【創作】UNIX文庫 文豪ハッカー【パクリ】 (762レス)
1-

585: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/07/04 21:23 AAS
そのかわいい家は、煉瓦で構成される壁が木の屋根を支えているというものだった。
雪で覆われた土地に孤立する家は珍しい金色の装飾を打ち付けられており、
社会的地位のために取り付けた飾り、誰もが真似をできるものではなく、
自分の趣味の世界を現したものだという感じがする。
僕が訪ねることで主人は気を悪くしないだろうか?
世を捨て、人のいないところで落ち着いていたのに、それを僕が物珍しげに眺めているとしたら…?
僕は丸太の階段を上り、赤紫色にペイントされたドアに控えめなノックをした。
いや、僕は長旅で疲れきっている。きっと感謝してくれるに違いない。
それが親切な田舎者というあかしさ。

ドアが内側から開けられ、ヒトの形があらわれた。
ひどく痩せた男性で、エプロンをまとっている。
少ない髪の毛は驚きで灰色になっており、逆立ちしているようだ。
男はぶるっと身震いすると半ばひらいたドアを逆行させ、大きな瞳を不審げに向けている。
気を悪くするだけじゃない。彼の目は怒っているようにも見えた。
僕は帽子を脱ぎ、両手を前に組み合わせると言った。「宿をわけてもらえないでしょうか?」
ドアが静かに閉まった。そのまま待っていると、あたりが暗くなってきた。
くそっ、なぜ皆、僕を怪しむんだ。僕の顏は歪んでいるのだろうか?
すっかり暗くなり、絶望して帰ろうとすると、またドアが開いた。
ドアの開いたその場所には男が立っていた。
「入ってくれ。いくつか聞きたいことがある」
586: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/07/04 21:23 AAS
中には暖も、落ち着かせるランプの明りもある。
男は靴を脱ぐように、それが終れば椅子にかけるよう命じた。
男は口を開け、棚に並べられた木彫りの仮面を眺めていた。
まるで僕が本当に腰かけたのに呆れでもしたように。
とはいえ僕の顔面には感謝の気持ちと、謙虚さが表われていたにちがいない。
「お前はいったいどこからやって来たんだ」
男が僕の視線を避けていることに気がついた。
彼は申し訳ないといった表情で返答を待っている。
僕は怪しまれてはいないようだった。
彼は親切に振舞うことで威嚴を失うことを恐れていたに違いない。
不意に僕の口から言葉がもれた。「どこでも構わないのではないでしょうか?」
男は目を丸くして僕をみつめた。
「あなたには旅人に宿を貸す義務があるはずです。他に家はないのですから」
僕はそれらが言うまいとしていた皮肉のようなものだと気がついた。
本当に男に通じてしまったのだろうか。僕をとっさに謝ろうとした。
「だが、あなたは旅人たちを見殺しにしてきた…」
男は立ち上がろうと、椅子の上でもがいた。
「お前は誰だ。なぜそれを知っている?」
僕はそれが本当にあったのだろうかと考えていた。
男の大声で現実にかえされた僕は思わずぎょっとした。
僕の発言が皮肉のものであるように、彼の行動も誰かの皮肉なのだろうか。
587: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/07/04 21:24 AAS
「お前はその醜い顏で私を詮索していたのだな。そうか、その頭でなフフ」
僕に恐怖と怒りがとり憑いたのが感じられた。
「その通りだ。高きから見物していたよ。お前は旅人が泣くのを楽しんでいるようだったね。
部屋の中でくすくす笑っていただろう。だが僕は旅人に焚き火と食料を与えた。
彼らはいまに出世して、お前を捕えにくるぞ」
胸がかあっと熱くなるのを感じた。皮肉が、他人に効果を及ぼしたのだ。
男は歯を食いしばりテーブルを叩きつけた。
「そうですとも。彼らは再びわが家にお越しになりましたよ。
ハハハ、皆、道に迷って戻ってきてしまったのさ。
お前のはからいは奴等を苦しめることになったのだろう。
意識がはっきりしてきたと思ったら、俺がまだそこにいるんだからな」
男は勝ち誇って笑った、だが油断はしなかった。
僕の力を抜いているなにかを感じた。
やつの皮肉、いや、自分が放った皮肉によって苦しまされる。
「どうやってもこの森からは抜け出せんよ。お前もここに戻ってくるんだろうな」
また恐怖が襲った。もはやただの皮肉とは思えない。
588: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/07/04 21:24 AAS
相手を打ちのめす言葉で世界を作り替えて行く、戦争に勝つには相手の口を奪うしかない。
だがそれは同時に自分の足場を危うくするかも知れない。
僕は積木を相手に不利なように積んでいく、交代制のゲームを思いだした。
「まあね。それでは僕は出発しようと思う。僕が殺した奥さんによろしく言っといてくれ」
やつはいきなり立ち上がった。「なんだと、お前が殺した…」
僕は棚に女のヒトの写真があるのに気がついて、にやりとした。
男はしばらく震えていたが、気が触れたように笑いだした。
「ハハハッ、ばかな、それは俺が独身だと知っての皮肉かい?
まあいい、ジョークは大好きだ」
男はワインを注ぎ、よこした。
「これにはどういう毒を入れたのかい?」
つかの間、沈黙が続いた。
「ひとの親切に対する皮肉は大嫌いだ! さっさと帰れ!」
やつにはもともと愛情というものがなかったのだ!
僕は恐ろしさのあまり、震えていた。
怒りが自然に沸いてくるというのに。
お願いです。僕を見捨てないで下さい、外へ追い出さないで下さい。
僕は口を塞ぐなにかを感じた。俺は負けたんだ。涙があふれた。
男は無言で僕を見おろしていた。
その顔には冷たい笑みがあらわれていた。
589: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 04/07/06 00:15 AAS
あげ
590: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 04/07/18 23:05 AAS
age
591: 関ヶ原1 [sage] 04/07/21 21:56 AAS
会議室の沈滞が、情報システム課員から精気を奪い去っている。

部長出席の会議の次期ネットワークシステム構築での命取りとなる
発言を恐れ、部員一同、一言も発せず、ひたすら会議終了を待ちつづけていた。
「何か意見がないのか!」
部長は何度も言い、何度も声を荒げた。

しかしそういう自分にすぐ気がつく男でもあった。苛立ちを悟られぬために
「昔は技巧の者がいたものだ」
と左右に冗談めかしくいった。部長の言う巧者といえば、汎用機のころから
部長の部下だった社員だが、汎用機が衰微していく中で、次々とリストラされ、
ほとんど残っていない。
今の者は駄目だといいたいのであろう。ところが、左右を見渡した部長の目が
年配の渥美源吾という情報システム課員を捕らえた。
592: 関ヶ原2 [sage] 04/07/21 21:57 AAS
「源吾がいるのか」

部長はうれしそうに言った。渥美源吾は日立の汎用機エンジニアだが、コンピュータ
に造詣が深く、リサーチをさせれば抜群の男だった。
「ざっくりとでよい。次期コンピューターネットワークについて所見を述べよ」
源吾は事前に用意していた資料をかき寄せ、手元のパワーポイントを起動させ
次期ネットワークシステムの基幹スイッチについて説明を始めた。
源吾はほんの5分から10分も説明してから、私見を述べた。

・・実は源吾は日立の汎用エンジニアであり、TCP/IPネットワークについては
ほとんど門外漢である。

「市場動向を見るに次期ネットワークシステムに導入する基幹スイッチは
 国産である日立製がよいと思われます。その方向でご検討されてしかるべく」

部長はうなずき、源吾を着席させたあと、
「さすが、手馴れたものよ」と満足げであった。
部長は源吾の報告が市場動向や厳密な調査による適切な選択ではなく、単に
法螺であることを知っていた。しかし法螺にしてもこの場合、停滞した会議を
進捗させる上で大いに効用があるであろう。
593: 関ヶ原3 [sage] 04/07/21 21:58 AAS
会議終了後、情報システム課に戻った源吾に、新人ネットワークエンジニアが
「なぜ導入実績の少ない日立製L3スイッチを提案したのですか?」
と暗に責められると、
「今日の会議は、部長が何らかの方向性を示さなければならない会議だ。
すでに業者決定日は近く、いちいち調査せずとも、どこかのメーカーに
決めること、早ければ早いほどよいというのは分かりきったことでは
ないか。」
「そんな馬鹿な。しかし、もしも実績の無い日立製を採用して、ネットワーク
ダウンが起こった場合、どう言い訳をするのですか!?」

「馬鹿だな」
源吾はせせら笑い、それ以上新人の相手にならなかった。
ネットワークダウンになれば、走り回るのは保守業者であり、最悪のケース
になれば汎用機エンジニアである自分と上司である部長が早い時期にリストラの
対象になるだけである。

リストラされる者同士に言い訳もくそもあるか、というのが、この業界に
老熟した男の回答であった。
しかし口外することはつつしんだ。
594: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/07/21 22:22 AAS
↑ ごめん、UNIXネタじゃなかった
595: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/07/22 01:07 AAS
面白いから無問題。っていうか日立ルータの中身はBSDじゃなかったっけ?
596: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/07/24 00:19 AAS
開けてくれ、私は仕事で来ているんだ
開けてくれ、私は怪しいものではない
開けてくれ、私は荷物を届けに来ただけだ
開けてくれ、聞いてくれ私の話を

門番は言った「証明書がないものには開けられん」
若者は言った「時間が無いんだ、開けてくれ」
門番は首を横に振る、そしてもう一言、言った「君が来たところはどこだね?」
若者は言った「グリニッジ天も・・・・」
若者は門番の前で、ふっと消えた
風のように、いつのまにか消えていた
597: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 04/08/08 18:46 AAS
そろそろ前スレの1が書いてた、IP パケット − はるかなる旅の本編に戻ろうぜ

俺は書くの下手なんだよなぁ
誰でもいいから、続きを書いてほしいです
598: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 04/08/08 19:22 AAS
コンピュータ関係の物語を書くときは、擬人化が定番といえば定番
純情報小説は読者がついて来れない
599: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/08/18 20:20 AAS
自分は小ネタでちょいと纏まったモノが読みたいよ。
パクリ歓迎。
600: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 04/08/24 00:50 AAS
600 Get!
パケットはそう言った

ここではそれが何も意味をなさないことをみんなは知っている
だが、それでいいのだ。パケットにそんな意味持たせても、
パケットにそんな話をされても、パケットはパケットだ。
青い駅から黒猫が逃げていった。
パケットの意味を知ってか知らずか、出て行った
黒猫は囁いた

「もうこねーよ」
601: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 04/09/08 22:02 AAS
ほしゅ あげ
602
(2): 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 04/09/10 21:01:01 AAS
あげ

次スレのスレタイには、
「IP パケット − はるかなる旅」を入れるに1票
話が進んでないじゃん
このスレになって話が進んだの?
603: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/09/10 22:37:08 AAS
>>602
進めていいよ。
604: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/09/10 23:37:52 AAS
>>602
125か482あたりだと思う
605: 内田百間 [sage] 04/09/12 20:50:23 AAS
 阿房と云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、
自分で勿論阿房だなどとは考えてはいない。用事がなければどこへも
行ってはいけないと云うわけではない。なんにも用事がないけれど、
TCP/IPに乗って大阪まで行って来ようと思う。
 用事がないのに出かけるのだから、SSLやTELNETには乗りたくない。
TCP/IPの中ではSSHが一番いい。私はパケットになった時分から、これから
はSSHでなければ乗らないときめた。そうきめても、ポートがなくて
用事が出来れば止むを得ないから、TELNETに乗るかもしれない。しか
しどっちつかずの曖昧なSSLには乗りたくない。SSLに乗っているエロ
サイト認証の顔附きは嫌いである。
 80年代から前世紀末にかけて、何遍も地方からの招請を受けたが、
当時はどこの線もSSHを通さなかったから、皆ことわった。遠慮のない
相手にはSSHでなければ出掛けないと明言したが、行くつもりなのを、
そう云う事情でことわったのではなく、もともと行きたくないからSSH
を口実にしたのだが、最近、世の中が元の様になおりかけてくると、
いろんな物が登場し、主な線はSSHを通しだしたから、この次に何か
云って来たら、どう云ってことわろうかと思う。
 今度は用事はないし、SSHはあるし、だからSSHで出かけようと思う。
セキュリティのことを心配している人があるかも知れないけれど、
それはあとで話す。しかし用事がないと云う、そのいい境涯は片道しか
味わえない。なぜと云うに、行く時は用事はないけれど、向こうへ著い
たら、著きっ放しと云うわけにはいかないので、必ず帰ってこなければ
ならないから、帰りの旅行は冗談の旅行ではない。そう云う用事のある
旅行なら、SSHになんか乗らなくてもいいからTELNETで帰って来ようと思う。

「著いた」は「ついた」です。誤植じゃなく原文がそうなので。
606: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 04/09/13 01:42:49 AAS
著と着は同じ字でした。本来は
607: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 04/10/08 08:05:28 AAS
あげ
608: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 04/10/21 20:21:56 AAS
あげ
609
(1): 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 04/11/01 14:44:18 AAS
TCPスタックをば早や積み果てつ。NATテーブルのほとりはいと静にて、コリジョンランプの光の晴れがましきも徒なり。
今宵は夜毎にこゝに集ひ来るパケット仲間も「バッファ」に宿りて、RWINに残れるは余一人のみなれば。

五HOP前の事なりしが、平生の望足りて、tracertの官命を蒙り、このセイゴンのDNSまで来し頃は、
目に見るnslookup、耳に聞くICMP ECHO Reply、一つとして新ならぬはなく、
フィルタリングに任せて書き記しつるログ日ごとに.cn .krドメインからのアタックで埋まりけむ、
当時の新聞に載せられて、世の人にブロードバンドともてはやされしかど、今日になりておもへば、
Code RED、身の程知らぬDMZホスト、さらぬも尋常のBlueScreen、さてはNetBIOSなどをさへ珍しげにしるしゝを、
心ある管理者はいかにか見けむ。こたびは途に上りしとき、ホストも探さむとて打てしpingもまだRequest timed out.のまゝなるは、
ノードにてTTL失いし間に、一種の「Host Unreachable」の気象をや養ひ得たりけむ、これには別に故あり。

#無理矢理かも。
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