[過去ログ] 自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 46 (884レス)
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51: 元1だおー 2006/06/03(土)15:57 ID:??? AAS
ウェリカは緊張のあまり心臓がはち切れそうなほど高鳴っていた。
斥候隊が全滅してからこの軍師が言い出したことに、やはり命をかけてでも反対すべきだったと思う。
軍師自ら降伏勧告だなんて、馬鹿げている。
あの斥候隊の二の舞になったらどうするつもりなのだろう。
その当初の悪夢のような予想は幸いにも外れたが、今はまた別の恐怖にウェリカは縮み上がっていた。
自分はこんなにも腰抜けだったのか、と彼女は自分の小心さを知って自分で自分の首を跳ねたい気分だった。
省10
52: 元1だおー 2006/06/03(土)15:59 ID:??? AAS
「陸上自衛隊大陸特別方面隊、第一混成戦闘団、二等陸佐、須田だ」

一人だけ、草を身体に巻き付けていない中年の男が歩み出てきて、そう名乗った。
長身で、引き締まった体つきをした男だった。
戦闘で負傷したのか、左目を包帯で覆っており、その上に黒いベレーを載せている。
ベレーには〝サクラ〟と呼ばれる、ニホンの花をあしらった紋章が刺繍されていた。

「お会いできて光栄です。スダ将軍」

アイギスは彼に歩み寄ると、手を差し出した。
省9
53: 元1だおー 2006/06/03(土)16:01 ID:??? AAS
ウェリカはすぐにでも剣の柄に手をやれるように身構えた。
降伏を拒否したということは、このまま殺されるか、最悪捕虜にされる恐れがある。大抵の場合、敵への見せしめとして吊し上げられるのだ。
帝国軍はそうしなかったことはないくらいだ。
アイギスが倒れたり虜囚となったところで、軍師の換えはいないわけではないから問題はないものの、だからといって許容できるものではない。
スダはアイギスを射殺さんばかりの視線を放ちながら、おもむろに口を開いた。

「一つ聞かせてもらいたい」

「どうぞ」
省15
54: 元1だおー 2006/06/03(土)16:02 ID:??? AAS
アイギスが目を細め、冷たい表情を浮かべる。

「全滅しますよ。間違いなく」

「やれるものならやってみろ。そちらもただではすまんぞ」

そう言い放つと、スダは目配せして部下に包囲を解かせた。
ウェリカは意外に感じた。どうやら自分らを無事に帰すつもりらしい。

「私を人質にしようとは?」
省8
55: 元1だおー 2006/06/03(土)16:03 ID:??? AAS
「アイギス様……」
「なんだい」
「なぜ、あの時あのような悲しげな顔をなされていたんです?」

アイギスが顔だけ彼女に向け、彼女の不安げな顔を一瞥した。
彼は立ち止まり、高地を寂しげに眺めた。

「ウェリカ、君はニホンの兵士がどう見えた?」

彼女は予想外な質問に戸惑ったが、正直な感想を漏らすことにした。
省9
56: 元1だおー 2006/06/03(土)16:04 ID:??? AAS
彼女は、ニホンは恐ろしい兵器を手に帝国を追い出した国ではあるが、それに対して敬意を抱いたことなど一度もなかった。
ニホンは武力と引き替えに自分達の食糧や資源を搾取する、帝国より若干マシな程度の侵略者でしかない。
帝国の脅威が去り、ニホンも疲弊している今、この大陸を自分達の手に取り返すべきだ。
それがロスーキでの一般的な人間の価値観だった。
それに加えて彼女は落ちぶれているとはいえ騎士であり、
騎士道精神を持たないニホン兵など、同じ武人として考えることはできないといった反感もあった。
正々堂々と勝負を挑まず、隠れて遠距離から〝ジュウ〟で狙い撃つなど、何と卑怯な連中なのだという怒りさえある。
省8
57: 元1だおー 2006/06/03(土)16:06 ID:??? AAS
憎むべき敵に対して、解決の糸口があったはず?
おそらく、相手がアイギスでなければ、彼女は剣を抜いて相手の首を跳ねていただろう。
大陸で日本が犯した過ちは、日本という国を理解してもらおうと動かなかったことだった。
日本人は無意識のうちに、過去の戦争の教訓とも恐怖ともつかぬ思いから、異世界の人々にあまり歩み寄ろうとしなかった。
派遣されてきた少数の外務省職員や、自衛隊、資源採掘などの民間エンジニアに関わる一部の政府の人間しか現実の日本人を知らず、
当の日本人も危険であるという理由や、日本人の気質か、積極的に自己を主張し理解してもらうという感覚に乏しかった。
政府主導で日本を知ってもらうということをやれば、
省7
58: 元1だおー 2006/06/03(土)16:06 ID:??? AAS
帝国と違い、恐怖による支配など当然だがしていなかった日本は、思わぬ形で刃を向けられる結果になった。
今の自分達には自由と力がある。今なら支配者を打倒できるのだ。
皮肉なことに、日本人は悪魔のような支配者で、自分達から搾取しているという情報を流したのは、他ならぬ反帝国陣営の権力者達だった。
帝国という圧政から解放され、自由を手にした民衆は、自国の新政権に期待を寄せた。
だが、権力者の多くは利権に群がるばかりで、多くの民衆は帝国支配と変わらないと不満を募らせたのだ。
その不満のはけ口が必要だった。
日本の存在はそれにうってつけだったのだ。
省6
59: 元1だおー 2006/06/03(土)16:07 ID:??? AAS
「無知と無理解、無関心と無気力は、結果的に多くの不幸を生む。今回もそうだろう……」

ウェリカは思わず心の中に生まれた疑念を呟いた。

「アイギス様。あなたはニホンに……」
「僕は軍師だ。与えられた任務は達成する。勘違いしないでくれ」

今まで感じたことのない鋭い声に、彼女は思わず言葉を呑み込んだ。
ウェリカは彼を信じたかった。
理由は説明しにくいが、彼は今まで出会ってきた人物の中で最も、理解不能で、
省13
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