サイコの図書館【2】 (142レス)
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138: 2011/06/13(月)10:24 ID:LEwm5BJk0(1/3) AAS
「悪魔の思惑4」6

「あの日以来、この大きなベッドで一人で休む事がとても苦痛でした。
 だから、リビングのソファで休んでいました」

「俺も、あの家で一人で寝るのがいやだった。
 だから刑事部屋にシツコク泊ったのもその為です」

本当によく我慢したものだった。

「あなたが強情だからいけないんだ」
迫沢はなじるように言った。

「すみません。僕はあなたに何もしてあげられなかった。
 だからせめて、あなたの天職を貫いてほしかった。
 ワインを浴びせて済みませんでした」

「いや、あれは俺が追い詰めたから・・・」
「白で良かったです」
「俺、実はここに来るためにわざわざシャワーを浴びて、着替えてから来たんです」
「すみません。でも、シャツにドンペリを吸わせたのはあなた位ですね」
「えっ、ドンペリって、まさか十万円の・・・」
「くすっ、違いますよ。あなたの父上ではないんですから。二・三万円の頂き物ですよ」
「いや、流石の親父でも十万円のドンペリは普段に飲んだりしませんよ」
「ああ、そうでしょうね」

「でも、良かった。あなたの気が変わって」
「・・・忘れられなかった、あなたの事はずっと・・・」
「俺こそ気が狂いそうな程苦しかった。
 いや、狂えないからこそ苦しいと言うのが正しいかもしれない・・・」
「僕は時々あなたの勇姿を垣間見る事が出来れば、それで幸せだった」

「嘘だ!そんな筈はない。
 俺がこんなに苦しんでいたのに、あなたが苦しくないなんて・・・」
「そうですね。嘘でした。自分の気持ちを心の奥に押し込めて、只管見ないようにしていただけでした」

「鳴瀬さんには、白ワインが似合いますね。
 けして・・・豪華なドンペリではありませんが・・・
 ・・・口当たりが上品で・・・つい・・・飲みすぎてしまいそうだ」

「・・・はぁ・・・、あなたに・・・味わってもらえるなら・・しあわせ・・ですね・・・んっ!」
「俺だけが・・・味わえる・・・、けして誰にも・・・味わわせたくない・・・」
「ん・・・あぁ・・・、僕の方が・・先に酔って・・しまいそうです・・・」

だんだん声が上ずってきて、やがて・・・。

まあ、始めから分かってはいたのだ、やがてこうなる事は。
悪魔は舌打ちしてから、地の底に消えていった。
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