[過去ログ] GACKT「アイドルマスター」 (294レス)
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44: [] 2015/08/16(日) 19:51:17.11 ID:F2cj1fnMO携(1/21) AAS
「…」

「…GACKTさん、これ何?」

…。

「…何だろうね」

その部屋は暗く、用務員もほとんど手をつけていないからか、カビ臭い。

それもそうだろう。

今まで物置部屋としか使われてなかったものだからだ。

電気は二つ。

白熱灯がぼんやりと寂しげな雰囲気を醸し出している。

地上の音は聴こえない。

…聞こえるのは、僕達の声だけ。

「…」

別に犯罪を犯して捕まったわけじゃない。

何かに誘拐されたわけでもない。

ただ、自分の信念を貫いただけの事。

後悔はしていない。

「…どうして、こうなったにゃ…?」

…今、僕達は346プロの地下に集まっている。

何故だろう。

それは、単純な話。

シンデレラガールズプロジェクトが解体されたからだ。
45: [] 2015/08/16(日) 19:52:42.51 ID:F2cj1fnMO携(2/21) AAS
>>41>>42
ミスって連投してしまいました
46: [] 2015/08/16(日) 19:53:31.40 ID:F2cj1fnMO携(3/21) AAS
「346プロダクション全プロジェクトを今月をもって白紙に戻す」

一切の躊躇なく、美城常務は言い切ってみせた。

走り回ったプロデューサー達や、ひたすらレッスンに励んだアイドル達のことなどまるで興味ないと言わんばかりだ。

思わず立ち上がる僕に対して何も言わず、ただ僕を見つめる彼女。

「…」

「…」

…そうか。

今、僕は彼女の下、いや、ただのプロデューサーの一人だった。

立ち上がって声を荒げた所で、何が変わる?

ただ従業員が文句を言っているという事にしかならない。

…こんな事が、あっていいものか。

まだスタート地点に立っただけのあいつらに、申し訳が立たない。

…僕は、力なく座り込むことしか出来なかった。
47: [] 2015/08/16(日) 19:54:13.60 ID:F2cj1fnMO携(4/21) AAS
そしてその悪夢の会議の翌日から、それは執行された。

引っ越し業者がシンデレラガールズプロジェクトの事務所をただのがらんどうの部屋にしてしまっていたのだ。

しかしそれは僕達だけじゃなく、他のプロジェクトも同様のようだ。

…無論彼らからすれば、ただ与えられた仕事をしていただけ。

こちらの事情など知る由もない。

分かってはいたが、アイドルの子達はどうだ。

昨日の夜に、一言で知らされただけでは納得いくはずがない。

引っ越し業者に食ってかかっていたが、適当にあしらわれているだけだった。

「…」

様々な物が荷物としてまとめられていく。

アイドル達が持ち寄った物も、誰の物かも聞かずに詰め込んでいく。

世界が壊れていくような感覚に陥りながら、僕はこれからどうなるのかをとにかく考えていた。
48: [] 2015/08/16(日) 19:56:10.65 ID:F2cj1fnMO携(5/21) AAS
「…ねえ、ちょっと、やばいんじゃないの?私達だけじゃないんでしょ?」

「美嘉姉達の所もこうなってるって聞いたよ…?」

「…」

「…何とか言ってよ!!」

思わず未央が壁を殴る。

慣れていないからか、拳に血が滲んでいる。

未央自身も分かっているはずだ。

僕にはどうしようもないことだと。

「…」

「…ガクちんなら、どうにかしてくれるんじゃないかって、思ってたのに…」

「…無理だね。今回ばかりは」

昨日の美城常務の僕に対する勧誘。

あれは冗談などではない。

本気だったんだ。

シンデレラガールズプロジェクトをこうするつもりで、僕に船を出させようとしていたんだ。

…こうも無茶苦茶をやられるなんてな。

「…」

たまらず泣き出してしまう未央を卯月が慰める。

こんなことしか出来ないけれど、今出来る事はやっておきたい。

そう、考えたんだろうな。

…優しい奴だよな。
尚更、あんな女にはなってはいけない。

「…これからどうするにゃ?」

それを尻目に見ていたみくが、いくばくか冷静に質問してきた。

誰かが取り乱すと、周りは返って冷静になる。
そういう人間の心理だろうけど。

「…」

これからどうするか、か。

正直、プロダクションを辞めて他に移るという方法もある。

あの女の下で今までのように出来るような保証もない。

「…」

思わず頭を抱えてしまう。
僕らしくないな、こんなの。

「ガクちゃん…」

…本当に、参ったなあ。

これじゃ、窓際。

分かり易いまでの、左遷じゃないか。
49: [] 2015/08/16(日) 19:56:59.09 ID:F2cj1fnMO携(6/21) AAS
結局この日は只々うなだれるのみで、何かをした訳でもなく事務所を出た。

仕事が無いわけではないけれど、今日はそんな気分ではない。

「…」

このままいけば、確実に彼女達のアイドル生命は終わる。

だけど、案が浮かばない。

…嫌な話だ。

まるで今まではぬるま湯に浸かっていたかのような。

「…」

ハンドルを握る手に自然と力が入る。

しょうがない、諦めよう。

…そんな事は、微塵にも思わない。

あの女をワッと言わせるような事をしてやりたい。

…だけど、思い浮かばない。

誰か、相談出来る奴でもいればいいんだけど。

ここにはYOUも、TAKUMIもいない。

…自分で何とかするしかないんだよな。
50: [] 2015/08/16(日) 19:57:47.10 ID:F2cj1fnMO携(7/21) AAS
「…?」

家に近づくにつれ、玄関先に誰かが立っているのが見える。

ピンクの可愛らしい服に、深めの帽子の眼鏡の女の子。

僕の家に何の用だろう。

あんな子は見たことも、話したこともない。

しかしその子は僕の家の表札を何度も目を凝らして見つめている。

…見るからに怪しい。

怪しいが、ここは僕の家だ。

車だってこの家の駐車場に停めている。

だから、彼女に近づく必要がある。

「…あ…」

その子は車をゆっくりと駐車スペースに入れる僕を見ると、少しばかり表情を変えた。

「…」

一応目を合わせないようにしているけど、どうしても目に入る。

…仕方ない。

もしかしたらこの世界の僕と知り合いかもしれないからな。
51: [] 2015/08/16(日) 19:58:44.18 ID:F2cj1fnMO携(8/21) AAS
「どうしたの?」

「…!」

話しかけてみると、口に手をやり目を見開いた。

泣きそう、というよりは大きな感情を隠そうと必死になっている感じだ。

「…あ、あの!」

すると、彼女は帽子と眼鏡を取り再び僕を見つめた。

小さなリボンを髪の両端につけた、可愛らしい少女だ。

「…?」

…だけど、やっぱり覚えがない。

特にリアクションはないと感じ取ったのか、その子は先程の僕達のようにうなだれ、帽子と眼鏡を再び身につけた。

「僕に何か用があったの?」

「い、いえ!ひ、人間違いでした!すいません!」

忘れて下さい、と一言付け加えて彼女は走り去っていった。

微妙な笑顔で。

…誰だったんだろ。

…いや、何処かで見たような顔だ。

「…んー…」

…知らないなぁ。

本人も人違いって言ってたし、気にすることはないと思うけど。

だけど、何か、違和感がある。

少なくともさっきの彼女の行動は、何か確信めいたものがあっての行動だと思う。

そう考えていた、その時だった。

『だって私達、もう出会ってたんですよ!』

「…!」

…あれ?

何だろ、これ…。

一瞬、何かが頭をよぎった。

今の声は…さっきの…。

「…」

思い出そうにも、思い出せない。

なんだったんだろうか。

「…あ」

…今は、それどころじゃないよな。
52: [] 2015/08/16(日) 19:59:43.74 ID:F2cj1fnMO携(9/21) AAS
「すまないね、GACKT君…」

翌日、休憩所で部長と顔を合わせた。

あんな事があった後だ。
部長自身も良い気分な筈がない。

「…もしかして、知ってたの?」

「いや、私も初耳だったよ」

「…そっか」

「まあ、彼女は誰かに止められた所でやめるような人間ではないがね…」

…彼にも、どうする事も出来ない、か。

「…シンデレラガールズは、これからどうなるの?」

「…ふむ」

僕の質問に、彼は顎に手をやって空を見つめる。

立場以上、無責任な発言も出来ないからか、随分真剣に悩んでいるようだ。

…それだけ、難しい問題ということか。
53: [] 2015/08/16(日) 20:00:24.54 ID:F2cj1fnMO携(10/21) AAS
「…酷な言い方をしてしまうが、君次第、と言っておこうかな」

「…僕次第?」

「うむ」

…僕次第。

つまり、それは…。

「…」

「君が、諦めるか否か」

…。

「ほんっと、いやらしいよね…」

「はは…しかし、君にぴったりじゃないか?」

「…」

…全く。

ずるいというか、なんというか。

…諦めるだって?

それ、さ。

僕が一番嫌いだって、知ってるだろ?
54: [] 2015/08/16(日) 20:01:45.32 ID:F2cj1fnMO携(11/21) AAS
次の日。

僕は早速彼女達が行うものの企画書を作り始めた。

…正直、全然浮かばないけど。

「…」

とりあえず、天井を仰ぐ。

点検もろくに行き届いてないからか、汚い。

これが今の僕達の現状。

「…」

時計を見ると、既に常人なら寝ている時間だ。

きっとアイドルの子達も夢を見ているに違いない。

…夢、か。

…叶えてやりたいよな。

「…さてと」

姿勢を正し、再びパソコンに向かう。

今の僕に出来ることは、とにかく、企画書を作ることだ。

どうせ会社の片隅に追いやられた身だ。

これ以上は追いやられようがないんだ。

後は上がっていくだけ。

そう考えれば、ウキウキさえしてくるさ。
55: [] 2015/08/16(日) 20:02:49.26 ID:F2cj1fnMO携(12/21) AAS
「…さん」

『…さん』

「…」

…この子、誰だろ。

「…とさん」

『…とさん』

「…」

…黒いもやがかかって、ほとんど見えないや。

『…GACKTさんは、クッキーとケーキ、どっちが好みですか?エヘヘ…』

…この声…何処かで…。

「…シュークリーム…」

「GACKTさん!」

「!」

…。

あれ?
56: [] 2015/08/16(日) 20:04:00.85 ID:F2cj1fnMO携(13/21) AAS
「GACKTさん、また事務所で寝泊まりしちゃって…」

「…卯月」

「おはようございます!今日もアイドル活動、頑張ります!」

「…うん」

夢、見てたみたい。

…でも、さっきの声は…。

…どう考えても、卯月じゃなかった、よな。

「…!これって…」

「?ああ…これ、企画だよ。新しいやつ」

「わぁ…何だか…とにかく、すっっっごい感じ、なんですね!楽しそうです!」

「…」

果たしてこれが、美城常務の目に留まってくれるかどうか。

「…とりあえず印刷しようかな。手伝って」

「はい!頑張ります!」

…この子といると、すさんだ気分もスッキリするなぁ。
57: [] 2015/08/16(日) 20:06:09.79 ID:F2cj1fnMO携(14/21) AAS
「…ふむ」

その後、出来上がった物をまず部長に見せにいくことにした。

参考にならないことはないだろうし、美城常務と長い付き合いらしい彼なら、彼女目線でも物事を語れるかもしれないと思ったからだ。

そして今、企画書をじっくりと時間をかけて目を通し、閉じた。

「…どう?」

「…ふむ…私は、良いと思う。いや、良いと言うよりは、見てみたいね」

「…じゃあ、部長じゃなかったら?」

「…どうだろうね。彼女は…一度決めたことはそう簡単には止めてくれない」

…つまり、ダメっぽい?

でもそう言うって事は、何出してもダメって事でもあるんだよな。

…裏を返せば、何でも見せられるってわけだ。

「…GACKT君、よろしく頼むよ」

…。

さて、どうだろうね。

一応、詰め込めるアイデアは詰め込んだつもりだけど。

部長の反応を見ていたら…。

…これを見せるのは、時期尚早かもしれないかな。

「…」

『IDOL BEST OF THE BEST』
58: [] 2015/08/16(日) 20:06:58.18 ID:F2cj1fnMO携(15/21) AAS
その翌日。

朝から美城常務の部屋に来るようにと連絡があった。

…今度こそクビか?

いや、彼女はそこまでバカじゃない。

「…」

しかし、何となくだけど、彼女には何か親近感を感じていた。

彼女の方針は、アイドルはあくまでアイドルであり、歌や演技で勝負するべきだと。

…正直、僕と似ている。

だけどそれは、この世界に来る前の僕の話だ。

今では、バラエティだろうがCMだろうが、出してやりたいとさえ思っている。

「…あ」

分かった。

だから好きになれないんだ。

まるで自分を見ているかのようで。

…よくわかった。

僕と彼女は、気が合わない。

「…」

なら、こいつはどうだろう。

「こうして二人で歩いていると、昔を思い出しますね」
59: [] 2015/08/16(日) 20:07:47.69 ID:F2cj1fnMO携(16/21) AAS
…。

高垣楓。

僕と同じく、美城常務に呼ばれた者だ。

意外と高い身長と、モデルのような体型。
清楚という言葉を辞書で引いたらきっとそこには彼女が載っているんだろうと思わせるような立ち振る舞い。

これほどまでに完成されたアイドルがいるだろうか。

そんな印象が僕にとっての高垣楓だ。

…時々わけのわからない下手くそな駄洒落を言い出したりはするけど。

それでも、彼女の実力は評価しているつもりだ。

「…覚えてますか?初めて私と組んだ時も、こうやって呼ばれたんですよ」

「…そう、だったね」

…何度も言うけど、知らない。

「…GACKTさんは、美城常務の事、どう思いますか?」

「…どうとも思わないよ」

「嘘。嫌そうな顔してますよ?」

「…」

そこまで子供じゃないよ。

けど、きっととんでもないことで呼ばれるんだ。

そこだけは、間違いない。
60: [] 2015/08/16(日) 20:10:44.03 ID:F2cj1fnMO携(17/21) AAS
「失礼します」

常務専用の部屋の扉をノックし、開けた。

…楓が。

「ふむ。よく来たな」

「呼んだの君じゃないの?」

「…まあ、呼び出してすまないと言っておこう」

常務は机から離れる事なく、その場に立ち、いくつかの書類をこちら側に向けた。

「まずはこれを見てほしい」

「…」

その書類を手に取り、流し読みしていく。

それだけでも十分すぎる程の大きな仕事だ。

毎年一度か二度しかない番組の司会。

「…これ、何?」

「見ての通りだ。君達にはこれを任せたい」

「…」

…でも、この仕事の日って。

「…あの、すいません」

「何だ?」

「この日、私…」

「分かっている。仕事があるのだろう?」

…分かっているのにどうしてだろう。

…。

「っていうか、何で僕まで?」

この仕事、出演者の名前に僕が載っている。

僕はプロデューサーであり、アイドルではない。

…というか、こんなおっさんがアイドルやってたまるか。

「前に話したものだ。君には歌手や司会としての力がある。…というよりは、かなり場慣れしている」

「…で、楓のやつは?」

「君達は選ばれたんだ。そんな粗末な小屋の小さな仕事をするべきではない」

「…」

粗末な小屋の、小さな仕事。

…ふーん。

「…やっぱり、何も分かってないよね」

「…何?」

「シンデレラってさ、元々小さな仕事しかしてこなかったんだよね」

「…?」
61: [] 2015/08/16(日) 20:21:11.89 ID:F2cj1fnMO携(18/21) AAS
シンデレラ。

姉にいじめられながら、自分の住まいは粗末な小屋で。

雑用などの仕事しかしてこなかった。

だけど彼女は、魔法使いに魔法をかけられ、やがて大きな存在となった。

「魔法をかけるのは、君じゃないよ」

「…」

「アイドルに魔法をかけることが出来るのって、僕達なんだよね」

「…この仕事は、断ると?」

「聞くまでもないよね」

「…ふむ」

「君は君、僕は僕、だからさ」

彼女は分かっていない。
仕事に大きいも小さいも無いんだ。

それに、その小さな仕事だって楓のプロデューサーが足で手に入れた仕事だ。

十分に誇り高いものだと僕は思う。

そして、隣にいた楓の方を向く。

そこには。

「…私も、同じです」

そう答えた彼女の顔は、いつにも増して朗らかな笑顔だった。
62: [] 2015/08/16(日) 20:30:08.91 ID:F2cj1fnMO携(19/21) AAS
…そして今。

僕はニュージェネレーションズを携えて楓の仕事に臨んでいる。

あの日の出来事は瞬く間に346プロ全体に知れ渡った。

それをよくやったと言う者もいれば、上司に対して無謀だと言う者もいる。

しかし、批判する者は誰一人いなかった。

…それだけあの常務が信頼されてないってことかな。

「…楓さ、僕に合わせたって事はないよね?」

「…いいえ、本心でしたよ?」

…そっか。

この子もまた、僕と同じ考えなんだな。

「誰かさんに、そういう風に鍛えられましたから」

「…」

…その誰かさんは、僕であって。

そして、僕じゃない。

それを言っても、きっと白い目で見られるだけだろうから、言わないでおこう。

それに今大事なのは、目の前の仕事、だからな。

「…ねえGACKTさん」

「ん?」

「ここ、覚えてますか?」

「また?」

「ここで私は、デビューして、…GACKTさんに頭を撫でられて。そしてまた、ここに帰ってきました」

「…そっか」

僕と楓は、結構上手くやってたんだな。

…デビュー会場、か。

だったら尚更、やめられないよな。

「…これ、あの時と同じ衣装なのに…」

「何か言った?」

「いえ、何も」

…?

「…まあ、とりあえずさ、恩返ししてきなよ」

「はーい」

気の抜けた返事とは裏腹に楓はしっかりとした足取りで会場に向かい、観客を最初から最後まで湧かせてみせた。

…彼女は、いや、彼女こそ。

…本物のシンデレラなのかもしれないな。
63: [] 2015/08/16(日) 20:31:20.59 ID:F2cj1fnMO携(20/21) AAS
「がくちん!楓さんのLIVE凄かったね!」

「そうだね」

確かに凄かった。

でもそれはパフォーマンスだけじゃない。

始まる前から彼女は人数分の団扇にサインを丁寧に書き上げ、混雑する観客に対しても落ち着いた態度でたしなめていた。

「お前らも参考にしときなよ」

「あったり前だよー!この未央ちゃんだっていつかあれくらい、いや、あれ以上に…」

「…いつか、じゃダメだよ。すぐにじゃないとさ」

「えへへ…そうでした」

あれは恐らく、僕から教わったものではないだろう。

彼女自身が元来持ち合わせた才能だ。

…そう考えたら、こいつらには無理っぽいな。

「参考にとは言ったけど…見本にする必要はないし、真似もしなくていいよ」

「…?」

「楓は、楓にしかなれないし、お前達はお前達にしかなれない。それは皆同じだ」

ニュージェネレーションズに限らず、僕はシンデレラガールズプロジェクトの子に関しては良い所も悪い所も分かっているつもりだ。

悪い所は、直せるものは直せばいいし、直らないなら、良い所を上げて気にならないくらいにしてやればいい。

…つまりは、個性、か。

ならウチは負けないよ。

変なのならいくらでもいるんだから。

変なのなら、な。

…。

……。

「…はぁ」

第二話 終
64: [] 2015/08/16(日) 20:32:36.13 ID:F2cj1fnMO携(21/21) AAS
また書きます
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