引っ越し (7レス)
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1: デアカルテ 2007/07/05(木)18:35 AAS
今日は、引っ越しの日だ。春から大学生になるということもあり、親から一人暮らしをしろと言われしぶしぶ了承した。しかし、そこは今の土地に越す前、つまりは子供の頃に暮らした隣町の近くで、ある種の郷愁を感じて、悪い気はしなかった。

「そういや、あの娘はどうしたかな・・・?」

その隣町に居た頃、良く遊んだ1つ年上の幼馴染の、名子という少し変わった名前の女の子が居た。僕も、獅子堂飛翔(カケル)という仰々しい苗字の上に字的に珍しい名前で、お互いそのことで良く意気投合した。
だけど、その娘は小学校低学年の時に別の土地に引っ越して行ってしまった。今となっては懐かしい思い出だ。そうやって郷愁に浸っていると、外にトラックの止まる音が聞こえた。すぐに呼び鈴が鳴る。

「はーい、今出ます」

玄関を開けると、そこに立って居たのは綺麗な女性だった。胸が大きいのか、制服の前面は大きく膨らみ、ボタンが今にも弾け飛びそうだ。しかし、それ以上に目を見張ったのはその腕。春先で外はまだ肌寒いにも関わらず半袖で、しかもその袖は力瘤でパンパンに張っている。引っ越し屋なんてのは確かに力仕事だけど、ここまで筋肉が付くものなのだろうか?しかし、それ以上に気になったのは1人しか居ないことだ。本来ならもう1人居るはずだし、その分の料金も払ってある。
省9
2: デアカルテ 2007/07/05(木)18:36 AAS
彼女は運転もこなれていた。これなら安心して荷物を任せることが出来る。

「しかし、力強いんですね。」
彼女は、手伝うと言った僕の申し出を丁重に断った。まあ、あの仕事振りを見れば当然なのだが、常人離れしている気もする。

「ええ〜、そんなことないですよ〜」
彼女は照れ隠しに笑う。

「何か、スポーツでもやってたんですか?」
「実は私、子供のころ病弱だったんですよ。それで健康になるようにって最初は水泳を始めて・・・そしたら、いつの間にかスポーツそのものよりトレーニング自体が楽しくなっちゃって・・・」
省28
3: デアカルテ 2007/07/05(木)18:36 AAS
「身体を鍛えてるのはあくまで、健康を維持するための"手段"なんですよ。でも、その"目的"もやっと・・・・・」
彼女が憂いの表情でこっちを見ている。しかし、事も在ろうに僕はそれをお茶のお替りの催促だと勘違いし、用意しようと立ち上がろうした。・・・が、急に立ったために足が痺れてバランスを崩し・・・コケそうになったが、その寸前で彼女がすっと立ち上がり間一髪で、左腕一本で僕の身体を支えてくれた。お陰でコケずに済んだ。

「すみません、慌てちゃっ・・・えっ」
だが、そう言い終わる前に、彼女がおもむろに僕の身体を自分の方に引き寄せた。顔が彼女の豊満な胸に埋まる形で抱き留められる。

「・・・まだ、・・・気付かない・・・・・?」
「・・・え?」
驚いたのと照れもあり一旦、彼女から離れようとするが彼女の腕を振り解けない。優しく抱き締められてはいるのだが、振りほどこうとすると、途端に万力のように動かなくなる。
省19
4: アド・マイヤー 2007/07/05(木)22:44 AAS
 ほのぼのとして微笑ましいストーリーですね。私好みです^^
 私もいい加減新しいストーリーを考えないといけないのですが、仕事やら
家庭やらの事情でなかなか・・・(^^;;;
5: デアカルテ 2007/07/06(金)09:51 AAS
>アド・マイヤーさん
たまには趣向を変えてみました(^^;

私も投稿はかなりご無沙汰だったんで、その分のストックを放出してるだけですよ(笑)
作品を書かないまでも、構想を練ったりとかはしてたので・・・
6: なぶり 2007/07/07(土)18:44 AAS
デアカルテさん、どうもありがとうございます。
超人的な力を持つヒロインのお話でありつつ、この優しいストーリー展開というのもいいですね。
人や物を必要以上に破壊しなくても力強さは表現できるものなんだと、そんなヒントが得られたような気がします。

皆さん色々お忙しい中で、ここを投稿の場所に使ってもらえるのは本当に嬉しいです。
7: 辰部夜気 2007/07/08(日)01:11 AAS
デアカルテさんの新作、読ませていただきました。
ほのぼのから圧倒的な力で男をねじ伏せる描写まで…作風の広さが本当すばらしいです。
特に筋肉王女のお話は興奮させていただきました。
私もファンタジー系のお話を一つ書きたいと思っていましたので、参考にさせていただこうかと思います。
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