サイコの図書館【2】 (142レス)
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138: タロット774通目 [sage] 「悪魔の思惑4」6 「あの日以来、この大きなベッドで一人で休む事がとても苦痛でした。 だから、リビングのソファで休んでいました」 「俺も、あの家で一人で寝るのがいやだった。 だから刑事部屋にシツコク泊ったのもその為です」 本当によく我慢したものだった。 「あなたが強情だからいけないんだ」 迫沢はなじるように言った。 「すみません。僕はあなたに何もしてあげられなかった。 だからせめて、あなたの天職を貫いてほしかった。 ワインを浴びせて済みませんでした」 「いや、あれは俺が追い詰めたから・・・」 「白で良かったです」 「俺、実はここに来るためにわざわざシャワーを浴びて、着替えてから来たんです」 「すみません。でも、シャツにドンペリを吸わせたのはあなた位ですね」 「えっ、ドンペリって、まさか十万円の・・・」 「くすっ、違いますよ。あなたの父上ではないんですから。二・三万円の頂き物ですよ」 「いや、流石の親父でも十万円のドンペリは普段に飲んだりしませんよ」 「ああ、そうでしょうね」 「でも、良かった。あなたの気が変わって」 「・・・忘れられなかった、あなたの事はずっと・・・」 「俺こそ気が狂いそうな程苦しかった。 いや、狂えないからこそ苦しいと言うのが正しいかもしれない・・・」 「僕は時々あなたの勇姿を垣間見る事が出来れば、それで幸せだった」 「嘘だ!そんな筈はない。 俺がこんなに苦しんでいたのに、あなたが苦しくないなんて・・・」 「そうですね。嘘でした。自分の気持ちを心の奥に押し込めて、只管見ないようにしていただけでした」 「鳴瀬さんには、白ワインが似合いますね。 けして・・・豪華なドンペリではありませんが・・・ ・・・口当たりが上品で・・・つい・・・飲みすぎてしまいそうだ」 「・・・はぁ・・・、あなたに・・・味わってもらえるなら・・しあわせ・・ですね・・・んっ!」 「俺だけが・・・味わえる・・・、けして誰にも・・・味わわせたくない・・・」 「ん・・・あぁ・・・、僕の方が・・先に酔って・・しまいそうです・・・」 だんだん声が上ずってきて、やがて・・・。 まあ、始めから分かってはいたのだ、やがてこうなる事は。 悪魔は舌打ちしてから、地の底に消えていった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/11890/1257156138/138
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