【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 5冊目 (775レス)
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750: [sage saga] 2016/12/01(木)01:25 ID:qO1WsCuS(35/43) AAS
 完敗だった。

 ここまで堂々と高潔に、純粋に真九郎への想いを叫ばれては、もう

これ以上、夕乃が紫を否定することは出来なくなってしまった。

 紫は目をそらさない。

 この会話が始まってからずっと、ずっと現実から目をそらさずにいる。

 おそらく、この子は真九郎がこの先、人を殺めたとしても、たとえ

真九郎が自分を拒絶したとしても、きっと真九郎から離れないだろう。

「うっ...うううっ...も、もうイヤ...」

 先に、音を上げたのは夕乃だった。

 最初から分かっていた。

 外道に徹し、真九郎のことを諦めさせようとしても、紫は決して

真九郎を諦めないということも、自分がそんな紫を無自覚のうちに

好きになっていたということも....。

 夕乃が心の底から真九郎を嫌いになれないように、紫の事も心の底から

嫌うことが出来ないことなんて、最初からわかりきってたことなのだから。

「諦めてよぉ...私から、真九郎さんを...大好きな人を奪わないで...」

「夕乃...もういい!もういいんだ!」
 
「夕乃が望むなら、私は真九郎にとっての一番でなくてもいい...」

「紫ちゃん...」

 涙をぬぐい、ようやく曇りなき瞳で紫と相対する夕乃に紫は

更に自分がどうしたいのかを、熱意を込めて語り始めた。
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