BjQS0Nii(3/4)調 AAS
497: 2007/09/24(月) 04:05:38 ID:KZvZCa2W(2/3)調 AAS
498: 光を求めて影は ◆ZJTBOvEGT. 2007/09/24(月) 04:06:05 ID:qf6HhZnA(4/6)調 AAS
(お姉ちゃんが、重いんだ)
巧海の姿を、重ね見させた。
守りきれず、目の前で天に散っていった弟、巧海の姿を。
…それでいいのか?
自分は今、この少年を弟の代用品にでもしようとしているのではないか?
巧海とすごしてきた日々は、そんなにも安っぽいものだったのか?
今見たものは、巧海にとっても、少年にとっても、侮辱そのものではないか?
多数の否定的見解が頭の中を右から左へ去来する。
これ以上、関わらないで去ってしまえ。
思考の世界では最終的にそれが支配的となったが、
わずかな少数派の掲げた主張が、舞衣の動きを決定づけた。
「鴇羽、舞衣」
「え?」
「あたしの名前。あなたは?」
「…………」
「信じてもいいよ、あたしのこと」
少年が自分に対してやったようなことを何度も繰り返し続ければ、
彼は間違いなく死ぬ。殺される。それも遠からずだ。
今の自分になら、それを止めてやることができる。
彼自身も明らかに誰かの助けを求めていて…
なにより、自分自身、少しでも弟の姿を重ねてしまった相手が死ぬのは絶対、嫌だ。
だから、舞衣は。
「…シモン」
シモンの決意に乗ることにした。
499: 2007/09/24(月) 04:06:36 ID:BjQS0Nii(4/4)調 AAS
500: 2007/09/24(月) 04:06:59 ID:KZvZCa2W(3/3)調 AAS
501: 2007/09/24(月) 04:07:52 ID:vZ1Z8Avu(1)調 AAS
502: 光を求めて影は ◆ZJTBOvEGT. 2007/09/24(月) 04:09:55 ID:qf6HhZnA(5/6)調 AAS
【A-6 警察署付近 一日目 深夜】
【シモン@天元突破グレンラガン】
[状態]:健康
[装備]:フィーロのナイフ@BACCANO バッカーノ!
[道具]:デイバッグ、支給品一式(ランダムアイテム0〜2つ)
[思考]
基本:兄貴のように大グレン団を結成し、螺旋王を倒す
1:まず舞衣と話し合う
[備考]
※カミナの死後から、それを乗り越える直前までの時期のどこかから参戦しています。
※かなり疑心暗鬼気味ですが、舞衣はある程度信用したようです。
※文字が読めないため、名簿や地図の確認は不可能だと思われます。
【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:精神的消耗、ずぶ濡れ
[装備]:
[道具]:デイバッグ、支給品一式(ランダムアイテム1〜3つ)
[思考]
基本:シモンを手伝う
1:まずはシモンと話し合い
[備考]
※巧海が死に、自分が命を殺したと思い込んだ直後(黎人に会う前)からの参戦です。
※「巧海を生き返す」ためゲームに乗るという手には、まだ思考が及んでいません。
※カグツチが出せないことに気づいていません。
503: 手山梨花 2007/09/24(月) 08:58:04 ID:waWPWuix(1)調 AAS
にぱ〜☆ みなさん、頑張れなのです……
みぃ☆、ボクも応援しているのです。
504: 復活のマオ ◇XzvibY6nJE (代理) 2007/09/24(月) 10:55:50 ID:2eW5504u(1/16)調 AAS
「やぁお嬢さん。おっと、逃げないで。ボクの名前はマオ、怪しいものじゃない」
そうとも、逃げられてたまるか。ひとりでも多くの持ち物を確認しなければならないのだから。
それもあの螺旋王ってヤツの所為だ。まさかボクのヘッドホンを奪うとは……
これじゃあC.C.の声が聞けない! 周りのヤツらの心の声が入ってきちゃうじゃないか!
ボクの荷物の中にヘッドホンが入っていないかと念入りに探したけれど、それらしき物は入っていなかった。
だから、もしかしたら誰か別のヤツが持っていたりするのだろうかと思って、こうして人と接触することにした。
ヘッドホンが手に入ったら……その先はその時になってから考えればいい。
ボクとしてはゲームに勝ち残るのでも、螺旋王とやらを倒すのでも、あるいはゲームから脱出するのでも、
この際なんでも構わない。だが、全てはヘッドホンを手に入れてからの話だ。
だからボクは、目の前の少女に語りかける。
ボクの『ギアス』を使って、相手を引き込むために。
「あぁ、このバイザーかい? ちょっと目が不自由でね……でも大丈夫、よく見えているよ」
確かに不自由だ……聞きたくもない心の声が聞こえてしまうという不自由。
それでも、同時に相手の知られたくない弱みなどを知ることもできるから、一長一短だけどね。
さてと、そんなことよりも……始めようかな。
「ところで、お嬢さんはパズーという男の子を捜しているよね? あぁ、ドーラという女海賊のことも」
うん、まずはこちらに興味を持ったようだ。
知らない人間であるボクが、自分が探している相手を知っている。誰でも少しは興味を持つはずだよ。
「もちろん彼らの事は良く知っているよ。パズー君は勇敢にも、軍隊に追われているキミを助けてくれた少年だ。
そして海賊のドーラ。キミとパズー君を追っていたけど、今はキミたちと行動を共にしている。
それにムスカというのかい? 彼がラピュタで何をするか心配だ。飛行石を奪われてしまったからねぇ。
そうだろう? リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ……リュシータ王女さん」
おっと、こちらに不信感を持ち始めたようだ。
それはそうだろう。探し人の名を知っているだけならまだしも、名簿に載っているそれとは違う自分の本名や、
『飛行石を奪われた』などの具体的な事柄を言い当てられれば、誰でも変に思う。
ラピュタとか飛行石とか、僕の聞いた事のない言葉ばかりだけど、今はそんなことはどうでもいい。
警戒して逃げ出してしまう前に、もう少し話してみないとねぇ。
505: 2007/09/24(月) 10:56:39 ID:4qQdO/Rw(1)調 AAS
506: 2007/09/24(月) 10:56:56 ID:JNUHV358(1/12)調 AAS
507: 2007/09/24(月) 10:57:13 ID:17cKm9g3(1/30)調 AAS
508: 復活のマオ ◇XzvibY6nJE (代理) 2007/09/24(月) 10:58:41 ID:2eW5504u(2/16)調 AAS
「逃げるかい? それでもいいけど、キミはパズー君にどんな顔をして会うんだい?
キミはパズー君に負い目を感じているようだ。自分の所為で危険なことに巻き込んでしまった、と思ってるんだろう?
おっと、否定してもダメだよ。キミの心がそう言っている。『パズーを危険な目にあわせたくなかった』ってね。
なのにキミは、パズー君を利用して軍の手から逃れたばかりか、彼を海賊の仲間にしてしまった……。
いや、それよりももっと以前、キミがパズー君の元に降りてこなければ、彼は鉱山で平和に暮らせていたのにねぇ。
でも今さら手遅れだよ。彼は海賊になって、危険な目に会い続けるだろうねぇ。そう、キミを助けるために」
効いてきたようだね。
無理もない。殺し合いをしろといきなり言われ、人が死ぬところを目の前で見せ付けられ、
そして、次に出会ったのが心を読む人間ときた。混乱して当然だよ。
もっとも、そうなってもらわないと僕が困るわけだけどね。
さて、もう少し弱みを突きたいところだけど、どうも深層意識が上手く読み取れないなぁ。
無理に意識を集中すると頭痛が……くそっ、あの螺旋王って男の仕業なのか分からないけど、妙な事をしてくれるよ。
……おっと、この情報は使えるかな?
「キミを助けたと言えば、ロボットの兵隊がいたっけ。そのロボットはキミが目覚めさせてしまったんだよねぇ。
あのロボット、かわいそうにキミを守るために働いて、破壊されてしまったね。キミが呪文を唱えなければ、
ロボットは目覚めなかったのにねぇ」
どうかな? 『助け』という言葉から、パズー君の他に連想したモノを突いてみたけど……
このお嬢さんはロボットがかわいそうだったと思ってるみたいだから、これも少しは効くだろうね。
……けっこうけっこう、思ったとおりだよ。
509: 2007/09/24(月) 10:59:18 ID:17cKm9g3(2/30)調 AAS
510: 2007/09/24(月) 10:59:54 ID:JNUHV358(2/12)調 AAS
511: 復活のマオ ◇XzvibY6nJE (代理) 2007/09/24(月) 11:00:18 ID:2eW5504u(3/16)調 AAS
「パズー君も、ロボットの兵隊も、親方も機関手も、みんなキミに関わって不幸な目にあっているわけだ。
いや、彼らだけじゃないね。ドーラって人もそうだろうねぇ。海賊船が壊されて、軍隊に捕まっちゃったんだっけ。
息子たちも一緒にね。海賊は縛り首だよ、かわいそうに。みんなキミに良くしてくれたのにね。
掃除や炊事を手伝ってくれたり、楽しく食事をしたりしたよねぇ?」
読み取った事を突きつけてやれば、人はそこからさらに別の思い出を、勝手に思い浮かべてくれる。
そして楽しかった思い出も、今の彼女にとっては苦いものを連想させる材料にしかならない。
ほら、もう少しだよ。
「うーん、ボクが思うに、キミはみんなと会わないほうがいいんじゃないかな? 日常生活ならまだしも、
現状ではキミという不幸の種が一緒にいることは、彼らを危険に晒すことになりかねない。そう思わないかい?」
ふふ、迷っているようだね。
冷静に考えれば、この程度の弱みで迷う必要などないはずなのにねぇ。
殺し合いという現状で、自分ひとりしかいないということで、よほど心が弱くなっているようだ。
「さて話は変わるけど、ボクはこの殺し合いを止めたいと思っている。だけどボクひとりでは力が足りない。
そうだろう? 誰だって、ひとりだけでは大したことはできないものだ。だが、ここにキミという女性がいる。
キミが力を貸してくれれば、ボクはボクの持つ『力』を使って、殺し合いを早く止めることができるんだ。
もちろんその過程で、ムスカから飛行石を取り戻すことができるかもしれないし、そうすればラピュタも悪用されない。
そして全てが終われば、キミはパズー君と一緒に日常に帰る事だってできる」
512: 復活のマオ ◇XzvibY6nJE (代理) 2007/09/24(月) 11:01:24 ID:2eW5504u(4/16)調 AAS
さて、もう一押し。
「キミが嫌だというならば無理強いはしないよ。でも、どうするのがいちばん良いか、よく考えて欲しいんだ。
パズー君に会いたいという感情を優先させて行動し、また彼を不幸に巻き込んでしまうか、
このゲームを止めるために行動し、彼を幸せにするか……どちらが賢い選択かをね」
※
……よし。上手くいった。思わず手を叩いてしまったよ。
もっとも、心の奥底までは突くことができなかったから、もしかしたら考え直してしまうかもしれないねぇ。
まぁ、その時はその時。いくらでも手の打ちようはある。
このお嬢さんに死んでもらって、それを利用してパズー君を……とかね。
さて、少々頼りないけれど手駒が手に入ったよ。
次はヘッドホンだ。あれさえ手に入れば、C.C.と一緒にいられるし、余計な雑音を聞かずに済む。
そしてその後は……その後はルルーシュだ。
ボクを酷い目に合わせてC.C.を横盗りして……C.C.は本当はボクのことが好きなのに!
だから、ここでキミを消してあげるよ、ルルーシュ。
C.C.を手に入れるためにね
513: 復活のマオ ◇XzvibY6nJE (代理) 2007/09/24(月) 11:03:14 ID:2eW5504u(5/16)調 AAS
【C-1/ドーム球場/1日目/深夜】
【マオ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:健康
[装備]:マオのバイザー@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:支給品一式 支給アイテム(1〜2個。マオのヘッドホンは入っていない)
[思考]
1.ヘッドホン(C.C.の声が聞ける自分のもの)を手に入れたい
2.ギアスを利用して手駒を増やす。手駒は有効利用
3.ゲームに乗るか、螺旋王を倒すか、あるいは脱出するか、どれでもいいと思っている
4.どれを選ぶにせよ、ルルーシュに復讐してからゲームを終わらせ、C.C.を手に入れる
[備考]
マオのギアス…周囲の人間の思考を読み取る能力。常に発動していてオフにはできない。
意識を集中すると能力範囲が広がるが、制限により最大で100メートルまでとなっている。
さらに、意識を集中すると頭痛と疲労が起きるため、広範囲での思考読み取りを長時間続けるのは無理。
深層意識の読み取りにも同様の制限がある他、ノイズが混じるために完全には読み取れない。
※死んだ後からの参加。ただし怪我は完治。
【シータ@天空の城ラピュタ】
[状態]:迷い
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 支給アイテム(1〜3個。マオのヘッドホンは入っていない)
[思考]
1.ゲームを止めるという言葉を信じて、マオについていく
[備考]
マオの指摘によって、パズーやドーラと再会するのを躊躇しています。
ただし、洗脳されてるわけではありません。強い説得があれば考え直すと思われます。
※海賊船に乗った後〜ラピュタ崩壊前のどこかから参加。
【マオのバイザー@コードギアス 反逆のルルーシュ】
本人支給。何の変哲もないバイザー。
光の透過率が悪くなるので、ルルーシュのギアスは無効化される。
514: 2007/09/24(月) 11:03:18 ID:17cKm9g3(3/30)調 AAS
515: 2007/09/24(月) 11:03:48 ID:JNUHV358(3/12)調 AAS
516: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:05:16 ID:2eW5504u(6/16)調 AAS
「な……これは、一体……!? 」
地図に書かれたラインに分けられているエリアの半分近くを走る高速道路。
そのマスの一つ、【E-3】に枢木スザクは立っていた。
ところどころに黄色をあしらった白いスーツが夜の闇で一際目立つ。
彼の表情は困惑気味だ。
(落ち着け……確か俺は……そうだ。式に呼ばれていて……剣を、渡したんだ)
これまでの経緯を彼は思いだす。
エリア11の副総統、ユーフェミア・リ・ブリタニアの騎士受勲の為の式に出席した自分。
騎士受勲の形式の一環として彼女の御前で跪き、自らの剣を差し出した自分。
なぜか、いつまで経っても物を言わぬユーフェミアに違和感を抱き、顔をあげた自分。
その先に映っていたものが、螺旋王という男と、素性もわからぬ民衆がいる部屋になっていた事に驚く自分。
そして次の瞬間、この高速道路の路上に立たされていた自分……。
(あの男は実験と言っていたが……殺し合いだなんて非現実的すぎる。第一、ここはブリタニアなのか!? )
スザクは急いで自分の身の回り、そしていつの間にか持たされていたバッグを調べる。
持っていた剣はもちろん。およそ自分の物と言える物は全て無くなっていたおり、
バッグの中からは、とても入りきらないと言える程の物品の数々。名簿に記された友人と上司たちの名があった。
(ルルーシュ、カレン、ジェレミア卿、ロイドさん……知っている名は4つ。
その他の名前には……これといってブリタニアに関係しているとは思えない。気になるのは――)
「おーいそこのあんた、高校生か!? 俺の話を聞いてくれ! 」
■ ■ ■
517: 2007/09/24(月) 11:05:52 ID:17cKm9g3(4/30)調 AAS
518: 2007/09/24(月) 11:06:13 ID:9syjyzln(1/2)調 AAS
519: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:06:17 ID:2eW5504u(7/16)調 AAS
高速道路の壁にもたれながら、2人の男が横並びになっている。
片方の年配の男が吸う煙草の煙が夜の闇と、彼らの上空にある備え付けの高速道路用電灯で一層映える。
男は青年に煙草を勧めるが、青年は自分が未成年であることを理由に、丁重に断った。
「――なるほど。お前さんの知り合いや、その関係、世界は大体わかった。とりあえず全部信じてみよう。
つまりお前さんの世界では、日本という国はあって無いようなもんなのか」
「ええ……7年前の降伏宣言で日本はブリタニア領となった。今ではイレブンと呼ばれています」
「それで最初に俺の出身地を確かめてきたんだな?
まぁ俺もいきなり日本語で話しかけちまったし、そこらヘンはちょっと間抜けだったか。
それにしても……全く違う世界の人間なんて俺には想像がつかん。頭も痛くなってきた。
クルクル君もその年で軍人だしな……知らない親父に突然話しかけられても、全然怯まない度胸は大したもんだ」
バツの悪そうに頭をかきながら、スザクのことを『クルクル』と呼ぶこの男の名は剣持勇。
日本の警視庁刑事部捜査一課の警部であり、設定年齢40代。乙女座のO型。
彼もまた、突然この世界に招かれたことに不安を覚え、高速道路を移動していたのだ。
「いや、剣持さんには申し訳ありませんが、本当はちょっとビックリしてたんですよ。それと僕の名前は枢木(クルルギ)です。
剣持さんが乗ってきたそれ、僕の友人が乗っているタイプと全く同じ『BMCのRR1200』なんです。
僕の知り合いでこれに乗っていた人は皆……いい人ばかりでしたから」
スザクは剣持の隣に駐輪してあるサイドカー付きバイクを指差す。
それはスザクと同じアッシュフォード学園に通学している生徒会書記、リヴァル・カルデモンドの物だった。
スザクはリヴァルとこれのチューニングがきっかけで仲良くなった経緯があり、
またスザク自身にとっても、このバイクには大切な思い出があった。
「ほー……それで自分と同じ世界の人間だと勘違いしたんだな? ハハハすまんクルクル君。
こいつは俺の『支給品』とかいうやつらしい。カバンにメモが入ってたんだ」
「え……!? 」
520: 2007/09/24(月) 11:06:25 ID:JNUHV358(4/12)調 AAS
521: 2007/09/24(月) 11:06:59 ID:17cKm9g3(5/30)調 AAS
522: 2007/09/24(月) 11:07:22 ID:To2MIRFY(2/16)調 AAS
523: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:07:25 ID:2eW5504u(8/16)調 AAS
剣持はバイクをポンポンと叩きながら笑うが、スザクはつられて笑わない。
瞬く間に彼の顔は豹変し、勢いに身を任せて剣持を突き飛ばした。
しかしそれは、いつまでも『クルクル』と呼ぶ剣持に業を煮やしたわけではなかった。
「な……何をするんだクルクルくっ…………な!? 」
「急に……足元に、電灯に……影が出たから…………何者だ………ぐっ」
「フッ、やるな人間。よく気づいたな」
■ ■ ■
「大丈夫かクルクル君ッ! おいてめぇ何者だ! 何てことしやがる! 」
「俺の名か? 人間掃討軍極東方面部隊長……ヴィラル! 」
「人間掃討軍だと!? 」
「2ついいことを教えてやろう。
1つ、地上に出た人間は我われ掃討軍が殲滅する。2つ、お前達は私の獲物だ。大人しく死んでもらう」
後腹部を刺されて息を荒くするスザクを、抱えながら叫ぶ剣持に対して、ヴィラルが動じる様子はない。
どこか人間のようで人間ではない雰囲気を持ち、余裕な態度を見せ付けながら笑う男の歯は、鮫のように独特で、
よく見れば、両手も人の物とは言えぬ形をしていた。
「シャァッ!……ほう」
ヴィラルが右手に持っていた巨大ハサミを剣持たちに刺し向けたが、その刃は一本の刀に弾き返された。
怪我をおして立ち上がった枢木スザクの持っていた、支給品でもある1本の日本刀によって。
スザクは好機とばかりにそのまま踏み込みながら、上段、中段、下段とあらゆる方向から斬りかかる。
「中々やるが所詮素人の剣。訓練された兵士にかなうと思うかァァァァァァ!! 」
524: 2007/09/24(月) 11:08:06 ID:JNUHV358(5/12)調 AAS
525: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:08:59 ID:2eW5504u(9/16)調 AAS
だが、ヴィラルも負けじとばかりに巨大ハサミの刃、握り手、指入穴でスザクの剣を受け止める。
その剣舞のような果し合いに、冷えた夜の空気が響という名の合いの手を加える。
紙一重の攻防に、電灯が2人に舞台のスポットライトを当てる。
だが、勝負は意外にもあっさりと決着がついた。
「剣持さんとの会話……聞いてなかったのかい? 僕もこう見えて軍人なんだよ!」
「ふん、その強がりが死を呼……な、なんだとッ!」
スザクの手首による捏ね回しによって、ヴィラルの巨大ハサミが宙に飛ばされ地面に刺さり、彼の顔が青ざめる。
ヴィラルが巨大ハサミを拾おうとした時には既に、首にスザクの刃が当てられていたからだ。
天才という言葉は、彼の為にあるのかもしれない。
剣道を含めた武道全般における技術において、公ではないが、スザクは幼少の頃から比類無きものだと評価されていた。
「ま、まさか……この俺が……剣で一本とられっ!? う、うおおッ!?」
だがヴィラルの災難は終わらない。
スザクからの敗北を受けたと認識する前に、今度は彼の体が宙に飛んでいたからだ。
「どっせぇぇぇぇい! 」
526: 2007/09/24(月) 11:09:01 ID:17cKm9g3(6/30)調 AAS
527: 2007/09/24(月) 11:09:18 ID:To2MIRFY(3/16)調 AAS
528: 2007/09/24(月) 11:09:20 ID:JNUHV358(6/12)調 AAS
529: 2007/09/24(月) 11:10:41 ID:17cKm9g3(7/30)調 AAS
530: 2007/09/24(月) 11:10:52 ID:SJhxpXq4(1/2)調 AAS
531: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:10:58 ID:2eW5504u(10/16)調 AAS
メタボリックに悩まされていそうな中年太り、みっともない無精ひげ、若干の禿頭を備えた男、剣持勇。
ヴィラルは彼の180cmを越える体格から放たれる一本背負いによって、地面に叩きつけられたのだ。
今でこそ面影は見られないが、剣持は高校時代、全日本で16のタイトル取った『鬼』だった。
黒帯5段でもあるその実力は、警察官となった今でも衰えてはいないのである。
「ふー……これで仮は返したぜ。クルクル君、怪我の具合はどうだ、歩けるか? 」
「大丈夫でっぐぅ……!」
「無理をするな。傷は見てみんとわからんが、腰をやられているかもしれんぞ。
このバイクで病院に行こう。君はサイドカーに乗ってくれ。それとこの、『何とか隊長』は……」
「……………………………………………………………………………………」
「……ま、ほっときゃいいだろう。懲らしめてやりたい所だが、今はクルクル君の救助が先だ」
こうしてヴィラルは人間の男たちに剣道、柔道でそれぞれ一本をとられたのだった。
■ ■ ■
バトルロワイアル前日、いつもと変わらぬ螺旋王の部屋に彼はいた。
彼は跪き、目の前にいるカリスマに頭を降ろす。
「螺旋王、お呼びでございますか」
彼はこれまで王の前では一度も出したことの無い疑念のトーンで話しかける。
極東方面を任されている彼が上官の螺旋四天王を介さずにして、
最上級の上官にあたる螺旋王に単独で姿を出すことが、どれだけ異例なことであるか重々承知していたからだ。
螺旋王の口が開く。
「ヴィラル……お前はこの私の為に命を捧げてもらう事となった」
「…………死ねとおっしゃるのならば、甘んじて受けましょう」
「そうではない」
螺旋王の問いかけに、彼は即答する。
螺旋王もまた、彼の返答に即答する。
「ヴィラルよ……私はこれから優秀な個体、優秀な螺旋遺伝子を探す為の実験をしようと考えている。
80名を越える特定の生命体を一同に集め、その中から、最も優秀な一人を選び出す実験だ。
選ばれた被験者たちは自分たちの力で手段を問わず、命を懸けて生きる術を見出すしかない。
いわば生き残りゲームのようなものだ」
「その実験に……私も入っているのですね」
「察しがいいな。お前も彼らと同じ条件の下で、実験を受けてもらう。
どう動くかは好きにしろ。お前の自由だ。お前が最後の1人になれば褒美もやろう」
「なぜです! 私が実験に参加することに異議を唱えるつもりはございません!
しかし! 選ばれた他の生命体は螺旋エネルギーを持っている……それは即ち人間ではありませんか!
獣人である私が実験に参加すれば、最後に生き残るのは奴らより優れた自分であることは明ら――」
「ヴィラルよ! 」
螺旋王の思わぬ咆哮に、彼は絶句する。
532: 2007/09/24(月) 11:11:23 ID:JNUHV358(7/12)調 AAS
533: 2007/09/24(月) 11:11:54 ID:To2MIRFY(4/16)調 AAS
534: 2007/09/24(月) 11:11:56 ID:17cKm9g3(8/30)調 AAS
535: 2007/09/24(月) 11:12:08 ID:SJhxpXq4(2/2)調 AAS
536: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:13:18 ID:2eW5504u(11/16)調 AAS
しかし、彼はまだ納得をしていなかった。
「大変な失礼を致しました。螺旋王……このヴィラル、実験には喜んで参加させて頂きます」
「気にするな……お前の意見も一理ある。私とて結果のわかりきった実験をするつもりはない。そこでだ。
私はお前の体を『人間に近い状態』に改造しようと思う」
「わ、私が……人間に!? 」
「何も全てを人間と同じ体にするわけではない。それにこの実験の間だけだ」
「この……私が…………に、人間の……体…………」
「人間に近い状態と化した獣人のおまえがどんな実験結果をもたらしてくれるのか、私は期待している。まあそう悲観するな。
その代わり……睡眠による細胞の蘇生システムの制約から『時間』と『場所』という条件を外してやろう。
これでお前は昼夜問わず好きな時間に睡眠を取る事が出来、生命維持ユニットに入る必要はない。
ついでに識字能力も与えてやる。意味は考える必要はない。じきにわかる――」
螺旋王の説明に彼が答えることは無かった。
それほど彼にとって、『人間に近い体』になるという事はショックだった。
獣人である自分より劣っている存在に近づくという先入観が、彼のプライドを傷つけた。
しかし彼は気づいていない。
睡眠に『時間』と『場所』の概念を必要としない事が、人間にとってみれば極々当たり前のことである真実。
螺旋王から持ちかけられた睡眠による蘇生システムの制約解除こそが、人間に近づく事であるという真実。
そして、何より獣人こそが人間よりも劣った存在であるという真実。
こうして、真実を知らぬ彼……人間掃討軍極東方面部隊長ヴィラルはバトルロワイアルに参加した。
やり場の無い苦しみと共に。
「チクショォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!! 」
■ ■ ■
「!? 剣持さん……今、何か聞こえませんでしたか? 」
「ん? いや俺には何も聞こえなかったぞ?
きっと誰かがやり合ってるんだろう……くそ、こんな殺し合い、さっさと止めないととんでもない事になるぞ。
ちゃんとサイドカーに乗ったな? じゃあそろそろバイクを発進させるぜクルクル君! 」
剣持はグリップを握りフルスロットルでバイクを走らせる。
バイクのスピードはぐんぐん上がり、高速道路に相応しい速度まで達しようとしていた。
――――はずだった。
537: 2007/09/24(月) 11:13:35 ID:JNUHV358(8/12)調 AAS
538: 2007/09/24(月) 11:13:42 ID:To2MIRFY(5/16)調 AAS
539: 2007/09/24(月) 11:13:45 ID:17cKm9g3(9/30)調 AAS
540: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:14:39 ID:2eW5504u(12/16)調 AAS
突然バイクは手綱が外れた暴れ馬のように回転し、そのまま高速道路の外壁に衝突した。
剣持は暴走するバイクに振り落とされて道路のアスファルトに打ち付けられ、
スザクには容赦なく衝突によるダメージが襲い掛かった。
スザクは背中の傷を抑えながらもサイドカーから降り、少し離れた位置にいる剣持に声をかける。
しかし、頭を強く打ったのか剣持は完全に気絶していた。
「だめだ……意識が無い! ぐぐ……さっきの衝撃……やっぱりだ。サイドカーのタイヤがパンクしている!
このタイヤの刺さった刃物……どこかで見たような……ハッ! 」
スザクは後ろを振り返る。
彼は後悔する。あの時なぜ無理にでも奴を動けないようにしておかなかったのだと。
彼のバッグだけを回収する事ばかりに気をとられ、地面に刺さった巨大ハサミを引っこ抜かずに放置したことを。
自身の怪我のせいで忘れていたとはいえ、結果よりも過程を重視する彼にとってこの事実は落胆を招いた。
「この俺を傷つけるとはな……本当ならもう1度奇襲してやっても良かった。だが奇襲は奇襲にすぎん。2度目はない」
巨大ハサミの支えを壊し『刃物』を作って、一本をタイヤ目掛けて『投げナイフ』として使い、
もう一本を即興の『ポケットナイフ』として持っているヴィラルがそこに立っていたのだから。
しかしスザクは無理をきかせて再びバッグから日本刀を取り出し、斬りかかる。
ところがヴィラルは難なくこれをかわし、壁蹴りをしてバイクが衝突した高速道路の壁の丁度真上に飛び乗った。
「そのスピードと技術はともかく……貴様の動きはワンパターン、まだまだだな。
さっきの戦いでお前の動きは全部わかったんだよ。最初の一撃は正面から。フェイントは無いって事もな! 」
「よくも剣持さんをッ! 結果ばかりを追い求めて! 他人の痛みが分からないのか!」
「お前にわかるか……? 成りたくもない人間にさせられた気持ちが。
忠誠心と憎しみとの間で、やり場のない感情に苦しめられる俺の気持ちがァァァ!! 」
スザクはヴィラルの叫び声に怯みながらも、ジャンプして彼に斬りかかろうとする。
だが、既に決着はついていた。
「ピッ」
541: 2007/09/24(月) 11:15:15 ID:JNUHV358(9/12)調 AAS
542: 2007/09/24(月) 11:15:23 ID:17cKm9g3(10/30)調 AAS
543: 2007/09/24(月) 11:15:39 ID:To2MIRFY(6/16)調 AAS
544: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:15:56 ID:2eW5504u(13/16)調 AAS
――光、爆音、炎。
爆発に必要な3つの要素が大きく絡み合い、スザクとバイクを飲み込んでいく。
全てはヴィラルの支給品の一つ、『ネオロシアのガンダムファイター、アルゴ・ガルスキーの小型爆弾』のせいであった。
断っておくが、このバトルロワイアルにアルゴ・ガルスキーは参加していない。
しかし囚人であるアルゴを大人しくさせる為にネオロシアが彼に取り付けたスイッチ式爆弾はこの世界に存在していた。
ヴィラルはスザクと剣持に襲い掛かる前に、自分の支給品を全てチェックしていた。
彼は剣持に一本背負いをかけられた後、気絶したフリをしてチャンスを待っていたのだ。
彼らが、爆弾によって爆死するタイミングを。
最初に爆弾のスイッチを押さずにハサミでバイクをパンクさせたのは、
奇襲を良しとしないヴィラルなりの美学の現れでもあった。
結局、彼のバイクへの一撃は、剣持への奇襲につながってしまった事は言うまでもないのだが。
バイクの衝突した壁の真上に乗ったのも、確実に爆弾の被害をスザクに加えるためであった。
ちなみに、これはヴィラルも知らないことだが……爆弾による被害はバイクの燃料が加わったので更にアップしていた。
ゆえに爆発の威力は彼が想定していた以上の威力を持っており、その威力は高速道路に壁を壊すまでになっていた。
つまり足場を無くしたヴィラルは、高速道路から落ちた。
(……くそ、小型じゃなかったのかよ。これじゃあ……奴が死んだかどうかわからねぇじゃねぇか……。
あいつら……確か……『クルクル』と『ケンモチ』だったか……次こそは……必ず……! )
そして、海に落ちた。
■ ■ ■
545: 2007/09/24(月) 11:16:37 ID:9syjyzln(2/2)調 AAS
546: 2007/09/24(月) 11:16:47 ID:JNUHV358(10/12)調 AAS
547: 2007/09/24(月) 11:16:52 ID:17cKm9g3(11/30)調 AAS
548: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:17:15 ID:2eW5504u(14/16)調 AAS
(海……に、飛び……こまなくちゃ……火を……消さないと……)
ヴィラルが海に落ちたほぼ同時刻、高速道路上では大きな炎が轟々と燃え盛っていた。
その炎のプレゼントが1人の青年の全身に祝福をするかのように包み込む。
威力が大きくなる炎に対し、彼の命の灯火は消えようとしていた。
(でも…………このまま……じゃ……剣も……ちさんが……)
一体なぜ爆発が起こったのか、彼自身はいまだにわからぬまま。
彼にわかっていることは、このままだと自分が死んでしまうこと。そして、剣持が気絶したまま取り残されてしまうこと。
スザクは自分の持っていた刀を全力で投げ飛ばす。
刀はスザクの狙い通り剣持の余裕のある額に当たり、そのまま剣持から少し離れた場所に転がった。
スザクは剣持がかすかに『うう……』うめき声をあげたのを確認するとそのまま180度振り返った。
(頼みます……起きてくださ……い……剣持……さん! )
剣持が目覚めることを祈りながら、スザクは破壊された壁の穴を目指して這いずる。
ゆっくり、ゆっくりと穴に近づいてゆくスザクだが、そのスピードは遅い。
549: 2007/09/24(月) 11:17:17 ID:To2MIRFY(7/16)調 AAS
550: 2007/09/24(月) 11:18:37 ID:JNUHV358(11/12)調 AAS
551: 2007/09/24(月) 11:18:47 ID:17cKm9g3(12/30)調 AAS
552: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:19:13 ID:2eW5504u(15/16)調 AAS
(……みっともなく……足掻いて……生き延びようと、している…………醜いな、俺は。
ルルーシュ……これ、も、一つ、の……結、果、な……の……か………………………………………? )
結局、枢木スザクは海に落ちることはなかった。
彼の右手は高速道路の穴につかみかかっていたが、
剣持に刀を投げつけた分の体力が彼をゴールにたどり着く余力を奪った。
ブリタニアの騎士、枢木スザク。
人を殺す事を望まずして軍に所属し、イレヴンの為を思うのにブリタニアに属す男。
矛盾を自覚し、そうした葛藤に苛まれ続けた彼の人生は17年という短さでここに終わった。
彼が生み出した過程によって残された者たちの価値は、果たして。
【E-3 高速道路路上 一日目 黎明】
【剣持勇@金田一少年の事件簿】
[状態]:背中強く打撲、頭を強く打った為気絶(目覚める寸前?)
[装備]:スパイクの煙草(マルボロの赤)@カウボーイビバップ。
[道具]:支給品は全て燃えました
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:気絶 (目覚める寸前?)
[備考]
※高遠遥一の存在を知っている時期のどこかから参戦しています。
※スザクの知り合い、その関係について知りました。(一応真実だとして受け止めています)
※スザクの事を『クルクル』と呼んでいたのは「金田一一」に対する「キンダニ」と同義です。
※彼の側には少し燃えているビシャスの日本刀@カウボーイビバップが落ちています。
※E-3の周り8マスに爆音が響き渡りました。
※E-3の高速道路の壁の一部分のエリアが、爆発により破壊されました。ここから海に飛び込めます。
なお、その側には燃えているリヴァル・カルデモンドのBMCのRR1200@コードギアス 反逆のルルーシュがあり、
サイドカー側のタイヤには巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJINGが刺さっています。
※剣持の支給品は煙草とバイクの2つでした。
553: 2007/09/24(月) 11:19:45 ID:JNUHV358(12/12)調 AAS
554: 2007/09/24(月) 11:19:47 ID:To2MIRFY(8/16)調 AAS
555: 2007/09/24(月) 11:20:17 ID:17cKm9g3(13/30)調 AAS
556: 2007/09/24(月) 11:21:23 ID:To2MIRFY(9/16)調 AAS
557: 魔人 が 生まれた 日 ◆hNG3vL8qjA 2007/09/24(月) 11:22:22 ID:2eW5504u(16/16)調 AAS
【E-3 高速道路下の海 一日目 黎明】
【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:体力消耗、ずぶ濡れ
※螺旋王による改造を受けています。
@睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
A身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
B人間に近づく改造が@、Aであることに気づいていない。
[要約]
人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。
単純に『何となく人間っぽくなった』としか認識してない。
[装備]:巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING
[道具]:全て燃えてなくなりました。
[思考]
基本:ゲームに乗る。人間は全員殺す。
1:とりあえず海から脱出する?
2:『クルクル』と『ケンモチ』との決着をつける。
3:人間になったことへのやり場のない怒り。
[備考]
※アニメ第3話のカミナ達と一戦交える日の前日の夜からの参戦です。つまりシモン達を知りません。
※枢木スザクを『クルクル』という名前だと勘違いしています。
※剣持とスザクがどうなったのかを知りません。
※ヴィラルのランダムアイテムは巨大ハサミとアルゴ・ガルスキーの小型爆弾@機動武闘伝Gガンダムの2つでした。
※巨大ハサミ@王ドロボウJINGの出展は本編第13話、ザザの仮面舞踏会編です。
※枢木スザクの支給品は全て燃えてしまいましたが
ランダムアイテムはビシャスの日本刀@カウボーイビバップの他に1〜2つある可能性もあります。
バイクの火事にあっても無事なランダムアイテムがあるかもしれません。
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】
558(1): 勇気の意味を知りたくて ◆o4xOfDTwjY 2007/09/24(月) 20:33:38 ID:+LPmGtp4(1/7)調 AAS
ここはF-3エリアの路上。敷き詰められたアスファルトのベッドに一人の少女。
その少女が目を覚ますと、その視界には先ほどの部屋とはうって変わり、一面の星空が広がっていた。
少女は自分が仰向けになってることに気づくと、ゆっくりと上半身を起こす。
茶色を基調とした機動六課の制服を身に纏うその少女の名はスバル・ナカジマ。機動六課スターズ分隊のフォワードを務める魔導師である。
スバルは自分の隣にデイバックが置かれていることに気づく。それを見て、先ほど起こった出来事を思い出す。
突如現れた螺旋王ロージェノムと名乗る初老の男。彼は優秀な人間を選ぶために、あの部屋にいた人間に殺し合いをしてもらうと言った。
それに反抗して無残に散っていったランスと呼ばれた男。
見覚えのない魔法だったが、強力に見えたランスの攻撃をあっけなくバリアで防ぎ、首輪を爆発させた。
スバルは自分の首を手で触り、首輪の感触を確かめると、ため息をついた。
先ほどの広間で起こったことが夢ではないかという淡い期待を抱いていたが、どうやら現実のようだ。
再び、あの男の発言を思い返す。たしか武器を没収すると言ってたような、そう思ったスバルはデバイスが没収されているかどうか確認しようとする。
「マッハ・キャリバー!」
スバルは愛用のデバイス『マッハ・キャリバー』に声をかけるが、返答はない。
やはりデバイスもあの男に没収されていた。
その代わりに渡されたのが足元のデイバックというわけである。
「あっ!そうだ、ティアは…」
先ほどの部屋には確か、相棒のティアがいたはず。
スバルは魔導師のスキルのひとつである念話を使用して、参加者の1人である、ティアナ・ランスターに交信を試みる。
しかし返事はない。その後、他の六課のメンバーにも念話による交信を試してみたが結果は同じであった。
きっとあの螺旋王によって念話が使えないように制限されているのだろうと考え、スバルは念話による交信を諦めた。
気持ちを切り替え、とりあえず支給品を確認してみようと思い、スバルはデイバックを漁る。食料、飲料水、ペン、コンパス、ランタン、地図…。
この殺し合いで行動するのに最低限必要であろうものが出てくる。
スバルが次に手にとったものは一枚の紙。その紙には参加者の名簿が記されてあった。
ランタンに明かりをつけ、その名簿を読むと、そこにはよく知った名前があった。
「エリオにキャロ、シャマル先生にティア。それに八神部隊長まで!」
六課のメンバーが5人もこの殺し合いに参加させられている事実に驚きを隠せずに、思わず大声を出してしまった。
559: 2007/09/24(月) 20:34:14 ID:MM0ZUptr(1/3)調 AAS
560: 2007/09/24(月) 20:35:25 ID:ieOytZRW(1/2)調 AAS
561(1): 勇気の意味を知りたくて ◆o4xOfDTwjY 2007/09/24(月) 20:35:36 ID:+LPmGtp4(2/7)調 AAS
一方ここはF-3エリアの道路。ここにもこの殺し合いに巻き込まれた者がいた。
「おいおい、勘弁してくれよ…。家で妻と娘が待っているっていうのによ」
青い軍服らしきものを着たその男はアスファルトの道を歩きながらそうぼやくと舌打ちをした。
男の名前はマース・ヒューズ。アメストリスの軍法会議所に所属する中佐であり、極度の親バカ・愛妻家である。
「ビックリ人間の万国ビックリショーに俺みたいな一般人を巻き込むなっつうの」
あの螺旋王ロージェノムとやらも、それに刃向かったテッカマンランスという名の男も明らかに一般人と言えるような人間ではなかった。
名簿にもエルリック兄弟やロイ、そしてスカーの名前まであった。
きっとこの舞台には、ビックリ人間ばかり呼ばれているんだろう。
ヒューズがそう考えてながらあるいていると、近くから女の子の声が聞こえた。
「他の参加者か!?ちっ、とりあえず様子を見るか」
ヒューズは支給品である銃を手に、声のした方向へ向かう。
建物の陰に隠れ、声の主の様子を伺う。月の光がほどよく当たってるため、声の主の姿はある程度確認できた。
エドと同じぐらいの年代の少女が(身長は彼よりひと回り高いが)、支給された名簿らしきものを読んでいてこちらには気づいてない。
(女の子か。とりあえず… 接触してみるか)
ヒューズは念のために銃を腰とベルトの間に納め、制服の上着で隠れて見えないようにする。
そして少女のいる方向へと歩きだす。
「おいおい嬢ちゃん。こんなところで大声出したら危険だぞ」
スバルが後ろを振り返ると、1人の男が立っていた。驚いたスバルは立ち上がり、戦闘体勢をとる。
しかし男はデイバックを地面に置き、両手を挙げてからスバルに向かって話しだす。
「おいおい、待った待った。俺の名前はマース・ヒューズ。この趣味の悪い殺し合いなんかに付き合う気はまんざらねえよ。嬢ちゃんはどうなんだ?」
スバルは一瞬困惑したが、とりあえず戦闘体勢を保ったまま男の問いに答える。
「あっ、あ…あたしも、殺し合いなんてする気はまったくありません!」
突然現れたヒューズに動揺していたのだろうか、スバルの口調は安定してなかった。
「そうか、良かった。とりあえず色々と聞きたいことがあるんでね。協力してくれねえか?」
スバルはヒューズを完全に信用したわけではないが、あからさまな敵意は感じないし、見た目は悪そうな人ではないのでとりあえず話をしてみることにした。
562: 2007/09/24(月) 20:36:54 ID:FLA9MTnU(1)調 AAS
その時、北の彼方から地響きとエンジン音が聞こえた
トランスフォーマーの襲来だ
多い 途轍もなく多い
563: 勇気の意味を知りたくて ◆o4xOfDTwjY 2007/09/24(月) 20:37:07 ID:+LPmGtp4(3/7)調 AAS
まずは自己紹介を簡潔に済ませる。
そして次に互いの知り合いについて情報交換をした。
「あたしが知っているのは、エリオ、キャロ、シャマル先生、ティア、八神部隊長、それとこのクアットロっていう人の6人です。」
スバルは名簿を指さしながらヒューズに情報を伝える。
「クアットロ以外は機動六課のメンバーでいい人で、頼りになります。それで、このクアットロっていう人なんですけど…。
あたしたちの上官のなのはさんが逮捕した人で、危ない人だと聞きました。とにかく要注意人物です」
スバルはクアットロという人物について思い返す。たしか、ゆりかごに突入した時にはやてさんが逮捕した人物だ。
あの事件後に得た情報を整理する。彼女は自分たちと対峙したナンバーズの指揮を務め、ヴィヴィオとなのはを戦うように仕向けたという話も聞いた。
どっちにしろこのクアットロという人物は警戒するべきであることは確かだ。
クアットロについて話し終えると、次は仲間の外見や能力などを簡潔に話す。
ヒューズは自分の名簿を見ながら、スバルの出した名前に印をつけて確認する。
「次はこっちの番だな。俺の知り合いはエドっていうチビ錬金術師、そいつの弟アル。
そしてロイ・マスタングっていう、まあこいつとは腐れ縁だ。それにこいつの部下のホークアイ中尉。
こいつらは頼りになる奴らだ。あと1人、知っている奴がいる。このスカーっていう顔に傷がある野郎なんだが、こいつは危険な奴だ。
国家錬金術師を何人も殺害している。殺し合いに乗りかねない野郎だ」
次にお互いの住んでいた場所について簡潔に話す。
2人の話を合わせて明らかになったことは、2人の住む場所はまったく別の世界ということだ。
スバルの世界ではミッドチルダ以外にも他の世界があるということは常識であるので、ヒューズが別の世界の人間だということについて理解するのは容易だった。
逆にヒューズがスバルの住む世界について理解するのは難しいことであった。
ましてやその世界には魔法という錬金術よりも信じがたいものがあるという話まで聞かされては、 さすがに頭のキレるヒューズも混乱してしまう。
「魔法ねえ…。 まあ俺の周りもビックリ人間ばかりだけどよぉ」
ヒューズはそう言うと、この殺し合いにも参加しているロイやエドのことを思い出して苦笑した。
とりあえずスバルの住む世界や魔法については考えてもどうしようもないので、とりあえず彼女の言うことを信じることにした。
「そういえば支給品は確認したか?」
そういうとヒューズは腰から何かを取り出す。
「俺はとりあえずこの銃が支給品だ。他にも支給品はあったが、役に立ちそうじゃあなかったぜ。スバルちゃんの支給品はどうだったんだ?」
「ええと、あたしはまだ… その確認してなくて… エヘヘ、すみません。今から見てみますね」
スバルはデイバックの中を探る。
まず最初に取り出した支給品と思われるもの。それは手袋だった。
「手袋…です。これはハズレですね」
たしかにスバルにとってはハズレアイテムなのだが、ヒューズにとっては見覚えのあるものだった。
そう、ヒューズの親友であるロイ・マスタングの発火布製の手袋だった。
「スバルちゃん、悪いけどその手袋必要ないのならくれないか?俺の親友の大事なものなんだ」
「ええ!?そうなんですか?あっ、そのハズレとか言ってすみません。お譲りします」
スバルはそう言うとヒューズにその手袋を渡す。ヒューズは手袋をデイバックをしまい、代わりに何かを取り出す。
「使えるかどうかは知らんが、代わりにこれでも貰ってくれねえか?」
そう言うと、ヒューズはスバルに自分の支給品を渡した。その支給品はグローブの形をしている、スバルには馴染み深いものであった。
「これは、ギン姉のリボルバー・ナックル!?」
スバルの姉であり、魔法の教育をしてくれたギンガ・ナカジマ。
彼女もまた、六課のメンバーと同じく、スバルにとって大事な存在であった。
そのギンガが愛用していた左手用のリボルバー・ナックル。ゆりかごに突入したときに、自分の右手用のリボルバー・ナックルと共に使用したこともある。
それが今再び自分の手に渡った。それは単なる偶然か、何かの運命か。
564: 2007/09/24(月) 20:37:51 ID:6KAmtpuA(1/9)調 AAS
565: 2007/09/24(月) 20:38:36 ID:uI4lT7gv(1/3)調 AAS
566: 2007/09/24(月) 20:39:15 ID:HcVQeXLQ(1/9)調 AAS
567: 2007/09/24(月) 20:40:07 ID:6KAmtpuA(2/9)調 AAS
568: 勇気の意味を知りたくて ◆o4xOfDTwjY 2007/09/24(月) 20:41:12 ID:+LPmGtp4(4/7)調 AAS
情報交換が終わると、ヒューズは地図を見ながら現在地を確認する。
「そこに『空港まで南に約1km』という看板があるからここは大方F4辺りだな。さぁて、これからどうするかだ」
「あたしは早く仲間を見つけることが大事だと思います。六課のメンバーはみんな強くて頼りになるし、ヒューズさんの話してくれた仲間たちも頼りになりそうですし」
「ああ、それも大事だが…」
ヒューズは途中で言葉を切り、首輪を指差す。
「残念だが、俺にはこいつを外せるような知識は持ってねえ。だから外せそうな知識と技術を持った奴を探したい」
「あ!確かにそうですね。シャマル先生か八神部隊長なら首輪の構造を解析する魔法を使えるかもしれません」
スバル自身はそういった魔法は使えないが、補助系魔法を得意とするシャマルや、レアスキルを持つはやてならそういった魔法を使えるかもしれない。
スバルはそう考えた。
「さて、どう動くか…」
ヒューズは考える。この状況では何より情報が大事になる。できる限り多くの情報を収集したい。それには他人との接触が必要不可欠だ。
他人と接触するためには人が集まりそうな場所に行けば良い。しかしそれは殺し合いに乗った危険人物に遭遇する恐れもある。
ヒューズは軍人であり、それなりに戦闘をこなすことはできる。
しかし、ロイのような錬金術師やスバルが話していた魔導師のような『ビックリ人間』が相手だった場合はどうだろう。
いくらこっちが銃を持っていようが、勝てる気がしない。
それでもこのバカげた殺し合いを止めなければならない。だが死んでしまっては元も子もない。それが無駄死にならなおさらだ。
どうするべきか、悩んでいるヒューズにスバルが問いかけてきた。
「ヒューズさん、あたし駅に行こうと思います。駅なら人がきっと集まると思うんです。知り合いにも会えるかもしれませんし。ヒューズさんはどう思います?」
「確かに駅には人が集まりやすいかもしれない。だがそれは殺し合いに乗った危険な奴に出会うかもしれねえってことにもなる。それでも行くのかい?」
「はい、行きます。あたしは泣いてばかりは嫌だと思って、強くなるって決めたんです。強くなって誰かを守れるようになるんだって。
きっとこの殺し合いでも、助けを求めてる人だっているはず。あたしは誰かを助けたり守ったりするために自分の力を使いたい。あの時のなのはさんのように」
そう語るスバルの瞳に、ヒューズは彼女の強い意志を感じた。
(エルリック兄弟といい、スバルちゃんといい… ったく最近のガキは若いくせして無理しすぎだぜ)
「しょうがねえなあ。俺もついていく。だけどいいか?無理はするなよ。若い奴は無理する奴が多いからよ。それで死んでもらったら困るからな」
「えっ!?あっ、はい、わかりました。ありがとうございます」
「よし、じゃあ行くぞ」
ヒューズは地図とコンパスを手に、駅に向かって歩きだした。それに続いてスバルも歩きだした。
(ティアに、エリオとキャロ。それにシャマル先生と八神部隊長もいるんだ。こんな殺し合いもきっと止められるよ。
それにきっとなのはさんやフェイト執務官も他の六課のメンバーもこの状況に気づいてすぐに出動してくれる。
それまではあたしがみんなを守るんだ。そのために強くなったんだから、それに…)
スバルは左手のリボルバー・ナックルを見る。
(きっと母さんとギン姉もあたしを見守ってくれているよね。今度はあたしが守る番なんだ。
六課のメンバーもヒューズさんとその友達も、誰一人として死なせない!)
闇夜に浮かぶ満月を睨むかのように見つめ、スバルはそう決意した。
569: 2007/09/24(月) 20:41:59 ID:6KAmtpuA(3/9)調 AAS
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
あと 147 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ
ぬこの手 ぬこTOP 0.125s*