[過去ログ] 【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 (771レス)
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563: 伊南屋 2006/12/09(土)14:04 ID:p5PvNOIM(5/5) AAS
毎度、伊南屋です。
やっとお届け出来ましたレディオ・ヘッドY。今回は正確には前編になります。ですからバトルシーンは今しばらく続きます。と言っても次で終わりますが。
慣れないバトル描写に悪戦苦闘しましたので、なんか変になってるかもしれません。その辺は平にご容赦を。
というわけで今回はここまで、相も変わらずリクエストは募集。補足授業への質問ね。
以上、伊南屋でした。
564: 2006/12/09(土)16:46 ID:iRw5sdPI(1) AAS
伊南屋さん、相変わらず上手いなあ。
俺も戦闘描写が上手く書けるようになりたい……。
565: 2006/12/09(土)21:26 ID:d9XLitlS(1) AAS
ヤバいっす!サイコーっす!血沸き肉踊る感じでした!
しかし真九朗の戦闘は今回ありませんでしたね。こちらの真九朗はビビり癖があるか気になる所です……
あ、それと気になったというか早速質問なんですが。
ジュウ様は剣を執らないんでしょうか?己の拳のみで敵を薙ぎ倒すのもジュウ様らしくて好きなんですが……力強い剣で敵陣を走り抜く御姿を見てみたい気も……っていうか単なる要望ですねw……スイマセン
566: 497 2006/12/10(日)20:36 ID:cVAdv5FO(1/4) AAS
……室内には出しっぱなしの放水の音が雨のように満ち、その合間に二人分の荒い呼吸音が混じる。ジュウはやや
あって、むっくりと身を起こした。体全体にまだ痺れるような快感の余韻が残っていたが、それが疲労感よりもむしろ己
が獣欲を掻きたてるのを彼は感じていた。その視線の向ける先は、いまだ稀にも見ぬような白痴のごとき顔で座り込む
少女、円。その、頼りなげに見えるほどの細身を、匂い立つような女の身体を、滅茶苦茶にしてやりたいと、彼の本能
からの叫びはそう言っていた。
蒼白いほどの手首を掴むと、びく、と一つ震えてゆっくりとこちらを見る、その瞳。いつもはまるで鋼のような冷たく鋭い
輝きをもってこちらを射るそれは、いまや確かな熱を湛えて揺れている。それを見た瞬間にもうジュウは堪らなくなり、
そのまま円に覆い被さっていった。そしてそのまま床に組み敷いた円の柔らかい身体の、二つの丘陵へと己が指を……
「や……」
ほんの微かな、聞き逃してしまっても可笑しくないような声だったが、それは確かにジュウの耳へと届いた。頼りなげな
省27
567: 497 2006/12/10(日)20:36 ID:cVAdv5FO(2/4) AAS
何時の間にか、目の前まで近付いてきていた円が、呆れ返った声で遮ると、グイ、とジュウの肩を押して顔を上げさせ
る。薄ぼんやりとした明かりの中、ジュウのそれと相対した瞳は、既にいつもの冷たい輝きに戻っていた。いや、いつも
よりはよく見れば幾分か柔かい物を感じさせる。
「おかしいでしょう。何故あなたが謝るのよ」
「え、いや、だってお前の事を襲おうとして……」
「わたしが誘惑して、先にあんな事までしたのよ」
「……ああ」
そう言えばそうだった、と今更ながらに思って、ジュウはようやくそれだけを口に出した。円は、何やらもう色々と馬鹿
馬鹿しくなった、とばかりに大仰な溜め息を一つ吐いた。
さて、そうして、二人で暗室の中で二人して言うべき事が途切れて、しばし沈黙の帳が下りた。
省28
568: 497 2006/12/10(日)20:37 ID:cVAdv5FO(3/4) AAS
ジュウの言葉を遮って円の言葉は続く。
「だから、これ以上皆があなたに近付く前に、って、そうすれば……」
「待てよ」
堪りかねてジュウは言った。かつて雨との関係について『二人の問題』だと言ったのは円ではないか。それを何故今
頃になって……と捲し立て、なおも言い募ろうと肩に手を置いて、ふと気付いた。首を垂れて俯いた円の肩は、僅かに
震えていた。
「そうね……なんでかしら。自分でもよく解らない」
寂しそうな笑いを含ませた声で、そう言った。
「あなたに偉そうな事を言えるような人間じゃなかった、って事ね、私こそが。あの子達に相応しくないのは、私の方
だわ。馬鹿馬鹿しい。最低ね……」
省39
569: 497 2006/12/10(日)20:37 ID:cVAdv5FO(4/4) AAS
結局今回も終わんない〜♪おまけに円のキャラ違う〜♪
えー、そういう訳でですね、なんか今回最後まで行く予定だったんですが、いらん会話にスペ−ス取られてまた半端な
所で切れる事になってしまいました。
次回こそは、次回こそは必ず完結させますんでどうかあと一回お付き合いの程を。
>伊南屋さん
過不足なく戦闘のシーンが書けるのはホントに羨ましいっす。
あと、質問ですが、紅香や犬の人は出てくる予定あるんですかね?
570: 2006/12/10(日)21:40 ID:AtJT3QCw(1) AAS
チクショウ、生殺しか(*´Д`)ハァハァ
571: 2006/12/10(日)22:16 ID:S7wp3uBf(1) AAS
ジュウ様マジいい子
572(1): 2006/12/11(月)00:36 ID:jERzGa/3(1) AAS
GJ。ジュウ様の心情が可愛すぎて萌えますw
というか途中スッゲー納得というか感心する台詞があったんですが
「そのくせ相手を自分の内側に入れたがらない」
いややっぱこれはジュウ様のトラウマから起用してますからね。小さい時に色々と傷付いて、泣き疲れて。その結果の結論が
「俺は、一人でいいんだ」
に繋がっている訳ですからね。
一人は寂しい癖に、皆居なくなる事を覚悟しているせいで無意識に人を内側に寄せ付けないようにする
イヤスッゲー納得しましたわ
573: 2006/12/11(月)00:45 ID:4vaZag1i(1) AAS
ジュウ様は油断してるとナチュラルに殺し文句を吐くw
574: 2006/12/12(火)01:11 ID:E4gd1Vs2(1) AAS
なんか皆やっぱりジュウ様が可愛くて仕方ないのねw
いや、俺もそうだけど。
575: 伊南屋 2006/12/13(水)09:24 ID:HnrrQztF(1/6) AAS
柔沢ジュウは不良少年だ。周囲はそう認識しているし、自分でもそう思っている。
それは何も考えずに済む、楽な生き方を選んだ結果だ。それは逆に言えば、そういった生き方をしなければ深く考えすぎてしまうジュウの性格の裏返しなのだが。
ただし、取り敢えず今、大切なのは別な部分だ。
つまり、今大切なのは、柔沢ジュウが不良少年であるという事実。
そのことなのだ。
『電波的な彼女と彼女』
土曜日の朝、目を覚ましたジュウはベッドから身を起こした時、違和感を感じた。
何だろう、何かが足りない。
未だ眠気で、働きの鈍い脳では、何が足りないのか分からない。仕方なく、ジュウはいつものように思考を停止させた。
顔でも洗えば思考がクリアになって、何が足りないのか分かるかも知れない。そう考えて立ち上がり、洗面所に向かうことにする。
省22
576: 伊南屋 2006/12/13(水)09:26 ID:HnrrQztF(2/6) AAS
恐る恐る、手を股間に伸ばす。そっと下着越し、無論自分のトランクスの事だ。兎に角、下着越しに触れてみる。
「……ああ」
思わず嘆く。無い、やはり無い。
今まで、あっても嬉しいとは思わなかったが、無いなら無いで寂しいものだった。
それにしてもどうしたものか。幸いにして今日は休日なので時間はある。
だからと言って時間を掛ければどうなると言うわけでもない。
完全に八方塞がりだ。
頭を抱える。何から考えねばならないのかすら分からない。
そんな時だった。玄関のチャイムが鳴ったのは。
「じゅ〜ざ〜わく〜ん。あ〜そび〜ましょ〜」
省31
577: 伊南屋 2006/12/13(水)09:27 ID:HnrrQztF(3/6) AAS
いや、今の体は女だから関係ないのか? でも心は男な訳で、こうして間近に雪姫の顔が迫っていることに、添えられる指に自分はドキドキしていて――
「えい」
「ひゃあああ!」
前置き無く、体が縮んだ事でダボダボになったTシャツを捲られ、ジュウは存外可愛らしい悲鳴を上げてしまった。
無論、ブラジャーなどしているわけなど無く、形の良い、若干小振りな胸がふるん、と揺れた。
それを見て初めて気付く。
自分の確認が、精々下着越しに“無い”事を確かめただけだったことに。
自分のものながら、初めて見る胸の膨らみに目を奪われる。
見つめながら考える。ジュウは“在る”事を確かめていなかった。
つまりは取り敢えずは確認された胸と、まだ確かめてはいない、女性器の存在を。
省29
578: 伊南屋 2006/12/13(水)09:30 ID:HnrrQztF(4/6) AAS
つ、と真っ直ぐ伸ばした指先が入り口に当てられる。
「続き、したい?」
続きとは、触れるだけだった指先を中に挿入すると。そういう事だろう。
ぐ、と浅く指先が沈められる。それだけで、秘部を中心に熱いものが広がった。
正直、欲しいと。そう思った。
しかし。
「だ、ダメ、ダメ、ぜったいにダメだ!」
慌てて雪姫の指先を払いのける。
「ダメだ。それは、間違ってる。オレは男で、今身体は女だけど、根本的にはやっぱり男だ。だから、これは間違ってる。間違ってるんだ」
「ふぅん……」
省32
579: 伊南屋 2006/12/13(水)09:31 ID:HnrrQztF(5/6) AAS
「流石にそれはマズいよ。男物のダボダボTシャツにパンツだけってのはね」
言われて気付く。確かに、今の自分の格好は際どい。
「自分の服じゃサイズ合わないだろうし……仕方ないかな」
雪姫は、至って真面目な顔で言った。
「私の服貸すから、それ着て」
「は?」
ジュウもはや癖のようになった間抜けな声を上げて、やはり呆気に取られるしかなかった。
続
580: 伊南屋 2006/12/13(水)09:36 ID:HnrrQztF(6/6) AAS
毎度、伊南屋に御座います。
やっちまった……。ジュウ様女体化ネタ。
しかも続くし……。
だけど、だけど、だけど……。
仕方ないじゃないか楽しいんだから!
職人デビュー後は百合専門だったしな。
ビバ、おにゃのこ同士の絡み。
所でこの後エロメインにするか迷い中。意見あったら言って下さい。
そんなわけで以上、久しぶりに百合書いてテンション上がった伊南屋でした。
581: 2006/12/13(水)09:42 ID:mt/qJcTU(1) AAS
女ジュウ様に萌える気持ちと、ジュウ様は男だからこそジュウ様、という気持ち
が半々ぐらいでせめぎ合うこの微妙な気分w
とりあえずここは一つエロメインでお願いします。
582: 2006/12/13(水)17:25 ID:m9xMHbKk(1) AAS
おぉ…神作品が………毎度、伊南屋さんGJです!!女ジュウ、かなり萌えます
円、雨、光、雪姫、女ジュウの乱交百合を希望します
583: [sage伊南屋さんGJ] 2006/12/13(水)20:14 ID:JQHWOA7e(1) AAS
斬島「ねえねえ雨、色仕掛けの色って桃色って感じだよねぇ?」
堕花「私はそうは思いません。色仕掛けをするような下品な輩の
腹の内や一物は真っ黒だと思います。だから色仕掛けの色は黒です」
斬島「それはちょっと偏見じゃあないのかなぁ?」
堕花「雪姫の考えが古臭いんですよ」
斬島「だったら第三者に決めて貰おーじゃない!!」
堕花「望むところです」
斬島・堕花「「どっち?」」
柔沢「俺に聞くな!!」
円堂「やらしい」
省1
584: 2006/12/13(水)20:17 ID:HTRyh30A(1) AAS
おぉ……!遂にジュウ様女体化来ましたか!女の子の体になってしまったジュウ様の行く先を思うと今から楽しみで悶えてしまいますw
まぁ少し弱気というか感度良すぎというか……いきなり女の子の体になれば動揺位しますよね!
いや、ぶっちゃけジュウ様は強気っ娘だ(ry
585: 伊南屋 2006/12/14(木)23:26 ID:/lVOO1FV(1/4) AAS
「ああ……」
激しく鬱。真逆、こんな格好をする日が訪れようとは。
鏡に移る自分は服を着ていた。それによって、女であることを更に明確にしている。
沈む思考をなんとか働かせ、ジュウはここに至るまでを回想していた。
――あれから、一度決めてからの雪姫は実に迅速だった。一旦家に帰り、紙袋を抱えるとすぐに戻って来た。
紙袋の中には女物の衣服が数着。全て雪姫の服だと言っていた。それを差し出し、雪姫は着替えるようにと言い、部屋にジュウを残し出て行った。
それだけならまだ良かった。
雪姫が持って来た服は、いわゆるレディースに寄った物ではなく、デザイン自体は男物と大差ないものが多かったからだ。
これを着ればボーイッシュ少女が一人出来上がる寸法だ。
別に、それは良い。別にその服に着替えるのは耐えられる。
省24
586: 伊南屋 2006/12/14(木)23:28 ID:/lVOO1FV(2/4) AAS
恐らくだが、流石に着替えだけで感じてしまうほど女の身体は繊細かつ敏感では無いと思う。
となると、やはりこの身体が異常なのか。
「なにボーっとしてるの? 早く着替え終わらせようよ」
「ん、あぁ……」
「じゃあはい、コレ」
言って渡されたのは、紙袋の中から見つけた時に、絶対に着るまいと決めていたデニム地のミニスカートだった。
「……どうしたの?」
動かないジュウを見て雪姫が首を傾げる。
「いや……」
コレは勘弁してくれないかと言おうとして、躊躇う。
省23
587: 伊南屋 2006/12/14(木)23:29 ID:/lVOO1FV(3/4) AAS
身体に、さっき雪姫に与えられた熱がぶり返してくる。疼きは下半身を中心に広がり、秘部を濡らした。
躯が興奮を訴える。
「どうしたの?」
「えっ!? い、いや。何でもない」
悟られてはならない。ジュウは必死に取り繕い笑顔で返した。
しかし、変なところで勘が良い。雪姫は顔をジュウに寄せ、鼻を鳴らす。
「ん〜? えっちな匂いがするよ?」
そんな事が分かるのか。
下に恐るべきは女の勘か……いや、絶対に違う。
これは単に雪姫の嗅覚が異常なのだ。そうでなければ、自分の中の女性像が壊れてしまう。
省23
588: 伊南屋 2006/12/14(木)23:34 ID:/lVOO1FV(4/4) AAS
毎度、伊南屋に御座います。
ジュウ様女体化ネタ続きになります。
すんげえ寸止めですね。
ま、次の投下はレディオ・ヘッドだったりもするんですがね。
並行でやってるからこんな事になってます。もう少し投下タイミング考えろ俺。
とまあ続き物が二つに増えてしまいました。つっても女体化ネタはすぐに終わると思いますが。
そんな感じで以上、伊南屋でした。
589: 2006/12/15(金)03:25 ID:rPVo3jt+(1) AAS
女体化とか百合って、基本的に苦手な方なんですよ。
でも読まされちゃったw やっぱり上手いなあ…凄い。
本当に他に言葉出て来なくて申し訳無いけど、GJです。
590: 2006/12/15(金)07:41 ID:h835MMWc(1) AAS
伊南屋さんGJです!!次の投下wktkしてます
591(1): 2006/12/16(土)12:59 ID:MTJt58S8(1) AAS
チクショウ、女になってもやっぱりジュウ様はネコなのか!!(*´Д`)
592: 2006/12/16(土)13:27 ID:lEzHaFU3(1/2) AAS
ジュウ様可愛すぎw(誉め言葉) つまりは、伊南屋氏GJッス!
そして>>591
593: 2006/12/16(土)13:30 ID:lEzHaFU3(2/2) AAS
やっぱジュウ様にはネコ耳だよな?
書き込み失敗してスマソ
594: 伊南屋 2006/12/16(土)18:21 ID:jr5NPNkQ(1/5) AAS
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
Y・2.
「うわぁ……」
思わず呟いた真九郎が見る先。そこには体を痙攣させ地をのた打つ男。
円に股間を潰される一部始終を見ていた身としては、男ならではの同情を禁じ得なかった。
それは自らが対峙する男も同じ様で、顔を蒼白にしながら視線を無様に転がる仲間に向けていた。
しかし、それも短時間の事。互いにすぐに気を取り直し、仕切り直しとなった。
こうして改めて向かい合うと、やはりただ者ではない。
浅く身構える姿は一分の隙もなく、その実力を窺わせる。
滲み出る闘気に、体の芯が震え出す。それは真九郎の悪い癖だった。
省21
595: 伊南屋 2006/12/16(土)18:22 ID:jr5NPNkQ(2/5) AAS
片膝を付き、両手で体を支える。不格好に跪くが、倒れだけはしない。自分が倒れたら紫を守れないと、己に言い聞かせ踏ん張る。
「おぉっ!」
立ち上がらない。跪いたまま、腕を相手の腰へ。低くから突き上げるタックル。
均衡を失い、襲撃者もろとも倒れる。もつれるように転がり、真九郎と襲撃者は共に土を纏った。
そこからは美しさも何も無い、まるで子供の喧嘩だった。
上に乗った方が殴り、時に上下を逆転させ、互いに拳を振るい合う。
それは、戦闘技能など無視した、ただの殴り合いだった。或いは我慢比べ。殴り勝つまで殴る。それだけの戦い。
真九郎は怯えていた。相手の力量に。
ならば、その力量の関係のない戦いにすれば良い。最初はタックルし、そのまま地に転がすつもりだった。
それを、手痛い反撃を受けたが、結果的には目標は達成した。
省21
596: 伊南屋 2006/12/16(土)18:24 ID:jr5NPNkQ(3/5) AAS
「崩月流甲一種第二級戦鬼、紅真九郎」
他の誰にも聞こえぬよう小さな声。だが、そこに込められる意味は変わらない。その代わり、次の言葉は強く、力を込めて言う。
「さあ、次はどいつだ」
肘の角は未だ腕の中。それでも真九郎は、死んでも引かない覚悟を決めていた。
圧倒的だった。銀閃が煌めく度に血煙が飛沫く。痛みなど感じる間もなく、男達は己が身を、命を欠落させていく。
そこは戦場ですらない。ただの処刑場だ。それも私刑による殺戮でしかない。何の正義もなく、ただ屍が積み重ねられる。
薄い笑みを張り付けたまま、雪姫は刃を振るっていた。
刀を突き刺し、そこを狙われれば襲撃者から刃を奪い、それで返り討ちにする。
全て急所。必殺の一撃だった。雪姫に向かった襲撃者はことごとく斬り捨てられている。
最初から異様な雰囲気を放っていた雪姫に、最も多くの人手が割かれたがそれも無意味であった。
省22
597: 伊南屋 2006/12/16(土)18:26 ID:jr5NPNkQ(4/5) AAS
ジュウと真九郎は幌に駆け込む。
「行くぞ! 進路は領主城! 雪姫は道が開いたらすぐに乗り込め!」
怒号の中、ジュウの声が凛と響き渡る。
進路が開く。雪姫は指示通り、馬車へと乗り込む。それを円は確かめると、手綱を引き馬を全力で走らせる。
加速する馬車に、襲撃者達が追いつこうとするが、間に合わない。
徐々に離れていくその姿に、全員が安堵する。
「逃げ切れた……のか」
呟いたのは真九郎だった。へたり込み、肩で呼吸をしている。
「まだだ、まだ安心は出来ない」
否定するジュウの声に、真九郎がジュウを見る。
省19
598: 伊南屋 2006/12/16(土)18:30 ID:jr5NPNkQ(5/5) AAS
毎度、伊南屋で御座います。
要約レディオ・ヘッドYが終わり。慣れないバトル描写に七転八倒しましたよ……。
ここが終わったので次はジュウ様女体化ネタ続き。ぶっちゃけ早く書きたくて仕方なかった。
今から速攻で書きます。そして明日には投下する。そんなテンション。
そんなこんなで以上、伊南屋でした。それではまた明日。
599: 2006/12/17(日)10:32 ID:KUSaAbEo(1/2) AAS
伊南屋氏GJっす!相も変わらず戦闘描写上手です。ってかアレで戦闘描写慣れてないんですか!?
……才能とかやっぱあるんですねぇ
それにしても、今回はジュウ様が王様らしかったです!イメージ的には幻水って感じだなぁ。
レディオ・ヘッドの世界観もそこら辺なのですかね?それともベルセルクとか……
600: 2006/12/17(日)14:07 ID:ekZSp2t3(1) AAS
いつもながら素晴らしい作品…GJ!
素朴な質問なのですが、ここの保管庫ってありますか?
エロパロ保管庫覗いてみたのですが見つけられなかったので…
携帯からの初心者なのでよく解らなくて…
こんな質問してすみませんm(_ _)m
601: 2006/12/17(日)15:05 ID:w0hrI1aa(1/2) AAS
ここの保管庫は、まだ無かったよーな。確か。
602: 伊南屋 2006/12/17(日)21:45 ID:+wZjnwjD(1/4) AAS
体の芯が甘く痺れている感覚に、ジュウは陶酔していた。
自らの内側を弄る雪姫の指先は、どこまでも優しく。彼女の言葉通り、ジュウの不安を忘却させてくれた。
ただ快感に耽る。意識的にそうする事でジュウは他を考えないようにする。
水音、吐息、衣擦れ、唇から漏れる声。それが聴覚に届く全てだった。
最初は違和感が先にあった女性としての性感は、今やそれが当然と受け入れられる。
入り口をなぞる指先も微かな悦びを与えるだけ。それに対する抵抗は既に無くなっていた。
深くまで挿れすぎないように気を使っているのだろう。緩やかな指遣いは最早、物足りなくすらあった。
「ゆき……ひめ」
掠れ声をジュウが零す。常ならば野太いその声も、体が女になった今は艶を帯びた、切なげな少女のものだった。
「ジュウちゃん……」
省14
603: 伊南屋 2006/12/17(日)21:47 ID:+wZjnwjD(2/4) AAS
その間にも雪姫はジュウの秘口への愛撫は止めていなかった。口付けに昴ぶっているのは雪姫も同じか。慰める指遣いは一層熱心なものに変わっている。
ジュウの体もそれに反応し、はしたなく其処から涎を垂らし、ひくついていた。
身体の反応はそれだけに留まらず、ジュウの小さな胸の頂きは桜色の芯を堅く尖らせている。
その事に気付いた雪姫は、空いた片手を其処に向かわせ、つんと凝り立った乳首を無遠慮に摘み上げた。
「んんんっ!」
唇は重ねたまま、ジュウはくぐもった悲鳴を上げる。
それでも、より強く捻られる刺激に耐えられず遂に唇を放した。
「くぁっ……雪姫、いた……い」
涙目でジュウは訴えたが、それに返って来た雪姫の反応は小さな笑みだった。
「本当に痛いだけかな?」
省25
604: 伊南屋 2006/12/17(日)21:49 ID:+wZjnwjD(3/4) AAS
麻痺した思考は簡単な結論だけを弾き出す。疲弊した精神はそれを疑問になど思わず、受け入れる。
堕落。
堕落していく。
「ちゅ……ぱ、んむっ。は……ぁ、ゆき……ひ、めぇ」
蕩けた瞳で雪姫を見つめる。それだけがジュウに見える全て。そうであるかのように。
雪姫の指が、深く膣中に沈められる。内壁を引っ掻くように曲げ、ジュウの快感を引き出す。
「んぁっ! あはぁ……っ!」
ひくひくと身体が痙攣し、ジュウの絶頂が近い事を知らせる。
雪姫はそれを感知し、更に愛撫を強め、絶頂へ更に近付ける。
「雪姫、雪……ひめ、ゆきひめぇ……っ」
省24
605: 伊南屋 2006/12/17(日)21:52 ID:+wZjnwjD(4/4) AAS
毎度、伊南屋に御座います。
というわけで女体化ネタ続き。更に続きますよ。
次はね、百合ハーレム(総受け)にするか破瓜(伊吹あたりと)にするか迷い中。つかいつも迷ってるな俺。
と言うわけで以上、伊南屋でした。ご意見、ご感想お待ちしてます。
606: 2006/12/17(日)22:11 ID:M/7cI8so(1) AAS
是非総受けで!!(*´Д`)
607: 2006/12/17(日)22:12 ID:w0hrI1aa(2/2) AAS
>破瓜(伊吹あたりと)
それはなんと言うか色んな意味で勘弁していただきたいw
本編に関してはただ一言。おっきしました。
608: 2006/12/17(日)23:04 ID:9Pf5+2WS(1) AAS
自分も総受けでお願いします!!(*´Д`)=з ハァハァ
609: 2006/12/17(日)23:30 ID:KUSaAbEo(2/2) AAS
伊南屋GJッス!相変わらずエロイッス!
それはそうと自分も総受け希望ッス。
やっぱ相手が男は流石に抵抗あるというか羨まし(ry
まぁ雨とかも性転換してとかならアリだとは思いますが
610: 2006/12/18(月)08:55 ID:mHHWWs0M(1) AAS
男ジュウ様がなぜか登場!…ってなったら百合苦手ぎみな自分には最高なんですが。
611: 2006/12/18(月)20:12 ID:M9dPIA3a(1) AAS
ここは総受けしかないでしょう伊南屋センセ!!!
伊吹なんてどーでもい(ry
なにはともあれGJッス伊南屋さん
612: 伊南屋 2006/12/18(月)21:07 ID:pAdyQqLO(1) AAS
予想以上に破瓜ネタの反発が多いな……。反発自体は予想していたがこれほどまでとは。
とりあえず皆さんの意見通りジュウたん総受けで書きます。
ところでまた単発ネタ書こうと思ってるんでリクエスト募集します。
ご要望には可能な限り応えますんで。
それではまた。伊南屋でした。
613: 2006/12/18(月)23:39 ID:GSwNkkeL(1) AAS
じゃあ犬の人×ジュウ様とか無茶言ってみる>リク
614: 2006/12/19(火)07:34 ID:DdSTaTAQ(1) AAS
613氏に賛同!!是非、逆レイプもので…(ry
615: 2006/12/19(火)15:19 ID:EHTzaxVw(1) AAS
雨とジュウの精神入れ替わりネタ希望します
616: 2006/12/19(火)23:53 ID:QM5b7MUT(1) AAS
ジュウ様IN雨はともかく、その逆は色々と恐い者があるような……w
617(1): 2006/12/20(水)07:37 ID:7U09eVbC(1) AAS
入れ替わりものなら、ジュウ×雨より雨×光のほうが面白そうじゃない?
618: 2006/12/20(水)10:43 ID:YRkkgOUM(1) AAS
>>617
想像したらワロス(w
619: 497 2006/12/23(土)01:46 ID:PFoG3msv(1/6) AAS
遅れたけど続きを
ややあって円の激情の波も引き、落ち着きを取り戻すと、あとはただ耳の痛くなるような静寂の中、ジュウは何時の間に
かなんとなく抱き合うような格好になっている二人の体勢に思わず赤面し、先程の勢いに任せた自分の恥ずかしいセリフ
をも思い返して石のように固まってしまった。頭と体が熱くなり、耳で知覚できるほどの拍動が鐘のように頭の中で反響し
、モーター音にも似たノイズと化して鼓膜を圧迫する。
が、円の方ではそんな事に斟酌するでもなく、やおら彼の肩から顔を上げ、グイと胸を手で押しやるようにしてあっさりと
身を離した。抱いていた仄かな温もりが去って言われぬような寂しさを感じた事に驚きながら、しかしジュウの身体はなお
燃えるような熱を抱えたままだった。
「……迷惑、かけちゃったわね」
それが、少しばかり胸から肩にかけて感じる濡れたシャツの感触に対する物なのか、それともそれも含めた今日の全て
省35
620: 497 2006/12/23(土)01:47 ID:PFoG3msv(2/6) AAS
「柔沢君」
「……なんだ?」
「今日は、色々と、あの……ありがとう」
照り返す夕日のせいか、赤く染まった顔に、純粋な感謝の微笑みを浮かべた円は、有り体に言って非常に魅力的で、
ジュウは跳ねるように高まる鼓動を感じつつ照れ隠しのように
「下まで、送って行こうか」
そう言って彼女の方へ一歩を進め……ようとして、不意にその場に崩折れた。
「柔沢君?」
驚きの声を上げる円の事も気にする余裕も無く、ジュウは全身から脂汗を流しつつ酸素を求めて喘いだ。喉が収縮して
息が詰り、ドクン、ドクンと心臓が飛び出しそうに大きく、速くその拍音を打ち鳴らし続ける。ずっと感じていた熱は既に異様
省28
621: 497 2006/12/23(土)01:48 ID:PFoG3msv(3/6) AAS
どう、と自分の体を掠めるようにして前のめりに倒れこんだジュウの体を苦労して仰向かせながらその下から這い出して
、円はふう、と一つ息をついた。ジュウは完全に失神しているようだった。自由になった両手で、斜め下から顎を掌打で打
ち抜いたのだから無理も無いが、下半身を押さえられた状態で咄嗟にそんな真似が出来たのは彼女なればこそだろう。
ついでに言えば、ジュウがやや前屈みの状態で、全くの無防備でいた事も幸いした。
それにしても、と円は思った。一体彼の変貌はどういった訳なのだろうか。
ジュウがこんな事をする人間ではない、という事は、円には痛いほどよく分かっていた。それぐらいならば最初の自分の
思惑が図に当っていた筈である。だが、最後に自分に向かって「殴れ」と言った彼はいつもの彼だったように思えた。
そう言えば、と円は彼の顔を上から覗き込む。唇の端が裂けて痛々しい傷口を見せてはいるが、それよりも心配なのは
頭の傷の事だった。咄嗟の事で気遣う余裕も無かったが、今の打撃で傷口が開いたりはしなかったか、またそうでなくとも
何かしら影響があったかもしれない。病院での検査では異常は無かったが、だからと言ってこう一日に何度も頭部への衝
省33
622: 497 2006/12/23(土)01:49 ID:PFoG3msv(4/6) AAS
「くっ……ふぅ、ン……」
声を出さぬように努めながら、ジュウの手をつやつやとして引き締まった己が腹に、腰に、脚に這わせる。同時に、片手
で器用に彼の腰のベルトを外し、下着まで取り去ると、勢いよく隆起したジュウの物がまろび出た。一瞬息を呑んで、改め
てそれに繊手を添えると、
「ぅあっ」
ジュウの叫びと同時、不意にそれは大きく震えて、大量の白濁した液を吐き出した。それは円の手を汚し、ジュウ自身の
腹にまで垂れてようやく止まったが、なおその硬度は全く衰えを見せない。
うっとりとそれを見つめ、噴き出した物を甘露の如くに舐め取りながら、ジュウの指を下着越しに自らの秘部へと触れさせ
る。
「ひあっ!」
省30
623: 497 2006/12/23(土)01:49 ID:PFoG3msv(5/6) AAS
だからこそ、風呂場でジュウに押し倒された時、いや、それよりも先に自らがジュウを押し倒した時も、肉欲に溺れて本
能の赴くままに快楽を貪っている、それを受け入れようとしている自分自身に恐怖し、怯えた。自分の修行の日々は、何
だったのか。全てこの身の内の忌々しい血の前では、無駄な努力だったのか。考えてみると、その事ばかりではなく今日
の自分は全く自らを律せていない。まるで何も知らなかった、あの無力な子供の頃のようだ。
忌まわしい記憶と共に快楽に止め処も無く襲われて、波の中の小船のように円の意識は揺さぶられ、持ち上げられ、
叩きつけられてその中へと沈みゆく。
「だめぇぇ、ダメ……うああぁぁんっ!」
白い、上質な陶器のような喉を反らして泣き叫ぶ。もうダメだ、と心の片隅で思った。自分は壊れてしまう。その心に纏
った鎧ごと壊されて、剥き出しにされて、そうしたら自分は人形になってしまう。男の都合の良いように弄ばれ、道具として
使われる人形に。
省35
624: 497 2006/12/23(土)01:50 ID:PFoG3msv(6/6) AAS
円の舌がジュウのそれと絡み合い、そこから二人の熱が一つになって、繋がり合い、円の涙も、ジュウの言葉も、全てが
ただ一個の炎熱と化した。
円の背に震えが走って、合わせた唇の間からくぐもった声が漏れた。それは生まれて初めての、彼女の心からの快楽
の声であった。それは長く、長く続き、そして二人の唇が離れてもなお続いた。
「イクぅ、イクイクイクっ!もうダメ、柔沢君、もう……!」
円の顔は恍惚に蕩け、しかしそれは女としての幸福を確かに表していた。ジュウはそれを単純に、綺麗だ、と思った。
「あぁぁぁあっ、イクぅぅっ!」
そして二人は同時に目の前が真っ白になったのを最後の思考としたまま、夢も見ず深い眠りに就いた。
翌朝早く。ジュウは目を覚ました。
「ようやくお目覚め?」
省41
625: 497 2006/12/23(土)02:32 ID:QMU7o2Bp(1) AAS
円堂の家の設定に付いては、まあアレだ。勝手な妄想ですよ、ウン。
まあエロパロだしね。なんか九鳳院と微妙に被ってるような気もしたけど、個人的には
山田風太郎忍法帖を意識してます。と、PCの調子が悪くなったんでケータイから
あとがきと言うか言い訳じみた事を書いてみたり。
とまれこうまれ、最後までお付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございました。
626: 2006/12/24(日)00:15 ID:yMB/hlQJ(1) AAS
円! 円!
627: 2006/12/24(日)18:32 ID:tioeZYlQ(1) AAS
円がこんなにエロいとは
628: 伊南屋 2006/12/25(月)14:05 ID:xc1rdrDU(1/5) AAS
「メリークリスマス。真九郎さん」
自室へと入った真九郎は、そう声を掛けられた。
灯りはついていなかった。全くの不意打ち。それでも声の主は夕乃だと、気付く事は出来た。
「夕乃さん?」
何故、部屋を暗くして待っていたのだろう。そう言えば今日はクリスマス。
なら灯りをつけると部屋がクリスマスパーティーの飾り付けをされているのだろうか。
淡い期待を膨らませ、灯りをつける。
「あ……」
絶句。
狼狽える真九郎に夕乃は言った。
省28
629: 伊南屋 2006/12/25(月)14:06 ID:xc1rdrDU(2/5) AAS
稚拙な愛撫は、夕乃が感じる場所を見つけ、学習していく。短時間での成長、否、性長か。
確実に夕乃の“ツボ”を突く愛撫は、最早素人童貞のそれではなかった。
「あっ、あっ、あぁん! し、真九郎さん!」
背を逸らし、快感を訴える夕乃。それを見て真九郎は――。
笑っていた。
嗜虐的な笑みを浮かべていた。
調子に乗った真九郎の愛撫は肢体を撫でながら下へ下へ、下半身へ。
そこに、触れる。
くちゅ、と音がした。ひく、と蠢いた。驚く程に、熱かった。
「あぁっはぁ!」
省28
630: 伊南屋 2006/12/25(月)14:08 ID:xc1rdrDU(3/5) AAS
それだけでなく、先端を精液で濡らした真九郎の陰茎に舌を這わせる。
「ちゅ、んふっ、はふっ、ちゅぅぅう……」
尿道に残った精液まで吸い出す。それら一連の動きは、真九郎の肉幹を再び上向かせるには十分過ぎる。
「あはっ、おっきくなりました」
もはや意識など獣の本能に支配された真九郎は躊躇わない。一瞬で体勢を整えると、自身の切っ先を夕乃の膣口にあてがう。
「来て……下さい」
言われずがなとも。真九郎は一息に深く突き立てる。
何かが弾けるような、破れるような感触も一瞬。容赦なく腰を降りたてる。
「あ、あ、あ。真九郎さ……ゆっくり、あぐっ!」
痛みを訴えようが構わない。ただ、貪る。
省16
631: 伊南屋 2006/12/25(月)14:09 ID:xc1rdrDU(4/5) AAS
翌朝。
真九郎はおしぼりで夕乃の体を拭いていた。
風呂のない五月雨荘ではこれが限度。ある程度拭ったら銭湯に行くことにしている。
「あ……」
不意に、夕乃が声を漏らした。
「真九郎さん?」
若干怒りの含まれた声音。
「今、えっちな触り方しましたね?」
「いや、そんな事は……」
それは事実。真九郎は意識していない。
省10
632: 伊南屋 2006/12/25(月)14:13 ID:xc1rdrDU(5/5) AAS
テンション一つで駆け抜けろっ! 毎度、伊南屋に御座います。
さて、一日遅れのクリスマスネタ。いや本当は25日だから合ってんのか。
かなり暴走してみましたが如何でしたでしょうか。
酒が抜けきらないテンションですのでおかしいのは分かっております。
それでも、楽しんでいただけたら幸いです。
それではまた、以上伊南屋でした。
メリークリスマス!
633: 2006/12/25(月)19:36 ID:hSy7u6Bh(1) AAS
いやすっげー楽しみましたよ?
まさかここでギャグがくるとはw
相変わらずなGJッス伊南屋さん!!
634: 2006/12/25(月)21:24 ID:lUbw8ECB(1) AAS
伊南屋さん、貴方と云う人はっ!!
何てGJなんだ、笑わせて頂きましたw
自分もギャグが来るとは思いませんでしたw
635: 2006/12/26(火)01:45 ID:MXmnhwgh(1) AAS
やったー! 夕乃さんだー!!!!!
残業で疲れて帰ってきた身に、素晴らしいプレゼントをありがとう
636: 2006/12/26(火)23:42 ID:HohcyNPN(1) AAS
伊南屋さんは何でも面白いですね!!すばらしいクリスマスプレゼントをありがとう!!GJです!!
637: 2006/12/28(木)12:47 ID:/BChVIot(1) AAS
保守
638: 2006/12/31(日)09:32 ID:XLujEUo3(1) AAS
ほっしゅ!
639: 2006/12/31(日)11:51 ID:5jR3OvsJ(1) AAS
皆さん良いお年を!!
640: 伊南屋 2006/12/31(日)12:07 ID:4l9gF13N(1/6) AAS
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
Z.
空がうっすらと白み始め、朝の訪れを告げる。
夜通し馬車を走らせた一行は、疲労の色も露わにしながらも、目的地への到着を知った。
ギミアの東部に位置する都市、クスル。商工業が発達する一方、武芸の盛んな都市であり、名だたる武人を輩出している事で知られている。
この周辺の都市、集落と合わせ、クスルを治めているクスル領主との会談がジュウ達の目的であった。
「なんか、久しぶりだな」
呟いたのは真九郎だ。その表情は懐かしい景色に、微笑んでいるようだった。
「お前、ここの出身だったのか」
問うジュウに、真九郎は肯いて応える。
省26
641: 伊南屋 2006/12/31(日)12:08 ID:4l9gF13N(2/6) AAS
苦笑いを浮かべるジュウに真九郎が尋ねる。
「いや、単に確認したかっただけだ。他意はない」
答えるジュウに「そうか」とだけ真九郎は返す。
そんな時だ。不意に円が口を開いた。
「さあ、着いたわよ。領主邸に」
言われ、外に視線を向ける。
「ここか……」
領主の屋敷が、ジュウの視界の中、迫って来ていた。
クスル領主、その氏を崩月と言う。
古くから伝わる武術の名門。しかし、その技は門外不出。崩月の家系にのみ伝わる技は、その家系の者にしか使えないという。
省25
642: 伊南屋 2006/12/31(日)12:10 ID:4l9gF13N(3/6) AAS
真九郎が少女に返す。少女の名は夕乃と言うらしい。名を呼ばれた夕乃は、柔らかな笑みをその美貌に浮かべた。
そこにある暖かい空気に、ジュウは憧憬を抱く。分かり合っている関係。家族のような、そんな暖かさ。
「……こちらは?」
夕乃が真九郎の背後に視線を寄越す。つまりジュウ、雪姫、紫の三人だ。
「こいつは紫。今日はこの娘の事で話があってきたんだ。それでこちらは――」
振り向く真九郎。その表情は互いに詮索しあわない事にした故にジュウ達の説明に困っているようだった。
仕方なく、代わりにジュウが自ら名乗る。
「柔沢ジュウだ。こちらの当主に用があって出向いて来た」
「柔沢……ジュウさん。ですか」
呟く。夕乃は柔沢の氏が示す意味を捉えたらしい。柔らかな表情を、凛としたものに変えた。
省24
643: 伊南屋 2006/12/31(日)12:12 ID:4l9gF13N(4/6) AAS
苦笑しながら夕乃が続ける。
「真九郎さんは、なんというか世間知らずと言うか、世間擦れしてない所があって……。疎いんですよ全体的に」
真九郎を憂う夕乃の様子に微笑みながらジュウは答えた。
「でも、良い奴ではある。ほんの少しの付き合いだが、それが分かるくらいには真っ直ぐな奴だと思う」
「そう思いますか」
夕乃も苦笑を単なる微笑みに変えてみせる。
「ところで」
不意に表情に硬さを持たせ、夕乃が問いを口にした。
「一国の王が、どういった御用向きでしょうか」
何気なく踏み込む。問いにジュウは、一呼吸置いて答える。
省29
644: 伊南屋 2006/12/31(日)12:13 ID:4l9gF13N(5/6) AAS
「まあ、俺としては反抗するとかそんなつもりじゃなくてな。ちぃっと見極めようと思ってたわけだ。そうしたらどうだ。お誂え向きな厄介事抱えた真九郎と一緒に来やがる」
全くおもしれえ。最後に法泉はそう呟いた。
「少し話が見えないんだが」
「つまりはこういうこった。俺はお前さんに従うに吝かじゃねえ。面白そうだしな。ただしそれには条件がある」
そこで人差し指を立て、それを真九郎に向ける。
「こいつが抱え込んできた厄介事を片付けてくれねえか。こいつには話は通してあるからもう受けるんなら話してくれるだろうよ。
嫌だっつんなら仕方ねえ。俺はお前さんには従わねえ。そん代わり反発もしねえがな。国相手に戦争するほど暇じゃねえからな」
ジュウはやや迷ったが、すぐに回答を提示してみせた。
「良いだろう。その話、受ける」
「いいねえ、決断が早いのは良いことだ」
省8
645: 伊南屋 2006/12/31(日)12:40 ID:4l9gF13N(6/6) AAS
『レディオ・ヘッド補足授業』
「またやって来ました本コーナー。早速ですが質問に入りましょう」
「おう」
Q.ジュウ様は剣を執らないんですか?
「答えは“執る”だ。本来戦争なんて素手でやるもんじゃないしな。円にしたって馬車の中に剣を忘れただけだ。
なので勿論、俺も剣を振るう」
「因みにジュウ様は大剣使いです」
Q.雨が出ませんね?
「只今私は国政に追われている……はずです」
「はずってなんだ」
省39
646: 2006/12/31(日)19:38 ID:lltCFEho(1) AAS
イヤ〜続きが気になりますねw 紫との関係はオリジナルですか
最後のギャグもオモシロでGJっす!
647: 伊南屋 2007/01/01(月)00:31 ID:FpcLao1K(1/3) AAS
除夜の鐘が聴こえる。長く重い響きが、新たな一年の訪れを告げる。
「明けましておめでとう御座います」
正座しながら言ったのは雨だ。振り袖を着飾り、いつもは野暮ったい長髪も綺麗に纏められている。
「ああ、おめでとう」
無意識に見蕩れながらジュウも返した。
「おめでとう! ジュウくん!」
「ああ、雪姫も、明けましておめでとう」
やはりこちらも雨同様に振り袖。本人曰わくコスプレみたいなもんだとか。
「私からも一応。おめでとう柔沢くん」
「おめでとう」
省38
648: 伊南屋 2007/01/01(月)00:32 ID:FpcLao1K(2/3) AAS
あの、二刀の剣士がそこにいた。
「今は全てを忘れ、来るべき明日を祝う席だ。過去は全て忘れて楽しもう」
ジュウにとっても、真九郎にとっても。それは幸せな夢。あり得たかもしれない未来。
「そう言えば挨拶がまだだった」
「「「明けましておめでとう」」」
加奈子、美夜子、リン。
三人が声を揃える。
それに、ジュウと真九郎は精一杯の笑顔で応えた。
「「明けましておめでとう!」」
そうして、今年最初の夜は更けていく。幸せな夢に微睡みながら。
省20
649: 伊南屋 2007/01/01(月)00:35 ID:FpcLao1K(3/3) AAS
毎度、伊南屋で御座います。
大晦日ネタから続いてます。
新年会ネタ。少し湿っぽい感じです。
短めですが今回ここまでで。
以上、伊南屋でした。
最後に、明けましておめでとう御座います!
650: 2007/01/01(月)01:37 ID:IOFCYk18(1) AAS
連続投下の二作いつもながらGJです!!!!
あけましておめでとうございますm(_ _)m
651(1): 2007/01/01(月)22:03 ID:t4d2o9OZ(1/3) AAS
ネタ投下。電波的な彼女世界でのクロスオーバー的な何か。
ジングルベール、ジングルベール……
クリスマスも近づく12月の上旬、柔沢ジュウはひとり商店街を歩いていた。
今日の夕飯の買出しついでに寄ってみただけだったが、
暢気にかかっている陽気なクリスマスソングが耳に入ってくると、もうそんな時期になるかとぼんやりと思った。
と、言ってもジュウにとってはただの風物詩みたいなものであって、クリスマス自体になんら興味を惹かれるものはなかった。
あの母親―――紅香が自分のためにクリスマスプレゼントを与えてくれたことは無かったし、
まだ幼少であった自分に「サンタクロースなんてふざけた不法侵入者はこの世の中にいねぇよ」と断言し、
いとも簡単に希望も夢も打ち砕いてくれた。
それが母親のすることか、と毒づくジュウだが、それはそれでよかったかもしれないと思うところがある。
省4
652: 2007/01/01(月)22:04 ID:t4d2o9OZ(2/3) AAS
「ジュウ様、どうかされましたか?」
「いや、なんでもねぇよ」
翌日の下校途中、いつものように雨と共に帰路についていると、彼女は心配しているのか訊ねてきた。
そんなに不機嫌な顔をしていただろうか。眉間にしわを寄せて首を傾げる。まあ確かに機嫌がいいとは言えなかった。
12月に入ってクリスマスや冬休みが近づいたせいからだろうか、クラスの連中があちこちでその予定について
楽しく浮かれたように喋っていた。まるでそれが自分へのあてつけのように聞こえたのだ。
別に羨ましいわけではないが、孤独である自分を嘲笑されているようで癇に障る。
自分のことながら度量のない男だと実感する。他人は他人、自分は自分と割り切ればいいものを、
この年になってまで何かを期待しているのだろうか。馬鹿馬鹿しい。
だからいつまでも紅香に舐められっぱなしにされているのではないのだろうか。
省16
653(1): 2007/01/01(月)22:10 ID:t4d2o9OZ(3/3) AAS
「…そうだ。ラーメンでも食べて帰るか? 今日は俺が奢る」
「はい、喜んで」
偶然差し掛かったラーメン屋が視界に入って、ジュウは雨を誘った。
12月にも入ると、寒さは厳しさを増すばかりであり、普段は暑さや寒さに文句を言わないジュウも流石にこの寒さが身に染みる。
熱いラーメンでも食べれば寒さを和らげることぐらいはできるだろう。
雨のため、というよりは自分のためであったが、奢ることで差し引きゼロだ。
そんなことをぼんやり考えながら、ジュウたちはそのラーメン屋の暖簾を潜った。
「へい、らっしゃい!」
暖簾を潜ると、威勢のいい従業員の声がふたりにかけられた。
『楓味亭』―――それがこの店の名前らしい。そういえばクラスの連中も時々この店の噂をしているな、となんとなくジュウは思い出した。店内は昔ながらの素朴さでどこか懐かしさを感じる。
省37
654: 2007/01/02(火)11:23 ID:SGi0s5++(1) AAS
正直、銀子の先生はやり過ぎ感が否めなかったが、サンタのくだりは良かった
紅香さんのその発言が当たり前に感じるわw
しかしジュウ様。
今日日の餓鬼は例えサンタの正体に気付いてもプレゼントを多く貰う為に気付いて無い振りをする奴らばっかりですから!
だけど、そんな事を考えてしまう純粋さが貴方様の魅力でっていうかぶっちゃけ萌えで(ry
655: 2007/01/03(水)00:25 ID:2FOYQfFH(1) AAS
やっぱジュウと雨はいいな
1番好きなカップリングだ
656: 2007/01/03(水)09:00 ID:95/2gqsa(1) AAS
ジュウと雨はまさに「正統派異端系」カップルって思うのは俺だけか?
657: 伊南屋 2007/01/03(水)10:46 ID:4ASEDexw(1) AAS
一つ自分のミスを見つけたので訂正します。
レディオ・ヘッドVでジュウ様達の進路は西ってなってましたが東でした。
謹んでお詫び申し上げるとともに訂正します。
最後に、次のSSの投下はもうちょっと待ってください。
以上、伊南屋でした。
658: 2007/01/05(金)18:36 ID:NqDxirkE(1) AAS
一応保守
659: 伊南屋 2007/01/05(金)21:08 ID:j1ILVdq9(1/4) AAS
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
[.
九鳳院と言う一族がいる。大陸の中でも特に強い、通称「三國」と呼ばれる中の一つ、アルハザト聖国を治める王族である。
古くから続く血脈に、彼らは誇りを持ち、自らが選ばれた一族であり、世を統べるのは我々だと、強く主張している。
その九鳳院。その闇の産物が紫である。
九鳳院に代々続く風習。近親相姦。
言ってしまえば古い王族にはそう珍しい話ではない。優れた血をより濃くするために近しい者同士で交わる。
そんな話は枚挙に暇がない。
しかし、それもかつてはの話である。
かつては許された事も、今の倫理に重ね合わせれば到底許されない。
省19
660: 伊南屋 2007/01/05(金)21:10 ID:j1ILVdq9(2/4) AAS
今まで奥の院のルール――初潮前の女児に手を出してはいけないと言う規則が邪魔したが、この混乱した事態に乗じて、紫を犯す。
そう、考えているらしい。
だから、逃げるのだ。九鳳院から、それ以上に竜士から。
その話を、紫は泣きながら語ったという。
「成る程ね……」
重い沈黙を、ジュウが破った。
「確かに胸糞悪くなる話だ。近親相姦に幼女趣味ね……。まったくヘドの出る話だ」
忌々しげなジュウの言葉は、重みを持って響く。
子供に甘い――無論やましい意味でなく、純粋な意味で――ジュウとしては、相当に頭に来る話だった。
子供は汚れていない。何の罪もない。だから、何も悪くない子供が不当に辛い目に会うのは許せなかった。
省23
661: 伊南屋 2007/01/05(金)21:10 ID:j1ILVdq9(3/4) AAS
声を掛けられたのは少女だ、小柄な少女。無気力な瞳で少年を見つめ小さく頷く。
その足元には、鋸。
「鉄腕は僕の護衛。ビッグフットは襲撃中に紫を回収して来い」
言われた各々が頷いて応える。
「さあ、思い知らせてやる。“刃向かう者は潰せ”って言う、九鳳院の掟をさ!」
そう言って少年は――九鳳院竜士は笑い出す。
「ははっ! 紫。お前は僕の物だ。それを分からせてやる。はははっ! あはははははは!」
まだ日の高い昼。それでも暗い森の中。九鳳院竜士の高笑いが木霊した。
662: 伊南屋 2007/01/05(金)21:13 ID:j1ILVdq9(4/4) AAS
毎度、伊南屋に御座います。
ようやく事態が動き出しましたレディオ・ヘッド[。如何でしたでしょうか?
紫の事情関連は現在踏襲しつつ少しアレンジされてます。あらかじめ事情を明かしておくって感じに。
とりあえず何気に[まで来たなあとか思いつつ、以上伊南屋でした。
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