[過去ログ] ガロア第一論文と乗数イデアル他関連資料スレ5 (1002レス)
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849: 2023/12/25(月)21:33 ID:J4NY57lF(1/3) AAS
あら、こんなところに「3次元藤田予想」が
”8. Bogomolov-Gieseker型不等式予想とDT不変量
我々の不等式予想から未解決問題である3次元藤田予想がほぼ従うことが [1] によって示されている. ”

(参考)
外部リンク[html]:www.mathsoc.jp
トポロジーシンポジウム歴代講演者一覧
第62回 (2015, 8/6-9) 名古屋工業大学 講演集全体 pdf file

外部リンク[pdf]:www.mathsoc.jp
(11)戸田 幸伸(東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構) Donaldson-Thomas 不変量 講演集 pdf file

1. 3次元Calabi-Yau多様体
複素2次元になるとより複雑になるが, それでも19世紀末から20世紀初頭にかけてイタリア学派により分類理論が完成されている. それによると2次元Calabi-Yau 多様体の位相型はP3C内の4 次超曲面(K3曲面)か 2 つの楕円曲線の直積(Abel曲面)のいずれかとなる. 特にK3曲面は非常に美しい幾何的性質を持ち, 多くの数学者を魅了してきた. その後, 複素3次元代数多様体の分類理論の研究は長い間進展がなかったが, 森重文氏によるHartshone予想の解決がきっかけとなって研究が進み, 1980年代に3次元代数多様体の(粗い意味での)分類理論が完成した. この成果により, 3次元Calabi-Yau多様体が3次元代数多様体の重要な1つのクラスを成す事が判明した. しかし3次元になるとCalabi-Yau多様体には多くの位相型が存在し, 完全な分類は現在でも未解決の問題である. この様な歴史的背景により, 3次元Calabi-Yau多様体の研究は代数多様体の分類論において非常に重要でかつ魅力的なものとなっている.

2. ミラー対称性

我々の宇宙はR4 × X の形の10次元空間から成るとされる. X はPlanck定数(10−35m)ほど小さい実6次元空間であり, 超対称性に関する制約から複素3次元Calabi-Yau 多様体にならなければいけない. しかし超弦理論は1種類ではなく,複数の理論が存在することが知られている. それら物理理論の間の等価性を仮定すると,Calabi-Yau多様体の幾何学に関する興味深い予想が得られる. これは, ミラー対称と呼ばれる(互いに同型とは限らない)2つの3次元Calabi-Yau多様体X, X∨ の間の不思議な関係である.

P4C内の5次超曲面とそのミラーに対してこれら代数構造を比較したのが1990年代初頭のCandelas, de la Ossa, Green, Parkes [10]ら物理学者による仕事である. その結果, 彼らは5次超曲面X 上の有理曲線の本数を, そのミラーX∨ 上の複素構造のモジュライ空間上の周期積分を用いて導くことに成功した. 彼らの議論は物理に基づくため, この時点ではX 上の有理曲線の本数に関する予想を与えたにすぎない. それでも, これは驚くべき成果であった. 実際, 次数の小さい有理曲線の本数に関しては知られていた結果と一致していたし, また次数の高い場合は当時の代数幾何の技術で正確な本数を数えることには困難があったため, 物理学者がそれらの本数を正確に予言したのは驚異的であった. また, 有理曲線の本数と周期積分という, 一見すると関係がなさそうな数学的対象に関係があるというのも興味深い. Candelas達の予想は後にGiventalによって数学的な証明が与えられ, ミラー対称性が数学者の間でも注目されるようになっていった.

つづく
850: 2023/12/25(月)21:33 ID:J4NY57lF(2/3) AAS
つづき

3. Gromov-Witten不変量

上記のCandelas 達の仕事によって, ミラー対称性を数学的に理解する上で代数多様体上の曲線の数を数えることが重要であることが明らかになった. しかし一般に代数多様体 X 上の曲線の数を数えようと思っても, そもそも曲線が無限に存在する場合は正しい曲線の数え上げを定義することから数学的に非自明な問題となる. まず, 数えたい曲線の種数g と次数β ∈ H2(X, Z) が無限に存在するため, それらを固定する必要がある. それでも, 与えられた種数と次数を持つX 上の曲線は無限に存在する可能性があり, それらをナイーブに数えることは出来ない. ところが, X が3次元Calabi-Yau多様体の場合にはこれらの曲線が仮想的に有限個しかないとみなせる. C を滑らかな種数gの代数曲線とし, f : C → X を f∗[C] = β を満たす射とする. この様な (f,C) の組の数を数えたい. C を固定すると, 射 f の変形空間の接空間はH0(C, f∗TX) となり, 障害空間はH1(C, f∗TX )となる.

4. Donaldson-Thomas不変量

Donaldson 不変量や Casson 不変量の構成の際に行ったゲージ理論的議論を3 次元Calabi-Yau多様体にそのまま当てはめようとすると, 様々な技術的問題が生じる. 例えば正則ベクトル束のモジュライ空間はコンパクトではないのでそれをコンパクト化する必要がある. コンパクト化に必要な数学的対象物は, 謂わば「特異点付き正則ベクトル束」に対応するものであるが, この様なものをゲージ理論的に取り扱うのは難しい.そこでThomasが採用したアプローチは, モジュライ空間のコンパクト化をゲージ理論を用いて行うのではなく, 完全に代数幾何的に行うというものである. 代数幾何学には連接層という概念が存在し, これは上述の特異点付き正則ベクトル束とみなすことが出来る. 連接層のモジュライ理論は古典的な話題であり, Mumford, Gieseker, 丸山らによって然るべきモジュライ空間が構成されていた. そこで明らかになっていたことは,連接層のモジュライ空間を構成する際にはもう1つ, 安定性条件と呼ばれるデータが必要であることであった. 代数多様体X 上の連接層の安定性条件は, 豊富因子ω を与える事で決まる. X 上の連接層E がω について安定であるとは, 任意の非自明な部分連接層F ⊂ E に対して条件

つづく
851: 2023/12/25(月)21:38 ID:J4NY57lF(3/3) AAS
つづき

6. 連接層の導来圏と安定性条件
代数多様体上の連接層の導来圏とは1960年代にGrothendieckによって導入された概念で, その導入の元々の動機は層係数コホモロジーの間のSerre双対性定理の相対版を確立するということにあった. 代数多様体X に対して, その上の連接層の導来圏D(X) が定義される. 圏 D(X)の対象は, X 上の連接層の有界複体F• から成る.

導来圏 D(X) は暫くは単なる技術的な道具という認識でしかなかったが, 1994 年にKontsevichが圏論的ミラー対称性予想 [16] を提唱したことによりD(X)に対する考え方が一変するようになった. 圏論的ミラー対称性予想とは, X とX∨ がミラーの関係にある時, X の導来圏D(X)とX∨ 上の導来深谷圏が同値になるという予想である. 導来深谷圏はX∨ 上のシンプレクティック構造から定まる圏であり, その上の複素構造には依らない. 一方, D(X)はX 上のシンプレクティック構造には依らず, X の複素構造のみで定まる. よって圏論的ミラー対称性予想は, 代数幾何学とシンプレクティック幾何学の間の興味深い対称性を意味する. Kontsevich による予想のアイデアがきっかけとなって, 導来圏を通じた様々な対称性が発見されていった. 例えば2つの双有理同値な3 次元 Calabi-Yau 多様体 X, X は同型なミラーを持つため, それらの導来圏は同値になる筈である. 実際この事実はBridgeland [6] により示された. 他にも導来McKay 対応 [9], 行列因子化との対応 [21] 等興味深い現象の発見は後を絶たず, 導来圏の研究は現在では代数幾何学の主流テーマの1つと言っても良い.

7. 導来圏における壁越え現象

8. Bogomolov-Gieseker型不等式予想とDT不変量
我々の不等式予想から未解決問題である3次元藤田予想がほぼ従うことが [1] によって示されている.

私は Piyaratne と共同で, 論文 [3] において予想した不等式を用いて, 必要となるモジュライ理論を論文 [23]において確立した. 特に, A型の3次元Calabi-Yau多様体の場合に不変量(11)の存在を証明した. この不変量(11)の詳細な研究は今後の課題である.
(引用終り)
以上
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