[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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879: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:40 ID:QhFDALG00(1/14) AAS
>>876
>>878

読んでいただいてありがとうございます!

>>877

今にして思えば、前章に比べると戦艦が絡む回はあまりなかったですね。
グレッチ艦長もようやく艦長らしくなってきたというか…。

コンペイトウはその後話に出てこない辺り、拠点機能はかなり落ちてるんじゃないかと思ってます。ゼダンの門は真っ二つになるのでさておき…。笑
グロムリンは自分としては結構攻めたつもりです!でも強化版は出ませんよ!あれは流石にヤバ過ぎるので…。
省1
880: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:41 ID:QhFDALG00(2/14) AAS
 有線ユニットが眩い光を放った瞬間、別の光がグロムリンを照らした。ユニットだけでなくグロムリン本体をも貫く。凄まじい閃光に、周囲の岩石が砕け散った。
「きゃあああ!!!」
 何が起きているのかもわからぬまま、少尉は強い光から顔を背けていた。辺りが落ち着いて思わず正面を向き直った少尉が見たものは、彼女を背中から庇った百式の胸だった。
「た…大尉!!!」
 スクワイヤ少尉は泣きながら半ば叫ぶように呼び掛けた。
『大丈夫か…?』
 崩れ落ちる様にして大尉の百式はその場に座り込んだ。彼の機体はもう殆ど大破と言って差し支えない損傷を受けていた。

『…間に合いましたか』
 フジ中尉の声だった。彼のネモが巨大なビーム砲を携えているのが確認出来る。どうやら彼の砲撃がグロムリンを直撃したらしかった。砲台自体にスラスターを備えているようで、それに機体を牽引させる様な形で少尉達の元へ急行する。
 グロムリンの有線ユニットが首をもたげたが、そこへ増援のGM2達が駆けつける。駄目押しの一斉射撃をグロムリンに浴びせ、完全に沈黙させた。
省6
881: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:42 ID:QhFDALG00(3/14) AAS
 ようやく到着したアイリッシュに収容された面々は、機体をメカニックに預ける。救護班がすぐに駆けつけ2人の手当を行った。念の為医務室に連れて行かれたが幸い大きな怪我はなく、湿布だの絆創膏だのを貼り付けられるだけで済んだ。
「無茶苦茶ですよ大尉達。危ないところだった」
 遅れて医務室までやってきた中尉は呆れた様子である。実際、彼が間に合わなければ2人とも死んでいただろう。
「あのビーム兵器は?」
 椅子に座り込んだままの大尉が訊いた。
「ええ…メガバズーカランチャーです。アイリッシュに積み込んでいた狙撃用の高出力ビーム砲で、本来なら別でジェネレーターに繋がねばならないんですがね。ネモのサブジェネレーターが役に立ちました」
 遠距離用のものをあの距離で撃てば、確かにMAといえどひとたまりもない。
「流石に今回は…紙一重だったな」
 大尉は天井を仰ぐ。
「運が良かっただけですよ!全く…。2人は戦力の要です。今後はもう少し自重してください」
省24
882: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:43 ID:QhFDALG00(4/14) AAS
 ドックではアイリッシュを施設内に収容し、サラミス改は外からドックに括りつける様な形で補給を行っていた。それをぐるりと仰ぎ見ながら、少尉達は艦長についていく。
「連中の置いていった機体が少し残っていてな。メカニック曰く特に問題もないみたいだから、慣らし運転無しで良ければ使えるぜ」
 そこに佇んでいたのは、1機のマラサイだった。
「お前に乗ることになるとはな…」
 マラサイを仰ぎ見る大尉の目は、昔の友人にでも会えたかのように感慨深そうだった。
「わかってるだろうが、大尉が前乗ってた様な試作機とは違うからな。そこんとこ頼むぜ」
「ええ、十分です。薙刀の予備はアイリッシュにありましたよね」
 待ちきれないという様子で、大尉はマラサイのコックピットへと登っていった。少尉がふと横に目をやると、マラサイの横に主砲を取り払われたボールが転がっていた。
「で…私は?まさかほんとにボール??」
 少尉は涙目になって艦長に迫った。丸い棺桶。
省20
883
(1): ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:44 ID:QhFDALG00(5/14) AAS
「そうか、上から来たか」
 レインメーカー少佐はステム少尉と共に被害報告を整理していた。デスクに向かう少佐の傍にステム少尉が立っていた。エゥーゴは前回の戦闘から引き続き正面突破を試みてくるとばかり思っていたが、敵は搦手も好むようだ。
「あちらは試作MAを配置していた筈じゃないのかね?」
「それが…逃げ帰った兵が言うには撃破された様で」
「まさか。…所詮は旧戦争時の設計ということですかな」
 ジオンの遺した設計を元に、ティターンズの工廠で復元したのが例のMAだった。とても一年戦争時の技術では建造できるものではなかったが、今の水準でならと造られた代物である。そう簡単に撃破出来る様な戦力ではない。
「しかし、腐っても対艦用のMAですぞ。それなりの損害は与えておるでしょう」
「そう思いたいものですね」
 2人共薄々感じているが、恐らく戦局はロクな事になっていないだろう。いずれにせよ補給拠点を抑えられてしまったのは痛手である。
「敵は恐らく内部からの侵攻を企てているはず…。本部の連中は?」
省16
884: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:44 ID:QhFDALG00(6/14) AAS
 ウィード少佐から指揮を引き継いだレインメーカー少佐は、補修作業を急がせつつ宙域での索敵を続けさせた。今のところ動きはないが、間違いなく敵の援軍が来る。今はとにかく目の前の部隊を退けるのが先決である。
『艦はお任せします。我々は本部の護衛に』
 ウィード少佐から通信が入る。
「いってらっしゃいませ。ここらで連中との腐れ縁も切ってしまいたいところですな」
『全くですよ。…ラムの方はどうか?』
『行ける。武器の換装に手間取ったが』
 ウィード少佐の問いかけにソニック大尉も応える。ミサイルランチャーを取り外し、汎用のビームライフルに持ち替えた様だ。
『私も行けます。基地内では可変機も持ち腐れですね』
 ステム少尉のガブスレイも準備を終えて合流する。
「ではでは…皆さん、ご武運を」
省1
885: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:45 ID:QhFDALG00(7/14) AAS
「さて…。私も自分の仕事をせねば」
 ひと通りの指示を出し終えると、小さく独り言をこぼして立ち上がった。彼の任務は艦長の代行、ましてや世話係ではないのだ。それ自体、もっと大きな目的の一部分にすぎない。
 自室に戻ると、作りかけだった報告書を仕上げに掛かった。正直、アレキサンドリア隊がここまで戦い抜けるとは思っていなかった。コロニー落としではある意味責任を負わされて左遷された様なものだが、部隊の再建が出来たのは不幸中の幸いと言っていい。これなら或いは彼らの頑張りも報われるかもしれない。
 エゥーゴもよくやる。コンペイトウでも同じ月の部隊と交戦しているのは全くの偶然だが、彼らもこの大きな絵の一部だ。
 絵は自ら描くものだ。決して筆の運びを誰かに動かされるものではない。まして、描いた絵にキャンバスを台無しにされるなどあってはならない。今はエゥーゴに花を持たせてやる部分があったとしても、最終的に描き上がる絵は我々のものだ。バスクやジャミトフ…いや、ティターンズさえも所詮は絵画の登場人物に過ぎない。
「パプテマス様…貴方が絵描きならば、私は筆で在りたいのですよ」
 報告書があらかた仕上がり、椅子の背もたれに寄りかかりながら天井を見上げた後目を瞑る。
 その瞼の裏には、荘厳で神々しい…神の意志たる絵描きの、光溢れる世界が広がっていた。

48話 神の意思
886
(1): ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:45 ID:QhFDALG00(8/14) AAS
「さて…いつ来るかな」
 ソニック大尉は辺りを見渡した。
 アレキサンドリアの持ち場を離れた彼らは、本部近くの比較的開けた通路に陣取っている。エゥーゴの抑えた地点から考えると、ここを通らなければ本部までは到達出来ない筈である。
『…正直なところ、ここまで敵が到達することがあればもう手遅れね』
 ウィード少佐が溜息をついた。左遷早々に負け戦とはつくづく運のない部隊だ。
「まあな。仮に殲滅したとしても、増援を迎え撃つだけの戦力は残っていないしな」
 変わらず索敵を続けながら応えた。
『だったら早く撤退すべきでは?このまま戦ったって何の意味も…』
 ステム少尉が口を挟む。
「はいどうぞとコンペイトウを明け渡すのか?ここを簡単に取られたらグリプス2の件も情報が渡る。俺達はギリギリ迄粘らんといかんのだ」
省23
887: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:46 ID:QhFDALG00(9/14) AAS
 狭い場所なだけに軽率な動きはお互いに取れない。無勢のソニック大尉としては非常に好都合な地形である。しかし、ジリジリと距離を詰めてくるGM2。先程の連中とは一味違う様だ。
「…とはいえ、所詮はGM2とマラサイ。上等なバックアップがついたところで、ゼクとやり合うには些か性能不足だろうな…!」
 大尉は状況を打開すべく先に仕掛けた。ライフルを放ちつつ、別の遮蔽物のある位置へと飛び移る。GM2はこちらの射撃を躱した体勢から一連の動作へ繋ぐと、そのまま突進してきた。
「ほう…!身体の使い方を知っているな…!」
 感心しつつも敵に向けて近くの手頃なコンテナを投げつける。敵はそれを盾で受けたが、そのタイミングを狙ってコンテナ諸共敵を撃つ。弾薬を積んでいたコンテナが誘爆し、辺りを閃光が包む。
「む…」
 大尉も少し目が眩んだが、どうやら敵はその機会を見逃さなかったらしい。マラサイが懐に潜り込んでくる。
「この程度で!」
 瞬時にサーベルを抜くと、マラサイを両断すべく縦に振るった。しかし、逆に両断されたのはゼクの右腕だった。
「馬鹿な…」
省15
888: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:47 ID:QhFDALG00(10/14) AAS
『大尉は勝手ですよ!』
 間一髪のところに援護射撃を挟んだのはステム少尉のガブスレイだった。バルカンによる威嚇射撃を嫌い、飛びのく様にマラサイが下がる。
「少尉か!何故持ち場を離れた!?」
『あんまりにも戻るのが遅いから…!来てみたら案の定じゃないですか!』
 正直ありがたい増援だった。しかし少尉のガブスレイも狭い場所では十分にスペックを活かすことは出来ない。
『で…?どうするつもりなんです』
「こいつらは並の連中じゃない。これ以上進まれでもすれば…。いや、刺し違えてでもここで落とす」
『なるほど。作戦らしい作戦は無しですか』
 ステム少尉の呆れた様な溜息が聞こえる。実際自分でも呆れる無策っぷりではある。変わらず敵部隊は距離を詰めてきている。
「あまり時間は掛けられん。長引くと他の部隊まで呼び寄せる事になるからな」
省8
889: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:47 ID:QhFDALG00(11/14) AAS
「こんの…!デカブツ!!」
 初手のマラサイの突進をいなした青い機体に向かって、スクワイヤ少尉はビームサーベルで斬りかかる。敵は驚くほど俊敏にそれも躱しつつ、カウンターに蹴りを繰り出してきた。両腕でそれを防ぎながら、バルカンで敵の関節部を狙う。敵の膝を集中的に攻撃すると、ようやく体勢を崩した。
「貰った!」
『少尉!』
 追撃をかけようとした少尉をフジ中尉が制止する。すんでの所で下がると、ガブスレイの射撃が機体の目の前を掠めていった。ワーウィック大尉のマラサイと共に一旦距離を空ける。

『ガンダムじゃなくても…やるじゃないか』
「あの子は出来過ぎてるんですよ。たまには私も身の程も知らないと」
 スクワイヤ少尉はワーウィック大尉と軽口を叩く。敵に増援が加わったが、それでもまだ2対3だ。
『この辺りに敵影はあと1つ。増援はそちら側から移動してきた様ですが…』
 フジ中尉が辺りのデータを共有してくれていたが、先程の先制攻撃は賭けだった。高性能なエコーロケーションを利用した索敵とはいえ、味方の可能性も無くはなかったのだ。中尉の分析をあてにはしているが、仲間を撃つのは御免である。
省3
890: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:48 ID:QhFDALG00(12/14) AAS
『性能差はあるが、どうにかここを押し切れば…』
 その時、大尉の声を遮るようにして爆発音が振動と共にあたりに響く。
「な…何なの!?」
『爆破したのか!?』
 中尉が声を荒げる。只でさえ狭い通路が瓦礫に埋もれ始めた。強烈な振動は尚も続き、連続的にあちこちで爆発が起こっているのがここからでもわかる。
「何なのよもう!」
『下がれ!死ぬぞ!』
 頭上が崩れ、大小の岩が降り注ぐ。どうにか躱しながらあたりを見渡すが、照明がやられた様で周囲はかなり暗くなってきた。
『ちぃ!退くぞ!中尉、ナビゲートを!』
 そうこうしている間にも敵との間に大きな岩が落ちてくる。分断されたタイミングで一気に来た道を戻り始めた。敵も後退を始めた様だ。
省17
891: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:48 ID:QhFDALG00(13/14) AAS
『元々ジオンがMSを開発していた時、重機の延長ということにして連邦の監視を躱していたらしいな』
 岩を退かしながら大尉が言う。
「だったらこれがMSのほんとの仕事な訳ですね」
『本当にそうだったら良かったのにな。だが、そうはいかなかった』
「私達だってそうでしょう?別に殺し合う為に生まれてきた訳じゃない」
 大尉の返事はなかった。
『そういえば…。大尉はニュータイプの存在を信じてらっしゃるので?ジオニズムとでもいいましょうか』
 珍しく中尉が雑談に加わる。
『そうだな…。ジオン・ズム・ダイクンの言うような大それたものじゃないだろうが、遅かれ早かれ人の革新はあると思っているかな。実際に人類が宇宙に生活圏を拡げたのもそうだろ』
「ふーん。そんで、最後はその宇宙で生き埋めになる?」
省7
892: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/08(水)21:49 ID:QhFDALG00(14/14) AAS
 通路の向こうは比較的被害が少なかった様で、殆ど原形を留めていた。急にあたりが明るくなったせいか、幾らか眩しさすら覚える。
『上出来だ。早く行こう』
 大尉に促され、まずは先導役のフジ中尉が通り抜ける。それに続いて大尉のマラサイが進み、最後に少尉のGM2が通り抜けようとした。
 しかしその瞬間、支えを失った天井が再び崩れ落ちてきた。
『少尉!!』
「うわっ!!」
 機体に直撃する形で瓦礫が降ってくる。あっという間にあたりは暗くなり、大尉達の姿は見えなくなった。

50話 綺麗事
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