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【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 (771レス)
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2006/12/10(日)20:37
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568: 497 [sage] 2006/12/10(日) 20:37:25 ID:cVAdv5FO ジュウの言葉を遮って円の言葉は続く。 「だから、これ以上皆があなたに近付く前に、って、そうすれば……」 「待てよ」 堪りかねてジュウは言った。かつて雨との関係について『二人の問題』だと言ったのは円ではないか。それを何故今 頃になって……と捲し立て、なおも言い募ろうと肩に手を置いて、ふと気付いた。首を垂れて俯いた円の肩は、僅かに 震えていた。 「そうね……なんでかしら。自分でもよく解らない」 寂しそうな笑いを含ませた声で、そう言った。 「あなたに偉そうな事を言えるような人間じゃなかった、って事ね、私こそが。あの子達に相応しくないのは、私の方 だわ。馬鹿馬鹿しい。最低ね……」 それだけ言って、黙り込む。ジュウは、そこで初めて掴んでいる肩の華奢さを意識し、そうして悄然とした円のその消え 入りそうな姿に言葉を失った。円堂円は、もっと強くて、自分など及びもつかないような自制心を持っている少女だと 思っていた。でも、それは間違いだったのか。彼女もまた葛藤し、迷い、悩み、時に間違うのか。いや、人間ならば、や はりそれが正しいのだろうか。 ふと、ジュウの心に一つの疑問が涌いた。 「なあ、円堂」 「……なに?」 既に気死したかのような声でそう問う円に、ジュウは疑問をぶつけた。 「だったら、なんでさっき俺に『先に自分が誘惑した』なんて言ったんだ?」 「え?」 予想もしていなかった事を言われた、という顔で円が振り仰ぐ。 「お前の考えとは違ったけれど、俺は自分からあいつ等と離れようとした。だったら、お前の目的通りじゃないか。なんで わざわざ否定するような事を言ったんだ?」 「……なんで、かしら」 本当に分からない様子で、円は視線を彷徨わせた。ジュウは続けた。 「俺が警棒で殴られて怪我した時に手当てして、膝枕してくれたのはなんでだ?」 「分から、ない……」 首を横に振る。イヤイヤをするような仕草だった。 「なんで、今そんな、言わなくてもいいような告白を、俺にしてるんだ?」 「……」 祈るように、ギュッと胸の前で手を組んだまま、円は沈黙する。 「なあ円堂、俺は、弱い人間だ。今までだって色んな事件に遭うたび、いつも途中で投げ出そうと、逃げ出そうとした」 円は黙っている。 「でも、雨が、雪姫が、光が……お前がいてくれたから、俺はそうしなかった。一人じゃ何にも出来やしねえけど、誰かが 助けてくれたから、支えてくれたから闘えた。こんな情けない俺でも」 円の顔を覗き込むようにしてジュウは続けた。真剣な顔で。 「お前は、強くて、賢くて、カッコ良くて……でも、一人じゃ寂しいんだよな。俺も雨に言われたよ。強いってのと寂しい のは違う、って」 何となく力を入れるのが癖になっている眉間を緩める。 「だから、アイツらの事もう少し頼ってやれ。言いたい事はもっと言えばいい。そんで、頼りないかもしれないけど、お前 を悩ませるだけかもしれないけど……もし良ければ俺の事も頼ってくれ」 ほんの10cm程の距離で、二人の視線が交わった。 「お前は俺の事どうでもいいって思ってるかも知れないけど、俺はお前がいい奴だって知ってるし、お前の事が好きだ」 円の目から微かな灯りを反射して雫が滑り落ち、僅かにカーペットを濡らした。 「ごめん、ごめんなさい……」 堪え切れない嗚咽を漏らして、円はジュウの肩に顔を伏せた。そこから温かい染みが広がるのを感じながら、ジュウは その合間の一言を確かに聞いた。 「……ありがとう」 <続く> http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150541908/568
ジュウの言葉を遮って円の言葉は続く だからこれ以上皆があなたに近付く前にってそうすれば 待てよ 堪りかねてジュウは言ったかつて雨との関係について二人の問題だと言ったのは円ではないかそれを何故今 頃になってと捲し立てなおも言い募ろうと肩に手を置いてふと気付いた首を垂れていた円の肩は僅かに 震えていた そうねなんでかしら自分でもよく解らない 寂しそうな笑いを含ませた声でそう言った あなたに偉そうな事を言えるような人間じゃなかったって事ね私こそがあの子達に相応しくないのは私の方 だわ馬鹿馬鹿しい最低ね それだけ言って黙り込むジュウはそこで初めて掴んでいる肩の華さを意識しそうして然とした円のその消え 入りそうな姿に言葉を失った円堂円はもっと強くて自分など及びもつかないような自制心を持っている少女だと 思っていたでもそれは間違いだったのか彼女もまた葛藤し迷い悩み時に間違うのかいや人間ならばや はりそれが正しいのだろうか ふとジュウの心に一つの疑問が涌いた なあ円堂 なに? 既に気死したかのような声でそう問う円にジュウは疑問をぶつけた だったらなんでさっき俺に先に自分が誘惑したなんて言ったんだ? え? 予想もしていなかった事を言われたという顔で円が振り仰ぐ お前の考えとは違ったけれど俺は自分からあいつ等と離れようとしただったらお前の目的通りじゃないかなんで わざわざ否定するような事を言ったんだ? なんでかしら 本当に分からない様子で円は視線をわせたジュウは続けた 俺が警棒で殴られて怪我した時に手当てして膝枕してくれたのはなんでだ? 分からない 首を横に振るイヤイヤをするような仕草だった なんで今そんな言わなくてもいいような告白を俺にしてるんだ? 祈るようにギュッと胸の前で手を組んだまま円は沈黙する なあ円堂俺は弱い人間だ今までだって色んな事件に遭うたびいつも途中で投げ出そうと逃げ出そうとした 円は黙っている でも雨が雪姫が光がお前がいてくれたから俺はそうしなかった一人じゃ何にも出来やしねえけど誰かが 助けてくれたから支えてくれたから闘えたこんな情けない俺でも 円の顔を覗き込むようにしてジュウは続けた真剣な顔で お前は強くて賢くてカッコ良くてでも一人じゃ寂しいんだよな俺も雨に言われたよ強いってのと寂しい のは違うって 何となく力を入れるのが癖になっている眉間を緩める だからアイツらの事もう少し頼ってやれ言いたい事はもっと言えばいいそんで頼りないかもしれないけどお前 を悩ませるだけかもしれないけどもし良ければ俺の事も頼ってくれ ほんの程の距離で二人の視線が交わった お前は俺の事どうでもいいって思ってるかも知れないけど俺はお前がいい奴だって知ってるしお前の事が好きだ 円の目から微かな灯りを反射して雫が滑り落ち僅かにカーペットを濡らした ごめんごめんなさい 堪え切れない咽を漏らして円はジュウの肩に顔を伏せたそこから温かい染みが広がるのを感じながらジュウは その合間の一言を確かに聞いた ありがとう 続く
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