[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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729: ◆tyrQWQQxgU 2020/01/15(水)13:29 ID:Q4XtGfBY0(29/34) AAS
「少尉、フジ中尉とも少しは話せたか?」
 格納庫へ向かう途中、ワーウィック大尉が口を開いた。2人は移動しながらそのまま話し始める。
「もっと連携しないとこのままじゃヤバいって話を」
「その通りだな。君らの方からそういってもらえるとは思っていなかったよ正直」
 そういって大尉が頭を掻いた。
「絶対そう言われるって思いましたけどね!でも…大尉が来たからこういうことに気付けたのかもです」
「それなら私も着任した甲斐があるというものだ」

 それぞれのコックピットに乗り込み、出撃の時を待つ。まだ慣れない全天周囲モニターだが、敵は慣れるまで待ってはくれまい。
『準備はいいですか?』
 モニターにフジ中尉が映った。インカムを付けた彼を見るのは若干の違和感がある。
省9
730: ◆tyrQWQQxgU 2020/01/15(水)13:29 ID:Q4XtGfBY0(30/34) AAS
 中尉の言うとおり、そこは目立つデブリのない視野の開けた宙域だった。隠れる場所はない。
『ここでやつらを殲滅出来れば、周辺の脅威はひとまず無くなるだろう』
 大尉が言った。索敵しつつ敵艦との距離を詰めていく。
「あのテスト機、本採用されると厄介ですね」
『それなりにコストは掛かってそうだが…どうだろうな』
「あのパイロットの腕がいいだけならいいんですけど」
『そうであってほしいな…噂をすれば!』
 敵艦から機体が出撃するのが見えた。2人は速度を上げ、敵機を追い始める。敵は母艦から離れ過ぎない距離を保ちつつ2人を引きつけていた。
「アレキサンドリアはどうします!?」
『今はMSを先に叩いてください!MSを剥ぎ取れば艦はデカい的ですからね。艦砲射撃でアレキサンドリアをこちらに引きつけておきます』
省2
731: ◆tyrQWQQxgU 2020/01/15(水)13:30 ID:Q4XtGfBY0(31/34) AAS
「今日は完全な2対1…。ここで落とす!」
『手筈通り、スクワイヤ少尉から仕掛けてくれ。ワーウィック大尉はサポートをお願いします』
『了解した。連携すれば叩けない相手ではないさ』
「行きます!」
 マンドラゴラはコマの様に回りながら頭から敵へ突貫する。出撃前、フジ中尉達と作戦を立てていた。
 最大の脅威は今のところ敵の携行しているライフルだ。極めて速い弾速を誇り、急所に当たればただでは済まない。これを躱しながら接近する為に、まずは運動性に優れたスクワイヤ少尉が仕掛ける。
「見てからじゃ遅いんなら!」
 敵の銃口がこちらを捉えるよりも早く機体の軌道を逸らす。通常ならば相当なGが掛かるが、過剰なGも想定しているマンドラゴラのコックピットには、対策が入念に施されている。
 少尉の技術と掛け合わせれば少しの時間ならかき乱せると判断した。
 大尉の百式にも注意しながらでは到底追いつけるスピードではない。流れ星の様にバーニアの残光が尾を引き、その幾何学模様に翻弄された敵は足を止めた。
省13
732: ◆tyrQWQQxgU 2020/01/15(水)13:31 ID:Q4XtGfBY0(32/34) AAS
 その時、敵機の熱源反応が異様に高まった。部隊に嫌な予感が走る。
『離れろ!こいつ…!』
 大尉の声とほぼ同時に敵機から光が漏れた。少尉達が退避行動をとったのも束の間、敵機は激しい閃光と共に爆裂した。強い衝撃が2人を襲う。
「うあああ!!」
 揺れる機体の中、強い光でホワイトアウトしたモニターに囲まれ、少尉は初めて恐怖を感じた。理屈ではなく本能が、忍び寄る死を感じ取っていた。目を瞑り両耳を塞ぐ様にして、少尉はただその球の真ん中で怯えるしか無かった。
 しかし、マンドラゴラは衝撃に耐え切った様だ。程なくして機器も復旧する。その作動音を聞いてようやく少尉は目を開けた。
『…自爆するとは。思い切りの良い』
 大尉の百式も無事な様だ。とはいえ機体の装甲はズタボロになっている。恐らくマンドラゴラも似たような状態だろう。
『2人とも無事ですか!?』
 フジ中尉が慌てる。
省7
733: ◆tyrQWQQxgU 2020/01/15(水)13:33 ID:Q4XtGfBY0(33/34) AAS
今回はここまでです!
だいぶ一気に投下しました笑
正直言うとストックほぼ全てを出し尽くしたので、次はもう少し遅くなるかもです…!

ゆっくり読んでてください!!
734: ◆tyrQWQQxgU 2020/01/15(水)15:55 ID:Q4XtGfBY0(34/34) AAS
お待たせしました!pixiv更新しました!!
https://www.pixiv.net/novel/series/1235721

最新話まで全て更新済ですので、こちらもチェックお願いします!
735
(1): 2020/01/21(火)21:40 ID:cM4+NL5O0(1) AAS
お疲れ様です!

ロングホーン大佐...味方に毒を吐くし捕虜とは拳で語るし、明快に「ズケズケと踏み込んでくる男」ですねw
かといってただの無神経ではないし、生存フラグも死亡フラグも立てられる面白いキャラだと思います

ワーウィックはナギナタを握りつつメイ・ワンとの追いかけっこを笑い話にする辺り上手く前進してますね。
スギ艦長のような生き字引になってほしいものです

ニュンペー、百式改、マンドラゴラとカラフルな役者が基地前に揃ったと思えば自爆!あっけねぇ(失礼ながら苦笑)
まだまだ展開の読めない今シーズンですが、月面のみんなもSさんもご健闘を!
736
(1): 2020/01/22(水)18:23 ID:7ySi8vht0(1) AAS
アクシズ軍は登場するのかしら?
737
(1): 2020/01/22(水)19:28 ID:wOjmN8Fc0(1) AAS
本編だとメラニー会長の方からグワダンに出向いてたから
アクシズの使者がアナハイムに接触ということは無さそう
738: ◆tyrQWQQxgU 2020/01/24(金)21:48 ID:oR7mXlEL0(1/2) AAS
>>735
ロングホーン大佐は割とお気に入りです。
体たらくな連中が多いので、しっかりした人物も居てほしいなと…。笑
拳で語り合うのはやっぱZでは必須ですよね!笑

僕の中で、もしカミーユが女の子だったら?とか、周りの大人にしっかり者が居たら?っていうifも含んだ構成にしています。
それと、前作主人公の扱いって難しいですよね。
某准将とかに比べるとアムロは上手く立ち回った方だと言われる事も多いですが、個人的には主人公にしてはあまり活躍しなかったという印象も強くて。
(本編前からの扱いですが)Xのジャミルくらいが理想的かなと思うので、そういう塩梅でワーウィック大尉には頑張ってほしいです。

ガンガンぶっ壊すのも前作からの伝統です!笑
とはいえキチンとデータは持ち帰ったので…?
省1
739: ◆tyrQWQQxgU 2020/01/24(金)21:54 ID:oR7mXlEL0(2/2) AAS
>>736
>>737
第2部ではアクシズ勢はそこまで出さない予定です。彼らとのイベントはワーウィック大尉が中心になり過ぎるので。
最初は2部で終盤まで書くつもりでしたが、色々やりたいことを考えたら3部構成が必要な気もしています。
1部と2部で書いたことの集大成として、最終章を書くのも良いかと。

まだまだ僕自身も展開が読めない部分が多いので、登場人物達がどう動いていくのか楽しみです。
740: ◆tyrQWQQxgU 2020/02/05(水)11:27 ID:35+2VBiK0(1/18) AAS
お待たせしてすみません!
最近忙しかったので筆があまり進んでおらず…。
ずっとお待たせするのも何なので、とりあえず3話だけ公開しておきます!
741: ◆tyrQWQQxgU 2020/02/05(水)11:29 ID:35+2VBiK0(2/18) AAS
 ウィード少佐の脱出ポットを回収し、オーブ中尉のガルバルディαが帰還した。それを確認したアレキサンドリアは、船速最大で宙域を離脱する。敵はこれ以上追ってこない様だ。
 戦況をブリッジからモニターしていたドレイク大尉はほっとひと息ついた。
「危なかったわね…」
『どんどん敵の動きが良くなってる…』
 オーブ中尉が悔しそうにモニターから目を逸らしていた。

 ソニック大尉を連れ帰ったのも束の間、月を離れたところをすぐに追撃された形だった。彼を取り戻し撤収に成功はしたものの、使える機体は尽く潰えている。ガルバルディも稼働こそするものの、戦場には出せる状態ではない。
 辛うじてテストのデータだけは持ち帰ることができたが、ニュンペーも失ってしまった。
「ごめん、機体は持ち帰れなかった」
 ウィード少佐がブリッジに戻った。傍にオーブ中尉もいる。
「あなたが帰ってきただけマシよ。データだってほら」
省6
742: ◆tyrQWQQxgU 2020/02/05(水)11:29 ID:35+2VBiK0(3/18) AAS
「これからどうする?シロッコ大佐にデータを届けるんだったら、ドゴス・ギアだかジュピトリスだかに出向くのがいいかしら」
 近辺の宙域をマップで確認しながらドレイク大尉は話題を変えた。今は前向きに進むしかない。
「…ニュンペーを失った以上、通信で済ませるのは大佐に無礼だからね…。正直顔向け出来たもんじゃないけど、顔出さなきゃ」
 ウィード少佐が椅子に腰掛けながら溜息をついた。彼女も憔悴している様だった。
「ま、今のうちにあなたも休むと良いわ。私が後は見とくから」
「ありがとう。そうする…」
 最低限の確認事項を擦り合わせ、ウィード少佐はブリッジを後にした。その後ろ姿をオーブ中尉と2人で見送っていた。
「お嬢さんは休まなくていいの?」
「何言ってんのよ。フリード独りに任せる訳ないでしょ?」
「頼もしいわね」
省16
743: ◆tyrQWQQxgU 2020/02/05(水)11:30 ID:35+2VBiK0(4/18) AAS
「なるほど。なかなか渋いですが…」
 レインメーカー少佐を中心に、ブリッジの3人で戦況を確認していた。結局、主だった拠点は元通りエゥーゴの傘下にあると言っていい。
「何だかんだ言って、フォンブラウンを叩くにはグラナダやアンマンが目の上のたんこぶって感じね」
 オーブ中尉がペンを鼻の下に挟んで椅子と一緒にくるくる回っている。
「確かに、敵の主力をあまり叩かずに拠点だけ抑えたからグラナダの巻き返しも早かった…とも言えるわね」
「楽しちゃ駄目ねやっぱ!まずは裏側から抑えておかないと結局遠回りよ」
 そうしてドレイク大尉達が話しているのを、少佐は静かに聞いていた。
「じいさまはどう思う?」
「私ですか。ふーむ…」
 回るのをやめた中尉の問いにも、変わらず思考を巡らせている。
省2
744: ◆tyrQWQQxgU 2020/02/05(水)11:31 ID:35+2VBiK0(5/18) AAS
「…何にせよ、今は報告と補給が必要だわ」
 声の方を振り返ると、ウィード少佐とソニック大尉の姿があった。
「皆…済まなかった…!俺の力不足がなければ…」
 ソニック大尉は戻った時と相変わらずうなだれている。
「もう!いいのよそれは!ラムって意外と引きずるのよねー」
 オーブ中尉が意地悪く笑っていた。
「ラムが粘ってくれなきゃ全滅してたわ。あなたのおかげよ」
 ドレイク大尉も彼を励ました。実際彼が殿を務めてくれなければかなり際どいところだったのだ。
「皆揃った事だし、そろそろ目的地を」
 そういいながら、いつもの椅子へウィード少佐が座る。その側にレインメーカー少佐も立つ。変わりない光景だった。
省2
745: ◆tyrQWQQxgU 2020/02/05(水)11:32 ID:35+2VBiK0(6/18) AAS
 アイリッシュ級に帰還したものの、スクワイヤ少尉はコックピットハッチを開けられなかった。
『大丈夫か!?』
「大丈夫です…。大丈夫なんですけど…」
 ワーウィック大尉の呼びかけに応えながら、少尉は自分の身体が自分のものでない様な感覚に襲われていた。あの時感じた恐怖を、身体が跳ね除けられずにいる。コックピットの中で、小さく丸まる様にしてうずくまった。
 しばらくしてコックピットが外から開けられた。覗き込み、様子に気づいた大尉が近づく。
「…どうした」
「わかりません…。ただ…恐ろしくて…」
 大尉はそれ以上は何も言わず、少尉が落ち着くまでそのまま傍に居た。

「光に包まれた時…死ぬんだと思いました。いや…身体がそう思ってしまったっていうか」
 少尉は、僅かに震える肩を手で抑えた。
省6
746: ◆tyrQWQQxgU 2020/02/05(水)11:33 ID:35+2VBiK0(7/18) AAS
「そうか」
 大尉はぽつりと言った。
「前にも少し話したが…私の話を聞いてくれるか?」
 少尉が小さく頷くと、大尉はその場に座り込んだ。
「きっと、全く同じ様に感じたということは無いんだろうが…。私もある時までは自分がやられるなんて思ったことはなかった。一年戦争を戦い抜いたし、頼れる仲間も居た」
 少し上を仰ぎ見る様に、大尉は回想した。
「ニューギニア基地での戦い…ほんの少し前の話だがな。そこに至るまでの間、交戦の機会が何度かあった部隊がいた。その隊長格と決着をつけなければならなかったんだ。私は乗り慣れたマラサイ、僚機は…ガンダムだった」
「例のニュータイプの…?」
「まぁな。本人は否定的だが、私もニュータイプだと思っている。そんなやつと2人掛かりだったのに、たった1機のジムクゥエルにやられかけた。恐ろしく強くてな…」
 ニュータイプの乗るガンダムとワーウィック大尉が2人掛かりで苦戦するジムクゥエルというのは、正直イメージが沸かなかった。
省7
747: ◆tyrQWQQxgU 2020/02/05(水)11:33 ID:35+2VBiK0(8/18) AAS
 これ以上の追撃は月を離れすぎてしまう為、一時中断となった。艦長達は、敵を追い払うにはこれで十分と判断した様である。少尉が気持ちを落ち着かせて表に出た頃には、もう艦が再びアンマン市へ入港するところだった。
「もういいのか?」
 機体を降りて格納庫を眺めていると、フジ中尉がやってきた。
「すみません、取り乱して…」
「気にするな。そんな時もあるだろう」
 珍しくフジ中尉の言葉には棘がなかった。
「大尉は勿論だが、艦長も心配していたぞ。後で顔を出してやるといい」
 そういいながら中尉がドリンクを手渡す。受け取りながら少尉は小さく会釈した。思い返せば、いつも中尉はぶっきらぼうでも彼女を気遣っていてくれた様に思う。
「私が思っていたより…死ぬのって穏やかじゃないかもしれません」
「それはそうだ。穏やかに死にたければベッドの上が良いに決まっている」
省3
748: ◆tyrQWQQxgU 2020/02/05(水)11:34 ID:35+2VBiK0(9/18) AAS
 遠い目をしたフジ中尉を尻目に、少尉もふとこの戦いの不毛さに思いを馳せた。
 彼女は志願兵である。何故志願したのか。それを振り返るには避けて通れない男がいる。その顔が浮かぶだけで、暗い気持ちも一緒に浮かび上がってきた。
「…私、実は」
 少尉が過去について少し口にしようとしたその時、艦内放送で緊急の呼び出しがかかった。
「…何だ?」
「また後で話します」
「そうか。とりあえず行こう」
 放送に従う様にして、2人はブリッジへと向かった。

 ブリッジに到着すると、そこにはアイリッシュ級の面々が揃っていた。
「おう!元気か?」
省16
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