[過去ログ] 【艦これ】赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」 (1002レス)
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909: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/19(金)09:04 ID:0fDe8PVlo(1) AAS
足柄さんヒロイン継続中
最初は榛名がヒロインだと思っていた時期が俺にもありました
910: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/19(金)17:05 ID:gIIllYiuO携(1) AAS
僕はぬいぬいがヒロインかと思ってました(小声)
ちょっと足柄さんと鳳翔さんヒロイン力高すぎんよ〜
911: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/19(金)22:49 ID:GXz7LYgI0(1) AAS
何でや!雷かわいいやろ!
いや、ヒロインっていうよりオカンって感じなのは確かだが
912: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/19(金)23:15 ID:iQAB8nGG0(1) AAS
みんな可愛いし提督の右腕だった赤城さんもさぞ可愛かろう
913: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/20(土)01:51 ID:49BzJKzao(1) AAS
やっぱラスボスは赤城かね
914: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/21(日)03:39 ID:HV6GoNH40(1) AAS
ラスボスは赤城じゃないだろ
赤城倒しても何も変わらないし、逆に赤城と協力できるかも
915: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/21(日)05:23 ID:DVbrK0cQ0(1) AAS
提督が提督業を続けてる理由は深海凄艦化したかつての部下達の成仏(?)だしその筆頭の赤城がラスボスであってるだろ
大本営がとんでもない事してましたとかならん限り
916: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:42 ID:LwjWlo6m0(1/13) AAS
足柄がなんと言おうかと迷っていた時。
コンコン!とやや荒っぽいノックの音。
提督「入れ」
ガチャ、と言う音とともに入室してきたのは、はぁはぁと荒い息をした榛名。
全身汚れて、顎からは汗が滴っている。
榛名「て、提督……良かった……」
提督を見るなり、泣きそうな顔になる。
提督「どうした?何かあったか?」
榛名「よ、夜風に当たると仰っていたので……
起きたら提督が居らっしゃらなくて……心配で……
どこかで動けなくなっているんじゃないかと……
島を一周してきました……」
917: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:43 ID:LwjWlo6m0(2/13) AAS
提督「それは……すまない。
気を遣わせたく無かったんだ」
榛名「いえ、提督がご無事でしたら……榛名は大丈夫です……」
ふっ、と息を整えてから笑顔を見せる。
足柄「それで一人だけ居なかったのね」
榛名「ぁ……足柄さん……」
足柄「良い子ねぇ……でも、今度からは最初に執務室を確認なさいね」
榛名「本当にその通りですね……
まだ酔ってたみたいです……」
提督「いや、本当に申し訳ない……
心配をかけたな。ありがとう、榛名」
提督は榛名に近寄ると、ハンカチで額の汗を拭いてやりながら言う。
榛名「はいっ」
くすぐったそうに身を捩る榛名。
そんな二人の様子をぼーっと眺める足柄。
提督「これだけでは気持ち悪かろう。
風呂に入って来ると良い」
ハンカチをしまいながら提督は言った。
918(2): ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:44 ID:LwjWlo6m0(3/13) AAS
提督「……待てよ……不知火は清掃を嫌がる傾向があった。
シャワーで済ませて、湯を抜いてそうだな」
榛名「榛名はシャワーでも大丈夫ですよ?」
提督「そうか?……うーむ。
やっぱり、今から軽く掃除して来ようか。
鳳翔や雷も寝てるだろうし、後で慌てさせるのも忍びないな……
ズボラな不知火の事だ。他の家事も溜まっていそうだしなぁ」
榛名「お手伝いしましょう!」
足柄「しゃーなしよ、しゃーなし」
提督「いや、お前達はここで休んでいろ。酔ってるからな。
俺がちゃちゃっと済ませて来る」
そう言って出て行こうとして。
提督「……榛名は汗で寒いか。
着替えは……あー……もう風呂入るしなぁ……
とりあえず……」
自分の部屋に入ると、シャツとカッターと毛布を取り出し、榛名に手渡した。
919: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:44 ID:LwjWlo6m0(4/13) AAS
榛名「え……」
提督「男物ですまないが……寒ければ着替えておけ。
どうせすぐ風呂だし、我慢してほしい。下は毛布でな。
汚してくれて構わんよ」
榛名「は、はいぃ……!」
提督「濡れた服は椅子にでも掛けておけ。後で洗濯する。
……じゃあ、行ってくるな」
足柄「行ってらぁ」
榛名は提督を見送った後、衣類をぎゅっと抱き締め、顔をうずめる。
足柄「……あの人仕事中じゃなかったのかしら……
まぁあたしが言えたことじゃ無いけど……
ねぇ、榛名?ーー」
少し呆れ気味の足柄が榛名の方へ振り返るとーー
榛名「えへへぇ」
既にシャツを着て、毛布にくるまっている榛名が居た。
足柄「……早っ!」
920: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:46 ID:LwjWlo6m0(5/13) AAS
榛名「……すんすん……いい匂い……」
足柄「ちょっと止めなさいよ……
同じ洗剤使ってんだから同じ匂いの筈でしょ……
違ったらそれ提督臭よ」
榛名「提督臭……素敵です……」
足柄「ちょっとドン引きなんだけど……」
榛名「ふへへ」
足柄「……あんた、遠慮が無くなったわよね。前に比べて、さ」
榛名「そ、そうですか?すいません……」
足柄「悪い意味じゃないわ。本土に行ってから。
提督にとても懐っこくなったというか」
榛名「……むむぅ、自分では自覚が無いのですが……」
足柄「そう?
自信も信頼も得て、演習でも暴走せず……
大した成長よね」
921: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:47 ID:LwjWlo6m0(6/13) AAS
榛名「ぬぅ……そう言われてみるとなんだか自分が凄く成長した気がしますね」
足柄「したわよー。最初はあなた、提督と会おうとすらしなかったじゃないの」
榛名「そう言えばそんな事も……懐かしいですねぇ」
足柄(本当に……あの頃は私が榛名をなんとかしないとって思ってたけど……
今や榛名はおろか、あたしまで世話になってるしねぇ……)
榛名「ふわぁ……榛名、提督が見つかって安心したら……
だんだん眠くなってきちゃいました……」
足柄「ちょっと……風呂入ってからになさいよ……」
榛名「提督の……香りが……いっぱい……」……zzz
足柄「……ちょっと」
922: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:48 ID:LwjWlo6m0(7/13) AAS
………
……
…
数十分後……
提督「……こうなるか……」
湯を張った提督が執務室に戻ると、ソファですやすやと眠る艦娘が2人。
しかし、ソファは2人が眠るには少し狭く、どこか寝苦しそう。
仕方ない、と提督。
彼はくるりと丸まって抱き上げ易い榛名を、そっと自分のベッドへと運んだ。
そして、静かに降ろそうとした時。
榛名「ん……ていとく?」
提督「……起こしたか。すまない」
榛名が薄っすらと目を開ける。
923: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:48 ID:LwjWlo6m0(8/13) AAS
榛名「……わぁ……お姫様みたいです……」
お姫様抱っこされ、えへへ、とあどけなく笑う彼女は、どこかフワフワとしている。
完全に覚醒しておらず、夢見心地なのかも知れない。
榛名「……ていとく……
榛名は……がんばりました……」
眠そうに、ポツポツと言葉を紡ぐ。
提督「……そうだな。お前はよくやった」
榛名「ちゃんと……手加減もしましたよ……」
提督「ああ。偉いぞ、榛名」
924: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:50 ID:LwjWlo6m0(9/13) AAS
榛名「えへへ……
榛名に……ごほうびを……ください……」
提督「何が良い」
榛名「ちゅー……しましょう……」
提督「何を言っとるんだ、この酔っ払いめ……」
榛名「ふぇ……冗談ですよぅ……
……提督、撫でて、下さい……」
それならば、と。
提督は優しく、頭を撫でる。
榛名「……んぅ……」
榛名はとても満足気だ。
瞳を閉じて、されるがままにしている。
榛名は身をよじることも無く。
提督もただ、撫でるのみ。
静寂の中、長い髪を梳く音だけが空間を支配する。
榛名は幸せだった。
925: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:50 ID:LwjWlo6m0(10/13) AAS
それから、どれくらい撫でていただろうか。
気付けば榛名は安らかな寝息を立てているように見えた。
提督「……眠ったか」
そう判断し、榛名のそばを離れようとした時。
グッと上着の裾を掴まれる。
榛名「……ていとく……?」
提督「……ああ。まだ起きていたか」
榛名「……榛名は二人倒したので……
もう一つ……ご褒美を……下さい……」
目は瞑ったままに、もにゅもにゅと喋る。
既に意識を半分手放しているようで、提督の言葉には反応を見せない。
926: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:51 ID:LwjWlo6m0(11/13) AAS
提督「……欲張りなお姫様だな。
なんだ、言ってみろ」
苦笑しながら提督は応じた。
榛名「榛名を……ずっとお側に……置いて下さい……
大事にして下さいとは……言いません……
せめて……あなたの……道具として……榛名は……」
提督「ーー」
榛名「それが無理なら……あなたの艦娘のまま……榛名を……榛名を……はる、な……を……」
裾を掴んでいた榛名の力が抜ける。
今度は本当に寝てしまったようだ。
すぅ、すぅ……と穏やかな呼吸音が聞こえる。
もう一度、提督は榛名を撫でた。
提督「そうか……お前は……
……ダメかもしれんな」
927: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:52 ID:LwjWlo6m0(12/13) AAS
そう呟く提督の表情はどこか、哀しくて。
提督「……お前も俺と、行くか……?」
そう続けた時。
提督には、榛名の首が縦に、僅かだけ動いたように見えた。
それは果たして偶然か、提督が見た夢か。
提督「馬鹿な奴だよ……お前も俺も……」
最後にひと撫ですると。
返答の代わりに、榛名の額へ口づけをして。
提督「……今は夢を見ていろ、榛名……」
唇にキスをしては、目が覚めてしまうから。
928: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:52 ID:LwjWlo6m0(13/13) AAS
ここまで
929: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/21(日)21:56 ID:KQdF84hbo(1) AAS
乙乙
深海棲艦化待ったなし
930: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/21(日)21:56 ID:c5pB5iU7O携(1) AAS
乙です
931: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/21(日)22:38 ID:3gRGfX/xO携(1) AAS
なぜだろう
榛名が大事にされるほどにバッドエンドに近づいていく悪寒
932: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2015/06/21(日)23:22 ID:elN8IMML0(1) AAS
榛名が死にかけて深海化する前に提督が心中しようとしてるのを止める足柄さんが目に浮かぶ…
本当に面白いわ
正直、楽しみで仕方ないね。本当におつかれさんです
933: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/21(日)23:41 ID:HF5ohgyTo(1) AAS
乙っす
左遷島組みも加賀さんも(出来れば川内達も)皆幸せになって欲しいな・・・
934: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/21(日)23:56 ID:Z1iTynpAO携(1) AAS
乙!
935: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)00:15 ID:3FDLR5tF0(1/2) AAS
赤城さん倒すにしては伏線が多すぎるし、肝心の赤城さんがほとんど登場してない。
やはり人間の敵は人間になるのだろうか
936: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)00:17 ID:1yaxDvOy0(1) AAS
乙です
榛名が天使なんじゃあ〜
937: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)01:15 ID:XGnC3EdsO携(1) AAS
乙
榛名怖いけど怖ければ怖いほどかわいい
すぐ暴力に走らないヤンデレっていいよね
938: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)01:59 ID:RbfIWhIio(1) AAS
一方その頃足柄は……
939: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)02:28 ID:5d4Af1W1o(1) AAS
乙です
正直ここの榛名は怖くてなぁ
加賀さんとぬいぬいの出番楽しみ(・∀・)
940: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)03:26 ID:zB7V8nKAO携(1) AAS
甘やかし……ではなくて、誑し込んでるようにしか見えない俺は歪んでるかな
941: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)07:56 ID:jiyAUYhWO携(1) AAS
やはり面白い。1乙
942: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)10:42 ID:ayvuCx+h0(1) AAS
それでも卑しさじゃ加賀に勝てそうなヒロインはおらんの
943: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)11:30 ID:TLDo6rZYo(1) AAS
加賀は卑しい女ずい…
944: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:20 ID:6ZFuBPk00(1/12) AAS
提督が自室から執務室に戻ると、ソファで眠る足柄が小さく縮こまっていた。
提督「お前も寒いのか……」
毛布やらを掛けてやりたいが、取り出すと余計な物音がする。
明日も早い。起こしたくはない。
仕方なく、提督は着ていた上着を脱ぎ、足柄にかけてやった。
提督「さて……俺は食堂にでも行くか……
やれやれ……何のために掃除したんだか……」
945: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:26 ID:6ZFuBPk00(2/12) AAS
食堂
提督「っと……鳳翔」
鳳翔「あら、おかえりなさい」
提督が食堂へ向かうと、鳳翔が一人で酒を飲んでいた。
提督「……起きてたのか?寝ていたと聞いたが」
鳳翔「いえ……物音で目が覚めました」
提督「……そうか」
鳳翔の物腰は穏やかだが、頬がかなり上気しており、相当に酔っていることは側から見て明らかである。
提督「少し飲み過ぎじゃないか?」
提督は鳳翔の隣に座りながら尋ねる。
そこ以外の場所は、潰れた不知火らによって占拠されていた。
鳳翔「うふふ。迎え酒ですよ、迎え酒……
目が覚めたら、頭が痛くって……」
946: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:27 ID:6ZFuBPk00(3/12) AAS
提督「やっぱり飲み過ぎじゃないか」
呆れ気味の提督。
鳳翔「もう。
私は提督を待っていたのですよ?
なのにいつまでもお帰りにならないものですから……」
提督の態度に、鳳翔はぷりぷりとした。
提督「……そうか。すまないな……
2日も基地を空けると、仕事が溜まって溜まって、な」
鳳翔「あら?……嘘はいけませんよ?
夜風に吹かれてくるとは何だったのでしょうか」
提督「……そういえば、そうだった。
すまない」
墓穴を掘り、バツの悪そうな顔をする提督に、鳳翔はふらふらと寄り掛かる。
提督「おいおい、しっかりしてくれ……」
鳳翔「あら、ごめんなさい」
と言いつつも、姿勢はそのままで。
提督の鼻腔をアルコールと……何か、懐かしい匂いがくすぐる。
その匂いはなんだったか、と思案する提督に、鳳翔は起き上がって酒瓶を差し出した。
947: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:28 ID:6ZFuBPk00(4/12) AAS
鳳翔「提督も、如何ですか?」
提督「……いただこう」
鳳翔「どうぞ……」
トクトクと注ぐ鳳翔の手つきは危なっかしい。
提督は見ていられなくて、すっと手を添える。
鳳翔「あら……すみません」
その後、鳳翔は自分の杯にも酒を継ぎ足し。
鳳翔「乾杯、しましょう?」
提督は無言で杯を持ち上げ。
「乾杯」
チン、と軽く鳴らし。
そのまま無言でそれを口にする。
提督「冷燗か……旨いが……
迎え酒に選ぶものでは無いな」
鳳翔「この酒は……冷やして飲むものです。
美味しければ……それで良いではありませんか」
提督「刹那的だな。お前はもっと堅実だと思っていたが」
鳳翔「堅実……堅実ですね。そう、いつもは堅実なんです。
今日は違いますよ、うふふ……」
からころと笑って、鳳翔は再び提督にもたれかかった。
提督「……そういえば、前も酔った時に甘えてきたな」
その鳳翔の髪を弄りつつ、話しかける。
948: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:28 ID:6ZFuBPk00(5/12) AAS
鳳翔「そうでしたか?……そうでしたね」
提督「お前、実は酒癖が悪いんじゃないのか?」
その問いに対し、鳳翔はじっと提督の瞳を見つめながら答えた。
鳳翔「……それは、勘違いですよ」
提督「……なんのことだ?」
鳳翔が、妖艶に、微笑む。
鳳翔「甘えたいから、酔ってるのーー」
酔ってるから、甘えてるんじゃ無いわ。
それはもう、あなたは特別な人だと言っているような物で。
紅に染まった頬が、少し乱れた髪が、潤んだ瞳をあでやかに演出して。
魅惑的な言の葉を紡ぐ唇が、提督を視覚的にも誘惑する。
949: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:29 ID:6ZFuBPk00(6/12) AAS
提督「そいつは……弱ったな……」
提督は跳ね上がった心拍数を隠して平穏を装い。
鳳翔「うふふ」
鳳翔は目を伏せて、また提督に身を預けた。
鳳翔「……?」すんすん
そこで、鳳翔が不審そうな顔を顔をしながら提督の匂いを嗅ぐ。
提督「な、なんだ?」
鳳翔「……榛名さんと足柄さんの匂いがします……
お仕事をなさっていたのではないのですか……?」
じとーっとした視線を向けられて、たじたじになる提督。
提督「し、してたさ……
そしたら向こうからやって来たんだよ」
鳳翔「ふゥん……そうですか」
鳳翔はどこか不満げだ。
鳳翔「……榛名さんや足柄さん達には……華があって羨ましいです……」
950: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:30 ID:6ZFuBPk00(7/12) AAS
その台詞に。
提督「っ……」
『私には……
華が……ありませんから……』
唐突にフラッシュバックする、記憶。
提督「……そ、うは言うが……鳳翔。
今日はまさにお前が我等の華だったではないか」
鳳翔「……あれは提督の教示あってこそですよ……私の実力では……というか、」
提督「ーー司令をよく理解し、きちんと遂行出来るのは艦娘の実力だ。
お前は実によくやってくれたよ」
鳳翔「……そう、言っていただけるのはとても嬉しいですし、勝てたのも、とても嬉しかったです。
ただ、地力では……」
『嬉しい……』
提督「……あれだけの大勝でも、きちんと反省しているお前なら……
いつか、翔鶴を軽く追い抜くさ」
鳳翔「そ、そうですか……?
……と言うより!
それとこれとは話が別ですっ。
おだててもいけませんよ、提督。
今は戦いの話では無くてーー」
『ーーいけませんよ、提督?』
提督(っ……)
951: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:31 ID:6ZFuBPk00(8/12) AAS
鳳翔「ーーもう、提督?
聞いてらっしゃるんですか?」
提督の意識が一瞬別の所へ行っている間に、また鳳翔がぷりぷりし始めた。
提督「あ、ああ、すまんすまん……聞いてるよ」
鳳翔「いいですっ。
どうせ普段の私には華がありませんよぅ……」
そう言っていじけてしまう。
提督「そんな事は無い、鳳翔」
鳳翔「……」
鳳翔はムスッとしたままだ。
そんな鳳翔の様子を見て、提督は思わずクスリと笑ってしまう。
鳳翔「む。……笑いましたね」
鳳翔が口を尖らせた。
提督「すまない。……可愛らしくてな、つい」
鳳翔「な、にを……」
顔をますます朱に染めて、鳳翔はそっぽを向いてしまった。
952: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:32 ID:6ZFuBPk00(9/12) AAS
提督「そもそも、華とは随分抽象的じゃないか。
なんだ、派手さか?」
鳳翔「それは……こう……魅力と言うのですか?
……ニュアンスで理解してくださいっ」
提督「お前はまさか、自分に魅力が無いと思うのか?」
鳳翔「……だったら何ですか」
提督「ふーむ……
確かに、足柄や榛名には魅力がある。
だが、魅力を感じるのはお前の瞳だ」
鳳翔「……?」
提督「……俺の瞳には、お前も十分魅力的に映っているという事さ。
……言わせるな、恥ずかしい……
ああ、俺も酔っているようだ……」
鳳翔「……もう……適当な事ばかり仰るんですから……」
そう言いつつも。
鳳翔は唇を舐める。
付着した透明な唾液が、艶めかしく光った。
鳳翔「ーー本気に、しますよ?」
953: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:32 ID:6ZFuBPk00(10/12) AAS
提督「……ふ、夜中に物事を判断するのは止せ。
朝になってから後悔するぞ」
鳳翔「しませんよ?きっと……」
不敵な笑みを浮かべ、見つめ合う事数分。
鳳翔が眠気を堪えきれずに欠伸した。
鳳翔「うーん、お酒が回ってきました……」
そして、提督にもたれかかったまま、目を閉じてしまう。
提督「おいおい……風邪をひくぞ……」
鳳翔「良いんです……
あたたかい、ですから……」
提督「やれやれ……」
鳳翔を受け止めつつ、提督は杯を傾ける。
954: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:33 ID:6ZFuBPk00(11/12) AAS
鳳翔「提督?」
提督「なんだ?」
鳳翔「……私、待ってたんですからね……」
提督「……ああ、すまない」
鳳翔「……提督?」
提督「どうした」
鳳翔「……呼んでみただけです」
提督「……この酔っ払いめ」
鳳翔「うふふ」
鳳翔「…………提督?」
提督「んー?」
鳳翔「おやすみ、なさい……提督……」
提督「……ああ……おやすみ、鳳翔」
しばらくして。
聞こえるのは、スー……スー……という穏やかな寝息。
肩にかかる重さが心地よい。
提督「……俺も眠くなってきたな……」
くぁ、と提督の欠伸。
提督「今日は……色々あったな……
勝って、話して……思い出して」
チラリと鳳翔を見る。
提督「やはり……愉しい……時間だ……」
そして、目を瞑る。
夢の中へ、沈んでいく。
955: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/22(月)21:34 ID:6ZFuBPk00(12/12) AAS
ここまで
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956: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)21:39 ID:xaO68tPrO携(1) AAS
乙です
957: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)21:52 ID:waF01vtqO携(1) AAS
乙です
958: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2015/06/22(月)22:02 ID:3FDLR5tF0(2/2) AAS
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