[過去ログ] さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 (1002レス)
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607: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/11(火)15:59 ID:7RjfmkKAO携(1) AAS
【コネクト】の歌詞がカオルが主人公な気がしてきた。
【マギア】を聴いてると邪美と烈花の演舞が浮かぶんだけど、歌詞はシグマの主題歌みたいだな。
どっかにそんなMAD動画ありそう。
608(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/09/13(木)02:19 ID:U8c11auY0(1/3) AAS
コネクトはカオルと鋼牙のイメージソングって感じ。
振り返れば仲間がいて〜のところのシンクロ感が鳥肌過ぎて涙腺がやばかった・・。
マギアはシグマと鋼牙って感じだ。
仲間を殺されて強くなりたいと願った二人の友の分かたれた道って感じ。
609(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/13(木)06:11 ID:pyhb/SaAO携(1) AAS
>>608
oh……鋼牙×シグマ最終戦で【マギア】に盛大にかかって欲しくなってきた!!!
そして鋼牙が鎧の中にカオルを受け入れる場面で【コネクト】だ!
(´;ω;`)…ホムッ!
この曲、まどマギ本編の展開すら知らされずに作詞作曲されたそうだが、このシンクロぶり、どういうことなの……
んで、この流れで【マミのテーマ】(通称)が似合いそうなガロの名場面を考えてみたけど、一個も浮かばないってどういうことなのマミさん(笑)
610(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/09/13(木)11:59 ID:U8c11auY0(2/3) AAS
≫608
魔戒騎士には合わないし邪烈もテーマソングあるからね。
ここは牙狼が誇る魔法少女の鈴ちゃんが一人前になって鋼牙たちを救援しに来るシーンまでお預けってことでww
翼「最近鈴が法術を打つときに呪文を唱えるが・・・ティ・・・ティロ・・・?ゴルバ、これはどういう意味の魔界語だ?」
ゴルバ『わしにもわからん。』
逆にちょうどまどマギ1巻をレンタルしてきたから
マミさんvsゲルトのシーンで一期のOPやセイバーインザダークのテレビサイズを流してみたら
これがまたピッタシww
一種の処刑用BGMだったww
・・・「ウォーオーオオオオオー♪」や「ガロォー♪」の所でトドメになるまで何回も微調節したのは内緒だww
611: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/09/13(木)12:03 ID:U8c11auY0(3/3) AAS
間違えた、≫609だww
612(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/09/15(土)00:06 ID:DJfHZbtSo(1) AAS
>>609
マミさんのテーマが似合いそうなシーンは、白夜の序盤で鈴が調子に乗って絵にキズつけちゃう所じゃないか?
で、キズが付いた瞬間に音が止まる
613(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/09/15(土)11:46 ID:Z5cjxh1uo(1) AAS
>>610
鈴がQBと契約だと!?
614: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/15(土)17:11 ID:X7MDWu0AO携(1) AAS
>>613
なんか白いコート着て槍持った残念なイケメンが走っていったぞ
615: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/09/15(土)17:28 ID:4VAr+85S0(1/2) AAS
一方その頃我雷法師に捕まったQBは・・・。
616: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/15(土)20:11 ID:SSjy669AO携(1) AAS
>>612
「あっちゃ〜…気まずぅう〜い」「鋼牙にガッツリ睨まれてフォローしようがねー。いやマミがじゃなくて鈴がだけど」「でもマミにピッタリ過ぎて気の毒な位だわ」ヒソヒソ
「……うん知ってた。私のテーマソングが浮いてるって(グス)…確かにピッタリね…この場面だけ…私のテーマソング…(アハハ)」←暗黒笑顔
「こんなのってないよ…誰かマミさんを救う事が出来る人はいませんか。助けて魔戒騎士!」
壁‖ω°)……
617(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/09/15(土)20:36 ID:4VAr+85S0(2/2) AAS
だ・・・大丈夫だ、マミさん!
えーっと・・ホラ、メシアとの最終決戦の時のカオルが翼人牙狼の絵を描くシーンとか似合うじゃない!
あと、セイバーインザダークの入りが神すぎるからとっさには気付かなかったけどvsハンプティの時に流してもピッタリだよ!
マミさんのテーマソングは希望たっぷりの聖歌だから浮いてるんだよ、きっと!
618: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/16(日)00:14 ID:jbjFgp4AO携(1) AAS
シグト「俺マミちゃんのテーマソング超好きっすよ〜ww」
619: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/18(火)20:35 ID:74J/bpkAO携(1) AAS
書きため待ってるよ〜!
620: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/09/18(火)21:19 ID:KA+SMnCA0(1) AAS
赤酒呑みながらバルチャスして待とうぜ
ベタに牙狼マギ最強談義でもするかい?
621: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/19(水)06:16 ID:DqQcmMyAO携(1) AAS
>>617
solti ola i♪
amaliche cantia masa estia〜♪
e sonti tolda i♪
emalita cantia mia distia〜♪
……………………………
「ふぅ……何と申しましょうか…心が洗われて新たなファイトがモリモリと湧いて来ますような、美しく暖かい曲でございますねぇ…」ニッコリ
ダイハクシュ-!
「す、すごいね、すごく素敵だったね、ほむらちゃん!」「え、ええ…そうね(男性が歌うとこんなに印象変わるのね…)」「ベルカント唱法……マジで何モンだこのオッサン!?」「あれ、どしたんだろアタシ?目から水が…」
「…………っ!////」ウルウル
「 ゴ ン ザ 、 騒 々 し い ぞ 」
「はっ、申し訳ございません鋼牙様!」
「「「「「…」」」」」
622(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/09/19(水)09:20 ID:1ksqOkJA0(1) AAS
≫621
まさに 黄金騎士
この鋼牙は一期ないし白夜の鋼牙だなww
二期の鋼牙はいろいろ丸いww
『とかなんとか言って、聞入ってたようにも思えたが?』
「うるさい。指令だ。行くぞ(若干目が泳ぐ」
△陰我消滅△
『おい鋼牙、あんな低級ホラーになぜあんな大技を使ったんだ?』
「(頭の中であの曲が流れた)さあな。」
623: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/20(木)16:54 ID:9Np4mnHAO携(1) AAS
>>622
誰にも聞こえない位ちいさく、「フ〜ン♪フ〜ン♪フンフンフ〜ン♪」てハミングしながら鎧召還する鋼牙様。
624(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/09/21(金)17:32 ID:qYii++Nl0(1) AAS
♪チャーラーララララララー
鋼牙「次はお前たちの番か、マミ。」
零「あんこちゃんの勇姿、見せてもらうぜ」
駈音「君の若さとパワーを開放させるんだ、さやか君。」
レオ「楽しみにしていますよ、ほむらさん!」
カオル「応援してるよ、まどかちゃん!」
ザルバ『さて、お手並み拝見と行くか・・・。インキュベーター。』
次回!9月29日 魔法少女まどか☆マギカ ニコ生一挙放送!
・・・勝手ながら告知させていただいたww
625: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) 2012/09/21(金)19:08 ID:euqzsZpQ0(1) AAS
>>624
さらっとラスボス混ぜんなw
626: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/21(金)23:51 ID:sxM+LLHAO携(1) AAS
>>624
こんな胸熱な予告されたら、まど☆マギがハッピーエンドになっちまうぜ!www
627(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/09/23(日)00:47 ID:bz7T4R7G0(1) AAS
嬉しくも悲しいお知らせ。
10月22日の東京国際映画祭で蒼哭ノ魔翌竜の先行上映が決定しました。
何が悲しいって?先行上映で数週間ならまだしも数か月も待たされるのはキツイ。
628: ◆ySV3bQLdI. [sage saga] 2012/09/24(月)01:35 ID:DHpJYteOo(1) AAS
ご無沙汰しています
なんやかんやあって、なかなか充分な書き溜めとは言えませんが、切りのいいところで近々再開したいと思います
やはり締め切りに追われていた方が書く気になるようで
>>627
もう完成していたんですね
気になりますが、東京では行けない……
629: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/24(月)08:44 ID:msrGTwZAO携(1) AAS
待ってるよ
630: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/09/26(水)11:21 ID:hK+K705AO携(1) AA×
631: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)02:38 ID:RipvUQ6So(1/13) AAS
「……ちっ! 食い物に罪はねーからな……」
掴んでいた零の胸倉を突き放し、反動で椅子に戻る。
いや、折れたという表現は杏子が認めない。ここで暴れれば、自身の言葉が確実に嘘になる。
それを嫌ったのだ。
杏子はフォークを手に取ると、ケーキに突き刺して丸ごと口に運ぶ。
その瞬間の口元の綻びようは、普段の刺々しさや強かさ、素っ気なさを微塵も感じさせない年相応の少女。
不覚にも隠し切れずに笑みがこぼれてしまった杏子はキッと零を睨むが、零の視線は既に外れていた。
気を回した訳ではない。
特に関心がなかった。
安堵して手当たり次第に手を伸ばす杏子にも構わず、零の注意が向いているのは店内のある一席のみ。
一時、子供に戻った少女を微笑ましく思うこともない。
休息の時間は終わり。その眼、その思考は、獲物を追う狩人に切り替わっていた。
杏子が来てから二十分少々。テーブルの上はほぼ片付いてきていた。
零もたまに摘まむが、ほとんど平らげたのは杏子。会話もなく黙々と食べ進めた。
途中、何度か視線が交わったが、急かされたりもしなかった。
折角の機会だからと、じっくり味わいたかった。
さっさと食べ切ってから本題に入りたかった。
どれもあるが、一番の理由は待っているのだ。
零の纏う空気が変わったのを察している。零が時を待っているように、杏子も"その時"を待っている。
零が動いたのは、杏子が最後の皿に手を付けた頃だった。
632: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)02:40 ID:RipvUQ6So(2/13) AAS
「なぁ、あんこちゃん。
前にも言ったかもしれないけど、俺は君と俺のどっちが強いかに興味はないんだよね。
だって、俺が勝っても得る物がないからさ」
ガタッとイスを鳴らし、立ちかける杏子。
零は、逸る子供を宥めるように片手で制して、続きを語る。
「だけど、俺にも得があるんなら考えてもいい。だから、あんこちゃん……ホラーと戦ってみる?」
「ホラーと……」
杏子が大人しくなり、怪訝な顔つきで零を見返す。無言で続きを催促していた。
「ああ。あんこちゃんがもしホラーを倒せたなら、俺より優れた証明にはなるね。
あんこちゃんがホラーを倒してくれたら俺も楽できる。
その上で満足いかなければ、その時は戦ってもいいよ」
「優れた証明? どうして直接やり合ってもないのに、そんなことがわかるのさ」
「あんこちゃんはホラーと戦った経験がない。
ホラーをまったく知りもしないのに勝つなんて、俺にはちょっと無理だな。
これでも昔は散々だったんだぜ」
と、かつての苦労を匂わせつつ、最後に零は軽く肩をすくめ、
「で、どう? 杏子ちゃんが自信がないなら、無理にとは言わないけど」
またしても杏子を焚き付ける。
対抗意識を煽る露骨な挑発。彼女を意のままに動かすには最も効果的と思われる手段。
だが、杏子の反応は予想と異なった。
633: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)02:54 ID:RipvUQ6So(3/13) AAS
「ふん、んな見え透いた挑発に引っ掛かるかっての」
言って、杏子はそっぽを向いて考え込み始めた。
零の思惑、予想される危険、自分の得るメリット、デメリット。
それらを考慮し、安易に惑わされることなく断を下す為に。
真剣に悩む余り、唇の横にクリームを付けたままの姿は、なかなか愛嬌があった。
零は軽く息をついて、彼女の決定を黙って待つ。
彼女も、そう何度も同じ手に引っ掛かるほど馬鹿ではなかったということだ。
むしろ、そうでなくては困る。
だが杏子は挑発には引っ掛からずとも、零の話術には誘導されていた。
杏子は少女とはいえ、魔法少女としては歴戦の兵。
相手にもよるが、その戦闘力はホラーにもひけは取らないだろう。
ソウルメタルの問題さえなければ、勝つ目は充分にある。
故に、修業時代の零がホラーに苦戦したことと同列に語れはしない。
零もまた、戸惑いこそしたものの、初戦で魔女を破っているのだから。
そんな企みを知ってか知らずか、杏子は口の端のクリームをぺろりとなめとり、挑戦的な笑みを浮かべた。
「ま、あんたが何を考えてるのか知らないけど……いいよ、やってやろうじゃん。
この街でかち合う可能性が高いってんなら、
ホラーがどんなものか、いっぺんやりあっとくのも悪くないかもね」
「そうこなくっちゃ」
零もニヤリと笑って指を弾く。
すると途端に、杏子は表情を硬化させた。
思い通りと言わんばかりの反応が気に入らなかったのだろう。
634: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)02:57 ID:RipvUQ6So(4/13) AAS
「けど、忘れんじゃねーぞ。あたしが納得しなきゃ、その時は本気で戦うんだな?」
「ああ、誓ってもいいよ」
「……ふんっ、ならいい。それで?
まさか、いつ出てくるかわからないホラーをあたしに待てってんじゃないだろ?」
つまり、何か当てはあるんだろう、ということだ。
当然、ある。それも、すぐ側に。
彼女の驚く顔を思い浮かべながら、零は告げた。
「ホラーなら既にいるさ。この店内にね」
「はぁっ……!?」
案の定、驚愕に目を見開く杏子。忙しなく周囲に視線を巡らせる。
期待を裏切らない反応。暫く眺めていたくもあったが、あまり騒がれては相手に警戒されてしまう。
零は軽く杏子の腕を引き、意識を引き戻した。
「まぁ落ちつきなよ、杏子ちゃん」
「……どいつがそうなんだ? 確か、ホラーは人に取り憑くって言ったな?」
「ほら、あそこに女の二人組がいるだろ?」
零の人差し指が立ち、ゆっくりと店内の一角を指す。
指の動きにつられて、杏子の目もそちらに向いた。
そこには杏子と同年代の、見滝原中学の制服を着た少女。
向かいには、どこかの会社員らしき制服姿の女性が座っていた。
635: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)03:00 ID:RipvUQ6So(5/13) AAS
中学生と大人の二人組。一見した限りでは、あまり接点のなさそうな組み合わせだ。姉妹にも見えない。
どちらも楽しそうに談笑していた。
耳を澄まして集中すると会話の内容まで聞き取れたが、どれも他愛のない雑談だ。
学校や友人の話、或いは恋の話。どれも杏子には願っても手に入らない過去のもの。
ふと、チクリと微かに胸の奥を刺すような疼くような痛みを覚えたが、杏子は無視して零に問う。
「で、どっちがホラーなんだ?」
「ああ、それは……あっち」
と言って零が指し示したのは――中学生の少女の方だった。
「あいつが……!?」
杏子は半立ちになって、まじまじと少女の方へと目を凝らす。
どこからどう見ても、ただの人間。
笑ったり唇を尖らせたり、ころころ表情を変える、どこにでもいる一般的な中学生。
とても化け物が取り憑いているようには見えない。
ましてや、そのすべてが偽り、演技であるなど信じ難い。まだ向かいの女の方があり得る。
零がしようとしていることは、そして決闘に応じる条件として杏子に提示したことは。
「そ、あんこちゃんには、彼女を殺してもらいたいんだよね」
あの見るからに無垢な少女を殺すこと。
零は軽々しく残酷な要求を言ってのけた。
636: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)03:04 ID:RipvUQ6So(6/13) AAS
「な……んだと……?」
僅かに一瞬、杏子に隠し切れない動揺が走った。
化け物相手なら、どんな怪物だろうと怯みはしない。残虐にもなれる。
魔法少女なら自分と同類、遠慮も容赦も必要ない。共に戦いに身を置く者。
どんな理由だろうと望んで選択した結果なのだから。
だが、ただの人間、それも同じ年頃の少女を殺すなど経験あるはずがない。
言うなれば彼女は、杏子が引く、ある一線の"向こう側"の人間。
"向こう側"の人間とは関わりたくなかったし、関わってはいけないという意識もあった。
ただ、必要ならば利用するだけの関係で。
そもそも杏子は取り憑いている、としか聞いていない。
当然、憑いているなら祓うこともできる、魔女の口付けと似たようなものとばかり思っていた。
あわよくば誰の犠牲も払わず倒せるものと。
そんな甘い話がいつもいつも転がっているほど、この世界は甘くない。
とっくに理解も覚悟もしていたはずなのに。
もしかしたら、自分たち魔法少女も化け物に――魔女に変わるかもしれないのに。
零の忠告も忘れ、杏子が身を乗り出しかけた時、
「座ってな、あんこちゃん。それと、あんまり見るのもまずい。
気付かれるからな」
頭頂部に感触。思いの外、強い力で身体が沈み、半ば強制的に着席させられる。
零の大きな手に頭のてっぺんを押さえつけられていた。
637: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)03:07 ID:RipvUQ6So(7/13) AAS
「ちっ……わかったよ……」
杏子は抵抗しなかった。振り払ってもおかしくないところを、されるがままにしている。
どうすべきか戸惑っていた。子供っぽい反抗心など、完全に鳴りを潜めるほど。
「なぁ、ほんとにあいつに間違いないの?
魔女の口付けを受けた人間でも、こんだけ近ければ何かしら感じるもんがある。
けど、あいつからは何にも感じやしないんだよね」
ホラーと魔女は違うのだろう。こんな問いは無意味かもしれない。
それでも、杏子の勘は彼女ではないと告げていたのだが。
「間違いない。魔戒騎士には見分けられるんだよ。特殊な判別方法でね」
「ふぅん……あっそ」
杏子は追及しなかった。本職の零に言われては、もう何も言えなかった。
彼女に間違いないと言われて、密かに落胆していることに気付く。
揺れている自分を認めたくなくて、零に知られたくなくて、杏子は意図的に話を逸らした。
「にしても、どうやってあいつと戦うのさ。お膳立てはあんたがするのかい?」
「どうもしなくていい。俺が連れの女を適当に引きつけとくから、
あんこちゃんは無理やりにでも連れ出して戦えばいい。
連中は人前では正体を見せない。けど、人のいないところに引きずり込んでやれば正体を現す。
あ、でも正体を現すまでは攻撃するんじゃないぜ?」
「何でさ?」
「そうじゃないと取り憑いたホラーは倒せないんだ」
638: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)03:08 ID:RipvUQ6So(8/13) AAS
「……そういうもんなのか?」
零の返答は、どこか疑わしい。疑わしいが、杏子には真偽を確かめる術がない。
半信半疑でも従うしかない。
きっと零は、この迷いも見抜いている。だから今も、わざとらしい笑みを浮かべているのだろう。
「そういうもん。それじゃ頼んだぜ」
言って、零は杏子の背中を叩いて立ち上がった。
遂に作戦決行、なのだろうか。自分はまだ、心の整理がついていないのに。
「おい、どこに……」
「さっきのあんこちゃんの動きで、勘付かれたみたいだからさ。
早めに動かないと、連れの女に手を出すかもしれない」
いよいよ時間がない。
心に起こった細波は徐々に激しくなる。
杏子の瞳は目に見えて揺れていた。
「ああ、大丈夫。会計なら済ませてあるから」
「じゃねーよ……! そうじゃなくって……」
言い淀んだ杏子は頭を掻きむしって煩悶とした。
――くそっ……何をやってんだ、あたしは! 頭ん中がグチャグチャで、考えがまとまらねー。
でも、違う。それだけじゃない。
あたしは迷ってる。あたしは……何を言おうとしてんだ?――
639: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)03:11 ID:RipvUQ6So(9/13) AAS
本当は、言いたいことは決まっている。
それを言っていいのかと、ほぼ無意識に躊躇いを感じているのだ。
誰かを犠牲にしたくない。間接的にではあるが、救いたいという気持ちの表れ。
だからこそ口にすることに抵抗があった。
これまでの生き方が枷になっていた。
過去から今に至るまで多くのものを切り捨ててきた。
そんな自分が今さら誰かを救いたいなどと、おこがましいのではないか。
そして、それは苦しんだ末に固めた決意を、信条を曲げること。
杏子にとっては自らを否定するも同然。
認めてしまえば、胸の奥に封印した何かを掘り起こすことを意味する。
――そもそも、どうしてあたしは、こんな面倒な思いしてまで、こいつに従ってんだ。
こいつが勝手に決めた条件に従う必要なんかない。
こっちから問答無用で仕掛けてやれば、こいつだって拒めないはず……。
こんなとこ、さっさと出てって仕切り直せばいい。でも――
「今になってやる気がなくなった? 嫌なら別に構わないけど」
――いや、ダメだ。たとえあたしがやんなくても、こいつがやるだけ。
それならいっそ、この場でこいつを……って、そんなことして何になるんだか――
いくらなんでも、それはない。
人を喰うホラーとやらに憑かれた少女を生かす為に、零に刃を向ける。
そんな、あまりにも馬鹿げた考えが頭を過ぎった。
見ず知らずの少女の為に、そこまでする義理がどこにある。
だいいち過干渉であることに違いはない。
杏子は、改めて自身の混乱を自覚する。
640: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)03:12 ID:RipvUQ6So(10/13) AAS
「じゃなくて……その……」
まごまごと口を動かすだけで、何を言いたいのかも、はっきりしない。
らしくない自分が嫌になる。
杏子は大きく息を吸い。
――なぁ……人間とホラーを切り離すことはできないのか?
しかし、口にはしなかった。
やはり、自分には資格がない。また、その必要も。
所詮、一時の気の迷い。あの日の決意を覆すには到底足りないと切って捨てる。
「で、どうかした?」
「……何でもねーよ。やればいいんだろ、やれば」
半ば自棄っぱちな心持ちで、杏子は立ち上がった。
当初の言葉を翻して、尻尾を巻いて逃げたと思われるのも気に入らない。
相手が化け物で、必要なら殺すだけだ。その結果、誰がどうなろうと関係ない。
そう、心の中で言い聞かせた。
零と杏子が二人の席の横に立っても、二人は見向きもしなかった。
彼女たちは零を知らないだろうが、零は彼女たちを知っている。
特に少女とは昨夜、言葉も交わしているのだが、彼女は覚えていないかもしれない。
641: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)03:14 ID:RipvUQ6So(11/13) AAS
夕木命と、美樹さやか。
二人は一見、仲睦まじく手を絡め合っているものの、
さやかが顔面を蒼白にして小刻みに震えているのを、零は見逃さなかった。
零はそっとさやかの顔が杏子に見えないよう立ち位置を変え、テーブルを叩いて注意を引き付ける。
同時に、二人の手首を握って、各々の手を離す。
片方は熱いくらいの汗で濡れていて、もう片方は氷のように冷たかった。
「お楽しみのところ悪いけど、ちょっと付き合ってもらえるかな」
言うと、零は背後の杏子に目配せして頷いた。
事前に打ち合わせもしなかったが、合図には充分。
行け、という指示だ。
「あの……」
「おっと、あんたに用があるのはあたしだよ」
さやかが何か言うより早く、杏子は手を取って強引に歩き出す。
乱暴で気遣いの欠片も感じられない扱い。まるで、何かを振り切るかのようだった。
「ちょっ――!」
としか零には聞こえなかった。
続くさやかの抗議は杏子に向けられていたが、すぐに抵抗も空しく引きずられていく。
後は命と、杏子に手を振って見送る零だけが残された。
命は少なからず呆気に取られていたようだが、すぐに零を睨みつける。
その目つきは、とてもただの女とは思えないほど鋭く、冷やかだった。
642: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)03:16 ID:RipvUQ6So(12/13) AAS
「あなたたち……どういうつもり?」
「悪いね、玩具を取り上げちゃって。けど、もう時間も遅い。
子供は子供同士ってことで、ここからは大人の時間だろ?」
にも関わらず、零は真っ向から受け止め、不敵に微笑んで見せた。
派手に騒いでくれたお陰で、衆人の目は一時的に杏子とさやかに吸い寄せられ、
零と命の周囲には数秒の空白が生じる。
零は懐からライターを取り出すと、ピンと蓋を親指で跳ね開け、命の眼前に差し出した。
次に手と身体でライターを覆い、死角を完全にする。
タバコの火を点けるみたく自然に、かつ洗練された一連の動作。
そして親指がドラムを回転させ――。
鮮やかな緑の炎が命の瞳を照らす。
「用件は……言わなくてもわかるよな。付き合ってもらうぜ」
魔導火に照らされた瞳に、魔獣ホラーに憑依された証である魔戒文字が浮かび上がった。
643: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/10/01(月)03:21 ID:RipvUQ6So(13/13) AAS
ここまで
次は来週日曜
休んだ時間の割に、あまり進んでいませんが
もっと書きたかったのですが、鋼牙とまどかの場面と同じで凄く悩んだ為に手間取りました
零と杏子、特に零は本編の描写だけでなく、自分のイメージも多分に含まれています
鋼牙ではできないことをやりたいと思ったので、今後も零らしくないと感じることもあるかと思いますが、
よろしくお願いします
644: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/10/01(月)06:09 ID:6AJnqikAO携(1) AAS
うぉぉ…待ってました乙乙乙!
相変わらず伝わり難い優しさで杏子を追っ払って、遂に、絶狼の双剣解禁なるか!?
645: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/10/01(月)06:32 ID:59Ojgx6AO携(1) AAS
1乙!
この女に憑依したホラーはやっぱりあいつなのか…そして魔戒騎士はなんでめんどくさい奴ばかりなんだw
そういえば細かい事だけど、零が使う魔導火は青じゃなかったっけ?確かライターの魔導火の色も烈火炎装と同じだったような。
646: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/10/01(月)11:03 ID:VkCPkclj0(1) AAS
乙であります!
やはりこのコンビはすごくイイですな。
ケーキを食べて思わず顔がほころんでしまう杏子ちゃんにやられちゃいましたww
杏子ちゃん、「それ」は誰しもが一度は思いつくことだけれど、その方法が一番知りたかったのは零なんだぜ・・。
ちなみに
烈火炎装の色は
牙狼・・・緑
絶狼・・・蒼
打無・・・紫
呀・・・・赤紫
ヤイバ・・赤(うろ覚え)
破狼・狼弩・・・不明
邪美が魔導火で傷を治療するシーンでは牙狼と同じ緑。なので魔導火の基本色は緑。
三騎一閃のモデルとなった白夜でのレギュレイスに立ち向かったシーンでは
牙狼→絶狼→打無と炎をリレーしていくシーンがあるが、そこでは炎の色が変わっていっているので
烈火炎装をすると炎の色が変わっていくものと思われる。
647: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/02(火)05:37 ID:08IPN0hDO携(1) AAS
乙!
そーいや烈火炎装ってレギュラー陣はさも当然みたいに使ってるけど、あれって相当な修練をつんだ騎士じゃないと出来ない技なんだよな。
648(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/10/02(火)08:53 ID:G9UPxISAO携(1) AAS
1期で鋼牙が零に「烈火炎装を使えるか?」と尋ねていたから、最高位の騎士が使えなくてもおかしくない技なんだろうな。
この女がホラーでもう確定なのに敢えて魔導火灯す零さん超イケメン!マジ尊敬するっす零さん!
…ショウさん?なんか涙目でションボリ帰って行きましたよ。wwほっといていんじゃないっすか?wwww
649: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/02(火)17:30 ID:NAO+LadIO携(1) AAS
というかレギュラーがやってることって並の騎士と比べると超難易度の高い技ばっかりなんだろ?
650: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/10/02(火)18:23 ID:uwWpPKCpo(1) AAS
>>648
実はショウさんが見滝原担当の魔戒騎士だったりしてな
651(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/10/02(火)19:14 ID:irMcGn6G0(1) AAS
いいえ、アングレイあたりの格好の依代です。
そういえばあのさやかちゃん心滅のシーンも一期の【水槽】の「ザルバ・・・あんな人間でも守るに値すると思うか?」にリンクするな。
というかあの陰我まみれのホスト二人は虚淵氏が実際に電車で聞いた会話から生まれたそうな・・・・。
652: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/10/03(水)01:20 ID:m/umcr1AO携(1) AAS
>>651
ホストのシーンは優秀な声優に聞く者の胸をかきむしるような演技をさせているが、虚淵氏が聞いた現実の会話は頭悪さ丸出しなトークだったそうな。
しかしこのホスト、まさか自分がアニメ化されているとは夢にも知らずにこの世のどこかにいると思うとwwww
653: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/10/03(水)04:44 ID:/jNh4I750(1/2) AAS
・・・いやまてよ、あのホストはむしろホラーに憑かれたキャバ嬢あたりに喰われる役割だなww
牙狼的にはそれが王道だww牙狼における若い悪い男の仕事はホラーに喰われることだww
イシュターブか
ウトックか
エルズか
ルーザギンか
どちらにせよ生かしてはおけん。
654(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/10/03(水)13:16 ID:cXdS4Szvo(1) AAS
まぁ、さやかの手を汚させる前にホラーに食われた方が平和かもね
きらら☆マギカの読みきりでショウさんがクズ格好よかったので、あんまり憎めないんだがw
655: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/03(水)14:13 ID:JZ3DNmZBo(1) AAS
ホストやキャバに本気になる方も悪いからな・・・
一概にショウさんだけがクズとはいえない
656: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/10/03(水)14:35 ID:/jNh4I750(2/2) AAS
ふと気がついて振り返ってみた
△牙狼におけるチャラ男の末路△
【陰我】・・・イシュターブに憑依された女詐欺師に鎖にされて喰われる
【美貌】・・・まだ憑依もされていない年増のホステスに石で撲殺される
【人形】・・・アスモディに術をかけられバトルロワイヤル
【魔弾】・・・氷見川(父)に魔弾ブチ込まれホラー化
【白夜】・・・エルズに憑依された女をナンパし、ホラーに化けたとたん情けない悲鳴と共にスタコラ(奇跡の生還)
・・・レギュ様の眠っている岩の上に血まみれの死体置いたせいでレギュ様復活。僕にされて最後は翼にやられた
【火花】・・・シガレインに憑依された男に爆殺
【街灯】・・・冷凍保存されコレクションに。気に入らないのは餌に
【妖刀】・・・携帯真っ二つ
【化粧】・・・大根演技をボロクソに言われた挙句餌に
【果実】・・・事故った上にお母さんに喰われた
【赤筆】・・・車に落書きしてるとこを鋼牙にみつかり、締め上げられる(もちろんホラーじゃなかったので逃がしてもらえた)
うん、ロクな目にあってないなww
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