[過去ログ] GACKT「アイドルマスター」 (294レス)
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204: [sage] 2015/09/21(月) 08:14:25.95 ID:6/cSIQAEO携(1/40) AAS
「Project Krone?」

「うむ…」

何だろこれ。

常務の作った方針だって言ってたけど。

「…」

…。

……。

「…へー…」

デビューの中に、少し疑問。

「凛…アーニャ…」

…これ、ウチのだけど?

「…それも踏まえて、美城常務から話があるそうだ」

「ん」

「渋谷君と、アナスタシア君も連れて……なんだが、あまり驚いていないようだね」

「…?何で?」

「何でって…」

「僕は構わないよ」

「え!?」

だって、さ。

アリ、だろ?
205: [sage] 2015/09/21(月) 08:15:26.09 ID:6/cSIQAEO携(2/40) AAS
「え…それって…」

「私達が、美城常務の…プロジェクトに…?」

「うん」

廊下で二人を引き連れながら話を聞く。

あまりにも突然だったからか、怒るとかそういう感じですらない。

「うんって…そんな簡単に言わないでよ!ニュージェネはどうなるの!?」

「私も…美波が…」

「それもやる。これも…やろうよ」

「ええ…?」

申し訳ないけれど、今回に関しては僕も常務に同意する。

可能性。

彼女は凛とアーニャの可能性を見たんだ。

奈緒や加蓮と組み合わさった時や、アーニャの独特な雰囲気。

恐らく本人達は気づいていないだろう可能性。

…やはり、あの女は僕に似ている。

「今は混乱してるだけだよ。絶対悪い話じゃない」

「「…」」

「チャレンジだよ。新たなステージへのさ」

そうだ。

確かに僕らはあいつにケンカを売った。

けれど、決して僕らを敵視しているわけじゃあない。

チャンスをくれるというなら、貰っておくまでだよ。
206: [sage] 2015/09/21(月) 08:17:13.75 ID:6/cSIQAEO携(3/40) AAS
「入るよ」

「うむ」

凛とアーニャを引き連れて常務の部屋へと入る。

彼女は特にいつもと変わらない様子で待ち構えていた。

僕のどんな質問にも答える準備は出来ている。

そういった顔だ。

「…話、聞いたよ」

「そうか。では詳しい事を…」

「その前にさ」

「?」

「一回僕に話通しなよ。気に入らないよ」

「ふむ…そうだな…。確かに、私に落ち度がある」

「…いいけどさ」

「…そして、話だが」

「やるよ。面白いじゃない」

「!」
207: [sage] 2015/09/21(月) 08:18:19.48 ID:6/cSIQAEO携(4/40) AAS
…。

驚いた。

彼女も、目を見開くなんてことがあるんだな。

僕が反対するとでも思っていたんだろう。

「僕は良いと思ったものはやらせるつもりだよ。そこが君のところであれ、やらせる」

「…そうか」

凛に、奈緒に、加蓮。

僕も彼女達には何かを感じた。

ただ組み合わせただけでは出せることは出来ない何かを、だ。

アーニャにしても、それは同じだ。

ロシアと日本のハーフ。

彼女は他の奴らには出せないものを持っている。

ソロというのは、悪くない。

「…詳しい事は?」

「ふむ。そこで、だ。このトライアドプリムス、アナスタシアに楽曲を提供してほしい」

「二つ?」

「そうだ」

…。

「…高いよ?」

「構わない。それとProject Kroneのボーカルレッスンも依頼したい」

「…IBOTBは?」

「そちらに関しては今までと変わらない。次のLIVEの結果次第だ」

「…」

相変わらず現実的だ。

…成る程、ね。

それ程、この子らに入れ込んじゃってるわけか。

…その気持ち、分かるよ。

「だけどさ、この子達は僕のだから」

「え!?ちょっ…GACKTさん!」

「オー…」

僕達は根っこはシンデレラガールズプロジェクトだ。

それだけは、忘れるなよ。
208: [sage] 2015/09/21(月) 08:19:14.29 ID:6/cSIQAEO携(5/40) AAS
「…GACKTさん。困るよ。いきなり言われても…」

「嫌そうな顔してなかったけど?」

「…」

プロジェクトが違うから、仲良い奴がいるから。

…ダメダメ。

それはただの言い訳だ。

本当仲良い奴なら、どこまで離れていても変わらないもんだ。

「…」

「二人とも、迷ってる?」

「…うん。だって…未央や卯月が聞いたら何て言うか…」

「私も、ちょっと、困って、います」

…うーん。

良い案だと思ったんだけどなあ。

「まあ、キメるのはお前達だよ。そこは任せる」

…僕に決める権利は無い、か。

「…じゃ、先に行ってて。僕はちょっと用があるから」

「え…うん」

「はい」

それに、問題はまだある。

凛の相手だ。

恐らく、二人は凛の参加がデビューの条件だとでも言われたのだろう。

「…」

そりゃあ、凛の動向が気にもなるよな。

「…おーい」

「「っ!?」」
209: [] 2015/09/21(月) 08:20:05.75 ID:6/cSIQAEO携(6/40) AAS
…。

「…」

「…」

奈緒に、加蓮。

彼女らは何処からかは知らないけれど、僕らの後ろで様子を窺っていたようだ。

その顔は不安そうで、落ち着きがない。

「分かるよ。凛だろ?」

「…はい」

「デビューには凛の力が必要、だろ?」

「……はい」

…。

気持ちは分かる。

だけど、もし彼女達がデビューの為のみに凛を利用しようとしているなら、許さないつもりだ。

たとえ彼女らの相性が最高だとしても、僕が育てた奴をそんな目で見ているなら、容赦はない。

「…あの、GACKTさん」

「ん?」

「前に、凛と一緒に歌った時、どうでしたか?」

「君らと?」

「はい」

美嘉の紹介の時か。

…それなら、前と変わらない。

「もしかしたら…ニュージェネレーションズを遥かに超えるかもしれないね」

「!」

「!」

「もしかしたら、だけどね」

「そ、それって…もしかして…」

「僕からはこれ以上何も言わないよ。どうしてもって言うなら凛のところ行きなよ…ただ」

「…?」

「もしウチの仲間コケにするような事したらタダじゃおかないよ」

「「は…はいっ!!!」」

僕は結構独占欲が強いんだ。

本当なら、渡したくない。

…けれど、仕方ない、よな。

多分、答えは出てるようなものだから。
210: [sage] 2015/09/21(月) 08:21:21.22 ID:6/cSIQAEO携(7/40) AAS
「春香。ちょっといいかしら」

「?」

「何があったのか、話す気にはなった?」

「…」

「…まだ、駄目なのね」

「…ごめん。どう話したら良いのか分からなくて…」

「…なら、そうね…私の弟…の話、しようかしら」

「?」

「…最近ね、優の声が、たまに聞こえる気がするの。幻聴だと思うのだけれど…」

「えっ…」

「GACKTさん」

「え…え?」

「…優が、教えてくれたのよ。あの人の名前とか。…でも、何かを思い出させたいみたい」

「…千早ちゃん…」

「変でしょ?私がこんな話するなんて…」

「ううん!変じゃない!…その、私…私も…」

「…」

「…千早ちゃん。少しだけ、話してもいい?」

「…ええ。黙って聞いてるから、安心して話してちょうだい」

「…うん…あのね…?」

「ええ」

「…」
211: [sage] 2015/09/21(月) 08:22:19.04 ID:6/cSIQAEO携(8/40) AAS
「トライアドプリムス…アナスタシア…」

…アナスタシアって、良い名前だよなあ。

アーニャでも可愛いけれど、この名前で出た方が、アーニャらしい。

…にしても、結果的に僕は常務の言いなりになってるんだよな。

いつからだ?

僕はいつのまにこんな社会の歯車になったんだ?

以前なら、いやこの世界に来る前の僕なら、出会った瞬間に喰ってかかっててもおかしくない。

「…丸くなったのかな…」

そんなことはない。

現に僕は、あのクソ上司にムカッ腹たってる。

なのにも関わらず、だ。

「…」

僕はなんだかんだで上手くやってしまっている。

「…」

違う。

これは僕じゃない。

僕らしくない。

変わったとか、そんなんじゃない。

「…」

前からよく聞く、過去の、この世界に存在していた僕。

「…」

まさか僕は、「僕」になっている?

「…何だそりゃ」

そんな事あってたまるか。

こちとら恐竜系男子なんだ。

僕は、僕。

それだけは、変わるつもりも変えるつもりもない。
212: [sage] 2015/09/21(月) 08:26:37.34 ID:6/cSIQAEO携(9/40) AAS
それから数日後。
僕は再び奈緒と加蓮と一緒にいた。

「アイスコーヒー3つ、お待たせしましたー!」

「あ、ありがとうございます…」

「ありがとうございます…」

今日、仕事がひと段落ついた後に彼女達と会い、そのまま自然な流れで連れていかれた。

凛との問題がひと段落ついた、とかそんな感じだろう。

「あの…それで…」

「ん…トライアドプリムスだよね」

「はい!それで…」

…。

「…ふーん」

結局、やるわけね。
…まあ、そうだよな。

「それで、その…」

…。

「曲…ね」

「は、はい…」

…。

そういえば、昨日久しぶりにあの感覚があった。

ニョキっと、ポケットから気持ち悪い感覚。

「…それなら、心配しなくていいよ」

「本当ですか!?」

「うん」

僕が選んだわけではなく、勝手に選ばれた、と言った方が良いんだけれど。

これもまた結果的には、僕が作ったことになる。
…いや僕のだよ。

「ありがとうございます!早速…」

「待った」

「え…」

「確認だよ。凛を利用する気は無いんだね?」

「「…はい!」」

「…」

「私達、一緒に歌いたいんです!」

「…」

…どうやら、嘘は、ついてない…か。

もうこうなったら、信じるしかない。

「…どうせやるなら、最高にイケてるLIVEにしなよ」

「「はい!!」」

この決断は、果たして良かったのかどうか。

…この時の僕には、いや。

今でも、判断出来ないな。
動画リンク[YouTube]
213: [sage] 2015/09/21(月) 08:28:06.57 ID:6/cSIQAEO携(10/40) AAS
彼女らに曲を渡し、残りの仕事は家でやる事にてし車に乗り込んだ。

「…」

凛の問題はとりあえず、止んだと判断する。

…もう一つは、アーニャか。

大人しく、優しい。
けれど芯はしっかりしている彼女。

どちらを選んでも、別におかしくはない。

多感な時期だ。

それに、芸能人になってまだ日も浅い。

やってみたいという気持ちが無いわけがない。

…けど、彼女にはラブライカがある。

だから、迷う。

「…」

優柔不断だと思う。

が、当事者からすればそう簡単に決められはしないんだろう。

…相変わらず、世話の焼ける奴らだよ。

「…ん?」

家の駐車場に車を止めようとすると、誰かが走ってきている。

危ないなあ。
急いでるのかもしれないけど、もう少し待ちなよ。

そう思いながら車をバックさせて駐車場にいれる。

すると、そいつは僕の車の前に立ち、僕をじっと見据えた。

…どうやら、僕が出てくるのを待ってるようだ。

それに、こいつはもう覚えた。

これで会うのは二回目か?

「…何?」

「あ、あの…今日は…お話があって来ました」

「ふーん…」

天海春香。

やっぱり、何かを隠してるんだな。
214: [sage] 2015/09/21(月) 08:29:30.67 ID:6/cSIQAEO携(11/40) AAS
「…えっと、何がいい?」

有名アイドルである彼女を家に入れるのはかなり抵抗があった。

周囲にカメラがないか、確認するだけして入れたけど。
それでも恐いもんは恐い。

「…あ、じゃあ…向こうの棚の右の引き出しに入ってるレモンティーがいいです!」

「ああ…うん」

レモンティーね…。

確かに、なんとなく買って置いてあるよな。

「…ん?」

…待て。

今、何故こいつは何がどこにあるのか正確に言い当てた?

僕は今日初めて彼女を家に入れたんだぞ?

「…君ってさ、ストーカー…じゃない?」

「ち、違います!…その、どう説明していいものか…」

説明もクソもない。

何かの事情があるにせよ、色んな意味で恐い。

「…その…何も言わずに、聞いてくれますか?」

「やだ」

「お、お願いします!大事なことなんです!」

「…」

…ひとまず、紅茶淹れよう。
215: [sage] 2015/09/21(月) 08:30:15.56 ID:6/cSIQAEO携(12/40) AAS
「はい」

「あ、ありがとうございます…」

「…で、話は?」

「…」

僕の顔色をうかがっている様子だ。

…そんなに僕が困るような話なのだろうか。

「…黙ってるから、話しなよ」

「…は、はい…」

「…」

「その…」

「…」

「…GACKTさん、は…その…」

「…」

「…元々、私達のプロデューサーだったんです」

「…」

…もう何があっても驚かないぞ。
216: [sage] 2015/09/21(月) 08:31:24.86 ID:6/cSIQAEO携(13/40) AAS
「実は、この世界は、ゲームの世界、なん…ですよ…ね?」

…。

それは、知ってる。

ゲームをやり始めた瞬間にこうなったんだ。

でも、その登場人物がそれを認めたらダメなんじゃないか?

「…これ、見て下さい」

努めて冷静にしてはいるが、きっと僕は今とんでもなく間抜けな顔をしてるんだろう。

しかし春香はそんなことは気にもせず、自分の持っていた紙袋から、ある物を出した。

それは、見覚えのある物。

…っていうか。

「…これって…僕のコートと携帯じゃん」

「…」

携帯は、4つのうちの、1つ。

ようやく見つかったなあ。

「…で、どうして君が?」

「…昔、と言っていいんでしょうか…」

「…?」

「その、私と、GACKTさんが出会ったのが、3年前でした」

「3年前…」

…3年前って、346プロに入った時じゃないの?

「…そこから、たくさん一緒に仕事して、色んな子達と関わって。…最後には消えてしまって…」

「…」

「気がついたら、また最初からになっていたんです」

「…」

まともに受ければ、どこか頭を打ったイタイ奴なんだろうと思わざるを得ない。

けれど、むちゃくちゃな体験をし続けている僕は、今の彼女の話を信じられないわけではなかった。

「ケータイは、何故かその時私のポケットに入ってました」

「…コートは?」

「GACKTさんに貰ったんです…」

そう言うと彼女はコートを隠すように紙袋に戻し、僕に向き直った。

「…」

「…そのケータイ、見て下さい」

「ん…」

…。

……。

………。

「…これ…」
217: [sage] 2015/09/21(月) 08:32:36.34 ID:6/cSIQAEO携(14/40) AAS
画像フォルダ。

そこには、間違いなく。

僕と、春香…いや。

765プロ、それだけじゃない。

凛や、未央、卯月…。

それに、奈緒や加蓮、楓まで僕と一緒に写っていた。

「…」

高校生に作れるとは思えない。

僕は慌てて連絡先を見た。

「…」

…そこには、にわかには信じがたい光景があった。
218
(1): [sage] 2015/09/21(月) 08:33:52.95 ID:6/cSIQAEO携(15/40) AAS
天海春香。
高木社長。
秋月律子。
音無小鳥。
如月千早。
高槻やよい。
双海真美。
双海亜美。
菊地真。
萩原雪歩。
三浦あずさ。
水瀬伊織。
星井美希。
我那覇響。
四条貴音。
島村卯月。
渋谷凛。
本田未央。
塩見周子。
神谷奈緒。
北条加蓮。
諸星きらり。
双葉杏。
高垣楓。
佐久間まゆ。
前川みく。
神崎蘭子。
千川ちひろ。

「…」

適当に連絡先を登録したわけではない。

その証拠に、僕の知る限りのアイドル達のものも記されていたから。

「…」

「…」

…参ったなあ。

これじゃあ、僕も混乱するよ。

「…あの、良いですか?」

「…続けて」
219
(1): [sage] 2015/09/21(月) 08:36:16.53 ID:6/cSIQAEO携(16/40) AAS
天海春香。
高木社長。
秋月律子。
音無小鳥。
如月千早。
高槻やよい。
双海真美。
双海亜美。
菊地真。
萩原雪歩。
三浦あずさ。
水瀬伊織。
星井美希。
我那覇響。
四条貴音。
島村卯月。
渋谷凛。
本田未央。
塩見周子。
神谷奈緒。
北条加蓮。
諸星きらり。
双葉杏。
高垣楓。
佐久間まゆ。
前川みく。
神崎蘭子。
千川ちひろ。

「…」

適当に連絡先を登録したわけではない。

その証拠に、僕の知る限りのアイドル達のものも記されていたから。

「…」

「…」

…参ったなあ。

これじゃあ、僕も混乱するよ。

「…あの、良いですか?」

「…続けて」
220: [sage] 2015/09/21(月) 08:37:07.63 ID:6/cSIQAEO携(17/40) AAS
それから春香は、様々なことを語った。

僕や僕のバンド仲間しか知り得ないような事も、凛達の事も。

…嘘は、ついていない。

…でも。

…仮に、それが本当だとしたら、だ。

どうして僕は忘れて、この子が覚えている?

それに、この子は僕にどうして欲しいんだ?

たとえそれが本当だとしても、だ。

今の僕は、彼女と知り合ってまだ間もない。

「…」

「…」

…。

「…あのさ」

「…はい」

「僕に、どうしろって言うの?」

「…」
221: [sage] 2015/09/21(月) 08:38:14.01 ID:6/cSIQAEO携(18/40) AAS
話は聞いた。

けど、今、僕がいるのは。

「今、僕は346プロダクションの、シンデレラガールズプロジェクトにいるんだ」

「…はい」

「…だから、多分君のお願いは…」

「あ…そ、その、違うんです」

「?」

「…その、せめて、今は記憶だけでも取り戻してほしくて…」

「…あー…」

…記憶、かあ。

こんな事って、あるんだなあ。

自分だけは無いって、思ってたのに。

「…」

思い出せない、ってか。
元々あったのかも分からない。
222: [sage] 2015/09/21(月) 08:39:17.31 ID:6/cSIQAEO携(19/40) AAS
「…千早ちゃんにも、話したんです。この事を」

千早…あの子か。

「千早ちゃんは、今のGACKTさんみたいに黙って聞いてくれて…そしたら、一度話してみるべきだって」

…。

あの千早って奴、よっぽどこの子の事が好きなんだなあ。

「…今日はとりあえず帰りなよ。そんな急な話されても、お互い困るだけだからさ」

「…はい」

…にしても、とんでもない時に、とんでもないカミングアウトしてくれたもんだ。

もしそのタイムトラベルのような事が起きてるなら、多分、いや絶対。

346プロ自体が、偽りの世界になってしまうんだぞ。

再構成された世界に、再構成された記憶。

…こりゃあ、簡単な話じゃあ、ない。

…。

誰に相談するとかも出来ない、よな。

「…」

…ちょっと待て。

『今は記憶だけでも取り戻してほしくて…』

「今は」…って、何だよ…。
223: [sage] 2015/09/21(月) 08:40:01.82 ID:6/cSIQAEO携(20/40) AAS
「…千早ちゃんにも、話したんです。この事を」

千早…あの子か。

「千早ちゃんは、今のGACKTさんみたいに黙って聞いてくれて…そしたら、一度話してみるべきだって」

…。

あの千早って奴、よっぽどこの子の事が好きなんだなあ。

「…今日はとりあえず帰りなよ。そんな急な話されても、お互い困るだけだからさ」

「…はい」

…にしても、とんでもない時に、とんでもないカミングアウトしてくれたもんだ。

もしそのタイムトラベルのような事が起きてるなら、多分、いや絶対。

346プロ自体が、偽りの世界になってしまうんだぞ。

再構成された世界に、再構成された記憶。

…こりゃあ、簡単な話じゃあ、ない。

…。

誰に相談するとかも出来ない、よな。

「…」

…ちょっと待て。

『今は記憶だけでも取り戻してほしくて…』

「今は」…って、何だよ…。
224: [sage] 2015/09/21(月) 08:41:31.48 ID:6/cSIQAEO携(21/40) AAS
…眠れない夜を過ごした。

それもそうだ。
あんな話されれば、誰だってこうなるよ。

「…」

一階ロビーの階段にかけてある時計を見る。

きちんと時を刻んでいる。

…あれを逆回転させる奴がいるだなんて、信じられない。

…信じられないのは、最初っからか。

「GACKT、さん」

「…ん」

聞き覚えのある声につられて振り向くと、そこには、アーニャ。

「あの、お話が、あります」

「話…?」

…話、か。

どうやら、決めたみたいだね。
225: [] 2015/09/21(月) 08:46:29.48 ID:6/cSIQAEO携(22/40) AAS
「あの…クローネの、お話です」

「うん」

「私、あの話、受けようと、思います」

「…だろうね。そんな気はしてたよ」

「…?」

小首をかしげる。

僕に引きとめられるかもしれない。
そんな後ろめたさがあったのかもしれない。

…少しは、あるよ。

でも、僕に彼女を繋ぎ止めるまでのことは出来ない。

「…ちなみに、理由は?」

「…チャレンジ、です」

「チャレンジ?」

「…はい」

…。

それは、合宿やサマーフェスでの事。

蘭子や僕と一時的に組んだ時。

その時、もしかしたら、というものを感じたという。

彼女は、そう続けた。

「…それは、ラブライカには、無いもの?」

「…無い、のかもしれません。…でも、あるのかもしれません」

「…」

「…」

…分からない、ということか。

…。

「…でも、チャレンジ、なんだよな?」

「…はい」
226: [sage] 2015/09/21(月) 08:47:03.74 ID:6/cSIQAEO携(23/40) AAS
…そうか。

チャレンジ、か。

「分かったよ」

「…」

「お前が、それを選ぶなら僕は尊重するしかない。頑張っておいで」

「…GACKT、さん…」

「…そんな悲しい顔するなよ。今生の別れじゃないんだから」

だけど、少なくとも。

…次のLIVEへの出演は、無いか。

…何とも言えないな。

こうまで強い意志を感じると、何も言えない。

本人がここまでやりたいと言っているのであれば、僕に引き止める権利はない。

「…」

「…」

分かっているさ。

悔しい気持ちはあるけれど、仕方ない。

…本当はラブライカに渡そうと思っていたんだけれど。

「これ、お前のソロ用にしなよ」

「!…ありがとう、ございます」

…まるで、失恋したみたいだ。

お前、というよりは、今の僕。

あはは。
…らしくないなあ。

動画リンク[YouTube]
227: [sage] 2015/09/21(月) 08:49:02.84 ID:6/cSIQAEO携(24/40) AAS
「…」

もうすぐ夜になる。

少し涼しくなった外。
空には星が出てきている。

…アーニャが喜びそうだ。

「…」

当初、僕は凛とアーニャを二つのユニットでLIVEに参加させるつもりだった。

…ただ、現実はそうも上手くはいかないらしい。

どちらかを選択しなければならない、と。

一時的とはいえ。

…ラブライカでの出演は、無し…か。

…美波は、どうだろうな。

優しい彼女の事だ。
きっとアーニャの意思を尊重するんだろう。

…競い合うわけではないけれど、ある種、敵側に回ったというのに。

「…」

人生ってのは、本当に思い通りに行かないよな、YOU。

「…」

最近になって、僕はここでの生活に満足感を覚え始めた。

いつもアイドルが近くにいて、楽しくなっていた。

だけどそれは突然、終わりに近づいた。

…魔法とか、そんなものは何の役にも立たない。

これは現実なんだ。

それはもう認めるしかない。

「…戻ろう」

これ以上空を見上げていると、女々しい気持ちになりそうだ。

仕事もまだ残っているし、終わらせよう。

多少は、気分転換になるはずだ。
228: [sage] 2015/09/21(月) 08:49:56.29 ID:6/cSIQAEO携(25/40) AAS
「…」

地下までの道のりはそう長くはない。

けれど、ほとんど人もいない状況で、この空気で、今の気分で。

…一人だと、とても長く感じる。

階段を降りる音も、反響して聴こえる程に静かだ。

「…?」

事務所に近づくにつれ、まだそこには明かりがあることに気がついた。

アーニャがまだ残っているのだろうか。

…だとしたら、入り辛いな。

『…何で?分からない分からないって…ふざけないでよ!!』

『…』

…。

なんだなんだ。

中から聞こえるのは、未央の怒声。

…僕は勘が鋭い方ではないけれど、流石に何があったのかは瞬時に理解出来た。

これは、やらかしてくれたな。

…凛。
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