[過去ログ] ガロア第一論文と乗数イデアル他関連資料スレ5 (1002レス)
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657: 2023/07/15(土)07:21 ID:Ec14JBnA(1/8) AAS
関連資料その1
\title{\textbf{セール問題の反例に付随した$\mathbb{C}^2$上の分岐領域について}}
\section*{はじめに}多変数複素解析学においては、関数や写像をそれらの解析性を保ったままで
拡張する問題は様々な場面で現れ、重要である。解析接続によって写像の定義域が拡張されて生ずる
複素多様体は任意ではありえず、凸性に似た幾何学的な制約を受ける。
ここから多変数関数論の基本的諸問題が生ずる。
たとえばこの多様体が$\mathbb{C}^n$上の領域である場合には局所擬凸であり、
したがってこれらは擬凸、すなわち多重劣調和な皆既関数を持つので、
その結果として正則凸になる(岡の定理)。この事実に基礎づけられた解析的方法により、
関数の分解や近似に関わる種々の大域的問題が、$\mathbb{C}^n$上の領域に対してだけでなく
より一般な擬凸多様体上で、あるときは完全に一般化された設定で、
またある時は然るべき増大度の条件を付けて解かれてきた。
岡の定理の複素多様体上への一般化は、最初Stein[St]により岡の原理をなぞる形で行われたが、
これは最初から正則凸性を前提としたもので、擬凸性の微分幾何的な意味を掘り下げた
Grauertの研究[G-1,2]の方が深く、後にAndreotti-Vesentini[A-V-1,2]やH\"ormander[Hm]の$L^2$理論、
およびFefferman[Ff]による強擬凸領域上のBergman核の漸近展開の解析へとつながった。
658: 2023/07/15(土)07:24 ID:Ec14JBnA(2/8) AAS
その2
ただしSteinがそのとき導入したクラスは、正則関数で点が分離され(正則分離的)
かつ正則凸であるような多様体であり、これらの上の解析的連接層の
コホモロジー理論は容易にStein空間まで一般化される(cf. [G-R])。
すなわち解析関数論の基本的諸命題がStein空間上の定理として記述しうる。
さらに$n$次元Stein多様体が$\mathbb{C}^N$$(N=n+\left[\frac{n}{2}\right]+1)$に
複素閉部分多様体として埋め込めることや、この上での岡の原理の研究が深まったことなどは、
比較的最近になってからのことである(cf. [Ftn])。$L^2$理論の方も[Hm]におけるBergmanの予想の解決を
起点として、Feffermanや平地[Hi]らによる核関数の漸近展開という精密な解析と連動しながら進展を続けている。
その一方で、Grauertは[G-3]において、複素多様体上では擬凸領域の境界が次元のある解析的集合を含む
場合があり、そのときには領域上の正則関数が定数のみでもあり得ることを示した。
659: 2023/07/15(土)07:26 ID:Ec14JBnA(3/8) AAS
その3
このような領域上の解析としては、複素境界値問題の本格的な解析であるKohn-Nirenbergの仕事[K-N]や、
それを踏まえたGrauert-Riemenschneiderによる小平のコホモロジー消滅定理の拡張[G-Rms1,2]がある。
中野[N]と藤木[Fk]は弱擬凸領域上でAndreotti-Vesentini流の完備K\"ahler多様体上の消滅定理を踏まえて、
解析空間のブローダウン条件を解明した。その後、
DiederichとFornaessが[D-F]においてワームと呼ばれる特異な性質を持つ有界領域を発見し、
複素多様体上でも似た領域が発見されるなど(cf. [D-Oh])、徐々にこうした弱擬凸領域への理解が進み、
様々な視点から研究されるようになった。
660: 2023/07/15(土)07:32 ID:Ec14JBnA(4/8) AAS
\section*{弱擬凸領域上のレビ問題からの1つの展開}
複素多様体$M$と正則ベクトル束$E\to M$、および有界な局所擬凸領域$\Omega\subset M$に対し、
$\Omega$の$E$-凸性すなわち$E$の正則切断に関する凸性が、
正則凸性にならってGrauert[G-3]およびPinney[P]によって導入され、
そうなるための幾何学的条件が、[P], [A] および最近の[Oh-2,4]によって与えられた
\footnote{他の話題との関連が[Oh-7]でサーベイされている。}。
$E$-凸性については正則凸性に比べてまだ精密な結果が得られておらず、
例えばベクトル束係数のBergman核についても、境界挙動が最良と思われる形では示せていない(cf. [Oh-4])。
とはいえ、擬凸多様体上では直線束に関する凸性が乗数イデアル層の解析に使えるという事情があり、
その結果、Grauert[G]によるStein多様体の特徴づけが、
高山[T]により負の標準直線束を持つ擬凸多様体の正則凸性へと拡張された。
661: 2023/07/15(土)07:34 ID:Ec14JBnA(5/8) AAS
この高山の結果は、ごく最近、標準直線束が無限遠で負であるような擬凸多様体の正則凸性へ
と拡張された(cf. [Oh-5])。[T]のもう一つの拡張が[Oh-3,6]で得られたが、
これは同様の曲率条件および一定の境界正則性条件の下で、
有界な局所擬凸領域が$\mathbb{C}^N$の局所閉な解析集合の上へと
正則かつプロパーに写像されるというものであり、正則凸性までを結論付けるものではない。
結論が正則凸性にまで届かなかったことから生じうる
新たな問題群への方向付けを試みるために、
[Oh-2,4]で扱ったものに近いと思われる領域としてCoeur\'e-Loeb[C-L]による
Serreの問題への反例を取り上げ、その関数論的構造を$E$-凸性の理論と関連する立場から調べてみた。
662: 2023/07/15(土)07:36 ID:Ec14JBnA(6/8) AAS
Serreの問題とはStein多様体をファイバーとしStein多様体を底空間とする
ファイバー束がSteinかどうかを問う問題で、多くの肯定的結果と否定的結果が知られているが、
否定的な場合にも岡の原理の成立[R]が指摘されるなど、関数論的に興味ある現象が存在するようである。
ここでは[C-L]の例について調べた結果、次を示すことができた。
\begin{theorem}$\mathbb
{C}^2$の有界正則領域$F$と$\sigma\in AutF$で次を満たすものが存在する。\\
1) $\sigma$は%固定点を持たず、
$AutF$の%真性不連続な
無限巡回部分群$\Gamma=\{\sigma^k; k\in\mathbb{Z}\}$を生成する。
2) 穴あき円板$\mathbb{D}^*:=\{z\in\mathbb{C}; 0<|z|<1\}$と
基本群$\pi_1(\mathbb{D}^*)$から$AutF$への準同型$\rho$で
$Im\rho=\Gamma$を満たすものに対し、ファイバー束
$\mathbb{D}^*\times_\rho F$は{\rm Stein}多様体
ではないが完備な{\rm K\"ahler}計量を持つ。\end{theorem}
663: 2023/07/15(土)07:38 ID:Ec14JBnA(7/8) AAS
Demaillyの学位論文[Dm]や筆者の結果[Oh-1]により、定理1は多変数関数論の
古典的な理論の一部を擬凸でない多様体上に拡張することが完全に無意味ではないことを
示していると考えられる。そこで定理1の応用を捜したところ、より詳しく次の事実が判明した。
\begin{theorem}$\sigma$は固定点を持たず、$\Gamma$は$AutF$の真性不連続部分群であり、
商多様体$F/\Gamma$は正則分離的であるが正則凸ではない。\end{theorem}
686: 2023/07/15(土)08:31 ID:Ec14JBnA(8/8) AAS
>>6980
>>要するに多変数複素関数論の研究とは、つまるところ「凸性」の研究、という>>ことか
要するに多変数複素関数論の最新の研究の中で、まだ「凸性」に関連したものが残っているということ
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