【創作】UNIX文庫 文豪ハッカー【パクリ】 (762レス)
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185: ろてぃれる [sage] 02/08/11 14:46 AAS
>>184184(1): ろてぃれる [sage] 02/08/11 14:45 AAS
>>183
その地獄は、最初に思っていた以上に長く続き、カメさんに対する尊敬の念とか、ちょっとした八つ当たりの気持ちとかがでてきていたのですが、それでもくじけずに気合いで乗り切り、やがて、カメさんに追いつく日が来ました。
ぼくが初めてそのカメさんの話を聞いたときは、沈着冷静で寡黙な、ちょっと怖いヒトを想像してしまいましたが、実際に会ってみると全く正反対の、気のいいおじさんでした。
初めて第六大陸に足を踏み入れたときに、嬉しくて踊り出したという話も残っており、結構お茶目なところもあるようです。
ぼくの中で一方的にふくらんでいた“敵意”も消えてしまいました。
カメさんともすっかり友達になり、一安心したぼく。
でもここで、困ったことが起きました。
「これから先、どっちへ進めばいいのか、判らない……」
ぼくの目標はカメさんに追いつくこと。
その後のことは、何も考えていなかったのです。
ぼくが途方に暮れていると。
カメさんが言いました。
「そんなの、オレにも判らないよ」と――。
そうだったんです。
ここは前人未踏の地、進むべき方向は自分たちで決めなければならないのです。
その一言で、ぼくは、うまい具合に吹っ切れることが出来たんです。
以来ぼくは、カメさんやその後友達になったMSRクンとか、いろんな仲間と互いに情報交換をしながら、この広大な第六大陸で相変わらずの探検生活を送っています。
カメさんは、定期的に第六大陸から戻ってきては発表会を行い、そこでは毎回、作りかけの地図の最新版を配ります。
カメさんが始めた発表会は、最初の頃はほとんどお客さんがいなくて寂しかったのですが、今では世界中から彼の業績は(それなりに)認められており、そこそこ盛況です。
ぼくもそれに倣い、ぼく独自の調査を元に作った地図を作って配ることにしました。
いろいろなヒトから感謝されたり、鋭い指摘を受けてビビッたり、意外なところからヒントをもらって舞い上がったりと、充実した日々を送っています。
ぼくたちの地図は各国の学者や探検家などの手にあまねく広がり、貴重な資料として大切に扱われます。
ぼくたちの目標は、第六大陸で普通の人が楽しく暮らせるようになるまで、そのお膳立てをすること。
既知の大陸は、人口が多くなりすぎてパンク寸前。
実は、意外に危機的状況です。
今は何もない第六大陸だけど。
森を切り開いて道を造ったり、街を造ったりして、楽園に一番近い国を造る。
もちろん、豊かな自然を必要以上に壊すことのないよう、それだけは気をつけなきゃいけないけど――。
「まぁ、これからもよろしくやろうぜ」と、ちょっぴり照れた風に言うカメさん。
「そうだな。基本的にはその路線で」と、たまにヘンなことを言うMSRクン。
他にもいっぱいいっぱい、仲間はいるけど、それでもこの第六大陸は広すぎます。どうしよう……。
「そんな、焦って気持ちばかりが空回りしたところで、しょうがないだろ。出来ることを順番にやればいいんだ」
カメさんはぼくの頭をポンポンと叩いて、相変わらず冷静なことを言います。
ぼくがカメさんに、本当の意味で追いつくのは、まだまだ先かな? なんて、漠然と思いました。
――おわり
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