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【防衛】要塞を守りきれ!ファンタジーTRPGスレ4 [無断転載禁止]©2ch.net (343レス)
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270: シャドウ ◆ELFzN7l8oo [sage] 2017/02/09(木) 18:48:16.19 ID:MPYt/491 エミル達が姿を消したのと、「それ」が咆哮をあげるのと、どちらが先だったろう。 ――――ビタン! かつてボリガンであった赤茶色の肉塊が「動き」を開始した。 手足はすでに無い。いったい何処が目で鼻であったのか、それすらも分からない。 原型を留めるとしたら……何とも妙。肉塊周囲に散らばる――手指の断片のみ。 大きな芋虫に似たそれらにしっかりと嵌められたままの指輪はまさしくボリガンのもの。 ただの物言わぬ肉塊と化す。そう信じていた考えは甘かったのだ。 ボリガン自身の魔気と意志によるものか、はたまたこの地に満ちる魔王の余波のせいか。 じくじくと光る油を滾(たぎ)らせ、方々から触手を伸ばしては近くに居合わせた生き物を取りこむ様は不快極まるものだった。 一度恐慌に陥ったはずの亜人達は逃げず……むしろ身を投じ始めた。なるほどボリガンは彼らにとっての神。挺身も当然か。 触手に絡めとられたオーク達がそれの口元(?)に運ばれ、呑みこまれていく。 その咀嚼音は樫の実を杵(きね)でつく音に似ていた。 見る間に容積を増していくオーク王。万を超す亜人をすべて呑みこむまで一刻もかかるまい。 触手を避けるフェリリルの――髪、尾の毛が逆立っている。 一閃、二閃と振るうコンクルシオに断たれた触手が、うぞうぞと地を這い主と癒合する。 勇者の剣を以てしても歯が立たぬ? まずい。そして思った以上に巨大化速度が――早い!! 彼女に向かい跳躍した。【飛翔】の呪文を唱え、彼女の腰に手を回し――飛んだ。 「すまぬ。我が術が更なる暴走を生んでしまった」 フェリリルの腰はすこぶる細く、引き締まっていた。風圧で嬲られた銀の髪が鼻をくすぐる。 左手に彼女、右手にエミルの剣を持ったまま、はるか下の惨状に眼を向ける。 要塞を取り囲むように広がって行く肉塊が、さらに周囲を取り囲む森にまで到達しようとしている。 森にあれが及べばどうなるか。 森に棲むあらゆる生き物が呑みこまれ、じき大陸がすべて……ある意味魔王の世よりも恐ろしいのではなかろうか。 「あれを滅するには火力を以てするしかないが……」 ハッとした顔でこちらを向いた彼女が、この右手の剣に視線を移した。 エミルの剣。そういえば、彼は言っていた。「一度しか使えない」と。 そうかと思いなおす。エミルがこの剣に「炎の魔力」をエンチャントしていた事を思い出したのだ。 彼女はそれを肌で感じ取ったに違いない。或いは匂いか? 流石は野生の能ある魔狼なる。 剣を逆手に持ち直す。下に向いた剣先が明るいオレンジ色の光を灯す。 蠢く肉塊に向け――パッと手を離した。 かつてボリガンであったそれが瞬く間に燃えあがった。轟音を伴い、大気を焦がし。 黒煙を避けるため退避した森の中は……すでに獣が逃げた後なのだろう。不気味な静寂。するは遠くの滝音のみ。 深く息を吸う。この森の匂い、音、すべての記憶を留めておこう。見納めには違いない。 ぐつぐつと煮え立つ油。燃え崩れる肉塊。地獄の釜中を思わせる光景を、フェリリルは物言わず見つめていた。 かつて仲間であった魔将、ボリガンの最期。彼女は如何なる思いなのか。 「行こうか。最終の――決戦の場へ」 銀の光輪を背負う魔狼の娘。その褐色の頬が、赤々とした炎に照らされていた。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1476232273/270
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