金融機関観察スレッド (3357レス)
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2936(1): とはずがたり 2017/07/13(木)16:53 AAS
加谷 確かに小切手やトラベラーズ・チェックは、使ってみるとすごく便利ですから、一気に普及したのもうなずけます。そして、このワンステップがあれば、クレジットカードへの移行にも抵抗がなかったことは容易に想像できますね。
清原 私たちも、日本でなかなかカードが主流にならない要因を長年さまざまな角度から調査してきました。そうして、なにかしらクレジットカードを強く妨げている日本固有の要因が存在しているわけではない、という結論に至ったのです。
したがって、やや遅ればせながらも、日本にもクレジットカードへの転換期が近づいていると思っています。「夜明けは近い」と。
ビジネスでもカード払いのほうが合理的
加谷 今のお話は個人の場合だと思いますが、法人としてのクレジットカード利用となると、また違った背景があるように思います。卸売業と小売業の間では、今でも現金売買が行われているように、日本の商習慣では現金主義が根強く残っているのではないでしょうか。
清原 法人に関して言うと、確かに現金取引も残っていますが、それよりも圧倒的に「請求書払い・銀行振込」です。これが欧米と大きく違っている点です。
例えば、請求書では「30日後払い」といった場合もあり、結局、毎日のように振り込みをしなければいけないことになります。これは欧米の考え方からすれば、とても合理的とは言えません。クレジットカードにまとめてしまえば、支払いは月に一度で済むわけですから。
加谷 確かに銀行のATMや窓口に、会社の事務員さんらしき人たちが長蛇の列をなしているところをよく見かけますが、あれは効率が悪いですね。銀行だと毎回、振込手数料を払わなくてはいけませんが、クレジットカードなら手数料なしのうえ、ポイントまで付きますし。
清原 一方アメリカでは、例えば工務店がセメントや鉄骨などの建築資材を仕入れる時でさえクレジットカードでの支払いが普及し始めています。
欧米では、とにかく合理性が重視されます。もし請求書払いであれば、その工務店が本当に1カ月後に代金を支払えるのか、売る側がすべて調査して確認しなければいけません。判断を間違えれば貸し倒れになってしまうわけですから、この業務は重要です。
加谷 それをクレジットカード払いにすれば、決済だけでなく、取引相手の信用調査までカード会社がやってくれますし、貸し倒れになるリスクもありません。ビジネスでカード利用をすることは、より合理的な選択肢と言えますね。
清原 しかし、会社の決済プロセスそのものを変更しなければならないため、日本の商習慣が変わるまでにはまだ時間がかかりそうです。個人と違って、"夜明け"のためには、業界も含む日本全体での取り組みが必要だと考えています。
カードの「ポートフォリオ」を組んで使い分けを
清原 実は、アメックスについて圧倒的に信頼していただいているのが「与信枠」、つまり「いくらまで借りられるのか?」という利用限度です。ほとんどのカード会社ではあらかじめ利用限度額が設定されていると思いますが、アメックスではこれを最短1日で更新します。
例えば、いつも国内で少額利用しかしていない人が、いきなり海外で高額の決済をしたとなれば、それはおかしいと判断して与信のチェックにかけなくてはいけません。そこでカードの利用履歴を見ると、成田エクスプレスの切符を買って、海外のホテルにチェックインして、それからブランド店でお買い物をして......というお客様の行動が見えてきます。
2938(1): とはずがたり 2017/07/13(木)16:53 AAS
>>2935-2938
また、利用(返済)履歴がしっかり残ることは、個人のお金の管理という面でも非常に大切です。近頃では携帯電話の料金を支払わないような人もいると聞きますし、信用力を数値化することは、これからの時代により求められるのではないかと考えています。
決済システムの「日本ガラパゴス化」を危惧
加谷 なかなかクレジットカードが主流にならない日本ですが、かたや交通系ICカードなどの電子マネーは一気に拡大し、Apple Pay(アップルペイ)のような新たな決済インフラも登場しました。これらはクレジットカードのライバルとなり得るのでしょうか?
清原 正直なところ、クレジットカードのライバルは現金だけです。したがって、どんな電子マネーであろうと決済インフラであろうと、またデビットカードやプリペイドカードにしても、良きパートナーだと考えています。アップルペイについても、アメックスの日本発行カードでは今年3月から対応を開始しました。
唯一危惧しているのは「ガラパゴス化」です。いま世界中で非接触型ICチップを使った「コンタクトレス決済」(「ピッ」とかざすだけの決済)がクレジットカードにも普及しつつありますが、それに使われている通信システムは、実は日本と日本以外で異なり、2極化が進んでいます。
業界全体で対応策を考えないと、日本中どこでも使えるカードは世界のどこでも使えず、世界中どこでも使えるカードが日本では使えない、という事態が迫っているわけです。
加谷 昨年の訪日外国人数は2400万人を突破しましたが、今後ますます外国人観光客が増えていくなかで、この状況は看過できませんね。
欧米の先進国に限らず、お隣の中国でもキャッシュレス化がものすごい勢いで進行しています。ビジネスだけでなく個人の消費活動においてもグローバル化が進んでいることからも、よりボーダーレスな決済が求められているのではないでしょうか。
清原 アメックスとしては、どちらのシステムにも対応するべく、着々と手を打っているところです。
そもそもクレジットカードというのは、世界中どこでも安全・安心に使えるものであるべきだと考えています。例えば、メキシコで何か困ったことがあった時に緊急対応ができるかどうか。お客様が体験する全領域・全プロセスをカバーできるのがアメックスの強みであり、それを追求することが私たちのDNAなのです。
最初にお話ししたように、クレジットカードの歴史は欧米でスタートしたため、最先端も必ず欧米からやって来ます。それをいち早く日本にお伝えできるのは、私たちアメックスです。ゴールド・カードを日本で最初に発行したのも当社で、1980年のことでした。
ぜひそうした情報に関心を持っていただき、アメックスでなくても構わないので、クレジットカードを利用する機会を少しずつ増やしていただきたいと心から願っています。
清原正治(きよはら・せいじ)
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル 日本社長。住友化学工業(現・住友化学)でキャリアをスタート。GE Moneyファイナンスで代表取締役社長、日産自動車で組織開発本部長やグローバル販売金融担当部長などを歴任。米国および日本を代表するグローバル企業で強いリーダーシップを発揮する。2014年9月から現職
加谷珪一(かや・けいいち)
評論家。金融、経済、ビジネス、ITなど幅広い分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。日経BP社で記者を務め、野村證券グループの投資ファンド運用会社を経て独立、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『AI時代に生き残る企業、淘汰される企業』(宝島社)など著書多数。当サイト連載「経済ニュースの文脈を読む」
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