[過去ログ] 【艦これ】提督「…さて、と」 (1002レス)
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682: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:16 ID:c6XgIRrR0(1/17) AAS
長官宿舎前
提督「(ここに来る前に中央鎮守府に立ち寄って、艦娘区画管理局に問題が発生したか問い合わせてみたが……今の所何もなしか……)」
榛名「♪〜」
提督「(結局、榛名も『大丈夫です!』と言って着いて来たが、状況が不可解過ぎる……何よりも上機嫌なのが不気味だな……)」
金剛「Oh!ようこそテートク。南方長官がお待ちデース」
提督「ありがとう、金剛」
金剛「榛名と不知火もwelcomeネ!Please come in!」
提督「ありがとう。私は長官殿の部屋に向かう。お前たち二人は、応接室で金剛と一緒に居てくれ」
榛名・不知火「わかりました」
683: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:17 ID:c6XgIRrR0(2/17) AAS
南方長官の自室
コンコン
提督「失礼します」
南「ああ、待っていたよ。入ってくれ」
ガチャ
提督「お待たせして申し訳御座いません」
南「いやいや。疲れているところをすまないね」
提督「滅相も御座いません」
南「……さて、今日の会議の話だが……」
提督「情報開示ですか」
南「……ああ。やはり、太郎には時間がある時に話しておくべきだろう。会議で決定してからでは、太郎が作戦の為、本土に居ない可能性がある。……例え会議で情報開示しない事が決まったとしても、奴は知っておいた方が良いだろう」
提督「はい。それと、翔鶴にも……」
南「そうだ、な。……ほんの少し前まではこんな事は無かったんだが……半年も無い間に、あそこまで翔鶴と親密になっているとは……」
提督「……」
南「……艦娘と恋仲にあるなど、他の者に知られたらどうなるか……規則で過度な接近は禁じられていると言うのに……」
提督「左遷、でしょうね」
南「君に言われると現実的になるな……早速、2人を呼んでくるか」
684: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:18 ID:c6XgIRrR0(3/17) AAS
………
……
…
ガチャ
太郎・翔鶴「失礼します。お呼びでしょうか?」
南「ああ……二人ともそこに座ってくれ」
太郎・翔鶴「はい」
提督「……君達は……恋仲にあるな?」
太郎「……はい?」
提督「恋仲に、あるな?」
翔鶴「……いいえ」
提督「……正直に答えろ。私と長官殿以外誰も聞いていない。この話題は外にも出さん」
翔鶴「……いえ、私はーー」
太郎「恋仲に、有ります」
翔鶴「……太郎さん!」
太郎「……どうせ、バレている事さ」
685: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:19 ID:c6XgIRrR0(4/17) AAS
提督「……では、お前達に話しておく事がある。……宜しいですね、南方長官」
南「頼む」
提督「……数年前、東の前線基地で起きた騒ぎを覚えているか」
太郎「はい。主張派の艦娘同士の内紛ですよね。2名の艦娘とその提督が亡くなったという……あの事件から、艦娘関連の制限事項が増えたので、よく覚えています。……それこそ、艦娘との過度な接近禁止等……」
翔鶴「……お言葉ですが、まさか私が他の艦娘と太郎さんを巡って争うと……?」
提督「まぁ聞け。お前達も噂で、艦娘が沈めば深海棲艦となる事を聞いたことがあるだろう」
翔鶴「はい。しかし、それはただの噂だとばかり……」
提督「その噂は特定の条件下で事実になると言われている。……艦娘が未練を抱いて沈んだ時にな」
翔鶴「……未練」
提督「そうだ。例えば、慕情だな」
太郎「……それは、本当ですか?」
提督「冗談みたいな話だが、本当だ」
686: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:19 ID:c6XgIRrR0(5/17) AAS
翔鶴「……つまり、私が太郎さんを想って沈むと、深海棲艦化すると仰るのですね……」
提督「ああ。無論、必ずそうなると言う確証は無いが……これまで我々が戦った、深海棲艦化した艦娘は全て、艦娘時代の何らかの因縁を持ち続けていた」
太郎「……そんなに深海棲艦化した艦娘と戦う機会があったのですか?私は聞いたことがありませんが……」
提督「緘口令などが敷かれて、秘匿とされていた。しかし、火のないところに煙は立たん。噂ぐらいは聞いたことがあるだろう」
太郎「……」
提督「話を戻そう。 東の前線基地の事件だが……あれは艦娘同士の内紛等ではない。あれは、深海棲艦化した艦娘に、基地内に侵入された結果ああなった」
翔鶴「え……」
提督「詳しい状況は不明だがな。深海棲艦化した艦娘の見た目、言動は生前と酷似している。恐らくは、そういったものに惑わされて、基地に接近する段階での排除ができなかったのだろう」
翔鶴「……」
687: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:20 ID:c6XgIRrR0(6/17) AAS
提督「その結果、陸上での砲撃戦となったらしい。……艦娘が地上で機動性を確保するために、脚部の艤装を着用せずに、そのまま主砲を放ったらどうなるか、実証してしまった訳だ」
太郎「……吹き飛んだんですか」
南「基地はかなり、悲惨な事になっていた」
提督「……生き残りの証言から判明した、深海棲艦化した艦娘の存在。これに加えて凄惨な現場。これらによって、本部は過剰とも言える艦娘の締め付けに走った訳だ。表向きは、艦娘の同士討ち防止であるとしてな」
太郎「そんな事が……」
提督「……侵入した深海棲艦は元々、提督の寵愛を受けていたらしい。深海棲艦となっても、しきりに『提督に逢いたい』と連呼していた様だが……そういった者が、敵に回る可能性があるという事を知っておけ」
688: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:20 ID:c6XgIRrR0(7/17) AAS
太郎「……」
翔鶴「……私は、太郎さんから離れた方が良い、という事でしょうか?」
提督「お前が太郎くんから離れた所で事態は解決しない。そんな簡単に忘れられる関係なら、こんな話はしない」
翔鶴「……では、どうすれば……」
提督「前にも言ったが……生き伸びろ。汚くても良い。それをお前達には肝に銘じてもらう必要がある」
翔鶴「……」
提督「焦って戦果を出そうとするな、という事だ。なぜ自分が今本土に居るのか、よく考えろ」
翔鶴「……しかし、私は艦娘です。私は、戦わねば……」
提督「お前は高潔過ぎる。……生きる事を考えろ」
翔鶴「……」
提督「二人でゆっくり話し合うと良い。まぁ、なんだ。死ぬな。」
太郎「提督さんが仰ってた、自分と同じ轍を踏むなとは、この事ですか」
提督「さぁな。……それと、この話を絶対に外に出すなよ。自分の艦隊含めてな」
689: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:21 ID:c6XgIRrR0(8/17) AAS
………
……
…
長官宿舎、応接室
ワイワイ
金剛「そういえばネ、太郎さんは意外とお酒弱いんだよネー」
榛名「そうなんですか?意外です」
金剛「翔鶴は逆にザル過ぎてビックリするヨ」
榛名「ええ……榛名の同僚にもそんな方がいらっしゃいますが、もしかして空母は皆お酒に強いのでしょうか……?」
金剛「I dunno……ところで不知火、大丈夫ー?」
不知火「……はい。大丈夫です」
金剛「……Ok.(不知火が恐ろしく落ち込んでる……榛名は非常に上機嫌……修羅場の匂いがするわね……)」
ガチャ
提督「待たせてすまない、二人共。そろそろ戻ろうか」
金剛「もうお話は終わったノー?」
提督「一応」
金剛「残念。もう少し榛名達とお話してたかったヨ」
提督「明日もあるからな。また今度。行くぞ、榛名、不知火」
榛名「はい!」
不知火「……はい」
690: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:29 ID:c6XgIRrR0(9/17) AAS
宿舎前
提督「すっかり遅くなってしまったな……二人とも、ご苦労だった。部屋で休んでくれ」
不知火「はい」
榛名「……あの、提督。早めに見ていただきたい物が有るのですが……」
提督「ほう。今からか?」
榛名「はい……できるだけ早くに……二人で」
提督「……わかった。不知火、外してくれるか」
榛名「いえ、少し遠くにあるのです」
提督「……まさか、昼間居た艦娘区画か?」
榛名「はい」
提督「……あそこは人間の立ち入り禁止だが……中か?」
榛名「中ですが……人間の立ち入り禁止だったのですか?知りませんでした……」
提督「……管理局に掛け合ってみよう」
691: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:30 ID:c6XgIRrR0(10/17) AAS
………
……
…
艦娘区画
提督「拍子抜けする程簡単に許可が取れたな……」
榛名「こっちです!」
提督「はしゃぐな、はしゃぐな」
榛名「……夜に提督と二人で歩くの、気持ち良いです」
提督「……そうか」
榛名「えへへ……」
提督「しかし、倉庫街に来て何を見せるつもりなんだ?」
榛名「……うーん、ここら辺だった気がするのですが……」
川内「おーい、魚雷ー。探してる場所は此処じゃない?」
榛名「あら、あなたは昼間の……あ、そうですね!ここです。ありがとうございます!」
提督「川内……!」
川内「待ってたよ、提督!アタシに話が有るんじゃない?」
提督「……ああ、その通りだ」
榛名「……提督、少し荷物を取ってきますね!その倉庫の中なので……」
提督「(この倉庫は正面以外に出口は無い……入り口に居れば大丈夫か?)わかった。私は入り口で川内と話をしている」
榛名「はい!」
692: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:31 ID:c6XgIRrR0(11/17) AAS
メキメキ、バキ、ガラガラガラ……
提督「(扉一つ開けるのに、凄まじい音だな……ん?そもそも錠はどうした?……明かりはつけないのか?)」
川内「いやー早めに来て貰えて助かったよー」
提督「……何がだ」
川内「この倉庫、扉が変形してて開かなかったんだよね」
提督「……」
ズル……
川内「そういえば、今のお気に入りは榛名なんだね。愛宕とか赤城もそうだし……長髪が好みなの?伸ばそうかな?」
提督「何を馬鹿な事を……」
ズル……
川内「アハハ。……しっかし、嫌な予感がするなぁ。死んでなきゃ良いんだけどね」
提督「……死ぬ?何の話だ?」
ズル……
川内「いやほんと、予想外でさ。榛名が壊れると思ったんだけどね。回収にも失敗するし、不覚だよ。アハハ」
提督「なんなんだ……一体何を言っている!」
ズル……ズル……
川内「すぐにわかるよ」
提督「おい、榛名!中は大丈夫か!」
ズル……ズル……ズル……
川内「落ち着きなよ、提督……」
ズル……ズル……ズル……ズル……
川内「……ほら、もう出て来た」
693: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:33 ID:c6XgIRrR0(12/17) AAS
倉庫の暗い入り口から、まず現れたのは、闇の中で微笑みを浮かべる榛名。
提督がその姿を見て安堵しかけた、その次の瞬間。
ズルリズルリと。榛名に引き摺られて、闇の中より現れた大きな荷物。榛名が掴んでいた手を離すと、それはその場で崩れ落ちた。
「なんだ……?」
それは目を凝らすと人の形をしていて。微かに動いていて。
「……冗談だろ」
提督の呼吸が浅く、早くなる。心拍数が跳ね上がる。冷や汗が吹き出るのを感じる。
「ああ、クソ……クソ!」
耳を済ませば聞こえるのは、苦しげな呻き声。
「何故、ここに居る……!」
地に伏すは、顔の腫れ上がった黒提督。
その服は用務員の物であったが、どす黒く変色した血液が多量に付着しており、着ている者の状態を示唆していた。
694: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:35 ID:c6XgIRrR0(13/17) AAS
「えへへ。英雄提督?」
時折ピクピクと動き、小さく呻く黒提督に駆け寄り、呼吸や脈を確かめる提督。その提督へ、榛名は笑顔で、静かに、優しく語りかける。
「敵を、倒しました」
ゾクリ。
背筋を這う感覚に、提督は身震いした。
倉庫から出た時、提督に安堵を与えた榛名の微笑みは、今は酷く歪んで見える。
「うふふふ。この人が教えてくれたんです。うふふふふ!あなたが英雄提督だって。ふふふふ!」
榛名は黒提督を指差し、告げた。
「言われてみれば、思い当たる節もあるかなって。うふふ。普通、左遷された人間が、長官の出席するような会議に出れませんよね。ふふ。それとか、艦娘にとても甘かったり……」
「昔の写真もあるんですよ!この人が持ってました」
そう言って榛名が懐から取り出す一枚の集合写真には、今より少し若い提督と黒提督が他大勢と共に映っていた。『主張派決起会』と言う文字が写真内に見て取れる。
「えへへ。私嬉しくて。だって、知らず知らずのうちに、私は英雄提督の大切になっていたんですから。やっぱり私は英雄提督の為に生まれてきたんだって!えへ」
695: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:35 ID:c6XgIRrR0(14/17) AAS
「ふふふ。私が英雄提督に粗相をして無いかって、確かめに来たそうですよ?この人。私は英雄提督の艦娘であって、黒提督の艦娘では無いのに。不思議ですよね。うふふふふ!」
「あなたが『黒提督は過ちを犯した』と言っていたのを思い出して。ふふふ。英雄提督が間違ってるって言う人間なら、私に、英雄提督の艦娘に暴力を振るう人間なら、敵だから多少痛めつけても良いかなーって。ふふ」
「今まで一方的に殴ってたからでしょうか?反撃したら黒提督は腰抜かしちゃって。そのまま殴ったり蹴ったりしましたけど。えへへへ!」
「この人ったら鼻の骨折れたあたりから命乞いを始めて。ほら、鼻って折ると血が思ったより出るじゃないですか。ふふふ」
「それで、この人は怖くなったのかあなたの悪口を言ったんです!自分であんなに『英雄提督は凄い人だー』って言ってた癖に!」
「もう、私、許せなくって。半殺しにしてしまいました。うふふ。でも、殺すかどうか決め兼ねてしまって……それでお連れしました」
696: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:37 ID:c6XgIRrR0(15/17) AAS
「……何故、今まで黙っていた」
提督は黒提督が生きている事を確認し、榛名へと問うた。
「不知火さんがいらしたので。……提督は榛名の為に不知火さんを付けて下さったようでしたから、余計な心配をお掛けするかと」
「……そうか……おい、黒。しっかりしろ。おい」
提督がペチペチと黒提督の頬を叩く。
「……あ……英雄、提督殿……」
黒提督の腫れ上がった瞼が持ち上がり、虚ろな目がかつての上司を視界に捉えた。
「呼吸は出来ているな。意識もある。……一安心か……」
川内「あ、生きてた?良かったー」
提督「……どういう事か、説明して貰おうか、川内!」
川内「どうもこうもないよ。アタシが全部やったってわかってるんでしょ?アハハ」
提督「お前……」
川内「怒んないでよ。気持ちはわかるけどさ。提督と同じ事しただけじゃないか」
697: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:37 ID:c6XgIRrR0(16/17) AAS
提督「……」
川内「提督は榛名をオトす為に金剛と不知火を使って。アタシは提督をオトす為に榛名と黒提督を使っただけだよ。」
榛名「榛名は元々オチてますよ!えへへ……」
川内「……チッ。提督だって、金剛や不知火の気持ちを知りながら、見て見ぬ振りしてるじゃん。不知火の事は都合のいい時だけ頼って、金剛なんて別の艦隊の女なのに!」
提督「……」
榛名「榛名は大事にしていただいて、感激です……」
川内「……あーあ、使えねぇなぁ黒提督……榛名はお釈迦になる筈だろぉ……」
提督「……黒提督は主張派解体の際に辺境の補佐要員に降格された筈だろう。こいつを中央に呼び込んだのもお前か?」
川内「そうだよ」
提督「(……俺が榛名を連れているとは知らなかった筈だ……)」
川内「別に榛名の為じゃないよ。アタシの目的はもっと、別にある」
提督「……何?」
川内「ねぇ、英雄提督。栄光の第四機動群、復活させよ?」
698: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/04/03(金)09:39 ID:c6XgIRrR0(17/17) AAS
少々多忙で投下できなかったので、
今回多めです
詰め込み過ぎかな……?
とりあえずここまで
病み榛名大好きです
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