[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ1 (716レス)
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356: ◆AaR9queMcU 2007/09/23(日) 09:37:02 ID:dpbJCYAn(3/4)調 AAS
なんでもかんでも、あっさり見限ってる。
心が悲鳴をあげてるくせに無理矢理鬼になってる・・・・・・そんな風に見えるぜ・・・・・・

そんなことをふと思い出した。
あのアホウにわいを撃たせようとしたときや。
何でいまさらこんなこと思いだすんねやろ、アホか。

人間は、変われるもんと違う。
引き剥がそうとすればするほど骨身を剥ぎ取っていくねん。
奇麗事なんか入ってくる隙間はあらへん。
外道は死ぬまでド外道や。

せやからここにおんねんな。
抜け出しとうても抜け出せれん地獄いう舞台や。
けどな、いつかは終わらせなあかん。

「せやったら・・・・・・幕引いたろうやないか、大根役者・・・・・・」
そう一言口にすると彼は出口へと向かった。

【C-5/1日目/深夜】

【ニコラス・D・ウルフウッド @トライガン】
[状態]:健康
[装備]:ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃@トライガン 弾数×六発
[道具]:支給品一式、ランダム不明支給品x1
[思考]
基本思考:ゲームに乗る
1:自分の手でゲームを終わらせる
2:敵には容赦しない

[備考]
※参戦時期は教会での死亡直前あたりから参戦
※どうすべきか少し迷っている所もあります
357: 2007/09/23(日) 09:37:23 ID:XsCXIUyK(14/14)調 AAS
 
358: ◆AaR9queMcU 2007/09/23(日) 09:39:08 ID:dpbJCYAn(4/4)調 AAS
投下終了しました。
支援ありがとうございました。
359: 2007/09/23(日) 09:39:44 ID:uv95H+Gt(3/10)調 AAS

360: 2007/09/23(日) 10:25:53 ID:cgN8VSDX(1)調 AAS
なのはから3人出す意味ねぇじゃん
361: 破壊者二人と仮装泥棒  ◆ARkjy9enog 2007/09/23(日) 12:35:38 ID:PCyUROIO(1/12)調 AAS
見渡せば、そこには広大な水面が一面に広がっていた。
さらにその向こうには何の意図があってそのようなデザインで建てられたのかよくわからない、球状の屋根をした建物も確認できる。
一体、あの妙な形状にすることで何の利便性があるというのだろう。
額に痛々しい十字傷の痕を負った……その特徴から軍部により<傷の男>、すなわちスカーと呼ばれる男はそう思わざるを得なかった。
今は長袖のコートを着ているため判断しにくいが並大抵の相手四、五人ほどならばその身一つで一瞬にして沈黙させてしまうだろうことを想起させるほどにひきしまった身体。
褐色の肌に、目には彼の民族独特の遺伝による赤い瞳を隠すためのサングラス。
そんな彼が夜中の、コンクリートで舗装された海沿いの道に立っているというこの光景はどことなく昔のハードボイルド系の映画を連想させる。
もっとも、今彼が考えていることはハードボイルドとは程遠いのだが。

(そもそもあのように綺麗に描かれた曲線を作ることなど、現在の技術で可能なのか?)

いくら世界が広いとはいえ、もっとも技術の進んでいると言われているアメストリスの中央でさえあのような形の建物は見たことが無い。
……いや、そんな建物のことはどうでもいい。
頭を何度もよぎるその手の疑問を取り払うため、スカーは一度大きくかぶりを振った。
たとえどんなわけのわからない構造をしていようと、とにかく今目の前にある以上はそれを作る技術が存在して、かつ設計者の趣味が悪いのだろうという一言でとりあえずは自分の中では解決できるからだ。

だが……そんな簡単な言葉では解決できないのが、その建物の手前、自分の眼前に広がるこの巨大な湖だ。
一応元いた国でも湖という概念そのものは存在したし、地下を通る水脈があるということも知っている。
なにせマンホールから入って何度も利用させてもらった通路だ。あの臭気と暗闇は今でも覚えている。
だが、ここまで大きな湖というのはまったくもって見たことも聞いたこともない。

(……いや、待て。これはもしかすると、『海』というものではないか?)

ふと思い出す。
そういえばかつて故郷イシュヴァールがまだ比較的平和だった幼少時、兄が話してくれた記憶がある。
イシュヴァールはほとんど草木の生えぬ砂漠の地。
法も中央などと比べればとても整備されているとは言い難く、歴史的に昔から内部での小競り合いが絶えたことはない……数年前の、あの忌まわしき事件が起きるまでは。
そのため生き残るためには各々が武装していくしかなく、年月と共にその慣習が積み重なっていった結果、自分を含めたイシュヴァールの武僧は強者揃いとして大陸中にその名を馳せた。
そんな中、武僧にもならずずっと部屋に引きこもって錬金術を研究していた男が自分の兄だった。
あまり鍛えないために他の男どもよりもかなりひ弱で、そんな兄のことを密かに腰抜けと馬鹿にする者もいたが、その代わりに彼は誰よりも博識な人だった。
ある日そんな兄が子供だった自分に、『海』という、ここから遠く遠く離れた場所に巨大な湖のようなものがあると教えてくれたのだ。
その大きさは今お前がなんとなく想像しているそれよりもはるかに桁違いで、全ての生き物はそこから生まれてきたのだと兄は語った。
ついでに、もしもいつか世界を巡る時が来るならば一度見たほうがいい、とも。
……かといって、兄自身がその海を実際に見たことがあるかといえばそれはないのだろうが。
362: 破壊者二人と仮装泥棒  ◆ARkjy9enog 2007/09/23(日) 12:37:03 ID:PCyUROIO(2/12)調 AAS
ともあれ、これがその海というものであるならば、今は亡き兄の言葉を一つ果たせたことになる。
あの時はいくら海というものの壮大さを克明に語られたところで、現物を見る機会がすぐ側にないためろくに想像すらしなかったのだが、たしかにこれは大きい。
果たしてこの海がどこまで広がっているのか、皆目見当もつかないほどに。
状況がもう少しまともであればしばしその感動の余韻に浸っていたかもしれない。

……だが、今はそうもいかない。
ここでようやくスカーは海から目を離し、地図上でいうところの中央へ向かうために足を踏み出す。
何にせよ、ここは殺し合いの場なのだ。今までとはわけが違う。
元々追われる身であった以上、さして状況はここに来たところで変わっていないと、端から見ればそう言う輩もいるかもしれない。
たしかに人を殺すという行為そのものは変わらないが、その対象が少し変わってくる。
ここに来るまでに殺していたのは、あくまで国家錬金術師とあとは自分の邪魔をしてくる者だけなのだ。
邪魔さえしなければ……路地裏で休んでいるところに紛れ込んできたキメラという例外はあるものの……無関係の者にまで手を出すことはなかった
つまり人を殺すか殺さないか……傲慢な言い方であることは自覚しているが、まだ生殺与奪の余地が残されていたと言っていい。
しかしながら、この現状ではそうもいきそうにないということをスカーは十分に理解していた。
今のところこの場から脱出する方法は、殺すにしろそうでないにしろあの螺旋王と名乗る男と再び対峙することしかないのだ。
何でも願いを叶えてやるなどと言っていたが、それを頭から信用するほどお人よしではない。
まあ、たとえ仮にそれが本当だとしても、自分の願い……全ての国家錬金術師の殲滅という悲願にロージェノムの力を借りるつもりなどはさらさらない。
あくまでも自身の力によってのみ、それを成し遂げてみせる。そうでなければ意味がない。そうでなければ、イシュヴァールの民の怨念は、自分の怒りは、決して晴らせない。
ゴキリ、と音をたてて拳を握り締める。
そのためにはまずこの場から脱出して元いた国、アメストリスへ戻らなければならない。
だからこそ、ここで自分の取るべき行動とは、同じくこの場に紛れ込んできているらしい鋼の錬金術師と焔の錬金術師の他、全ての参加者の皆殺しだ。
生殺与奪などという甘いものではない。生を奪い殺を与えることはあれど、生を与えることは決してないのだから。
誰であろうと見つければその場で殺す。それだけだ。実に簡単な話ではないか。
363: 破壊者二人と仮装泥棒  ◆ARkjy9enog 2007/09/23(日) 12:38:06 ID:PCyUROIO(3/12)調 AAS
「そう……」

呟くとスカーはおもむろにその場にしゃがみこみ、舗装されたコンクリートの上に右手を置いた。
熱の失った、ひんやりとした冷たさが伝わってくる。
……が、それも一瞬のこと。

「簡単な話だ……ッ」

電撃のようなものが飛び散ったかと思うと、次の瞬間にはきれいに舗装されていたはずの地面が隆起し、弾け、まるでドミノが倒れていくかのごとく歪な曲線を成してスカーの右手前方にある小さな建物……倉庫か何かだろうか……に向かっていき、容赦なく破壊した。
ガラガラと音をたてて崩れ落ちてゆく建物。中に誰かが入っていたのならまず間違いなく瓦礫に潰されて一巻の終わりのはずだ。

「そこに潜んでいても無駄だ。貴様はその殺気を隠しきれていない」

完全に崩壊していて、土煙がもうもうと立ち込めている。それにより、人影は見えなかった。
ただそれが見えなくても普通に考えれば誰でも、潜んでいた者は崩落に巻き込まれて潰されたのだと判断するだろう。
だが、スカーは今の一撃で標的を仕留めきれたとは微塵も思っていなかった。
なにしろ……先ほどよりも殺気が強まったのだ。それと同時に、問答無用の威圧感すら感じられるようになる。
怯むわけではないが、先ほど建物の中でこちらの隙を窺っていた人間は只者ではないということがこの時点でわかった。
というよりは無理矢理にでもわからされたというほうが正しいか。

「なに……潜んでいたというわけではないさ」

予想通り……とはいえあまりにもあからさまなため予想とすら言えないが……土煙が晴れない内に、その中から男の声がした。
向こうからすれば予測できない突然の攻撃だったはずだが、その声に驚嘆や怯えの色というものは一切見受けられなかった。
まるで長年の友人に話しかけているような……それでいて独り言を呟いているかのような、そんな二律背反した印象を受ける口調だった。

「ただ、あの場所から飛ばされてきたのがここだったのでな……貴様がもう少し近くに来るまで待っていただけだ」

そして土煙から、ようやくその姿を現す。
その男の印象を一言で表すならば、黒。
言葉というものはやれ漆黒だの永遠の闇の色だの一つのものを表現するのに多くの言い回しがあるが、それでも真に黒を見た場合、それを表現するのに適した言葉といえばこの端的な一言がもっとも最適であるとスカーは瞬間的に思った。
黒のコートを着込み、刃のような鋭い眼光を有し、殺気……そう呼ぶにはあまりにも禍々しいオーラを放ちながら男は一歩ずつ、ゆっくりとこちらに近づいてきた。
そのコートのせいで暗闇に紛れて姿を判別できにくいかといえば案外そうではない。まるで闇の中それだけが光り輝いて浮いているかのような、きれいな銀髪をしている。
そのギャップがとても不釣合いで、そのくせとても似合っていた……薄ら寒さを覚えるまでに。
その男の名は、ヴィシャス。
364: 2007/09/23(日) 12:38:12 ID:HoNUXSc8(1/3)調 AAS
 
365: 2007/09/23(日) 12:38:34 ID:IOFjOZ2m(1)調 AAS
       
366: 破壊者二人と仮装泥棒  ◆ARkjy9enog 2007/09/23(日) 12:39:49 ID:PCyUROIO(4/12)調 AAS
スカーは、男の姿を確認すると同時に理解した。
先ほど殺気を『隠しきれていない』と言ったが、それはとんだ間違いだ。
この男は、最初からそんなものを隠そうとなどしていない。
ただただ身から凄まじいまでのそれを放出し続けている……それも意識してではなく、無自覚に。
一見してすぐに、他人と友好関係を結ぼうなど全く考えていない、生粋の『破壊する側』だとわかる……自分と同様に。

「名乗りはいるか?」

ヴィシャスは刀を居合いの型に構えながら、スカーにそう問いかけてきた。
根拠はないが、相手の返答をあらかじめ知った上で聞いているかのような。スカーはそんな気がしてならなかった。

「いらん。己れは既に名を捨てた……それに、これから死に逝く者に名乗ったところで意味はない」
「同感だよ、傷の男」

相手の男は笑ったようだった。といっても、顔に笑みという名の表情を貼り付けただけという印象だが。
直後、一迅の風がスカーを通り抜ける。

「!?」
「さすがにこのくらいでは終わらんか」

手応えがあまりなかったことを確認し、ヴィシャスはスカーに向き直った。
風と思ったのはヴィシャスの尋常ではない速さの移動による風圧で。そしてその刀には血がついていて。

「ぐぅ……ッ」

そこでようやく、スカーは奴に己の左の脇腹が斬られたのだということに気づいた。
反射的に身体をひねったことで大した傷には至らなかったが、それにしたって狙ってひねったわけではない。
これまでの彼の戦いの経験が、無意識の内に脳神経に危険を告げていたからこそできた芸当だ。
左手で脇腹を押さえるが、浅いとはいえ血が止まらない。
侮った。
苦々しいことだが、スカーはそう思わざるを得なかった。
どれだけの殺気を持とうが所詮は錬金術も使えない、銃すら持っていないただの人間だと思っていた。
多少体術が使えたところで、イシュヴァールの武僧であった己に適うはずがないと思っていた。
なるほど球状の屋根の建物といい、どうやらこの世界は思っているよりもはるかに広いらしい。
男が再度刀を構え、告げてくる。

「だが、次で仕留める」

恐らく、この男に対して距離を置くということはさして意味のないことだ。
スカーは脇腹を押さえながらそう冷静に分析する。
ある程度の距離ならば一瞬で詰めてくるほどの身体能力をこの男は有している。
だが、逆にいえば刀を使った戦闘スタイルであるが故に接近戦しかできないと見える。
ならば……こちらに止めを刺そうと近づいてきたところを迎え討つ!
367: 2007/09/23(日) 12:39:58 ID:i103BBmW(1/7)調 AAS

368: 2007/09/23(日) 12:41:13 ID:HoNUXSc8(2/3)調 AAS
 
369: 2007/09/23(日) 12:42:04 ID:8+zb9RVI(1/2)調 AAS

370: 破壊者二人と仮装泥棒  ◆ARkjy9enog 2007/09/23(日) 12:42:11 ID:PCyUROIO(5/12)調 AAS
「来い」

自分の成すべきことをはっきりと見定め、骨を鳴らしてスカーもまた右手を構える。
一触即発の状況……何が引き金となって爆発するかわからないくらいに、不安定な空間。
夜風が舞い、波が揺れる。ザザァ……と規則正しい周期で波の音がする。
心なしか、その中で異音が紛れ込んだような気がしたがそちらに神経を傾けている余裕はない。
今はただ、互いに相手の隙を窺い続けるしかない。

ヴィシャスの肩と、スカーの右手の指が微かに動いたのはほぼ同時だった。
常人ならばとても気づかないそんな軽い動作。だが両者共にそれに反応した。
全身の筋肉が、躍動する――!

「いやあまいった! 変なとこから飛ばされてきたと思ったらいきなり海の上なんだもんなあ! あやうく溺れちまうところだったよ」

「「…………………………………………………………………………………………………………」」

突如、この張り詰めた空気の中で弛緩しまくった大声が鳴り響いた。
その声に思わず互いに動きを止めてしまう。
反応する速度も一緒、動きを止める速度も一緒、そしてこの場に現れた闖入者に顔を向ける速度もまた、スカーとヴィシャスは一緒だった。
そこには……パンツ一丁で全身ずぶ濡れになったどちらかというとやせ気味の、先ほど溺れかけたと言った割にはかなり気楽そうにからからと笑っている金髪の男がいた。
なんといおうか……自分で言うのもなんだがチンピラ同士のいさかいの最中に、空気も読めず乱入してくる酔っ払いのオヤジをスカーは連想した。
空気の読めなさは恐らくその酔っ払いと同等かそれ以上だと思われるこの男は、ペタペタと裸足でこちらに向かってきながらなおも笑って続ける。

「あ、でも聞いて驚けよ? なんと俺は海に落ちてから百メートルくらいは着衣したままクロールで泳ぎ続けたんだ! まあそのあとはやっぱ服脱いで犬掻きで頑張ったんだけどな。
 多分犬掻き選手権でもやったら上位に食い込むくらい今回のことで泳ぎが上達したと思うぜ! 金メダル……は本家の犬に譲るとしてもそれ以外の生き物には絶対に負ける気がしないね! 余裕の銀メダルさ!
 それにしても犬ってすごいな! あんな疲れる泳ぎしかできないのに不平不満の一言も言わないんだからさ! なああんたらもそう思わないかい?」

「…………」

最初に動いたのは、ヴィシャスのほうだった。
素人相手だからか刀をろくに構えもせず、抜き身のままぶら下げた状態でゆっくりと乱入者に近寄っていく。
殺気は相変わらず放出させているはずだが、このパンツ一丁の男はまったくそれに気づいていない様子である。
というかさらに馴れ馴れしくなった。近づいてきたのが理解の印だと思ったのか無遠慮に彼の肩を叩いている。
371: 2007/09/23(日) 12:43:25 ID:i103BBmW(2/7)調 AAS

372: 破壊者二人と仮装泥棒  ◆ARkjy9enog 2007/09/23(日) 12:43:33 ID:PCyUROIO(6/12)調 AAS
「ん? あんたもやっぱりそう思うの? なーに大丈夫さ、今度犬と競う時までにはこのアイザック・ディアン様がラッコ泳法をマスターして」
「少し黙れ」

ずぶり、という生の肉に刃物を突き立てる生々しい音がした……いや実際にはスカーの位置からはそれは聞こえてこなかったのだが、そのように感じるほど容赦なく黒い男の突き立てた刀が、このアイザックとかいうらしい男の腹部に突き刺さった。
アイザックはなす術なく、口から血を吐いてヴィシャスが刀を引き抜くと同時にその場に崩れ落ちる。
そしてさっきまでの軽口が嘘のように静かになり、やがてあまり動かなくなった。
ゴホッ、と咳き込んでいるあたりまだ辛うじて生きているようだがそれも時間の問題だろう。

「邪魔が入った。さあ、続きだ」

刀についたアイザックの血を拭うと、ヴィシャスはもう彼の方には見向きもせずにスカーと対峙する。
スカーもまた、もはやアイザックに対する興味は失せ、これから瞬歩で間合いを詰めてくるであろうヴィシャスに備えようとする。
……その時、彼は異変に気づいた。

(……なに?)

血が。
つい数秒前にコンクリートについたアイザックの血が。
まるでそれ自身が意思を持っているかのごとく動き始めたのだ。まるで毛虫が這いずるかのごとく。
そしてそれは、アイザックの体内へと舞い戻ってゆく。
青白い顔をしていたアイザックの顔に血色が戻っていったのが見てとれた。
その光景を見ていたスカーは、驚愕と共に一つの可能性に行き着いた。

(この男……ホムンクルスか!)
「どこを見ている」

ヴィシャスの角度からはアイザックの様子が見えなかったのだろう。
急に隙を表したスカーに対し妙な印象を受けつつも、決してそれを見逃すような男ではない。
一秒掛かるか掛からないかの内に、スカーの懐に潜り込んでいた。

(しまっ……)

ヴィシャスの刀が、今度こそスカーの身体を真っ二つにせんと切り上げてくる。
コートが破れ、シャツが破れ、皮膚から食い込み、筋肉が切れ、骨まで到達する……!
373: 2007/09/23(日) 12:44:36 ID:HoNUXSc8(3/3)調 AAS
 
374: 破壊者二人と仮装泥棒  ◆ARkjy9enog 2007/09/23(日) 12:44:42 ID:PCyUROIO(7/12)調 AAS
「ぐ、おおおおお!」

瞬間、スカーはヴィシャスに向けていたはずの右手を彼本人ではなく、刀に向けた。
指が千切れそうになることも覚悟の上で強くそれを握り締めると、錬金術を発動させる!
兄の遺したこの右腕の刺青が光り、なおもスカーの命を刈り取ろうとする刀を分子レベルで解体してゆく。
その速度は一瞬。解体してゆくといっても、その過程を見ることはできない。
切り上げられようとしていた刀はあっという間に、なんとかスカーの致命傷に至る直前で雲散霧消していった。

「なん……だと?」

場違いではあるがここでようやく、相手の男の驚いた顔を見られたのは爽快ではあった。
得物を失くし、何が起こったのか理解できず動きの止まった男を、思い切り左足で蹴り上げる。
相手は突発的に後ろに跳ぶことで衝撃を幾分か和らげてはいたものの、たしかに手応えはあった。
ゴロゴロとコンクリート上を転がり、すぐに起き上がる。顔には出していないが、ダメージはあるはずだ。

「逃がさん!」

この機を逃さず追い討ちをかけようと、傷ついた身体を無視して右手を地面につけ、再び隆起、粉砕の繰り返しの破壊の行進をヴィシャスに浴びせる。
それに対し、彼は……避けようとせず、むしろ自分に向かってくるその破壊に向かって全速力で駆けた。
これにはスカーも面食らう。一体何をするつもりだ。

「ふっ!」

掛け声と共に、ヴィシャスは跳躍する。
それは常人の跳躍力をはるかに超えていたが、それによって破壊をも飛び越えてスカーのほぼ眼前まで着地した。

(…………っ!)

もう少し手を伸ばせば届きそうな距離だが、身体が激しい動きを拒否してくる。
それにたとえ伸ばせたところで、すぐに逃げられて終わりだろう。そのため何も行えなかった。
スカーとヴィシャス。互いに攻撃、防御の動作を行わず、ただ相手の目を睨み合うだけの対峙。
やがて、ヴィシャスの方からその口を開いた。
375: 2007/09/23(日) 12:45:36 ID:i103BBmW(3/7)調 AAS

376: 破壊者二人と仮装泥棒  ◆ARkjy9enog 2007/09/23(日) 12:46:16 ID:PCyUROIO(8/12)調 AAS
「なるほど……最初に俺のいる建物を破壊したのは、それか。くだらん手品を使う」
「くだらないかどうかは、先ほど試してやったはずだがな」
「ああ、おかげで丸腰だ。劣勢の戦というのも嫌いではないが……あまりにも分が悪すぎる」

存外素直に認めたヴィシャスを少々意外に思いながらも、スカーは一歩前に踏み出して言った。

「逃げる気か? 己れが貴様を逃がすとでも思うか」
「無理はするな傷の男よ。今にも倒れそうなのだろう」
「黙れ……」
「安心しろ。ここにいる参加者を殺し続けていれば……いずれまた会える」

その言葉を最後に、ヴィシャスはゆったりとした歩みでスカーを通り過ぎるとそのまま真っ直ぐに歩き去ってしまった。
追いかけたかったが、もはや体力の限界に近い。
死にはしないだろうが、ひとまず休まなければとても参加者を皆殺しなどできそうもない。

(だが、その前に……)

残った体力を振り絞って、スカーはアイザックを……国家錬金術師と同じく自分の敵、ホムンクルスを討たんと彼を探してあたりを見回した。
……が、どこにもいない。

(逃げたか……)

舌打ちをして、その場に座り込む。
この程度の傷ならば、しばらく休んでいればどうにか動けるくらいまでには回復できるはずだ。

「鋼の錬金術師……焔の錬金術師……他の参加者……黒の男……そして、ホムンクルス……!」

殺さなければならない相手を次々と口に出し、その度に心中に怒りが溜め込まれていく。
だがいずれ来るであろう激戦に備え、今はその爆発しそうな怒りを膨れ上がらすだけに留めなければならない。
なにせ、世界は広いのだから。あの男以上の者がいないとも限らない。今は、回復に努めるべきだ。
もどかしい心持ちで、傷の男……復讐者は朝を待つ。

【B-1/海岸沿い/1日目-黎明】

【スカー(傷の男)@鋼の錬金術師】】
 [状態]:左脇腹と右脇腹、右手の親指を除いた四本それぞれ損傷中。多大な疲労。
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式(ランダムアイテム不明)
 [思考]
  基本:参加者全員の皆殺し、元の世界に戻って国家錬金術師の殲滅
  1:皆殺し
  2:回復したら中央へ向かう
377: 2007/09/23(日) 12:47:05 ID:i103BBmW(4/7)調 AAS

378: 破壊者二人と仮装泥棒  ◆ARkjy9enog 2007/09/23(日) 12:47:31 ID:PCyUROIO(9/12)調 AAS


「予想以上にやる……なかなか楽しめそうなところだなここは」

スカーの元から去り、道路を歩いている黒い男がいた。
その口元には微かな笑み。表情を貼り付けただけとは違う、たしかな笑み。
……その方向性は歪んでいるが。

何にしても今は丸腰だ。確実な武器が見つかるまでは不用意な戦いは避けた方がいいのかもしれない。
それを考えると、実にあの男に刀を破壊されたのは痛かった。
なまくらではあるがまさに自分に最適な武器だったといえる。

(まあ、高い授業料だと思えばいい)

螺旋王とかいう奴の他にもあの傷の男のように、素手にも関わらず何やら怪しげな術で闘うような輩がここには存在するということがわかった。
あの男も相当な強さだったが、あれ以上の者も存在するかもしれない。
それを考えると思わず武者震いがしてしまう。
なに、武器ならいくらでも調達できるはずだ。
この殺し合いという場において、武器がなければそれは成立しないのだから。

ヴィシャスの目的……それはまさしくスカーと同じ、ここからの脱出だった。
彼の願いとは自分の所属しているチャイニーズマフィアの組織、レッドドラゴンの頂点。
螺旋王の力を借りる間でもない。己本人の力で成し遂げてみせる。
だからこそ、彼はこのようなところで足踏みしている暇はない……のだが、彼自身がかなり好戦的、かつ残虐な性格なため、どうせなら最大限にこの殺し合いという空間を楽しみたいという誘惑が彼の中に存在していた。
そして何よりも、ここにはあのスパイクが来ているらしい。
元親友で、今は憎しみ合う仲という最高の好敵手が。

「いい機会だ……この場で決着をつけようじゃないか、スパイク」

そうこの世界のどこかにいるであろう男に呟くと、ビシャスはもう一度、嘘偽りのない微笑みを浮かべた。

【B-1/道路/1日目-黎明】

【ヴィシャス@カウボーイビバップ】】
 [状態]:少し蹴られた時のダメージ有
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式
 [思考]
  基本:参加者全員の皆殺し、元の世界に戻ってレッドドラゴンの頂点を目指す。
  1:皆殺し
  2:武器の補充
  3:スパイクと決着をつける
  4:強そうな相手とは勝負を楽しみたい
 ※カミナの刀は破壊されました
379: 2007/09/23(日) 12:48:34 ID:8+zb9RVI(2/2)調 AAS

380: 破壊者二人と仮装泥棒  ◆ARkjy9enog 2007/09/23(日) 12:48:34 ID:PCyUROIO(10/12)調 AA×

381: 2007/09/23(日) 13:29:44 ID:NZ2v9w+D(3/4)調 AAS

382: 線路の影をなぞる者(レイルトレーサー) [status_yi_1976@yahoo.co.jp] 2007/09/23(日) 13:29:47 ID:06E3HvbZ(1/7)調 AAS
トンネル入り口付近。
リザ・ホークアイ中尉は、この異常な状況下において、冷静に活動を始めようとしていた。
名簿と地図は確認を済ませている。当初の目的は、ロイ・マスタング大佐、マース・ヒューズ中佐、エルリック兄弟 と合流することだ。
自分ひとりでは、螺旋王と名乗る存在に対抗するのは不可能だが、錬金術師なら、なにかつけいる隙がみつかるかも知れないという一縷の望みにかけた。
しかし、今この現状では、彼らの所在を掴むことは出来ない。いまのところは偶然出会う確率にまかせるしかない。
だから、自分にとって必要な物資が調達できそうな警察署に行くことにした。
射撃を得意とする彼女にとって、銃器の調達はなにより急務である。調達できそうな場所は警察署ぐらいのものだ。距離はだいぶ離れていて、しかも調達できるかどうかかなり望み薄だが、行ってみる価値はあると彼女は判断した。

今、彼女の手元に銃器はない。支給された武器は、真っ黒な細身の刀剣が数本。
あまり剣は好みではないし、頼りないが、とりあえずコレを使用するしかない。
説明書きには黒鍵(こっけん)という名称のみが示されている。黒鍵を1本ずつ両手に持ち、振り回してみる。
思ったより、手にしっくりとなじんだが、やはりだいぶクセのある武器のようだった。
 (やっぱり銃がないと不安だわ……)
ため息をついた。
383: 2007/09/23(日) 13:30:23 ID:888pqZ7d(5/20)調 AAS
 
384: 2007/09/23(日) 13:31:09 ID:NZ2v9w+D(4/4)調 AAS

385: 2007/09/23(日) 13:31:28 ID:yk5q4EmX(13/16)調 AAS
 
386: 2007/09/23(日) 13:35:46 ID:888pqZ7d(6/20)調 AAS
 
387: 線路の影をなぞる者(レイルトレーサー) ◆hsja2sb1KY [status_yi_1976@yahoo.co.jp] 2007/09/23(日) 13:35:54 ID:06E3HvbZ(2/7)調 AAS
ちょうど、一通り所持品の確認が済んで出発しようと思ったときだった。
カツーン、カツーン。
トンネルの奥から、誰かの足音が聞こえてきた。
 (わたしの他にもこの場所に人がいたのか)
用心のため、ホークアイはデイパックと黒鍵を持って、トンネル入り口近くの物陰に隠れる。
カツーン、カツーン、カツーン。
足音がだんだん近づいてくる。
しかし、足音がトンネルの出口にさしかかったところで、急に止まった。

 (わたしの存在に気づいた?)
一瞬迷ったのち、ホークアイは、姿をあらわすことにした。たとえどんな相手にせよ、遅れをとるつもりはない。
黒鍵を持ってトンネルの入り口の前に立つ。
相手の姿はトンネルの暗闇に紛れてよく見えないが、彼女に気づいている気配はあった。

 「申し訳ありませんが、答えてください。あなたは、この殺し合いに乗っていますか?」
話しかけた。
だが、影は応えない。
 (唐突すぎたかしら……)
もう一度話しかけようとすると、相手は急に前に歩き出した。ホークアイは身構えるが、相手はかまわず近づき、そのまま彼女の脇をすり抜けていく。
そして、
相手がトンネルの外に出たとき、はっきりと相手の姿が見え、初めてソイツの異常さに気づいた。
388: 2007/09/23(日) 13:36:25 ID:i103BBmW(5/7)調 AAS

389: 2007/09/23(日) 13:37:23 ID:yk5q4EmX(14/16)調 AAS
 
390: 2007/09/23(日) 13:38:27 ID:888pqZ7d(7/20)調 AAS
 
391: 2007/09/23(日) 13:40:36 ID:888pqZ7d(8/20)調 AAS
 
392: 2007/09/23(日) 13:40:56 ID:Yloc4L+h(1/3)調 AAS
 
393: 2007/09/23(日) 13:41:00 ID:yk5q4EmX(15/16)調 AAS
 
394: 2007/09/23(日) 13:42:27 ID:888pqZ7d(9/20)調 AAS
落ち着いて60秒数えるんだ。
395: 2007/09/23(日) 13:43:36 ID:Yloc4L+h(2/3)調 AAS
 
396: 線路の影をなぞる者(レイルトレーサー) ◆hsja2sb1KY [status_yi_1976@yahoo.co.jp] 2007/09/23(日) 13:44:19 ID:06E3HvbZ(3/7)調 AAS
(――なに――これ)
常に沈着冷静なはずの彼女の顔が、ゆがむ。

トンネルの奥からやって来たのは、ヒトの姿をした、全身が真っ赤なナニカだった。
全身からつよい血の臭いを放ち、彼女に吐き気を催させる。
少し歩いて急に立ち止まったソレは、ゆっくりとホークアイのほうに顔を傾ける。その動きは、彼女に逆に恐怖を感じさせた。
そして彼女は覗き込んでしまった。その真っ赤なベトベトで覆われた顔の中の、憎悪と憐れみと蔑みが内面に満ち満ちた真っ黒な目を。

身震いと嫌悪感を抑えることができず、
「怪物……」
ホークアイは、我知らずつぶやき、無意識に攻撃姿勢に移っていた。

その言葉と行動に応えるように、「怪物」は、ニヤッと笑う。
そして、意外なほど俊敏な動きで、ホークアイに近づいた。
「怪物」は両方の手で、ホークアイの両腕を無造作に掴む。激痛が走り、あっさりと、ホークアイは黒鍵を取り落とした。

さらに「怪物」は、ホークアイの右腕と左腕を掴みあげたまま、信じられないくらいの怪力で軽々と投げ飛ばした。

「がはッッッ!!!」
あまりの不意打ちに、ホークアイの身体は無防備に地面に激突する。

そして「怪物」は起き上がろうとしたホークアイに、黒鍵を2本とも拾って投げつけた。
ブンッッッ!!!ブンッッッ!!!
黒鍵は両頬をかすめ、均等にかすり傷をつくって、ホークアイのすぐ後ろの地面に突き立つ。

 (強い)
ホークアイは考える。
この「怪物」はいつでも自分を殺せる。
まだ状況が把握しきれていないこの状況では、勝ち目の薄い相手との戦闘は避けたほうがいい。
それにこの「怪物」はまだ、自分の力を誇示しているだけのように見える。本気をだしていない今しか逃げられない。
彼女はあっさりと撤退することを選んだ。
幸い、投げ飛ばされた場所は、彼女がデイパックを置いた場所。
身構えながら、地面に突き立った黒鍵2本とデイパックを冷静に回収する。それを目にしつつも、相手は動かない。
そのまま彼女は後ろを振り向いて逃走した。

――「怪物」が追ってくることはなかった。
397: 2007/09/23(日) 13:44:29 ID:888pqZ7d(10/20)調 AAS
 
398
(1): 2007/09/23(日) 13:46:01 ID:888pqZ7d(11/20)調 AAS
  
399: 2007/09/23(日) 13:46:53 ID:i103BBmW(6/7)調 AAS

400: 線路の影をなぞる者(レイルトレーサー) ◆hsja2sb1KY [status_yi_1976@yahoo.co.jp] 2007/09/23(日) 13:47:02 ID:06E3HvbZ(4/7)調 AAS
 (そうだ、逃げろ)
「怪物」は笑う。
こんなところに呼び出されて、俺のスケジュールは滅茶苦茶だ。だいぶ気分が悪かったんだが――なかなかの美人だったな?少し楽しくなってきた。
ガンドール兄弟との待ち合わせに遅れたら……まあ、主催者に帳尻を合わせてもらおう。ヤツには高過ぎる代償を支払ってもらうことになる。

ゆっくりと歩き出す。目的地はとくに定めていない。あの女を追いかけるのもいいし……まあいい。
すでに「怪物」は、目覚めてしまったのだ。
その「怪物」の名は、

『線路の影をなぞる者(レイルトレーサー)』
401: 2007/09/23(日) 13:48:27 ID:888pqZ7d(12/20)調 AAS
  
402
(1): 2007/09/23(日) 13:48:48 ID:yk5q4EmX(16/16)調 AAS
 
403: 2007/09/23(日) 13:50:15 ID:i103BBmW(7/7)調 AAS

404: 2007/09/23(日) 13:51:45 ID:888pqZ7d(13/20)調 AAS
 
405: 2007/09/23(日) 13:54:00 ID:888pqZ7d(14/20)調 AAS
 
406
(2): 2007/09/23(日) 13:57:00 ID:or7kO67T(1/2)調 AAS
 
407: 2007/09/23(日) 13:58:01 ID:888pqZ7d(15/20)調 AAS
 
408: 2007/09/23(日) 13:58:53 ID:PCyUROIO(11/12)調 AAS
どした?
409: 2007/09/23(日) 13:59:52 ID:GaEjJMvh(6/6)調 AAS

410: 2007/09/23(日) 14:00:16 ID:888pqZ7d(16/20)調 AAS
……イデ(データ紛失)発動?

もしくは、状態表だけミスった?
411: 線路の影をなぞる者(レイルトレーサー) ◆hsja2sb1KY [status_yi_1976@yahoo.co.jp] 2007/09/23(日) 14:03:02 ID:06E3HvbZ(5/7)調 AAS
【H-7/トンネル入り口付近/1日目-黎明】

【リザ・ホークアイ@鋼の錬金術師】
 [状態]: 両頬に細い傷跡。両腕に痺れ。
 [装備]:黒鍵×数本@)@Fate/stay night
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(詳細不明なアイテムがあと0〜2つあります・本人は確認済み)。
 [思考]
  基本:ここから脱出する。殺し合いをするつもりはない。
  1:ロイ・マスタング大佐、マース・ヒューズ中佐、エルリック兄弟 と合流する。
  2:怪物から完全に逃げ切る。
  3:警察署で銃器を調達する。
 ※リザ・ホークアイの参戦時期はアニメ本編15話辺り。 そのため彼女の時間軸では、マース・ヒューズはまだ生存中です。
 ※道路沿いに北上中。
 
 【黒鍵(こっけん)@Fate/stay night】
 外見は剣状でありレイピアに近いが、斬るのではなく投げつけて使用する。刃渡りは80〜90cm、重量は1kg程度で重心が投擲に向くような位置にある。十字架を模していて、扱いが難しいうえ威力もなく、霊的干渉力に重きが置かれている。
412
(2): 2007/09/23(日) 14:03:46 ID:888pqZ7d(17/20)調 AAS
   
413: 線路の影をなぞる者(レイルトレーサー) ◆hsja2sb1KY [status_yi_1976@yahoo.co.jp] 2007/09/23(日) 14:04:09 ID:06E3HvbZ(6/7)調 AAS
【クレア・スタンフィールド@BACCANO バッカーノ!】
 [状態]:健康。全身血まみれ。
 [装備]: なし
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(詳細不明なアイテムが1〜3つ入っています)
 [思考]
  基本:優勝して『フライング・プッシーフット』に戻る。
  1:殺しを楽しむ。
  2:リザ・ホ−クアイに興味(名前は知りません)。
※クレアの参戦時期は『フライング・プッシーフット』の『車掌二人』を殺害後です。
414: 2007/09/23(日) 14:04:32 ID:PCyUROIO(12/12)調 AAS
 
415: 雷光、堕つ〜Fallen Lightning〜(1/5) ◆QcxMJGacAM 2007/09/23(日) 15:44:06 ID:hJab3zeI(1/7)調 AAS
『……その栄冠を得るために、殺し合え。死力を尽くしてな……!』
男……螺旋王ロージェノムのその言葉を最後に、辺りが闇に包まれていく。
そうして、気がつけば。
隣で震えながら僕の手を握っていたはずのキャロの姿は、何処にも見えなくて。
僕はただ、一人で冷たい床の上に転がっていた。

薄暗い部屋の中には、粗末な寝台が一つだけ。目の前には錆の浮いた鉄格子。
……ドクン。
脳裏にフラッシュバックするのは、過去の記憶。
猿轡を噛まされて、全身を拘束具で雁字搦めにされて、まるでモノを見るような視線に晒され続けた、研究施設での日々。
……吐き気が込み上げてくるのを、どうにか堪える。
そんな時だった、空中に通信ウィンドウが浮かび上がったのは。

『成る程、ここに転送されたのはお前だったか。初めましてと言っておこうかの、エリオ・モンディアル?』
「…………あなたは、一体誰なんですか? どうして、僕の名前を?」

ゆっくりと立ち上がり、画面に映っている煙管を咥えたアルマジロをジッと見やる。

『おお、これは失敬。自己紹介がまだじゃったなぁ。
儂は螺旋四天王の一人、不動のグアームだ。お前さんに少々頼みがあっての、それでこうやって話をしておるわけだ』
「『螺旋』って……まさか、あなたも螺旋王とかいう人の仲間なんですか!?」

その言葉に、瞬時に身体に緊張がはしる。
この殺し合い――螺旋王は『ゲーム』とも、『実験』とも呼んでいたけれど――の関係者が、僕に『頼み』があるという。
どう考えても、悪い予感しかしなかった。
そしてそれは、最悪の形で的中することになる。

『おお、そうだとも。儂もこの『実験』のスタッフの一人として参加しておる。
それでの、頼みというのはな……』

   儂の指示に従ってこの『実験』を円滑に進める手助けをしてくれんかの?
416: 雷光、堕つ〜Fallen Lightning〜(2/5) ◆QcxMJGacAM 2007/09/23(日) 15:45:10 ID:hJab3zeI(2/7)調 AAS
「……な……」

思わず、絶句する。
彼の指示に従う?『実験』を円滑に進める手助けをする?
……それは、つまり。

            僕に、人を殺せというのか?

「……断ります!僕だって時空管理局の局員だ、人殺しなんて絶対に……!」
『ふむ、やはり断るか。ま、仕方なかろうて。最初から大人しく言うことを聞いてくれるとはこちらも思っておらんからの。
……じゃが、これならどうかな?』

画面の向こうのグアームが、ニタリと口角を釣り上げた。
……一体、何を…………

……嘘、だ。こんなの……だって、そんな…………

『キャロ・ル・ルシエとかいったかの?残念ながら、もうその子は生きてはおらんよ』

唐突に浮かび上がったもう一枚の通信ウィンドウ。
そこに映っていたのは、血溜まりの中に沈んだ一人の少女。
時空管理局 本局古代遺失物管理部 機動六課 ライトニング分隊所属。コールサイン、ライトニング4。心優しき竜召喚師。

――キャロ・ル・ルシエ。僕の、大切なパートナーの変わり果てた姿だった――
417: 雷光、堕つ〜Fallen Lightning〜(3/5) ◆QcxMJGacAM 2007/09/23(日) 15:47:06 ID:hJab3zeI(3/7)調 AAS
「あ……ああ、あああ…………!」

ガクリと膝から力が抜けて、思わずへたり込んでしまった。
頭の中がグチャグチャになるのが分かった。そんな、まさか、なんで、どうして……疑問詞ばかりが浮かんでは消えていく。

『可哀想にのう、将来有望じゃったろうに……』

通信ウィンドウの向こうで、あいつが何か言っている。……キャロの死を、惜しんでいる?
今度は、視界が一気に真っ赤に染まった。バチ……と、紫電が爆ぜる音が右手の方から聞こえた気がした。

「お前が……お前たちがキャロをこんな殺し合いに参加させなければ、こうはならなかったのに!
それを棚に上げて、そんな事を言うなあああああ!!!」

胸の底から沸き上がる衝動に任せて、紫電を纏った右手をあいつの顔面に向かって叩きつける。
けれど、渾身の一撃はにやにや顔をすり抜けるだけ。当たり前だ、通信ウィンドウ越しに殴ったって、相手が当たるはずがない。無意味だ。
……そう、意味がないことは分かっていた。そんなことをしても、あいつには届かない。あいつは、全然痛くない。
けど、そんなことは関係なかった。ただ、目の前の存在がどうしようもなく……許せなかった。

『おっとっと……やれやれ、これだから野蛮な人間は困る。人の話は最後まで聞くものじゃ。
お前、螺旋王が言っておったことを覚えておるかの?
『その者が望むことを何でも叶えてやることにする』、とな。
勿論、死者の復活とて例外ではない』

……その言葉は、怒りに染まった僕の思考に、何故かストンと綺麗に収まった。
つまり、全員殺して、螺旋王に「キャロを生き返らせてくれ」と頼めば、

          もう一度、キャロに会える?
418: 2007/09/23(日) 15:47:13 ID:Yloc4L+h(3/3)調 AAS
 
419
(1): 2007/09/23(日) 15:47:25 ID:vP6mpLyt(1/2)調 AAS
 
420: 雷光、堕つ〜Fallen Lightning〜(4/5) ◆QcxMJGacAM 2007/09/23(日) 15:48:13 ID:hJab3zeI(4/7)調 AAS
『死者の復活を疑うというのなら、何故お前が『今ここで生きている』のかを考えてみることだの、エリオ・モンディアル。
プロジェクトFとかいう前例がある以上、他に死者復活の技術があっても不思議ではあるまい?ん?』

……確かに、その通りだ。僕は本物の『エリオ・モンディアル』に似せて創られた存在だとはいえ、ある意味では『蘇った死者』に他ならない。
僕の育ての親……フェイトさんだってそうだ。
それに、見つかっていないだけで他の世界には死者復活の技術が確立している世界があるのかもしれない。
そしてその世界の技術を、螺旋王が持っているかもしれないという可能性……限りなく少ないけど、それでも完全に否定できるものじゃない。

『何を迷うことがある?もう一度あの子のに会いたいのだろう?
その手段は目の前にある。躊躇う必要などない……後は、その手を伸ばして掴み取るだけじゃの』

『あの、すみませんでした。
エリオ・モンディアル三等陸士ですよね?
初めまして、キャロ・ル・ルシエ三等陸士であります』

――僕は。

『せっかく会えたんだし、これからもっと……仲間として、コンビとして。
仲良くしていけたら嬉しいな、って……』

――――キャロに。

『私とエリオ君、これからもっといいコンビになっていけるかなあ?』

――――――――もう一度、会いたい――――――――

『……ふむ。どうやら、腹は決まったようだの』
421
(1): 雷光、堕つ〜Fallen Lightning〜(5/5) ◆QcxMJGacAM 2007/09/23(日) 15:49:19 ID:hJab3zeI(5/7)調 AAS
なのはさん……せっかくの教導を、殺し合いのために使ってしまいます。ごめんなさい。
シグナム副隊長……以前教えてもらった騎士の誓い、守れそうにありません。ごめんなさい。
スバルさん、ティアさん、シャマル先生、八神部隊長……それに、他の、この殺し合いに参加させられている皆さん。
これから、あなた達を全員殺します。ごめんなさい。
……フェイトさん……これから、とても危ないことをします。ごめんなさい。
許してくれなくて構いません。こんな事してもキャロは喜ばないっていうのも分かっています。
でも、たとえそうだったとしても。僕は、もう一度キャロに会いたいです。
だから…………一度だけ。一度だけ、我が侭をします。
これが、僕の最初で最後の我が侭です。
僕は、この殺し合いを勝ち抜いて……キャロを、取り戻します。

『ご協力に感謝するぞ、エリオ・モンディアル。
……そうだ、ささやかながら援助をさせてもらおうかの。きっとお前の役に立つことじゃろうて』

そういってウィンドウの向こうのグアームは何やらごそごそと作業を始めた。
なんとはなしにその様子を見ていると……ガシャン、と何かが落ちる音。
振り向けばそこには……見覚えがあるなんてレベルじゃない、とても馴染み深いものが転がっていた。
『閃光の戦斧』、バルディッシュ・アサルト。フェイトさんのデバイスだ。

『餞別だからの、取っておくといい。こちらとしても、お前に簡単にやられてもらいたくはないのでな』
「……そちらの思惑なんて知りません。けど、これを渡してくれたことには感謝します」

拾い上げたそれを、二、三度試し振りをして勝手を確かめる。ストラーダと同じ、長柄の武器だからだろうか。
インテリジェントデバイスであるか、アームドデバイスであるかという差異はあるにしても、バルディッシュは不思議と僕の手によく馴染んだ。
……これなら、やれる。

「キャロ……少しだけ、待ってて。
僕が、絶対に君を助けるから……」
《Barrier Jacket.》

身に纏うは騎士甲冑。
手にするは漆黒の戦斧。
胸に秘めるは決意。

少年は走り出す。どこまでもどこまでも、ただひたすら、真っ直ぐに――――

『キャロ……少しだけ、待ってて。僕が、絶対に君を助けるから……』
「……ふむ。『仕込み』は上手く機能しておるようだの」

――――故に、隠された悪意に気付けない。
422
(1): 2007/09/23(日) 15:50:44 ID:vP6mpLyt(2/2)調 AAS
 
423
(1): 雷光、堕つ〜Fallen Lightning〜 ◆QcxMJGacAM 2007/09/23(日) 15:50:51 ID:hJab3zeI(6/7)調 AAS
【B-7/刑務所/一日目-黎明】

【エリオ・モンディアル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康、強い決意
[装備]:バルディッシュ・アサルト@魔法少女リリカルなのはStrikerS(残カートリッジ:6/6)、バリアジャケット
[道具]:支給品一式、不明支給品(残0〜2)
[思考]:
基本行動方針:優勝を狙う、ただし自身の生存を最優先
最終行動方針:この殺し合いを勝ち抜いて、キャロを生き返らせる
[備考]:
※バルディッシュ・アサルトには管理者サイドが若干の細工を施しました。
現在分かっているのは以下の通りです(これ以外にも細工が施されている可能性もあります)
・盗聴機能

※不明支給品の内訳、及びこれからの移動先などは後続の書き手に一任します
424: ◆QcxMJGacAM 2007/09/23(日) 16:30:00 ID:hJab3zeI(7/7)調 AAS
状態表にミスを発見したので修正を入れておきます

(訂正前)
[備考]:
※バルディッシュ・アサルトには管理者サイドが若干の細工を施しました。
現在分かっているのは以下の通りです(これ以外にも細工が施されている可能性もあります)
・盗聴機能



(訂正後)
[備考]:
※バルディッシュ・アサルトには管理者サイドが若干の細工を施しました。
現在分かっているのは以下の通りです(これ以外にも細工が施されている可能性もあります)
・盗聴機能
・監視機能
425: 番外バトルってレベルじゃねーぞ!! ◆g6Z9FGx6uY 2007/09/23(日) 17:00:24 ID:26ZsYbLo(1/5)調 AAS
はいはーい、今週もサイボーグミーくんの時間がやってまいりました!
気がつけば広い広い部屋に連れ込まれていました。
なにがなんだか分からないままイッカツーイおっさんが出てきましてー。
なんと! 最後の一人になるまで殺しあえというではありませんか!
これには流石のミーくんもびっくり。
その後ガ○ダムみたいなロボット特撮物にでてきそうな奴が出てきてイッカツーイおっさんに突っ込んでいったのですが。
どこぞの宇宙人のようにぶっとばされて首が跳ねられてしまいました。
そして今っ! ミー君は冷酷非道な殺人鬼が多数潜む殺し合いの現場にいるのです!
果たしてミー君はクロ、マタタビと出会い。この惨劇を食い止める事ができるのか!
ハチャメチャサイボーグファンタジーコメディ編! 始まるよぉ!

「って違あああああああああああああああああう!
 まずタイトルから違あああああああああああう!」
いや、そこらへんを筆者に突っ込まれましても。
「ってゆーか! 少年向け漫画雑誌的に考えて殺し合いってどーよ!
 昨今の編集部は何を考えてんのぉぉぉぉ?!」
いや、だから編集部とか関係ないんですってば。
人気ですよ、人気のなせる技です。喜ぶべきことだと思いますよ。

と、なんだかんだでミー君の冒険は始まる!後半ヘぇ! 続くぅぅっ!
「始まらねええええええええ!! というかもう後半かよ――――!!」
426: 番外バトルってレベルじゃねーぞ!! ◆g6Z9FGx6uY 2007/09/23(日) 17:01:28 ID:26ZsYbLo(2/5)調 AAS
「と、まあとにかく面倒なことに巻き込まれちゃったなあ……」
ミー君は頭をポリポリと掻きながら地図と名簿を眺める。
辺りにはトンネルしかない、まずはここをくぐることになりそうだ。
しかし地図を見てもここが何処だか見当もつかない、日本っぽいといえばそうなのだが……?
差し詰め人工的に作られた空間だとかそんなところだろう、そこらへんはゴーくんの出番なのだが。
「名簿を見る限りゴー君は居ない。代わりにクロ、マタタビかぁ」
クロ、憎みそして愛すべきライバル。アイツのことだからほっといても死にはしないだろう。
というか、殺せる奴がいるならそれはそれで見てみたい。
マタタビも……どうだろう、まあ死なない奴だって事は分かるかな。

それより問題がある。
彼にとっての最重要次項、ゴー君の所へ戻ることである。
大前提として自分の生存、これは絶対である。
自分の体内にある武器を使えば生存は容易いだろう。
……では殺し合いに乗るかどうかである。答えは勿論。
「絶対にノゥに決まってんだろォッ!」
ここでお人形のように皆殺しをして願いをかなえてもらって世界征服達成!
ゴー君の元にも帰れてめでたしめでたし。
そんな事は望んじゃいない、人から与えられた世界征服なんてそんなものに価値はない。
世界征服は望みだ、愛しのゴー君の追いつづける叶えるべき夢。
しかし、それはゴー君自身の手で掴んでこそ価値がある。
だから、意地でも帰る必要がある。
427
(1): 番外バトルってレベルじゃねーぞ!! ◆g6Z9FGx6uY 2007/09/23(日) 17:03:00 ID:26ZsYbLo(3/5)調 AAS
問題になってくるのはこの首輪だ。
首を外せば取れるかと思ったがどうやら溶接されているようだ。
……逆に言えば溶接できるような設備があれば解除できるかもしれない。
相当高度な技術が必要だと思われるが。
それになんとも悪魔のチップの動きが鈍い、まだ試していないから何とも言えないが明らかに性能が落ちていそうだ。

「……ま、このトラブルを抜ける為に。まずはクロと合流しますか」
そうして、自らの体内に手を突っ込み。
巨大剣をスルッと抜き出し――――。

抜き出し?
「あ、あれ?」
そう、いつもならスルーっと愛用の剣が出てくるはずなのだが。
「無い! 無い! 無い! 僕の大切な剣が無い!
 心臓のほうにも盲腸のほうにも肝臓の辺りにも無い!」
一大事だ、巨大剣だけではなく武器といえる武器を片っ端から抜かれているようだ。
どこぞのうっお―――っ!! くっあ―――っ!! ざけんな―――っ! と言いながら暴れまわり戦車をぶち壊す武闘家じゃあるまいし。
素手での戦闘にはそこまで自信はない。
「……頼りにならなそうだけど、一応見てみるか」
すっかり意気消沈したミー君は、自分のデイパックを見てみることにした。
ガン○ムに出てきそうな巨大剣でも入っていればラッキーだったのだが、真っ先に出て来たのは店長と書かれた赤い帽子。
だけど何故だか無限大の熱気をこの帽子からは感じる。
とりあえず被ることにして、次のアイテムを探す。
自分の体内と違って構造がいまいち分からない。
そこで少しプッツンと来たミー君は一気に中身をブチまけることにしたのだ。
他に出て来たのは水やらコンパスや時計等。
ご丁寧な事にサイボーグ用の燃料まで入っていた。
そして、伝説の剣宜しく地面に突き刺さったセラミックス製の包丁に……。
428: 番外バトルってレベルじゃねーぞ!! ◆g6Z9FGx6uY 2007/09/23(日) 17:04:01 ID:26ZsYbLo(4/5)調 AAS
「おお、おおおおおおおおおおお!!」
料理人なら、一度は夢見たであろう。
世界中の料理人が認める、まさに究極の食材。
この食材たちの味を引き出すには相当な腕が必要だが……一度は挑んでみたいと思っていた。
「……と、いけない。今はそれどころじゃないな」
料理したい衝動を頑張って押さえつけ、ミー君は食材だけを支給品の入っていたデイパックに入れる。
そして残った食料やらコンパスを自らの収納スペースに入れ、食材の入った袋も収納スペースに入れる。

「さて、それじゃあクロの奴に会いに行きますか」
帽子を被りなおし、片手に包丁を握り締め。
猫型サイボーグミー君は進む。

「待っててねー! ゴーくーん! とびっきりのお土産と一緒に帰るからねー!!」
ゴー君のところへ帰るために、ゴー君に最高の料理をご馳走してあげる為に。
何が起こるかは分からない、死と隣り合わせのいつも以上にスリリングな冒険が始まったのだ。

ぅんむぁて次回!
429
(1): 番外バトルってレベルじゃねーぞ!! ◆g6Z9FGx6uY 2007/09/23(日) 17:05:18 ID:26ZsYbLo(5/5)調 AAS
【H-8/南東側の端っこ(禁止地区ギリギリ)/1日目-黎明】
【ミー@サイボーグクロちゃん】
[状態]:健康
[装備]:セラミックス製包丁@現実、アニメ店長の帽子@らき☆すた
[道具]:支給品一式、世界の絶品食材詰め合わせ@現実
[思考]:待っててねーーー!! ゴーくぅーーーーーーん!!
基本行動方針:殺し合いには乗らず、ゴー君の元へと帰る。
第一行動方針:現状を打破する為クロに会う。
第ニ行動方針:襲われた場合は容赦しない……と言いたい所だが武器が欲しい。
第三行動方針:絶品食材を調理してみたい?
[備考]:
※武器が没収されているのに気がつきました。
※悪魔のチップの性能の悪さをなんとなーく感じ取っているようです(気のせいレベル)
※食材詰め合わせの内約はご自由にどうぞ。
430: 状態表修正 ◆hsja2sb1KY 2007/09/23(日) 17:55:09 ID:06E3HvbZ(7/7)調 AAS
状態表修正。とりあえず、ネタバレ回避度をぎりぎりまで上げてみました。

(修正前)
【クレア・スタンフィールド@BACCANO バッカーノ!】
 [状態]:健康。全身血まみれ。
 [装備]: なし
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(詳細不明なアイテムが1〜3つ入っています)
 [思考]
  基本:優勝して『フライング・プッシーフット』に戻る。
  1:殺しを楽しむ。
  2:リザ・ホ−クアイに興味(名前は知りません)。
※クレアの参戦時期は『フライング・プッシーフット』の『車掌二人』を殺害後です。

               ↓

(修正後)
【クレア・スタンフィールド@BACCANO バッカーノ!】
 [状態]:??????
 [装備]: なし
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(詳細不明なアイテムが1〜3つ入っています)
 [思考]
  基本:??????
  1:積極的に動くつもりはないが、自分に攻撃してくる者に対しては容赦なく反撃する。
  2:リザ・ホ−クアイに興味(名前は知りません)。
 ※クレアの参戦時期は『フライング・プッシーフット』の『車掌二人』の死亡後です。
431: 怒れドモン! 恐怖のバトルロワイアル ◆/eRp96XsK. 2007/09/23(日) 20:12:08 ID:uv95H+Gt(4/10)調 AAS
ここは【B-4】のほぼ中央に位置する巨大な図書館。
どこぞの蔵書狂ならば思わずふらふらと入って行ってしまいそうな、そんな建物の中にその男はいた。
しかし彼はわざわざ本を読む為に図書館へ通うような勤勉な人間ではない。
仮に本人がそうだと言っても、赤いハチマキを頭に巻きつけ、同じ色のボロボロのマントを纏ったその姿では信用されないだろう。
彼は、かつて数多の強豪を打ち倒し第十三回ガンダムファイトで優勝したガンダムファイターにして、
人類の歴史を裏から支え続けた武道家集団シャッフル同盟の長、『キング・オブ・ハート』ドモン・カッシュその人である。

「……信じられん」
薄明るい非常灯のみが光源となっている図書館の中でドモンはそう呟いた。
確かにまともな精神状態では自分の置かれている状況が事実である等とは思えないだろう。
しかし、ドモンはそのような意図からその呟きを放ったのではない。
「あの男の変身、この場へのワープ……どれも現在の技術では実現不可能なものばかりの筈だ」
そう、ドモンが信じられぬと呟いた対象はあの部屋で見せ付けられた数々の超現象だ。
何の変哲もない男がクリスタルを掲げ、光に包まれたと思えば全身に鎧を纏ったかのような異形と化し、
圧倒的な破壊力を持つのであろう破壊光線を撃ち放った。それだけでも十分に驚愕に値する事だが、
あの螺旋王と名乗った初老の男はそれを防ぎ、更にドモンを初めとする複数の人間をこの殺し合いの会場までワープさせてみせた。
最早魔法と言っても差し支えの無いほどに高い技術レベルを誇る未来世紀の世ですら、そのような技術は開発されていない。
(……だが)
そう、だがひょっとすれば世界の誰も知らない闇の中で、そのような技術を開発した者が居るのかもしれない。
事実、ネオジャパンで彼の父が開発していたアルティメットガンダムもまた、とても信じられぬ超技術の塊だったのだ。
では、もしあの男や螺旋王が秘密裏にそのような技術の開発に成功した人間、或いは組織のメンバーだと考えるなら……。
「……だとするなら、捨て置けん。あのような超技術を操り、
 そしてそれを殺し合いのゲームなどという下らんものに使う悪党を野放しにする事は出来ん」
例えそうでなくとも、複数の人間を拉致監禁し、挙句殺し合え等と言う悪党を見逃すつもりは無い。
となれば一刻も早くこの地を抜け出し、螺旋王を打ち倒さなければならない。
そう結論を出し、ひとまずこの図書館から出て行こうとドモンが足を動かした、正にその時。
ドモンの後方の本棚が――正確にはその中の本が――崩れてきた。

「……ッ!」
咄嗟にドモンはそちらを振り返り、身構える。
……が、次の瞬間ドモンが見たものは本の山の上で寝転がり、「うにゃ〜?」等と声を上げる子供の姿であった。
432: 2007/09/23(日) 20:13:00 ID:r8rcZr1o(1/2)調 AAS
 
433
(1): 2007/09/23(日) 20:13:46 ID:888pqZ7d(18/20)調 AAS

434: 怒れドモン! 恐怖のバトルロワイアル ◆/eRp96XsK. 2007/09/23(日) 20:13:56 ID:uv95H+Gt(5/10)調 AAS
 「……?? ここは何処でしょ〜?」
その子供がキョロキョロと周囲を見渡しながらそう言い放つ。
しかし、視線の定まらないこの子供の様子を見る限りそれはどうやら目の前のドモンに問いかけているのではなく、
独り言のようなものらしい。その様子に多少呆れながら、ドモンは子供の質問に答えてやる。
「……ここは見ての通り図書館だ。それよりもお前、名は何というんだ?」
「んにゃ? エドはエドだよー」

 エドと名乗ったこの子供、ボサボサの髪は赤茶色で、肌は浅黒い。歳は精精十代の前半だろう。
着ている服はよれよれの白いTシャツ一枚と、黒いスパッツのみ。何とも貧相な格好である。
「ふむ、エド……か。しかしお前、何故またこんな所から出てきたんだ?」
御尤もな疑問である。状況から考えるに、エドはあの本棚の中から本を押し分けて飛び出てきたことになる。
仮にそうだとするなら、一体どうやって本棚の中の本を片付けることなく本棚の中に入り込んだのか。
「えぇー…………エドはビバップ号でアインと一緒に寝てたんだけど、起きたらこんなトコに居ましたー」
上に伸ばした右手をぷらぷらさせながら答えるエド。うん、元気でよろしい。
アインやビバップ号というのが何なのかは分からないが、おそらくエドは今の今まで眠り続けていた、という事なのだろう。
つまりあの空間から居眠りしたままの状態でワープさせられ、いきなり本棚の中にすっ飛ばされたというワケだ。
それだけ聞くと、何とも間抜けな話である。しかし、その話を聞いてドモンは沸々と怒りをたぎらせていた。
「エド、ひとつ聞きたい……お前は自分が今、どのような状況に陥ってるか分かっているか?」
「ん? ん〜〜〜〜」
首を捻り唸るエドだが、やがて返ってくる答えは「分かんにゃ〜い」というもの。
そのエドの答えによって、ドモンの怒りは密かに沸点を超えた。無論、怒りの矛先は眼前の子供へ向いてはいない。
その矛先が向かうのはこのゲームを仕組み、このような何も分からぬ子供までもを巻き込んだ螺旋王、そして……自分自身だ。

 (螺旋王とやらがこの世のものとは思えない超技術を持っている……? だからどうしたというんだ!
 そんな事はどうでもいい! 今確かにある現実は、目の前のエドのように多くの人々がこのゲームに巻き込まれているという事!
 だというのに俺は奴らの技術に驚き呑まれ、このような場所で時間を空費していた!
 今、この時にも無残に殺される罪無き者や、恐怖のあまり外道に堕ちてしまう者が居るかもしれないというのに!!)
だとするならば、今自分が成すべき事は何か? ……考えるまでも無い。
(この殺し合いのゲームの中、自衛の為に武器を取る者はいても、望んで殺し合いをするような者はそう居ない筈だ……。
 ならば、そのような者達が道を踏み外させないためにも、弱者を保護し、守り抜かねばならん……!
 シャッフル同盟のキング・オブ・ハートとして!!)
435: 2007/09/23(日) 20:14:24 ID:r8rcZr1o(2/2)調 AAS
 
436
(1): 怒れドモン! 恐怖のバトルロワイアル ◆/eRp96XsK. 2007/09/23(日) 20:15:23 ID:uv95H+Gt(6/10)調 AAS
 ちなみにドモンが一人黙考していた際、エドは「ところでお名前なーんでーすか〜」と聞いてみても返事が無かったので、
周囲を見渡したり、本を摘み上げたり、上半身をぐにゃぐにゃさせる妙な踊りを踊ったりして暇をつぶしていた。
……が、突然ドモンに首根っこを引っ掴まれ、そのまま担ぎ上げられた事により、その踊りは中断させられる。
「にゃ?」
「兎も角、善は急げだ……エド! 俺の名はドモン・カッシュ! ネオジャパンのガンダムファイターだ!!
 今、お前が……いや、俺たちがどのような状況に巻き込まれているかはこれからの道中で説明する!
 少々揺れるかもしれんが我慢しろよっ!」
そう叫ぶや否や、ドモンはエドを担いだまま、疾風の如き速さで走り出す。
ほんの数秒で図書館の外へと飛び出し、そのまま道沿いに走り続ける。

「うひゃおぉおぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜っ!」
「待っていろ螺旋王……! 俺は必ずやこの殺し合いを阻止し、貴様を倒す! キング・オブ・ハートの名にかけてぇっ!!」

『さて皆さん、皆さんはバトルロワイアルというものをご存知でしょうか。
 バトルロワイアル。それは即ち、殺し合い、殺し合い、最後の一人となるまで殺し合い抜く、恐怖のゲームです。
 そしてそんな殺し合いの場へと我々もよく知る一人の青年が召還されます――そう、「キング・オブ・ハート」ドモン・カッシュ!
 果たしてドモンは、この恐怖のゲームの中、どのような人々と出会い、心を通わせ、拳を重ね合わせるのでしょうか!?
 そして…………自らのよく知る二人の漢、
 今は亡き人となった筈の二人の漢の存在を知った時、ドモンは一体どうするというのでしょうか!?
 さぁ、それではいよいよ始まります!!
 ガンダムファイト特別編! アニメキャラ・バトルロワイアル2nd!! レディィィーッ! ゴォーーッ!!』
437
(1): 2007/09/23(日) 20:15:23 ID:or7kO67T(2/2)調 AAS
 
438
(2): 2007/09/23(日) 20:16:50 ID:888pqZ7d(19/20)調 AAS

439
(3): 怒れドモン! 恐怖のバトルロワイアル ◆/eRp96XsK. 2007/09/23(日) 20:18:54 ID:uv95H+Gt(7/10)調 AAS
【C-4/図書館付近/1日目/深夜】
【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:健康。疾走中。
[装備]:支給品一式(ランダム支給品は後続の書き手さんにお任せ)
[道具]:なし
[思考]
基本:他の参加者と共にバトルロワイアルを阻止し、螺旋王をヒートエンド
1:他の参加者を探しつつ、エドに現状を説明する。
2:弱者や、望まずゲームに乗っている人間を(場合によっては拳で)説き伏せ、保護する。
3:喜んで自らゲームに乗るような者は容赦なく鉄拳制裁。
 ※本編終了後からの参戦。
 ※参加者名簿に目を通していません。

【エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世@カウボーイビバップ】
[状態]:健康。ドモンに担がれている。
[装備]:支給品一式(ランダム支給品は後続の書き手さんにお任せ)
[道具]:なし
[思考]
1:ドモンの疾走のスピードに大喜び中。
 ※OP中爆睡していたため、自分の置かれた状況を把握していません。
440: 2007/09/23(日) 20:19:10 ID:888pqZ7d(20/20)調 AAS

441: ◆/eRp96XsK. 2007/09/23(日) 20:31:06 ID:uv95H+Gt(8/10)調 AAS
ってミス発見orz
>>439

>【C-4/図書館付近/1日目/深夜】
を、
>【B-4/図書館付近/1日目/深夜】

に修正します。
442
(1): ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:32:45 ID:EDH2XTXp(1/6)調 AAS
言峰とパズーを投下します。
443: 最凶で最低で最悪の災厄 ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:37:22 ID:EDH2XTXp(2/6)調 AAS
言峰綺礼、彼が気がついた場所は神社だった。
「クク。この神父が神社か。中々に皮肉が利いている。……さて、とりあえずギルガメッシュの奴を探す「おいあんた!シータを知らないか!」とする……」

言峰の独白は不意に一つの言葉に途切れる。
そこに居るのは一人の少年だった。
「……子供か。どうした?この私に何か用か。残念だが私は神父でね。仏なら宗教違い「そんなんじゃねえ。女の子を!シータを探しているんだ」

再び言峰の言葉を遮る。
男は酷く焦っている。それは言峰にも容易に見て取れた。

「……残念だが私はお前が始めてだ」
「……そうか。………じゃあな!」
「だが貴様が神に祈ると言うのなら、伝言を受け持つぐらいはしてやろう」

背を向けて走り出そうとする少年に、言峰は一言声をかけた。
444: 最凶で最低で最悪の災厄 ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:39:36 ID:EDH2XTXp(3/6)調 AAS
「えっ」
「これでも神職でな。神に祈る者の願いを無碍にするわけにもいかん」
言峰の言葉は、少年にとっては予想外の物だった。
「えっ。ありがとう。俺はパズーだけど……シータに会ったら『必ず助けてやる。だから心配するな』って言ってくれ」
「必ず助けてやる……そうか。分かった。もし私がシータに出会えば必ず伝えてやろう」
「サンキュ。じゃあ行くぜ」
「待てっ!」
シータを探しに走り出すパズーを再び止める。
それにはパズーも足を止める。そのパズーに言峰は話しかける。
「必ず助けるといったな。それはつまり、『シータ以外の全てを殺す』と言う事か」
「えっ?」
言峰の言葉に、パズーは一瞬凍りつく。
しかし、言峰は構わず続ける。
「そうだろ。私達は最後の一人になるまで殺し合う。そして、お前はシータを生かすという。それはつまり、私や、あの場にいたシンヤという男。
いやそれだけじゃない。あの場には年端も行かぬ少女も居たが、それを全て殺すということだ。
何の罪もない、ただこの最凶で最低で最悪の災厄に巻き込まれたただの被災者に過ぎぬ者に一切の情を省みず、
自らの手で、苦痛に歪み、命を請う少女の胸に、容赦なく刃をつきたてる。返り血を浴びたまま殺し続け、最後には自分自身すらをも殺す。
この場で誰かを『必ず助ける』と言うのはそういうことだ」
「ちっ、違うっ!俺はみんなを助けるんだ!絶対に、そしてあの殺し合いを仕掛けた奴を倒すんだ」
「……全てを救う。全く持って綺麗な言葉だ。……なら問おう。お前はその信念を捨てずに最期の時まで全てを救うを誓うか。一切の後悔無く、
自身の誇りを捨てず、プライドを捨てず、理想を捨てず、絶望に墜ちようが前を向くと誓うか」
「……当たり前だっ!シータを救う為に他の人は殺すなんてしない!俺は絶対にシータもだけど、みんなを助けるんだっ!それに絶望なんてしないッ!!」
「……言い切ったな………………ならこれを渡そう。……私には要らぬ物だ」
445: 2007/09/23(日) 21:40:19 ID:q4WVJYKU(1)調 AAS
 
446
(1): 2007/09/23(日) 21:40:29 ID:bjq02J0L(1)調 AAS
 
447: 2007/09/23(日) 21:40:45 ID:uv95H+Gt(9/10)調 AAS

448: 最凶で最低で最悪の災厄 ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:43:04 ID:EDH2XTXp(4/6)調 AAS
言峰の言葉に負けず、強く反論をしたパズー。
そんなパズーに言峰はあっさり過ぎるほどあっさりと退き、一本の短剣を投げ渡した。
「餞別だ。貴様がそういっても、必ず悪というものは存在する。その悪を殺さぬにしても、跳ね除ける武器は必要だ」
「……ありがとう」
「礼など要らぬ。さっさと行け。シータと言う女が殺される前にな」
「って、あんたの話が長いからだろっ。じゃあなっ!」
その言葉を最後に、パズーは夜の闇に姿を消す。

「必ず救うか。その気持ちを忘れるな。感情を捨てるな……愛する人など、死してからでは気持ちなど永遠に分からぬのだから。
触れ合う事など永遠に出来ぬのだから」
自らもバックから一本の槍を取り出し構え、言峰も一人夜の闇へと姿を消す。

パズーが持つ剣は皮肉にも、魔女が持つ契約破りの短剣。
言峰が持つ槍は皮肉にも、正義を貫く少年の槍。
二人の持つ武器は、あまりにも本来の所持者とは別人過ぎた。
449: 2007/09/23(日) 21:44:08 ID:uv95H+Gt(10/10)調 AAS

450: 最凶で最低で最悪の災厄 ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:45:03 ID:EDH2XTXp(5/6)調 AAS
【H-4 市街地 一日目 深夜】
【パズー@天空の城ラピュタ】
[状態]:健康
[装備]:ルールブレイカー@Fate/stay night
[道具]:荷物一式 未確認支給品1〜3
[思考]
1:とにかくシータを一刻も早く探す
2:言峰の言葉が気になる。だけど人は殺さない

【H-4 森 一日目 深夜】
【言峰綺礼@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:荷物一式 支給品0〜1(本人確認済)
[思考]
1:殺し合いの動向を様子見しつつ、ギルガメッシュを探す。
2:シータに会えばパズーの伝言を伝える。
451: ◆WyVk2HGxbg 2007/09/23(日) 21:46:28 ID:EDH2XTXp(6/6)調 AAS
投下終了です。
452: 2007/09/23(日) 23:26:22 ID:AdjfQjlo(1)調 AAS
どれもしらね。
なんなのこれ?
453: 2007/09/24(月) 01:06:40 ID:cszWwmT0(1/8)調 AAS

454
(1): ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:06:42 ID:ouN6Cfds(1/12)調 AAS
 殺し合いの為に用意された街、その南西部にある学校。
 教師も生徒もいない校舎は暗闇と静寂に包まれていたが、つい数分前、一階の職員室に灯りが点いた。
 それからずっと、その部屋の中だけが絶え間ない騒音に晒されている。
「糞っ、何なんだよこれは! ふざけやがって……!」
 騒音の元は、バトルロワイアル開始と同時にここに転送された、間桐慎二だった。
 彼は虚空に罵声を吐き続けながら、周囲にある様々な物に苛立ちをぶつけている。 
 腕を振って机の上に積まれたプリントを散らしたかと思うと、側にある棚を思い切り蹴り付けて凹みを作った。
 ある程度整頓されていた職員室も、今では嵐が通ったかの様な有様だ。
 癇癪を起こした子供の様に暴れる慎二の姿は、余りに醜く無様である。
 これが、普段は色男の顔をして多くの女性に囲まれている彼の、本質の姿であった。
「なんで、なんで、僕がこんな目に!」
 しかし行動はともかく、慎二がパニック起こすのも止むを得ない事ではあった。
 ほんの短い間に起こった様々な出来事を受け止める程には、彼の精神は強くなかったのだ。

 あの膨大な閃光は、今でも脳裏に焼き付いている。
 高層ビルの屋上から天へ伸びた力の奔流は、慎二が従えていたサーヴァントを一瞬で滅ぼしたのだ。
 その凄まじい光景は、慎二に恐慌を起こさせるに充分だった。 士郎に見つかり、必死で非常階段を駆け下りる。
 有り得なかった。 悔しかった。 そして恐ろしかった。 少しでも足を止めれば、後ろからあの光に焼き尽くされると思った。
 転がるようにして階段を降り切ると、今度は目の前に巨大な影が現れた。 その時点で意識が途絶え──
455: 2007/09/24(月) 01:06:53 ID:ikNCKp1U(1)調 AAS
 
456: 2007/09/24(月) 01:07:10 ID:2lFesc7n(1/5)調 AAS

457: 2007/09/24(月) 01:08:41 ID:cszWwmT0(2/8)調 AAS

458: friend ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:08:59 ID:ouN6Cfds(2/12)調 AAS
 気が付けば、大勢の人間に囲まれていた。 ロージェノムが姿を現したのはすぐ後のことである。
 聖杯戦争の最中であるというのに、全く別の殺し合いに放り込まれてしまった。
 しかもその中には、今や慎二にとって最も恐ろしい存在となった衛宮士郎もいるのだ。
「畜生、どうしろって言うんだよ……!」
 士郎と戦うということは、あの反則じみたサーヴァント、セイバーをも相手にするということだ。
 人間がアレに勝つ方法など、何一つ思い浮かびはしない。
 さらに士郎以外にも、それこそ宝具に匹敵する閃光を放った、あの鎧の男の様な存在がいるかも知れない。
 これから始まる戦いは、もはや人間の力を超越したレベルで行われることだろう。
 そんな中で、何の力も持たぬ"一般人"でしかない慎二が、どうやって生き延びろというのか。
 他者と戦うことすら出来ず、一方的に踏み潰されるだけではないのか。
「なっ…… 違う、僕は……!」
 もはや思考さえ纏まらなくなった。 何の力も持たぬという一瞬前の考えを、首を振って打ち消す。
 間桐慎二は力を持っているのだ。 間桐ならば力を持っていて当然なのだ。 ところが当然あるべきその力が、慎二にはない。
 力が必要なのだ。 間桐慎二が間桐慎二である為に。
「……そうだ、バッグを」
 そこで初めて、自分の隣に置いてあったデイバッグを意識した。 中を改めれば、生き延びる為に有用な何かが見つかるかも知れない。
 それは慎二が恐慌の果てにようやく取った、生存へ向けた前向きな行動だった。
 サーヴァント相手でも通じる武器があれば……などと考えながら、ファスナーを開けて手を突っ込む。
 地図、名簿、ペン、メモ帳、缶詰、水── 色々と出てくるが、どれもいま慎二が欲しいと思う物ではないので、個々の物品をいちいち確認はしない。
 さらにバッグを漁ると、何か尖った物が手に当たった。
「痛っ! 何だ……!?」
 もしかすると武器かも知れない。 今度は用心してその硬質な物体に触り、ゆっくりとバッグから取り出してみる。
 しかし期待と異なり、それは慎二の力となる様な物ではなかった。
「なんだこりゃ。 水晶……?」
 それはまさしく水晶だった。 加工された物であろう、やたらと棘棘しく、形状は綺麗に左右対称で、紅い光をその内に留めている。
 観賞用だろうか? 何にせよ、大して役に立つ物とも思えなかった。
 仮に魔力などが籠められたアイテムだったとしても、慎二は魔力を感じ取ることが出来ないので、判断は不可能だ。
459: 2007/09/24(月) 01:10:00 ID:cszWwmT0(3/8)調 AAS

460: 2007/09/24(月) 01:11:01 ID:88ckKL0g(1/5)調 AAS
  
461: friend ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:11:30 ID:ouN6Cfds(3/12)調 AAS
「ったく、もっと良い物入れとけよ……! 他には無いのかよ」
 無用の長物として放り捨てられた水晶は、乾いた音をたてて床の上を滑ってゆく。 それを見もせず、慎二はさらにバッグの奥を探った。
 その腕がまた何かに触れる。 今度は先程の水晶よりも遥かに大きな物体だ。
 今度こそは当たりかと、期待を滲ませながらその何かを引き摺り出してみるが……
 突然、"それ"が重くなった。
「うわっ!?」
 "それ"はゴトンと音をたてて床に落ちた。
 咄嗟に手を離せたのは奇跡的な事で、一瞬でも遅れていれば指を潰されていただろう。
 慎二は鼓動を早めながら、バッグからはみ出した"それ"をまじまじと見詰めた。 
 まだ部分的にしか露出していないが、"それ"は明らかにバッグの容量を越える大きさを持っていた。
 見える部分だけなら、太い直方体の様な感じだ。
 表面は完全に白い布で覆われ、さらにその上から黒いベルトを巻き付けてある。
「何だこりゃ……?」
 至極当然の疑問だった。 どうやってバッグに入っていたのかも気になるが、やはりそれよりもこの物体の正体が知りたい。
 答えを得るべく、慎二はさらに"それ"を引き摺り出そうとするが、持ち上げようとしても結構な重さがある。
 面倒なので、バッグの方を持って剥がすようにしていった。
 程無く、"それ"は全容を現した。
 "それ"は余りに特徴的かつ印象的な形状をしていて、慎二の目は強く引き付けられた。
 この時、バッグの中から一枚の紙が床に落ちたが、それには気付かなかった。
「十字架……?」
 慎二が呆然と呟いた、その通りだった。
 それは白い布と黒いベルトで包み込まれた巨大な十字架だった。 全長は慎二の背丈を裕に越え、重量もそれ相応になる筈だ。
 慎二はその威容を暫く眺めていたが、やがて、忌々しげに顔を歪める。
 脳裏に浮かんだのは、自らが磔になる為の巨大な十字架を背負って歩く聖者の姿だった。
「なんだよ、懺悔でもしろってのかよ。 ふざけやがって……!」
 懺悔する事など何もない。 神の救いを乞うている訳ではない。 慎二は横たわる十字架を思い切り蹴り付けたが、爪先が痛くなるだけだった。
 他に役立つ物はないかとさらにバッグを覗き込むが、もう何も入っていなかった。 慎二の支給品は、紅い水晶と、巨大な十字架だけだった。
462: 2007/09/24(月) 01:12:32 ID:88ckKL0g(2/5)調 AAS
  
463: friend ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:12:59 ID:ouN6Cfds(4/12)調 AAS
「糞ッ! どうしろってんだ、武器も無しに生き残れってのか……!」
 空のバッグを床に叩き付けて、慎二はまた喚いた。
 何もかもが上手くいかない。 自分がこんな目に遭う理由が解からない。 理不尽だ。
 激情のままに荒い息を吐いていた慎二だったが、やがてそれも治まる頃には、気の抜けた様な顔になっていた。
 もう独りで怒る事にも疲れていた。
 散らかされた床に座り込み、そのまま仰向けに寝転がる。 ぼんやりと天井の照明を眺めた。
 もう考えるのも億劫だったが、それでも死ぬのは嫌だった。
 聖杯戦争に勝って叶えるつもりだった幼い頃からの悲願、それを果たすまでは絶対に死にたくない。
 では生き延びる為にはどうすればいいのか、それが判らない。
 人外の域に達した者達の足元を潜り抜け、しぶとく生き抜いていくには何が必要なのか。
 武器が欲しかった。 しかし無い。 あるのは紅い水晶と巨大な十字架だけ。
 防具が欲しかった。 しかし無い。 食料の缶詰が盾になって致命傷を防ぐなど、映画でも有り得ない展開だ。
 戦力が欲しかった。 しかし無い。 自分に武器はいらないから、せめてライダーの様に思い通りに動かせる誰かがいれば……

「────!!」
 がばと跳ね起きる。
 それは、まさに天啓の如き思い付きだった。
(そうだ…… 人を使えばいいんじゃないか!)
 今の間桐慎二には戦う力は無い、それは悔しいが認めよう。 しかしそれは戦う術が無いという事とイコールではない。
 では、誰を使うのか。 この殺し合いに参加する数十人の中で、慎二が最も操り易い人物とは。

 それは、衛宮士郎に他ならない。

(あいつだ、あの馬鹿なら盾にできる!)
 ライダーを倒された直後であるから殊更に恐れていたが、考えてみれば、この戦いは聖杯戦争とは全く別のものなのだ。
 ならば、敢えて士郎と敵対関係を続ける意味など無い。
 そして、士郎が馬鹿でドが付く程お人好しな性格であることは、今更言うまでも無いことだ。
 大方、この殺し合いを止めようと今も無駄な努力をしているのだろう。
 そこに取り入れば良い。 こちらに敵意が無いことを示せば、まさかあの士郎が問答無用で襲い掛かりはしないだろう。
 セイバーの方が気がかりだが、幾らなんでもサーヴァントを失い完全無防備な相手を殺そうとする事は…… 多分、無い。
464: 2007/09/24(月) 01:14:27 ID:2lFesc7n(2/5)調 AAS

465: friend ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:14:39 ID:ouN6Cfds(5/12)調 AAS
 そうして協力の姿勢を見せ、士郎の信頼を得て行動を共にする。 そうすればセイバーに守られているのと同じ事だ。
 あの宝具があれば大抵の敵は返り討ちに出来よう。 
 やがて用が済めば、愚かにも油断している士郎を後ろから殺してしまえばいい。 マスターを失ったセイバーは、時間がたてば消滅する筈だ。
(ハハ、そうだ、それだよ衛宮! 僕がわざわざ苦労する必要は無い、むしろライダーを消しやがったお前には僕を守る義務があるんだ!)

『やあ衛宮、久しぶりだね。 突然だがお前とは一時休戦することにしたよ。 力を合わせてこの難局を乗り越えよう!』
『おお、さすが慎二だ! そういう風に言ってくれると信じてたぞ! 持つべきものは友達だな! 抱いて!』
『お待ち下さいシロウ! その者はライダーのマスターであって聖杯戦争における敵同士! 馴れ合うべきではありません!』
『そう言うなよセイバー! 慎二は信頼できる漢だぞ!』
『そうさセイバー、僕の目を見るんだ。 この目のどこに疚しい心が見える?』
『おお、なんという澄み切った瞳だ! 貴方のような方が嘘偽りを申す筈が無い! いや、むしろ貴方が私のマスターだ! 抱いて!』

 脳内シミュレートは完璧だった。
「よし待ってろよ衛宮、すぐ行くからな──!」
 長い煩悶の果てに、ようやく見つけた希望である。 目標が定まれば行動は迅速にすべきだ。
 先程散らかした支給品をさっさとデイバッグに積める。
 水晶をどうするかと迷ったが、持ち帰って女にプレゼントする程度の価値はあると思い、やはりバッグに入れた。
 そして照明も消さぬまま職員室を飛び出し、校舎の入り口まで一直線に走る。
 自転車でも置いてないかと考えながら、靴箱の列を抜けて──

 目の前に、闇が広がった。

「…………」
 別に、完全なる闇という訳ではない。
 無人の街でありながら街頭などはそこら中で灯っているし、学校を出て移動する上では何の問題も無いだろう。
 それでも慎二は、多くの殺人者がうろついている闇夜の中に、一人で歩み出す勇気を持たなかった。
「……やっぱり、あいつの方から僕を探すのが筋ってもんだよな」
 わざわざ声を出して自分を納得させると、くるりと踵を返して職員室に戻った。
466: 2007/09/24(月) 01:14:43 ID:cszWwmT0(4/8)調 AAS

467: friend ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:15:49 ID:ouN6Cfds(6/12)調 AAS
【H-2 学校内 一日目 深夜】 
【間桐慎二@Fate/stay night】 
[状態]:健康 
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ/支給品一式(食料:缶詰)/テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[思考] 
1:とりあえず学校に居座る
2:衛宮、早く来ないかな
3:死にたくない、絶対生き延びる
[備考]: 
※参戦時期はアニメ12話直後、バーサーカーと遭遇した瞬間。
※名簿も地図も確認していません。
※士郎と一緒にセイバーがいると思っています。
※クリスタルをただの観賞用の水晶だと思っています。
※十字架が武器であることに気付いていません。

[パニッシャー@トライガン] 
 十字架の形をした「最強にして最高の個人兵装」。 ウルフウッドが使用していた。
 縦棒の長い方が12ミリの重機関銃、反対側の短い方がロケットランチャーとなっている。
 中央部にはドクロを思わせる形のグリップがあり、機銃とランチャーを切り替えて操作する。
 普段は白い布に包まれ、さらにその上から取っ手を兼ねた黒いベルトを幾重にも巻き付けている。

※パニッシャーは職員室に放置。
※職員室の散らかされた床にパニッシャーの説明書が落ちています。
468: 2007/09/24(月) 01:15:55 ID:cszWwmT0(5/8)調 AAS

469: ◆4XfkJ/Yphc 2007/09/24(月) 01:17:08 ID:ouN6Cfds(7/12)調 AAS
以上です。
>>454で忘れてしまいましたが、タイトルは「friend」です。
470: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ)  ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:10:51 ID:3QEtIdGJ(1/6)調 AAS
 「ほぇ?」

 藤乃静留は踏みしめる大地がないことに戸惑って思わず疑問の声をあげて落っこちた。

 「うわぁあぁご、ごめんなさい!」

 ジャグジー・スプロットはいきなり目の前であがった水柱にいつものよう泣いて怯えて謝った。

 ■

 落ちた高さがそれほどではなかったためだろう。会場に飛ばされた直後に水面に叩きつけられるという手荒い歓迎を受けるはめになった静留は、不幸中の幸いというか全身ずぶ濡れになっただけで済んだ。

 「いやほんまにありがとうございます。」
 「い、いえその、ええと・・・・・・たいしたことはしてませんし。」

 ジャグジーの言ったことは謙遜でもなんでもなく事実である。静留は自力で泳いで岸に渡ってきたし、ジャグジーがしたことはせいぜい海から上がる時に手を貸したぐらいだ。
 それから軽い自己紹介をして今に至る。

 「ところで、スプロットはんはこのゲームに乗るつもりで?」
 「ぼ、僕ですか?」

 ジャグジーは静留の質問で自分が殺し合いに強制的に参加させられていることを思い出した。
 現実感がなかったし、バトルロワイヤル開始直後に水難事故未満に遭遇したこともあってすっかり忘れていたのだ。
 ひょっとしたら、忘れようとしていたのかもしれないとジャグジーは思った。そこで思考が別の方向へ行きそうだったので、頭を振って改めて考えてみる。
 自分は螺旋王だとか名乗った主催者の言われた通りに殺し合いをするか。
当然、答えはNOだ。ジャグジーはフライング・プッシーフット号に戻って『線路の影をなぞる者』と黒服の連中を撃退しなければならない。
あそこには大切な仲間たちが、友人と呼べるほど親しくなった人たちがいる。ジャグジーはその人たちを守るため戦うと誓ったのだ。
471: 2007/09/24(月) 02:11:38 ID:SFWWrHSB(1)調 AAS
         
472: 2007/09/24(月) 02:12:25 ID:2lFesc7n(3/5)調 AAS

473: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ)  ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:12:34 ID:3QEtIdGJ(2/6)調 AAS
 「僕は血を見るのが嫌いだし、骨が折れる音を聞くのも本当に怖いから、その、だから、殺し合いなんてしたくないです。あの、ごめんなさいすいません。」

 そこでなぜか泣いて謝るのがジャグジーがジャグジーたる所なのだろう。
 静留は頭を下げるジャグジーをじっと観察する。
なんというかあまりにも情けない。顔に刺青をしていることからギャングか何かかと思ったが、そういった裏社会で生きていける人間にはどうしても思えなかった。
 だから、少し意地悪な質問をすることにした。

 「もし、ゲームに乗った人が襲い掛かってきたらどうなさいはるん?」
 「えと、その、説得します。」
 「説得に応じなかったらどうしますえ?」
 「そ、その、に逃げます。」
 「逃げても追いかけて来たらどうしますえ?」

 ジャグジーは考えた。説得しても逃げても追いかけてくる追跡者を。
 その場合はきっと追跡者は凶暴か凶悪なやつだ。そいつはきっと僕や、僕以外の人たちも殺そうとするだろう。
 ジャグジーは一回深呼吸をして、なけなしの勇気を振り絞る。次の自分の言葉が怖くて目からまた涙があふれてきた。

 「どうしても駄目だっていうなら、殺します。藤乃さんや、他の戦えない人とか、そんな人たちのために。」

ジャグジーは人殺しをしたことがある。間接的ではあったが、自分は殺人者なのだ。
だから人殺しは自分がする。できるだけしたくないが、犯罪者でもなんでもない一般人を、特に静留のような普通の人を殺人者にはしたくなかった。
ジャグジーはそんな自分の偽善者っぷりに嫌悪しながら言葉を重ねる。
 
「こんなことを仕組んだ螺旋王って人にも、抗います。殺し合いなんて間違ってると思うから。」

 ジャグジーは嫌われたと思った。自分は最悪の場合、人殺しをすると告白したのだ。
 静留がいったい今どんな顔をしているのかが怖くて、ジャグジーは顔を上げることができなかった。

 そして、そんなジャグジーの目の前に急に刃物が『出現』した。
 ビビッて驚いて顔を上げると、その刃物を持っていたのは静留だった。
474: 2007/09/24(月) 02:14:11 ID:Dbwysa0G(1/6)調 AAS
 
475: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ)  ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:14:24 ID:3QEtIdGJ(3/6)調 AAS
「ふ、ふふふふふっ、藤乃さん!?」
 「う〜ん、なんでか清姫は呼び出せへんなぁ」

 何時の間にか静留の手には薙刀に似た武器―――エレメントが握られていた。
 静留は調子を確かめるように数回エレメントを振ると、『出現』させたのと同様にエレメントを『消失』させた。

 「え、ええええええええ!?ななななななななななな、なんですかソレェェェェェェ!」
 「ただの手品どすぇ♪」
 「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 つい先ほどまでの決意は何だったのか。ジャグジーは腰を抜かしてまた泣いていた。
 静留はオホホホホと口を手で隠しながら笑っている。予想した通りのリアクションにご満悦のようだ。

 「まぁ詳しい話は道すがらでどうどすか?正直この格好のまんまだと風邪を引いてしまいそうなんどす。」
 「え、ええその、そ、そうですね。」

 返事をしてから、ジャグジーは静留が水浸しのままだったということを思い出した。
 静留が近づいてジャグジーに手を差し出す。ジャグジーは戸惑ったものの手を取って立ち上がった。
 綺麗な手だと、ジャグジーは思った。

 「そんなに見つめられると照れますなぁ。」
 「あ!いえそのごめんなさいすいません!」

 空いているほうの手を頬に当て、静留はいかにも私は照れてますといったポーズを取る。
 一方のジャグジーは顔を真っ赤にしながら顔を横に振っている。泣きながらすごい勢いで顔を右へ左へと振る姿は実に健全で微笑ましい。
476: 2007/09/24(月) 02:14:57 ID:88ckKL0g(3/5)調 AAS
  
477: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ)  ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:15:46 ID:3QEtIdGJ(4/6)調 AAS
 「さて、そろそろ出発しますえ。ホンマに風邪引いてしまいそうやわ。」
 「出発って、どこに。」
 「そこ。」

 ジャグジーの疑問に対し、気軽に静留が指さした先はジャグジーにとって予想した通りのものだった。
 気がついてはいたが、あえて無視していたものである。

 「あの、すごい怪しいですよ」
 「でも他にめぼしい所は見当たりまへんし、行くだけ行ってみましょっか。スプロットはん。」

 それだけ言って静留は歩き始めた。
 ジャグジーも遅れないように慌てて歩を進める。

 「絶対怪しいだよなぁ、あれ。」

 再度呟いたジャグジーの目には見事にライトアップされた豪華客船が写っていた。
 平時ならば歓声を上げて喜んだだろうが、今の状況を考えると怪しくて近づきたくないのがジャグジーの本音である。
 しかし静留の着替えのことを考えると、確かに豪華客船以外めぼしい所は見当たらない。
 と、そこでジャグジーはある事に気づき静留に声をかけた。

 「あの、藤乃さん。」
 「はい、なんどすか?」
 「僕のことはジャグジーで結構です。その、呼び捨てでいいですよ。」

 ジャグジーの友人たちはジャグジーのことを呼び捨てにするし、ジャグジー自身そちらの方が気が楽だった。
 静留に限らず、スプロットさんとか呼ばれるのはなんとなく小恥ずかしいのだ。

 「分かりましたえ。でも呼び捨てやと恥ずかしいんで、ジャグジーはんで堪忍なぁ。」
 「あ、はい。分かりました。」

 ジャグジーは少し嬉しそうにうなずくと、静留の後について豪華客船へ向かった。
 その刺青の入った顔にはまだ涙の痕が残っていたが、悲痛な決意を告白した時の危うさは消え去っていた。
478: 2007/09/24(月) 02:16:17 ID:2lFesc7n(4/5)調 AAS

479: 2007/09/24(月) 02:16:25 ID:88ckKL0g(4/5)調 AAS
  
480: 2007/09/24(月) 02:18:33 ID:2lFesc7n(5/5)調 AAS

481: 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ)  ◆1sC7CjNPu2 2007/09/24(月) 02:18:51 ID:3QEtIdGJ(5/6)調 AAS
【E-3/豪華客船付近/1日目/深夜】
【ジャグジー・スプロット@BACCANO バッカーノ!】
[状態]:健康。
[装備]:支給品一式(ランダム支給品は後続の書き手さんにお任せ)
[道具]:なし
[思考]:
基本思考:主催者に抗う。
1:静留と一緒に行動する。
2:できるだけ殺したくない。
3:2が無理の場合、自分が戦う。
[備考]:
※ 参戦時期はフライング・プッシーフット号事件の最中、ラッド・ルッソと出会った直後あたりで
※ 参加者名簿、地図、支給品にはまだ目を通していません
482: 2007/09/24(月) 02:19:56 ID:88ckKL0g(5/5)調 AAS
  
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