才能 (110レス)
1-

1: デアカルテ 2009/07/13(月)20:30 AAS
「あの女か、お前が連れて来た逸材というのは」
葉巻を咥えた髭面にオールバックという如何にもな男が、部下らしき男に話し掛けた。

「はい、オーナー。見付けた時は、身体中に電流が走りました」
「ふむ・・・童顔で見た目は若いが、確かになかなか良い身体つきをしているな」

ガラス窓から遥か下を見下ろすと、そこはローマのコロッセオを思わせる円形のリングがあった。
リングの周りは金網で覆われ、その更に周りを大勢の観客が取り囲んでいる。

そこは、いわゆる地下の非合法カジノだった。
省26
29: デアカルテ 2009/07/28(火)16:02 AAS
【5】

「・・・う。・・・ここは?」
黒田が目を覚ますと、そこは病院の一室だった。

「パパ! ・・・・・良かった」
傍には、目に涙を溜めながら安堵の溜め息を漏らす姫華が居た。

「ようやくお目覚め、か。俺を救急車代わりに呼んだのは黒田さん、アンタが初めてだ」
姫華の後ろで、ボサボサ髪で無精髭の沢村がそう苦笑した。
省29
30: デアカルテ 2009/07/28(火)16:02 AAS
「失礼する」
それは、和服を着た初老の男だった。しかし、歳のわりに眼光が鋭い。
黒田は勿論、状況を全く把握していない姫華でさえ、その人物が只者でないことを感じ取っていた。

「この度は、誠に申し訳なかった!」
室内に入るなり、初老の男はいきなり黒田に向かって頭を下げた。

「そんな、頭を上げて下さい! 貴方は一体・・・?」
省41
31: デアカルテ 2009/07/28(火)16:03 AAS
結局、黒田は退院まで二週間掛かった。
まだ、肋骨が痛むが、日常生活をする分には問題ない。

退院する朝、姫華が迎えに来る前に、と黒田は沢村の自室に呼び出された。

「一体、何の用です?」
「姫華嬢のことでちょっと・・・な」
沢村はいつになく真剣な表情で口を開いた。
省49
32: デアカルテ 2009/07/28(火)16:04 AAS
「そこで、だ。彼女を連れて、ここに行くと良い。紹介状は書いておく」
そういって、沢村は一枚のパンフレットを黒田に見せた。

「これ・・・は、ジム?」
そこは、全国でも最大級のスポーツジムだった。
温水プールやスパもある、いわゆるレジャー施設という奴だ。ただ、その規模が半端ではない。

「ここって、なかなか会員になれないんじゃ・・・」
省28
33: デアカルテ 2009/07/28(火)16:06 AAS
思い付きで書き出した分、辻褄合わせに苦労しましたが、
何とか一段落するところまで書きました。

この後は、パワーの数値化とかをやれれば、と思ってます。
34: なぶり 2009/07/29(水)00:17 AAS
本格的な長編になってきましたね。
今回は特に人体破壊の描写に力がこもっていました。
今後、紹介されたそのジムで力を具体的な数字にしていくのでしょうか。
一読者としても、また書き手としても参考になりそうで楽しみにしています。
35: 2009/07/31(金)17:51 AAS
本気での筋力測定楽しみです。限界まで力をだす彼女が楽しみです。
36: デアカルテ 2009/08/04(火)17:21 AAS
【6】

そこは、巨大な複合レジャー施設だった。

ショッピングモールに、プールにスパ。何でもアリといった感じだ。そのどれもが大きく、人でごった返している。
いざ、ジムの前に着いてみると、その巨大さに圧倒される。マンション並み、といっても過言ではなかった。

一階から中に入ると、そこは大きなエントランスホールになっていた。
総合受付で入館の手続きを済ませると、二人は地下へと通された。

「私、てっきり上の階だと思ってた・・・」
省32
37: デアカルテ 2009/08/04(火)17:21 AAS
「姫華。お前、また大きくなったんじゃないか?」
「え、そーかな」
姫華は照れ隠しにポリポリと頭を掻いた。その腕に盛り上がる力瘤がTシャツの袖をパンパンに張らせている。

「そのTシャツ、海外取り寄せでまた三ヶ月経ってないぞ・・・」
「そーだっけ? あはは・・・」
黒田の記憶では、三ヶ月前はまだ丈や袖に余裕があったはずだ。
省54
38: デアカルテ 2009/08/04(火)17:21 AAS
そこは、フロア内の階段で繋がっていた。
階下に降りると、また同じような天井の高い空間になっている。しかし、人は疎らでガラガラだった。

『特別ルーム』。
ウェイト置き場と思しき場所には、見たこともないような巨大なウェイトが所狭しと並べられている。
設置されているバタフライマシンにも、上の階とは比べ物にならなぐらい大きなウェイトが取り付けられている。
ここが、このジムの象徴でもあり、全国で最高と云われる所以でもあった。
省35
39: デアカルテ 2009/08/04(火)17:21 AAS
「500で足りるかなぁ・・・」
関内がそう、ポツリと呟いた。

「500?」
「いえね、このバーベルでも搭載出来るのは安全上、500㎏までが限界なんですよ」
人が扱うバーベルの世界最高記録は、ベンチプレスの476㎏。勿論、男子の記録だ。
つまり、それ以上は前人未踏の領域なので、それ以上のウェイトに耐えるバーベルを作る意味が無い。
省44
40: デアカルテ 2009/08/04(火)17:22 AAS
「どうやら、私の心配は杞憂だったかもしれませんね」
そう、関内は独白した。

本来、バーベルカールという運動は、腕の全力を試す類のモノではない。
通常、全力でない余裕があるぐらいのウェイトでやるのが望ましいとされている。
過分なウェイトでは、腕を故障する恐れがあるからだ。
その点では、重量挙げとは意味も意義も当然、異なる。
省42
41: デアカルテ 2009/08/04(火)17:22 AAS
次は、レッグプレスで脚力の測定を行った。
レッグプレスとは、斜めになっている台に頭を下にして横になり、
上側に設置されたウェイトを脚で押し上げるトレーニング運動だ。
これはさすがに片脚ごとでの測定は無理なので、両脚での測定となる。

・・・ガシュ! ・・・ガシュ!

リズミカルに上下するウェイト。
省38
42: デアカルテ 2009/08/04(火)17:27 AAS
ジム編です。

筋力測定なんですが、拙作の『モニター』と内容が被ってしまうので苦労しました。

全力を発揮する展開も考えたんですが、姫華はまだ成長途上ということで
限界をボカす形で何とかまとめました。

すみません、読む人によっては肩透かしに感じてしまうかもしれません。
その辺は、今後に可能性を残したということでご了承下さい。

次は軽く、プール編で行ければと思います。
43: なぶり 2009/08/05(水)17:35 AAS
数値化された、むしろ巨大な数値でも収まりきれない力を見せ付けて、
より常人離れした様子がわかりました。
デアカルテさんはさすが、筋肉ばかりでなくトレーニング施設のこともよくご存知で
『力が強い』ことを表現するのに裏付けができて素晴らしいと思います。
44: 2009/08/11(火)21:22 AAS
姫華と同じ体質の男を登場させて対決とかどうでしょうか?
もちろん姫華には敵うはずもなく、じわじわとなぶり殺しに…
45: 2009/08/17(月)19:02 AAS
>デアカルテさん
実際に数字を見ての個人的な所感ですが、
ミオスタチン筋肥大そのものが圧倒的に低確率というわけではなさそうです。
(ヘテロ接合で200分の1,ホモ接合で40000分の1)
46: デアカルテ 2009/08/18(火)15:02 AAS
>名無しさん
> 実際に数字を見ての個人的な所感ですが、
> ミオスタチン筋肥大そのものが圧倒的に低確率というわけではなさそうです。
> (ヘテロ接合で200分の1,ホモ接合で40000分の1)

この実測値?(科学的な検証値?)は初めて見ました。
私もいろいろと調べたのですが、どこも具体的な数値が挙がっていなくて・・・

みんながみんな、アスリートを目指すわけではないと思うので、
省12
47: コンバット 2009/08/28(金)15:15 AAS
姫華に弱いけど筋肉フェチの彼氏を登場させてみるのは、どうでしょうか?
勝手に意見を言って申し訳ありません。
48: 2009/08/30(日)14:20 AAS
デアカルテさん
維持に最低限必要な栄養も
成長に費やされてしまう為
ミオスタチン筋肥大そのものはそれほど低くはない確率でも
十分に栄養をとれる環境にいる子で
かつアスリート等として日の目を見る子となると
必然的に少なくなるという感じでしょうか。
省4
49: 怪力 2009/09/04(金)11:01 AAS
はじめまして

思わず一気に読んでしまいました 

読んでるとイラスト館にあるはむさんのイラストの腕と胸で男性を挟み持ち上げてるイラストの女の子が姫華のイメージとして浮かんでくるのは私だけでしょうか 

才能の次回作期待してます

あと、裏世界にいる姫華もいいですが、番外編みたいな感じで表世界での姫華の作品も作っていただけたらなって勝手ながら思いました
省3
50: デアカルテ 2009/10/15(木)20:37 AAS
【7】

「うわぁー、広ーい!」
「確かに・・・凄いな、これは」
そこは、プールというには、ましてやスパというにはあまりにも大き過ぎる代物だった。
ドーム球場が一体いくつ入るのだろう、という広大な敷地の完全な全天候型の水のテーマパーク。
スパとプールは明確に区切られているわけではないが、そのどちらも
単体で充分に経営が成り立つぐらいの広さがある。
省26
51: デアカルテ 2009/10/15(木)20:38 AAS
「・・・・・・・・」
「・・・? どうしたの、パパ」
黒田は、自分の身体を姫華の身体を見比べた。

さっきのジムや、それよりも普段から家で、姫華のラフな格好は見慣れている。
それに、闘技場でもこれに近い格好のコスチュームを何度となく見ている。
しかし、こうやって布一枚同士で衆目の中に立つと、否が応にも体型の違いが目立つ。
省50
52: デアカルテ 2009/10/15(木)20:39 AAS
「姫華。次は、バタ足だ」
「バタ足って・・・こう?」
姫華が文字通り、足をバタバタさせる。しかし、大きな水飛沫が上がるだけで前進する気配が無い。

「そうなんだが・・・そうじゃない。足を前に蹴り出すんじゃなく、水を後ろに蹴って送り出す感じだ」
水を蹴るよりは漕ぐ。黒田は姫華にそう教えた。

「・・・こう?」
省38
53: デアカルテ 2009/10/15(木)20:42 AAS
「あれー? もう、終わり?」
黒田がぶつかった衝撃でようやく、バタ足をやめた姫華が水面に顔を出した。
無呼吸でかなりの距離を泳いだはずなのに、ケロッとしている。

「痛ってぇ〜。 何だぁ!?」
「痛てて・・・す、すみません!」
黒田は、痛みを堪えながら慌てて、ぶつかったと思しき一般客に頭を下げた。
省54
54: デアカルテ 2009/10/15(木)20:42 AAS
「何だぁ? オッサン、てめぇは後回しだ。どけっ!」
角刈りが有無を言わさず掌底気味に張り手を放った。

ドカァッ!

「ぐぁ!」
まともに喰らった黒田が横に吹っ飛ぶ。

「パパ!」
省35
55: デアカルテ 2009/10/15(木)20:43 AAS
程なくして、姫華と男たち三人は森の中で対峙した。
そこは、円形の吹き抜けになっている空間で、三人掛けのベンチと一台の自販機がポツンと置かれていた。
姫華たちが居る森があるプールのゾーンは、プール全体を見ても端の方に位置していて、ほとんど人が居ない。
さらにその隅っこの森となれば、人が来ないのも当然だった。

「さぁて、どうしてくれるんだ?」
角刈りの男が、先頭に立って姫華に問い掛けた。
省45
56: デアカルテ 2009/10/15(木)20:43 AAS
「おにーさんたちっておすもうさん?・・・みたいだけど、前にやった人よりは弱そうだし、三人一緒で良いよ」
「あん? どーいうことだ?」

「んー、おすもうでも良いし、殴り合いっこでも良いしー」
姫華が話すたびに、男たちの額に青筋が増えて行く。

「・・・あ、でも殴り合いっこだと手加減出来ないからダメかも・・・。でも、やらずに逃げるのはダメだよ♪」
パパを殴ったことを謝るまでは逃がさないから、と姫華は付け加えた。
省43
57: デアカルテ 2009/10/15(木)20:43 AAS
「ひ、酷ぇ。よくも・・・!」
「あ、おい!」
坊主頭の静止も聞かず、モジャ頭が姫華に向かって駆け出した。
怒り心頭のモジャ頭は、相撲などお構いなしに一心不乱に拳を振るう。

「あれ? おすもうじゃなくて、殴り合いっこにするの?」
姫華は、上半身のスウェーバックだけでパンチを躱す。
省49
58: デアカルテ 2009/10/15(木)20:44 AAS
その時。

「姫華!」
姫華が振り返ると、回復したのか黒田が立っていた。

「・・・!? パパ!」
「先ず、そいつを放すんだ」

「でも・・・こいつ、パパのこと嗤ったんだよ?」
省47
59: デアカルテ 2009/10/15(木)20:51 AAS
前回の続きで『プール編』です。

前回の投稿から何だかんだで2ヶ月も空いてしまいました・・・。
モチベーションが上がなかったのと、時間的なことでなかなか筆が進まず苦労しました。

後は、ちょこちょこっと短編か番外編的なものが書ければ、と思います。
良いのが思い浮かばなければ、そのまま本編を進めてしまうかもしれませんが・・・。

>皆さん
リクエストやアイディア、ありがとうございます。
省1
60: 怪力 2009/10/16(金)23:45 AAS
待望の新作ご苦労さまです 

最大限に手加減してもあの威力、姫華の怪力にはただただ驚かせられるばかりです。  

自分的には元関取?と戦ったときを思い出してるところが一番グッと来ました

本人はそのつもりじゃなかったのに結果そうなってしまったという感じの表現が最高でした

次回作は前にも書きましたが物破壊でお願いしたいです 
省2
61: デアカルテ 2009/10/17(土)02:22 AAS
ご感想ありがとうございます。

ただ、一つ前のレスでも書きましたが、リクエストに必ずしもお応え出来るとは限りません。
勿論、可能な限りはお応えしたいとは思いますが・・・。

ですので、期待しない範囲で気長にお待ち頂ければ、と思います。
62: 2009/10/17(土)10:09 AAS
そうですよね

デアカルテさんにはデアカルテさんの好みというか作風と言うかおありですもんね 

自己中な事を言ってすいません
63: なぶり 2009/10/17(土)23:50 AAS
デアカルテさん、ありがとうございます。
『文字通りの腰砕け』という表記が今回一番凄みを覚えました。
そして姫華はこのプールでさらに才能の開花、パワーアップを遂げたのですね。
64: デアカルテ 2009/10/23(金)17:06 AAS
【8】

「・・・ふぅむ。なるほど・・・ほう、凄いな・・・」
沢村が、手元の資料に目を落としながら、独り言のようにそう言った。

黒田は、ジムの件の報告で沢村の元を訪れていた。
沢村は、関内からも報告を受けているからわざわざ来ることは無い、と一度は断った。
しかし、黒田は面と向かって報告したい、と敢えて足を運んだのだ。

「これだと実質、測定不能と変わらないな。まさか、あのジムの器具でもダメだとは・・・」
省42
65: デアカルテ 2009/10/23(金)17:06 AAS
「・・・ということだ」
黒田は、沢村に話した内容をそのまま包み隠さず、姫華に話した。

自宅。

姫華は相変わらず、大量の食事を採っている。
黒田の方が先に食事を終えたので、黒田から話を切り出したのだ。

「うん、パパの話はわかった。・・・じゃあ、私からは一つだけ質問」
省26
66: デアカルテ 2009/10/23(金)17:06 AAS
そして、小学校卒業を翌日に控えた、そんなある日。
その日は、昨今の異常気象のせいか季節柄にもなく気温の高い、日差しの強い日だった。

「黒田さん。今日、一緒に帰らない?」
「内藤くん」
帰り支度をしていた姫華にクラスメイトの男子、内藤将太が話し掛けて来た。

「良いけど・・・でも、急にどうしたの?」
省56
67: デアカルテ 2009/10/23(金)17:08 AAS
空き地。今となっては珍しい、広大な空き地。

勿論、完全な更地というわけではない。そこは元々、マンションが建つ予定だった。
基礎工事が終わり地上階部分の鉄骨がある程度まで組み上がった頃に、管理会社が倒産した。
途中まで組み上がってしまっているため、壊すにも費用が掛かるのでそのままになっているのだ。

立ち入り禁止の看板と衝立で表向き、出入り出来ないようにはなっているが、そこは小学生。
まるで自分の家にでも入るかのように、難なく敷地内へと入り込んでしまった。
省49
68: デアカルテ 2009/10/23(金)17:11 AAS
「・・・でも、私・・・。みんなは気付いてないのかもしれないけど、こんなに筋肉モリモリなんだよ?」
長袖のままだとただ太いだけ、といった感じのシルエット。姫華は、そのワンピースの袖を捲った。

将太の前に曝け出された右腕。細い手首から肘にかけて急激に太くなっていく前腕。
そして、その前腕を遥かに上回る隆起を見せる上腕。姫華の腕は、これでもかというぐらいメリハリがあった。

「・・・ゴクッ。・・・し、知ってたよ!」
生唾を飲み込む音が聞こえたかと思うと、将太は上ずった声で誇らしげに言った。
省41
69: デアカルテ 2009/10/23(金)17:13 AAS
「腕も・・・凄い・・・」
だらんと力なく伸ばされた状態にも関わらず、大きく隆起している上腕。

「ぶら下がってみる?」
姫華が肩の高さで右腕を水平に伸ばす。

「え? 良いの?」
姫華の意外な提案に二つ返事でOKした将太は、その上腕にしがみ付いた。
省24
70: デアカルテ 2009/10/23(金)17:14 AAS
「取り敢えず、これかな」
姫華はそう言い放つと、大きなドラム缶に近付いて行った。

「ねぇ、これって動かせる?」
「えっ。これ・・・を?」
姫華に呼ばれて、将太はドラム缶の前に立った。

それは高さが約1mぐらいの、よくある円筒形の鋼鉄製のドラム缶だった。横面には『200』と書かれている。
省38
71: デアカルテ 2009/10/23(金)17:15 AAS
「まだ何もしてないのに、このくらいで驚いちゃダメだよ。腰を抜かすのはまだ早いよ?」
姫華がやれやれといった感じで動かない将太から距離を取った。

「・・・へっ?」
将太は姫華に言われるまで、自分が地面にへたり込んでしまっていたことに気付かなかった。
いつの間にか、無意識の内に腰を抜かしていたのだ。
しかも、将太自身まだ気付いていないが、さっきから片言の言葉しか話せていない。
省30
72: デアカルテ 2009/10/23(金)17:15 AAS
「次はこれかな」
姫華が次に持ち出して来たものは、更に将太の度肝を抜いた。

H形鋼。H形鋼(エッチがたこう)とは文字通り、断面が『H』形の形鋼である。
『H』形に鉄板を整形した構造用鋼材で、土木・建築用の柱・梁・基礎杭等に使われる。

『H』のどの辺も同じ長さで、10㎝より少し長いぐらいだろうか。それが約5m。
そんな長い鉄骨を、さも木の棒か何かでも持つかのように、姫華は片手で持って来た。
省34
73: デアカルテ 2009/10/23(金)17:15 AAS
「・・・でも、それが・・・理由なの?」
恐る恐る、しかし意を決して将太は疑問を口にした。

「・・・ねぇ。今までのって私、全力だったと思う?」
「え?」
将太は、姫華の質問の意味がよくわからなかった。

全力。力一杯。言われてみると確かに、そういった単語はさっきまでの涼しい表情の姫華には結び付かない。
省32
74: デアカルテ 2009/10/23(金)17:42 AAS
時系列的に『小学生編』のラストです。

一応、物体破壊を私が書くとこんな感じになるってことでご容赦下さい。
少々、ねちっこい文章になってしまった気がしなくもないですが・・・。

今後は、某有名サッカー漫画(爆)と同じ時間の進め方になると思います。
何も思い付かなければ、次で一応の区切りになるかと。

番外編はネタ次第でしょうか。
75: なぶり 2009/10/25(日)22:11 AAS
デアカルテさん、ありがとうございます。
破壊する物体そのものに対する知識があると、やはり破壊の様子の迫力、説得力が増しますね。
闘技場で相手を殺すとき以上の凄みを感じました。
そして今回は恋や別れを扱った、少ししんみりした流れも新鮮でした。
76: デアカルテ 2009/11/13(金)17:52 AAS
【9】

姫華は無事、インターナショナルスクールに進学した。

教科が選択式で飛び級制度もあるため、姫華にとってもかなり良い環境だった。
小学校時代はいろいろと問題になったスポーツ系教科を取らなくて済むというのが先ず大きい。
そして、クラスメイトも多国籍なためか、フランクでいて、それでいて立ち入って来ない。
みんな比較的、身体が大きいので姫華の大柄さが目立たないというのもある。

新しい学校での生活が予想以上に良かったということもあって、自然と『課外活動』にも精が入った。
省39
77: デアカルテ 2009/11/13(金)17:53 AAS
逆輝 丈。

国内の空手大会で数々の優勝経験を持ち、無名だった流派『精心館』空手を全国区にまで押し上げた。
その後、顔面無しのルールに異を唱え、キックボクシングの世界に進んだ。
そして、積極的に総合格闘技の大会に参加し、世界の強豪相手に互角に渡り合った。

国内でも珍しいヘビー級ということもあり、そういった意味でもハリスよりも遥かに有名であるといえる。
ただ、有名であるが、どちらかといえば好き嫌いの分かれるタイプの格闘家だった。
省29
78: デアカルテ 2009/11/13(金)17:53 AAS
そして、姫華の通う道場に逆輝が現れる日がやって来た。

「すげー、本物だぜ」
「マジで初めて見た」
門下生が口々に話している。

本来なら、TV中継か、高いチケットを買ってでもしなければお目に掛かれないような元スター選手なのだ。

「皆さんも知っての通り、今日から指導にあたってくれる逆輝先生です」
省47
79: デアカルテ 2009/11/13(金)17:54 AAS
姫華が通う『精心館』空手道場の支部は、それなりに門下生が多い。

人によってスケジュールがまちまちなので、人の多い日や少ない日は日によって違う。
人の多い日は複数の師範が指導に当たるのだが、人の少ない時は師範が一人だけという日もあった。

逆輝が指導をするようになって数日後。

この日は門下生が少なく、逆輝が一人で担当する初めての日だった。
しかし、その日も無事に終わり、姫華が帰ろうとしたその時。
省51
80: デアカルテ 2009/11/13(金)17:55 AAS
「うん、わかった♪ じゃあ、行くね・・・」
そういって姫華は中段突きの構えを取る。

ズドン!

「・・・え?」
次の瞬間。一村の腹部に姫華の中段正拳突きが突き刺さっていた。一村には拳の軌道が全く見えなかった。

「う・・・うげごあぉおおぉぉぉっ!!!」
省43
81: デアカルテ 2009/11/13(金)17:56 AAS
「ねぇ? "これ以上"がないんだったら、もう良いかな?」
「ひぃっ!? く・・・くそぉっ!!」
二倉はもう後がないと、ついに我慢出来ずに顔面への突きを出してしまった。
もうこうなったらと、二倉は開き直って姫華の顔面へと連打する。時折、上段蹴りも混ぜた。
しかし、当たらない。余裕で見切れるとばかりに、姫華は軽く首を反らすだけでかわす。

「良いよ、そのまま続けて。『捌き』の練習に丁度良いし」
省41
82: デアカルテ 2009/11/13(金)17:56 AAS
「しかし、まさかそんなことがあったとはな・・・」
「パパ、ごめんなさい・・・。なかなか言い出せなくて・・・」
黒田に道場でのことを話した姫華はシュンとしていた。心なしか、大きな身体が小さく見える。

黒田と姫華の前には相変わらず、大量の豪勢な食事が並ぶ。
しかし、いつもと違い、普段なら向かい合うはずの黒田と姫華が隣り合っている。

「ははは、まあそう責めてやりなさんな。お嬢ちゃんが可哀相ではないか」
省39
83: デアカルテ 2009/11/13(金)17:57 AAS
そして、ついに勝負当日。

カジノ地下闘技場、VIPルーム。
その更に特等席の三つの席に、三人の壮年の男が座っていた。

左端に獅堂組長。右端にT組の組長こと田所組長。そして、真ん中には葉巻を咥えた白髪混じりの銀髪の男。
そして、後方に控えるようにして立つ黒田と、数名のSP。

「いやはや。私をこんな一大イベントの立会人に呼んで貰えるとは光栄だよ、獅堂さん」
省36
84: デアカルテ 2009/11/13(金)17:59 AAS
「どういうことです!?」
黒田は慌てて田所を問い質す。

「何のことかね? 少なくとも"今のところ"、進行に何の問題も無いと思うが?」
田所は下卑た含み笑いを浮かべた。

「・・・くっ」
黒田は唇を噛んだ。
省55
85: デアカルテ 2009/11/13(金)18:00 AAS
試合開始から5分が経過していた。
未だに、姫華の有効打はゼロ。いや、そもそも攻撃を放ってすらいない。

「おいおい、このまま手を出さずに終わってくれんなよ? 白けちまうだろ?」
とはいうものの、さすがに打ち疲れて来たのか、逆輝は肩で息をしていた。

「おじさん、もう疲れちゃったの? しゃべって息を整えようとしてるみたいだけど」
「っ・・・! このガキ!」
省43
86: デアカルテ 2009/11/13(金)18:02 AAS
「ねぇ、いくつか聞きたいことがあるんだけど」
「あぁん?」
逆輝は、姫華の腕を力一杯、ギリギリと締め上げる。にも関わらず、姫華は逆輝に話し掛けて来たのだ。

「はん! 話して気を逸らして技を抜けようたってそうはいかねぇぜ」
「技は抜かないから大丈夫だよ。・・・今はまだ」

「強がり言いやがって。まあ、打撃が得意のこの俺に奥の手の寝技を使わせたんだ。
省42
87: デアカルテ 2009/11/13(金)18:03 AAS
残りの『半分』の観客。姫華を良く知っているヘビーなファンは、もう最初の5分でわかってしまっていた。
確かに、逆輝は強い。恐らく、これまでの姫華の対戦者の中では最強の部類だろう。
しかし、姫華にとってみれば、そんなものは徒競走で1秒差を競うようなレベルでの話。
元々、F1カーの姫華からすれば、そんな低次元でのレベル差など、在って無きが如し。

逆輝が例え、全力で締め上げようと、姫華にとってみればそれはただ、抱き付いて掴まっただけに過ぎないのだ。

今まで、姫華がダウンしたことが無いのは、ヘビーなファンの間では周知の事実。
省46
88: デアカルテ 2009/11/13(金)18:04 AAS
「おじさんは、これから実験台ね♪ 無駄に筋肉増やしただけあって頑丈そうだし」
「・・・実験、台?」

「こんな地下闘技場で闘ってる私が、何で空手を習ったかわかる? 当たったら手を放してあげる」
「・・・?いきなり、 何を言って・・・」

「な・ん・で・か・わ・か・る?」
「ぐがあぁぁぁっ!!」
省53
89: デアカルテ 2009/11/13(金)18:06 AAS
「確かに、これは"ちょっと"苦しいから、外すね」
「・・・え、おい、嘘・・・だろ!?」
そういって、スクッと姫華が立ち上がる。またしても、逆輝に技を掛けられたままで、だ。
そして、喉に喰い込んだ逆輝の右前腕部を無造作に両手で掴んだ。
姫華は、逆輝の前腕に対して、二つの動作を同時に行った。

両手で掴んだ逆輝の前腕部を、両手で握り潰しながら、左右に引っ張ったのだ。
省36
90: デアカルテ 2009/11/13(金)18:06 AAS
「・・・ぅ、うあおぉぉぉぁぁぁっ!!!」
逆輝の咆哮。

立ち上がり、一気に間合いを詰め、一心不乱に姫華に殴り掛かる。
左腕で殴り、右脚で蹴り、左足で蹴る。試合が始まった頃の、試合巧者のコンビネーションラッシュとは違う。
ただひたすら、渾身の力で殴り、必死の力で蹴る。技術も何も無い、力任せの攻撃。

「何だ。おじさんやっぱり、やれば出来るんだね」
省53
91: デアカルテ 2009/11/13(金)18:07 AAS
試合後。

「一時はどうなるかと思ったが、とにかく無事で良かった」
控え室に顔を見せた黒田が、そう姫華を労った。

「へへー♪ あのくらい、楽勝だよっ」
当の姫華は、疲れた様子もなく、黒田に笑顔でVサインを決めて見せた。

結局、S組とT組の勝負は逆輝の死を以って、S組の勝利ということで決着した。
省29
92: デアカルテ 2009/11/13(金)18:11 AAS
一応、ラスト前です。

相手のことも掘り下げつつ盛り上げようとしたら長くなってしましました。
短いと味気ない文章になってしまいますし、かといって長いと冗長なので配分が難しいです。

次でキチッと話を締められれば良いんですが。
93: なぶり 2009/11/14(土)23:52 AAS
デアカルテさん、ありがとうございます。
人物に背景から試合展開まで、今回は特に練りこまれた大作でした。
壊し具合を表す比喩表現も相変わらずの迫力でしたし、
フィニッシュも誰も想像できなかったものだと思います。

いよいよ完結に向かっていくんですね。楽しみにお待ちしています。
94: デアカルテ 2010/10/19(火)19:34 AAS
【10】

「私が会長秘書を務めております、玖崎(くざき)と申します」
「玖崎さん、ですか」
黒田は、目の前の男から挨拶代わりに、と名刺を受け取った。

そこは、都内から少し外れたところにある、とある製薬会社の本社ビルだった。

その応接室。
黒田は、『会長に会わせて欲しい』と、確かにそうアポを取った。
省40
95: デアカルテ 2010/10/19(火)19:36 AAS
「・・・しかし、何故わざわざ里子に出したんです?
 その『母親』が会長その人なら、幾らでも育てる方法は在ったでしょう?」
「それは、そういう『実験』だからですよ」

「『実験』・・・? それは一体・・・」
「貴方には知る権利があります・・・が、薄々はわかっているのではないですか?」
黒田の想像。

姫華の母親は、大企業の会長。そして、その大企業を経営しているのは旧家の財閥だと聞く。
省41
96: デアカルテ 2010/10/19(火)19:37 AAS
「会長は、『血脈』を受け継ぐの女の傍に立つ者、その者にも『資格』ともいうべき『才能』が必要なのではないか。
 そして、それはその"本人"にしか見抜けないのではないか、そうお考えなのです」
会長には会長の、姫華には姫華の、その傍に立つに相応しい人物が居る。そういうことなのだ。
そして、姫華に相応しい人物は、姫華自身にしかわからない。母親であっても、娘に誰が相応しいかはわからない。

具体的に明確な事象が起こるわけではない。
しかし、一族以外の者で、その一族の女の傍に相応しくない者が立てば、その者は何れその身を滅ぼす。
研究者夫妻の末路。黒田は敢えて言及しなかったが、見付かり次第、粛清が下されることは間違いないだろう。
省50
97: デアカルテ 2010/10/19(火)19:38 AAS
あれから、時が経ち。

インターナショナルスクールは、飛び級制もあって予定よりも早く課程を終えた。
空手、ボクシングは、組手、スパー以外で学ぶことが無くなったからと早々に辞めてしまった。
水泳は良い汗が流せるから、と今も定期的に通っている。

課題だった力加減も、生卵を片手で割れるぐらいにまで進歩した。
それまでは、生卵を潰さずに割ることが出来なかったのだ。
省42
98: デアカルテ 2010/10/19(火)19:40 AAS
「姫華、退いてくれ」
「・・・ねぇ、パパ。私の胸、触りたい? 触りたいなら・・・触っても良いんだよ?」
仰向けにベッドに横たわる黒田の眼前には、姫華の爆乳がドンと圧し迫っていた。

大胸筋という土台が発達している為、その巨大さにも関わらず、
普段から、立っている状態でも垂れることなく前方にドンと突き出している爆乳バスト。
それが今、重力に引かれるようにスイカが二つ、黒田へと迫っているのだ。
姫華が少しでも姿勢を低くすれば直ぐ様、おっぱいプレスが再開されることになる。
省33
99: デアカルテ 2010/10/19(火)19:40 AAS
「でも、それって少なくとも今の私の身体は、パパも大人の女として見てくれてるってことだよね?」
「まあ、そうだな」

「お試しで抱くだけ抱いてみるっていうのはどう? 今なら優しくしてあげるよ? 大丈夫、痛くしないから♪」
姫華は黒田に跨ったまま、扇情的に身体を揺らしてみせた。筋肉が躍動し、爆乳が揺れる。
身体の部位全てが強調されたかのような、そんな極上のボディ。

「冗談でそんなことを言ってるようだから、まだまだだって言ってるんだ」
「も〜、冗談じゃないのに〜」
省49
100: デアカルテ 2010/10/19(火)19:42 AAS
そしてついに、闘技場での姫華のラストステージの時がやって来た。

闘技場には、デビューから全戦全勝全KO、致死率90%オーバー、再起不能率100%。
完全無敵の絶対王者、姫華が立っていた。

そう。
自由の大地、第二の新天地に向けて飛び立つ前の、最後の仕事。
姫華にとっては勿論、黒田にとっても最後の仕事。
省45
101: デアカルテ 2010/10/19(火)19:44 AAS
「まあ、見てな」
アレックスがそういって他の二人に合図すると、三人がセダンの回りに取り囲む。

アレックスがテールバンパー。ブライアンがフロントバンパーの右側。チャックが逆の左側バンパー。
三人が丁度、三角形になるような位置取りでセダンに取り付いた。
そして、バンパーの下に両手を入れると、一気に気合いを入れる。すると・・・。

何と、徐々にでタイヤが浮き始め、遂にセダンが完全に持ち上がってしまった。
三人掛かりとはいえ、1400㎏の重さのセダンが宙に浮いているのである。
省45
102: デアカルテ 2010/10/19(火)19:45 AAS
「んー、まだ持ち難いかな・・・」
二つ折りになったセダンを抱えた少女は、更に驚くべきことを口走った。

姫華は、二つ折りのセダンの片面を上にして再び置いた。

「・・・この辺、かな?」
さすがに高さが足りないのか、今度は両膝を地に着いた格好で"照準"を合わせた。

ドゴオォォンンンッッッ!!!

中腰だったからか、さっきよりはやや衝撃音は小さかったが、それでも"折り目"を付けるには充分な威力だった。
省50
103: デアカルテ 2010/10/19(火)19:45 AAS
「「チャーーーックッッ!!!」」
アレックス、ブライアンの絶叫。

慌てて"塔"に駆け寄り、必死にチャックを救出しようと"塔"に手を掛けるが、持ち上がる気配が無い。
それもそのはずで、三人掛かりでやっと持ち上がったものが二人で持ち上がるわけが無い。

「よくも、チャックを!」
「このぉっ、許さねぇっ!!」
アレックスとブライアンは"塔"を持ち上げるのを諦め、それぞれの武器を手に取った。
省37
104: デアカルテ 2010/10/19(火)19:46 AAS
残るは次男のブライアン、ただ一人。
ゴングが鳴ってからまだ10分と経っていない。
姫華の実力を誰よりも知る黒田も、まさかここまで一方的な展開になるとは思っていなかった。

「オー、ノー! オーマイ、ゴーッド!!」
ブライアンは大粒の涙を流しながら、両手で頭を抱え、膝を付いてへたり込んでしまった。

「何、今更泣いてるの?」
「オォーウ・・・」
省33
105: デアカルテ 2010/10/19(火)19:47 AAS
「ウォォォォォォッ!!」
奇声のような叫び声を上げながら、ブライアンは姫華に対して殴り掛かった。

バシッ、バシッという乾いた打撃音。殴っている場所も、パンチのフォームもてんでバラバラ。
打撃が効果ないと思うや否や、今度は何と、姫華の身体を両手で押して引き剥がそうとし始めた。

ブライアンは、両脚で地面に踏ん張り、両手で姫華を全力で押す。
しかし、ブライアンの全身全力よりも、姫華の腕力の方が上回っているのは最早、明白だった。

既に、鉄棍はブライアンの腹筋に減り込んでいる。苦しさからか、ブライアンの顔が紅潮している。
省17
106: デアカルテ 2010/10/19(火)19:52 AAS
前回から1年近く開いてしまいましたが取り敢えず、このお話はこれにて幕です。

実は、【9】をUPした直後に【10】も8割方まで書いていたんですが、
なかなかラストまで書き上げる気力がなくて今まで延び延びになってしまいました。

『女帝学園』の続きを書く前に、どうしてもこっちを完結させておきたかったので・・・
107: なぶり 2010/10/20(水)22:26 AAS
デアカルテさん、ありがとうございます。
最後に意外な一面や展開も見られましたが、戦いとなるとさすがの強さです。

大作の完結、まことにお疲れ様でした。
108: 2011/01/23(日)01:15 AAS
外伝的な物も見たいですね
109: マイスター 2012/02/16(木)15:19 AAS
この作品大好きなんですがアメリカ編もできれば作成お願いします
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