[過去ログ] 純粋・応用数学・数学隣接分野(含むガロア理論)13 (1002レス)
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182
(1): 2023/02/19(日)16:05 ID:ynjTT/Eh(6/7) AAS
>>181
つづき

アーカイブで検索したところ,原文には到達しませんでしたが(また到達できるのかどうか知りませんが),No34-321はauthor: Dukas, HelenでDate: 05/17/1939とありました。やはり,デュカスです。そこで先の本(『アインシュタイン―創造と反骨の人』)をもう少していねいに調べたところ,次の文章がありました(224頁):

彼〔アインシュタイン―引用者挿入〕の言うには,ベートーベンは自分の音楽を創造したが,モーツァルトの音楽は,宇宙に昔から存在してこの巨匠により発見されるのを待っていたように思われるほど,純粋だというのであった。また別の機会に,アインシュタインは原子戦争がもたらす荒廃を考えながら,そうなれば人々にはもはやモーツァルトは聞こえなくなるだろうと言った。一見これは奇妙に筋ちがいのことばのようにみえるが,文明の破滅を,これ以上深く言いあらわすことがほかにできるであろうか?

これが問題の言葉のもととなった文章と思われます。『モーツァルト頌』の編者は,どこかでこれを読んだ記憶から,「死とはモーツァルトを聞けなくなることだ」という言葉を作文したのでしょう。だから出典が明示できないのです。注意すべきは,この文章で問題になっているのは,「原子戦争がもたらす荒廃」や「文明の破滅」であって「死」ではないことです。確かに「荒廃」や「破滅」は「死」とは結びつきやすいものですが,当然両者の区別は必要です。

また,もしこのアインシュタインの発言がNHKの本(『アインシュタイン・ロマン1』)で引用されたアーカイブNo34-321と関係があるとすれば,その日付(「05/17/1939」)はウラン235の核分裂が発見され,またそこで発生する中性子の数から,核連鎖反応が可能であることが明らかになった時期と一致します。これは興味深い事実です。

以上の事情で私は,「死とはモーツァルトを聞けなくなることだ」などという言葉がアインシュタインのものとしてもてはやされているのは,無責任なモーツァルト評論家のいる日本だけであろうと考えています。

つづく
183
(1): 2023/02/19(日)16:06 ID:ynjTT/Eh(7/7) AAS
>>182
つづき

「死とはモーツァルトを聞けなくなることだ」は,世界史的アイドル《アインシュタイン》が死を定義づけた,あるいは自分にとっての死の意味を表現したかのように受けとめられますが,それでは(当人が世界史的アイドルということを除けば)単に熱烈なモーツァルト・ファンの発言に過ぎません。だから,一部のモーツァルト・ファンにはうれしいことなのでしょう。しかし,私から見たらそれは,酒好きの人が「死んだら酒飲めなくなる」と言っているのと同レベルです。

ついでに付け加えておけば,日本語Wikipediaの「アルフレート・アインシュタイン」の項では,根拠を示すことなく,「死ぬというのはモーツァルトを聴けなくなることだ」を「アルベルト(あるいはアルフレート本人?)の」「名言」と書いています。他方,英語版Wikipediaの“Alfred Einstein”の項ではそのような記述はなく,またAlfredとAlbertの関係も,(1)イトコである,(2)縁戚関係はない,(3)遠い親戚である,という3つの説があることを紹介しています[2]。私はアルフレートにも彼の仕事にも関心がありませんので,彼についてこれ以上追究することはしません。

なお,上に紹介した日本語訳の原文を示しておきます:

(引用終り)
(2023/2/19現在 日本語Wikipediaの指摘の部分は、修正されているようです)
以上
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