[過去ログ] さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 (1002レス)
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170: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/04/30(月)02:13:33.58 ID:riuFgEhho(5/6) AAS
 マミの表情にも雰囲気にも、切れる寸前まで張った弦のような危うさは既になく、
険が取れて柔らかになっていた。
 指摘されて初めて、それを自覚する。

「だとしたら……夕木さんのお陰かもしれません」

「私? 私は何もしてないわよ?」

「はい。私が勝手にそう思ってるだけですから」

 命が訳がわからないと首を傾げる様が無性に可笑しくて、マミはクスッと小さく吹き出した。
 それは、マミが久しく見せなかった素の笑顔。
 後輩の前で見せる上品で優雅なそれとも異なる、歳相応の子供らしい顔。

 クラスの友人の前でも滅多に見せたことがない。家族を亡くしてからというもの、
どこか他人に対して一線を引き、強く頑なな自分を作ろうとしていたから。
 それが崩され、否定され、打ちひしがれていた時に、その価値を認めてくれたのが彼女だった。

 人と人との仲は、必ずしも時間と共に深まるとは限らない。
 少なくとも、一方的に好意を抱く分には、時間はさほど重要ではない。
 例えば自分とまどか、鋼牙とさやかのように。

 前者のように共通する物は何もないし、後者ほど劇的な出会いでもない。
 ほんの些細な巡り合わせ。
 それでもマミは、命に好意を抱き始めていた。
213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2012/05/15(火)20:15:51.58 ID:FSIQ/xrp0(1) AAS
>>199
「人の命は地球の未来!」
267: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/28(月)03:10:44.58 ID:JqNzRaySo(9/9) AAS
ここまで。次も間に合えば日曜深夜に
多くてもあと二回で2話を終わらせたいです

たくさんのコメント、いつもありがとうございます
でも、自分が優しいかどうかはよくわかりません
では今回の鋼牙は優しかったのかどうか

短いのに、これまでで一番苦戦した気がします
こんなのでいいのか、かなり悩みましたが、説明は作中で追々
295: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:36:33.58 ID:tOv9yjbAo(6/9) AAS
 
 恭介が首を傾げた。
 帰ると言ったにも拘らず、さやかがイスから立たないからだ。
 さやかは思い詰めた表情で俯いていたが、やがて意を決して顔を上げた。 

「ねぇ、恭介……もしも、もしもだよ? 願いを何でもひとつだけ叶えられるとしたら、何を願う?」

 何故か、これだけは訊いておきたかった。
 自分の参考にしたかったのもある。
 だが、確かめたかった。彼は今、どんな心持ちでいるのだろうかと。

「何だい、急に?」

「あ〜、いや、今日まどかたちと話しててさ。なんとなく、そんな話題になって」

 曖昧に答えたが、嘘は言ってないからいいだろう。
 まだ首を傾げる恭介だったが、深く追及する気はないようだった。
腕を組んで真剣に考え始める。

「そうだなぁ……」

 恭介は十数秒ほど唸ってから、さやかを見る。
 
「もっともっとヴァイオリンを上手になって、もっと多くの人に聴いてもらうこと、
大勢の人たちを魅了する音楽を演奏することかな。
それでいつか僕だけの最高の音を奏でられたなら……」

 答えた彼の眼は輝きに満ちていた。その光は、さやかの懸念を一瞬にして払拭する。
 彼は、また弾けたら、などと口にしなかった。
 手首から先が動くか動かないかの瀬戸際に立たされているというのに。
少なくとも今は動かせないままだというのに。
315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) 2012/06/19(火)20:28:28.58 ID:HruP6OoG0(1/2) AAS
DVされてそれでもまだ縁を切れないメンヘラ女みたいだなあマミさん
「さやかちゃんイージーモード」みたいな末路を迎えそう・・・
351: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/28(木)03:15:39.58 ID:2bCS3gDYo(5/8) AAS
「でも、感情の有無がそんなに大事なことかな? 
少なくとも、僕たちは良好な関係を築けていたじゃないか。
僕は君の、君は僕の、お互いに利益となってきたはず。
愛、なんてあやふやなものがないくらい、何の問題もないと思うけどね」

 キュゥべえは、そんなマミを見下ろして平然と告げる。
 痛みを痛みで紛らわせても相殺しきれず身悶えるマミに、キュゥべえの言葉を受け止める余裕はなかった。
それでも心と別に、思考は薄ぼんやりと理解してもいた。

 キュゥべえの言葉は、それでも間違ってはいないのだと。

 知らなければ、ずっと彼を友達と信じていられた。小さな棘のようなわだかまりは胸に刺さったままでも、
自分が死ぬか壊れるまで騙し騙しやっていけたと思う。
 キュゥべえは、騙していたという認識などないのだろう。感情がない彼は常にあるがままだった。
ただ役目を果たしていた彼を、友達として見ていたのはマミの方。

――そう、だから悪いのは私……。
 キュゥべえは蓄積したそれらしい反応を、状況に合わせて見せていただけ。
 それを唯一無二の好意と勘違いして、私が勝手にショックを受けているだけ。
 でも、それはあくまで理屈。
 そして、この気持ちは理屈じゃない――

 だからこそ、こんなに胸が苦しい。
 彼も、あの日々も、最初から虚構だった。もう二度と戻ってこない。
 キュゥべえは、これまで通りの日常を送ることを拒まないだろう。
しかし、マミには到底、許容できなかった。
 
「もういいわ……。結局、私の一人遊びだった訳ね」

 マミが静かに、自嘲気味に呟く。
 口に出して、少しだけ心が諦めに傾いた。
367: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/30(土)02:06:00.58 ID:GONWpbJyo(1/3) AAS
次回予告(まどか☆マギカver)



マミ「空っぽの身体。空っぽの心。なのに何故、私はまだ生きているの……?」
マミ「……やっと気が付いた、私の中に在る唯一の願い」

第3話

マミ「もう何も信じない」


474: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/08/04(土)03:15:47.58 ID:/EHE1KDLo(1/8) AAS
 鳴り響くチャイムの音が授業の終わりを告げる。
 さやかは終礼と同時にいそいそと片付けを始め、二分とかけずに帰り支度を済ませた。
 放課後はマミとの約束がある。待たせるのも悪いし、恭介の見舞いに行く時間を考えたら、
あまりグズグズしていられない。
 さやかが急ごうと席を立つと、仁美と視線がぶつかった。

「さやかさん。今日は――」

「あ、ごめん仁美。今日は先約があってさ」

 答えると同時に、仁美は表情を悲痛に曇らせる。
 彼女は習い事などで放課後も割と多忙であり、別々に帰るのは珍しくない。
だからこそ一緒に帰れる時は大切にしたいと三人ともが考えていたが、
それにしても今日の反応は過剰だった。 

「朝の巴先輩……ですの?」

「うん、ちょっとね……」

 咄嗟に眼を逸らし、言葉を濁らせてしまう。
本当なら何らやましいこともなければ、負い目だってあるはずない。
 だが、あくまで秘密を伏せて"ちょっと"の部分を語れば、仁美はどう思うだろう。

 ただ遊ぶだけだと受け取られかねない。
 新しくできた、仁美の知らない友人と。
 三人で楽しく。
 彼女一人を除け者にして。

 仁美は酷く傷つくだろう。弁解のしようがない。それなら隠す方がいくらかマシだと思った。
故に、"ちょっと"としか答えようがなかった。それはそれで仁美を傷つけるとしても。
872: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/08(土)17:28:27.58 ID:hQiTrFEzo(1) AAS
どう見てもパラレル
981: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2013/02/05(火)03:03:18.58 ID:bSU8f1Sbo(5/6) AAS
 
 こうして見ると、ただの少女にしか見えない。
魔法の力を借りていても、決して楽ではなかっただろう。
鍛えに鍛えた魔戒騎士でさえ、そうなのだから。
 
 その戦闘力と、勝利の為に躊躇せず自らを傷つけた覚悟。
口にはしなかったが、素直に称賛に値する。

 杏子の太股には、彼女自身が拵えた槍傷。
そこから滴り落ちた血が、今も床に赤い染みを作っている。

 深手ではないが、放置もできない。
 ひとまず状況を確認し、可能なら応急処置を施す。
 振動で痛みを与えぬよう、壊れ物を扱うように、零は静かに階段を下りる。

 二人の関係からすれば最もあり得ないが、知らない者が見たなら、きっとこう思っただろう。
 さながら姫と騎士のようだ、と。
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