[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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349: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:06 ID:Pnx8nl0h0(2/6) AAS
『いつまでこれ続ける気なんだ?いい加減つまんねぇなぁ』
そういうと敵は急旋回し、こちらを掠めて交差した。
『折角だぜ?もっと楽しまなきゃ損だろお!?』
敵は背後からこちらの真下を再度すり抜けると、宙返りするようにして上を取った。MS形態へ可変すると、こちらに跳び乗る。
「ふざけた真似をっ!」
少尉はバレルロールの要領で振り落とす。敵は高笑いながら落下すると、再びMA形態に戻りこちらを追撃してきた。おちょくられているらしい。
「いつでも落とせるつもりかい?」
『そうだよ坊や!飛行機風情がこのギャプランとやり合おうなんざ、ふざけてるのはてめぇの方だぜ』
350: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:06 ID:Pnx8nl0h0(3/6) AAS
敵の砲撃。機体をよじる様にして躱しながら、再度距離を取るべく回り込む。
『埒が明かねえ野郎だな!落とすぞ!』
距離が開いたところで、敵機が再度MSに変形して正面から迫る。
「いい位置だよ」
そういうと少尉はロングレンジライフルからビームを放った。
『おほ!いいねえいいねえ!!』
敵は急に軌道を変え、寸でのところで砲撃を躱す。
「その位置から躱せるのか…!ただの馬鹿ではなさそうだね」
『何だと!馬鹿はお前だ!』
そのまま上を取ると、敵がビームサーベルで斬りかかった。
省4
351: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:07 ID:Pnx8nl0h0(4/6) AAS
『全く…。お前はまたそうやって敵と通信したがる。私もチャンネルを合わせなければ指示が出せんではないか』
違う敵の声。全身をカスタムしたジムクゥエルが割り込んできた。長物を携え接近してくる。
「くっそ…!速いな…!」
ジムクゥエルのビームスピアーが翼を掠める。大きなダメージではなかったが、このまま2機を相手取るのはいささか厳しいものがある。一気に劣勢になった。
『邪魔するなよ!あんたは少佐の掩護をやってれば良いでしょうが!』
『生意気な口を利くな。あんな支援機如きに手こずっておいて何を言うか』
「どいつもこいつも…お喋りばかりしてぇ…!」
シェクター少尉は連装ミサイルで弾幕を張った。2機はすぐに散開する。
『あれは俺の玩具だ!大尉は下がっててくださいよぉ!』
ギャプランがMAに変形して突撃してくる。加えてその少し低空からはジムクゥエルも迫ってきていた。両方は躱し切れそうもない。どうする。
352: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:07 ID:Pnx8nl0h0(5/6) AAS
『どけどけぇ!!』
後方から、多数の砲弾が敵機を掠める。
『くそ、新手かよ!』
ギャプランのパイロットが後ろへ下がる。
『貴様がノロマだからだ。すぐに仕留めておけばいいものを』
ジムクゥエルも一旦足を停めた様だ。シェクター少尉は危ないところで命拾いした。
『…間に合った…とは言い難い感じだなこれは』
サドウスキー大尉の声だった。しかし見慣れない機体に搭乗している。
「大尉!その機体は?」
『ああ、リックディアスはちょいと置いてきた。久々のガンキャノンだぜ』
省8
353: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:08 ID:Pnx8nl0h0(6/6) AAS
こちらの2機とティターンズの2機。対峙する様に向かい合っていた。すぐにワーウィック大尉も来てくれる。それまでにやれる限りのことをやらねばならない。
「僕らの家だ。これ以上はやらせない」
少尉は、ガルダ級の炎を背に目の前の敵を睨んだ。
37話 炎を背に
354(1): 2019/08/27(火)18:40 ID:9xqzxMEE0(1) AAS
乙です!
G-ディフェンサーの分離合体機構を有効活用してるとこ、初めて見ましたw
元メタス&Gメカもどき vs TMA で対等って絵面もなかなか面白いですね
ガルダ沈みそうですが、そろそろ艦名は教えていただけるのでしょうか…?
355: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)21:08 ID:wttVmzmC0(1) AAS
>>354
コメントありがとうございます!
どっかの誰かも分離した状態で頑張ってましたが、最後の最後に脇見運転しちゃったから…w
ここにガンダムMk-?が加われば、ガンダム、ガンキャノン、支援メカっていう王道パーティーが揃うんですよ!強引に揃えた感も否めませんがw
それは結構大事なポイントになってますんで、是非引き続き読み進めていただければと思います!
356: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/02(月)23:00 ID:fcpsgOD90(1/8) AAS
ワーウィック大尉と共に転向し、すっかり慣れ親しんだ艦。しかし今はそこが戦場と化していた。爆炎が上がる格納庫へ突っ込むようにして着艦した時、そこには変わり果てた光景が広がっていた。
ミデアのものと思われる残骸と、散乱した機材。立ち上る炎と煙の中で動かなくなった人影、何かを大声で叫びながら助けを求める乗員達。必死で救命、消火に当たる人々。…一言でいうなら、ここは地獄だった。
357: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/02(月)23:01 ID:fcpsgOD90(2/8) AAS
『アトリエ中尉か!俺だ!ここだ!』
ブリッジとの通信を終え、すぐ立て続けにモニターに映った男。顔の判別がつかない程汚れきっていたが、声ですぐにヴィジョンだとわかった。
「ヴィジョンか!生きてたなら何よりだ!」
『お前もな!ブリッジとの回線が死んじまったが、短距離の通信ならどうにかいけた。お前、これからどうするんだ?』
「MSが紛れ込んでるんだろ、そいつを追う」
『そうか。カスタムされたジムクゥエルだった…ミデアから出てきたのMSはそいつだけだ。
後、特務部隊らしき連中が数人白兵戦を仕掛けてきてる。他のクルーはそいつらと交戦してる頃だろうな』
「わかった。あんたもいつまでもこんなとこいたら危ねえぜ」
『ちょっと怪我しちまってな…救護待ちだぜ』
先程から肩で息をしているようだった。姿全身は見えない。
省3
358: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/02(月)23:01 ID:fcpsgOD90(3/8) AAS
敵の進路はすぐにわかった。MSが艦内を歩き回ることなど、ガルダ級といえど当然想定していない。
無理矢理作られた20m程度の高さの道。少し辿った段階で、動力炉を目指していることは明白だった。
「俺達が遊ぶには、ここは狭すぎると思うぜ」
アトリエ中尉は、マラサイを落とされた時のジムクゥエルを思い出していた。
あの時、シェクター少尉を逃してからどれほどの時間戦っていたのか。今となってはもうわからない。とにかく敵を落とし、引きつけるために戦った。
万策尽きた頃、悠々と現れたのがそのジムクゥエルだったのだ。鮮やかな動作ですぐに手練だとわかった。アトリエ中尉は死を覚悟していたが、結局やつに見逃された。
堕ちていく機体のバーニアを吹かせるだけ吹かし、空中分解しながら着水したのを覚えている。
その後は半分無意識で岸まで辿り着き、打ち上がったMSを見つけて動かそうと試みていた。ワン中尉の声がしたところで記憶は一度途切れた。
359: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/02(月)23:02 ID:fcpsgOD90(4/8) AAS
今回の襲撃があの時のジムクゥエルによるものかはわからないが、何となく因縁の様なものを感じていた。
恐らくだが、アトリエ中尉が不在の際に部隊が遭遇したというエースも同一人物ではないか。
考えを巡らせながら、ひたすら敵機を追う。区画を破壊しながら先へ進もうとしているジムクゥエルの背を捉えた時、アトリエ中尉の予感は確信に変わった。
「あの時のやつ!!」
各部をカスタマイズしたジムクゥエル。明らかにあの時の機体だった。中尉はサーベルの柄を握ると、ビームを展開しないまま急接近を試みた。
敵もこちらに気付く。あろう事か敵はライフルの銃口をこちらへ向けた。
「こんなところで撃つ気か!?」
敵は躊躇なくビームを放った。中尉は避ける訳にもいかず、シールドで受ける。飛び散った粒子が周辺を焼いた。
「敵さんからすれば、ガルダ級を落とせればなんでも良いってか…!」
この辺りはまだ貨物や資材が多いが、更に進まれると居住スペースもやられてしまう。
省1
360: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/02(月)23:03 ID:fcpsgOD90(5/8) AAS
敵は尚も発砲しようとライフルを構えた。アトリエ中尉は敵機の斜め上にシールドを投げた。敵の傍の隔壁に突き刺さる。
「よし、そこだ…インコム!」
瓦礫の中に潜ませたインコムで敵のライフルを撃ち抜く。貫通したビームはそのままシールドに反射し、拡散した粒子が敵機に降り注ぐ。微量だが目くらまし位にはなる。
怯んだ隙にガンダムは敵へ掴みかかった。態勢を崩した敵機に覆い被さるような形になる。
左手で敵の頭を抑え、右の手でサーベルの柄をコックピットへ向ける。敵機は、サーベルを持った腕を両手で掴み必死に抵抗してきた。力比べになり、両機の腕部が軋む。
「好き勝手しやがって…!お前との腐れ縁もこれまでだよ…!」
敵機は、脚部をこちらの腹に押し込み蹴り上げる様な格好で更に抵抗してくる。流石にこちらの腕部も悲鳴を上げる。
形振り構っていられなくなったアトリエ中尉がサーベルに刃を形成しようとした時、その脚部から対人用の砲が発射された。
砲撃を受けIフィールドをうまく形成出来なくなったサーベルは、多少の粒子をこぼした後沈黙してしまった。
「くそ…!」
省3
361: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/02(月)23:04 ID:fcpsgOD90(6/8) AAS
「流石に抵抗するよなあ…!…仕方ねえ」
アトリエ中尉はバーニアを吹かした。艦内でバーニアは使いたくなかったが、これ以上敵を留まらせる訳にもいかなかった。
強い圧力を受けた敵機が、挿し込んだ脚部を畳む様にして丸まった。丁度体育座りの様な態勢で圧力に耐えている。2機分の重量とバーニアの出力で床が割れ始める。
「ここまで来たら博打に乗ってもらうぜ!!行こうか!!」
中尉はインコムで床を焼いた。切り抜かれた床は圧力に耐えきれず破れた。下に落下する勢いで床を抜いていく。
艦底と思われる部分もインコムでくり抜き、バーニア出力に任せて敵を穴目掛けて叩きつける。
敵機の抵抗で簡単には艦外へ押し出せない。敵機は空いた穴に体が嵌った様な態勢で、四肢でどうにか留まっている形だ。
「往生際の悪い…!」
アトリエ中尉は一度軽く跳び上がると、勢いそのままに敵機を踏みつけた。外に吸い出される力と相まって、流石の敵機も耐えきれず艦外へ弾き出された。
362: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/02(月)23:04 ID:fcpsgOD90(7/8) AAS
同じく吸い出されそうになる中尉の機体はどうにか穴の縁を掴む。トリモチランチャーを撃てるだけ撃ち、穴の修繕を試みる。
「流石にこれ以上は無理か…。後の修繕は頼むぜ…落ちるなよガルダ級…!!」
そう一人こぼすと、中尉も艦を掴む手を離した。気流に飲まれながら、先程のジムクゥエルを探す。
「この程度で終わらねえよな…芽は摘んでおく」
38話 腐れ縁
363: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/02(月)23:07 ID:fcpsgOD90(8/8) AAS
少しまた間が空いてしまいましたが更新しました!pixivもどうぞ!
https://www.pixiv.net/novel/series/1155468
364: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:00 ID:hg3n1ntt0(1/11) AAS
「一体何が起きたの!?」
艦内に大きな衝撃が走った。ワン中尉は周辺のクルーに聞くが、皆同様に混乱している様子だった。敵の襲撃ということだろうが、ガルダ級への直接攻撃があるとは予想していなかった。あくまでもC地点は補給の掩護の意味合いで設定したに過ぎなかったのだ。
「メイー!」
ワン中尉の元へ駆け寄って来るメアリー。彼女は何かを感じている様だった。
「怖い人達が来るわ。初めて会った時のメイみたいな」
「ティターンズね?大丈夫よ、私の方が強いから安心して」
屈んでメアリーと向き合うと、そういって彼女を抱きしめた。
「にしても、何処から襲撃かしら。やっぱり格納庫…?」
「そうよ、後ろの方から来る」
メアリーが格納庫の方向を指差した。
省1
365: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:01 ID:hg3n1ntt0(2/11) AAS
メアリーをクルーに預けると、ワン中尉は格納庫の方向へ向かった。途中艦長からの通信があり、敵の潜入部隊が白兵戦を仕掛けてきたとの情報が入った。
人数は不明だが、整備班の情報に依れば10名にも満たない程度だということだけは確かだった。
アイバニーズ少佐麾下の特務部隊は敵地への潜入・撹乱が最も得意とする分野だ。常に最低限の兵装のみで最大限の戦果を挙げてきた。
その任務の特性上人員の消耗も激しいが、裏を返せばどの任務もそれだけ苛烈に行われてきたということだ。今その凶刃の矛先はガルダ級に向けられていた。
格納庫が近づくにつれて、艦内の惨状が明らかになってくる。遠くから大きな音が聞こえ、その度に艦内が少し揺れた。
進む道も火薬の匂いと煙が次第に大きくなり、これ以上は近づけそうもない。
その時だった。前方を先行していたクルー達の姿が突然見えなくなった。艦内が騒然としているとはいえ、特に入り組んでもいないこんな場所で急に姿が消えるはずがない。
ともすれば消されたかである。ワン中尉は敵の影を認めると、曲がり角に身を潜めた。数は4人といったところか。
366: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:02 ID:hg3n1ntt0(3/11) AAS
十字路を抜けようと先行してきた敵の1人に出会い頭のヘッドショットを決める。
気付いた他の敵がこちらを向いた時にはもう一人の懐に潜り込んでいた。
顎から頭に向けて下から撃ち抜くと、崩れ落ちる敵の身体をいなす様にして別の敵へと放り投げる。狼狽えた敵の額を正面から撃つ。
煙の中に紛れながら残る1人の背後を取ると、振り向かれるより早くナイフで首を掻き切った。ここまで数秒の出来事だった。
「特務部隊ね…他愛もない。煙に巻かれてとはいえ、バッカス少佐の方がよっぽど手強かったわ」
ワン中尉は返り血を拭いながら小さく呟いた。
その足でそのまま格納庫へ行きたいところだが、依然として火の手は上がっている。それに、報告からするとあと1つ部隊が潜入していると見るべきだった。
ワン中尉は格納庫を諦め、引き続き艦内を捜索しつつ音がする方向へ進む事にした。
367: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:03 ID:hg3n1ntt0(4/11) AAS
居住区から格納庫へ伸びる道をまっすぐ進んでいたワン中尉は、行く手を遮られて横へ曲がる形になった。道中、著しく破壊された区画へ行き着いた。
「これってモビル…」
言い終わる前に轟音が響く。恐る恐るその先を覗き込むと、荒れた艦内で敵MSと組み合うガンダムの背中が見えた。
「アトリエ中尉…戻ったのね」
これ以上近づくのはあまりに危険だった。崩れた足場と各種配管や配線が剥き出しになり、メガ粒子に焼かれた壁が燻っている。
最初に遭遇した部隊が居住区を狙った動きだったとして、進路からして敵MSはこの艦の動力炉を目指している様にみえる。ならば残る最後の部隊は何処へ行ったのか。
資材や補給物資が集まる格納庫、乗員達がいる居住区、そしてこの艦自体を動かす為の動力炉。
我々を沈めるために攻めるべき場所が後1箇所あるとすれば、明確な答えが残っていた。
それは、頭脳ともいうべきブリッジである。他の場所を抑えられずとも、頭さえ潰してしまえばどうとでもなる。他の襲撃は全て、その為の陽動だったとしたら…。
警護している人員が居るとはいえ、他の戦闘員が出払って手薄になっているのは間違いない。
368: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:04 ID:hg3n1ntt0(5/11) AAS
嫌な寒気を感じたワン中尉は、そのまま来た道を駆け戻った。杞憂ならそれでもいい。だが、どうにも拭えない不安がそれこそ返り血の様にこびりつく心地がしていた。
39話 嫌な寒気
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