[過去ログ] 【艦これ】提督「…さて、と」 (1002レス)
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887: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/14(火)20:10 ID:rAIsVEii0(1/9) AAS
バタン
提督「……処置は済んだ。誰か、中の加賀に肩を貸してやってくれ」

瑞鶴「……!」ダッ

龍驤「瑞鶴!まちーや!」テテテテ

提督「響。入渠申請は加賀の名前で出しておいたと、加賀にそう伝えてくれ」

響「……わかりました」タッタッタ

提督「ああ、日向は行くな。少し残れ」

日向「……はい」

提督「榛名、問題は無かったか」

榛名「榛名は大丈夫ですよ」

提督「すまんな……日向、北提の現在地は何処だ」

日向「はっ……中央作戦司令室より召喚を受けております」

提督「そうか。加賀の状態は思ったより悪く無い。緊急連絡を取る程でもないだろう。作戦司令室の意向を妨げる訳にもいかんしな……
ドックからも連絡が行く筈だが、お前の口から直接、北提に私が処置した旨を伝えておいてくれ。
あの程度なら、それで事足りる筈だ」

日向「……はっ」

提督「頼んだ。行くぞ、榛名」

榛名「はいっ」

提督「……ああ、そうだ。これを渡しておこう」

日向「……?」

提督は紙片にその場でサラサラと何かを書きつけ、日向に手渡した。

提督「私の電話番号と宿舎の場所だ。併せて伝えておいてくれ」

日向「はっ」

提督「ではな」

入口へ向かうと、船渠の外は相変わらず、雨が降っている事がわかる。
提督が引き戸を開けた時、後ろから微かに加賀の聲が聞こえた気がする。

提督「……いや、雨の音だな」

榛名「?」

提督「行こう」

榛名「はい」

提督と榛名は、雨の中へと踏み出した。
ザァザァと、降る雨の中へ。

888: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/14(火)20:11 ID:rAIsVEii0(2/9) AAS
………
……



戦闘の結果、余りにもダメージが深く、艦娘単独での本体の生命維持に問題がある場合。艦娘は工廠に隣接した場所に運び込まれ、集中的に補修が行われる。

それ以外の場合はここ、船渠の入渠スペースだ。
ここは四つの修復液に満たされた一人用浴槽と、通常の大浴槽一つで構成されている。
修復浴槽は、主に艤装が大破や中破したが、生命維持に問題の無い艦娘が体の傷の治癒に用いる。
大浴槽は普通の風呂である。
今も、大浴槽で寛ぐ艦娘が二人……


飛龍「あぁ〜あったかい〜訓練後は此処に限る。今日は厳密には違ったけど」

蒼龍「風呂はいいねぇ」

飛龍「雨が止むまでここに居たい」

蒼龍「あんまり長くはダメだよ、長門さんがまた怒るって」

飛龍「良いじゃん良いじゃん。牛乳飲んでゆったり過ごそうよ〜」

蒼龍「ダメだって……こないだ、あの人が胃薬飲んでるの見ちゃったよ、私……」

飛龍「あの人は自分から苦労しに行くねぇ」

蒼龍「中央作戦司令室付きの艦娘なんだし、何かと、ね」

飛龍「ま、一艦娘の私達には関係ありませーん」

蒼龍「もう……」

ガララと、引き戸を引いて、三人組が現れた。両肩を瑞鶴と龍驤に支えられた加賀である。

瑞鶴「加賀さん、足元気をつけてね……」

加賀「……ええ」

龍驤「ちょ、ほんま頼むで……」

飛龍「(……誰が入って来たかと思ったら、加賀かぁ)」

蒼龍「……」

龍驤と瑞鶴は、そのまま加賀を修復浴槽に注意深く入れた。

889: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/14(火)20:12 ID:rAIsVEii0(3/9) AAS
加賀「ごめんなさいね」

瑞鶴と龍驤、後から来た響は通常浴槽に入った。

瑞鶴「いや……ほんと、私の不注意で……」

加賀「それは私が急に立ち止まったから。自分を責めないで」

龍驤「まぁまぁ。雨も降ってたし!おあいこってことで……」

瑞鶴「……」

龍驤「ほら!加賀も愛しの提督と近付けたし……」

加賀「……そうね」

瑞鶴「……それでっ!加賀さんが怪我したら意味ないよ!いくら、英雄提督に会えても……」

加賀「……」

飛龍「まーた英雄提督かぁ……」ボソッ

蒼龍「ちょっ……聞こえるよ!」ヒソヒソ

890: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/14(火)20:13 ID:rAIsVEii0(4/9) AAS
加賀「……久しぶりね、飛龍、蒼龍」

飛龍「久しぶり。北提のとこに配属決まって以来だっけ。加賀は、まだ提督のおっかけしてるんだ?」

加賀「……」

飛龍「てか、本格的に振られたの?」

蒼龍「ちょっと……」

飛龍「だって未だに、北提のとこにいるみたいだしぃ。航空戦術のお披露目も私がやる事になったしさぁ。加賀に頼めば良いのにーって思ってたんだよね」

加賀「……!」

飛龍「……そういえば、加賀。あなたの航空訓練のスコア、見たよ。
数年のブランクと怪我の所為で満足に訓練こなせてないのなら仕方ないけどさ……」

飛龍の、それまで浮かべていた薄ら笑いが消え、顔が昏くなる。

飛龍「ちょっと酷すぎだよね?案外、そういうとこを見てんのかもよ、あの計算高い英雄サマは」

加賀「……ッ」ギリッ

891: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/14(火)20:16 ID:rAIsVEii0(5/9) AAS
瑞鶴「ま、待って下さい……!加賀さんは、訓練での目標達成率90%ですよ?勘違いなさっているのでは……」

飛龍「んー?あなたが瑞鶴?」

瑞鶴「は、はい」

飛龍「……呆れた。加賀、どういう教育してんの?」

瑞鶴「なっ……」

飛龍「アッハッハ!一つ教えてあげるよ、ひよっ子。あんな訓練なんか、達成率100%が当然……一人前ならね」

瑞鶴「……」

飛龍「ダメダメだなぁ、加賀。……も、上がろっか、蒼龍」ザバー

蒼龍「……ん」ザバァ

飛龍が浴槽から出て引き戸に手を掛けようとした時、外側からガララと川内が戸を開いた。
川内は飛龍を見るなり、嫌そうな顔をして声を上げる。

川内「出た、気違い!」

飛龍は不敵な笑みを崩さず、答える

飛龍「何を自己紹介してんのさ、川内」

川内「……相変わらず言ってる事が、頭おかしいなぁ……」

飛龍「ハッ!冗談は顔だけにして欲しいね」

川内「……寝言は寝てからーー」イラッ

飛龍「アッハッハ!やっすい挑発に乗るなよ川内。だからお前はいつまでも夜戦隊なんだ。ほら、どいたどいた」

飛龍は苛立つ川内をドンっと押し除けて、脱衣所へと消える。
その後、入渠スペースに川内が入り、戸をピシャリと閉めた。

892: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/14(火)20:25 ID:rAIsVEii0(6/9) AAS
川内「気分悪……お?じゃじゃ馬と仲間達じゃん」

川内はザブザブと浴槽に入りながら話しかける。

加賀「……」

川内「なんか機嫌悪いなぁ。気違い飛龍になんか言われた?それか提督に振られた?」

加賀「……」

川内「アタシも提督の事ストーキングしてたら榛名にバレてさー。雨の所為で撒かれちゃった。それでビショビショになったから来たんだけどさ。不覚不覚。アハハ」

加賀「……」

川内「……皆だんまりかよー。面白くないなぁ。なんか言えよー」

瑞鶴「……質問、良いですか」

川内「お、いいよ」

瑞鶴「……あのお二人って何者なんですか?」

川内「飛龍と蒼龍?アイツらは今の第一艦隊、第一機動部隊の空母様だよ。つまり、今んとこ最強の一角、だけど……」

瑞鶴「え……」

川内「知らないんだ?意外」

龍驤「ウチは知っとったけど……」

響「瑞鶴って結構そういうのに疎いよね……」

瑞鶴「……」

川内「例えば、今の加賀、故障抱えてるし比較にならないけどー。今の飛龍は、全盛期の加賀より強いと思うよ」

瑞鶴「……!」

川内「でもアイツ、それは味方殺しちゃってからーー」

龍驤「え?」

加賀「川内!」

893: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/14(火)20:26 ID:rAIsVEii0(7/9) AAS
川内「……や、ごめんごめん。忘れてー。てか、加賀。そこで入渠してるって事は大破でもしたの?飛龍にやられたとか?」

加賀「……」

川内「聞いちゃいない……はぁぁぁぁ……
あ、そうだ。加賀。全く話題変わって、提督をストーキング中に聞いたんだけどさ」

加賀「……あなた、よくその単語を臆面なく使えるわね……」

川内「まぁまぁ。聞いてよ。その内容がさーー」

ーーーーー

提督『……で、不知火の話とはなんだ、榛名』

榛名『はい。この間、不知火さんと二人で居た時の事なのですが……少し、提督に対して不信感と言うか……不安と言うか……。
苛立ち。そう、苛立ちを抱いている様子が垣間見えました』

提督『……そうか……』

榛名『その事をご報告しておかねば、と思いまして……』

提督『それは有難い、が……余計に不知火を一人にして欲しくなかったな』

榛名『うー……ごめんなさい……』

ーーーーー

川内「って」

894: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/14(火)20:33 ID:rAIsVEii0(8/9) AAS
加賀「……」

川内「榛名の奴、不知火を出し抜いて、提督と二人きりだぜ?なんとかなんない?」

加賀「……何故、それを私に言うのかしら。(というか、着目すべき点はそこでは無くて……)」

川内「不知火と仲、良いだろ?」

加賀「……だったら、何?」

川内「なんか、作戦、練れない?」

加賀「……出来たとしても、お断りね。提督にご迷惑がーー」

川内「迷惑。迷惑?アハハ」

ザバァと、浴槽から上がり、川内は加賀に近寄った。そして、耳元で加賀にだけ聞こえるように囁く。

川内「……ワザとコケた、イケない艦娘が今更何を、言ってるのかな」

加賀「……!」

川内「本当は、ポッと出風情が何故提督の横に、とか思ってんだろ?」

加賀「違っ……」

川内「提督の気を惹く為の、加賀のあんな声……痛くない癖に……やらしいなぁ……」

加賀「……五月蠅いっ」

腕をブンッと振って、川内を遠ざける。

川内「おっとっと」

龍驤「ちょ、川内はんとやら!加賀さんをあんま動かさんといて!」

川内「……ごめんごめん。アハハ」

川内は元の湯船に戻った。

川内「ま、考えといてよ……アタシも協力、するからさ……」

川内はニコニコしていたが、その実、目は全く笑っていなかった。
895: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/14(火)20:35 ID:rAIsVEii0(9/9) AAS
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