【ブルアカ】頑張れヒナちゃん (56レス)
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47: [sage saga] 2024/07/27(土) 22:02:57.32 ID:F26KAdyh0(47/54) AAS
そのうち、先生が噴き出した。
「…?」
「ヒナ…くすぐったいよ」
「…」
気づかれているとは夢にも思ってなかったので、慌てて先生から手を離す。声がみっともなく震えていた。
「ご、ごめん…ごめん!ごめん、あの…!」
「てっきり、撫でてくれるのかと」
「…えっ、せっ、先生?」
「人に触れているとリラックスするんだよね。オキトキシンだっけ?」
「いや、あのっ」
「人肌が恋しいなぁ」
「…〜っ、ぅ」
「一生のお願いだよ、ヒナ」
「…いやっ、まぁ、私なんかでも、先生の役に、立てるのなら、嬉しいけれど」
「やった。ありがとう」
「〜〜っ……」
耳まで赤くなっていた。
そうして、何度目かの躊躇の後、待ち構えている先生の頭を、大事そうに撫でた。
「あっ…きく〜…」
「…」
しばらくそうやっていた。
48: [sage saga] 2024/07/27(土) 22:04:23.27 ID:F26KAdyh0(48/54) AAS
ヒナは先生のことを撫でられて嬉しそうな表情をしていたが、それでも先生がぐったりしている姿を見ているうちに、またさみしげな表情になった。
先生の髪を、丁寧に撫でつける。ボサボサしていた。跳ねてるところを整える。
「…先生は…もっと自分を大切にして。いつも、無茶ばかりして」
「そうかもね」
「…私なら、十分気にかけてもらってるから」
「足りないくらいじゃない?」
「生徒一人にきりがないでしょう…何人いると思ってるの?」
「それでも、私は先生だからね」
「…先生が思うほど、私は子供じゃないのよ?」
「…そう?」
「そうなの。だから、あまり心配しないでいい」
「そうかな?」
「先生。私はね」
ヒナが優しい声で喋る。
「あなたと、穏やかに話している時間が、すごく好き」
そう話すヒナの表情は少しだけ緩んでいた。
「先生が楽しそうに話しているのとか、聞くのが楽しくて。わたしのつまらなくて、なんでもないことを、先生は楽しそうに聞いてくれる」
「…」
「…でも、それで先生に無理させるなら、そんなのはいらない」
「…ヒナ」
「たまに我儘を聞いてくれれば、それだけで私は嬉しいの」
「…たまに?」
「うん。先生が元気でいてくれない方が、困ってしまうから」
ヒナは優しく微笑んで、先生の頭を撫で続けた。
「いつもありがとうね、先生」
49: [sage saga] 2024/07/27(土) 22:05:45.41 ID:F26KAdyh0(49/54) AAS
しばらくの沈黙。
先生が無言でいきなりゾンビのように起き上がったので、ヒナはびっくりして思わず手を引っ込めてしまった。
「せ、先生…?」
ホットタオルがはずみで落ちた。先生はそれを拾って、時間をかけて丁寧に畳んだ。
その間タオルをじっと見つめていた。
「…今の私はただの情けない先生で、偉そうなことは言えないけどさ」
「…?」
「私が、ヒナの力になりたいんだよ。言ってしまえば私の我儘だ」
「…」
「ていうか、ヒナの子供みたいな我儘を聞くのが一番気持ちいいんだから」
「は?」
「だから…ううん…そうだなあ」
先生は考え込むようにまたしばらく黙った。
頭をかいてから、小指をそっと、ヒナに突き出した。
50: [sage saga] 2024/07/27(土) 22:07:27.24 ID:F26KAdyh0(50/54) AAS
「…?」
「約束をしようか」
先生が言う。
「…どんな?」
ヒナが聞き返した。
「私達が、ずっと一緒にいられるようにって」
「………………」
「無茶をしがちな私達が、無理をしないように。自分のことを何よりも大切にするって、約束をしようか」
「…あ、ああ?」
「最優先で守ってね。ヒナと私との特別な約束だよ」
「…それは、先生も、ってこと?」
「うん、自分を大切にするよ。そうじゃないと約束にならないから」
「…それなら、まあ…でも」
「ヒナ、もう隈を作ったらダメだよ?」
「…う、うん、でも、先生」
「どうしたの?」
「…」
「ほら、指切りをしようか」
「…」
51: [sage saga] 2024/07/27(土) 22:08:42.92 ID:F26KAdyh0(51/54) AAS
突き出される小指に、おずおず触れると、固結びのようにきゅっとつなげられた。
ぷらぷらと上下に揺らされる。
「ゆーびきーりげんまん。嘘ついたら、針千本のーます」
「…」
「ゆーびきーった!よしっ!」
「…」
「心配しないで」
小指を絡ませながら、先生はまっすぐに笑いかけてきた。
「ヒナとの約束なら、絶対に守るよ」
「…」
先生は小指を外し、ヒナの頭をぽんぽんと叩いた。
52: [sage saga] 2024/07/27(土) 22:10:11.35 ID:F26KAdyh0(52/54) AAS
そして空中に腕を伸ばして、大あくびをした。
「さあて、私はこのまま寝させてもらおうかな。実はもう限界を超えてて…リンちゃんには後で謝り倒せばいいや、スマホの電源切っちゃお…ふっふっふ」
「…先生、大丈夫?」
「大丈夫だよ…あ、ヒナは自由にしてていいからね。でも、ほどほどに」
「うん…」
「おやすみ、ヒナ」
「…おやすみなさい」
先生は倒れ込むようにソファに寝そべると、すぐに眠り込んだ。無防備な寝顔だった。
規則的な寝息の音だけが部屋の中で聞こえてくる。
やがてヒナは、毛布を持ってきて、安らかに眠る先生にそっと被せた。
物音厳禁の張り紙を作って、目立つように扉の前に貼った。
机に戻って、書類仕事の続きに取り掛かろうとして、ヒナは、黙り込んだ。
「…」
そのうち立ち上がって、歩いて、ソファの傍らで立ち止まった。
部屋の中に柔らかい風が流れ込んで、カーテンがゆっくりはためいていた。
「…うん。これからも、ずっと一緒にいてね」
先生の頭を撫でる。
ずっと、そうしていた。
53: [sage saga] 2024/07/27(土) 22:13:52.57 ID:F26KAdyh0(53/54) AAS
終わりです
ヒナは例え先生が目の前で他の女のパンツの匂い嗅いでても何だかんだ嫌いにならないくらいに大好き
54: [sage saga] 2024/07/27(土) 22:14:37.62 ID:F26KAdyh0(54/54) AAS
374774
55: [sage] 2024/07/28(日) 15:34:06.13 ID:bMAaIaJNo(1) AAS
おつおつ
56: [] 2024/08/04(日) 21:05:35.48 ID:k7o+gVsgO携(1) AAS
おつ
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